説明

蓋部材

【課題】スリーブに被せる際の作業性の向上を図りつつ、装着状態の安定化を図ることのできる蓋部材を提供する。
【解決手段】組立式容器1は、物品を載置可能なパレット2と、パレット2に立設される四角筒状の折り畳み可能なスリーブ3と、スリーブ3の上方の開口を塞ぐようにして被せられる蓋部材4とを備えている。蓋部材4は、略矩形板状の蓋本体31を備え、蓋本体31には、下面の外周縁に沿ってスリーブ3の上辺部を挿入可能な蓋側溝構成部32が設けられている。蓋側溝構成部32は、蓋本体31の外周方向において対向する外壁部33及び内壁部と、外壁部33及び内壁部の上辺部間を連結する支持壁部とを備えている。また、内壁部のうち蓋本体31の内周側の面から延出するガイドリブが設けられ、ガイドリブの下辺部は、蓋本体31の外周側に向けて上方傾斜するとともに、内壁部3下辺部と連接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略矩形板状のベース部材と、ベース部材に立設される筒状のスリーブと、スリーブの上方の開口を塞ぐ蓋部材とによって構成され、物品の運搬等に使用される組立式容器に係り、特に、その蓋部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を載置可能な略矩形板状のベース部材と、ベース部材に立設される四角筒状のスリーブと、スリーブの上方の開口を塞ぐ蓋部材とを備える組立式容器がある。当該組立式容器を使用して物品を運搬等する場合、スリーブによってベース部材に載置された物品の脱落が防止されるとともに、スリーブ及び蓋部材によって物品の保護が図られる。また、一般に、スリーブとしては折り畳み可能なものが採用され、非使用時には、組立式容器を解体して(ベース部材と、スリーブと、蓋部材とにばらして)、コンパクトにまとめておくことができるようになっている。
【0003】
さらに、このような組立式容器においては、一般に、ベース部材、スリーブ、及び蓋部材の水平方向における相対的な位置ずれ、より具体的には、スリーブのベース部材からの脱落、蓋部材のスリーブからの脱落、及び、スリーブが不用意に折り畳まれてしまうことの防止を図るべく、ベース部材の上面や蓋部材の下面において、スリーブの下辺部又は上辺部を挿入可能な断面略コ字状の係止部(溝部や少なくとも一対の相対するリブ)が形成されている(例えば、特許文献1、2等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−107703号公報
【特許文献2】特開2004−10127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、蓋部材に関しては、スリーブに被せる作業に際して、当該蓋部材の下面に形成された前記係止部を全て視認することが困難である。このため、例えば、係止部においてスリーブを挿入させるために形成された溝の幅がスリーブの厚みとほぼ同じ場合には、蓋部材をスリーブに被せる作業に支障が生じることが懸念される。
【0006】
その一方で、係止部の溝の幅をスリーブの厚みに比して比較的広く形成した場合には、蓋部材をスリーブに被せる作業性の向上が図られるものの、スリーブに対する蓋部材のガタツキが生じやすくなったり、折り畳み可能に構成されるスリーブの不用意な変形を招いたりすることが懸念される。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、スリーブに被せる際の作業性の向上を図りつつ、装着状態の安定化を図ることのできる蓋部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0009】
手段1.物品を載置可能なベース部材に立設された四角筒状の折り畳み可能なスリーブに被せられる蓋部材であって、
スリーブの上方の開口を閉塞可能な略矩形板状の蓋本体を備えるとともに、
前記蓋本体の下面側には、前記蓋本体の外周縁に沿って形成され、スリーブの上辺部を挿入可能な溝構成部が設けられ、
前記溝構成部は、前記蓋本体の外周方向において対向する外壁部及び内壁部と、前記外壁部及び内壁部の上辺部間を連結する支持壁部とを備えて下方に開口する断面略コ字状をなし、
少なくとも前記蓋本体の相対する2つの側辺部に対応して、前記内壁部のうち前記蓋本体の内周側の面から延出するガイドリブが設けられ、
前記ガイドリブの下辺部は、前記蓋本体の外周側に向けて上方傾斜するとともに、前記内壁部の下辺部と連接していることを特徴とする蓋部材。
【0010】
手段1によれば、蓋本体の下面側には、溝構成部よりも蓋本体の内周側において、下辺部が蓋本体の外周側に向けて上方傾斜するガイドリブが設けられ、さらに、ガイドリブの下辺部は溝構成部の内壁部の下辺部と連接している。このため、スリーブの上辺部と、蓋部材のガイドリブの下辺部とが当接することで、スリーブの上辺部がガイドリブによって相対的に内壁部の下辺部側、ひいては、溝構成部の内側に案内され易くなる。従って、蓋部材をスリーブに被せる際に、スリーブの上辺部と、蓋部材の溝構成部との水平方向における位置がずれたとしても、スリーブの上辺部と、蓋部材のガイドリブの下辺部とが当接した状態とされていれば、比較的スムースに蓋部材の溝構成部にスリーブの上辺部を挿入させることができる。結果として、蓋部材をスリーブへ被せる際の作業性の向上を図ることができる。
【0011】
また、溝構成部は、外壁部のみならず内壁部をも備えている。このため、溝構成部に挿入されたスリーブの変形を外壁部と内壁部とで規制することができ、スリーブが不用意に折り畳まれてしまうといった事態をより確実に防止することができる。さらに、上記のようにガイドリブが設けられることで、蓋部材をスリーブに被せる際の作業性の低下を回避しつつ、溝構成部の幅(外壁部と内壁部との間の距離)を狭めることができる。従って、外壁部と内壁部とでスリーブの変形を防止するといった作用効果が一層確実に奏される上、スリーブに対する蓋部材の水平方向におけるガタツキをより確実に防止することができる。結果として、蓋部材の装着状態、ひいては、ベース部材と、スリーブと、蓋部材とを組立てて箱型の容器にした状態の安定化を図ることができる。
【0012】
尚、前記内壁部の下辺部は、ガイドリブの下辺部と面一となるように斜めに形成されていることとしてもよい。この場合、ガイドリブに当接したスリーブをよりスムースに溝構成部へと相対的に案内することができる。また、「少なくとも前記蓋本体の相対する2つの側辺部に対応して」とあるのに代えて、「前記蓋本体の4つの側辺部に対応して」としてもよい。この場合、蓋部材をスリーブに被せる際の案内効果がより一層奏されることとなる。
【0013】
手段2.前記蓋本体の上面側には、前記ガイドリブの上方位置において、前記蓋本体の上面から上方に突出する突出部が設けられ、
蓋部材同士を上下に積み重ねるとともに、上下に重ねられた蓋部材の外周縁を揃えた場合には、下側の蓋部材の前記突出部が、上側の蓋部材の前記ガイドリブの下辺部と前記外壁部との間の空間に収容されることを特徴とする手段1に記載の蓋部材。
【0014】
手段2によれば、蓋部材の上面側には突出部が設けられており、蓋部材同士を上下に積み重ねた(段積みした)場合、下側の蓋部材の突出部が、上側の蓋部材のガイドリブの下辺部と外壁部との間の空間に収容されるようになっている。このため、蓋部材同士の段積みに際して、下側の蓋部材の突出部を挿入させて係止させるための凹部を別途形成しなくても済み、構成の複雑化を抑制しつつ、上側の蓋部材が下側の蓋部材から脱落するといった事態を防止することができる。
【0015】
また、蓋部材同士を段積みする際に、上下の蓋部材の水平方向における位置がずれたとしても、下側の蓋部材の突出部の上面と、上側の蓋部材のガイドリブの下辺部とが当接した状態とされていれば、上側の蓋部材の傾斜したガイドリブによって、下側の蓋部材の突出部が、上側の蓋部材のガイドリブの下辺部と外壁部との間の空間に相対的に案内され易くなる。このため、比較的スムースに蓋部材の外周縁を揃えることができる。結果として、蓋部材同士を段積みする際の作業性の向上を図ることができる。
【0016】
尚、「前記突出部の上面は、前記ガイドリブの下辺部と同じ傾斜角度をなすように構成されていること」としてもよい。この場合、下側の蓋部材の突出部の上面のどの部分が上側の蓋部材のガイドリブの下辺部と当接しても、下側の蓋部材の突出部が、上側の蓋部材のガイドリブの下辺部と外壁部との間の空間に相対的に案内され易くなる。このため、蓋部材同士を上下に重ねた際に、蓋部材同士が水平方向においてより大きく位置ずれした場合にも、案内効果が奏されるようになる。従って、蓋部材同士を段積みする際の作業性の向上をより一層図ることができる。
【0017】
手段3.前記蓋本体の上面には、ベース部材の下面の複数箇所から下方に突設された支脚部を支持するとともに、該支脚部の水平方向への移動を規制可能な設置部が設けられ、
前記設置部は前記突出部に隣接して形成されるとともに、前記突出部の上面は前記設置部側に向けて下方傾斜していることを特徴とする手段2に記載の蓋部材。
【0018】
手段3によれば、突出部の上面は、当該突出部に隣接する設置部側に向けて下方傾斜している。従って、蓋部材の上側にベース部材を積み重ねる場合に、蓋部材の設置部と、ベース部材の支脚部との水平方向における位置がずれたとしても、蓋部材の突出部の上面と、ベース部材の支脚部の下面とが当接した状態とされていれば、突出部の上面によって支脚部が設置部側に案内され易くなる。このため、比較的スムースにベース部材の支脚部を蓋部材の設置部に設置することができる。結果として、蓋部材の上にベース部材を積む際の作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】組立式容器の分解斜視図である。
【図2】蓋部材を下面側から見た斜視図である。
【図3】蓋部材の一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【図4】スリーブに装着された蓋部材の部分拡大断面図である。
【図5】蓋部材同士を段積みした状態を示す部分拡大断面図である。
【図6】蓋部材の上にパレットを載置した状態を示す斜視図である。
【図7】図6の部分拡大断面図である。
【図8】パレットの上に蓋部材を載置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、組立式容器1は、物品を載置可能なベース部材としてのパレット2と、パレット2の上面側に立設される四角筒状のスリーブ3と、スリーブ3の上方の開口を塞ぐようにしてスリーブ3に被せられる蓋部材4とを備えている。当該組立式容器1を用いて物品を運搬等する場合、パレット2に載置された物品の外周がスリーブ3によって保持されるため、物品の脱落等が防止される上、パレット2に載置された物品がスリーブ3及び蓋部材4によって覆われて保護されるため、物品の損傷等が防止されることとなる。
【0021】
パレット2は、物品が載置される略矩形板状のデッキ11と、デッキ11の下面から下方に突出し、デッキ11の上面を設置面(床面)と略平行に支持する支脚部12とを備えている。支脚部12は、デッキ11の4隅と、デッキ11の側辺部の中間位置と、デッキ11の中央部とにおいて設けられ、各支脚部12の間には、図示しないフォークリフトやハンドリフト等のフォークを差込可能な隙間(フォーク差込部)が形成されている。
【0022】
また、デッキ11の上面側には、四角筒状のスリーブ3を支持して立設させるための土台側溝構成部13が、デッキ11の外周縁に沿って形成されている。そして、スリーブ3の下辺部を、上方に開口する断面略コ字状の土台側溝構成部13に挿入することで、スリーブ3がパレット2に支持されるとともに、水平方向における位置ずれが防止されることとなる。
【0023】
スリーブ3は、四角筒状をなすべく4つの側壁部21を備え、側壁部21同士が互いに図示しないヒンジ部を介して屈曲自在に連結されている。さらに、4つの側壁部21のうち相対する一対の側壁部21に関しては、左右に並ぶ2枚の板状体23が図示しないヒンジ部で屈曲自在に連結されることで構成されている。当該構成により、スリーブ3は、2枚の板状体23で構成される側壁部21を内側に折り込むようにして折り畳み可能になっている。
【0024】
蓋部材4は、スリーブ3の上方の開口を閉塞可能な略矩形板状の蓋本体31を備えるとともに、図2に示すように、蓋本体31の下面側には、蓋本体31の外周縁に沿って形成され、スリーブ3の上辺部を挿入可能な蓋側溝構成部32が設けられている。図3等に示すように、蓋側溝構成部32は、蓋本体31の外周方向において対向する外壁部33及び内壁部34と、外壁部33及び内壁部34の上辺部間を連結する支持壁部34とを備え、下方に開口する断面略コ字状をなしている。蓋側溝構成部32の支持壁部34の幅(外壁部33と内壁部34との間の距離)は、スリーブ3の厚みよりも若干大きい程度に構成されている。本実施形態の蓋部材4は、ポリプロピレンによって、型成形により一体的に形成されている。
【0025】
また、図2、図3等に示すように、蓋本体31の下面側には、蓋本体31の各側辺部と平行して格子状に延在する補強リブ37が形成されている。本実施形態では、蓋本体31の下面には、外周縁の全周にわたって蓋側溝構成部32が連続的に形成されていることから、補強リブ37は、蓋側溝構成部32よりも蓋本体31の内周側において設けられている。
【0026】
さらに、図3、図4等に示すように、本実施形態では、補強リブ37のうち最も蓋部材4の外周側に位置する部位として蓋側溝構成部32と対向するリブ(以下、「隣接リブ38」と称する)と、蓋側溝構成部32の内壁部34との間を連結するガイドリブ39が設けられている。ガイドリブ39の下辺部は、隣接リブ38の下辺部、及び、内壁部34の下辺部と連接している。また、蓋側溝構成部32の内壁部34の下辺部は、補強リブ37(隣接リブ38)の下辺部よりも上方に位置しており、ガイドリブ39の下辺部は、蓋本体31の外周側に向けて上方傾斜している。さらに、本実施形態の内壁部34の下辺部(下面)は、ガイドリブ39の下辺部と面一となるように斜めに形成されている。
【0027】
当該構成により、蓋部材4をスリーブ3に被せる作業に際して、スリーブ3の上辺部の位置と、蓋部材4の蓋側溝構成部32との位置が水平方向において若干ずれた場合でも、スリーブ3の上辺部が、蓋部材4のガイドリブ39の下辺部に当接することで、スリーブ3の上辺部がガイドリブ39によって、蓋側溝構成部32側に相対的に案内され易くなる。このため、比較的容易に蓋部材4をスリーブ3に被せることができる。
【0028】
加えて、図2に示すように、蓋本体31の上面側には、蓋部材4の相対する一対の側辺部において、それぞれ蓋本体31の外周方向においてスライド可能に構成され、蓋側溝構成部32の内側に突出可能なロック部材41が設けられている。これに対し、図1に示すように、スリーブ3のうち蓋側溝構成部32の内側に挿入される部位には、スリーブ3の厚み方向に貫通する係止孔25が形成されている。そして、蓋側溝構成部32にスリーブ3が挿入された状態で、ロック部材41を蓋側溝構成部32に突出させることで、ロック部材41の先端が、スリーブ3の係止孔25に挿通される。これにより、スリーブ3と蓋部材4とが固定され、蓋部材4の脱落等がより確実に防止されるようになっている。
【0029】
尚、図示は省略するが、パレット2においても、土台側溝構成部13の内側に突出可能なロック部材が設けられており、該ロック部材がスリーブ3の下部の係止孔25に挿入されることで、パレット2とスリーブ3とが固定され、スリーブ3の脱落等がより確実に防止されるようになっている。また、蓋部材4の蓋本体31の外周形状と、パレット2のデッキ11の外周形状とは同じとなっており、図8に示すように、パレット2の上側に蓋部材4を直接載置することも可能である。この場合、蓋部材4の蓋側溝構成部32の外壁部33を部分的に下方に延長形成することで設けられた位置決めリブ42が、パレット2の土台側溝構成部13(の外壁部)に形成された位置決め凹部15に嵌入することとなり、水平方向における位置ずれ防止が図られている。
【0030】
また、図1、図3等に示すように、蓋本体31の上面側には、ガイドリブ39の上方位置において、蓋本体31の上面から上方に突出する突出部43が設けられている。図4等に示すように、突出部43は、蓋側溝構成部32の内壁部34を蓋本体31の上面側に延長させるようにして形成された外板部44と、外板部44よりも蓋本体31の内周側に位置して、外板部44と所定距離を隔てて対向する内板部45と、外板部44及び内板部45の上辺部間を連結する上板部46とを備えている。外板部44は内板部45よりも上方にまで延出しており、突出部43の上面を構成する上板部46は、蓋本体31の内周側に向けて下方傾斜している。特に、本実施形態では、ガイドリブ39の下辺部の傾斜角度と、当該ガイドリブ39の上方に位置する突出部43の上板部46の傾斜角度とが同一となっている。さらに、内板部45は、隣接リブ38よりも蓋本体31の外周側に位置している。
【0031】
当該構成により、図5に示すように、蓋部材4同士を、その外周縁を揃えるようにして上下に積み重ねる(段積みする)と、下側の蓋部材4の突出部43が、上側の蓋部材4の隣接リブ38と外壁部33との間の空間、より具体的には、ガイドリブ39の下辺部と外壁部33との間の空間に収容されるようになっている。また、蓋部材4同士を段積みする作業に際して、上下の蓋部材4の水平方向における位置が若干ずれた場合でも、下側の蓋部材4の突出部43の上面が、上側の蓋部材4のガイドリブ39の傾斜した下辺部に当接することで、下側の蓋部材4の突出部43が、上側の蓋部材4のガイドリブ39によって上側の蓋部材4の蓋側溝構成部32側に相対的に案内され易くなる。このため、比較的容易に蓋部材4同士を段積みすることができる。
【0032】
尚、本実施形態では、蓋本体31の外周方向において蓋側溝構成部32の内壁部34と、突出部43の外板部44との位置が揃っている。このため、蓋部材4同士を段積みすると、下側の蓋部材4の突出部43の外板部44と、上側の蓋部材4の蓋側溝構成部32の外壁部33の内面との間に比較的大きな隙間が形成される。この点、本実施形態では、外板部44の外面から蓋本体31の外周側に突出するガタ止めリブ47が設けられ、当該ガタ止めリブ47によって、かかる隙間を狭めることができ、蓋部材4間の位置ずれを抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態では、蓋部材4同士を段積みすると、下側の蓋部材4の突出部43の全体が、上側の蓋部材4の隣接リブ38(ガイドリブ39の下辺部)と外壁部33との間の空間に収容されることとなり、下側の蓋部材4の蓋本体31の上面と、上側の蓋部材4の補強リブ37の下辺部とが当接するように構成されている。このため、段積みされた蓋部材4全体の高さを抑制することができる。さらに、本実施形態では、蓋側溝構成部32(外壁部33)の下縁部は、基本的に補強リブ37の下辺部よりも上方に位置しており、下方に大きく突出した部位(位置決めリブ42)においても、補強リブ37の下辺部と同じ高さ位置となっている。これにより、蓋部材4自身を支持する面積(接地領域)を増やすことができ、蓋部材4の変形(塑性変形)等の抑制を図ることができる。
【0034】
尚、本実施形態の蓋部材4は、ロック部材41を収容するための収容部48(図1参照)が、ガイドリブ39の下辺部よりも蓋本体31の外周側にまで突出している(図2参照)。このため、当該収容部48が設けられた蓋部材4の相対する一対の側辺部においては、ガイドリブ39によってスリーブ3の上辺部を相対的に案内する機能が十分に作用しないが、収容部48が設けられていない蓋部材4の相対する一対の側辺部においては、ガイドリブ39によるスリーブ3の案内効果が確実に奏される。また、蓋部材4をスリーブ3へ被せる際には、蓋部材4のロック部材41が設けられていない辺部を、スリーブ3の2枚の板状体23で構成される側壁部21に対応させることが望ましい。すなわち、当該側壁部21が若干屈曲していたとしても、蓋部材4のガイドリブ39で側壁部21の上辺部を案内しながら蓋側溝構成部32に嵌入させることで、側壁部21も自然と真っ直ぐになることから、蓋部材4を被せる作業に際して、2枚の板状体23で構成される側壁部21を真っ直ぐ延びるように保持しておく必要がなくなり、作業性の向上が図られる。
【0035】
さらに、本実施形態では、蓋部材4の上面側に設けられる突出部43は、ロック部材41、ひいては、収容部48が設けられる位置には設けられていない。このため、蓋部材4同士を段積みする場合に、蓋部材4の全ての側辺部において、上側の蓋部材4のガイドリブ39によって下側の蓋部材4の突出部43を相対的に案内する作用効果が奏される。
【0036】
また、図6、図7に示すように、本実施形態では、蓋部材4の上面に対して直接パレット2を載置可能に構成されており、蓋部材4の上面には、パレット2を蓋部材4上に外周縁を合わせるようにして載置した場合に、パレット2の支脚部12を支持する位置において正方形状に凹む設置部としての設置凹部49(図1等参照)が形成されている。パレット2の支脚部12が蓋部材4の設置凹部49に挿入されて支持されることで、各支脚部12の水平方向における位置ずれが防止されるようになっている。
【0037】
さらに、前記突出部43は、設置凹部49のうち蓋本体31の外周縁に沿って延びる辺部に隣接して設けられている。換言すれば、設置凹部49は、突出部43の内板部45に隣接して設けられている。また、上記のように、突出部43の上面は、蓋本体31の内周側に向けて下方傾斜していることから、蓋部材4の上側にパレット2を載置する際に、設置凹部49と支脚部12とが水平方向において若干位置ずれしたとしても、支脚部12の下面が突出部43の上面に当接することで、支脚部12が突出部43の上面によって、設置凹部49側に案内され易くなる。このため、比較的容易にパレット2を蓋部材4に載せることができる。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態によれば、蓋本体31の下面側には、蓋側溝構成部32よりも蓋本体31の内周側において、下辺部が蓋本体31の外周側に向けて上方傾斜するガイドリブ39が設けられ、さらに、ガイドリブ39の下辺部は蓋側溝構成部32の内壁部34の下辺部と連接している。このため、スリーブ3の上辺部と、蓋部材4のガイドリブ39の下辺部とが当接することで、スリーブ3の上辺部がガイドリブ39によって相対的に内壁部34の下辺部側、ひいては、蓋側溝構成部32の内側に案内され易くなる。従って、蓋部材4をスリーブ3に被せる際に、スリーブ3の上辺部と、蓋部材4の蓋側溝構成部32との水平方向における位置がずれたとしても、スリーブ3の上辺部と、蓋部材4のガイドリブ39の下辺部とが当接した状態とされていれば、比較的スムースに蓋部材4の蓋側溝構成部32にスリーブ3の上辺部を挿入させることができる。特に、本実施形態では、内壁部34の下辺部がガイドリブ39の下辺部と面一となるように斜めに形成されているため、ガイドリブ39に当接したスリーブ3をよりスムースに蓋側溝構成部32へと相対的に案内することができる。結果として、蓋部材4をスリーブ3へ被せる際の作業性の向上を図ることができる。
【0039】
また、蓋側溝構成部32は、(蓋本体31の外周縁の全周にわたって)外壁部33のみならず内壁部34をも備えている。このため、蓋側溝構成部32に挿入されたスリーブ3の変形を外壁部33と内壁部34とで規制することができ、スリーブ3が不用意に折り畳まれてしまうといった事態をより確実に防止することができる。さらに、上記のようにガイドリブ39が設けられることで、蓋部材4をスリーブ3に被せる際の作業性の低下を回避しつつ、蓋側溝構成部32の幅(外壁部33と内壁部34との間の距離)を狭めることができる(本例では、スリーブ3の側壁部21の厚み相当)。従って、外壁部33と内壁部34とでスリーブ3の変形を防止するといった作用効果が一層確実に奏される上、スリーブ3に対する蓋部材4の水平方向におけるガタツキをより確実に防止することができる。結果として、蓋部材4の装着状態、ひいては、パレット2と、スリーブ3と、蓋部材4とを組立てて組立式容器1を構成した状態の安定化を図ることができる。
【0040】
また、蓋部材4の上面側には突出部43が設けられており、蓋部材4同士を段積みした場合、下側の蓋部材4の突出部43が、上側の蓋部材4の隣接リブ38(ガイドリブ39の下辺部)と外壁部33との間の空間に収容されるようになっている。このため、蓋部材4同士の段積みに際して、下側の蓋部材4の突出部43を挿入させて係止させるための凹部を別途形成しなくても済み、構成の複雑化を抑制しつつ、上側の蓋部材4が下側の蓋部材4から脱落するといった事態を防止することができる。
【0041】
また、蓋部材4同士を段積みする際に、上下の蓋部材4の水平方向における位置がずれたとしても、下側の蓋部材4の突出部43の上面と、上側の蓋部材4のガイドリブ39の下辺部とが当接した状態とされていれば、上側の蓋部材4の傾斜したガイドリブ39によって、下側の蓋部材4の突出部43が、上側の蓋部材4の隣接リブ38と外壁部33との間の空間に相対的に案内され易くなる。このため、比較的スムースに蓋部材4の外周縁を揃えることができる。結果として、蓋部材4同士を段積みする際の作業性の向上を図ることができる。
【0042】
加えて、突出部43の上面は、ガイドリブ39の下辺部と同じ傾斜角度をなすように構成されている。このため、下側の蓋部材4の突出部43の上面と、上側の蓋部材4の隣接リブ38の下辺部とが当接することでも、下側の蓋部材4の突出部43が、上側の蓋部材4の隣接リブ38と外壁部33との間の空間に相対的に案内され易くなる。このため、蓋部材4同士を上下に重ねた際に、蓋部材4同士が水平方向においてより大きく位置ずれした場合にも、案内効果が奏されるようになる。従って、蓋部材4同士を段積みする際の作業性の向上をより一層図ることができる。さらに、下側の蓋部材4の突出部43の上面と、上側の蓋部材4のガイドリブ39の下辺部との接触面積を増やすことができ、突出部43及びガイドリブ39の接触時の破損等を抑制することができる。
【0043】
また、突出部43の上面は、ガイドリブ39の下辺部と同じ傾斜角度をなすように形成されることで、蓋本体31の内周側に向けて下方傾斜する傾斜面となっている。さらに、突出部43の蓋本体31の内周側に隣接して設置凹部49が設けられている。従って、蓋部材4の上側にパレット2を積み重ねる場合に、蓋部材4の設置凹部49と、パレット2の支脚部12との水平方向における位置がずれたとしても、蓋部材4の突出部43の上面と、パレット2の支脚部12の下面とが当接した状態とされていれば、支脚部12が突出部43の上面によって設置凹部49側に案内され易くなる。このため、比較的スムースにパレット2の支脚部12を蓋部材4の設置凹部49に設置することができる。結果として、蓋部材4の上にパレット2を積む際の作業性の向上を図ることができる。
【0044】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0045】
(a)上記実施形態では、スリーブ3においてロック部材41の先端部が係止される係止孔25が形成されているが、スリーブ3の上部と蓋部材4とを係合する構成は特に限定されるものではない。例えば、係止孔25を省略する、或いは、係止孔25に代えて凹部を形成する等して、ロック部材41をスリーブ3に圧接させることでスリーブ3の脱落等を抑制するように構成してもよい。加えて、ロック部材41を省略することも可能である。
【0046】
また、上記実施形態では、ロック部材41を収容するための収容部48が、斜めに延びるガイドリブ39の下辺部よりも蓋本体31の外周側に突出しているが、突出しないように構成することとしてもよい。この場合、ロック部材41を蓋側溝構成部32の内側に出没させるべく、上記実施形態よりもロック部材41を大きく変位させる必要が生じるものの、蓋部材4をスリーブ3に被せる際に、当該ロック部材41が設けられている蓋部材4の側辺部に関しても、ガイドリブ39の下辺部の傾斜による案内効果を享受することができ、蓋部材4をスリーブ3に被せる際の作業性の向上をより一層図ることができる。尚、当該作用効果は、ロック部材41及び収容部48を省略した場合にも同様に奏される。
【0047】
(b)上記実施形態では、蓋本体31の上面において、蓋部材4にパレット2を載置する場合に支脚部12と当接して支持する設置部として、支脚部12が設置される部位の蓋本体31の上面を下方に凹ませることで設置凹部49を形成しているが、凹ませなくてもよい。すなわち、上記実施形態のように、支脚部12が設置される部位に隣接して突出部43が複数箇所に設けられていれば、当該突出部43の内板部45で支脚部12の位置ずれを規制することができる。勿論、上記実施形態のように設置凹部49を形成することで、蓋部材4に載置されたパレット2の位置ずれをより確実に防止することができる。
【0048】
(c)上記実施形態では、蓋側溝構成部32の支持壁部34の幅は、スリーブ3の厚みよりも若干大きい程度に構成されているが、上記実施形態よりも大きくてもよい。但し、スリーブ3の位置決めを行う(水平方向における位置ずれを防止する)といった観点からすると、極力狭く構成されること(スリーブ3の厚みよりも若干大きい程度)が望ましい。
【0049】
また、上記実施形態では、蓋本体31の外周方向において、突出部43の外板部44の位置と、蓋側溝構成部32の内壁部34の位置とが同じとなっているが、特にこのような構成に限定されるものではない。すなわち、外板部44が外壁部33よりも蓋本体31の内周側に位置し、内板部45が隣接リブ38よりも蓋本体31の外周側に位置し、蓋部材4同士を段積みした場合に、下側の蓋部材4の突出部43が、上側の蓋部材4の外壁部33と隣接リブ38との間に収容されるようになっていればよい。例えば、突出部43の外板部44を、蓋側溝構成部32の内壁部34よりも蓋本体31の外周側に位置させるとともに、突出部43を上方に開口させる(上板部46を省略する代わりに外板部44と内板部45とを連結するリブを設ける)こととしてもよい。
【0050】
さらに、上記実施形態では、突出部43の上面がガイドリブ39の下辺部の傾斜角度と同じ角度の傾斜面となっているが、傾斜角度が異なっていてもよい。すなわち、突出部43の上面の傾きが異なっている(例えば、水平面である)場合にも、蓋部材4同士を段積みする際に、下側の蓋部材4の突出部43の上面が、上側の蓋部材4のガイドリブ39の下辺部に当接すれば、同様に案内効果が奏される。また、突出部43の上面が隣接する設置凹部49に向けて下方傾斜してさえいれば、蓋部材4にパレット2を載置する際の案内効果が奏される。
【0051】
(d)上記実施形態では、ベース部材として支脚部12が設けられたパレット2が採用されているが、ベース部材の構成は特に限定されるものではなく、例えば、支脚部12が省略されたようなベース部材を採用してもよい。また、パレット2の支脚部12の数は特に限定されるものではなく、少なくともデッキ11の4隅に設けられていればよい。また、上記実施形態のスリーブ3は、2枚の板状体23を具備する側壁部21を内側に折り込むようにして折り畳むことができる構成となっているが、それぞれ1枚の板状体で構成された4つの側壁部21同士をヒンジ接続することで、所定のコーナー部と対角のコーナー部とを近接させるようにして折り畳み可能に構成されたものであってもよい。
【0052】
(e)上記実施形態では、蓋部材4はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…組立式容器、2…パレット、3…スリーブ、4…蓋部材、11…デッキ、12…支脚部、31…蓋本体、32…蓋側溝構成部、33…外壁部、34…内壁部、35…支持壁部、37…補強リブ、38…隣接リブ、39…ガイドリブ、43…突出部、49…設置凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置可能なベース部材に立設された四角筒状の折り畳み可能なスリーブに被せられる蓋部材であって、
スリーブの上方の開口を閉塞可能な略矩形板状の蓋本体を備えるとともに、
前記蓋本体の下面側には、前記蓋本体の外周縁に沿って形成され、スリーブの上辺部を挿入可能な溝構成部が設けられ、
前記溝構成部は、前記蓋本体の外周方向において対向する外壁部及び内壁部と、前記外壁部及び内壁部の上辺部間を連結する支持壁部とを備えて下方に開口する断面略コ字状をなし、
少なくとも前記蓋本体の相対する2つの側辺部に対応して、前記内壁部のうち前記蓋本体の内周側の面から延出するガイドリブが設けられ、
前記ガイドリブの下辺部は、前記蓋本体の外周側に向けて上方傾斜するとともに、前記内壁部の下辺部と連接していることを特徴とする蓋部材。
【請求項2】
前記蓋本体の上面側には、前記ガイドリブの上方位置において、前記蓋本体の上面から上方に突出する突出部が設けられ、
蓋部材同士を上下に積み重ねるとともに、上下に重ねられた蓋部材の外周縁を揃えた場合には、下側の蓋部材の前記突出部が、上側の蓋部材の前記ガイドリブの下辺部と前記外壁部との間の空間に収容されることを特徴とする請求項1に記載の蓋部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−23222(P2013−23222A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156220(P2011−156220)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】