蓄熱装置
【課題】蓄熱材と伝熱部材との間の伝熱性能を向上させつつ、蓄熱材を容易に交換することができる蓄熱装置を提案する。
【解決手段】金属酸化物を有して構成されており、金属酸化物および水を反応させて水和物を生成する際に生じる反応熱によって排気を加熱し、水和物を金属酸化物および水に分離させることによって排気の有する熱を蓄熱する蓄熱材2と、蓄熱材2と排気との間で熱の授受を行う伝熱部材10と、蓄熱材2を伝熱部材10に向けて押圧し、蓄熱材2と伝熱部材10との界面における熱抵抗を低減させる押圧部材6とを備える。
【解決手段】金属酸化物を有して構成されており、金属酸化物および水を反応させて水和物を生成する際に生じる反応熱によって排気を加熱し、水和物を金属酸化物および水に分離させることによって排気の有する熱を蓄熱する蓄熱材2と、蓄熱材2と排気との間で熱の授受を行う伝熱部材10と、蓄熱材2を伝熱部材10に向けて押圧し、蓄熱材2と伝熱部材10との界面における熱抵抗を低減させる押圧部材6とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆の化学反応を利用し、吸熱反応によりその反応系外にて発生する熱(以下、外部熱ともいう)を蓄熱するとともに、発熱反応により熱交換対象物を加熱する蓄熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属酸化物と水との化学反応に伴う水和熱を発生させる蓄熱装置が知られている。このような蓄熱装置としては、例えば車両エンジンの排気が流通する排気管の外周に蓄熱材を設けたものがあるが、排気の温度上昇に伴い、蓄熱材も高温になることが予想される。蓄熱材は高温となることにより劣化し、性能が低下するおそれがあるため、劣化した蓄熱材のみを交換するという要求がある。劣化した蓄熱材のみを交換することができれば、蓄熱装置の性能低下を防止できることはもちろん、長期に使用できるようになるので、経済的な面でも有利である。
【0003】
これに対し、複数の蓄熱材ブロック片の集合から蓄熱体を構成することにより、蓄熱材を部分的に交換可能とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−211370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、蓄熱材ブロック片を伝熱面に固定する接着剤として水ガラスを用いているため、蓄熱材と伝熱面との間の熱抵抗が大きくなり、伝熱性能が低下するという問題がある。さらに、水ガラスの扱いが煩雑になり、蓄熱材を容易に交換することができないという問題もある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、蓄熱材と伝熱部材との間の伝熱性能を向上させつつ、蓄熱材を容易に交換することができる蓄熱装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1反応物を有して構成されており、第1反応物および第2反応物を反応させて化合物を生成する際に生じる反応熱によって熱交換対象物を加熱し、化合物を第1反応物および第2反応物に分離させることによって反応の系外にて発生する熱である外部熱を蓄熱する蓄熱材(2)と、蓄熱材(2)と熱交換対象物との間で熱の授受を行う伝熱部材(10)と、蓄熱材(2)を伝熱部材(10)に向けて押圧し、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)との界面における熱抵抗を低減させる押圧部材(6)とを備えることを特徴としている。
【0008】
これによれば、蓄熱材(2)は押圧部材(6)の押圧力により伝熱部材(10)に固定されているので、蓄熱材(2)をネジや接着剤等により伝熱部材(10)に固定する従来の蓄熱装置と比較して、蓄熱材(2)を容易に交換することが可能となる。また、押圧部材(6)によって蓄熱材(2)が伝熱部材(10)に向けて押圧されることにより、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)との界面における熱抵抗を低減させることができるので、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)との間の伝熱性能を向上させることが可能となる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、押圧部材(6)は、伝熱部材(10)と熱的に接触していることを特徴としている。
【0010】
これによれば、蓄熱材(2)の反応熱によって熱交換対象物を加熱する際に、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)とが押圧部材(6)を介しても熱交換を行うことができるようになるので、熱交換対象物への反応熱の伝達を促進することが可能となる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、伝熱部材(10)には、伝熱部材(10)の表面の温度が予め定めた基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合に、押圧部材(6)から蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させる押圧力低減部材(7)が設けられており、押圧力低減部材(7)は、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)より低い場合には、押圧力低減部材(7)の伝熱部材(10)の表面からの高さが、蓄熱材(2)および押圧部材(6)の伝熱部材(10)の表面における押圧力低減部材(7)が配置されている部分(10a)からの高さより低くなるとともに、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合には、押圧力低減部材(7)の伝熱部材(10)の表面からの高さが、蓄熱材(2)および押圧部材(6)の伝熱部材(10)の表面における押圧力低減部材(7)が配置されている部分(10a)からの高さより高くなるように構成されていることを特徴としている。
【0012】
このように、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合に、押圧部材(6)から蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させることで、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)との間の熱抵抗を増大させることができる。これにより、蓄熱材(2)が過度に高温になることを防止し、蓄熱材(2)の劣化を抑制することが可能となる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明では、押圧力低減部材(7)は、伝熱部材(10)と熱的に接触していることを特徴としている。
【0014】
これによれば、蓄熱材(2)の反応熱によって熱交換対象物を加熱する際に、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)とが押圧力低減部材(7)を介しても熱交換を行うことができるようになるので、熱交換対象物への反応熱の伝達を促進することが可能となる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、押圧力低減部材(7)は、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)より低い場合には、押圧力低減部材(7)と蓄熱材(2)とが非接触となり、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合には、押圧力低減部材(7)と前記蓄熱材(2)とが接触するような部位に配置されていることを特徴としている。
【0016】
これによれば、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)より低い場合には、押圧力低減部材(7)と蓄熱材(2)とが非接触となるので、化学反応や温度変化に伴い蓄熱材(2)の体積が変化をしたときでも、蓄熱材(2)が動くスペースを確保することができる。このため、蓄熱材(2)が破損することを防止できる。また、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合、すなわち押圧力低減部材(7)により押圧部材(6)が伝熱部材(10)から離れる方向に押し上げられる場合には、押圧力低減部材(7)と蓄熱材(2)とが接触するので、蓄熱材(2)が伝熱部材(10)の表面に平行な方向にずれることを抑制できる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明では、押圧部材(6)における蓄熱材(2)と接触している面と反対側の面には、押圧部材(6)と線膨張係数の異なる材質からなる異線膨張係数部材(8)が設けられており、異線膨張係数部材(8)は、押圧部材(6)および異線膨張係数部材(8)の温度が予め定めた基準部材温度(Tb)より低い場合には、異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が押圧部材(6)の線膨張係数より大きくなるとともに、押圧部材(6)および異線膨張係数部材(8)の温度が基準部材温度(Tb)以上になった場合には、異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が押圧部材(6)の線膨張係数より小さくなることで、押圧部材(6)から蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させるように構成されていることを特徴としている。
【0018】
このように、押圧部材(6)および異線膨張係数部材(8)の温度が基準部材温度(Tb)以上になった場合に、押圧部材(6)から蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させることで、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)との間の熱抵抗を増大させることができる。これにより、蓄熱材(2)が過度に高温になることを防止し、蓄熱材(2)の劣化を抑制することが可能となる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明では、押圧部材(6)と蓄熱材(2)との間には、押圧部材(6)と線膨張係数の異なる材質からなる異線膨張係数部材(8)が設けられており、異線膨張係数部材(8)は、押圧部材(6)および異線膨張係数部材(8)の温度が予め定めた基準部材温度(Tb)より低い場合には、異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が押圧部材(6)の線膨張係数より小さくなるとともに、押圧部材(6)および異線膨張係数部材(8)の温度が基準部材温度(Tb)以上になった場合には、異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が押圧部材(6)の線膨張係数より大きくなることで、押圧部材(6)から蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させるように構成されていることを特徴としている。
【0020】
このように、押圧部材(6)および異線膨張係数部材(8)の温度が基準部材温度(Tb)以上になった場合に、押圧部材(6)から蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させることで、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)との間の熱抵抗を増大させることができる。これにより、蓄熱材(2)が過度に高温になることを防止し、蓄熱材(2)の劣化を抑制することが可能となる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明では、蓄熱材(2)における伝熱部材(10)と反対側の端部には、伝熱部材(10)から離れる方向に向かって凸となるように円弧状に湾曲した蓄熱側湾曲部(20)が形成されており、押圧部材(6)には、蓄熱側湾曲部(20)に沿って円弧状に湾曲した押圧側湾曲部(63)が形成されていることを特徴としている。
【0022】
これによれば、化学反応や温度変化に伴い蓄熱材(2)が膨張した際に押圧部材(6)に加えられる応力を緩和することができるので、押圧部材(6)の破損を防止することが可能となる。
【0023】
また、請求項9に記載の発明では、押圧部材(6)は、押圧部材(6)と伝熱部材(10)との成す角度が0°より大きく、90°より小さくなるように、伝熱部材(10)の表面に平行な方向に対して傾斜配置されており、蓄熱材(2)は、押圧部材(6)の傾斜に沿って傾斜した傾斜面を有して構成されていることを特徴としている。
【0024】
これによれば、押圧部材(6)と伝熱部材(10)との接触部に近くなる程、蓄熱材(2)の表面積、すなわち第2反応物と接触する面積を小さくすることができる。このため、第2反応物が到達しないために化合物を生成する反応が生じない部分に存在する蓄熱材(2)の量を低減することができる。その結果、蓄熱材(2)の軽量化を図り、さらに蓄熱材(2)の製造コストを低減することが可能となる。
【0025】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る蓄熱装置を示す概略断面図である。
【図2】第1実施形態の蓄熱装置の作動を説明するためのタイムチャートである。
【図3】第1実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図4】第1実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す拡大斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る蓄熱装置の、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図6】第2実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図7】第2実施形態に係る蓄熱装置の、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図8】第3実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図9】第4実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図10】第5実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図11】第5実施形態における押圧部材6および板状部材8の線膨張係数と温度との関係を示す特性図である。
【図12】第5実施形態に係る蓄熱装置の、押圧部材6および板状部材8の温度が基準部材温度Tb以上となった場合の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図13】第6実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0028】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。本実施形態の蓄熱装置は、車両のエンジン(内燃機関)の排気系から排気の有する熱を蓄熱して、その熱を暖機促進に利用するものである。
【0029】
図1は、本第1実施形態に係る蓄熱装置を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施形態の蓄熱装置では、エンジン(図示せず)の排気が流通する排気管1の外周面に、金属酸化物を有して構成され、第1反応物としての金属酸化物および第2反応物としての水を反応させて水和物(化合物)を生成する際に生じる水和熱によって熱交換対象物を加熱し、水和物を金属酸化物および水に分離させることによって外部熱を蓄熱する蓄熱材2が固定されている。なお、本実施形態では、金属酸化物として酸化カルシウムを用いており、熱交換対象物は排気であり、外部熱はエンジンの排気が有する熱である。
【0030】
ここで、排気管1は、金属製の板材(以下、伝熱部材10という)により構成されており、蓄熱材2と熱交換対象物との間で熱の授受を行うようになっている。本実施形態では、伝熱部材10は、銅合金から構成されている。
【0031】
蓄熱材2が外周面に固定された排気管1の外側には、水(水蒸気)が流通する水配管3が配置されている。すなわち、排気管1および水配管3は、水配管3の内側に排気管1を配置する、いわゆる二重管構造となっている。
【0032】
水配管3には、図示しない水タンクから水が供給されるようになっている。水配管3と水タンクとの間には、水配管3と水タンクとを繋ぐ接続経路4が設けられている。接続経路4には、接続経路4を開閉し、水配管3に供給される水量を調整するための水バルブ5が設けられている。
【0033】
図2は、本第1実施形態の蓄熱装置の作動を説明するためのタイムチャートである。
【0034】
まず、排気を加熱する加熱モードについて説明する。図2に示すように、エンジンの始動時に水バルブ5を開き、蓄熱材2に水(水蒸気)が供給されると、以下の化1に示すように、蓄熱材2である酸化カルシウム(CaO)と水とが水和反応して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が生成される。
【0035】
(化1)
CaO+H2O→Ca(OH)2
この水和反応は放熱反応であり、反応の際に発生する水和熱によって排気が加熱され、排気温度が上昇する。これにより、蓄熱材2を設けない場合と比較して、エンジン始動時において排気浄化用触媒(図示せず)を早期に活性化することができる。
【0036】
続いて、排気が有する熱を蓄熱する蓄熱モードについて説明する。排気温度が蓄熱材2の再生温度に達すると、以下の化2に示すように、蓄熱材2の水酸化カルシウムが酸化カルシウムと水とに分離(脱水)する。
【0037】
(化2)
Ca(OH)2→CaO+H2O
この脱水反応は吸熱反応であり、排気が有する熱が蓄熱材2に蓄熱される。そして、脱水反応が完了した後、水バルブ5を閉じる。
【0038】
図3は本第1実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図で、図4は本第1実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す拡大斜視図である。図3および図4に示すように、蓄熱材2は、直角三角形の断面を有する三角柱状に形成されている。蓄熱材2は、その直角三角形の断面における斜辺を除く辺のうちの1つに該当する平面が、伝熱部材10と接触するように、伝熱部材10の表面上に配置されている。
【0039】
伝熱部材10には、蓄熱材2を伝熱部材10の表面に押し当て、すなわち伝熱部材10に向けて押圧し、蓄熱材2と伝熱部材10との界面における熱抵抗を低減させる押圧部材6が設けられている。すなわち、蓄熱材2は、押圧部材6の押圧力により伝熱部材10に固定されている。この押圧部材6は、伝熱部材10と熱的に接触している。
【0040】
本実施形態では、押圧部材6はステンレス製であり、平板状に形成されている。また、押圧部材6は、蓄熱材2の直角三角形の断面における斜辺に該当する平面(以下、斜面という)と接触するように配置されており、蓄熱材2を斜面側から伝熱部材10に向けて押圧している。換言すると、押圧部材6は、押圧部材6と伝熱部材10との成す角度が0°より大きく、90°より小さくなるように、伝熱部材10の表面に平行な方向に対して傾斜配置されており、蓄熱材2は、押圧部材6の傾斜に沿って傾斜した傾斜面を有して構成されている。
【0041】
伝熱部材10には、伝熱部材10の表面温度が予め定めた基準伝熱部材温度Ta以上になった場合に、押圧部材6から蓄熱材2に作用する押圧力を低減させる押圧力低減部材としてのストッパ7が設けられている。ここで、基準伝熱部材温度Taは、蓄熱材2が劣化し始める温度(以下、劣化温度という)と略同一の温度に設定されている。本実施形態では、蓄熱材2として酸化カルシウムを用いていており、その劣化温度が1300℃であるので、基準伝熱部材温度Taは1300℃に設定されている。
【0042】
本実施形態では、ストッパ7は、蓄熱材2の直角三角形の断面における斜辺および伝熱部材10と接触している辺を除く辺に該当する面と接触するように配置されている。これにより、蓄熱材2が伝熱部材10の表面に平行な方向にずれることを抑制できる。
【0043】
ここで、伝熱部材10の表面うちストッパ7が配置されている部分を、ストッパ配置面10aという。ストッパ7は、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Taより低い場合には、ストッパ7のストッパ配置面10aからの高さが、蓄熱材2および押圧部材6のストッパ配置面10aからの高さより低くなり、かつ、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合に、ストッパ7のストッパ配置面10aからの高さが、蓄熱材2上に配置された押圧部材6のストッパ配置面10aからの高さより高くなるように構成されている。
【0044】
すなわち、押圧部材6の線膨張係数をα1、ストッパ7の線膨張係数をα2、吸水時の蓄熱材2の膨張率をαh、常温(本実施形態では25℃)時における蓄熱材2上に配置された押圧部材6のストッパ配置面10aからの高さをL1、常温時におけるストッパ7のストッパ配置面10aからの高さをL2、常温と劣化温度との温度差、すなわち常温と基準伝熱部材温度Taとの温度差をΔTとしたとき、次の数式1、2に示される関係を満たすように、ストッパ7の高さL2が設定されている。
【0045】
(数1)
L2(1+α2)ΔT≧L1(1+α1)ΔT
(数2)
L2(1+α2)ΔT≧L1(1+αh)
本実施形態では、ストッパ7は、銅合金製であり、四角柱状に形成されている。また、ストッパ7は、蓄熱材2と熱的に接触している。
【0046】
続いて、本第1実施形態に係る蓄熱装置の作動について説明する。図5は、本第1実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図であり、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合を示している。
【0047】
伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合、図5に示すように、ストッパ7のストッパ配置面10aからの高さが、蓄熱材2上に配置された押圧部材6のストッパ配置面10aからの高さより高くなる。このため、ストッパ7により押圧部材6が伝熱部材10と反対側(図5の紙面上方側)に向かって押し上げられる。これにより、押圧部材6から蓄熱材2に作用する押圧力が低減するので、蓄熱材2と伝熱部材10との間の熱抵抗を増大させることができる。したがって、蓄熱材2が過度に高温になることを防止し、蓄熱材2の劣化を抑制することができる。
【0048】
以上説明したように、蓄熱材2は押圧部材6の押圧力により伝熱部材10に固定されているので、交換したい蓄熱材2に対応する押圧部材6を押圧力の作用方向と逆の方向に引っ張ることにより、交換したい蓄熱材2だけを容易に交換することができる。このため、蓄熱材2をネジや接着剤等により伝熱部材10に固定する従来の蓄熱装置と比較して、蓄熱材2を容易に交換することが可能となる。また、押圧部材6によって蓄熱材2が伝熱部材10に向けて押圧されることにより、蓄熱材2と伝熱部材10との界面における熱抵抗が低減するので、蓄熱材2と伝熱部材10との間の伝熱性能を向上させることが可能となる。
【0049】
また、押圧部材6を、伝熱部材10の表面に平行な方向に対して傾斜配置するとともに、蓄熱材2を、押圧部材6の傾斜に沿って傾斜した傾斜面を有して構成することにより、押圧部材6と伝熱部材10との接触部に近くなる程、蓄熱材2の表面積、すなわち水蒸気と接触する面積を小さくすることができる。このため、水蒸気が到達しない、すなわち水和反応が行われない部分に存在する蓄熱材2の量を低減することができる。その結果、蓄熱材2の軽量化を図り、さらに蓄熱材2の製造コストを低減することが可能となる。
【0050】
また、ストッパ7を、蓄熱材2の直角三角形の断面における斜辺および伝熱部材10と接触している辺を除く辺に該当する面と接触する部位に配置することで、蓄熱材2の水和反応、吸水反応および温度変化により生じる体積変化の際の動きを抑制することが可能となる。
【0051】
また、ストッパ7を蓄熱材2と熱的に接触させることで、蓄熱材2の水和反応時、すなわち放熱時に、ストッパ7を介して熱交換を行うこともできるようになる。このため、排気への水和熱の伝達を促進することが可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6および図7に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、蓄熱材2および押圧部材6の形状が異なるものである。
【0053】
図6は、本第2実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。図6に示すように、本実施形態の蓄熱材2は、長方形の断面を有する四角柱状に形成されている。また、押圧部材6は、断面略L字状に形成されている。
【0054】
より詳細には、押圧部材6は、伝熱部材10の表面から当該表面の法線方向と平行に延びる第1押圧部61と、第1押圧部61の伝熱部材10とは反対側の端部から伝熱部材10の表面と平行な方向に延びる第2押圧部62とを有して構成されている。第1押圧部61と第2押圧部62とは、一体に形成されている。また、第2押圧部62は、蓄熱材2における伝熱部材10との接触面と反対側の面に接触している。そして、蓄熱材2は、押圧部材6の第2押圧部62により、伝熱部材10との接触面と反対側の面から押圧されている。
【0055】
図7は、本第2実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図であり、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合を示している。
【0056】
図7に示すように、ストッパ7は、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合に、伝熱部材10のストッパ配置面10aからの高さが、蓄熱材2上に配置された押圧部材6の第2押圧部62における伝熱部材10のストッパ配置面10aからの高さより高くなるように構成されている。これにより、押圧部材6から蓄熱材2に作用する押圧力が低減するので、蓄熱材2と伝熱部材10との間の熱抵抗を増大させることができる。したがって、蓄熱材2が過度に高温になることを防止し、蓄熱材2の劣化を抑制することが可能となる。
【0057】
本実施形態では、蓄熱材2は押圧部材6の第2押圧部62の押圧力により伝熱部材10に固定されているので、交換したい蓄熱材2に対応する押圧部材6の第2押圧部62を押圧力の作用方向と逆の方向に引っ張ることにより、交換したい蓄熱材2だけを容易に交換することができる。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0058】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図8に基づいて説明する。本第3実施形態は、上記第2実施形態と比較して、ストッパ7の設置位置が異なるものである。
【0059】
図8は、本第3実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。図8に示すように、本実施形態のストッパ7は、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta、すなわち蓄熱材2の劣化温度より低い場合には蓄熱材2と接触せず、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合に蓄熱材2と接触するような位置に配置されている。
【0060】
以下、伝熱部材10の表面に平行な方向で、かつ蓄熱材2とストッパ7が並んでいる方向を、ストッパ配置方向(図8の紙面左右方向)という。そして、ストッパ7の線膨張係数をα2、吸水時の蓄熱材2の膨張率をαh、常温における蓄熱材2の配置方向の長さをW1、常温におけるストッパ7の配置方向の長さをW2、常温における蓄熱材2とストッパ7との間の距離をx、常温と劣化温度との温度差、すなわち常温と基準伝熱部材温度Taとの温度差をΔTとしたとき、次の数式3に示される関係を満たすように、常温時の蓄熱材2とストッパ7との間の距離xが設定されている。
【0061】
(数3)
x>W1(1+αh)+W2(1+α2)ΔT
これにより、伝熱部材10の表面の温度が基準伝熱部材温度Taより低い場合には、ストッパ7と蓄熱材2とが非接触となるので、水和反応や脱水反応および温度変化に伴い蓄熱材2の体積が変化をしたときでも、蓄熱材2が動くスペースを確保することができる。このため、蓄熱材2が破損することを防止できる。また、伝熱部材10の表面の温度が基準伝熱部材温度Ta以上になった場合、すなわちストッパ7により押圧部材6が伝熱部材10から離れる方向に押し上げられた場合には、ストッパ7と蓄熱材2とが接触するので、蓄熱材2がストッパ配置方向にずれることを抑制できる。
【0062】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図9に基づいて説明する。本第4実施形態は、上記第2実施形態と比較して、蓄熱材2および押圧部材6の形状が異なるものである。
【0063】
図9は、本第4実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。図9に示すように、本実施形態の蓄熱材2は、ストッパ配置方向および伝熱部材10の表面の法線方向に直交する断面において、伝熱部材10と反対側の端部が、伝熱部材10から離れる方向に向かって凸となるように円弧状に湾曲して形成されている。換言すると、蓄熱材2における伝熱部材10と反対側の端部には、ストッパ配置方向および伝熱部材10の表面の法線方向に直交する断面において、伝熱部材10から離れる方向に向かって凸となるように円弧状に湾曲した蓄熱側湾曲部20が形成されている。
【0064】
押圧部材6の断面L字形状の角部、すなわち押圧部材6における第1押圧部61と第2押圧部62との接続部は、蓄熱材2の蓄熱側湾曲部20に沿って湾曲している。換言すると、押圧部材6の断面L字形状の角部には、蓄熱材2の蓄熱側湾曲部20に沿って円弧状に湾曲した押圧側湾曲部63が形成されている。
【0065】
これによれば、水和反応や温度変化に伴い蓄熱材2が膨張した際に、押圧部材6における第1押圧部61と第2押圧部62との接続部に加えられる応力を緩和することができるので、押圧部材6の破損を防止することが可能となる。
【0066】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図10〜図12に基づいて説明する。本第5実施形態は、上記第2実施形態と比較して、ストッパ7を廃止するとともに、板状部材8を設けた点が異なるものである。
【0067】
図10は、本第5実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。図10に示すように、本実施形態の押圧部材6の第2押圧部62における蓄熱材2と接触する面と反対側の面には、押圧部材6と線膨張係数の異なる材質からなる異線膨張係数部材としての板状部材8が設けられている。板状部材8は、第2押圧部62における蓄熱材2と接触する面と反対側の面と全面に亘って接触するように配設されており、第2押圧部62における蓄熱材2と接触する面と反対側の面に固定されている。
【0068】
図11は、本第5実施形態における押圧部材6および板状部材8の線膨張係数と温度との関係を示す特性図である。押圧部材6および板状部材8としては、図11に示すように、押圧部材6および板状部材8それぞれの温度が、予め定めた基準部材温度Tbより低い場合には、押圧部材6より板状部材8の線膨張係数が大きく、押圧部材6および板状部材8それぞれの温度が基準部材温度Tb以上の高温の場合においては、押圧部材6より板状部材8の線膨張係数が小さくなるようなものを用いている。本実施形態では、押圧部材6として炭素鋼(S35C)を用いており、板状部材8として軟鋼(0.23C−0.6Mn)を用いている。
【0069】
ここで、基準部材温度Tbは、蓄熱材2の再生温度(転換温度)より高く、かつ劣化温度より低い温度に設定されている。本実施形態では、蓄熱材2として酸化カルシウムを用いているので、上述したように、劣化温度は1300℃となる。一方、蓄熱材2の再生温度は圧力によって変化することがわかっている。このため、本実施形態では、蓄熱材2の再生温度として、圧力を1気圧としたときの再生温度である479℃を採用している。このため、基準部材温度Tbは、479℃より高く、1300℃より低い温度に設定されている。
【0070】
続いて、本実施形態の蓄熱装置の作動について説明する。図12は、本第5実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図であり、押圧部材6および板状部材8の温度が基準部材温度Tb以上となった場合を示している。
【0071】
押圧部材6および板状部材8の温度が基準部材温度Tb以上になると、板状部材8の線膨張係数が押圧部材6の線膨張係数より小さくなるので、図12に示すように、押圧部材6の第2押圧部62および板状部材8が蓄熱材2と反対側に反り返るように湾曲する。これにより、押圧部材6から蓄熱材2に作用する押圧力が低減するので、蓄熱材2と伝熱部材10との間の熱抵抗を増大させることができる。したがって、蓄熱材2が過度に高温になることを防止し、蓄熱材2の劣化を抑制することが可能となる。
【0072】
本実施形態では、蓄熱材2は押圧部材6および板状部材8の押圧力により伝熱部材10に固定されているので、交換したい蓄熱材2に対応する押圧部材6および板状部材8を押圧力の作用方向と逆の方向に引っ張ることにより、交換したい蓄熱材2だけを容易に交換することができる。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0073】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図13に基づいて説明する。本第6実施形態は、上記第5実施形態と比較して、板状部材8を設ける位置、および押圧部材6および板状部材8の材質が異なるものである。
【0074】
図13は、本第6実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。図13に示すように、本実施形態の押圧部材6の第2押圧部62と蓄熱材2との間には、押圧部材6と線膨張係数の異なる材質からなる異線膨張係数部材としての板状部材8が設けられている。板状部材8は、第2押圧部62における蓄熱材2側の面と全面に亘って接触するように配設されており、第2押圧部62における蓄熱材2側の面に固定されている。
【0075】
押圧部材6および板状部材8としては、押圧部材6および板状部材8それぞれの温度が基準部材温度Tbより低い場合には、押圧部材6より板状部材8の線膨張係数が小さく、押圧部材6および板状部材8それぞれの温度が基準部材温度Tb以上の高温の場合においては、押圧部材6より板状部材8の線膨張係数が大きくなるようなものを用いている。本実施形態では、押圧部材6として軟鋼(0.23C−0.6Mn)を用いており、板状部材8として炭素鋼(S35C)を用いている。
【0076】
続いて、本実施形態の蓄熱装置の作動について説明する。押圧部材6および板状部材8の温度が基準部材温度Tb以上になると、板状部材8の線膨張係数が押圧部材6の線膨張係数より大きくなるので、板状部材8および押圧部材6の第2押圧部62が蓄熱材2と反対側に反り返るように湾曲する。このため、押圧部材6から蓄熱材2に作用する押圧力が低減するので、蓄熱材2と伝熱部材10との間の熱抵抗を増大させることができる。これにより、上記第5実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0077】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、第1反応物として金属酸化物を用い、第2反応物として水を用い、金属酸化物の水和反応による水和熱を利用して熱交換対象物である排気を加熱した例について説明したが、これに限らず、第1反応物および第2反応物として他の物質を用いてもよい。また、熱交換対象物として、エンジン冷却水、触媒、エンジンオイル、走行用駆動源としてのバッテリ、ATF等を採用してもよい。なお、上記各実施形態では、第1反応物として酸化カルシウムを用いた例について説明したが、これに代えて、例えば酸化マグネシウム等の他の金属酸化物を用いてもよい。
【0078】
また、上記第1、第2、第4実施形態では、蓄熱材2とストッパ7とが接触するように配置されている例について説明したが、これに限らず、蓄熱材2とストッパ7とが接触しない、すなわち非接触となるように配置されていてもよい。
【0079】
また、上記第5、第6実施形態では、ストッパ7を廃止した例について説明したが、ストッパ7を設けてもよい。
【符号の説明】
【0080】
2 蓄熱材
6 押圧部材
7 ストッパ(押圧力低減部材)
8 板状部剤(異線膨張係数部材)
10 伝熱部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆の化学反応を利用し、吸熱反応によりその反応系外にて発生する熱(以下、外部熱ともいう)を蓄熱するとともに、発熱反応により熱交換対象物を加熱する蓄熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属酸化物と水との化学反応に伴う水和熱を発生させる蓄熱装置が知られている。このような蓄熱装置としては、例えば車両エンジンの排気が流通する排気管の外周に蓄熱材を設けたものがあるが、排気の温度上昇に伴い、蓄熱材も高温になることが予想される。蓄熱材は高温となることにより劣化し、性能が低下するおそれがあるため、劣化した蓄熱材のみを交換するという要求がある。劣化した蓄熱材のみを交換することができれば、蓄熱装置の性能低下を防止できることはもちろん、長期に使用できるようになるので、経済的な面でも有利である。
【0003】
これに対し、複数の蓄熱材ブロック片の集合から蓄熱体を構成することにより、蓄熱材を部分的に交換可能とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−211370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、蓄熱材ブロック片を伝熱面に固定する接着剤として水ガラスを用いているため、蓄熱材と伝熱面との間の熱抵抗が大きくなり、伝熱性能が低下するという問題がある。さらに、水ガラスの扱いが煩雑になり、蓄熱材を容易に交換することができないという問題もある。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、蓄熱材と伝熱部材との間の伝熱性能を向上させつつ、蓄熱材を容易に交換することができる蓄熱装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1反応物を有して構成されており、第1反応物および第2反応物を反応させて化合物を生成する際に生じる反応熱によって熱交換対象物を加熱し、化合物を第1反応物および第2反応物に分離させることによって反応の系外にて発生する熱である外部熱を蓄熱する蓄熱材(2)と、蓄熱材(2)と熱交換対象物との間で熱の授受を行う伝熱部材(10)と、蓄熱材(2)を伝熱部材(10)に向けて押圧し、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)との界面における熱抵抗を低減させる押圧部材(6)とを備えることを特徴としている。
【0008】
これによれば、蓄熱材(2)は押圧部材(6)の押圧力により伝熱部材(10)に固定されているので、蓄熱材(2)をネジや接着剤等により伝熱部材(10)に固定する従来の蓄熱装置と比較して、蓄熱材(2)を容易に交換することが可能となる。また、押圧部材(6)によって蓄熱材(2)が伝熱部材(10)に向けて押圧されることにより、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)との界面における熱抵抗を低減させることができるので、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)との間の伝熱性能を向上させることが可能となる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、押圧部材(6)は、伝熱部材(10)と熱的に接触していることを特徴としている。
【0010】
これによれば、蓄熱材(2)の反応熱によって熱交換対象物を加熱する際に、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)とが押圧部材(6)を介しても熱交換を行うことができるようになるので、熱交換対象物への反応熱の伝達を促進することが可能となる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、伝熱部材(10)には、伝熱部材(10)の表面の温度が予め定めた基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合に、押圧部材(6)から蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させる押圧力低減部材(7)が設けられており、押圧力低減部材(7)は、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)より低い場合には、押圧力低減部材(7)の伝熱部材(10)の表面からの高さが、蓄熱材(2)および押圧部材(6)の伝熱部材(10)の表面における押圧力低減部材(7)が配置されている部分(10a)からの高さより低くなるとともに、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合には、押圧力低減部材(7)の伝熱部材(10)の表面からの高さが、蓄熱材(2)および押圧部材(6)の伝熱部材(10)の表面における押圧力低減部材(7)が配置されている部分(10a)からの高さより高くなるように構成されていることを特徴としている。
【0012】
このように、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合に、押圧部材(6)から蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させることで、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)との間の熱抵抗を増大させることができる。これにより、蓄熱材(2)が過度に高温になることを防止し、蓄熱材(2)の劣化を抑制することが可能となる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明では、押圧力低減部材(7)は、伝熱部材(10)と熱的に接触していることを特徴としている。
【0014】
これによれば、蓄熱材(2)の反応熱によって熱交換対象物を加熱する際に、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)とが押圧力低減部材(7)を介しても熱交換を行うことができるようになるので、熱交換対象物への反応熱の伝達を促進することが可能となる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明では、押圧力低減部材(7)は、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)より低い場合には、押圧力低減部材(7)と蓄熱材(2)とが非接触となり、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合には、押圧力低減部材(7)と前記蓄熱材(2)とが接触するような部位に配置されていることを特徴としている。
【0016】
これによれば、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)より低い場合には、押圧力低減部材(7)と蓄熱材(2)とが非接触となるので、化学反応や温度変化に伴い蓄熱材(2)の体積が変化をしたときでも、蓄熱材(2)が動くスペースを確保することができる。このため、蓄熱材(2)が破損することを防止できる。また、伝熱部材(10)の表面の温度が基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合、すなわち押圧力低減部材(7)により押圧部材(6)が伝熱部材(10)から離れる方向に押し上げられる場合には、押圧力低減部材(7)と蓄熱材(2)とが接触するので、蓄熱材(2)が伝熱部材(10)の表面に平行な方向にずれることを抑制できる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明では、押圧部材(6)における蓄熱材(2)と接触している面と反対側の面には、押圧部材(6)と線膨張係数の異なる材質からなる異線膨張係数部材(8)が設けられており、異線膨張係数部材(8)は、押圧部材(6)および異線膨張係数部材(8)の温度が予め定めた基準部材温度(Tb)より低い場合には、異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が押圧部材(6)の線膨張係数より大きくなるとともに、押圧部材(6)および異線膨張係数部材(8)の温度が基準部材温度(Tb)以上になった場合には、異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が押圧部材(6)の線膨張係数より小さくなることで、押圧部材(6)から蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させるように構成されていることを特徴としている。
【0018】
このように、押圧部材(6)および異線膨張係数部材(8)の温度が基準部材温度(Tb)以上になった場合に、押圧部材(6)から蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させることで、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)との間の熱抵抗を増大させることができる。これにより、蓄熱材(2)が過度に高温になることを防止し、蓄熱材(2)の劣化を抑制することが可能となる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明では、押圧部材(6)と蓄熱材(2)との間には、押圧部材(6)と線膨張係数の異なる材質からなる異線膨張係数部材(8)が設けられており、異線膨張係数部材(8)は、押圧部材(6)および異線膨張係数部材(8)の温度が予め定めた基準部材温度(Tb)より低い場合には、異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が押圧部材(6)の線膨張係数より小さくなるとともに、押圧部材(6)および異線膨張係数部材(8)の温度が基準部材温度(Tb)以上になった場合には、異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が押圧部材(6)の線膨張係数より大きくなることで、押圧部材(6)から蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させるように構成されていることを特徴としている。
【0020】
このように、押圧部材(6)および異線膨張係数部材(8)の温度が基準部材温度(Tb)以上になった場合に、押圧部材(6)から蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させることで、蓄熱材(2)と伝熱部材(10)との間の熱抵抗を増大させることができる。これにより、蓄熱材(2)が過度に高温になることを防止し、蓄熱材(2)の劣化を抑制することが可能となる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明では、蓄熱材(2)における伝熱部材(10)と反対側の端部には、伝熱部材(10)から離れる方向に向かって凸となるように円弧状に湾曲した蓄熱側湾曲部(20)が形成されており、押圧部材(6)には、蓄熱側湾曲部(20)に沿って円弧状に湾曲した押圧側湾曲部(63)が形成されていることを特徴としている。
【0022】
これによれば、化学反応や温度変化に伴い蓄熱材(2)が膨張した際に押圧部材(6)に加えられる応力を緩和することができるので、押圧部材(6)の破損を防止することが可能となる。
【0023】
また、請求項9に記載の発明では、押圧部材(6)は、押圧部材(6)と伝熱部材(10)との成す角度が0°より大きく、90°より小さくなるように、伝熱部材(10)の表面に平行な方向に対して傾斜配置されており、蓄熱材(2)は、押圧部材(6)の傾斜に沿って傾斜した傾斜面を有して構成されていることを特徴としている。
【0024】
これによれば、押圧部材(6)と伝熱部材(10)との接触部に近くなる程、蓄熱材(2)の表面積、すなわち第2反応物と接触する面積を小さくすることができる。このため、第2反応物が到達しないために化合物を生成する反応が生じない部分に存在する蓄熱材(2)の量を低減することができる。その結果、蓄熱材(2)の軽量化を図り、さらに蓄熱材(2)の製造コストを低減することが可能となる。
【0025】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る蓄熱装置を示す概略断面図である。
【図2】第1実施形態の蓄熱装置の作動を説明するためのタイムチャートである。
【図3】第1実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図4】第1実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す拡大斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る蓄熱装置の、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図6】第2実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図7】第2実施形態に係る蓄熱装置の、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図8】第3実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図9】第4実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図10】第5実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図11】第5実施形態における押圧部材6および板状部材8の線膨張係数と温度との関係を示す特性図である。
【図12】第5実施形態に係る蓄熱装置の、押圧部材6および板状部材8の温度が基準部材温度Tb以上となった場合の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【図13】第6実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0028】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。本実施形態の蓄熱装置は、車両のエンジン(内燃機関)の排気系から排気の有する熱を蓄熱して、その熱を暖機促進に利用するものである。
【0029】
図1は、本第1実施形態に係る蓄熱装置を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施形態の蓄熱装置では、エンジン(図示せず)の排気が流通する排気管1の外周面に、金属酸化物を有して構成され、第1反応物としての金属酸化物および第2反応物としての水を反応させて水和物(化合物)を生成する際に生じる水和熱によって熱交換対象物を加熱し、水和物を金属酸化物および水に分離させることによって外部熱を蓄熱する蓄熱材2が固定されている。なお、本実施形態では、金属酸化物として酸化カルシウムを用いており、熱交換対象物は排気であり、外部熱はエンジンの排気が有する熱である。
【0030】
ここで、排気管1は、金属製の板材(以下、伝熱部材10という)により構成されており、蓄熱材2と熱交換対象物との間で熱の授受を行うようになっている。本実施形態では、伝熱部材10は、銅合金から構成されている。
【0031】
蓄熱材2が外周面に固定された排気管1の外側には、水(水蒸気)が流通する水配管3が配置されている。すなわち、排気管1および水配管3は、水配管3の内側に排気管1を配置する、いわゆる二重管構造となっている。
【0032】
水配管3には、図示しない水タンクから水が供給されるようになっている。水配管3と水タンクとの間には、水配管3と水タンクとを繋ぐ接続経路4が設けられている。接続経路4には、接続経路4を開閉し、水配管3に供給される水量を調整するための水バルブ5が設けられている。
【0033】
図2は、本第1実施形態の蓄熱装置の作動を説明するためのタイムチャートである。
【0034】
まず、排気を加熱する加熱モードについて説明する。図2に示すように、エンジンの始動時に水バルブ5を開き、蓄熱材2に水(水蒸気)が供給されると、以下の化1に示すように、蓄熱材2である酸化カルシウム(CaO)と水とが水和反応して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が生成される。
【0035】
(化1)
CaO+H2O→Ca(OH)2
この水和反応は放熱反応であり、反応の際に発生する水和熱によって排気が加熱され、排気温度が上昇する。これにより、蓄熱材2を設けない場合と比較して、エンジン始動時において排気浄化用触媒(図示せず)を早期に活性化することができる。
【0036】
続いて、排気が有する熱を蓄熱する蓄熱モードについて説明する。排気温度が蓄熱材2の再生温度に達すると、以下の化2に示すように、蓄熱材2の水酸化カルシウムが酸化カルシウムと水とに分離(脱水)する。
【0037】
(化2)
Ca(OH)2→CaO+H2O
この脱水反応は吸熱反応であり、排気が有する熱が蓄熱材2に蓄熱される。そして、脱水反応が完了した後、水バルブ5を閉じる。
【0038】
図3は本第1実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図で、図4は本第1実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す拡大斜視図である。図3および図4に示すように、蓄熱材2は、直角三角形の断面を有する三角柱状に形成されている。蓄熱材2は、その直角三角形の断面における斜辺を除く辺のうちの1つに該当する平面が、伝熱部材10と接触するように、伝熱部材10の表面上に配置されている。
【0039】
伝熱部材10には、蓄熱材2を伝熱部材10の表面に押し当て、すなわち伝熱部材10に向けて押圧し、蓄熱材2と伝熱部材10との界面における熱抵抗を低減させる押圧部材6が設けられている。すなわち、蓄熱材2は、押圧部材6の押圧力により伝熱部材10に固定されている。この押圧部材6は、伝熱部材10と熱的に接触している。
【0040】
本実施形態では、押圧部材6はステンレス製であり、平板状に形成されている。また、押圧部材6は、蓄熱材2の直角三角形の断面における斜辺に該当する平面(以下、斜面という)と接触するように配置されており、蓄熱材2を斜面側から伝熱部材10に向けて押圧している。換言すると、押圧部材6は、押圧部材6と伝熱部材10との成す角度が0°より大きく、90°より小さくなるように、伝熱部材10の表面に平行な方向に対して傾斜配置されており、蓄熱材2は、押圧部材6の傾斜に沿って傾斜した傾斜面を有して構成されている。
【0041】
伝熱部材10には、伝熱部材10の表面温度が予め定めた基準伝熱部材温度Ta以上になった場合に、押圧部材6から蓄熱材2に作用する押圧力を低減させる押圧力低減部材としてのストッパ7が設けられている。ここで、基準伝熱部材温度Taは、蓄熱材2が劣化し始める温度(以下、劣化温度という)と略同一の温度に設定されている。本実施形態では、蓄熱材2として酸化カルシウムを用いていており、その劣化温度が1300℃であるので、基準伝熱部材温度Taは1300℃に設定されている。
【0042】
本実施形態では、ストッパ7は、蓄熱材2の直角三角形の断面における斜辺および伝熱部材10と接触している辺を除く辺に該当する面と接触するように配置されている。これにより、蓄熱材2が伝熱部材10の表面に平行な方向にずれることを抑制できる。
【0043】
ここで、伝熱部材10の表面うちストッパ7が配置されている部分を、ストッパ配置面10aという。ストッパ7は、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Taより低い場合には、ストッパ7のストッパ配置面10aからの高さが、蓄熱材2および押圧部材6のストッパ配置面10aからの高さより低くなり、かつ、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合に、ストッパ7のストッパ配置面10aからの高さが、蓄熱材2上に配置された押圧部材6のストッパ配置面10aからの高さより高くなるように構成されている。
【0044】
すなわち、押圧部材6の線膨張係数をα1、ストッパ7の線膨張係数をα2、吸水時の蓄熱材2の膨張率をαh、常温(本実施形態では25℃)時における蓄熱材2上に配置された押圧部材6のストッパ配置面10aからの高さをL1、常温時におけるストッパ7のストッパ配置面10aからの高さをL2、常温と劣化温度との温度差、すなわち常温と基準伝熱部材温度Taとの温度差をΔTとしたとき、次の数式1、2に示される関係を満たすように、ストッパ7の高さL2が設定されている。
【0045】
(数1)
L2(1+α2)ΔT≧L1(1+α1)ΔT
(数2)
L2(1+α2)ΔT≧L1(1+αh)
本実施形態では、ストッパ7は、銅合金製であり、四角柱状に形成されている。また、ストッパ7は、蓄熱材2と熱的に接触している。
【0046】
続いて、本第1実施形態に係る蓄熱装置の作動について説明する。図5は、本第1実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図であり、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合を示している。
【0047】
伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合、図5に示すように、ストッパ7のストッパ配置面10aからの高さが、蓄熱材2上に配置された押圧部材6のストッパ配置面10aからの高さより高くなる。このため、ストッパ7により押圧部材6が伝熱部材10と反対側(図5の紙面上方側)に向かって押し上げられる。これにより、押圧部材6から蓄熱材2に作用する押圧力が低減するので、蓄熱材2と伝熱部材10との間の熱抵抗を増大させることができる。したがって、蓄熱材2が過度に高温になることを防止し、蓄熱材2の劣化を抑制することができる。
【0048】
以上説明したように、蓄熱材2は押圧部材6の押圧力により伝熱部材10に固定されているので、交換したい蓄熱材2に対応する押圧部材6を押圧力の作用方向と逆の方向に引っ張ることにより、交換したい蓄熱材2だけを容易に交換することができる。このため、蓄熱材2をネジや接着剤等により伝熱部材10に固定する従来の蓄熱装置と比較して、蓄熱材2を容易に交換することが可能となる。また、押圧部材6によって蓄熱材2が伝熱部材10に向けて押圧されることにより、蓄熱材2と伝熱部材10との界面における熱抵抗が低減するので、蓄熱材2と伝熱部材10との間の伝熱性能を向上させることが可能となる。
【0049】
また、押圧部材6を、伝熱部材10の表面に平行な方向に対して傾斜配置するとともに、蓄熱材2を、押圧部材6の傾斜に沿って傾斜した傾斜面を有して構成することにより、押圧部材6と伝熱部材10との接触部に近くなる程、蓄熱材2の表面積、すなわち水蒸気と接触する面積を小さくすることができる。このため、水蒸気が到達しない、すなわち水和反応が行われない部分に存在する蓄熱材2の量を低減することができる。その結果、蓄熱材2の軽量化を図り、さらに蓄熱材2の製造コストを低減することが可能となる。
【0050】
また、ストッパ7を、蓄熱材2の直角三角形の断面における斜辺および伝熱部材10と接触している辺を除く辺に該当する面と接触する部位に配置することで、蓄熱材2の水和反応、吸水反応および温度変化により生じる体積変化の際の動きを抑制することが可能となる。
【0051】
また、ストッパ7を蓄熱材2と熱的に接触させることで、蓄熱材2の水和反応時、すなわち放熱時に、ストッパ7を介して熱交換を行うこともできるようになる。このため、排気への水和熱の伝達を促進することが可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6および図7に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、蓄熱材2および押圧部材6の形状が異なるものである。
【0053】
図6は、本第2実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。図6に示すように、本実施形態の蓄熱材2は、長方形の断面を有する四角柱状に形成されている。また、押圧部材6は、断面略L字状に形成されている。
【0054】
より詳細には、押圧部材6は、伝熱部材10の表面から当該表面の法線方向と平行に延びる第1押圧部61と、第1押圧部61の伝熱部材10とは反対側の端部から伝熱部材10の表面と平行な方向に延びる第2押圧部62とを有して構成されている。第1押圧部61と第2押圧部62とは、一体に形成されている。また、第2押圧部62は、蓄熱材2における伝熱部材10との接触面と反対側の面に接触している。そして、蓄熱材2は、押圧部材6の第2押圧部62により、伝熱部材10との接触面と反対側の面から押圧されている。
【0055】
図7は、本第2実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図であり、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合を示している。
【0056】
図7に示すように、ストッパ7は、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合に、伝熱部材10のストッパ配置面10aからの高さが、蓄熱材2上に配置された押圧部材6の第2押圧部62における伝熱部材10のストッパ配置面10aからの高さより高くなるように構成されている。これにより、押圧部材6から蓄熱材2に作用する押圧力が低減するので、蓄熱材2と伝熱部材10との間の熱抵抗を増大させることができる。したがって、蓄熱材2が過度に高温になることを防止し、蓄熱材2の劣化を抑制することが可能となる。
【0057】
本実施形態では、蓄熱材2は押圧部材6の第2押圧部62の押圧力により伝熱部材10に固定されているので、交換したい蓄熱材2に対応する押圧部材6の第2押圧部62を押圧力の作用方向と逆の方向に引っ張ることにより、交換したい蓄熱材2だけを容易に交換することができる。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0058】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図8に基づいて説明する。本第3実施形態は、上記第2実施形態と比較して、ストッパ7の設置位置が異なるものである。
【0059】
図8は、本第3実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。図8に示すように、本実施形態のストッパ7は、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta、すなわち蓄熱材2の劣化温度より低い場合には蓄熱材2と接触せず、伝熱部材10の表面温度が基準伝熱部材温度Ta以上となった場合に蓄熱材2と接触するような位置に配置されている。
【0060】
以下、伝熱部材10の表面に平行な方向で、かつ蓄熱材2とストッパ7が並んでいる方向を、ストッパ配置方向(図8の紙面左右方向)という。そして、ストッパ7の線膨張係数をα2、吸水時の蓄熱材2の膨張率をαh、常温における蓄熱材2の配置方向の長さをW1、常温におけるストッパ7の配置方向の長さをW2、常温における蓄熱材2とストッパ7との間の距離をx、常温と劣化温度との温度差、すなわち常温と基準伝熱部材温度Taとの温度差をΔTとしたとき、次の数式3に示される関係を満たすように、常温時の蓄熱材2とストッパ7との間の距離xが設定されている。
【0061】
(数3)
x>W1(1+αh)+W2(1+α2)ΔT
これにより、伝熱部材10の表面の温度が基準伝熱部材温度Taより低い場合には、ストッパ7と蓄熱材2とが非接触となるので、水和反応や脱水反応および温度変化に伴い蓄熱材2の体積が変化をしたときでも、蓄熱材2が動くスペースを確保することができる。このため、蓄熱材2が破損することを防止できる。また、伝熱部材10の表面の温度が基準伝熱部材温度Ta以上になった場合、すなわちストッパ7により押圧部材6が伝熱部材10から離れる方向に押し上げられた場合には、ストッパ7と蓄熱材2とが接触するので、蓄熱材2がストッパ配置方向にずれることを抑制できる。
【0062】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図9に基づいて説明する。本第4実施形態は、上記第2実施形態と比較して、蓄熱材2および押圧部材6の形状が異なるものである。
【0063】
図9は、本第4実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。図9に示すように、本実施形態の蓄熱材2は、ストッパ配置方向および伝熱部材10の表面の法線方向に直交する断面において、伝熱部材10と反対側の端部が、伝熱部材10から離れる方向に向かって凸となるように円弧状に湾曲して形成されている。換言すると、蓄熱材2における伝熱部材10と反対側の端部には、ストッパ配置方向および伝熱部材10の表面の法線方向に直交する断面において、伝熱部材10から離れる方向に向かって凸となるように円弧状に湾曲した蓄熱側湾曲部20が形成されている。
【0064】
押圧部材6の断面L字形状の角部、すなわち押圧部材6における第1押圧部61と第2押圧部62との接続部は、蓄熱材2の蓄熱側湾曲部20に沿って湾曲している。換言すると、押圧部材6の断面L字形状の角部には、蓄熱材2の蓄熱側湾曲部20に沿って円弧状に湾曲した押圧側湾曲部63が形成されている。
【0065】
これによれば、水和反応や温度変化に伴い蓄熱材2が膨張した際に、押圧部材6における第1押圧部61と第2押圧部62との接続部に加えられる応力を緩和することができるので、押圧部材6の破損を防止することが可能となる。
【0066】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図10〜図12に基づいて説明する。本第5実施形態は、上記第2実施形態と比較して、ストッパ7を廃止するとともに、板状部材8を設けた点が異なるものである。
【0067】
図10は、本第5実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。図10に示すように、本実施形態の押圧部材6の第2押圧部62における蓄熱材2と接触する面と反対側の面には、押圧部材6と線膨張係数の異なる材質からなる異線膨張係数部材としての板状部材8が設けられている。板状部材8は、第2押圧部62における蓄熱材2と接触する面と反対側の面と全面に亘って接触するように配設されており、第2押圧部62における蓄熱材2と接触する面と反対側の面に固定されている。
【0068】
図11は、本第5実施形態における押圧部材6および板状部材8の線膨張係数と温度との関係を示す特性図である。押圧部材6および板状部材8としては、図11に示すように、押圧部材6および板状部材8それぞれの温度が、予め定めた基準部材温度Tbより低い場合には、押圧部材6より板状部材8の線膨張係数が大きく、押圧部材6および板状部材8それぞれの温度が基準部材温度Tb以上の高温の場合においては、押圧部材6より板状部材8の線膨張係数が小さくなるようなものを用いている。本実施形態では、押圧部材6として炭素鋼(S35C)を用いており、板状部材8として軟鋼(0.23C−0.6Mn)を用いている。
【0069】
ここで、基準部材温度Tbは、蓄熱材2の再生温度(転換温度)より高く、かつ劣化温度より低い温度に設定されている。本実施形態では、蓄熱材2として酸化カルシウムを用いているので、上述したように、劣化温度は1300℃となる。一方、蓄熱材2の再生温度は圧力によって変化することがわかっている。このため、本実施形態では、蓄熱材2の再生温度として、圧力を1気圧としたときの再生温度である479℃を採用している。このため、基準部材温度Tbは、479℃より高く、1300℃より低い温度に設定されている。
【0070】
続いて、本実施形態の蓄熱装置の作動について説明する。図12は、本第5実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図であり、押圧部材6および板状部材8の温度が基準部材温度Tb以上となった場合を示している。
【0071】
押圧部材6および板状部材8の温度が基準部材温度Tb以上になると、板状部材8の線膨張係数が押圧部材6の線膨張係数より小さくなるので、図12に示すように、押圧部材6の第2押圧部62および板状部材8が蓄熱材2と反対側に反り返るように湾曲する。これにより、押圧部材6から蓄熱材2に作用する押圧力が低減するので、蓄熱材2と伝熱部材10との間の熱抵抗を増大させることができる。したがって、蓄熱材2が過度に高温になることを防止し、蓄熱材2の劣化を抑制することが可能となる。
【0072】
本実施形態では、蓄熱材2は押圧部材6および板状部材8の押圧力により伝熱部材10に固定されているので、交換したい蓄熱材2に対応する押圧部材6および板状部材8を押圧力の作用方向と逆の方向に引っ張ることにより、交換したい蓄熱材2だけを容易に交換することができる。このため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0073】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図13に基づいて説明する。本第6実施形態は、上記第5実施形態と比較して、板状部材8を設ける位置、および押圧部材6および板状部材8の材質が異なるものである。
【0074】
図13は、本第6実施形態に係る蓄熱装置の蓄熱材2近傍を示す概略断面図である。図13に示すように、本実施形態の押圧部材6の第2押圧部62と蓄熱材2との間には、押圧部材6と線膨張係数の異なる材質からなる異線膨張係数部材としての板状部材8が設けられている。板状部材8は、第2押圧部62における蓄熱材2側の面と全面に亘って接触するように配設されており、第2押圧部62における蓄熱材2側の面に固定されている。
【0075】
押圧部材6および板状部材8としては、押圧部材6および板状部材8それぞれの温度が基準部材温度Tbより低い場合には、押圧部材6より板状部材8の線膨張係数が小さく、押圧部材6および板状部材8それぞれの温度が基準部材温度Tb以上の高温の場合においては、押圧部材6より板状部材8の線膨張係数が大きくなるようなものを用いている。本実施形態では、押圧部材6として軟鋼(0.23C−0.6Mn)を用いており、板状部材8として炭素鋼(S35C)を用いている。
【0076】
続いて、本実施形態の蓄熱装置の作動について説明する。押圧部材6および板状部材8の温度が基準部材温度Tb以上になると、板状部材8の線膨張係数が押圧部材6の線膨張係数より大きくなるので、板状部材8および押圧部材6の第2押圧部62が蓄熱材2と反対側に反り返るように湾曲する。このため、押圧部材6から蓄熱材2に作用する押圧力が低減するので、蓄熱材2と伝熱部材10との間の熱抵抗を増大させることができる。これにより、上記第5実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0077】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、第1反応物として金属酸化物を用い、第2反応物として水を用い、金属酸化物の水和反応による水和熱を利用して熱交換対象物である排気を加熱した例について説明したが、これに限らず、第1反応物および第2反応物として他の物質を用いてもよい。また、熱交換対象物として、エンジン冷却水、触媒、エンジンオイル、走行用駆動源としてのバッテリ、ATF等を採用してもよい。なお、上記各実施形態では、第1反応物として酸化カルシウムを用いた例について説明したが、これに代えて、例えば酸化マグネシウム等の他の金属酸化物を用いてもよい。
【0078】
また、上記第1、第2、第4実施形態では、蓄熱材2とストッパ7とが接触するように配置されている例について説明したが、これに限らず、蓄熱材2とストッパ7とが接触しない、すなわち非接触となるように配置されていてもよい。
【0079】
また、上記第5、第6実施形態では、ストッパ7を廃止した例について説明したが、ストッパ7を設けてもよい。
【符号の説明】
【0080】
2 蓄熱材
6 押圧部材
7 ストッパ(押圧力低減部材)
8 板状部剤(異線膨張係数部材)
10 伝熱部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1反応物を有して構成されており、前記第1反応物および第2反応物を反応させて化合物を生成する際に生じる反応熱によって熱交換対象物を加熱し、前記化合物を前記第1反応物および前記第2反応物に分離させることによって前記反応の系外にて発生する熱である外部熱を蓄熱する蓄熱材(2)と、
前記蓄熱材(2)と前記熱交換対象物との間で熱の授受を行う伝熱部材(10)と、
前記蓄熱材(2)を前記伝熱部材(10)に向けて押圧し、前記蓄熱材(2)と前記伝熱部材(10)との界面における熱抵抗を低減させる押圧部材(6)とを備えることを特徴とする蓄熱装置。
【請求項2】
前記押圧部材(6)は、前記伝熱部材(10)と熱的に接触していることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置。
【請求項3】
前記伝熱部材(10)には、前記伝熱部材(10)の表面の温度が予め定めた基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合に、前記押圧部材(6)から前記蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させる押圧力低減部材(7)が設けられており、
前記押圧力低減部材(7)は、前記伝熱部材(10)の前記表面の温度が前記基準伝熱部材温度(Ta)より低い場合には、前記押圧力低減部材(7)の前記伝熱部材(10)の前記表面からの高さが、前記蓄熱材(2)および前記押圧部材(6)の前記伝熱部材(10)の表面における前記押圧力低減部材(7)が配置されている部分(10a)からの高さより低くなるとともに、前記伝熱部材(10)の前記表面の温度が前記基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合には、前記押圧力低減部材(7)の前記伝熱部材(10)の前記表面からの高さが、前記蓄熱材(2)および前記押圧部材(6)の前記伝熱部材(10)の前記表面における前記押圧力低減部材(7)が配置されている部分(10a)からの高さより高くなるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄熱装置。
【請求項4】
前記押圧力低減部材(7)は、前記蓄熱材(2)と熱的に接触していることを特徴とする請求項3に記載の蓄熱装置。
【請求項5】
前記押圧力低減部材(7)は、前記伝熱部材(10)の前記表面の温度が前記基準伝熱部材温度(Ta)より低い場合には、前記押圧力低減部材(7)と前記蓄熱材(2)とが非接触となり、前記伝熱部材(10)の前記表面の温度が前記基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合には、前記押圧力低減部材(7)と前記蓄熱材(2)とが接触するような部位に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄熱装置。
【請求項6】
前記押圧部材(6)における前記蓄熱材(2)と接触している面と反対側の面には、前記押圧部材(6)と線膨張係数の異なる材質からなる異線膨張係数部材(8)が設けられており、
前記異線膨張係数部材(8)は、前記押圧部材(6)および前記異線膨張係数部材(8)の温度が予め定めた基準部材温度(Tb)より低い場合には、前記異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が前記押圧部材(6)の線膨張係数より大きくなるとともに、前記押圧部材(6)および前記異線膨張係数部材(8)の温度が前記基準部材温度(Tb)以上になった場合には、前記異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が前記押圧部材(6)の線膨張係数より小さくなることで、前記押圧部材(6)から前記蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の蓄熱装置。
【請求項7】
前記押圧部材(6)と前記蓄熱材(2)との間には、前記押圧部材(6)と線膨張係数の異なる材質からなる異線膨張係数部材(8)が設けられており、
前記異線膨張係数部材(8)は、前記押圧部材(6)および前記異線膨張係数部材(8)の温度が予め定めた基準部材温度(Tb)より低い場合には、前記異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が前記押圧部材(6)の線膨張係数より小さくなるとともに、前記押圧部材(6)および前記異線膨張係数部材(8)の温度が前記基準部材温度(Tb)以上になった場合には、前記異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が前記押圧部材(6)の線膨張係数より大きくなることで、前記押圧部材(6)から前記蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の蓄熱装置。
【請求項8】
前記蓄熱材(2)における前記伝熱部材(10)と反対側の端部には、前記伝熱部材(10)から離れる方向に向かって凸となるように円弧状に湾曲した蓄熱側湾曲部(20)が形成されており、
前記押圧部材(6)には、前記蓄熱側湾曲部(20)に沿って円弧状に湾曲した押圧側湾曲部(63)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の蓄熱装置。
【請求項9】
前記押圧部材(6)は、前記押圧部材(6)と前記伝熱部材(10)との成す角度が0°より大きく、90°より小さくなるように、前記伝熱部材(10)の表面に平行な方向に対して傾斜配置されており、
前記蓄熱材(2)は、前記押圧部材(6)の傾斜に沿って傾斜した傾斜面を有して構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の蓄熱装置。
【請求項1】
第1反応物を有して構成されており、前記第1反応物および第2反応物を反応させて化合物を生成する際に生じる反応熱によって熱交換対象物を加熱し、前記化合物を前記第1反応物および前記第2反応物に分離させることによって前記反応の系外にて発生する熱である外部熱を蓄熱する蓄熱材(2)と、
前記蓄熱材(2)と前記熱交換対象物との間で熱の授受を行う伝熱部材(10)と、
前記蓄熱材(2)を前記伝熱部材(10)に向けて押圧し、前記蓄熱材(2)と前記伝熱部材(10)との界面における熱抵抗を低減させる押圧部材(6)とを備えることを特徴とする蓄熱装置。
【請求項2】
前記押圧部材(6)は、前記伝熱部材(10)と熱的に接触していることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置。
【請求項3】
前記伝熱部材(10)には、前記伝熱部材(10)の表面の温度が予め定めた基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合に、前記押圧部材(6)から前記蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させる押圧力低減部材(7)が設けられており、
前記押圧力低減部材(7)は、前記伝熱部材(10)の前記表面の温度が前記基準伝熱部材温度(Ta)より低い場合には、前記押圧力低減部材(7)の前記伝熱部材(10)の前記表面からの高さが、前記蓄熱材(2)および前記押圧部材(6)の前記伝熱部材(10)の表面における前記押圧力低減部材(7)が配置されている部分(10a)からの高さより低くなるとともに、前記伝熱部材(10)の前記表面の温度が前記基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合には、前記押圧力低減部材(7)の前記伝熱部材(10)の前記表面からの高さが、前記蓄熱材(2)および前記押圧部材(6)の前記伝熱部材(10)の前記表面における前記押圧力低減部材(7)が配置されている部分(10a)からの高さより高くなるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄熱装置。
【請求項4】
前記押圧力低減部材(7)は、前記蓄熱材(2)と熱的に接触していることを特徴とする請求項3に記載の蓄熱装置。
【請求項5】
前記押圧力低減部材(7)は、前記伝熱部材(10)の前記表面の温度が前記基準伝熱部材温度(Ta)より低い場合には、前記押圧力低減部材(7)と前記蓄熱材(2)とが非接触となり、前記伝熱部材(10)の前記表面の温度が前記基準伝熱部材温度(Ta)以上になった場合には、前記押圧力低減部材(7)と前記蓄熱材(2)とが接触するような部位に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄熱装置。
【請求項6】
前記押圧部材(6)における前記蓄熱材(2)と接触している面と反対側の面には、前記押圧部材(6)と線膨張係数の異なる材質からなる異線膨張係数部材(8)が設けられており、
前記異線膨張係数部材(8)は、前記押圧部材(6)および前記異線膨張係数部材(8)の温度が予め定めた基準部材温度(Tb)より低い場合には、前記異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が前記押圧部材(6)の線膨張係数より大きくなるとともに、前記押圧部材(6)および前記異線膨張係数部材(8)の温度が前記基準部材温度(Tb)以上になった場合には、前記異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が前記押圧部材(6)の線膨張係数より小さくなることで、前記押圧部材(6)から前記蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の蓄熱装置。
【請求項7】
前記押圧部材(6)と前記蓄熱材(2)との間には、前記押圧部材(6)と線膨張係数の異なる材質からなる異線膨張係数部材(8)が設けられており、
前記異線膨張係数部材(8)は、前記押圧部材(6)および前記異線膨張係数部材(8)の温度が予め定めた基準部材温度(Tb)より低い場合には、前記異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が前記押圧部材(6)の線膨張係数より小さくなるとともに、前記押圧部材(6)および前記異線膨張係数部材(8)の温度が前記基準部材温度(Tb)以上になった場合には、前記異線膨張係数部材(8)の線膨張係数が前記押圧部材(6)の線膨張係数より大きくなることで、前記押圧部材(6)から前記蓄熱材(2)に作用する押圧力を低減させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の蓄熱装置。
【請求項8】
前記蓄熱材(2)における前記伝熱部材(10)と反対側の端部には、前記伝熱部材(10)から離れる方向に向かって凸となるように円弧状に湾曲した蓄熱側湾曲部(20)が形成されており、
前記押圧部材(6)には、前記蓄熱側湾曲部(20)に沿って円弧状に湾曲した押圧側湾曲部(63)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の蓄熱装置。
【請求項9】
前記押圧部材(6)は、前記押圧部材(6)と前記伝熱部材(10)との成す角度が0°より大きく、90°より小さくなるように、前記伝熱部材(10)の表面に平行な方向に対して傾斜配置されており、
前記蓄熱材(2)は、前記押圧部材(6)の傾斜に沿って傾斜した傾斜面を有して構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の蓄熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−149639(P2011−149639A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12016(P2010−12016)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
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