説明

蓄熱装置

【課題】作動温度(特に、供給温度)の選択の幅が広く、外部から供給された熱を蓄熱して更に高い温度の熱を放熱できる蓄熱装置を提供する。
【解決手段】蓄熱装置100は、水蒸気が脱離するときに蓄熱し水蒸気が物理吸着により固定化されるときに放熱する物理吸着材を含む蓄熱材を有する第1の反応器20、及び、水蒸気が脱離するときに蓄熱し水蒸気が化学反応により固定化されるときに放熱する化学蓄熱材を含む蓄熱材を有する第2の反応器120を含む2つ以上の反応器と、前記2つ以上の反応器を接続し前記2つ以上の反応器間で水蒸気を流通させる水蒸気配管10と、を備え、前記2つ以上の反応器間における水蒸気圧の差を利用して、一方の反応器から脱離した水蒸気を他方の反応器に固定化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の排出削減が強く求められており、省エネルギー化や排熱利用を進める必要がある。そのためには高効率な蓄熱技術の開発が必要であり、有望な候補として単位体積又は単位質量あたりの蓄熱量が大きく長期間の蓄熱が可能な化学蓄熱技術が挙げられる。
【0003】
化学蓄熱技術の例として、粒径0.3〜4mmの結晶性の石灰石に対して所定の熱処理を施すことによって生成された多数の気孔を有する生石灰を主体とした化学蓄熱材料が知られており、更に、この化学蓄熱材料を充填した容器と、蒸発凝縮器と、を配管でつないだ構成の蓄熱装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、内部の空間に対して10〜60容量%の割合で粉体化学蓄熱材が収容される蓄熱カプセル、該蓄熱カプセルを少なくとも1以上充填した反応器または反応塔と熱供給装置とを連結した蓄熱装置が知られている(例えば、特許文献2及び3参照)。
また、反応材を封入した容器、冷媒を蒸発させる蒸発器、前記冷媒を凝縮させる凝縮器およびそれらを連結するバルブ付きの連結管からなり、前記蒸発器内に複数の蒸発皿を設置したことを特徴とする化学蓄熱型冷凍装置が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−225686号公報
【特許文献2】特公平6−80395号公報
【特許文献3】特公平6−80394号公報
【特許文献4】特開平7−332788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、化学蓄熱材料を含む反応器と蒸発凝縮器との組み合わせである従来の蓄熱装置では、蒸発凝縮器の作動温度の制約が大きいことから、装置全体としての作動温度(特に、供給温度)の選択の幅が狭い傾向がある。
【0006】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、作動温度(特に、供給温度)の選択の幅が広く、外部から供給された熱を蓄熱して更に高い温度の熱を放熱できる蓄熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係る蓄熱装置は、水蒸気が脱離するときに蓄熱し水蒸気が物理吸着により固定化されるときに放熱する物理吸着材を含む蓄熱材を有する第1の反応器、及び、水蒸気が脱離するときに蓄熱し水蒸気が化学反応により固定化されるときに放熱する化学蓄熱材を含む蓄熱材を有する第2の反応器を含む2つ以上の反応器と、前記2つ以上の反応器を接続し前記2つ以上の反応器間で水蒸気を流通させる水蒸気配管と、を備え、前記2つ以上の反応器間における水蒸気圧の差を利用して、一方の反応器から脱離した水蒸気を他方の反応器に固定化させる。
【0008】
請求項1に記載の蓄熱装置では、第1の反応器に熱が供給されると、第1の反応器内で吸熱反応によって水蒸気が物理吸着材から脱離する。これにより第1の反応器側の水蒸気圧が第2の反応器側の水蒸気圧よりも高い状態となり、第1の反応器側に熱が蓄熱される。次に、第1の反応器内から脱離した水蒸気が水蒸気配管を通って第2の反応器に輸送されるとともに、第2の反応器に輸送された水蒸気が第2の反応器内で発熱反応によって化学蓄熱材に固定化される。この発熱反応により第2の反応器から熱が放出される。
ここで、第1の反応器における物理吸着材は、第2の反応器における化学蓄熱材と比較して、水蒸気の固定化及び脱離の際に出入りする熱量が小さい。即ち、第2の反応器における化学蓄熱材に水蒸気が固定化される際の発熱量(絶対値)は、第1の反応器における物理吸着材から水蒸気が脱離する際の吸熱量(絶対値)よりも大きい。
このため、第1の反応器に熱を供給し、第1の反応器から脱離した水蒸気を第2の反応器に固定化させることにより、第2の反応器から、第1の反応器に供給された熱の温度よりも高い温度の熱を放熱できる。
【0009】
このように、請求項1に記載の蓄熱装置によれば、外部から供給された熱を蓄熱して更に高い温度の熱を放熱することができる。即ち、請求項1に記載の蓄熱装置によれば、化学蓄熱材を有する反応器と蒸発凝縮器との組み合わせである従来の蓄熱装置と比較して、供給温度を下げることができる。
また、請求項1に記載の蓄熱装置は、物理吸着材を有する反応器と化学蓄熱材を有する反応器とを含んだ組み合わせであるため、化学蓄熱材を有する反応器と蒸発凝縮器との組み合わせである従来の蓄熱装置と比較して、作動温度(特に供給温度)の選択の幅が広い。
【0010】
請求項2に記載の発明に係る蓄熱装置は、請求項1に記載の蓄熱装置において、前記水蒸気配管に弁が設けられ、該弁の開閉により前記水蒸気圧の差を調整する。これにより、水蒸気の固定化及び脱離をより効果的に行うことができる。
【0011】
請求項3に記載の発明に係る蓄熱装置は、請求項1又は請求項2に記載の蓄熱装置において、前記水蒸気配管が、更に、前記水蒸気圧の差を調整する圧力調整手段、及び、容積を調整する容積調整手段の少なくとも一方を有する。これにより、水蒸気圧の差をより効果的に調整できるので、水蒸気の固定化及び脱離をより効果的に行うことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明に係る蓄熱装置は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の蓄熱装置において、前記2つ以上の反応器は、更に、水蒸気の凝縮及び水の気化(以下、「気/液の相変化」ともいう)を行う第3の反応器を含む。これにより、気/液の相変化を利用して、蓄熱装置内における水蒸気の流通量をより効果的に調整することができる。また、蓄熱装置内の水蒸気を水として分離して保存することができる。
水蒸気の凝縮及び水の気化(気/液の相変化)を行う第3の反応器としては、温度調整手段により気/液の相変化を行う反応器や、圧力調整手段により気/液の相変化を行う反応器が挙げられる。
【0013】
請求項5に記載の発明に係る蓄熱装置は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の蓄熱装置において、前記第1の反応器及び前記第2の反応器は、更に、前記蓄熱材との間で熱交換する熱媒体が流通する熱媒体流路を有する。これにより、熱媒体と蓄熱材との間で効率よく熱交換を行うことができるので、水蒸気の固定化及び脱離をより効果的に行うことができる。
【0014】
請求項6に記載の発明に係る蓄熱装置は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の蓄熱装置において、前記第1の反応器及び前記第2の反応器は、前記蓄熱材が収納された2つ以上の反応室と、少なくとも前記反応室間に配置され、前記蓄熱材との間で熱交換する熱媒体が流通する熱媒体流路と、を含む。これにより、熱媒体と蓄熱材との間での熱交換の効率をより向上させることができるので、反応室内壁と蓄熱材との接触面(伝熱面)における接触熱抵抗が改善され、水蒸気の固定化及び脱離をより効果的に行うことができる。
ここで、前記第1の反応器及び前記第2の反応器は、2つ以上の反応室と2つ以上の熱媒体流路とを有し、反応室と熱媒体流路とが交互に配置された構成であることがより好ましい。
【0015】
請求項7に記載の発明に係る蓄熱装置は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の蓄熱装置において、前記2つ以上の反応器のうち1つの反応器が固定化できる最大量の水蒸気の50℃、10kPaにおける体積に対し、死容積が10%以下である。これにより、蓄熱装置内における水蒸気圧をより高く維持することができるので、水蒸気の固定化及び脱離をより効率よく行うことができる。特に、初期作動時における、水蒸気の輸送遅れに伴う反応遅れをより効果的に抑制できる。
【0016】
請求項8に記載の発明に係る蓄熱装置は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の蓄熱装置において、前記物理吸着材が、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、及び粘土鉱物からなる群から選択される少なくとも1種である。これにより、第1の反応器において水蒸気の固定化及び脱離の際に出入りする熱量をより小さくすることができるので、第1の反応器及び蓄熱装置全体の制御性及び応答性がより向上する。
【0017】
請求項9に記載の発明に係る蓄熱装置は、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の蓄熱装置において、前記化学蓄熱材が無機水酸化物である。これにより、水蒸気の固定化反応及び水蒸気の脱離反応における材料安定性がより向上する。また、環境負荷の小さい無機水酸化物を用いるため、製造、使用、リサイクルを含めた安全性の確保がより容易になる。
【0018】
請求項10に記載の発明に係る蓄熱装置は、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の蓄熱装置において、前記化学蓄熱材がアルカリ土類金属の水酸化物である。これにより、水蒸気の固定化反応及び水蒸気の脱離反応における材料安定性がより向上する。また、環境負荷の小さいアルカリ土類金属の水酸化物を用いるため、製造、使用、リサイクルを含めた安全性の確保がより容易になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、作動温度(特に、供給温度)の選択の幅が広く、外部から供給された熱を蓄熱して更に高い温度の熱を放熱できる蓄熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る蓄熱装置を模式的に示した図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における第1の熱交換型反応器を模式的に示した図である。
【図3】本発明の第一の実施形態における第1の熱交換型反応器の変形例を模式的に示した図である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る第2の熱交換型反応器を模式的に示した図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る蓄熱装置を模式的に示した図である。
【図6】本発明の第三の実施形態に係る蓄熱装置を模式的に示した図である。
【図7】本発明の第四の実施形態に係る蓄熱装置を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態に係る蓄熱装置について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
[第一の実施形態]
図1は、本発明の第一の実施形態に係る蓄熱装置100を模式的に示した図である。
図1に示すように、蓄熱装置100は、第1の熱交換型反応器20(第1の反応器)と、第2の熱交換型反応器120(第2の反応器)と、第1の熱交換型反応器20と第2の熱交換型反応器120とを接続する水蒸気配管10と、を備えて構成されている。
【0023】
図2は、図1における第1の熱交換型反応器20を模式的に示した図である。
図2に示すように、第1の熱交換型反応器20は、筐体22と、筐体22に設けられた複数の熱媒体流路26と、筐体22に設けられた複数の反応室24と、各反応室24内に収納され、物理吸着材(例えば、活性炭やメソポーラスシリカ等の多孔体)を含む2枚の蓄熱材成形体32A及び32Bによって支持体34を挟んだ構造の積層体30と、を有して構成されている。
筐体22内では、反応室24と熱媒体流路26とが交互に配置され、かつ、2つの熱媒体流路26が最も外側となるように配置されている。反応室24と熱媒体流路26とは隔壁を隔てて互いに分離されている。これらの構成により、外部から供給される熱媒体M1と反応室24内の蓄熱材成形体との間で熱交換を行えるようになっている。この実施形態では、反応室24、熱媒体流路26は、それぞれ扁平矩形状の開口端を有する角柱状空間とされている。この実施形態では、第1の熱交換型反応器20は、反応室24の開口方向(水蒸気の流れ方向)と熱媒体流路26の開口方向(熱媒体の流れ方向)とが側面視で直交する、直行流型の熱交換型反応器として構成されている。
【0024】
本発明における第1の反応器は、第1の熱交換型反応器20の例のように、蓄熱材が収納された反応室を2つ以上有し、前記熱媒体流路が少なくとも前記反応室間に配置された構成であることが好ましく、2つ以上の反応室と2つ以上の熱媒体流路とを有し、反応室と熱媒体流路とが交互に配置された構成であることがより好ましい。
第1の熱交換型反応器20における反応室24や熱媒体流路26の個数には特に限定はなく、第1の熱交換型反応器20に対し入出力する熱量や、蓄熱材成形体の伝熱面の面積(反応室内壁との接触面積)を考慮して適宜設定できる。
また、筐体22の材質としては、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、等)等の熱伝導性の高い材質が好適である。
【0025】
図2に示すように、積層体30は、水蒸気が脱離するときに蓄熱(吸熱)し水蒸気が物理吸着によって固定化されるときに放熱(発熱)する物理吸着材(例えば、活性炭やメソポーラスシリカ等の多孔体)を含む2枚の蓄熱材成形体(蓄熱材成形体32A及び蓄熱材成形体32B;以下、これらをまとめて「蓄熱材成形体32A及び32B」ともいう)と、蓄熱材成形体32A及び32Bに挟持された支持体34と、から構成されている。
但し、積層体の構成としては、このような蓄熱材成形体/支持体/蓄熱材成形体の3層構成を少なくとも有する構成であればよく、3層構成以外にも、例えば、蓄熱材成形体と支持体とが交互に配置され、かつ、最外層が蓄熱材成形体であるその他の構成(例えば、蓄熱材成形体/支持体/蓄熱材成形体/支持体/蓄熱材成形体の5層構成、等)であってもよい。
【0026】
また、本実施形態の蓄熱装置では、第1の反応器における反応室に蓄熱材成形体と支持体との積層体が収納されることには限定されず、該反応室に蓄熱材成形体が単体として収納されていてもよい。
該反応室に蓄熱材成形体が単体として収納される場合、水蒸気の流路が設けられた蓄熱材成形体を用いることなどにより、反応室内に、水蒸気配管との間で水蒸気を流通できる流路が確保されていることが好ましい。
また、本発明において第1の反応器に収納される蓄熱材としては、蓄熱材成形体(例えば、蓄熱材成形体32A及び32B)に限定されるものではなく粉末の蓄熱材を用いることもできるが、反応器における熱交換の効率をより向上させる観点からは、蓄熱材成形体であることが好ましい。
【0027】
蓄熱材成形体32A及び32Bは、それぞれ、物理吸着材(例えば、活性炭やメソポーラスシリカ等の多孔体)を含む。
前記物理吸着材は、水蒸気が脱離するときに蓄熱(吸熱)し水蒸気が物理吸着により固定化されるときに放熱(発熱)するものである。前記物理吸着材としては、水蒸気の脱離(吸熱反応)及び水蒸気の固定化(発熱反応)が可逆的に行われるものを用いることが好ましい。
また、前記物理吸着材は、後述する化学蓄熱材と比較して、水蒸気の固定化及び脱離の際に出入りする熱量が小さいという性質を有する。即ち、詳細は後述するが、水蒸気が脱離するときの吸熱量(絶対値)及び水蒸気が固定化されるときの発熱量(絶対値)が、化学蓄熱材と比較して小さい。
更に、前記物理吸着材は、水蒸気の吸放出速度(固定化及び脱離の速度)が速いという性質を有する。
以上により、物理吸着材を含む第1の反応器を備えた本発明の蓄熱装置は、熱の供給に対する応答性が高く、水蒸気の固定化及び脱離の制御性に優れる。
更に、本発明の蓄熱装置は、化学蓄熱材を有する反応器と蒸発凝縮器との組み合わせである従来の蓄熱装置に対し、蒸発凝縮器に代えて物理吸着材を含む第1の反応器を用いているので、蒸発凝縮器における不凍化処理を不要とできるなど、装置の構成が簡易である。
本発明における物理吸着材としては、活性炭やメソポーラスシリカに限らず、多孔体全般を用いることができる。
物理吸着材の好ましい形態については後述する。
【0028】
支持体34としては、支持体34の面に沿った方向(例えば、図2中の白抜き矢印の方向)に水蒸気を流通させることができる支持体を用いることが好ましい。これにより、2枚の蓄熱材成形体間に水蒸気の流路を確保できるので、水蒸気配管10から供給された水蒸気(HO)を、蓄熱材成形体32A及び32Bの広い範囲に供給できる。更に、蓄熱材成形体32A及び32Bの広い範囲に吸着した水蒸気を支持体34を介して水蒸気配管10に向けて放出することができる。
このような支持体34として、具体的には、波型プレート又は多孔体プレートを用いることが好ましい。
支持体34として多孔体プレートを用いた場合には、多孔体プレート内を水蒸気が通過する。
支持体34として波型プレートを用いた場合には、波型プレートとの蓄熱材成形体との間に生じる隙間を水蒸気が通過する。
図3は、特に、支持体として波型プレート36を用いた場合における第1の熱交換型反応器20及び第1の熱交換型反応器20内に収納される積層体40を概念的に示した図である。支持体である波型プレート36以外の構成は図2と同様である。
支持体として波型プレート36を用いた場合は、積層体40における波型プレート36と蓄熱材成形体32A及び32Bとの間に生じる隙間を水蒸気が通過する(図3中の白抜き矢印の方向)。
【0029】
また、図1に示すように、蓄熱装置100において、第1の熱交換型反応器20と水蒸気配管10とは、第1の熱交換型反応器20中の複数の反応室24と水蒸気配管10とを気密状態で接続するヘッダ部材28(例えば、マニホールド等)を介して接続されている。これにより、複数の反応室24と水蒸気配管10との間で気密状態で水蒸気を流通できるようになっている。
なお、図1では、第1の熱交換型反応器20及び第2の熱交換型反応器120の構成を見やすくするために、前記ヘッダ部材28、下記ヘッダ部材29A、下記ヘッダ部材29B、下記ヘッダ部材128、下記ヘッダ部材129A、下記ヘッダ部材129B、下記熱媒体配管27A、下記熱媒体配管27B、下記熱媒体配管127A、及び下記熱媒体配管127Bを、二点鎖線で表している(後述の図5〜図7も同様である)。
【0030】
また、図1に示すように、第1の熱交換型反応器20は、ヘッダ部材29A(例えば、マニホールド等)を介して熱媒体配管27Aに接続されるとともに、ヘッダ部材29B(例えば、マニホールド等)を介して熱媒体配管27Bに接続されている。第1の熱交換型反応器20内の複数の熱媒体流路26は、該ヘッダ部材29Aにより気密状態で熱媒体配管27Aに連通されるとともに、該ヘッダ部材29Bにより気密状態で熱媒体配管27Bに連通されている。これにより、熱媒体配管27A及び熱媒体配管27Bを通じ、第1の熱交換型反応器20内の熱媒体流路26と蓄熱装置100の外部(以下、単に「外部」や「系外」ともいう)との間で熱媒体M1を流通できるようになっている。
ここで、熱媒体M1は、蓄熱材成形体32A及び32Bとの間で熱交換する媒体である。
熱媒体M1としては、エタノール等のアルコール、水、油類、これらの混合物等、熱媒体として通常用いられる流体を用いることができる。
【0031】
図1に示すように、水蒸気配管10にはバルブV1(弁)が設けられており、バルブV1の開閉により水蒸気圧の差を調整できるようになっている。例えば、バルブV1を閉じた状態を維持することにより、第1の第1の熱交換型反応器20側の水蒸気圧と第2の熱交換型反応器120側の水蒸気圧との差をより効果的に生じさせることができる。更に、バルブV1を閉じた状態を維持した後にバルブV1を開くことにより、水蒸気の輸送をより効果的に(より速やかに)行うことができる。更に、バルブV1を閉じておくことで、熱交換型反応器における長時間の蓄熱が可能となる。
【0032】
図4は、図1における第2の熱交換型反応器120を模式的に示した図である。
図4に示すように、第2の熱交換型反応器120も第1の熱交換型反応器20と同様に、筐体122に、複数の反応室124と、各反応室124内に収納された積層体130と、複数の熱媒体流路126と、が設けられた熱交換型反応器となっている。
第2の熱交換型反応器120における積層体130の構成は、第1の熱交換型反応器20における積層体30の構成において、物理吸着材を含む蓄熱材成形体32A及び32Bに代えて、水蒸気が脱離するときに蓄熱し水蒸気が化学反応によって固定化されるときに放熱する化学蓄熱材(例えば、Ca(OH))を含む蓄熱材成形体132A及び132Bを用いること以外は第1の熱交換型反応器20における積層体30の構成と同じである。
【0033】
前記化学蓄熱材は、水蒸気が脱離するときに蓄熱(吸熱)し水蒸気が化学反応により固定化されるときに放熱(発熱)するものである。
前記化学吸着材としては、水蒸気の脱離(吸熱反応)及び水蒸気の固定化(発熱反応)が可逆的に行われるものを用いることが好ましい。
例えば、化学吸着材の一例である、無機水酸化物の1つである水酸化カルシウム(Ca(OH))では、下記式(1)に示すように、水蒸気の脱離反応(脱水反応)及び水蒸気の固定化反応(水和反応)が可逆的に行われる。
Ca(OH) ⇔ CaO + HO … 式(1)
この式(1)に吸熱量Q及び発熱量Qを併せて示すと、水蒸気の脱離反応(吸熱反応)を示す下記式(2)、及び、水蒸気の固定化反応(発熱反応)を示す下記式(3)となる。
Ca(OH) + Q → CaO + HO … 式(2)
CaO + HO → Ca(OH) + Q … 式(3)
【0034】
また、前記化学蓄熱材は、水蒸気の固定化及び脱離の際に出入りする熱量が前記物理吸着材よりも大きいものの、蓄熱密度(単位質量当たりの蓄熱量)が前記物理吸着材よりも高いという性質を有している。
例えば、化学蓄熱材の例であるCa(OH)の蓄熱密度は略1.86MJ/kg(CaOベース)であり、物理吸着材の例である活性炭やメソポーラスシリカの蓄熱密度は0.6MJ/kg〜0.8MJ/kg程度である。
本発明における化学蓄熱材としては、Ca(OH)に限らず、無機水酸化物全般を用いることができる。
化学蓄熱材の好ましい形態については後述する。
【0035】
第2の熱交換型反応器120のその他の構成や変形例については、第1の熱交換型反応器20の構成及び変形例と同様である。
また、図1において、第2の熱交換型反応器120に接続する、ヘッダ部材128、129A、及び129B、並びに、熱媒体配管127A及び127Bの構成については、それぞれ、第1の熱交換型反応器20に接続する、ヘッダ部材28、29A、及び29B、並びに、熱媒体配管127A及び127Bの構成と同様である。
ここで、熱媒体配管127A及び127Bには、蓄熱材成形体132A及び132Bとの間で熱交換する熱媒体M2が流通する。
第2の熱交換型反応器120内に供給される熱媒体M2としては、エタノール等のアルコール、水、油類、これらの混合物等、熱媒体として通常用いられる流体を用いることができる。
また、図示しないが、蓄熱装置100の外部において、熱媒体M1の流通経路と熱媒体M2の流通経路とは、互いに独立している。
【0036】
また、図示しないが、蓄熱装置100には、装置内に水蒸気を供給するための水蒸気供給手段や、装置内を排気するための排気手段、装置内の水蒸気圧を測定するための圧力測定手段等のその他の手段が接続されていてもよい。
【0037】
次に、蓄熱装置100によって行われる放熱及び再生の例について説明する。
【0038】
(放熱)
まず、第1の熱交換型反応器20に供給された熱を第2の熱交換型反応器120に輸送し、輸送された熱を第2の熱交換型反応器120から外部に放熱する熱利用の一例について説明する。この一例では、第1の熱交換型反応器20を熱入力側の反応器とし、第2の熱交換型反応器120を熱出力側の反応器としている。
【0039】
この一例では、まず初期状態として、蓄熱装置100内(以下、「系内」ともいう)の水蒸気を第1の熱交換型反応器20側に集め、第1の熱交換型反応器20における物理吸着材を含む蓄熱材成形体32A及び32Bに水蒸気が固定化された状態とし、その後バルブV1を閉じる。蓄熱装置100を初期状態とする具体的な方法の例は、後述する「再生」の方法と同様である。
第1の熱交換型反応器20には、所定の温度(例えば5℃〜10℃)に維持された熱媒体M1を流通させることにより、熱を供給する。供給された熱が第1の熱交換型反応器20に蓄熱される。上記所定の温度の熱媒体M1の流通は、放熱及び再生を通じて維持しておくことが好ましい。
第2の熱交換型反応器120には、外部の熱利用対象に向けて熱を放出するための熱媒体M2を流通させる。
この状態では、第1の熱交換型反応器20側の水蒸気圧が第2の熱交換型反応器120側の水蒸気圧よりも高くなっている。バルブV1を閉じた状態を維持することで、第1の熱交換型反応器20側と第2の熱交換型反応器120側との水蒸気圧の差を長時間保持することができる。
【0040】
次に、バルブV1を開くと、水蒸気圧が高い第1の熱交換型反応器20から、相対的に水蒸気圧が低い第2の熱交換型反応器120に向けて水蒸気の輸送が行われる。このとき、第1の熱交換型反応器20では、吸熱反応によって第1の熱交換型反応器20中の蓄熱材成形体32A及び32Bから水蒸気が脱離する。この吸熱反応の維持は、第1の熱交換型反応器20への上記所定の温度(例えば5℃〜10℃)の熱媒体M1の流通を維持することにより(即ち、第1の熱交換型反応器20への熱の供給を維持することにより)行われる。
ここで、蓄熱材成形体32A及び32Bは、化学蓄熱材と比較して水蒸気の固定化及び脱離の際に出入りする熱量が小さい物理吸着材を含んでいる。このため、第1の熱交換型反応器20に供給する熱の温度が比較的低い場合においても、蓄熱材成形体32A及び32Bから水蒸気が容易に脱離する。
【0041】
上記水蒸気の輸送により第2の熱交換型反応器120に到達した水蒸気は、第2の熱交換型反応器120における反応室124内の蓄熱材成形体132A及び132Bに、発熱反応により固定化される。この発熱反応により熱媒体M2が(例えば、100℃〜380℃に)加熱され、加熱された熱媒体M2が外部の加熱対象に向けて放熱される。
【0042】
ここで、蓄熱材成形体132A及び132Bは、物理吸着材と比較して水蒸気の固定化及び脱離の際に出入りする熱量が大きい化学蓄熱材を含んでいる。即ち、化学蓄熱材に水蒸気が固定化される際の発熱量(絶対値)は、物理吸着材から水蒸気が脱離する際の吸熱量(絶対値)よりも大きい。
このため、第1の熱交換型反応器20に対する熱の供給により物理吸着材を含む蓄熱材成形体32A及び32Bから脱離した水蒸気を、化学蓄熱材を含む蓄熱材成形体132A及び132Bに固定化させることにより、第2の熱交換型反応器120から、熱交換型反応器20に供給された熱の温度よりも高い温度の熱を放熱できる。
例えば、物理吸着材としてメソポーラスシリカを用い、化学蓄熱材としてCa(OH)を用いた一例では、第1の熱交換型反応器20に5℃〜10℃の熱を供給することにより、第2の熱交換型反応器120から100℃〜380℃の熱を放熱できる。
【0043】
(再生)
上記の放熱が継続されて第1の熱交換型反応器20内の水蒸気が減少した場合には、系内の水蒸気を再び第1の熱交換型反応器20側に集め、第1の熱交換型反応器20における蓄熱材成形体32A及び32Bに水蒸気を固定化させることにより、蓄熱装置100を初期状態に再生させる。
再生の具体的な方法の例としては、バルブV1を開いた状態で、第1の熱交換型反応器20への上記所定の温度(例えば5℃〜10℃)の熱媒体M1の流通を維持したまま、第2の熱交換型反応器120における熱媒体流路126に高温(例えば、100℃〜380℃)に維持された熱媒体M2を流通させる方法が好適である。
これにより、吸熱反応によって第2の熱交換型反応器120内の蓄熱材成形体132A及び132Bから水蒸気が脱離するとともに、第2の熱交換型反応器120側から第1の熱交換型反応器20側に水蒸気が輸送される。
第1の熱交換型反応器20に到達した水蒸気は、第1の熱交換型反応器20における反応室24内の蓄熱材成形体32A及び32Bに発熱反応により固定化される。
この発熱反応の維持は、例えば、第1の熱交換型反応器20への上記所定の温度(例えば5℃〜10℃)の熱媒体M1の流通を維持することにより行われる。
【0044】
蓄熱装置100では、上記の放熱及び再生を繰り返し行うことができる。
なお、上記放熱及び再生では、反応器への熱の供給を熱媒体の流通により行う例を示したが、反応器への熱の供給は、不図示の温度調節機構によって行ってもよい。
【0045】
また、本発明の蓄熱装置に貯蔵される水蒸気の量には特に限定はないが、1つの反応器が貯蔵できる水蒸気の最大量と、蓄熱装置における死容積と、が以下の関係を有することが好ましい。
即ち、本発明の蓄熱装置では、2つ以上の反応器のうち1つの反応器が貯蔵できる水蒸気の最大量に対し、蓄熱装置の死容積を極力小さくすることが好ましい。
ここで、蓄熱装置の死容積とは、蓄熱装置内において水蒸気が流通できる範囲の実効的な容積を表す。
本発明の蓄熱装置では、死容積の大部分は水蒸気配管の容積であるため、水蒸気配管における圧力損失を許容できる範囲で水蒸気配管の容積を極力小さくし、蓄熱装置の死容積を極力小さくすることが望ましい。
【0046】
具体的には、本発明の蓄熱装置では、1つの反応器が固定化できる最大量の水蒸気の50℃、10kPaにおける体積に対する蓄熱装置の死容積が、10%以下であることが好ましく、5%以下がより好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
これにより、蓄熱装置内の水蒸気圧をより高く維持することができるので、蓄熱装置による放熱又は再生の効率をより向上させることができる。特に、初期作動時における、水蒸気の輸送遅れに伴う反応遅れをより効果的に抑制できる。
また、「1つの反応器が貯蔵できる水蒸気の最大量」とは、2つ以上の反応器のうち水蒸気を固定化できる量が最も多い反応器が固定化できる水蒸気の最大量を表す。また、「1つの反応器が貯蔵できる水蒸気の最大量」は、蓄熱装置に貯蔵される水蒸気の全量と等しい量とすることが好適である。
【0047】
ここで、1つの反応器が固定化できる最大量の水蒸気の50℃、10kPaにおける体積と、蓄熱装置の死容積と、の関係についての算出例を示す。
例えば、1つの反応器が固定化できる最大量の水蒸気の50℃、10kPaにおける水蒸気の体積を1Lとし、蓄熱装置の死容積を該水蒸気の体積の10%である0.1Lとし、一方の反応器からの水蒸気の放出速度を1L/100sec(=0.01L/sec)とした場合、初期作動時において、一方の反応器から他方の反応器へ水蒸気が到達するのに10sec(=0.1/0.01)の遅れが発生する。ここで、蓄熱装置の死容積を前記水蒸気の体積の1%である0.01Lとした場合には、初期作動時における前記遅れは1sec(=0.01/0.01)となる。
上記観点から、本発明の蓄熱装置では、1つの反応器が固定化できる最大量の水蒸気の50℃、10kPaにおける体積に対する蓄熱装置の死容積が、10%以下であることが好ましく、5%以下がより好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
【0048】
また、本発明の蓄熱装置の死容積には特に限定はなく、例えば10mL〜10Lとすることができる。死容積は、100mL〜10Lが好ましく、500mL〜10Lがより好ましく、1L〜10Lが特に好ましい。
【0049】
(物理吸着材)
次に、本発明における第1の反応器(例えば前記第1の熱交換型反応器20)に含まれる物理吸着材の好ましい形態について説明する。
前記物理吸着材としては、多孔体を用いることができる。
前記多孔体としては、物理吸着による水蒸気の固定化及び脱離の反応性をより向上させる観点からは、10nm以下の細孔を持つ多孔体が好ましい。
前記細孔のサイズの下限としては、製造適性等の観点から、1.5nmが好ましく、4.0nmがより好ましい。
前記多孔体としては、物理吸着による水蒸気の固定化及び脱離の反応性をより向上させる観点より、平均1次粒子径50μm以下の1次粒子が凝集して得られた1次粒子凝集体である多孔体が好ましい。
前記平均1次粒子径の下限としては、製造適性等の観点から、1.0μmが好ましい。
【0050】
前記多孔体の具体例としては、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、粘土鉱物等が挙げられる。
前記活性炭としては、BET法による比表面積が800m/g以上4000m/g以下(より好ましくは、1000m/g以上2000m/g以下)である活性炭が好ましい。
前記メソポーラスシリカとしては、BET法による比表面積が500m/g以上1500m/g以下(より好ましくは、700m/g以上1300m/g以下)であるメソポーラスシリカが好ましい。
前記ゼオライトとしては、BET法による比表面積が50m/g以上300m/g以下(より好ましくは、100m/g以上200m/g以下)であるゼオライトが好ましい。
前記シリカゲルとしては、BET法による比表面積が100m/g以上1500m/g以下(より好ましくは、300m/g以上1000m/g以下)であるシリカゲルが好ましい。
前記粘土鉱物としては、非架橋の粘土鉱物であっても、架橋された粘土鉱物(架橋粘土鉱物)であってもよい。前記粘土鉱物としては、セピオライト、スメクタイト系粘土(サポナイト、モンホリロナイト、ヘクトライト、等)、4−珪素雲母、雲母、バーミキュライト等が挙げられる。中でも、セピオライトが好ましい。
【0051】
本発明における蓄熱材が物理吸着材(好ましくは前記多孔体)を含む場合、該蓄熱材は、前記物理吸着材(好ましくは前記多孔体)を一種単独で含んでいてもよいし二種以上を含んでいてもよい。
本発明の蓄熱装置においては、作動温度等の作動条件に合わせて、物理吸着材(好ましくは前記多孔体)の種類を適宜選定することができる。
従って、本発明の蓄熱装置は、化学蓄熱材を含む反応器と蒸発凝縮器とを組み合わせた従来の蓄熱装置と比較して、作動温度の選択の幅が広い。
水蒸気の固定化及び脱離の際に出入りする熱量をより低減させる観点からは、本発明における蓄熱材は、活性炭又はメソポーラスシリカを少なくとも含むことがより好ましい。
【0052】
第1の反応器における蓄熱材中の物理吸着材の含有量は、水蒸気の固定化及び脱離の反応性をより高く維持する観点より、第1の反応器における蓄熱材全量に対し、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
【0053】
また、物理吸着材を含む蓄熱材を成形体(蓄熱材成形体)として用いる場合、該蓄熱材は、前記物理吸着材に加えてバインダーを含むことが好ましい。前記蓄熱材がバインダーを含むことにより、前記蓄熱材成形体の形状がより効果的に維持されるので、水蒸気の固定化及び脱離の反応性がより向上する。
【0054】
前記バインダーとしては、水溶性バインダーの少なくとも1種であることが好ましい。
前記水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0055】
第1の反応器における蓄熱材が物理吸着材及びバインダーを含む場合、該蓄熱材中におけるバインダーの含有量は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
【0056】
また、第1の反応器における蓄熱材は、必要に応じ、前記物理吸着材及び前記バインダー以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、熱伝導補助材としてのカーボンやカーボンナノチューブ(CNT)等が挙げられる。
【0057】
また、物理吸着材を含む蓄熱材を蓄熱材成形体(例えば、前記蓄熱材成形体32A及び32B)に成形する場合、その成形方法については特に限定はなく、例えば、物理吸着材(及び必要に応じバインダー等のその他の成分)を含む蓄熱材(又は該蓄熱材を含むスラリー)を、加圧成形、押し出し成形等の公知の成形手段により成形する方法が挙げられる。
【0058】
(化学蓄熱材)
次に、本発明における第2の反応器(例えば、前記第2の熱交換型反応器120)に含まれる化学蓄熱材の好ましい形態について説明する。
前記化学蓄熱材としては、水蒸気の固定化反応及び水蒸気の脱離反応における材料安定性をより向上させる観点からは、無機水酸化物が好ましく、アルカリ土類金属の水酸化物であることがより好ましい。
アルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば、Ca(OH)、Mg(OH)が挙げられる。この中でもCa(OH)が特に好ましい。
Ca(OH)はMg(OH)と比較して可逆性が高い(ほぼ100%の水和、脱水反応率を有する)ため、化学蓄熱材としてCa(OH)を用いることで、本発明の効果をより長期間に渡り維持できる。
【0059】
第2の反応器における蓄熱材が化学蓄熱材を含む場合、該蓄熱材は、前記化学蓄熱材を一種単独で含んでいてもよいし二種以上を含んでいてもよい。
本発明においては、作動温度等の作動条件に合わせて、化学蓄熱材の種類を適宜選定することができる。
【0060】
第2の反応器における蓄熱材が化学蓄熱材を含む場合において、前記蓄熱材中における化学蓄熱材の含有量は、蓄熱密度をより高く維持する観点より、50質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0061】
また、第2の反応器における化学蓄熱材を含む蓄熱材を、成形体(蓄熱材成形体)として用いる場合、該蓄熱材は、前記化学蓄熱材に加えてバインダーを含むことが好ましい。前記蓄熱材がバインダーを含むことにより、前記蓄熱材成形体の形状がより効果的に維持されるので、化学蓄熱材による水蒸気の固定化及び脱離の反応性がより向上する。
【0062】
前記バインダーとしては、水溶性バインダーの少なくとも1種であることが好ましい。
前記水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0063】
第2の反応器における蓄熱材が化学蓄熱材及びバインダーを含む場合、該蓄熱材中におけるバインダーの含有量は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
【0064】
また、第2の反応器における蓄熱材は、必要に応じ、前記化学蓄熱材及び前記バインダー以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、熱伝導補助材としてのカーボンやカーボンナノチューブ(CNT)が挙げられる。
【0065】
また、化学蓄熱材を含む蓄熱材を蓄熱材成形体(例えば、前記蓄熱材成形体132A及び132B)に成形する場合、その成形方法については特に限定はなく、例えば、化学蓄熱材(及び必要に応じバインダー等のその他の成分)を含む蓄熱材(又は該蓄熱材を含むスラリー)を、加圧成形、押し出し成形等の公知の成形手段により成形する方法が挙げられる。
【0066】
(反応室の好ましい形態)
次に、前記熱交換型反応器における反応室(例えば、前記第1の熱交換型反応器20における反応室24、及び、前記第2の熱交換型反応器120における反応室124)の好ましい形態について、前記第1の熱交換型反応器20における反応室24を例として説明する。
前記第1の熱交換型反応器20における反応室24は、内壁が前記蓄熱材成形体32A及び32Bとの接触部分を有していることが好ましい。より好ましくは、反応室24の内壁と、前記蓄熱材成形体32A及び32Bにおける一方の主面と、が接触している形態(即ち、蓄熱材成形体が、反応室内壁と支持体表面とによって挟持されている形態)である。
即ち、蓄熱材成形体32A及び32Bが、それぞれ、反応室24の内壁及び支持体34の表面との接触を保った状態となっていることが好ましい。
反応室24の内壁が前記蓄熱材成形体32A及び32Bとの接触部分を有する構成によれば、反応室24の内壁を通じ、第1の熱交換型反応器と蓄熱材成形体との間での熱交換をより効果的に行うことができる。また、一般に、蓄熱材成形体を繰り返し使用すると、水蒸気の固定化及び脱離により蓄熱材成形体が体積膨張収縮を繰り返し、蓄熱材成形体に割れ(クラックを含む)や微粉化が生じる場合があるが、上記構成によれば、この繰り返し使用時における蓄熱材成形体の割れ(クラックを含む)や微粉化をより効果的に抑制できる。
前記第2の熱交換型反応器120における反応室124の好ましい形態についても、前記第1の熱交換型反応器20における反応室24と同様である。
【0067】
次に、本実施形態における反応室内に、2枚の蓄熱材成形体を含む積層体を収納する方法の一例について説明する。
収納方法として、例えば、下記工程1〜工程3を含む方法が好適である。
(工程1)まず、水蒸気が固定化されていない蓄熱材成形体を2枚準備する。
具体的には、粉末状の蓄熱材を、加圧成形等により成形して蓄熱材成形体とする。
蓄熱材成形体の体積は、反応室の内壁及び支持体の表面によって確定される空間(蓄熱材成形体が充填されるべき空間)の容積よりも小さく、かつ、後述する工程3において水蒸気を固定化させて体積膨張させたときに、蓄熱材成形体と反応室の内壁とが接する程度の体積に調整する。
(工程2)次に、工程1で準備した2枚の蓄熱材成形体によって支持体を挟んだ構成の積層体を準備し、該積層体を反応室に収納する。
(工程3)次に、反応室に収納された2枚の蓄熱材成形体に対して水蒸気を固定化させる。
以上の方法によれば、2枚の蓄熱材成形体が水蒸気の固定化により体積膨張する現象を利用して、2枚の蓄熱材成形体の表面を、反応室の内壁及び支持体の表面に効果的に接触させることができる。
ここで、一旦、蓄熱材成形体の表面と反応室の内壁とが接触すれば、その後、蓄熱材成形体から水蒸気が脱離する場合においても体積収縮は抑制される。この場合、前記接触が保たれたまま、蓄熱材成形体の内部から水蒸気が脱離する。
【0068】
本実施形態における反応室内に、単体の蓄熱材成形体を収納する場合も、上記と同様にして行うことができる。
即ち、下記工程a〜工程cを含む方法が好適である。
(工程a)まず、水蒸気が固定化されていない蓄熱材成形体を準備する。
具体的には、粉末状の蓄熱材を、加圧成形等により成形して蓄熱材成形体とする。
蓄熱材成形体の体積は、反応室の内壁によって確定される空間(蓄熱材成形体が充填されるべき空間)の容積よりも小さく、かつ、水蒸気を固定化させて体積膨張させたときに、蓄熱材成形体と反応室の内壁とが接する程度の体積に調整する。
(工程b)次に、工程aで準備した蓄熱材成形体を反応室に収納する。
(工程c)次に、反応室に収納された蓄熱材成形体に対して水蒸気を固定化させる。
【0069】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、上記第一の実施形態又は前出の構成と基本的に同一の部品、部分については、上記第一の実施形態又は前出の構成と同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0070】
[第二の実施形態]
図5は、本発明の第二の実施形態に係る蓄熱装置200を模式的に示した図である。
図5に示すように、蓄熱装置200は、水蒸気配管10に圧力調整手段220が設けられている点で第一の実施形態に係る蓄熱装置100と異なる。
蓄熱装置200におけるその他の構成、好ましい範囲、及び変形例は、第一の実施形態に係る蓄熱装置100と同様である。放熱及び再生の基本的な動作も、第一の実施形態に係る蓄熱装置100と同様である。
【0071】
圧力調整手段220は、外力により蓄熱装置200内における水蒸気圧の差を調整する手段である。圧力調整手段220の具体例としては、圧縮機(コンプレッサー)、圧送ポンプ等公知の手段が挙げられる。
【0072】
蓄熱装置200では、圧力調整手段220を作動させることにより、2つの反応器間における水蒸気圧の差をより効果的に調整できる。
例えば、第1の熱交換型反応器20に熱を供給することにより第1の熱交換型反応器20から第2の熱交換型反応器120に水蒸気を輸送する場合、圧力調整手段220を作動させて第1の熱交換型反応器20側の水蒸気圧を上げることができる。これにより、上記の水蒸気の輸送速度をより速くすることができるので、第2の熱交換型反応器120における水蒸気の固定化の反応速度をより速くすることができる。その結果、第2の熱交換型反応器120からより高い温度の熱を放熱できる。
また、圧力調整手段220を作動させて第2の熱交換型反応器120側の水蒸気圧を上げることもでき、これにより上記の反応速度を遅くすることもできる。
【0073】
第2の熱交換型反応器120から第1の熱交換型反応器20に水蒸気を輸送する場合においても、上記と同様の原理により、2つの反応器間における水蒸気圧の差を調整できる。
【0074】
なお、図5に示す蓄熱装置200では、圧力調整手段220がバルブV1に対し第1の熱交換型反応器20側に設けられているが、本発明における蓄熱装置が圧力調整手段を備える場合、圧力調整手段は水蒸気配管の少なくとも1箇所に設けられていれば特に制限はない。
例えば、図5に示す蓄熱装置200に対する変形例としては、圧力調整手段220がバルブV1に対し第2の熱交換型反応器120側に設けられた例が挙げられる。
【0075】
[第三の実施形態]
図6は、本発明の第三の実施形態に係る蓄熱装置300を模式的に示した図である。
図6に示すように、蓄熱装置300は、水蒸気配管10に、バルブV2を備えた配管310を介して容積調整手段320(シリンダー321及びピストン322)が接続されている点で第一の実施形態に係る蓄熱装置100と異なる。
蓄熱装置300におけるその他の構成、好ましい範囲、及び変形例は、第一の実施形態に係る蓄熱装置100と同様である。放熱及び再生の基本的な動作も、第一の実施形態に係る蓄熱装置100と同様である。
【0076】
容積調整手段320は、シリンダー321と、該シリンダー321の内部に該シリンダー321の軸方法(矢印Pの方向)に移動可能に設けられたピストン322と、を備えており、自動又は手動でピストン322を矢印Pの方向に移動させてシリンダー321内の容積を増大又は減少できるようになっている。これにより、水蒸気配管の容積、ひいては蓄熱装置全体の容積を調整することができる。
容積調整手段320による容積の調整により、2つの反応器間における水蒸気圧の差をより効果的に調整でき、水蒸気の輸送をより効果的に行うことができる。
【0077】
図6に示す蓄熱装置300では、容積調整手段320がバルブV1に対し第2の熱交換型反応器120側に設けられているが、本発明における蓄熱装置が圧力調整手段を備える場合、圧力調整手段は水蒸気配管の少なくとも1箇所に設けられていれば特に制限はない。例えば、容積調整手段はバルブV1に対し第1の熱交換型反応器20側に接続されていてもよい。
また、バルブV1に対して第1の熱交換型反応器20側に第1の容積調整手段がバルブを介して接続され、かつ、第2の熱交換型反応器120側に第2の容積調整手段がバルブを介して接続されていてもよい。
【0078】
本発明の蓄熱装置100が上述の容積調整手段を備えることにより、第1の熱交換型反応器20側から第2の熱交換型反応器120側に水蒸気を輸送するときには、第1の熱交換型反応器20側の容積を小さくして水蒸気を効率よく圧送できる。同様に、第2の熱交換型反応器120側から第1の熱交換型反応器20側に水蒸気を輸送するときには、第2の熱交換型反応器120側の容積を小さくして水蒸気を効率よく圧送できる。
【0079】
[第四の実施形態]
図7は、本発明の第四の実施形態に係る蓄熱装置400を模式的に示した図である。
図7に示すように、蓄熱装置400は、水蒸気配管10に、バルブV3を備えた配管410を介して第3の反応器420が接続されている点で第一の実施形態に係る蓄熱装置100と異なる。第3の反応器420は、水蒸気の液化(凝縮)及び水422の気化(蒸発)を行う反応器(即ち、蒸発凝縮器)である。
蓄熱装置400におけるその他の構成、好ましい範囲、及び変形例は、第一の実施形態に係る蓄熱装置100と同様である。放熱及び再生の基本的な動作も、第一の実施形態に係る蓄熱装置100と同様である。
【0080】
第3の反応器420における液化及び気化(気/液の相変化)は、温度調整手段(不図示)による加熱及び冷却、並びに、圧力調整手段(不図示)による加圧及び減圧、の少なくとも一方によって行うことができる。
【0081】
第3の反応器420により、気/液の相変化を利用して、蓄熱装置400内における水蒸気の流通量をより効果的に調整することができる。
例えば、第1の熱交換型反応器20から第2の熱交換型反応器120に水蒸気を輸送する場合、第3の反応器420内の水422を気化させるとともにバルブV3を開くことで、蓄熱装置400内における水蒸気の流通量を増加させることができる。その結果、第2の熱交換型反応器120における水蒸気の固定化の反応速度をより速くすることができ、ひいては第2の熱交換型反応器120からより高い温度の熱を放熱できる。
また、第3の反応器420により系内の水蒸気を凝縮(液化)させることにより第2の熱交換型反応器120側の水蒸気の流通量を下げることもでき、これにより上記の反応速度を抑制することもできる。
【0082】
また、第3の反応器420により、蓄熱装置400内の水蒸気を、水として分離して保存することができる。これにより、蓄熱装置400による蓄熱及び放熱の性能がより安定的に維持される。
【0083】
なお、図7に示す蓄熱装置400では、第3の反応器420がバルブV1に対し第2の熱交換型反応器120側に接続されているが、本発明における蓄熱装置が水蒸気の液化及び水の気化を行う第3の反応器を備える場合、該第3の反応器は水蒸気配管の少なくとも1箇所に接続されていれば特に制限はない。
例えば、図7に示す蓄熱装置400に対する変形例としては、第3の反応器420がバルブV1に対し第1の熱交換型反応器20側に接続された例が挙げられる。また、第3の反応器420が、バルブV1に対して第1の熱交換型反応器20側及び第2の熱交換型反応器120側の両方に、それぞれバルブを介して接続された例が挙げられる。
【0084】
以上、本発明の各実施形態に係る蓄熱装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
本発明における蓄熱装置は、上述した以外のその他の反応器を少なくとも1つ有していてもよい。
その他の反応器としては、第1の熱交換型反応器20又は第2の熱交換型反応器120と同様の、水蒸気が脱離するときに蓄熱し水蒸気が固定化されるときに放熱する蓄熱材を含む反応器や、第3の反応器420と同様の、水蒸気の液化及び水の気化を行う反応器が挙げられる。
【0085】
また、上記各実施形態に係る蓄熱装置では、各熱交換型反応器と水蒸気配管とがヘッダ部材を介して接続されているが、各熱交換型反応器と水蒸気配管とがヘッダ部材を介さずに気密状態で直接接続されていてもよい。また、ヘッダ部材と一体化された熱交換型反応器を用い、この熱交換型反応器と水蒸気配管とを気密状態で接続してもよい。
【0086】
また、上記各実施形態に係る蓄熱装置では、水蒸気配管10にバルブV1(弁)が設けられているが、このバルブV1は省略されていてもよい。バルブV1は省略されている場合でも、第1の熱交換型反応器20及び第2の熱交換型反応器120の少なくとも一方に熱を供給して第1の熱交換型反応器20側と第2の熱交換型反応器120側とで水蒸気圧の差を生じさせることができ、この水蒸気圧の差により、反応器における水蒸気の固定化及び脱離を行うことができる。
【0087】
また、上記各実施形態に係る蓄熱装置では、第1の熱交換型反応器20が熱媒体流路を備えているが、第1の熱交換型反応器20としては、熱媒体流路に代えて(または熱媒体流路に加えて)、ヒーター等の温度調整手段を備えた反応器を用いてもよい。これにより、温度調整手段により反応器全体に熱を供給することにより、蓄熱材成形体において水蒸気の固定化及び脱離の反応を行うことができる。
【0088】
以上で説明したように、本発明の蓄熱装置は、作動温度(特に、供給温度)の選択の幅が広く、外部から供給された熱を蓄熱して更に高い温度の熱を放熱できる。
このため、例えば、要素の暖機、空調、熱の輸送等の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0089】
10、310、410 水蒸気配管
20 第1の熱交換型反応器
120 第2の熱交換型反応器
24、124 反応室
26、126 熱媒体流路
30、40、130 積層体
32A、32B、132A、132B 蓄熱材成形体
34 支持体
36 波型プレート
100、200、300、400 蓄熱装置
V1、V2、V3 バルブ
220 圧力調整手段
320 容積調整手段
420 第3の反応器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気が脱離するときに蓄熱し水蒸気が物理吸着により固定化されるときに放熱する物理吸着材を含む蓄熱材を有する第1の反応器、及び、水蒸気が脱離するときに蓄熱し水蒸気が化学反応により固定化されるときに放熱する化学蓄熱材を含む蓄熱材を有する第2の反応器を含む2つ以上の反応器と、
前記2つ以上の反応器を接続し前記2つ以上の反応器間で水蒸気を流通させる水蒸気配管と、
を備え、
前記2つ以上の反応器間における水蒸気圧の差を利用して、一方の反応器から脱離した水蒸気を他方の反応器に固定化させる蓄熱装置。
【請求項2】
前記水蒸気配管に弁が設けられ、該弁の開閉により前記水蒸気圧の差を調整する請求項1に記載の蓄熱装置。
【請求項3】
前記水蒸気配管が、更に、前記水蒸気圧の差を調整する圧力調整手段、及び、容積を調整する容積調整手段の少なくとも一方を有する請求項1又は請求項2に記載の蓄熱装置。
【請求項4】
前記2つ以上の反応器は、更に、水蒸気の凝縮及び水の気化を行う第3の反応器を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項5】
前記第1の反応器及び前記第2の反応器は、前記蓄熱材との間で熱交換する熱媒体が流通する熱媒体流路を有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項6】
前記第1の反応器及び前記第2の反応器は、前記蓄熱材が収納された2つ以上の反応室と、少なくとも前記反応室間に配置され、前記蓄熱材との間で熱交換する熱媒体が流通する熱媒体流路と、を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項7】
前記2つ以上の反応器のうち1つの反応器が固定化できる最大量の水蒸気の50℃、10kPaにおける体積に対し、死容積が10%以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項8】
前記物理吸着材が、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、及び粘土鉱物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項9】
前記化学蓄熱材が無機水酸化物である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
【請求項10】
前記化学蓄熱材がアルカリ土類金属の水酸化物である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の蓄熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−163264(P2012−163264A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24474(P2011−24474)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)