説明

蓄熱式空気調和装置

【課題】熱源ユニットの冷媒不足を回避することができ、信頼性を向上させることができる蓄熱式空気調和装置を提供する。
【解決手段】室内ユニット1a,1bと、これら室内ユニット1a,1bと共に1つの冷凍サイクルを構成するように並列接続された熱源ユニット2a,2bと、それら室内ユニット1a,1bと熱源ユニット2a,2bとの間に接続された蓄熱ユニット3a,3bと、コントローラ4とを備えた蓄熱式空気調和装置において、複数台の熱源ユニット2a,2bと複数台の蓄熱ユニット3a,3bを同数とし、複数台の熱源ユニットを、各熱源ユニットに対応する分岐ガス配管32a,32bを介してガス配管14に並列接続させ、蓄熱運転時に蓄熱ユニットから流出する気液二相状態の冷媒を、蓄熱ユニット毎に異なる分岐ガス配管へ導出する蓄熱ガス配管を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の熱源ユニットを備えた蓄熱式空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、夜間に氷を生成する(すなわち、冷熱を蓄える)蓄熱運転を行い、昼間に氷を利用した(すなわち、蓄熱を利用した)蓄熱利用冷房運転を行う蓄熱式空気調和装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の蓄熱式空気調和装置は、複数台の室内ユニットと、これら室内ユニットと共に1つの冷凍サイクルを構成するように並列接続された例えば2台の熱源ユニット(室外ユニット)と、それら室内ユニットと熱源ユニットの間に接続された1台の氷蓄熱ユニットとを備えている。なお、熱源ユニットの台数は、空調負荷に応じて3台、又は4台以上に変更可能としている。
【0003】
特許文献1に記載の蓄熱式空気調和装置では、蓄熱運転(製氷運転)の場合、2台の熱源ユニットにおける圧縮機にてガス冷媒を圧縮させ、室外熱交換器にて凝縮させて液冷媒とし、この液冷媒を1台の蓄熱ユニットに供給する。そして、蓄熱ユニットの蓄熱熱交換器(蓄熱槽内の熱交換器)にて液冷媒と蓄熱槽内の水との熱交換により、液冷媒を蒸発させてガス冷媒としつつ、蓄熱槽内の水を凝縮させて氷を生成する。そして、ガス冷媒を2台の熱源ユニットに戻すようになっている。
【0004】
蓄熱利用冷房運転の場合、蓄熱運転(製氷運転)の場合と同様、2台の熱源ユニットにおける圧縮機にてガス冷媒を圧縮させ、室外熱交換器にて凝縮させて液冷媒とし、この液冷媒を1台の蓄熱ユニットに供給する。そして、蓄熱ユニットの蓄熱熱交換器にて液冷媒と蓄熱槽内の氷との熱交換により液冷媒を過冷却し、この液冷媒を複数台の室内ユニットに供給する。そして、室内ユニットの室内熱交換器にて液冷媒を蒸発させてガス冷媒とし、このガス冷媒を2台の熱源ユニットに戻すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−292937号公報(図1及び図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には以下のような課題が存在する。
【0007】
すなわち、上記特許文献1に記載の蓄熱式空気調和装置では、図示から明らかなように、蓄熱運転時に1台の蓄熱ユニットから2台の熱源ユニットにガス冷媒を戻すように構成されている。詳細には、蓄熱運転時に蓄熱ユニットの蓄熱熱交換器の出口側となる配管は、2台の熱源ユニットへガス冷媒を分流する配管の分岐部より上流側に接続されている。また、蓄熱運転時に2台の熱源ユニットが両方とも稼働されている。
【0008】
ここで、蓄熱運転時における蓄熱熱交換器の出口側では、ガス冷媒に液冷媒が混ざった気液二相状態とする必要がある。その理由は、例えば蓄熱運転時における蓄熱熱交換器の出口側で冷媒を過熱ガス化させると、蓄熱熱交換器の出口側の着氷量が減少し、蓄熱槽内での着氷量が不均一となる不具合が生じるからである。そして、蓄熱槽内での着氷量が不均一になると、水が氷となって体積膨張する際に大きな応力が発生し、伝熱管が破損する恐れがある。そのため、蓄熱槽内での着氷量を均一にすることが望ましく、蓄熱運転時における蓄熱熱交換器の出口側では冷媒を気液二相状態とする。
【0009】
そして、上述した2台の熱源ユニットへ冷媒を分流する配管の分岐部では、その分岐部の形状や取付姿勢に応じて冷媒、特に液冷媒の分流比が変化する。そのため、条件によっては、2台の熱源ユニットの間で冷媒、特に液冷媒の戻り量に差異が生じる。そして、液冷媒に溶け込んだ油の戻り量にも差異を生じさせる。したがって、2台の熱源ユニットの間で保有する油量に差異が生じ、油量の減少によって圧縮機内の潤滑不良等の不具合を引き起こす可能性がある。そのため、信頼性の点で好ましくなかった。
【0010】
本発明の目的は、熱源ユニットの冷媒不足を回避することができ、信頼性を向上させることができる蓄熱式空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、冷媒を室内空気と熱交換させる室内熱交換器を備えた少なくとも1台の室内ユニットと、前記室内ユニットと共に1つの冷凍サイクルを構成するように前記室内ユニットに対してガス配管及び液配管を介し並列接続され、冷媒を圧縮する圧縮機及び冷媒を室外空気と熱交換させる室外熱交換器を備えた複数台の熱源ユニットと、前記室内ユニットと前記熱源ユニットとの間に接続され、冷媒を蓄熱媒体と熱交換させる蓄熱熱交換器を備えた複数台又は1台の蓄熱ユニットと、前記圧縮機を制御するとともに、冷媒を前記室外熱交換器、前記蓄熱熱交換器、及び前記室内熱交換器のうちのいずれかに選択的に流通させるために複数の電磁弁を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記圧縮機及び前記複数の電磁弁を制御して、少なくとも、前記室外熱交換器を凝縮器、前記蓄熱熱交換器を蒸発器として作動させる蓄熱運転や、前記室外熱交換器を凝縮器、前記蓄熱熱交換器を過冷却器、前記室内熱交換器を蒸発器として作動させる蓄熱利用冷房運転に切換える蓄熱式空気調和装置において、前記複数台の熱源ユニットと前記複数台の蓄熱ユニットを同数とし、前記複数台の熱源ユニットを、前記各熱源ユニットに対応する分岐ガス配管を介して前記ガス配管に並列接続させ、蓄熱運転時に前記蓄熱ユニットから流出する気液二相状態の冷媒を、前記蓄熱ユニット毎に異なる前記分岐ガス配管へ導出する蓄熱ガス配管を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熱源ユニットの冷媒不足を回避することができ、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態における蓄熱式空気調和装置の全体構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における室内ユニットの構成を表す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における熱源ユニットの構成を表す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における蓄熱ユニットの構成を表す図であり、蓄熱運転時の弁の開閉状態を示す。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるコントローラを関連機器とともに表す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における蓄熱ユニットの構成を表す図であり、蓄熱利用冷房運転時の弁の開閉状態を示す。
【図7】本発明の第1の実施形態における蓄熱ユニットの構成を表す図であり、蓄熱非利用冷房運転時又は暖房運転時の弁の開閉状態を示す。
【図8】本発明の第2の実施形態における蓄熱ユニットの構成を表す図であり、蓄熱運転時の弁の開閉状態を示す。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるコントローラを関連機器とともに表す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における蓄熱式空気調和装置の全体構成を表す図である。
【図11】本発明の一変形例における蓄熱式空気調和装置の全体構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態を、図1〜図7により説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における蓄熱式空気調和装置の全体構成を表すブロック図である。図2は、本実施形態における室内ユニットの構成を表す図である。図3は、本実施形態における熱源ユニットの構成を表す図である。図4は、本実施形態における蓄熱ユニットの構成を表す図であり、蓄熱運転時の弁の開閉状態(黒塗りは閉状態、白塗りは開状態)を示す。図5は、本実施形態におけるコントローラを関連機器とともに表す図である。
【0016】
これら図1〜図4において、蓄熱式空気調和装置は、例えば2台の室内ユニット1a,1bと、これら室内ユニット1a,1bと共に1つの冷凍サイクルを構成するように並列接続された例えば2台の熱源ユニット2a,2bと、それら室内ユニット1a,1bと熱源ユニット2a,2bとの間に接続された例えば2台の蓄熱ユニット3a,3bと、コントローラ4とを備えている。
【0017】
室内ユニット1a,1bは、共通ガス配管30及び共通液配管40に対して並列に接続されている。詳細には、室内ユニット1aは、共通ガス配管30に対して室内側分岐ガス配管31aを介し接続され、共通液配管40に対して室内側分岐液配管41aを介し接続されている。室内ユニット1bは、共通ガス配管30に対して室内側分岐ガス配管31bを介し接続され、共通液配管40に対して室内側分岐液配管41bを介し接続されている。
【0018】
室内ユニット1aは、冷媒を室内空気と熱交換させる室内熱交換器5と、この室内熱交換器5に室内空気を送風する室内送風機(図示せず)と、室内熱交換器5の液冷媒側(図2中下側)に設けられ、後述する冷房運転時に冷媒を減圧するための室内膨張弁(電磁弁)6とを備えている。室内ユニット1bは、室内ユニット1aと同様の構成であり、その説明を省略する。
【0019】
熱源ユニット2a,2bは、共通ガス配管30及び共通液配管40に対して並列に接続されている。詳細には、熱源ユニット2aは、共通ガス配管30に対して室外側分岐ガス配管32aを介し接続され、共通液配管40aに対して室外側分岐液配管43aを介し接続されている。熱源ユニット2bは、共通ガス配管30に対して室外側分岐ガス配管32bを介し接続され、共通液配管40aに対して室外側分岐液配管43bを介し接続されている。また、共通液配管40aと40bの間には蓄熱ユニット3aおよび3bが並列に接続されている。詳細には、蓄熱ユニット3aは共通液配管40aに対して蓄熱液配管42aで、共通液配管40bに対して蓄熱液配管42bで接続されており、蓄熱ユニット3bは共通液配管40aに対して蓄熱液配管42cで、共通液配管40bに対して蓄熱液配管42dで接続されている。
【0020】
また、本実施形態の大きな特徴として、蓄熱ユニット3aと熱源ユニット2aが対応するように蓄熱ガス配管50aが室外側分岐ガス配管32aに、蓄熱ユニット3bと熱源ユニット2bが対応するように蓄熱ガス配管50bが室外側分岐ガス配管32bに接続されている(詳細は後述)。
【0021】
熱源ユニット2aは、冷媒を圧縮する圧縮機7と、冷媒を室外空気と熱交換させる室外熱交換器8と、この室外熱交換器8に室外空気を送風する室外送風機9と、室外熱交換器8の液冷媒側(図3中下側)に設けられ、後述する暖房運転時に冷媒を減圧するための室外膨張弁(電磁弁)10とを備えている。また、熱源ユニット2aは、室外側分岐ガス配管32aを圧縮機7の吸込側ガス配管(低圧ガス配管)11及び吐出側ガス配管(高圧ガス配管)12のうちの一方と、室外熱交換器8からのガス配管14を圧縮機7の吸込側ガス配管11及び吐出側ガス配管12のうちの他方に連通するように切換える四方弁13(電磁弁)とを備えている。
【0022】
また、熱源ユニット2aは、後述する蓄熱非利用冷房運転時に液冷媒を過冷却するための過冷却回路15を備えている。この過冷却回路15は、室外熱交換器8からの液配管16と圧縮機7の吸込側ガス配管11との間で接続されたバイパス配管17と、このバイパス配管17に設けられたバイパス膨張弁(電磁弁)18と、バイパス配管17側の冷媒と液配管16側の冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器19とで構成されている。そして、蓄熱非利用冷房運転時には、バイパス膨張弁18が絞り状態(言い換えれば、全閉状態と全開状態との間)に制御される。これにより、室外熱交換器8からの冷媒の一部をバイパス膨張弁18にて減圧して低温化し、過冷却熱交換器19にて残りの液冷媒と熱交換させる。これにより、冷媒の一部は蒸発して過熱ガスとなり、この過熱ガスが圧縮機7の吸込側ガス配管11に流出する。一方、冷媒の残りは過冷却されて室外側分岐液配管43aに流出するようになっている。
【0023】
熱源ユニット2bは、熱源ユニット2aと同様の構成であり、その説明を省略する。
【0024】
蓄熱ユニット3aは、蓄熱液配管42aと42bとの間で接続された液配管20と、蓄熱媒体としての水を貯留する蓄熱槽(水タンク)21と、この蓄熱槽21内に設けられ、冷媒を水と熱交換させる蓄熱熱交換器22とを備えている。また、蓄熱熱交換器22の一方の出入口側(図3中右側)と液配管20との間で接続された分岐配管23aと、この分岐配管23aに介設された開閉弁(第1の電磁弁)24a,レシーバタンク25、及び蓄熱膨張弁(電磁弁)26とを備えている。蓄熱膨張弁26は、後述する蓄熱運転時に冷媒を減圧するためのものであり、レシーバタンク25は、後述する蓄熱運転時に余剰冷媒を貯留するためのものである。なお、レシーバタンク25で貯留する余剰冷媒量は蓄熱熱交換器22の内容積に応じて定まるので、これに基づいてレシーバタンク25の容積が設計されている。
【0025】
また、蓄熱ユニット3aは、分岐配管23aにおける蓄熱膨張弁26と蓄熱熱交換器22との間の部分と液配管20との間で接続された分岐配管23bと、この分岐配管23bに介設され、蓄熱熱交換器22側から液配管20側への流れを許容する逆止弁27とを備えている。また、蓄熱熱交換器22の他方の出入口側(図3中左側)と上述した蓄熱ガス配管50aとの間で接続された分岐配管23cと、この分岐配管23cに介設された開閉弁(第2の電磁弁)24bと、分岐配管23cにおける開閉弁24bより蓄熱ガス配管50a側(図4中左側)とレシーバタンク25との間で接続された冷媒戻し配管28と、この冷媒戻し配管28に介設された開閉弁(第3の電磁弁)24cとを備えている。また、分岐配管23cにおける開閉弁24bより蓄熱熱交換器22側(図4中右側)と液配管20との間で接続された分岐配管23dと、この分岐配管23dに介設された開閉弁(電磁弁)24dと、液配管20における分岐配管23bの接続部(及び分岐配管23aの接続部)と分岐配管24dの接続部との間に位置する開閉弁(電磁弁)24eとを備えている。
【0026】
蓄熱ユニット3bは、蓄熱ユニット3aと同様の構成であり、その説明を省略する。
【0027】
コントローラ4は、上述した室内ユニット1a,1bにおける室内膨張弁6、熱源ユニット2a,2bにおける四方弁13,圧縮機7,室外送風機9,室外膨張弁10、及びバイパス膨張弁18、並びに蓄熱ユニット3a,3bにおける開閉弁24a〜24e及び蓄熱膨張弁26を制御する。これにより、蓄熱運転,蓄熱利用冷房運転,蓄熱非利用冷房運転、及び暖房運転のうちのいずれかに切換えるようになっている。なお、本実施形態においては、室内ユニット1a,1bの仕様が同じ(詳細には、室内熱交換器5,室内送風機、及び室内膨張弁6の能力が同じ)、熱源ユニット2a,2bの仕様が同じ(詳細には、圧縮機7,室外熱交換器8,室外送風機9,室外膨張弁10,バイパス膨張弁18、及び過冷却熱交換器19の能力が同じ)、蓄熱ユニット3a,3bの仕様が同じ(詳細には、蓄熱熱交換器22,レシーバタンク25、及び蓄熱膨張弁26の能力が同じ)であり、コントローラ4は、室内ユニット1a,1bの制御量を同じとし、熱源ユニット2a,2bの制御量を同じとし、蓄熱ユニット3a,3bの制御量を同じとしている。具体例の1つとして、熱源ユニット2a,2bにおける圧縮機7の回転数を同じとしている。
【0028】
次に、本実施形態における蓄熱運転時の動作とともに、主な作用効果を説明する。
【0029】
(1)蓄熱運転時
蓄熱ユニット3a,3bの蓄熱槽21内に氷を生成する(冷熱を蓄える)蓄熱運転を行う。この蓄熱運転時では、コントローラ4は、熱源ユニット2a,2bを両方とも稼働させる。詳細には、熱源ユニット2a,2bにおける圧縮機7及び室外送風機9を駆動するとともに、室外膨張弁10を全開状態、バイパス膨張弁18を全閉状態に制御する。また、四方弁13を制御し、前述の図3中実線で示すように、室外側分岐ガス配管32aを圧縮機7の吸込側ガス配管11に連通し、室外熱交換器8からのガス配管14を圧縮機7の吐出側ガス配管12に連通するように切換える。これにより、圧縮機7にてガス冷媒が圧縮され、そのガス冷媒が四方弁13を介し室外熱交換器8に流入し、室外熱交換器8にて凝縮して液冷媒となり(すなわち、室外熱交換器8が凝縮器として作動し)、その液冷媒(詳細には、飽和液冷媒)が室外側分岐液配管43,共通液配管40a,蓄熱液配管42aもしくは42cを介し蓄熱ユニット3a,3bに供給される。
【0030】
また、コントローラ4は、前述の図4で示すように、蓄熱ユニット3a,3bにおける開閉弁24a,24b,24eを開状態、開閉弁24c,24dを閉状態に制御するとともに、蓄熱膨張弁26を絞り状態に制御する。これにより、蓄熱ユニット3a,3bからの液冷媒は開閉弁24e,24aを介しレシーバタンク25に流入し、その一部がレシーバタンク25から蓄熱膨張弁26に流出し、その残り(余剰分)がレシーバタンク25内に貯留される。すなわち、蓄熱熱交換器22の保有冷媒量が変動するのは蓄熱運転時のみであり、この蓄熱運転時にレシーバタンク25によって冷媒量が自動的に調整されるようになっている。そして、蓄熱膨張弁26にて液冷媒が減圧されて低温化し、その液冷媒が蓄熱熱交換器22にて蓄熱槽21内の水との熱交換により蒸発してガス冷媒となる(すなわち、蓄熱熱交換器22が蒸発器として作動する)。一方、蓄熱槽21内の水は、前述した冷媒との熱交換により熱を奪われて温度が徐々に低下し、十分に低下すると蓄熱熱交換器22の周りに着氷する。
【0031】
ここで、蓄熱熱交換器22の出口側では、ガス冷媒に液冷媒が混ざった気液二相状態となっている。その理由は、例えば蓄熱熱交換器22の出口側で冷媒を過熱ガス化させると、蓄熱熱交換器22の出口側の着氷量が減少し、蓄熱槽21内での着氷量が不均一となる不具合が生じるからである。そして、蓄熱槽21内での着氷量が不均一になると、水が氷となって体積膨張する際に大きな応力が発生し、伝熱管が破損する恐れがある。そのため、蓄熱槽21内での着氷量を均一にすることが望ましく、蓄熱熱交換器22の出口側では冷媒を気液二相状態としている。
【0032】
そして、本実施形態においては、蓄熱ユニット3aの蓄熱熱交換器22から流出する気液二相状態の冷媒は、開閉弁24b及び蓄熱ガス配管50a,室外側分岐ガス配管32aを介し熱源ユニット2aの圧縮機7の吸込側に戻される。また、蓄熱ユニット3bの蓄熱熱交換器22から流出する気液二相状態の冷媒は、開閉弁24b及び蓄熱ガス配管50b、室外側分岐ガス配管32bを介し熱源ユニット2bの圧縮機7の吸込側に戻される。すなわち、蓄熱ユニット3aから熱源ユニット2a,2bへ気液二相状態の冷媒を分配せず、同様に、蓄熱ユニット3bから熱源ユニット2a,2bへ気液二相状態の冷媒を分配しないので、気液二相状態の冷媒の分配によって生じやすい熱源ユニットの冷媒不足を回避することができる。したがって、例えば圧縮機7内の潤滑不良等の不具合を回避することができ、信頼性を向上させることができる。
【0033】
また、本実施形態においては、蓄熱運転時に熱源ユニット2a,2bを両方とも稼働させるので、例えば熱源ユニット2a,2bのうちの一方のみを稼働させる場合と比べ、蓄熱運転時間の短縮や蓄熱率(言い換えれば、単位時間当たりの蓄熱量)の向上を図ることができる。
【0034】
次に、本実施形態における蓄熱運転以外の他の運転時(詳細には、蓄熱利用冷房運転時,蓄熱非利用冷房運転時、及び暖房運転時)の動作とともに、他の作用効果を説明する。
【0035】
(2)蓄熱利用冷房運転時
蓄熱ユニット3a,3bの蓄熱槽21内の氷を利用した(すなわち、蓄熱を利用した)冷房運転を行う。この蓄熱利用冷房運転時では、コントローラ4は、室内ユニット側の負荷に応じて、熱源ユニット2a,2bのうちの一方もしくは両方を稼働させる。詳細には、熱源ユニット2a,2bのうちの一方もしくは両方における圧縮機7及び室外送風機9を駆動するとともに、室外膨張弁10を全開状態、バイパス膨張弁18を全閉状態に制御する。また、四方弁13を制御し、前述の図3中実線で示すように、室外側分岐ガス配管32aを圧縮機7の吸込側ガス配管11に連通し、室外熱交換器8からのガス配管14を圧縮機7の吐出側ガス配管12に連通するように切換える。これにより、圧縮機7にてガス冷媒が圧縮され、そのガス冷媒が四方弁13を介し室外熱交換器8に流入し、室外熱交換器8にて凝縮して液冷媒となり(すなわち、室外熱交換器8が凝縮器として作動し)、その液冷媒(詳細には、飽和液冷媒)が室外側分岐液配管43a,共通液配管40a,蓄熱液配管42aもしくは42cを介し蓄熱ユニット3a,3bに供給される。
【0036】
また、コントローラ4は、図6で示すように、蓄熱ユニット3a,3bにおける開閉弁24a,24b,24eを閉状態、開閉弁24c,24dを開状態に制御するとともに、蓄熱膨張弁26を全閉状態に制御する。これにより、熱源ユニット2a,2bのうちの一方もしくは両方からの液冷媒は開閉弁24dを介し蓄熱熱交換器22に流入し、蓄熱槽21内の氷との熱交換により過冷却され(すなわち、蓄熱熱交換器22が過冷却器として作動し)、その過冷却液冷媒が逆止弁27を介し流出して、蓄熱液配管42bもしくは42d、および共通液配管40b等を介し室内ユニットに供給される。
【0037】
また、コントローラ4は、例えば、室内ユニット1a,1bにおける室内膨張弁6を絞り状態に制御する(あるいは、室内ユニット1a,1bのうちの一方における室内膨張弁6を絞り状態に制御し、他方における室内膨張弁6を全閉状態とする)。これにより、蓄熱ユニット3a,3bからの液冷媒は室内膨張弁6にて減圧されて低温化し、その液冷媒が室内熱交換器5にて室内空気との熱交換により蒸発してガス冷媒となり(すなわち、室内熱交換器5が蒸発器として作動し)、そのガス冷媒(詳細には、飽和ガス冷媒もしくは過熱ガス冷媒)が共通ガス配管30等を介し熱源ユニットに戻され、その熱源ユニットにて四方弁13を介し圧縮機7に戻される。
【0038】
この蓄熱利用冷房運転では、蓄熱ユニット3a,3bの蓄熱槽21内の氷との熱交換により液冷媒を過冷却して比エンタルピーの低い低温状態とし、室内ユニットの室内熱交換器5で液冷媒を蒸発する際のエンタルピー差を増大させるので、冷房能力が向上する。また、圧縮機の仕事を増やすことなく冷房能力を向上させることができ、効率の高い冷房運転を行うことができる。
【0039】
(3)蓄熱非利用冷房運転時
蓄熱ユニット3a,3bの蓄熱槽21内の氷を利用しない(すなわち、蓄熱を利用しない)冷房運転を行う。この蓄熱非利用冷房運転時では、コントローラ4は、室内ユニット側の負荷に応じて、熱源ユニット2a,2bのうちの一方もしくは両方を稼働させる。詳細には、熱源ユニット2a,2bのうちの一方もしくは両方における圧縮機7及び室外送風機9を駆動するとともに、室外膨張弁10を全開状態に制御する。また、バイパス膨張弁18を絞り状態に制御する。また、四方弁13を制御し、前述の図3中実線で示すように、室外側分岐ガス配管32aを圧縮機7の吸込側ガス配管11に連通し、室外熱交換器8からのガス配管14を圧縮機7の吐出側ガス配管12に連通するように切換える。これにより、圧縮機7にてガス冷媒が圧縮され、そのガス冷媒が四方弁13を介し室外熱交換器8に流入し、室外熱交換器8にて凝縮して液冷媒となる(すなわち、室外熱交換器8が凝縮器として作動する)。そして、バイパス膨張弁18にて液冷媒の一部が減圧されて低温化し、過冷却熱交換器19にて残りの液冷媒との熱交換により蒸発して過熱ガスとなり、この過熱ガスが圧縮機7の吸込側ガス配管11に流出する。一方、前述した熱交換により過冷却された液冷媒は、室外側分岐液配管43a,共通液配管40a,蓄熱液配管42aもしくは42cを介し蓄熱ユニット3a,3bに流出される。
【0040】
また、コントローラ4は、図7で示すように、蓄熱ユニット3a,3bにおける開閉弁24a,24b,24dを閉状態、開閉弁24c,24eを開状態に制御するとともに、蓄熱膨張弁26を全閉状態に制御する。これにより、熱源ユニット2a,2bのうちの一方もしくは両方からの液冷媒は開閉弁24eを介し流出して、蓄熱液配管42bもしくは42d、および共通液配管40b等を介し室内ユニットに供給される。
【0041】
また、コントローラ4は、例えば、室内ユニット1a,1bにおける室内膨張弁6を絞り状態に制御する(あるいは、室内ユニット1a,1bのうちの一方における室内膨張弁6を絞り状態に制御し、他方における室内膨張弁6を全閉状態とする)。これにより、蓄熱ユニット3a,3bからの液冷媒は室内膨張弁6にて減圧されて低温化し、その液冷媒が室内熱交換器5にて室内空気との熱交換により蒸発してガス冷媒となり(すなわち、室内熱交換器5が蒸発器として作動し)、そのガス冷媒(詳細には、飽和ガス冷媒もしくは過熱ガス冷媒)が共通ガス配管30等を介し熱源ユニットに戻され、その熱源ユニットにて四方弁13を介し圧縮機7に戻される。
【0042】
(4)暖房運転時
暖房運転時では、コントローラ4は、室内ユニット側の負荷に応じて、熱源ユニット2a,2bのうちの一方もしくは両方を稼働させる。詳細には、熱源ユニット2a,2bのうちの一方もしくは両方における圧縮機7及び室外送風機9を駆動するとともに、バイパス膨張弁18を全閉状態に制御する。また、室外膨張弁10を絞り状態に制御する。また、四方弁13を制御し、前述の図3中点線で示すように、室外側分岐ガス配管32aを圧縮機7の吐出側ガス配管12に連通し、室外熱交換器8からのガス配管14を圧縮機7の吸込側ガス配管11に連通するように切換える。これにより、圧縮機7にてガス冷媒が圧縮され、そのガス冷媒が四方弁13を介し流出して共通ガス配管30等を介し室内ユニットに供給される。
【0043】
また、コントローラ4は、例えば、室内ユニット1a,1bにおける室内膨張弁6を全開状態に制御する(あるいは、室内ユニット1a,1bのうちの一方における室内膨張弁6を全開状態に制御し、他方における室内膨張弁6を全閉状態とする)。これにより、熱源ユニットからの冷媒は室内熱交換器5にて室内空気との熱交換により凝縮して液冷媒となり(すなわち、室内熱交換器5が凝縮器として作動し)、その液冷媒(詳細には、飽和液冷媒もしくは過冷却液冷媒)が共通液配管40b等を介し蓄熱ユニット3a,3bに流出される。
【0044】
また、コントローラ4は、図7で示すように、蓄熱ユニット3a,3bにおける開閉弁24a,24b,24dを閉状態、開閉弁24c,24eを開状態に制御するとともに、蓄熱膨張弁26を全閉状態に制御する。これにより、室内ユニット1a,1bのうちの一方もしくは両方からの液冷媒は開閉弁24eを介し流出して共通液配管40a等を介し熱源ユニットに供給される。
【0045】
熱源ユニット2a,2bのうちの一方もしくは両方では、室外膨張弁10にて液冷媒が減圧されて低温化し、その液冷媒が室外熱交換器8にて室外空気との熱交換により蒸発してガス冷媒となり(すなわち、室外熱交換器8が蒸発器として作動し)、そのガス冷媒が四方弁13を介し圧縮機7に戻される。
【0046】
なお、上述した蓄熱非利用冷房運転時及び暖房運転時では、コントローラ4は、蓄熱ユニット3a,3bにおける開閉弁24dを閉状態に制御する場合を例にとって説明したが、蓄熱熱交換器22に冷媒を充満させるために、開閉弁24dを開状態に制御してもよい。
【0047】
以上のように本実施形態においては、蓄熱運転時に、開閉弁24a,24b,24eを開状態、蓄熱膨張弁26を絞り状態に制御することにより、冷凍サイクルの冷媒がレシーバタンク25を経由して循環する一方、蓄熱運転以外の他の運転時に、開閉弁24a,24bを閉状態、蓄熱膨張弁26を全閉状態に制御することにより、冷凍サイクルの冷媒がレシーバタンク25を経由しないで循環している。これにより、蓄熱運転時のみレシーバタンク25に余剰冷媒が貯留されて蓄熱熱交換器22への冷媒量を調整することができる。また、蓄熱運転時にレシーバタンク25に貯留された冷媒を、蓄熱運転以外の他の運転時にそのまま貯留させておくと、冷媒が不足する可能性が生じる。そこで、本実施形態においては、蓄熱運転時に開閉弁24cを閉状態に制御する一方、蓄熱運転以外の他の運転時に開閉弁24cを開状態に制御している。これにより、冷房運転時に、蓄熱ユニット3aのレシーバタンク25内の冷媒を冷媒戻し配管28及び蓄熱ガス配管50aを介し熱源ユニット2aの圧縮機7に戻し、蓄熱ユニット3bのレシーバタンク25内の冷媒を冷媒戻し配管28及び蓄熱ガス配管50bを介し熱源ユニット2bの圧縮機7に戻す。したがって、冷房運転時においても、熱源ユニットの冷媒不足を回避することができ、信頼性を向上させることができる。
【0048】
また暖房運転時には、レシーバタンク25内へ高圧ガスが流入させることによって、液冷媒が溜まり込むことを防止しており、熱源ユニットの冷媒不足を回避することができ、信頼性を向上させることができる。ところで、レシーバタンク25の周囲は低温外気であるため、レシーバタンク25内部に凝縮し、熱源ユニットにおいて冷媒不足となる可能性がある。この場合には、蓄熱膨張弁26の開度を全閉状態から所定開度開いた微開状態として、レシーバタンク25内の冷媒を分岐配管23b側へと流出させる制御を行う。本制御は、常時行っても良く、時間やサイクル状態に応じて適宜行うとしてもよい。また、本制御動作中以外には、開閉弁24cを閉として高圧ガス冷媒のレシーバタンクへの流入を遮断するとしても良い。
【0049】
これらの制御を導入することにより、暖房運転時においても、熱源ユニットの冷媒不足を回避することができ、すなわち蓄熱運転時以外の運転時における冷媒不足を回避することができるので、信頼性を向上させることができる。
【0050】
また、上記第1の実施形態においては、熱源ユニット2a,2bは、過冷却回路15を備えた場合を例にとって説明したが、これに限られず、過冷却回路15を備えなくてもよい。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0051】
また、上記第1の実施形態においては、熱源ユニット2a,2bは、1つの圧縮機7をそれぞれ備えた場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、複数の圧縮機をそれぞれ備えてもよい。そして、熱源ユニット2a,2bの冷媒流量が同等となるように、運転台数を可変制御したり、そのうちの1台の圧縮機の回転数をインバータを介し可変制御したりしてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0052】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、2台の室内ユニット1a,1b、2台の熱源ユニット2a,2b、及び2台の蓄熱ユニット3a,3bを備えた構成に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、室内ユニットは1台又は3台以上備えてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0053】
また、例えば、熱源ユニットと蓄熱ユニットは同じ台数備えていればよく、3台以上備えてもよい。その場合には、同じ数だけの蓄熱ガス配管を設ければよい。すなわち、複数台の蓄熱ユニットのそれぞれの1台と複数台の熱源ユニットのそれぞれの1台が対応するように蓄熱ガス配管を接続すればよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、2台の熱源ユニット2a,2b、および2台の蓄熱ユニット3a,3bの能力が同等の場合を例にとって説明したが、これに限らない。本実施例では、冷媒量を調整するレシーバタンク25を蓄熱ユニット3a,3bに備えているので、蓄熱熱交換器の内容積が異なる蓄熱ユニットを接続する場合であっても、熱源ユニットを変更する必要はない。したがって、接続する蓄熱ユニットを変更することによって、同じ熱源ユニットを用いて、蓄熱容量の異なるシステムを構築することができる。同様に能力の異なる熱源ユニットを接続することも可能であり、これにより、熱源ユニットの能力の組合せに応じて様々な能力のシステムを容易に構築することができる。また蓄熱性能や組合せる蓄熱ユニットに応じた熱源ユニットの専用設計が不要となるので、制御ソフトを変更することで、蓄熱機能を持たない熱源ユニットとの共用化を図ることも容易である。これにより、既設の非蓄熱システムを蓄熱システムへ拡張することが容易になるというメリットが生じる。
【0055】
本発明の第2の実施形態を、図8及び図9により説明する。なお、本実施形態において、上記第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0056】
図8は、本実施形態における蓄熱ユニットの構成を表す図である。図9は、本実施形態におけるコントローラを関連機器とともに表す図である。
【0057】
本実施形態では、蓄熱ユニット3a,3bの分岐配管23c(すなわち、蓄熱運転時に蓄熱熱交換器22の下流側となる位置)には温度センサ(温度検出器)29が設けられている。そして、蓄熱ユニット3a,3bの温度センサ29で検出された冷媒温度がコントローラ4に出力されるようになっている。
【0058】
コントローラ4は、蓄熱運転時に、蓄熱ユニット3aの温度センサ29の検出温度と蓄熱ユニット3bの温度センサ29の検出温度が同じとなるように、蓄熱膨張弁26の開度を補正する。詳細には、例えば蓄熱ユニット3aの温度センサ29の検出温度と蓄熱ユニット3bの温度センサ29の検出温度との差分を演算し、検出温度が高いほうの蓄熱ユニットの蓄熱膨張弁26の開度をその差分に応じて大きくする。これにより、蓄熱ユニット3a,3bにおける蓄熱熱交換器22の下流側の冷媒流量を同じにすることができる。
【0059】
詳しく説明すると、熱源ユニット2a,2bにおける圧縮機7の上流側は室外側分岐ガス配管32a,32bを介し互いに連通しており、熱源ユニット2a,2bにおける圧縮機7の上流側の冷媒圧力、すなわち蓄熱ユニット3a,3bにおける蓄熱熱交換器22の下流側の冷媒圧力はほぼ同じである。そして、蓄熱ユニット3a,3bの仕様が同じであることから、蓄熱ユニット3a,3bにおける蓄熱熱交換器22の下流側の冷媒温度が同じとなるように蓄熱膨張弁26の開度を補正すれば、蓄熱ユニット3a,3b間の冷媒の流量比が同じとなるように調整することができる。その結果、熱源ユニット2a,2b間の冷媒の流量比が同じとなる。また、熱源ユニット2a,2bのうちの一方における冷媒の流量が少なくなって蓄熱熱交換器22の出口側で過熱ガス化するのを防止できるといった効果も得られる。
【0060】
したがって、本実施形態においては、上記第1の実施形態と比べ、さらに熱源ユニットの冷媒不足を回避することができ、信頼性を向上させることができる。
【0061】
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、熱源ユニット2a,2bは同じ仕様とし、蓄熱ユニット3a,3bは同じ仕様とした場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば、一方の熱源ユニット2aの圧縮機7等を比較的大容量とし、他方の熱源ユニット2bの圧縮機7等を比較的小容量としつつ、それらの容量比に対応するように、一方の蓄熱ユニット3bの蓄熱熱交換器22等を比較的大容量とし、他方の蓄熱ユニット3aの蓄熱熱交換器22等を比較的小容量としてもよい。このような場合であっても、蓄熱熱交換器22の出口側の冷媒温度が等しくなるように蓄熱膨張弁26の開度を制御することによって、蓄熱熱交換器22の熱交換性能に応じた冷媒の流量比とすることができる。その場合には、一方の熱源ユニット2a及び蓄熱ユニット3aには冷媒が大流量となり、他方の熱源ユニット2b及び蓄熱ユニット3bには冷媒が小流量となるものの、熱源ユニット2aの圧縮機及び熱源ユニット2bの圧縮機にはそれぞれの容量に見合った流量の冷媒が供給される。したがって、このような変形例においても、上記第1及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、上記第1又は第2の実施形態においては、前述の図5又は図9で示すように、圧縮機7,室外送風機9、及び電磁弁6,13a,13b,10,18,24a〜24e,蓄熱膨張弁26を制御するコントローラ4(制御手段)は、室内ユニット1a,1b、熱源ユニット2a,2b、及び蓄熱ユニット3a,3bとは別体に設けた場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば、各室内ユニット1a,1bに電磁弁6を制御する第1の制御部をそれぞれ設け、熱源ユニット2a,2bに圧縮機7,室外送風機9、及び電磁弁13a,13b,10,18を制御する第2の制御部をそれぞれ設け、蓄熱ユニット3a,3bに電磁弁24a〜24e,蓄熱膨張弁26を制御する第3の制御部をそれぞれ設け、第1〜第3の制御部が連携して制御するように構成してもよい。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0063】
本発明の第3の実施形態を図10により説明する。本実施形態は、蓄熱運転時に駆動する圧縮機等を、複数台の熱源ユニットのうちのいずれか1台の熱源ユニットのものに選択的に切換える実施形態である。なお、上記第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0064】
図10は、本実施形態における蓄熱式空気調和装置の全体構成を表すブロック図である。
【0065】
本実施形態では、熱源ユニット2a,2bと蓄熱ユニット3a,3bは蓄熱ガス配管51a〜51cを介し互いに並列接続されている。別の言い方をすれば、蓄熱ガス配管51a〜51cは、蓄熱ユニット3aに対して熱源ユニット2a,2bが対応するように、蓄熱ユニット3bに対して熱源ユニット2a,2bが対応するように接続されている。
【0066】
そして、コントローラ4は、蓄熱運転時に、熱源ユニット2a,2bのうちのいずれか1台の熱源ユニットにおける圧縮機7及び室外送風機9を駆動させ、他の熱源ユニットにおける圧縮機7及び室外送風機9を停止させる。詳しく説明すると、蓄熱運転は、一般的に、夜間に長時間かけて行うものであり、昼間の負荷の高い冷房運転と比べて必要な圧縮機容量も十分小さい。そのため、1台の熱源ユニットの稼働により2台分の蓄熱ユニットの蓄熱量を確保することは比較的容易である。
【0067】
第一の実施例では、蓄熱ユニット3a,3bと熱源ユニット2a,2bを離して設置すると、室外側分岐ガス配管32a,32bが長くなり、施工スペースの増大や施工性が悪くなり易いという課題があったが、本実施例では、室外側分岐ガス配管32a,32bを短くできる。代わりに共通ガス配管30は長くなるが、配管本数が減少するため、施工スペースを低減できるだけでなく、施工性も向上させることができる。
【0068】
また、第一の実施例では、特に蓄熱ユニット3a,3bの容量が異なる場合など、各熱源ユニット2a,2bがどちらの蓄熱ユニット3a,3bに接続されているのか、コントローラ4に認識させる必要があるので、実際の配管系統と設定値が異なっていると、正しく動作しない可能性があった。しかし、本実施例では各熱源ユニット2a,2bと蓄熱ユニット3aと3bの接続対応関係をコントローラ4へ認識させる必要がないというメリットが得られる。したがって、認識させるための施工を削減できるだけでなく、例えば、接続対応関係の設定ミスによる施工不良等が発生することを避けられるので、信頼性が向上する。
【0069】
また、コントローラ4は、蓄熱運転時に駆動する圧縮機7等を、積算運転時間(及び過去の運転回数等の情報)に基づいて、熱源ユニット2a又は2bのものに選択的に切換える。これにより、熱源ユニット2a,2bの積算運転時間の均一化を図るようになっている。また、熱源ユニット2a,2bのうちの一方の熱源ユニットが故障した場合に、他方の熱源ユニットを稼働するように切換え、運転を継続させるようになっている。
【0070】
以上のように構成された本実施形態においては、例えば蓄熱運転時に熱源ユニット2aの圧縮機7等を駆動させ、熱源ユニット2bの圧縮機7等を停止させた場合、蓄熱ユニット3aの蓄熱熱交換器22から流出する気液二相状態の冷媒と蓄熱ユニット3bの蓄熱熱交換器22から流出する気液二相状態の冷媒は、蓄熱ガス配管51cを介し共通ガス配管30に合流するものの、稼働中の熱源ユニット2aの圧縮機7の吸込側のみに戻される。これにより、蓄熱運転時に熱源ユニット2a,2bへ気液二相状態の冷媒を分配しないので、気液二相状態の冷媒の分配によって生じやすい熱源ユニットの冷媒不足を回避することができる。したがって、例えば圧縮機7内の潤滑不良等の不具合を回避することができ、信頼性を向上させることができる。
【0071】
なお、上記第3の実施形態においては、特に説明しなかったが、例えば、熱源ユニット2aの圧縮機7等と熱源ユニット2bの圧縮機7等は同じ容量であってもよい。また、例えば、一方の熱源ユニット2aの圧縮機7等を比較的大容量としつつ、他方の熱源ユニット2bの圧縮機7等を比較的小容量としてもよい。その場合には、コントローラ4は、蓄熱運転を短時間で行いたいときや外気温度が高く所定の蓄熱量が確保しにくいとき等の条件に応じて、蓄熱運転時に稼働する熱源ユニットを選択してもよい。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0072】
また、上記第3の実施形態においては、2台の蓄熱ユニットを接続した場合の例に示したが、これに限らない。すなわち、図11に示すように、蓄熱ユニットを1台としても良い。このような変形例においても、蓄熱運転時に駆動する圧縮機7等を、複数の熱源ユニット間で切換えることにより、蓄熱熱交換器22から流出する気液二相状態の冷媒を複数の熱源ユニット2a,2bへ分配する必要がなくなるので、各熱源ユニットでの冷媒不足を回避することができ、信頼性を向上させることができる。
【0073】
なお、上記第3の実施形態及び変形例においては、上記第2の実施形態と同様、蓄熱ユニット3a,3bの分岐配管23cに温度センサ29を設け、コントローラ4が蓄熱運転時に蓄熱ユニット3aの温度センサ29の検出温度と蓄熱ユニット3bの温度センサ29の検出温度が同じとなるように蓄熱膨張弁26の開度を補正してもよい。この場合には、蓄熱熱交換器22の出口側での過熱ガス化を防止できる。
【0074】
また、上記第3の実施形態及び変形例においては、2台の室内ユニット1a,1b、2台の熱源ユニット2a,2b、及び1台もしくは2台の蓄熱ユニット3a,3bを備えた構成に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば、室内ユニットは1台又は3台以上備えてもよい。また、例えば、熱源ユニットは3台以上備えてもよい。また、例えば、蓄熱ユニットは1台もしくは3台以上備えてもよい。それらの場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0075】
1a,1b 室内ユニット
2a,2b 熱源ユニット
3a,3b 蓄熱ユニット
4 コントローラ(制御手段)
5 室内熱交換器
6 室内膨張弁(電磁弁)
7 圧縮機
8 室外熱交換器
10 室外膨張弁(電磁弁)
11 吸込側ガス配管
12 吐出側ガス配管
13 四方弁(切換弁,電磁弁)
14 ガス配管
20 液配管
22 蓄熱熱交換器
24a 開閉弁(第1の電磁弁)
24b 開閉弁(第2の電磁弁)
24c 開閉弁(第3の電磁弁)
24d 開閉弁(電磁弁)
25 レシーバタンク
26 蓄熱膨張弁
28 冷媒戻し配管
29 温度センサ(温度検出器)
30 共通ガス配管
31a,31b 室内側分岐ガス配管
32a,32b 室外側分岐ガス配管
40a,40b 共通液配管
41a,41b 室内側分岐液配管
42a〜42d 蓄熱液配管
43a,43b 室外側分岐液配管
50a,50b 蓄熱ガス配管(第1の蓄熱ガス配管)
51a〜51c 蓄熱ガス配管(第2の蓄熱ガス配管)
52a,52b 蓄熱ガス配管(第3の蓄熱ガス配管)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を室内空気と熱交換させる室内熱交換器を備えた少なくとも1台の室内ユニットと、
前記室内ユニットと共に1つの冷凍サイクルを構成するように前記室内ユニットに対してガス配管及び液配管を介し並列接続され、冷媒を圧縮する圧縮機及び冷媒を室外空気と熱交換させる室外熱交換器を備えた複数台の熱源ユニットと、
前記室内ユニットと前記熱源ユニットとの間に接続され、冷媒を蓄熱媒体と熱交換させる蓄熱熱交換器を備えた複数台の蓄熱ユニットと、
前記圧縮機を制御するとともに、冷媒を前記室外熱交換器、前記蓄熱熱交換器、及び前記室内熱交換器のうちのいずれかに選択的に流通させるために複数の電磁弁を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記圧縮機及び前記複数の電磁弁を制御して、少なくとも、前記室外熱交換器を凝縮器、前記蓄熱熱交換器を蒸発器として作動させる蓄熱運転や、前記室外熱交換器を凝縮器、前記蓄熱熱交換器を過冷却器、前記室内熱交換器を蒸発器として作動させる蓄熱利用冷房運転に切換える蓄熱式空気調和装置において、
前記複数台の熱源ユニットと前記複数台の蓄熱ユニットを同数とし、
前記複数台の熱源ユニットを、前記各熱源ユニットに対応する分岐ガス配管を介して前記ガス配管に並列接続させ、
蓄熱運転時に前記蓄熱ユニットから流出する気液二相状態の冷媒を、前記蓄熱ユニット毎に異なる前記分岐ガス配管へ導出する蓄熱ガス配管を備えた
ことを特徴とする蓄熱式空気調和装置。
【請求項2】
冷媒を室内空気と熱交換させる室内熱交換器を備えた少なくとも1台の室内ユニットと、
前記室内ユニットと共に1つの冷凍サイクルを構成するように前記室内ユニットに対してガス配管及び液配管を介し並列接続され、冷媒を圧縮する圧縮機及び冷媒を室外空気と熱交換させる室外熱交換器を備えた複数台の熱源ユニットと、
前記室内ユニットと前記熱源ユニットとの間に接続され、冷媒を蓄熱媒体と熱交換させる蓄熱熱交換器を備えた複数台又は1台の蓄熱ユニットと、
前記圧縮機を制御するとともに、冷媒を前記室外熱交換器、前記蓄熱熱交換器、及び前記室内熱交換器のうちのいずれかに選択的に流通させるために複数の電磁弁を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記圧縮機及び前記複数の電磁弁を制御して、少なくとも、前記室外熱交換器を凝縮器、前記蓄熱熱交換器を蒸発器として作動させる蓄熱運転や、前記室外熱交換器を凝縮器、前記蓄熱熱交換器を過冷却器、前記室内熱交換器を蒸発器として作動させる蓄熱利用冷房運転に切換える蓄熱式空気調和装置において、
蓄熱運転時に前記蓄熱熱交換器から流出する気液二相状態の冷媒を、前記ガス配管へ導出する蓄熱ガス配管を備えるとともに、
前記制御手段は、蓄熱運転時に駆動する前記圧縮機を、前記複数台の熱源ユニットのうちのいずれか1台の前記熱源ユニットのものに選択的に切換えることを特徴とする蓄熱式空気調和装置。
【請求項3】
請求項1,2記載の蓄熱式空気調和装置において、
前記複数台の蓄熱ユニットは、
蓄熱運転時に前記蓄熱熱交換器の上流側となる位置に設けられ、蓄熱運転時に冷媒を減圧する膨張弁と、
蓄熱運転時に前記蓄熱熱交換器の下流側となる位置に設けられた温度検出器とを備え、
前記制御手段は、
蓄熱運転時に、全ての前記蓄熱ユニットの前記温度検出器で検出された冷媒温度が同じとなるように、前記膨張弁の開度を補正することを特徴とする蓄熱式空気調和装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか1項記載の蓄熱式空気調和装置において、
前記蓄熱ユニットは、
蓄熱運転時に前記蓄熱熱交換器の上流側となる位置に設けられ、蓄熱運転時に冷媒を減圧する膨張弁と、
蓄熱運転時に前記膨張弁の上流側となる位置に設けられたレシーバタンクと、
前記熱源ユニット及び前記室内ユニットからの液配管と前記レシーバタンクとの間を連通・遮断する第1の電磁弁と、
前記蓄熱熱交換器と前記蓄熱ガス配管との間を連通・遮断する第2の電磁弁と、
前記レシーバタンクと前記蓄熱ガス配管との間で接続された冷媒戻し配管と、
前記冷媒戻し配管を連通・遮断させる第3の電磁弁とを備え、
前記運転制御手段は、
蓄熱運転時に、前記第1及び第2の電磁弁を開状態、前記第3の電磁弁を閉状態、前記膨張弁を絞り状態に制御する一方、蓄熱運転以外の他の運転時に、前記第1及び第2の電磁弁を閉状態、前記第3の電磁弁を開状態、前記膨張弁を全閉状態に制御することを特徴とする蓄熱式空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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