説明

蓄熱及び放熱装置の容器、蓄熱及び放熱組立体、並びにエネルギー生産プラント

【課題】生産されたエネルギーとエネルギー需要との間の差異を補償する、エネルギー生産プラントを提供する。
【解決手段】蓄熱及び放熱装置の容器1は、ガスの流れを案内するための内部キャビティと、高温且つ高圧のガスの流れのためのシェルを通した第1の開口部3と、キャビティの内外への低温且つ高圧のガスの流れのためのシェルを通した第2の開口部4と、キャビティの内面を部分的にのみ覆う断熱材のライニング6とを備えた金属材料で作製されたシェル2を備え、ライニング6は少なくとも第1の開口部3が位置する領域、すなわち温度がより高い場所に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題の実施形態は、一般に、熱の貯蔵及び予め貯蔵された熱の放出に関し、より具体的には、蓄熱及び放熱装置の容器に関し、特にエネルギー生産の分野での用途を見出すものである。
【背景技術】
【0002】
エネルギー、特に電気エネルギーに対する需要は、一日、一週間、一か月、又は一年の間に時々刻々と著しく変化し、一方、エネルギー生産プラントは、しばしばエネルギー、特に電気エネルギーを、比較的一定の、すなわち、いずれにせよ需要とは異なる基準で生産しており、その生産を需要と容易に適合させることができないエネルギー生産プラントの例は、風力発電所及び太陽熱発電所である。
【0003】
したがって、低需要期間中にエネルギーを貯蔵し且つ高需要期間中にこれを放出する公知の手段が存在する。
【0004】
これを行うための技術は、圧縮空気に基づいており、掘削された又は自然の洞穴の中での圧縮空気の貯蔵を含み、低需要期間中に、空気を圧縮し且つこれを洞穴に送る圧縮機を作動させるのに余剰エネルギーが用いられ、高需要期間中に、例えば発電機器を作動させるための膨張機を駆動するのに洞穴の中の圧縮空気が用いられる。
【0005】
圧縮中に、空気が著しく加熱され(摂氏数百度に達する場合がある)、したがって、これまでに、改善された技術に従って、低温の洞穴の中に圧縮空気を貯蔵する前に圧縮空気の熱を貯蔵すること、エネルギーを生産するのに洞穴の中の圧縮空気が必要とされるときに、貯蔵された熱を用いて洞穴から来る圧縮空気を膨張機に提供する前に加熱することが考案されており、この目的のために、蓄熱及び放熱装置が設計され用いられている。このようにして、貯蔵及び放出プロセスの総合効率が高められる。
【0006】
公知の蓄熱及び放熱装置は、鉄筋コンクリートの中空のタワーの形態をとっており、それらは、数十メートル(例えば50m)の高さ、数十メートル(例えば20m)の直径、及び数メートル(例えば3m)の壁厚を有する。
【0007】
自然の洞穴、掘削された洞穴、並びにこうした公知の蓄熱及び放熱装置は、気密性の問題に悩まされる。加えて、それらの壁は、噴射される空気の高圧(例えば50バール)及び/又は高温(例えば500℃)に起因して脆化しやすく、しばしば存在する湿潤状態が状況を悪化させる。最後に、コンクリート壁は厄介であり、高温空気が装置の中に噴射されるときに、例えば壁の隣又は内部での強制的な水の循環によって冷却される必要がある。
【発明の概要】
【0008】
したがって、従来技術の上述の欠点を克服するエネルギー貯蔵及び放出技術を設計し及び提供することが望ましいであろう。
【0009】
本明細書で開示される主題の実施形態は、金属材料で作製されたシェルを有する蓄熱及び放熱装置の容器を提供する。装置は、高圧ガスを貯蔵及び放出するためのチャンバに流体的に結合することができる。シェルは、蓄熱及び放熱デバイスを内部に収納し且つこのデバイスを通して高圧ガスの流れを案内するように構成される。したがって、従来技術に対して構成が大いに改善され、一方、気密性及び抵抗性は高い。
【0010】
シェルの少なくとも熱いガスが流れる場所に断熱材の内部ライニングを提供することによって、比較的高い温度で安全に作動することが可能であり、加えて、必要に応じて、金属シェルの壁に対して比較的小さい厚さを選定することが可能である。
【0011】
例示的な実施形態によれば、金属材料で作製されたシェルであり、第1の端領域及び第1の端領域から遠い第2の端領域と蓄熱及び放熱デバイスを収容し且つガスの流れを案内するためのキャビティを画定する内面とを備えた細長い形状を有するシェルと、第1の端領域に位置する高温且つ高圧のガスの流れのためのシェルを通した第1の開口部と、第2の端領域に位置する低温且つ高圧のガスの流れのためのシェルを通した第2の開口部と、内面に隣接し、内面を部分的にのみ覆う断熱材のライニングであり、少なくとも第1の端領域に位置するライニングとを備える、蓄熱及び放熱装置の容器が提供される。
【0012】
別の例示的な実施形態によれば、蓄熱及び放熱組立体の中に少なくとも第1の蓄熱及び放熱装置が存在し、第1の蓄熱及び放熱装置は、キャビティを備えた容器と、キャビティの内部に位置する蓄熱及び放熱デバイスとを備え、容器は、金属材料で作製されたシェルであり、第1の端領域及び第1の端領域から遠い第2の端領域と蓄熱及び放熱デバイスを収容するための且つガスの流れを案内するためのキャビティを画定する内面とを備えた細長い形状を有するシェルと、第1の端領域に位置する高温且つ高圧のガスの流れのためのシェルを通した第1の開口部と、第2の端領域に位置する低温且つ高圧のガスの流れのためのシェルを通した第2の開口部と、内面に隣接し、内面を部分的にのみ覆う断熱材のライニングであり、少なくとも第1の端領域に位置するライニングとを備える。
【0013】
また別の例示的な実施形態によれば、エネルギー生産プラントは、低圧低温のガスの流れの入口と高圧高温のガスの流れの出口とを有するエンジンに結合される圧縮機と、高圧高温のガスの流れの入口と低圧低温のガスの流れの出口とを有するエネルギー発生器に結合される膨張機と、開口部を有する高圧のガスを貯蔵するためのガス貯蔵チャンバと、少なくとも1つの蓄熱及び放熱装置とを収容し、蓄熱及び放熱装置は、キャビティを備えた容器と、キャビティの内部に位置する蓄熱及び放熱デバイスとを備え、容器は、金属材料で作製されたシェルであり、第1の端領域及び第1の端領域から遠い第2の端領域と蓄熱及び放熱デバイスを収容するための且つガスの流れを案内するためのキャビティを画定する内面とを備えた細長い形状を有するシェルと、第1の端領域に位置する高温且つ高圧のガスの流れのためのシェルを通した第1の開口部と、第2の端領域に位置する低温且つ高圧のガスの流れのためのシェルを通した第2の開口部と、内面に隣接し、内面を部分的にのみ覆う断熱材のライニングであり、少なくとも第1の端領域に位置するライニングとを備え、第1の開口部は、圧縮機の出口及び膨張機の入口に選択的に流体的に接続され、第2の開口部は、ガス貯蔵チャンバの開口部に制御可能に流体的に接続される。
【0014】
付属の図面は、例示的な実施形態を例証する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】例示的な実施形態に係る蓄熱及び放熱装置の容器を示す図である。
【図2】図1の容器のシェルを示す図である。
【図3】例示的な実施形態に係る蓄熱及び放熱組立体を示す図である。
【図4】例示的な実施形態に係るエネルギー生産プラントのエネルギー貯蔵及び放出システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、付属の図面を参照する。異なる図面の中での同じ参照番号は、同じ又は類似の要素を特定する。加えて、図面は必ずしも縮尺で描かれていない。また、以下の詳細な説明は本発明を限定するものではない。代わりに、本発明の範囲は、付属の請求項によって定められる。
【0017】
明細書の全体を通しての「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態と組み合わせて説明された特定の機能部、構造、又は特徴が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、明細書の全体を通してさまざまな箇所での「一実施形態において」又は「実施形態において」という語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を言及しているわけではない。さらに、特定の機能部、構造、又は特徴は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な状態で組み合わされてもよい。
【0018】
図1の実施形態は、蓄熱及び放熱装置の容器1である。図1は、すべてのその構成要素を備えた容器を示し(略断面図)、一方、図2は、図1の容器のシェルのみを示す(略断面図)ことに留意すべきである。
【0019】
容器1は、キャビティ20を画定する内面、並びにキャビティ20を他のデバイスとの流体連通状態におくことができるようにシェル2を通した第1の開口部3及びシェル2を通した第2の開口部4を備えた、金属材料で作製されたシェル2を備える。シェル2は、第1の端領域23と、第1の端領域23から遠い第2の端領域24とを備えた細長い形状を有し、第1の開口部3は第1の端領域23に位置し、第2の開口部4は第2の端領域24に位置する。シェル2は、蓄熱及び放熱デバイス7を収容し且つガスの流れを案内するように構成され、ガスは、第1の開口部3からキャビティ20の内部で蓄熱及び放熱デバイス7を通して第2の開口部4に流れてもよく、この場合、開口部3が入口として働き、開口部4が出口として働き、代替的に、ガスは、第2の開口部4からキャビティ20の内部で蓄熱及び放熱デバイス7を通して第1の開口部3に流れてもよく、この場合、開口部3が出口として働き、開口部4が入口として働く。開口部3は、高温、例えば摂氏数百度、及び高圧、例えば数十バールのガスに適しており、一方、開口部4は、低温、例えば摂氏数十度、及び高圧、例えば数十バールのガスに適しており、容器を横切る(且つ蓄熱及び放熱デバイスを通した)流れは、例えば数バールの圧力低下を引き起こす。
【0020】
原則としては容器の内部に任意のガスが流れてもよいが、容器は、直ちに利用可能な(したがって安価な)且つ安全な通常の空気と共に用いられることが期待される。
【0021】
有利には、蓄熱及び放熱デバイス7は、高い比熱容量を有する材料で作製され且つ積み重ねられる複数のれんがの形態をとってもよく、この場合、ガスがデバイスを通して流れるようにするために、れんがは、通り穴を有してもよく、及び/又は互いの間に間隔をおいていてもよい。
【0022】
蓄熱及び放熱デバイスの目的は、これが熱いガスの流れと接触するときに蓄熱し、且つこれが冷たいガスの流れと接触するときに放熱することであり、他の点では、デバイス(並びに提供される場合にはそのれんが)はまた、容器の及び容器の中の熱伝導性の低い材料(例えば要素6及び9参照)のおかげで、その温度及びその熱を維持する傾向がある。
【0023】
図1の実施形態の容器1のシェル2(図2も参照)は、実質的に円筒形の形状を有し、その長さは数十メートル(例えば30〜90m)であってもよく、その直径は数メートル(例えば5〜10m)であってもよい。シェル2は、いかなる熱力学的又は流体力学的欠点もなしに比較的容易に設置できるように水平位置に配置され、その水平位置のおかげで、シェルは強い風及び地震に良く耐えることができ、シェル2は、特にU字形状にされた支持要素5、具体的には4つの支持要素5A、5B、5C、5Dによって支持される。
【0024】
図1の実施形態によれば(図2も参照)、シェル2は、例えば溶接によって互いに接合される部品の組合せによって作製され、シェル2は、2つの端区域+順次に配置された多数の円筒形区域及び遷移区域を備え、より具体的には、第1の端区域25、第1の円筒形区域26A、第1の遷移区域27A、第2の円筒形区域26B、第2の遷移区域27B、第3の円筒形区域26C、及び第2の端区域28が存在し、端区域25及び28はドーム形状にされ、遷移区域27A及び27Bは円錐台の形状を有し、これらの区域のそれぞれは、互いに接合される1つ又は複数の部品から結果として生じてもよい。シェル2の厚さは、実質的に一定(この特定の実施形態では、約10%の厚さ変化が存在する)であり、数センチメートル、例えば7〜15cmであってもよい。単純構成区域のこうしたモジュラ構造は、シェルの製造及び構築を容易にする。図面からわかるように、シェルの長手方向の断面は、主に製造及び構築の理由のため、階段状(正確には、立ち上がり部は傾いており、垂直ではない)である。代替的に、より複雑且つ高価な場合であっても、緩やかな形状(例えば円錐形)を有することが可能である。
【0025】
単に完全を期すために、実施形態で用いられるシェルの一組の実寸が提供される、すなわち、区域25は約7.4mの内径を有し、区域26Aは約6.0mの長さを有し、区域27Aは約1.5mの長さと約7.4mの開始内径及び約7.2mの最終内径を有し、区域26Bは約9.0mの長さを有し、区域27Bは約1.5mの長さと約7.2mの開始内径及び約7.0mの最終内径を有し、区域26Cは約32.0mの長さを有し、区域28は約7.0mの内径を有し、区域25の厚さは約5.5cmであり、区域26Aの厚さは約10cmであり、区域27Aの厚さは約10cmであり、区域26Bの厚さは約9.8cmであり、区域27Bの厚さは約9.8cmであり、区域26Cの厚さは最初に約9.4cm及び最後に約9.1cmであり、区域28の厚さは約5.0cmであり、したがって、端区域の厚さは実質的に等しく、且つそれらのほぼ球形の形状に起因して他の区域の厚さよりも著しく小さい(約50%)。
【0026】
シェル2に加えて、容器1は断熱材のライニング6を備える。図1ではっきりと見られるように、この実施形態のライニングは、シェルの内面2に隣接し、これを部分的にのみ覆う。ライニングの目的は、シェルを熱いガスから断熱すること、すなわち、言い換えれば、シェルが曝される温度を低下させることであるため、これは少なくとも第1の端領域23、すなわち第1の開口部3が位置する場所に位置する。図1の特定の実施形態では、ライニングは、第1の端区域25、第1の円筒形区域26A、第1の遷移区域27A、第2の円筒形区域26B、第2の遷移区域27Bの内部に位置する。ライニング6の断熱材は、ガスの高温に良好に耐えることができる耐火性材料、例えば、アルミノシリケートを含むスラリーである。
【0027】
通常作動中、キャビティ20の内部のガスの温度は、第1の端領域23の高温(例えば500〜700℃)から第2の端領域の低温(例えば50〜80℃)に変化する。ライニング6のおかげで、金属シェル2の温度は、前述の高温よりも下に制限されてもよい(例えば300℃〜450℃に制限される)。したがって、シェルのサイズの及び材料の設計は、あまり難しいものではなくなり、例えば、高価な合金の代わりに単純な炭素鋼を用いることができ、加えて、例えば、強制的な水の循環を通じた容器の冷却を避けることができ、且つ湿潤状態もまた、対応する腐食の恐れと共に避けることができる。
【0028】
ライニングは、図1の実施形態の場合のように一定でない厚さを有してもよい。特に、ライニング6の厚さは、第1の開口部3から始まって前方へ、すなわち第2の開口部4の方に、シェル2に沿って減少し、これは第1の開口部3から或る距離で、具体的には区域27Bの端で止まる。図1の実施形態では、厚さは、主に製造及び構築の理由のため段差毎に変化する。代替的に、より複雑且つ高価な場合であっても、緩やかな変化を有することが可能であり、ライニングの厚さはシェルの形状に依存する可能性があることが考慮されるべきである。
【0029】
ライニングの厚さは、作動中にシェルを実質的に一様な温度に維持するように選定されてもよい。シェルの温度は、有利には非常に高く(例えば400〜500℃)設定されてもよい。これは、ライニング6が位置するシェル2の部分、すなわち、区域25、26A、27A、26B、27Bに関しての図1の実施形態の場合であり、その後、シェル2の温度は、ガスの温度と同様に低下し、ライニングの局所的な厚さは、ガスの局所的な温度に関係している。
【0030】
図1の実施形態では、ライニングは、シェル上に空間21を画定するようにサイズ設定され及び配置され、その横断面は実質的に一定(具体的には円形)であり、上記の実施形態によれば、これは約7mの一定の直径を有し、このようにして、ガスの流れは規則的且つ一様であり、上記の実施形態によれば、区域25及び26A上のライニング6の厚さは約25cmであり、区域26B上のライニング6の厚さは約17cmである。
【0031】
ライニングは、高圧且つ高温のガスの流れの影響を受けることになり、ライニングを保護するために、特にこれが脆弱な材料で作製されるときに、保護材料の薄い(例えば4〜6mm)層によってライニングを覆うことが有利であり、この層は、図1では8で示され、有利には、保護材料はステンレス鋼である。
【0032】
層8は、繰り出されてライニング6上に敷かれる金属リボン(例えば厚さ4〜6mm及び幅10〜20cm)によって実現されてもよく、その後、繰り出されたリボンは、例えばこれをシェルの内面から延びる要素(図示せず)に溶接することによってシェル2に固定される。
【0033】
断熱材をシェルの内面に適用する多くの方法が存在し、ともかく、最も効果的な方法は、これを鋳造することによるものである。ライニングをシェルにしっかりと取り付けられた状態にするために、シェル(図1及び図2の2)に、内面からキャビティの方に延びる突起(図1及び図2の22)を提供することが有利であり、これらの突起は、シェルの内面に溶接されるスタッド又はクリップの形態をとってもよい。
【0034】
既に述べたように、容器のシェルの作動温度は非常に高いものとなる(例えば400〜500℃)ことが有利であり、したがって、少なくともシェルを通るガスの流れが存在しないときの、シェルからの熱損失、したがってシェルの内部の蓄熱及び放熱デバイスからの熱損失を低減する(理想的には避ける)ために、シェルは、断熱材の層によって外面を取り囲まれるべきであり(図1の9)、この層はまた、例えば、保守要員のための安全対策として提供されてもよい。シェルに断熱材の外層が提供されるときに、容器は「断熱」されると考えることができ、これは好ましい状況である。
【0035】
本明細書で定義されたように及び可能な実施形態として図1に示されるように、容器(図1の2)と、そのキャビティの内部に位置する蓄熱及び放熱デバイス(図1の7)との組合せが、蓄熱及び放熱装置を提供する。
【0036】
蓄熱及び放熱デバイスの目的は、これが熱いガスの流れと接触するときに蓄熱し、且つこれが冷たいガスの流れと接触するときに放熱することであり、他の点では、デバイスはまた、容器の及び容器の中の熱伝導性の低い材料のおかげで、その温度及びその熱を維持する傾向がある。
【0037】
特定の用途に応じて、容器の種々の部品は、例えば、寸法、材料、配置の点で変化してもよく、そしてまた、その作動パラメータ(例えば温度及び圧力)が変化してもよいことに留意すべきである。
【0038】
図3は、蓄熱及び放熱組立体200の実施形態(略上面図)を示し、この実施形態は3つの蓄熱及び放熱装置210、220、230を備え、ともかく、代替的に、最小で1つの異なる数で提供されてもよい。この特定の及び有利な実施形態では、装置は図1の装置とすべて同一であり、ともかく、代替的に、異なる装置が組み合わされてもよい。装置210、220、230のそれぞれは、第1の開口部211、221、231(容器のそれぞれの第1の開口部に対応する)と、第2の開口部212、222、232(容器のそれぞれの第2の開口部に対応する)とを有し、第1の開口部211、221、231は管240に接続され、第2の開口部212、222、232は管250に接続され、管240と、管250と、潜在的に他の管とが組立体の配管を構成する。非常に熱いガスの流れに起因する装置の長い金属シェルの膨張/収縮を補償するために、開口部と管との間にベローズ装置が有利に提供され、図3の実施形態では、6つのベローズ装置213、214、223、224、233、234が提供される。管240は、高圧且つ高温での二方向のガスの流れに対して構成され、一方、管250は、高圧且つ低温での二方向のガスの流れに対して構成される。図面には示されないが、管240は、内部断熱ライニングを有し、潜在的に断熱材の層によって取り囲まれ、ライニングのおかげで、管は、所望の温度で作動することができ、層は、保守要員のための安全対策として及び/又は熱損失を低減する方法として提供されてもよく、管240の断熱ライニング及び断熱層は、シェル2の断熱ライニング及び断熱層と同じ方法及び/又は同じ材料で作製されてもよい。装置210、220、230は、互いに或る距離に隣接して配置され、好ましくはこうした距離は、組立体の容易な据え付け及び/又は保守を可能にするために選定され、これは、例えば数メートル(例えば2〜3m)であってもよく、典型的には、図3の各装置は、数十メートル(例えば30〜90m)の長さ及び数メートル(例えば5〜10m)の直径で具体化されることが期待される。
【0039】
組立体及びその装置の良好な作動は、とりわけ、配管の設計に依存する。図3の実施形態によれば、配管(240+250)は、すべての蓄熱及び放熱装置210、220、230(同一のもの)を並列に流体的に接続し、その断面は、配管の中の実質的に一様な流速を維持するような断面であり、このようにして、装置にわたって例えば400〜700℃の同じ温度低下をもたらす。図3の実施形態では、管240と管250は同様のものであり、すなわち、第1の直管区域、配管の断面が33%縮小する第2の遷移区域、第2の直管区域、配管の断面がさらに33%縮小する第1の遷移区域、端部に90°の屈曲を有する第3の直管区域を備え、第1の直管区域の端部に、潜在的にベローズ装置を通して第1の装置に流体的に接続するための開口部が提供され、第2の直管区域の端部に、潜在的にベローズ装置を通して第2の装置に流体的に接続するための開口部が提供され、第3の直管区域の端部に、潜在的にベローズ装置を通して第3の装置に流体的に接続するための開口部が提供される。
【0040】
蓄熱及び放熱組立体は、基本的に3つの作動相、すなわち、蓄熱作動相、放熱作動相、熱維持作動相を有する。図3の実施形態を参照すると、蓄熱作動相中に、高圧且つ高温のガスが管240に流入し、それらの第1の開口部211、221、231を通して3つの装置210、220、230のキャビティに入り、キャビティの中の蓄熱及び放熱デバイスを通して流れて、それらに熱を提供し(デバイスはそれらの温度を上昇させ、ガスはその温度を低下させる)、それらの第2の開口部212、222、232を通してキャビティを出て、管250から高圧でしかし低温で流出する。放熱作動相中に、高圧且つ低温のガスが管250に流入し、それらの第2の開口部212、222、232を通して3つの装置210、220、230のキャビティに入り、キャビティの中の蓄熱及び放熱デバイスを通して流れて、それらから熱を受け取り(デバイスはそれらの温度を低下させ、ガスはその温度を上昇させる)、それらの第1の開口部211、221、231を通してキャビティを出て、管240を高圧且つ高温で流出する。熱維持作動相中に、組立体の中にガスは流入せず、蓄熱及び放熱デバイスはそれらの熱及びそれらの温度を実質的に維持する(シェルの周りに断熱材の層が提供される場合であっても幾らかの熱損失を避けることはできない)。
【0041】
非常に高い効率を達成するために、少なくとも装置210、220、230のシェルは、好ましくはまた管240も、断熱材の層によって外面を完全に取り囲まれるべきである。
【0042】
図4は、エネルギー生産プラントの実施形態のエネルギー貯蔵及び放出システム300のみを示す(かなり簡略化された概略図)。
システム300は、
−エンジン302すなわち駆動するマシンに結合され、低圧低温のガスの流れの入口と高圧高温のガスの流れの出口とを有する、圧縮機301と、
−エネルギー発生器304すなわち駆動されるマシンに結合され、高圧高温のガスの流れの入口と低圧低温のガスの流れの出口とを有する膨張機303と、
−開口部を有する、高圧のガスを貯蔵するための、通例「洞穴」と呼ばれるガス貯蔵チャンバ306と、
−少なくとも1つの蓄熱及び放熱装置と、
を備える。
【0043】
エンジン302は、低需要期間中にプラントの主エネルギー発生システム(図4には図示せず)からエネルギー、例えば余剰のエネルギーを受け取る。
【0044】
図4での要素305は、実際は、蓄熱及び放熱組立体(図3に示されたものなど)であり、これは次に、本明細書で定義されたように1つ又は複数の蓄熱及び放熱装置を備え、組立体305は、容器の装置の第1の開口部に接続される第1の管3053と、容器の装置の第2の開口部に接続される第2の管3054とを備えている。要素305が図3の組立体に対応していると仮定すると、図4での管3053が図3での管240に対応し、図4での管3054が図3での管250に対応する。
【0045】
図4では、システム内の制御された流体接続のための幾つかの弁も示されており、具体的には、弁308は、圧縮機301、膨張機303、及び組立体305に接続される3ポート弁であり、弁309は、組立体305及びチャンバ306に接続される2ポート弁である。
【0046】
こうしたシステムの実施形態は、多分、ギア、フィルタ、冷却器、ヒータ、弁のような他の構成要素を収容することになり、加えて、圧縮機及び膨張機の構造は、多かれ少なかれ複雑な(例えば単段又は多段)ものである場合があることに留意すべきである。
【0047】
エネルギー需要の低い期間中、圧縮機301によって圧縮されたガスが組立体305によって熱を除去された後でチャンバ306の中に貯蔵されるように、管3053(すなわち装置の第1の開口部)が弁308を通して圧縮機301の出口に流体的に接続され、管3054(すなわち装置の第2の開口部)が弁309を通してガス貯蔵チャンバ306の開口部に流体的に接続される。
【0048】
エネルギー需要の高い期間中、チャンバ306の中に貯蔵されたガスが膨張機303に送達される前に組立体305によって加熱されるように、管3053(すなわち装置の第1の開口部)が弁308を通して膨張機303の入口に流体的に接続され、管3054(すなわち装置の第2の開口部)が弁309を通してガス貯蔵チャンバ306の開口部に流体的に接続される。
【0049】
通常のエネルギー需要の期間中、管3053及び3054(すなわち装置の第1及び第2の開口部)は弁308及び309によって流体的に接続を解除される。
【0050】
非常に高い効率を達成するために、蓄熱及び放熱組立体305の少なくともシェル(単数又は複数)は、好ましくはまたその管(単数又は複数)も、断熱材の層によって外面を完全に取り囲まれるべきである。
【0051】
上記で説明された例示的な実施形態は、すべての点で本発明を制限するものではなく例証するものとなることを意図される。したがって、本発明は、本明細書に含まれる説明から当業者によって導出され得る、詳細な実装における多くの変形が可能である。すべてのこうした変形及び修正は、以下の請求項によって定義される場合の本発明の範囲及び精神内にあると考えられる。
【0052】
この説明文は、本発明を開示するために最良モードを含む且つまた当業者が本発明を実施できるようにするために任意のデバイス又はシステムを作製し及び使用すること並びに任意の組み込まれた方法を実行することを含む例を用いる。
【0053】
本発明の特許可能な範囲は、以下の請求項によって定義され、当業者に想起される他の例を含んでもよい。こうした他の例は、それらが請求項の文字通りの言葉とは異ならない構造要素を有する場合に、又はそれらが請求項の文字通りの言葉の内の等価な構造要素を含む場合に、請求項の範囲内となることを意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 容器
2 シェル
3 第1の開口部
4 第2の開口部
5A〜5D 支持要素
6 ライニング
7 蓄熱及び放熱デバイス
8 保護材料の薄い層
9 断熱材の層
20 キャビティ
21 空間
22 突起
23 第1の端領域
24 第2の端領域
25 第1の端区域
26A 第1の円筒形区域
26B 第2の円筒形区域
26C 第3の円筒形区域
27A 第1の遷移区域
27B 第2の遷移区域
28 第2の端区域
200 蓄熱及び放熱組立体
210、220、230 蓄熱及び放熱装置
211、221、231 第1の開口部
212、222、232 第2の開口部
213、214、223、224、233、234 ベローズ装置
240、250 管
300 エネルギー貯蔵及び放出システム
301 圧縮機
302 エンジン
303 膨張機
304 エネルギー発生器
305 要素(蓄熱及び放熱組立体)
306 ガス貯蔵チャンバ
308 3ポート弁
309 2ポート弁
3053 第1の管
3054 第2の管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱及び放熱装置の容器であって、
金属材料で作製されたシェルであり、第1の端領域及び前記第1の端領域から遠い第2の端領域と蓄熱及び放熱デバイスを収容し且つガスの流れを案内するように構成されるキャビティを画定する内面とを備えた細長い形状を有するシェルと、
前記第1の端領域に位置する高温且つ高圧のガスの流れのための前記シェルを通した第1の開口部と、
前記第2の端領域に位置する低温且つ高圧のガスの流れのための前記シェルを通した第2の開口部と、
前記内面に隣接し、前記内面を部分的にのみ覆う断熱材のライニングであり、少なくとも前記第1の端領域に位置するライニングと、
を備える容器。
【請求項2】
前記断熱材が前記シェルにしっかりと取り付けられるように、前記シェルが前記内面から前記キャビティの方に延びる突起を備える、請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記ライニングが、一定ではない、好ましくは前記第1の開口部から始まって前記シェルに沿って減少する厚さを有する、請求項1記載の容器。
【請求項4】
前記ライニングの厚さが、前記容器の作動中に前記ライニングが位置する場所で前記シェルを実質的に一様な温度に維持するような厚さである、請求項1記載の容器。
【請求項5】
前記シェルが断熱材の層によって外面を取り囲まれる、請求項1記載の容器。
【請求項6】
前記ライニングが保護材料の薄い層によって覆われる、請求項1記載の容器。
【請求項7】
前記シェルが長手方向に延び、その長手方向の断面が階段状である、請求項1記載の容器。
【請求項8】
前記シェルが実質的に水平位置に配置される、請求項1記載の容器。
【請求項9】
少なくとも第1の蓄熱及び放熱装置を備える蓄熱及び放熱組立体であって、前記第1の蓄熱及び放熱装置が、
容器であり、
金属材料で作製されたシェルであり、第1の端領域及び前記第1の端領域から遠い第2の端領域と複数の蓄熱及び放熱デバイスを収容し且つガスの流れを案内するように構成されるキャビティを画定する内面とを備えた細長い形状を有するシェルと、
前記第1の端領域に位置する高温且つ高圧のガスの流れのための前記シェルを通した第1の開口部と、
前記第2の端領域に位置する低温且つ高圧のガスの流れのための前記シェルを通した第2の開口部と、
前記内面に隣接し、前記内面を部分的にのみ覆う断熱材のライニングであり、少なくとも前記第1の端領域に位置するライニングと、
を備える容器と、
前記キャビティの内部に位置する蓄熱及び放熱デバイスと、
を備える、蓄熱及び放熱組立体。
【請求項10】
エネルギー生産プラントであって、
低圧低温のガスの流れの入口と高圧高温のガスの流れの出口とを有するエンジンに結合される圧縮機と、
高圧高温のガスの流れの入口と低圧低温のガスの流れの出口とを有するエネルギー発生器に結合される膨張機と、
開口部を有する高圧のガスを貯蔵するためのガス貯蔵チャンバと、
少なくとも1つの蓄熱及び放熱装置と、
を備え、前記蓄熱及び放熱装置が、
容器であり、
金属材料で作製されたシェルであり、第1の端領域及び前記第1の端領域から遠い第2の端領域と複数の蓄熱及び放熱デバイスを収容し且つガスの流れを案内するように構成されるキャビティを画定する内面とを備えた細長い形状を有するシェルと、
前記第1の端領域に位置する高温且つ高圧のガスの流れのための前記シェルを通した第1の開口部と、
前記第2の端領域に位置する低温且つ高圧のガスの流れのための前記シェルを通した第2の開口部と、
前記内面に隣接し、前記内面を部分的にのみ覆う断熱材のライニングであり、少なくとも前記第1の端領域に位置するライニングと、
を備える容器と、
前記キャビティの内部に位置する蓄熱及び放熱デバイスと、
を備え、前記第1の開口部が、前記圧縮機の前記出口及び前記膨張機の前記入口に選択的に流体的に接続され、前記第2の開口部が、前記ガス貯蔵チャンバの開口部に制御可能に流体的に接続される、
エネルギー生産プラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−229908(P2012−229908A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−63888(P2012−63888)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(505347503)ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ (112)