説明

蓄熱装置

【課題】蓄熱器に対する熱の出力要求の大きさに対応して適切に同蓄熱器から熱を放出することができ、それによって蓄熱器からの熱の出力に不足が生じたり同蓄熱器からの熱の放出が過剰になったりすることを抑制できるようにする。
【解決手段】蓄熱器5に形成された複数の区画室5a,5bに対応する複数の通路4a,4bに対し冷却水を選択的に流すための切り換えが、切換弁11、第1遮断弁12、及び第2遮断弁13によって行われる。また、蓄熱器5に関しては、上記複数の区画室5a,5b毎にそれぞれ蓄熱材6から上記冷却水への熱通過率が異なるように形成される。そして、蓄熱器5に対する温熱や冷熱といった熱の出力要求の大きさに応じて、切換弁11、第1遮断弁12、及び第2遮断弁13による通路の切り換えが行われる。これにより、蓄熱器5に対する上記熱の出力要求に応じて、蓄熱器5からの熱の放出を過不足なく適切に行うことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、蓄熱装置として、温熱または冷熱を蓄えておき、その温熱または冷熱を必要なときに放出するものが知られている。こうした蓄熱装置は、例えば特許文献1に示すように、温熱または冷熱といった熱を蓄えることが可能な蓄熱材の入った複数の区画室が形成された蓄熱器と、それら複数の区画室に対応してそれぞれ設けられた複数の通路とを備えている。同蓄熱装置では、上記通路に熱媒体を流すことで同熱媒体と区画室内の熱媒体との間での熱交換が行われ、その熱交換を通じて蓄熱材(蓄熱器)に対する蓄熱や放熱が行われる。なお、上記特許文献1には、蓄熱器での蓄熱を行うに当たり、複数の区画室内の蓄熱材に対し順番に蓄熱を行うことも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−185411公報(段落[0019]〜[0023]、[0030]〜[0033]、[0046]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の蓄熱装置においては、その特許文献1には蓄熱器からの熱の放出の仕方について詳しい記載がないことから、蓄熱器に対する温熱または冷熱といった熱の出力要求に応じて適切に同蓄熱器からの熱の放出を行うことができるとは考えにくい。このため、蓄熱器に対する熱の出力要求が大きいときに同蓄熱器からの熱の放出が不足したり、蓄熱器に対する熱の出力要求が小さいときに同蓄熱器からの熱の放出が過剰になったりするおそれがある。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、蓄熱器に対する熱の出力要求の大きさに対応して適切に同蓄熱器から熱を放出することができ、それによって蓄熱器からの熱の出力に不足が生じたり同蓄熱器からの熱の放出が過剰になったりすることを抑制できる蓄熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、蓄熱器に形成された複数の区画室には温熱や冷熱といった熱を蓄えることの可能な蓄熱材がそれぞれ入れられており、それら蓄熱材は各区画室に対応してそれぞれ設けられた通路を流れる熱媒体と熱交換可能とされている。このため、蓄熱器からの熱の放出を行う際には、上記通路に熱媒体を流して同熱媒体と上記区画室内の蓄熱材との間で熱交換を行わせ、その熱媒体を通じて蓄熱器(蓄熱材)から温熱や冷熱といった熱を放出させるようにする。こうした蓄熱器からの熱の放出については、同蓄熱器に対する熱の出力要求に応じて過不足なく適切に行うことが望まれている。仮に、蓄熱器からの熱の放出を同蓄熱器に対する熱の出力要求に応じて適切に行えない場合、蓄熱器に対する熱の出力要求が大きいときに同蓄熱器からの熱の放出が不足したり、蓄熱器に対する熱の出力要求が小さいときに同蓄熱器からの熱の放出が過剰になったりするおそれがある。
【0007】
この点、請求項1記載の発明では、蓄熱器に形成された複数の区画室に対応する上記複数の通路に対し熱媒体を選択的に流すべく同熱媒体を流す通路の切り換えを切換手段によって行うことが可能となっている。また、蓄熱器に関しては、上記複数の区画室毎にそれぞれ蓄熱材から熱媒体への熱通過率が異なるように形成されている。そして、制御手段による上記切換手段の制御を通じて、蓄熱器に対する熱の出力要求の大きさに応じた同切換手段による通路の切り換えが行われる。これにより、蓄熱器に対する熱の出力要求に応じて、同蓄熱器からの熱の放出を過不足なく適切に行うことが可能になる。その結果、上述したように、蓄熱器からの熱の出力に不足が生じたり、同蓄熱器からの熱の放出が過剰になったりすることを抑制できる。
【0008】
具体的には、請求項2記載の発明のように、蓄熱器に対する熱の出力要求が大きいと判断されるとき、上記複数の区画室のうち熱通過率が高いものに対応した通路に熱媒体が流れるよう、上記切換手段による通路の切り換えが制御手段を通じて行われる。この場合、区画室内の蓄熱材に蓄えられた温熱や冷熱といった熱が、同区画室に対応した通路を流れる熱媒体に対し速やかに伝達されるため、蓄熱器に対する熱の出力要求が大きいとしても、同蓄熱器からの熱の出力に不足が生じることはなく、上記熱の出力要求を速やかに満たすことができる。
【0009】
一方、蓄熱器に対する熱の出力要求が小さいと判断されるときには、請求項3記載の発明のように、上記複数の区画室のうち熱通過率が低いものに対応した通路に熱媒体が流れるよう、上記切換手段による通路の切り換えが制御手段を通じて行われる。この場合、区画室内の蓄熱材に蓄えられた温熱や冷熱といった熱が、同区画室に対応した通路を流れる熱媒体に対し緩やかに伝達されるため、蓄熱器に対する熱の出力要求が小さいときに同蓄熱器から熱が過剰に出力されてしまい、同蓄熱器に蓄えられた熱が無駄に消費されることを抑制できる。
【0010】
請求項4記載の発明によれば、なお、蓄熱器に対する温熱または冷熱の出力要求が大きいとの判断に基づき、複数の区画室のうち上記熱通過率が高いものに対応した通路に熱媒体が流れるようにしたとしても、それだけでは蓄熱器に対する温熱または冷熱の出力要求を満たせない場合がある。こうしたことを考慮して、請求項4記載の発明では、複数の区画室のうち上記熱通過率が高いものに対応した通路に熱媒体が流れるようにしている間、蓄熱器に対する温熱または冷熱の出力要求を満たせないと判断される際には、前記複数の区画室のうち前記熱通過率が低いものに対応した通路にも前記熱媒体が流される。すなわち、前記複数の区画室のうち前記熱通過率が低いものに対応した通路にも前記熱媒体が流れるように切換手段による通路の切り換えが行われる。このため、複数の区画室のうち上記熱通過率が高いものに対応した通路に熱媒体が流れるようにしただけでは蓄熱器に対する温熱または冷熱の出力要求を満たせないと判断される際にも、同出力要求を可能な限り満たせるような仕方で蓄熱器からの温熱や冷熱の放出を行うことができる。
【0011】
請求項5記載の発明によれば、蓄熱器における複数の区画室に入れられた蓄熱材は、車両の空調に用いられる温熱や冷熱を蓄えることが可能となっている。従って、夏季には上記蓄熱材に冷熱を蓄えておき、車室の冷房が必要なときに同蓄熱材に蓄えられた冷熱を上記冷房に用いるべく蓄熱器から放出することができる。一方、冬季には上記蓄熱材に温熱を蓄えておき、車室の暖房が必要なときに同蓄熱材に蓄えられた温熱を上記暖房に用いるべく蓄熱器から放出することができる。このように、車室の暖房用の温熱を蓄えるための蓄熱材と車室の冷房用の冷熱を蓄えるための蓄熱材とを共通化することができるため、暖房用の蓄熱材と冷房用の蓄熱材とを別々に設ける場合のように蓄熱装置が大型化することはない。
【0012】
ちなみに、上記蓄熱材は、車室の暖房に適した温度領域にて固体と液体との間での変化が生じる材料で形成されている。このため、蓄熱材に冷熱を蓄える場合には顕熱蓄熱が用いられる一方、蓄熱材に温熱を蓄える場合には潜熱蓄熱が用いられる。ここで、潜熱蓄熱とは蓄熱材を形成する材料の状態変化(例えば固体と液体との間での変化)に伴う同材料の吸熱・放熱を利用した蓄熱のことであり、顕熱蓄熱とは蓄熱材を形成する材料の上記状態変化を伴わない蓄熱のことである。こうした顕熱蓄熱と潜熱蓄熱とを比較すると、潜熱蓄熱の方が顕熱蓄熱よりも蓄えることの可能な熱の量が多くなる。従って、蓄熱材に暖房用の温熱を蓄える際に上述したように潜熱蓄熱を用いることができるため、車室の暖房を行うための温熱をより多く蓄熱器(蓄熱材)に蓄えることができる。なお、上記蓄熱材を形成する材料としては、例えば請求項6記載の発明のように、酢酸ナトリウムを用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の蓄熱装置が適用される電気自動車における冷却水の循環回路の構成を示す略図。
【図2】蓄熱材の状態変化と温度変化との関係を示す説明図。
【図3】時間経過に伴う蓄熱材の温度の変化を示すグラフ。
【図4】固体と液体とでの蓄熱材の熱抵抗の違いを示す説明図。
【図5】蓄熱器から熱を放出する手順を示すフローチャート。
【図6】空調(暖房、冷房)を行おうとする時間の変化に対する蓄熱器の必要容量の推移を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を電気自動車の蓄熱装置に具体化した一実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
電気自動車には、図1に示されるように、車室の暖房や冷房といった空調に用いられる冷却水(熱媒体)を循環させる循環回路1が設けられている。こうした循環回路1での冷却水の循環は、例えば電動式のウォータポンプ2を用いて行われる。そして、循環回路1においては、ウォータポンプ2から吐出された冷却水が、熱交換器9、及びメイン通路3を通過した後、上記ウォータポンプ2に戻るようになっている。循環回路1を循環する冷却水は、電気自動車で生じる廃熱を受けたり同電気自動車に搭載された電気ヒータで加熱されたりすることにより温度上昇させることが可能である一方、電気自動車に搭載されたヒートポンプで冷却することにより温度低下させることも可能となっている。また、循環回路1の上記熱交換器9は、自動車に搭載された空調装置を通じて車室内を暖房したり冷房したりする際、同装置により車室に送られる空気を上記冷却水で暖めたり冷やしたりするためのものである。
【0015】
こうした電気自動車では、バッテリに蓄えられた電力を用いた走行による航続距離を延ばすため、車室の暖房や冷房といった空調を行うためにバッテリに蓄えられた電力が消費されることを可能な限り抑制することが好ましい。このため、電気自動車には、車室の空調によるバッテリでの電力消費を極力抑えることを意図して、車室の空調に用いる温熱や冷熱を蓄えるための蓄熱装置が設けられている。そして、バッテリ充電等を行うべく電気自動車が外部電源に接続されているときには、その外部電源を利用して循環回路1の冷却水の温度を調節した状態で同冷却水の温熱や冷熱を蓄熱装置に蓄える一方、電気自動車が外部電源から切り離された後には上記蓄熱装置に蓄えられた温熱や冷熱を用いた車室の空調が行われる。これにより、車室の空調によるバッテリでの電力消費を極力抑えることが可能になり、ひいては同バッテリに蓄えられた電力を用いた走行による電気自動車の航続距離を延ばすことが可能になる。
【0016】
次に、自動車に搭載された上記蓄熱装置について説明する。
蓄熱装置は、循環回路1を循環する冷却水の温熱または冷熱を蓄えることが可能な蓄熱器5と、同回路1のメイン通路3の上流に接続されて冷却水を上記蓄熱器5に流すバイパス通路4とを備えている。このバイパス通路4は、蓄熱器5の内部を通過した状態となっており、その内部で通路4aと通路4bとに分岐している。そして、分岐後の通路4a,4bは、それぞれ循環回路1におけるメイン通路3の下流に接続されている。循環回路1におけるメイン通路3とバイパス通路4との上流側の接続部分には、それら通路3,4のうちのいずれかに冷却水を流すべく切り換え動作する切換弁11が設けられている。更に、バイパス通路4において、通路4aには同通路4aにおける冷却水の流通を禁止または許可すべく開閉動作する第1遮断弁12が設けられており、通路4bには同通路4bにおける冷却水の流通を禁止または許可すべく開閉動作する第2遮断弁13が設けられている。なお、これら切換弁11、第1遮断弁12、及び第2遮断弁13は、上記複数の通路4a,4bに対し冷却水を選択的に流すべく同冷却水を流す通路の切り換えを行う切換手段として機能する。
【0017】
上記切換弁11の切り換えにより、メイン通路3への流れを許容し、且つバイパス通路4への冷却水の流れを許容した状態のもとでは、バイパス通路4(蓄熱器5、通路4a,4b)を冷却水が通過することはない。一方、上記切換弁11の切り換えによりメイン通路3への冷却水の流れを禁止し、且つバイパス通路4への冷却水の流れを許容した状態のもとでは、第1遮断弁12及び第2遮断弁13を適宜開閉させることで、通路4aと通路4bとの両方に冷却水を流したり通路4aと通路4bとの一方に冷却水を流したりすることが可能になる。詳しくは、第1遮断弁12を開くとともに第2遮断弁13を閉じることで通路4aのみで冷却水が流れるようになる一方、第1遮断弁12を閉じるとともに第2遮断弁13を開くことで通路4bのみで冷却水が流れるようになる。また、第1遮断弁12と第2遮断弁13との両方を開くことにより、通路4aと通路4bとの両方で冷却水が流れるようになる。
【0018】
蓄熱器5の内部には、温熱または冷熱を蓄えることが可能な蓄熱材6の入った複数の区画室5a,5bが形成されている。そして、蓄熱器5の内部を通過する通路4a,4bのうち、通路4aは複数の区画室5a,5bのうちの区画室5aに対応して位置しており、通路4bは複数の区画室5a,5bのうちの区画室5bに対応して位置している。従って、通路4aに冷却水を流すことにより、同冷却水の温熱または冷熱を区画室5aの蓄熱材6に蓄えたり、同蓄熱材6に蓄えられた温熱や冷熱を上記冷却水を通じて放出したりすることが可能になる。一方、通路4bに冷却水を流すことにより、同冷却水の温熱または冷熱を区画室5bの蓄熱材6に蓄えたり、同蓄熱材6に蓄えられた温熱や冷熱を上記冷却水を通じて放出したりすることが可能になる。
【0019】
ちなみに、蓄熱器5は、複数の区画室5a,5b毎にそれぞれ蓄熱材6から通路内の冷却水への熱通過率(熱の伝わりやすさ)が異なるように形成されている。詳しくは、区画室5aから通路4aへの放熱を行う際の放熱面積が、区画室5bから通路4bへの放熱を行う際の放熱面積よりも大きくされている。こうしたことを実現する具体的な構造としては、例えば、区画室5aから通路4aへの放熱を行うべく蓄熱器5に形成された各フィンのピッチを、区画室5bから通路4bへの放熱を行うべく蓄熱器5に形成された各フィンのピッチよりも小さくするという構造があげられる。これにより、区画室5a内の蓄熱材6から通路4a内の冷却水への熱通過率が、区画室5b内の蓄熱材6から通路4b内の冷却水への熱通過率よりも高くなる(熱が伝わりやすくなる)。
【0020】
また、上記蓄熱材6は、車室の暖房に適した温度領域にて固体と液体との間での変化が生じる材料、例えば酢酸ナトリウムによって形成されている。なお、図2は、この蓄熱材6の状態変化と温度変化との関係を示している。
【0021】
同図から分かるように、固体の状態にある蓄熱材6が温度上昇して融点Tに達すると、蓄熱材6は加熱し続けても温度をほぼ一定の状態に保ったまま固体から液体へと徐々に変化してゆく。そして、蓄熱材6全体が液体に変化すると、上記加熱に伴って蓄熱材6の温度が再び上昇してゆくようになる。なお、蓄熱材6が液体の状態で同蓄熱材6に熱(温熱)が蓄えられているときには、その蓄熱材6が潜熱蓄熱状態となっていることを意味する。この潜熱蓄熱とは、蓄熱材6を形成する材料の状態変化(この例では固体と液体との間での変化)に伴う同材料の吸熱・放熱を利用した蓄熱のことである。一方、液体の状態にある蓄熱材6が温度低下して融点Tに達すると、蓄熱材6は温熱を放出し続けても温度をほぼ一定の状態に保ったまま液体から固体へと徐々に変化してゆく。そして、蓄熱材6全体が固体に変化すると、上記温熱の放出に伴って蓄熱材6の温度が再び低下してゆくようになる。なお、蓄熱材6が固体の状態で同蓄熱材6に熱(温熱または冷熱)が蓄えられているときには、その蓄熱材6が顕熱蓄熱状態となっていることを意味する。この顕熱蓄熱とは、蓄熱材6を形成する材料の上記状態変化を伴わない蓄熱(この例では固体のままでの蓄熱)のことである。
【0022】
従って、蓄熱装置においては、夏季には顕熱蓄熱によって上記蓄熱材6に冷熱を蓄えておき、車室の冷房が必要なときに同蓄熱材6に蓄えられた冷熱を上記冷房に用いるべく蓄熱器5(蓄熱材6)から放出することが可能になる。一方、冬季には潜熱蓄熱によって上記蓄熱材6に温熱を蓄えておき、車室の暖房が必要なときに同蓄熱材6に蓄えられた温熱を上記暖房に用いるべく蓄熱器5(蓄熱材6)から放出することが可能になる。なお、図3は、蓄熱材6からの熱(温熱)の放出特性を示している。同図から分かるように、液体状態にある蓄熱材6からの温熱の放出が行われると、その蓄熱材6の温度が時間経過に伴って実線で示すように低下する。上記蓄熱材6に関しては、図4に示すように、液体の状態にあるときに熱抵抗が小さくなる(温熱を放出しやすくなる)一方、固体の状態にあるときには熱抵抗が大きくなる(温熱を放出しにくくなる)という傾向を有している。このため、図3において、蓄熱材6が液体の状態であるとき(t1〜t2)には時間経過に対し蓄熱材6の温度が急速に低下する一方、蓄熱材6が固体の状態であるとき(t3以後)には時間経過に対し蓄熱材6の温度が緩やかに低下する。
【0023】
次に、蓄熱装置の電気的構成について、図1を参照して説明する。
蓄熱装置は、切換弁11、第1遮断弁12、及び第2遮断弁13を駆動制御するための電子制御装置21(制御手段)を備えている。この電子制御装置21には、蓄熱器5における区画室5a内の蓄熱材6の温度を検出する第1温度センサ22、及び区画室5b内の蓄熱材6の温度を検出する第2温度センサ23といった各種センサ等が接続されている。また、電子制御装置21は、熱交換器9における空気の温度調節及びその空気の車室内への送風の制御を司る空調制御コンピュータ20に対し車内ネットワーク(CAN)を通じて接続されており、CANを介しての相互通信により空調制御コンピュータ20と必要な情報を共有する。
【0024】
電子制御装置21は、電気自動車が外部電源に接続されているとき、その外部電源を利用して循環回路1の冷却水の温度を調節した状態で同冷却水の温熱や冷熱を蓄熱器5(蓄熱材6)に蓄える。具体的には、夏季には循環回路1内の冷却水の温度が低下するよう同冷却水をヒートポンプで冷却する一方、冬季には循環回路1内の冷却水の温度が上昇するよう同冷却水に対し電気自動車での廃熱を付与したり同冷却水を電気ヒータで加熱したりする。このように循環回路1内の冷却水の温度を夏季での車室の冷房に用いるうえで適した値、または冬季での車室の暖房に用いるうえで適した値に調節した後、切換弁11の切り換えによりバイパス通路4に上記冷却水が流れることを許容し、更に第1遮断弁12及び第2遮断弁13を共に開く。これにより、温度調節された冷却水がバイパス通路4における通路4a,4bを流れ、その冷却水の温熱または冷熱が蓄熱器5における区画室5a,5b内の蓄熱材6に蓄えられる。そして、第1温度センサ22及び第2温度センサ23の検出信号に基づき、蓄熱材6に対し温熱や冷熱といった熱が蓄えられたと判断されると、切換弁11の切り換えによりバイパス通路4に冷却水が流れることを禁止し、更に第1遮断弁12及び第2遮断弁13を共に閉じることで、蓄熱器5(蓄熱材6)に温熱や冷熱といった熱が保持される。
【0025】
一方、電気自動車が外部電源から切り離された状態のもとでは、上述したように蓄熱器5に蓄えられた温熱や冷熱を用いて車室の空調が行われる。すなわち、切換弁11の切り換えによりバイパス通路4への冷却水の流れを許容した状態のもと、第1遮断弁12と第2遮断弁13との少なくとも一方を開くことにより、バイパス通路4(蓄熱器5)において通路4aと通路4bとの少なくとも一方に循環回路1の冷却水が流される。このように循環回路1の冷却水を通路4a,4bに流すことで、同冷却水と区画室5a,5b内の蓄熱材6との間での熱交換を行わせ、その熱交換後の冷却水を通じて蓄熱材6(蓄熱器5)からの温熱や冷熱といった熱を放出させる。そして、通路4a,4b(蓄熱器5)から流出した冷却水が循環回路1の熱交換器9に流れることにより、蓄熱器5から放出された温熱や冷熱による車室の暖房や冷房が行われる。なお、上記蓄熱器5からの温熱や冷熱の放出については、同蓄熱器5に対する熱の出力要求に応じて過不足なく適切に行うことが望まれている。仮に、蓄熱器5からの熱の放出を同蓄熱器5に対する熱の出力要求に応じて適切に行えない場合、蓄熱器5に対する熱の出力要求が大きいときに同蓄熱器5からの熱の放出が不足したり、蓄熱器5に対する熱の出力要求が小さいときに同蓄熱器5からの熱の放出が過剰になったりするおそれがある。
【0026】
次に、上述した問題に対処するための本実施形態の蓄熱器5からの放熱の仕方について、放熱ルーチンを示す図5のフローチャートを参照して詳しく説明する。この放熱ルーチンは、電子制御装置21を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
【0027】
同ルーチンにおいては、まず蓄熱器5に対する温熱や冷熱といった熱の出力要求があるか否かが判断される(S101)。ちなみに、夏季においては、車室の温度が電気自動車の乗員により設定される同車室の目標温度よりも高いことに基づいて車室の冷房要求がなされるとき、蓄熱器5に対する冷熱の出力要求がなされる。また、冬季においては、車室の温度が電気自動車の乗員により設定される同車室の目標温度よりも低いことに基づいて車室の暖房要求がなされるとき、蓄熱器5に対する温熱の出力要求がなされる。なお、上記目標温度および上記実際の温度といった情報は、空調制御コンピュータ20から電子制御装置21に取り込まれる。そして、蓄熱器5に対する温熱や冷熱といった熱の出力要求がなされると、S101の処理で肯定判定がなされる。
【0028】
S101の処理で肯定判定である場合、蓄熱器5に対する温熱や冷熱といった熱の出力要求が所定レベル以上であるか否か(S102)、すなわち蓄熱器5に対する熱の出力要求が大きいか否かが判断される。具体的には、車室における上記目標温度と上記実際の温度との差が判定値以上であるか否かが判断される。なお、ここでの判定値としては、蓄熱器5に対する熱の出力要求が大きいか否かを判断するうえでの最適値となるように予め実験等により設定された値が用いられる。
【0029】
そして、車室の目標温度と実際の温度との差が上記判定値未満であるときには、S102の処理で蓄熱器5に対する熱の出力要求が所定レベル未満である旨の判断、すなわち蓄熱器5に対する熱の出力要求が小さい旨判断される。このときには、蓄熱器5に形成された複数の区画室5a,5bのうち熱通過率が低いもの(区画室5b)に対応した通路4bに冷却水が流れるよう、切換弁11、第1遮断弁12、および第2遮断弁13による通路の切り換えが行われ、それによって蓄熱器5からの温熱または冷熱の放出が行われる(S103)。詳しくは、切換弁11の切り換えによりバイパス通路4への冷却水の流れを許容した状態のもと、第1遮断弁12が閉じられるとともに第2遮断弁13が開かれることにより、通路4bに冷却水が流されて蓄熱器5からの温熱または冷熱の放出が行われる。この場合、区画室5b内の蓄熱材6に蓄えられた温熱や冷熱といった熱が、同区画室5bに対応した通路4bを流れる冷却水に対し緩やかに伝達されるため、蓄熱器5に対する熱の出力要求が小さいときに同蓄熱器5から熱が過剰に出力されてしまい、同蓄熱器5に蓄えられた熱が無駄に消費されることを抑制できる。
【0030】
一方、車室の目標温度と実際の温度との差が上記判定値以上であるときには、S102の処理で蓄熱器5に対する熱の出力要求が所定レベル以上である旨の判断、すなわち蓄熱器5に対する熱の出力要求が大きい旨判断される。このときには、蓄熱器5に形成された複数の区画室5a,5bのうち熱通過率が高いもの(区画室5a)に対応した通路4aに冷却水が流れるよう、切換弁11、第1遮断弁12、および第2遮断弁13による通路の切り換えが行われ、それによって蓄熱器5からの温熱または冷熱の放出が行われる(S104)。詳しくは、切換弁11の切り換えによりバイパス通路4への冷却水の流れを許容した状態のもと、第1遮断弁12が開かれるとともに第2遮断弁13が閉じられることにより、通路4aに冷却水が流されて蓄熱器5からの温熱または冷熱の放出が行われる。この場合、区画室5a内の蓄熱材6に蓄えられた温熱や冷熱といった熱が、同区画室5aに対応した通路4aを流れる冷却水に対し速やかに伝達されるため、蓄熱器5に対する熱の出力要求が大きいとしても、同蓄熱器5からの熱の出力に不足が生じることはなく、上記熱の出力要求を速やかに満たすことができる。
【0031】
ここで、上記S104の処理により、熱通過率の高い区画室5aに対応した通路4aに冷却水を流したとしても、それだけでは蓄熱器5に対する温熱または冷熱の出力要求を満たせない可能性があるため、それに対応すべくS105の処理が実行される。すなわち、S104の処理によって通路4aに冷却水を流している間には、蓄熱器5からの温熱や冷熱といった熱の出力が不足するか否かが判断される(S105)。具体的には、第1温度センサ22の検出信号、及び、車室の目標温度と実際の温度との差に基づき、区画室5aの蓄熱材6からの熱の出力だけでは蓄熱器5に対する熱の出力要求を満たせない状態になっているか否かが判断される。そして、S105で肯定判定がなされると、蓄熱器5における複数の区画室5a,5bのうち熱通過率が低いもの(区画室5b)に対応した通路4bにも冷却水が流されるよう、切換弁11、第1遮断弁12、および第2遮断弁13による通路の切り換えが行われる(S103)。詳しくは、S104からS103に移行したときには、切換弁11の切り換えによりバイパス通路4への冷却水の流れが許容され、かつ第1遮断弁12が開かれた状態のもと、更に第2遮断弁13も開かれることにより、通路4aとともに通路4bにも冷却水が流されて蓄熱器5からの温熱または冷熱の放出が行われる。これにより、複数の区画室5a,5bのうち熱通過率が高いもの(区画室5a)に対応した通路4aに冷却水が流れるようにしただけでは蓄熱器5に対する温熱または冷熱の出力要求を満たせないと判断される際にも、同出力要求を可能な限り満たせるような仕方で蓄熱器5からの温熱や冷熱の放出が行われる。
【0032】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)蓄熱器5に形成された複数の区画室5a,5bに対応する複数の通路4a,4bに対し冷却水を選択的に流すべく、同冷却水を流す通路の切り換えが切換弁11、第1遮断弁12、及び第2遮断弁13によって行われる。また、蓄熱器5に関しては、上記複数の区画室5a,5b毎にそれぞれ蓄熱材6から上記冷却水への熱通過率が異なるように形成される。そして、蓄熱器5に対する温熱や冷熱といった熱の出力要求の大きさに応じて、切換弁11、第1遮断弁12、及び第2遮断弁13による通路の切り換えが行われる。これにより、蓄熱器5に対する上記熱の出力要求に応じて、蓄熱器5からの熱の放出を過不足なく適切に行うことが可能になる。その結果、蓄熱器5からの熱の出力に不足が生じたり、同蓄熱器5からの熱の放出が過剰になったりすることを抑制できる。
【0033】
具体的には、蓄熱器5に対する熱の出力要求が大きいと判断されるとき、蓄熱器5における複数の区画室5a,5bのうち熱通過率が高いもの(区画室5a)に対応した通路4aに冷却水が流れるよう、切換弁11、第1遮断弁12、及び第2遮断弁13による通路の切り換えが行われる。この場合、区画室5a内の蓄熱材6に蓄えられた温熱や冷熱といった熱が、同区画室5aに対応した通路4aを流れる冷却水に対し速やかに伝達されるため、蓄熱器5に対する熱の出力要求が大きいとしても、同蓄熱器5からの熱の出力に不足が生じることはなく、上記熱の出力要求を速やかに満たすことができる。
【0034】
一方、蓄熱器5に対する熱の出力要求が小さいと判断されるときには、上記複数の区画室5a,5bのうち熱通過率が低いもの(区画室5b)に対応した通路4bに冷却水が流れるよう、切換弁11、第1遮断弁12、及び第2遮断弁13による通路の切り換えが行われる。この場合、区画室5b内の蓄熱材6に蓄えられた温熱や冷熱といった熱が、同区画室5bに対応した通路4bを流れる冷却水に対し緩やかに伝達されるため、蓄熱器5に対する熱の出力要求が小さいときに同蓄熱器5から熱が過剰に出力されてしまい、同蓄熱器5に蓄えられた熱が無駄に消費されることを抑制できる。
【0035】
(2)上述したように複数の区画室5a,5bのうち熱通過率が高いもの(区画室5a)に対応した通路4aに冷却水を流している間、蓄熱器5からの温熱や冷熱といった熱の出力が不足するか否かが判断される。ここで肯定判定であれば、蓄熱器5における複数の区画室5a,5bのうち熱通過率が低いもの(区画室5b)に対応した通路4bにも冷却水が流されるよう、切換弁11、第1遮断弁12、および第2遮断弁13による通路の切り換えが行われる。これにより、複数の区画室5a,5bのうち熱通過率が高いもの(区画室5a)に対応した通路4aに冷却水が流れるようにしただけでは蓄熱器5に対する温熱または冷熱の出力要求を満たせないと判断される際にも、同出力要求を可能な限り満たせるような仕方で蓄熱器5からの温熱や冷熱の放出を行うことができる。
【0036】
(3)上記蓄熱材6は、車室の空調に用いられる温熱や冷熱を蓄えることが可能となっている。従って、夏季には上記蓄熱材6に冷熱を蓄えておき、車室の冷房が必要なときに同蓄熱材6に蓄えられた冷熱を上記冷房に用いるべく蓄熱器5から放出することができる。一方、冬季には上記蓄熱材6に温熱を蓄えておき、車室の暖房が必要なときに同蓄熱材6に蓄えられた温熱を上記暖房に用いるべく蓄熱器5から放出することができる。このように、車室の暖房用の温熱を蓄えるための蓄熱材と車室の冷房用の冷熱を蓄えるための蓄熱材とを共通化することができるため、暖房用の蓄熱材と冷房用の蓄熱材とを別々に設ける場合のように蓄熱装置が大型化することはない。
【0037】
ここで、蓄熱器5に蓄えられた温熱のみで車室を暖房したり、蓄熱器5に蓄えられた冷熱のみで車室を冷房したりする場合、そうした暖房や冷房を行おうとする時間に応じて蓄熱器5の必要容量が変わってくる。図6において、実線は上記暖房を行おうとする時間の変化に対する蓄熱器5の必要容量の推移を示しており、破線は上記冷房を行おうとする時間の変化に対する蓄熱器5の必要容量の推移を示している。同図からわかるように、所定の時間Taだけ上記暖房を行おうとすると必要容量VL1以上の容量の蓄熱器5が必要になり、所定の時間Taだけ上記冷房を行おうとすると必要容量VL2以上の容量の蓄熱器5が必要になる。このため、暖房用の蓄熱器(蓄熱材)と冷房用の蓄熱器(蓄熱材)とを別々に設けようとすると、上記必要容量VL1以上の容量の蓄熱器と上記必要容量VL2以上の容量の蓄熱器とを設けなければならず、それら蓄熱器の設置スペースを確保すべく蓄熱装置が大型化することは避けられない。しかし、このような蓄熱装置の大型化は、上述したように暖房用の蓄熱器(蓄熱材)と冷房用の蓄熱器(蓄熱材)とを共通化することで抑制される。
【0038】
(4)上記蓄熱材6は、車室の暖房に適した温度領域にて固体と液体との間での変化が生じる材料、例えば酢酸ナトリウムによって形成されている。このため、蓄熱材6に冷熱を蓄える場合には顕熱蓄熱が用いられる一方、蓄熱材6に温熱を蓄える場合には潜熱蓄熱が用いられる。これら顕熱蓄熱と潜熱蓄熱とを比較すると、潜熱蓄熱の方が顕熱蓄熱よりも蓄えることの可能な熱の量が多くなる。そして、蓄熱材6に暖房用の温熱を蓄える際に上述したように潜熱蓄熱を用いることができるため、車室の暖房を行うための温熱をより多く蓄熱器5(蓄熱材6)に蓄えることができる。
【0039】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・蓄熱材6を形成するための材料として酢酸ナトリウム以外の材料を用いてもよい。例えば、蓄熱材6として水を用いれば、固体と液体との状態変化が車室の冷房に適した温度領域で行われるようになり、蓄熱器5に車室の冷房に適した冷熱を潜熱蓄熱によって蓄えることが可能になる。従って、この場合には車室の冷房を行うための冷熱を、車室の暖房を行うための温熱と比較して、より多く蓄熱器5(蓄熱材6)に蓄えることができる。
【0040】
・蓄熱材6を形成するための材料として、温熱と冷熱とを共に顕熱蓄熱によって蓄える材料を用いてもよい。
・図5の放熱ルーチンにおけるS105の処理を省略し、蓄熱器5からの温熱や冷熱の放出中、通路4aと通路4bとの両方を通じて冷却水が流されることがないようにしてもよい。
【0041】
・熱媒体として水(冷却水)以外のものを用いてもよい。
・蓄熱器5にたくわえられた温熱や冷熱を車室の空調だけでなく、電気自動車に搭載されたトランスミッションなど各種機器の暖機や冷却に用いてもよい。この場合、蓄熱器5に対する熱の出力要求の大きさが、車室の空調要求だけでなく上記機器の暖機要求や冷却要求によっても変わってくる。例えば、トランスミッションの暖機要求があるような場合には、蓄熱器5に対する熱(温熱)の出力要求が図5の放熱ルーチンにおけるS102での所定レベル以上に大きくなりやすくなる。
【0042】
・本発明を電気自動車以外の車両、例えば内燃機関とモータとを原動機として搭載したハイブリッド車両や、内燃機関のみを原動機として搭載した車両に適用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…循環回路、2…ウォータポンプ、3…メイン通路、4…バイパス通路、4b,4a…通路、5…蓄熱器、5a,5b…区画室、6…蓄熱材、9…熱交換器、11…切換弁、12…第1遮断弁、13…第2遮断弁、20…空調制御コンピュータ、21…電子制御装置、22…第1温度センサ、23…第2温度センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温熱または冷熱を蓄えることが可能な蓄熱材の入った複数の区画室が形成された蓄熱器と、それら複数の区画室に対応してそれぞれ設けられた複数の通路とを備え、前記通路に熱媒体を流して同熱媒体と前記区画室内の熱媒体との間で熱交換を行わせ、その熱媒体を通じて前記蓄熱器から温熱または冷熱を放出する蓄熱装置において、
前記複数の通路に対し前記熱媒体を選択的に流すべく同熱媒体を流す通路の切り換えを行うことの可能な切換手段と、その切換手段による前記通路の切り換えを制御する制御手段とを備え、
前記蓄熱器は、前記複数の区画室毎にそれぞれ蓄熱材から熱媒体への熱通過率が異なるように形成されており、
前記制御手段は、前記蓄熱器に対する温熱または冷熱の出力要求の大きさに応じて、前記切換手段による前記通路の切り換えを行う
ことを特徴とする蓄熱装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記蓄熱器に対する温熱または冷熱の出力要求が大きいと判断されるとき、前記複数の区画室のうち前記熱通過率が高いものに対応した通路に前記熱媒体が流れるよう、前記切換手段による前記通路の切り換えを行う請求項1記載の蓄熱装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記蓄熱器に対する温熱または冷熱の出力要求が小さいと判断されるとき、前記複数の区画室のうち前記熱通過率が低いものに対応した通路に前記熱媒体が流れるよう、前記切換手段による前記通路の切り換えを行う請求項1記載の蓄熱装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記蓄熱器に対する温熱または冷熱の出力要求が大きいとの判断に基づき、前記複数の区画室のうち前記熱通過率が高いものに対応した通路に前記熱媒体が流れるようにしている間、前記蓄熱器に対する温熱または冷熱の出力要求を満たせないと判断される際には、前記複数の区画室のうち前記熱通過率が低いものに対応した通路にも前記熱媒体が流れるように前記切換手段による前記通路の切り換えを行う請求項2記載の蓄熱装置。
【請求項5】
前記蓄熱材は、車両の空調に用いられる温熱や冷熱を蓄えるものであって、車室の暖房に適した温度領域にて固体と液体との間での変化が生じる材料で形成されている請求項1記載の蓄熱装置。
【請求項6】
前記蓄熱材は、酢酸ナトリウムによって形成されている請求項5記載の蓄熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−36626(P2013−36626A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170403(P2011−170403)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)