説明

薄膜粘度の決定方法

【課題】測定温度で粘性を示す薄膜(特には、ガラス遷移温度より高い温度でのポリマー樹脂)の粘度を決定する方法を提供する。
【解決手段】材料の薄層が基板上に形成され、既知の幾何学パターンが成形またはエッチングにより薄層内に印刷され、薄層は印刷工程の最後に固体状態となる。印刷パターンの初期トポグラフィが所定方向に沿ったパターンの全長にわたって測定され、膜は、所定のクリープ時間tfluの間測定温度Tmで焼成され、クリープパターンの結果のトポグラフィが測定される。トポグラフィ測定の数学処理が測定温度の粘度の値を導出するために行なわれる。印刷パターンは初めは非周期的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定温度で粘性を示す薄膜(特には、ガラス遷移温度より高い温度でのポリマー樹脂および融解温度より高い温度での無機材料)の粘度を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘度を測定するための従来の工業技術は、極薄膜(例えば、10マイクロメータ未満の厚さを有する膜)に対し測定を行うことができない。
【0003】
極薄膜については、様々な実験室的解決策(特には、粘性膜の層に印刷された周期パターンの漸進的平坦化を測定すること)が提案されている。その原理は次の通りである。周期的な初期パターン(例えば、それぞれが矩形断面を有する規則的に離間された同一の並列直線状リッジのネットワーク)を膜内に設定する;このパターンを例えば膜が粘着性である温度において膜内に印刷する;凝固された印刷パターンを例えば原子間力顕微鏡により精密に測定する;パターンの空間的プロフィールをフーリエ級数に分解する;膜を、所定時間(焼成時間と呼ぶこともある)の間、粘度を測定しようとする温度まで加熱する;パターンは、測定温度における膜の粘度に多少依存して平坦化される傾向がある;固体化するために膜を再び冷却する;周期的ネットワークの新しい幾何学的プロフィールを測定する;このプロフィールをフーリエ級数に分解する;2つのフーリエ級数のそれぞれの基本係数に基づく計算により、膜の平均厚みとパターンの空間的周期とパターンが測定温度に晒された時間とがわかれば、粘度と表面張力との比である特徴項を決定することができる;表面張力は他の技術により独立に測定可能であるので粘度を計算することができる。
【0004】
2つのフーリエ級数のそれぞれの基本係数のそれぞれの振幅をaとafluで表すと、次式のように書くことができる。
flu/a=exp(−tflu/τ)
ここで、tfluは焼成時間であり、τは粘度に関連する時定数であり、次のように書くことができる。
τ=3η(1/γh)(λ/2π)
ここで、ηは粘度、γは表面張力、λは周期パターンの空間的周期(フーリエ級数の基本周波数を定義する周期)、hは層の平均厚である。
【0005】
この方法の欠点の1つは、比aflu/aを決定することにより粘度を測定することは、この比が1に余りに近くなくかつ余りに0に近くない場合だけ意味をなすということである。これは、周期パターンが焼成時間中にほとんど動かなかった場合あるいはパターンが焼成後にほぼ平坦になった場合に測定不正確性が余りに大き過ぎて信頼できる粘度を決定することができないと言うことに等しい。
【0006】
したがって、許容可能な比aflu/a(例えば、0.5からあまり離れていない比)となるネットワーク幾何学的形状と焼成時間とをあらかじめ決定する必要がある。これは、適切な近似により可能性の高い粘度の値を予め知る必要があることを意味する。さらに、選択される焼成時間は実用試験の可能性(すなわち、膜の温度を安定化させるためのかなり長い時間、しかし合理的な試験を可能にするためのかなり短い時間(1時間未満))に適合する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
良好な条件下での測定を支援するために、本発明は、少なくとも一測定温度Tmにおいて薄層内の材料の粘度を測定するための方法を提供する。本方法は、基板上に材料の薄層を形成する工程と、成形またはエッチングにより既知の幾何学パターンを薄層内に印刷する工程であって薄層は印刷工程の終了時に固体状態となる、工程と、印刷パターンの初期トポグラフィを所定方向に沿ったパターンの全長にわたって測定する工程と、所定のクリープ時間tfluの間、測定温度Tmまで加熱し、その後、層の凝固温度まで冷却する工程と、クリープパターンから生じたトポグラフィを測定する工程と、測定温度における粘度の値を導出するためにトポグラフィ測定結果を数学処理する工程と、を含む。本方法は、既知の形状の印刷パターンが非周期的なパターンであることを特徴とする。
【0008】
非周期的パターンは、測定方向に測定されたトポグラフィの全長にわたって一定の周期性を有しないパターンを意味するものとする。換言すると、トポグラフィ(すなわち印刷パターンの高さ変動の曲線)が軸Oxに沿って測定された場合、初期印刷パターンは軸Oxに沿ったパターンの全長にわたって周期的でない(局所的に周期的だとしても)軸Oxに沿った垂直断面を有する。
【0009】
局所的に周期的な領域を有する実施形態は可能であるが、パターンは完全に非周期的である(すなわちパターンは、パターンが一定周期を有する局所領域を含まない)ことが好ましい。
【0010】
薄層内に印刷される幾何学パターンは、トポグラフィ測定方向Oxに垂直な方向Oyに延びOyに垂直な面に矩形断面を有しOxを通る並列溝からなることが好ましい。
【0011】
Oxに沿った横座標xを有する溝の元の側壁と次の溝の元の側壁間の距離をλ(x)で表すと、この距離λ(x)は、周期パターンの一定周期による類推で、2つの連続的な溝の側壁間の距離でもあるパターンの可変「周期」であると考えられる。本発明に従って、周期λ(x)の変動は好ましくは以下の形式の1つを取ることを提案する。
1/λ(x)=1/λmax+(1/λmin−1/λmax)x/L
または
λ(x)=λmin(λmax/λminx/L
または
λ(x)=λmin+(λmax−λmin)x/L
または
λ(x)=λmin+(λmax−λmin)(x/L)1/4
ここで、λminとλmaxは、印刷パターンの最小および最大空間的周期(あるいは溝間の端から端までの距離)、Lはパターンの全長である。
【0012】
粘度は以下のやり方で計算されることが好ましい。
−クリープ前の印刷パターン上で測定されるトポグラフィの離散フーリエ変換の係数を計算する、
−クリープ後のトポグラフィのフーリエ変換の理論係数は、それぞれがそれぞれの仮想粘度に関連付けられる複数の一連の理論係数を得るために粘度パラメータを変更しながら、粘度パラメータを含む計算式に従って導出される、
−クリープが計算された後、トポグラフィのフーリエ変換の一連の実験係数を測定する、
−一連の実験係数と様々な系列の理論係数間の最適相関の探索が実行され、最良の相関を与える粘度が導出される。
【0013】
n次理論係数を計算するための式は次のものが好ましい。
tflu(η)=aexp(−tflu/τ
ここで、atflu(η)は時間tfluの間のクリープ後のトポグラフィのn次理論フーリエ係数であり、aはクリープ後の印刷パターン上で測定されたトポグラフィのn次係数であり、τは次の関係式により粘度ηに関連付けられた層の緩和係数である。
τ=3η(1/γh)(L/2πn)
ここで、γは薄層の表面張力であり、hはその平均厚みであり、Lは方向Oxに沿った印刷パターンの全長である。
【0014】
数学処理の変形では、周期が連続的に変化するパターンに沿ったクリープ前部(creep front)の位置が監視されるとともに、既知の時点におけるこのクリープ前部の位置は粘度の値に数学的に関連付けられる。具体的には、所与のクリープ時間の間、粘度が低くなればなるほどクリープ前部は軸Oxに沿って原点からさらに離れる(原点は最短周期λを有する側に取られる)。クリープ前部は幾何学パターンのクリープ部(crept part)と未クリープ部(not yet crept part)間の仮想境界(境界では、溝の最大振幅深さは元のパターン(すべての溝は同じ深さを有する)の深さに対し所定係数だけ低減されている)として定義されてもよい。時間tfluすなわち任意の時点で、この前部がどこにあるかを調べることは可能である。粘度を導出することができる数式については後述する。
【0015】
本発明の他の特徴と利点は、添付図面を参照して示される以下の詳細な説明を読むことで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】周期パターンに従って基板上に堆積され整形された固体薄層を遠近法で表す。
【図2】ガラス転移より高い温度におけるクリープ後の縦断面におけるこの薄層を表す。
【図3】非周期的パターンに従って整形された固体薄層を表す。
【図4】ガラス転移より高い温度におけるクリープ後の図3の層を表す。
【図5】本発明による方法の主工程を概略的に表す。
【図6】クリーププロフィールの高さの曲線を表し、曲線の包絡線と、クリープ領域と未クリープ領域間のクリープ前部と、を示す。
【図7】実験に使用された幾何学パターンを表す。
【図8】クリープ前後の、この実験でプロットされた高さ曲線を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
従来技術では、極薄層(例えば10マイクロメータ未満)内の材料の粘度を測定するために、この材料の層12が図1に表されるような周期的な開始パターンに従って基板10上に堆積され整形された。このパターンは方向Oyに沿って延びる同一並列溝のネットワークであって、すべてピッチλ(パターンの空間的「周期」と呼ぶことがある)で方向Oxに規則的に離間される。溝は矩形プロファイルとその最大振幅深さPを有する。深さPは層の合計厚Eより浅く、したがって溝の底部は基板の材料に接触していない。溝を分離するプラトーの幅は溝の幅と等しくてもよい。
【0018】
層は初めは固体状態である、すなわち、初めはガラス遷移温度より低い温度である。薄層がクリープ時間tfluの間ガラス遷移温度より高い測定温度Tmまで加熱されると層は図2に表すように次第に規則的に平坦にされる(クリープ前の曲線のプロフィールは点線で表される)。深さPを有する長方形溝から始まり、最大振幅深さPの丸くなったプロフィールを有する溝が得られる。極めて高い粘度を有する材料は同じクリープ時間では低い粘度を有する材料より変形が少ないので、PとPとの比は粘度(またはより正確には材料の粘度と表面張力との比)に直接関連付けられる。
【0019】
とPとの比を計算するためには、パターンの全長にわたる水平距離(Oxに沿った)の関数として高さの曲線を測定する(原子間力顕微鏡により垂直軸Oxに沿って測定する)ことが最も良い。この測定のフーリエ変換を取ることにより、振幅係数は基本空間周波数(ネットワークの周期λにより決定される)に対し直ちに見出される。変換は、クリープ前の層の高さの曲線とクリープ後の層の高さの曲線に対し取られる。変換の第1番目の係数同士の比により粘度を計算することをができる。
【0020】
要約すれば、図1と図2では、そのフーリエ変換が基本周波数とその高調波(高調波は開始パターンが矩形であり正弦波ではないというということに関連する)を本質的に含む単純な周期的ネットワークである開始パターンが使用され、粘度の決定には基本周波数だけが使用される。
【0021】
本発明によれば、そのスペクトルが大振幅を有する基本周波数と小振幅を有するその高調波とにより特徴付けられない非周期的なネットワークが使用される。
【0022】
ここでは、以下の2つのタイプの非周期的ネットワークを主として考える。
−一定の空間的周期を有する局所領域を持たない完全に非周期的なネットワーク;このようなネットワークはライン間で連続的に可変な幅と間隔を有する一組の並列溝からなってよい。
−領域間で変化する一定の空間的周期を有する連続的な領域を有する部分的に非周期的なネットワーク;このようなネットワークは、並置された連続的なグループに編成された一組の並列溝(1つのグループの溝は、他のグループの幅と間隔とは異なる一定幅と一定間隔を有する)からなってよい。
【0023】
図3は、軸Ox(溝の縦方向に垂直な軸)に沿って連続的に可変な空間的「周期」を有する並列溝のネットワークの一例を遠近法で表す。これは完全に非周期的なネットワークであり、したがって、用語「周期」はここでは従来技術の周期的ネットワークとの類推で使用され、空間的周期は、溝と次の溝からこの溝を分離するプラトーとの間の方向Oxの長さ(すなわち、溝と溝に隣接するプラトーを含むアセンブリの最初の部分を、溝とプラトーを含む次のアセンブリの最初の部分から分離する距離)である。空間的周期は様々な形式を取ることができる関数λ(x)(これについては後述する)に従って変化する。周期は値λminと値λmaxの間で変化する。測定可能な粘度の範囲は、比λmax/λminが大きくなるとそれに比例して大きくなる。
【0024】
図1のように、凝固層に印刷された開始パターンの溝の深さPは層の合計厚Eより浅い。
【0025】
図4は、ガラス遷移温度より高い測定温度Tmでの時間tfluの間の図3のパターンのクリープの結果を表す。ネットワークのプロフィールは温度とクリープの持続期間とに多少依存して平坦にされるが、平坦化は一様ではなくネットワーク全体にわたって一定の溝深さ(図2の場合のように)にはならないということがわかる。具体的には、ライン同士が最大に離間される場合、底部の深さは開始深さPとほぼ等しいままであるが、それらが少しだけ離間される場合、深さはPよりはるかに小さくなる。
【0026】
したがって、図1の周期パターンで行ったように、溝の深さに焦点を当てず、その代りに、軸Ox上の位置の関数としての層の高さ変動z(x)の完全なプロフィールに焦点を当てる。
【0027】
開始固体層の溝の基部を高さ基準0とし開始パターン内の溝を分離するプラトー上部における層の高さzをz=Pに取ってもよく、あるいはその代わりに薄層の底部を高さ基準0とし溝内の層の高さをE−P、プラトーの高さをEに取ってもよい。
【0028】
(所与のクリープ時間tfluの間の)層の粘度に依存して、異なるクリーププロフィールが存在する。ラインが特に近接している場合には、高粘度であっても、かなりの高さ変動が存在し得る(最初のプロフィールに近過ぎもせずまた平坦過ぎることもない)ことと、低粘度については、ラインがそれほど近接していない場合には、高さ変動はより大きく、ラインが最も近接している場合には層はほぼ平坦にされることと、が理解される。
【0029】
これにより、見出すべき粘度の近似値についての情報が事前にわずかしかなくても試料を解析することが可能となる。
【0030】
解析はいくつかのやり方で実行されてよいが、すべての場合において、複数の連続的な解析:
−例えば、最初の時間全体にわたるクリープを観察して最初の粘度測定値を最初に得、次に別の粘度測定法を実行するために、到達した点から始まるクリープを再開するための同じ測定温度での複数の解析、
−あるいはその代わりに、最も低い温度から始まる異なる連続的温度において粘度を測定するための、異なる連続的測定温度における複数の解析、
を実行するために同じ試料を使用することができることに留意されたい。
【0031】
高さプロフィールがクリープ前とクリープ後の両方で非周期的であるという事実にもかかわらず、粘度値を得るために軸Oxに沿った層の高さz(x)のクリープ前後のプロフィールが処理されるやり方について次に説明する。
【0032】
図5は本発明による方法の主工程を表す。
【0033】
最初の工程は、解析すべき層12を基板10上に堆積することである。有機ポリマー層の場合、層は例えばスピンコーティングまたはスパッタリングにより堆積されてよい。堆積を容易にするために層が溶媒に混合されると、溶媒を除去するために層は焼成され、次に基板上に一定の厚さの固体膜を形成するために室温まで冷却される。
【0034】
層の平均厚みhは例えば偏光技術により測定される。測定は凝固状態または粘稠状態の層上で行われてよい。
【0035】
図5Aでは:基板と層は、後者の表面に既知の形状の非周期的な開始パターン(図3のパターンであってよい)を印刷する前に加熱される。
【0036】
図5Bでは:パターンは、所望のパターンに従ってエッチングされた成形型20により層内に熱印刷される。加熱は、層が成形型の形を正確に取り入れるのに十分な液化温度になるまで行なわれる。これは、ガラス遷移温度より高い温度、あるいは無機材料の融解温度より高いがもちろんその破壊温度または沸点より低い温度である。成形温度は粘度を測定すべき測定温度とは独立している。成形型の印刷の深さは、図3に従って印刷される層の厚さより薄い(P<E)。
【0037】
図5Cでは:成形型は、薄層の凝固温度(室温であってもよい)まで冷却され、その後、凝固層12上に開始パターンを得るために離型される。
【0038】
層内のパターンの印刷は、特に無機材料に関して、パターンを定義するマスクを用いたフォトリソグラフィ法により、またはその代わりに生成対象パターンの関数として制御される電子ビームによるエッチングにより得られるであろう。
【0039】
成形型自体は、可能な限り高い分解能を有する、マスクを用いたまたは用いないリソグラフィ技術により生成される。
【0040】
図5Dでは:このようにして用意された試料の高さ曲線z(x)がプロットされている。この曲線は、層内に印刷されたパターンのラインに垂直な軸Oxに沿った薄層の表面の高さ変動を表す。簡単にするために、パターンはOyに沿った一定の断面を有する平行ラインを含むと仮定する。すなわち、本方法はOxだけでなくOy(OxとOyに垂直である)にも沿って高さが変化する三次元パターンに適合可能であろうがパターンは二次元であると考えられる。例えば、そのネットワークが完全に非周期的または部分的に非周期的である行とそのネットワークが周期的または非周期的である列との交差ネットワークが考えられる。
【0041】
Oxに沿った高さは原子間力顕微鏡または走査型トンネル顕微鏡(STM顕微鏡)により測定されることが好ましい。これらの顕微鏡により1ナノメートル程度の高精度を有するトポグラフィック高さ測定が可能となる。
【0042】
図5Eでは:薄層は、クリープ時間tfluの間、知ろうとする粘度の測定温度Tmまで加熱される。クリープ時間は温度Tmの薄層の粘度に関し知られているのものの関数として極めて近似的に選択されるが、非周期的なネットワークは極めて広範囲の粘度、したがって広範囲のクリープ時間における測定を可能にする。
【0043】
図5Fでは:加熱は停止され、薄層は部分的に平坦な(しかし、もちろん完全に平坦ではない)状態で凝固するように急速に冷却される。
【0044】
図5Gでは:試料の高さ曲線z(x)は再び、最初の測定中と同じOxに平行な線に沿って、かつ高さ基準と同じ高さ尺度に従ってプロットされる。同じ測定ツール、原子間力顕微鏡、またはSTM顕微鏡が使用される。
【0045】
上に示したように、工程5E、5F、5Gは、
−クリープを続けるために同じ温度および同じ持続時間で、
−あるいは同じ温度および異なる持続時間で、
−あるいは異なる温度および同じ持続時間または異なる方向で、数回繰り返されてもよい。
【0046】
工程5E、5F、5Gの単独グループだけについて次に考察する。
【0047】
クリープ前後の曲線の比較により、粘度についての情報を推測できるようになる。
【0048】
この比較は、クリープ前後の高さの曲線の離散フーリエ変換を取ることにより行われることが好ましい。
【0049】
層(すなわち層の上部表面の)の高さは、厳密に正の関数z(x)により記述される。軸Oxに沿った全パターンの長さはLである。この長さは測定手段の能力の関数として、例えば原子間力顕微鏡による測定ではL=40または50マイクロメータ、あるいは表面形状測定装置(profilometer)または光学顕微鏡による測定では数百マイクロメータに選択される。
【0050】
読み易くするために様々な図面に表されたものに反して、層の高さ変動は層の平均厚みに比較して小さいものと想定される。
【0051】
高さ曲線のフーリエ変換は、クリープ前の曲線およびクリープ後の曲線について同じ条件下で取られる。それぞれの変換はN個の係数(両方の曲線に対して同数N)を生じる。クリープ前の開始曲線のフーリエ変換のn次係数はaで表され、時刻tflu(クリープの終了時)のフーリエ変換のn次係数はatfluで表される。
【0052】
仮定を単純化することにより、このn次係数の理論値が粘度ηに依存することが示される。この理論値はatflu(η)として次のように表される、
tflu/a(η)=exp(−tflu/τ
ここでτはフーリエ変換のn次係数に固有の特性緩和時間である。また、この緩和時間は
τ=3η(1/γh)(L/2πn)
により近似することが可能であることが示される。ここで、ηは粘度であり、γは当該温度における層の表面張力であり(表面張力は粘度を見出そうとする場合は既知であると考えられるが、比η/γを見出そうとする場合は既知である必要はない)、hは層の平均厚みであり、Lはパターンの全長である。
【0053】
粘度は知られていないので、理論計算は一連の異なる粘度値により行なわれ、相関探索は、何がクリープ後に実際に測定された高さ曲線のフーリエ変換により得られた一連の値atfluに最も近い一連の理論係数atflu(ηopt)を与える最適な粘度ηoptであるかを見出すために実行される。
【0054】
したがって、粘度(または比η/γ)の値は、初期の高さ曲線のフーリエ変換に基づき、粘度値ごとに一連の理論係数atflu(η)を見出そうとする一方で、最初に変更される。実験的に測定された曲線のフーリエ変換は一連の係数atfluを得るために並行して取られる。次に、2つの系列を可能な限りうまく一致させる最適な粘度値が探し求められる。
【0055】
これらの最大値と最小値の比λmax/λminは所与のクリープ時間のパターンにより測定可能な最大粘度と最小粘度の比を決定する。λminは層内にパターンを印刷するために使用される技術の分解能により決定される。λmaxはLと比較して小さくなければならない(好ましくは少なくとも5〜10倍小さい)。分解能判定基準は次のやり方で表される。軸Oxに沿った単位距離当たりの周期の増加率dλ/dxのλmin倍の積が当該技術により許容される分解能(δrで表すことがある)の2倍以上である必要がある。
λmindλ/dx>=2δr
(増加率dλ/dxはここでは、周期がλminである位置における速度である。)
【0056】
最大周期と最小周期の比λmax/λminは、測定すべき粘度範囲の関数として(一定のクリープ温度と一定のクリープ時間により)選択されることが好ましく、このとき、値λminは分解能判定基準を満たす。選択されたλminからλmaxへ変化する変動プロフィールがパターンの全長Lと比較して十分に小さな値λmaxに至るかが検査される。そうでない場合、比λmax/λminは減じられ、上記手順が再び開始される。
【0057】
以下の例では、本発明に従って有利に使用可能ないくつかのタイプのパターン(すなわち軸Oxに沿った周期の変動プロフィール)を示す。
【0058】
1.均一なスペクトル密度を有するパターン
スペクトル密度の均一性は、パターンの小さな周期と大きな周期の両方を利用できるようにする。
【0059】
このような均一性は、例えば式:
1/λ(x)=1/λmax+(1/λmin−1/λmax)x/L
に従って周期λ(x)を変更することにより得られる。
【0060】
2.一定速度を有するクリープ前部のパターン
周期が例えば左から右へ漸進的に減少することにより連続的に変化するパターンを考察する。温度Tmでの焼成中、クリープは、最初に右側(周期が最も小さい)に表れ、次に漸進的にますます左側に向かう。粘度を測定するための方法は、顕微鏡を使用して、クリープ領域のこの漸進的拡大の変化を左から右へ観察することからなる。例えば、軸Oxに沿った時間の関数として変化する位置であってクリープ完了領域(already crept zone)と未クリープ領域との境界(観察される時間の関数としてのクリープ前部の移動)を概略的に表すクリープ前部が定義されてもよい。
【0061】
xの関数としての周期変動が小さければ(例えば、dλ/dxが10−3以下)高さプロフィールz(x)はexp[−t/τ(x)]に比例する振幅包絡線により変調されるということが示される。ここで、τ(x)は周期λ(x)に対応する時定数τ(x)=3η(1/γh)[λ(x)/2π]である。これは、xにおける一定の局所緩和定数はあたかもパターンが周期的であり、空間的周期λ(x)を有すると言うことに等しい。
【0062】
この場合、クリープ前部を任意に定義しその移動を観察することが可能である。クリープ前部はOxに沿った横座標であり、その相対的振幅は初期パターンのリッジの振幅に対しe−αの係数だけ減少される。係数αは任意に選択されてよく、観察を行うために使用される測定装置に依存する。例えばα=3の場合、クリープ前部の位置はパターンが5%減少した位置であると考えられる。但し、振幅が50%減少した位置によりクリープ前部を定義するために別の値、例えばα=0.69を選択することもできるであろう。クリープ前部の横座標は時点tにおいてx(t)である。
【0063】
図6には、測定温度Tmまで加熱し始める時点tにおけるパターンのプロフィールの例を示す。クリープ前部は係数α=0.69に対応する位置に置かれた。
【0064】
クリープ前部の移動速度を時間の関数として測定するためにビデオカメラを使用することができる。
【0065】
その周期が次の形式に従って変化するパターンを選択することにより、
λ(x)=λmin+(λmax−λmin)(x/L)1/4
パターンに沿ったクリープ前部の速度が一定であり速度はL/α.τ(L)に等しいという興味ある結果が得られることを示すことができる。ここでτ(L)は横座標Lにおける緩和定数、すなわちパターンの周期が最も小さい(λmin)位置における緩和定数である。
τ(L)=3η(1/γh)[λmin/2π]
【0066】
したがって観測速度に基づき、粘度を得ることができる。
【0067】
フーリエ変換計算により粘度値を係数の理論値と高さ測定の結果の値との相関により最適値を見い出そうとする場合は、この形式の周期変動を採用してもよい(上記参照)。
【0068】
3.クリープ前部の最大傾斜のパターン
クリープ領域(図6の右側)と未クリープ領域(左側)間の高コントラストを有するために、包絡線の大きな傾斜がクリープ前部の位置に必要である(これはクリープ中、常に当てはまる)。
【0069】
これは局所周期λ(x)がλminからλmaxまで指数関数的に変化する次の非周期的パターンを使用することにより実現されるということが示される。
λ(x)=λmin(λmax/λminx/L
【0070】
4.クリープ前部の一定高差のパターン
2つの連続リッジ間の最大振幅高差は、いずれにしてもパターンの最小周期の興味あるパラメータ(ほぼ傾斜に対応する)である。最大振幅高差が時間の関数として一定であることが望まれる場合は、次式で表される周期λ(x)の直線変化を選択する必要があることが示される。
λ(x)=λmin+(λmax−λmin)x/L
【0071】
本発明の1つの利点は、測定可能な粘度の範囲が、実験により利用可能となった最小および最大クリープ時間(tmaxとtmin)(実際には、tminは1分程度でありtmaxは1時間程度である)間の比だけでなく、パターンの周期λmaxとλminの比(より正確には、この比の4乗)にも依存するということである。
ηmax/ηmin=(tmax/tmin)×(λmax/λmin
【0072】
λmax/λminが2に等しい場合は測定可能な粘度の範囲に16を掛け、λmax/λminが10に等しい場合は測定可能な粘度の範囲に10000を掛ける。
【0073】
さらに、隣り合うまたはオーバーラップする周期の範囲を有する複数の異なる幾何学パターンを同じ基板上に置いてもよい。2つのパターンAとBの隣り合う範囲は、パターンAの最大周期λmaxがパターンBの最小周期λminと等しいことを意味する。オーバーラップ範囲は、パターンAの最大周期λmaxがパターンBの最小周期λminより大きいがパターンBの最大周期λmaxより小さいということを意味する。
【0074】
オーバーラップは測定を確認するために有用である。しかしながら大き過ぎるオーバーラップは不都合であろう。周期λmin、λmaxのオーバーラップ範囲を有する3つのパターンA,B,Cが存在する場合、1つの興味ある解決策は、周期範囲のオーバーラップが完全である(あらゆる場所での範囲のオーバーラップ)が一意的すなわち非重複的である(すなわち、3つのパターンすべてに属する周期値が存在しない)ということであると考えられる。
【0075】
後者の結果は、λmax/λmin=Rがすべてのパターンに対して一定となるような周期(λmin、λmax)の範囲を有するパターンにより、そしてパターンBの最小周期λminがパターンAの最小周期のR1/2倍と等しいということを与えることにより、実現される
【0076】
上の説明では周期変動λ(x)が既知であると仮定されていたが、特定の実施形態では非周期的パターンは2つの空間的周期(最小と最大(λminとλmax))の間に分布する互いに異なる周期を有する一連の隣り合う周期サブパターンからなると仮定した。離散フーリエ変換に基づき粘度を計算するための上に説明した原理は依然として適用可能である。λminとλmax間の周期の変動は階段関数となった。
【0077】
例示として、30k(モル質量30kg/モル)のポリスチレン薄層の粘度を120°Cで測定することができるやり方について説明する。
【0078】
この材料の120°Cでの表面張力は既知であり、γ=32mN/mである。
【0079】
薄層内に印刷されたパターンのOxに沿ったプロフィールを決定するために原子間力顕微鏡が使用される。使用装置の測定の最大長は40マイクロメータである。
【0080】
パターンは5ナノメートルの分解能を有する成形型により印刷される。
【0081】
この場合、周期λ(x)がスペクトル密度を均一にする傾向がある関数(例えば式:1/λ(x)=1/λmax+(1/λmin−1/λmax)x/Lにより定義される上述の関数)に従って横座標xの関数として変化する幾何学パターンを選択できることが好ましい。他の同様な要件を満たすパターンが選択されてもよく、この例では、上述の式:λ(x)=λmin(λmax/λminx/Lにより定義されるパターンが選択される。
【0082】
さらに、10に等しい比λmax/λminが任意に選択される。
【0083】
上に説明した分解能判定基準は、x(λ=λmin)に対するλ(x)の微分係数のλmin倍の積が2倍を越える分解能であり、したがってこの例では10ナノメートル以上であることを意味する。さて、λ=λmin(すなわち、この場合x=0)に対する関数λ(x)の微分係数はここではλmin[ln(λmax/λmin)]/Lに等しい。
【0084】
これから、10ナノメートル(2倍の分解能)以上のλmin[ln(λmax/λmin)]/Lを有する(少なくとも417ナノメートルに等しいλminを与える)ことが必要であるということが結論付けられる。
【0085】
したがって、測定長L=40マイクロメータと比較し依然として小さい4.17マイクロメータのλmaxが得られる。
【0086】
そうでなければ、比λmax/λminは減じられ、計算はやり直されるだろう。
【0087】
図7は、ポリスチレンの層で覆われた基板の試料上に当該パターンを印刷するための成形型形状を表す。成形型はフォトリソグラフィにより生成されてもよい。印刷された溝の深さは45ナノメートルである。
【0088】
ポリスチレンは好ましくはスピンコーティングによりシリコン基板上に堆積される。この目的を達成するために、ポリスチレンはトルエン中で2%まで希薄化されてもよい。基板の回転速度は毎分1000回であってよい。次に、150°Cで焼成することによりトルエンを蒸発させることができる。得られた膜は均質で平坦である。楕円偏光法により測定されたその合計厚は、行われた実験では147ナノメートルである。膜の平均厚みは125ナノメートルである。
【0089】
図7の幾何学パターンは成形型を使用して印刷され、5分間13barの接触圧力で170°Cまで加熱された。成形型は室温まで冷却され、試料は成形型から離型される。原子間力顕微鏡による最初の測定により図8に表される初期プロフィール(薄い線)を得る。xの関数としての周期の変動が階段形状である場合は、異なる開始曲線となるであろう。
【0090】
膜は、クリープ時間tflu(この例では5分)の間、測定温度Tm(この実験では120°C)まで加熱される。次に、膜は、クリープ時間の最後に得られたパターンを固定するために室温まで急激に(1秒)冷却される。
【0091】
クリーププロフィールは原子間力顕微鏡で測定され、図8の高さ曲線(太線)を得る。
【0092】
図8の曲線の数学処理は、最初に、各プロフィールの係数を与えるこれらの曲線の離散フーリエ変換を含む。n次係数は、開始曲線のaとクリープ後の曲線のatfluである。
【0093】
一連の可能な値から取られた粘度値η毎に、緩和時間τ=3η(1/γh)(L/2πn)が計算される。
【0094】
nとηに依存するこの緩和時間から、理論的フーリエ係数は、
tflu(η)=aexp(−tflu/τ
により導出される。
【0095】
粘度の仮想値毎に、一連の予想フーリエ係数が得られる。
【0096】
この系列は、クリープ後に実験的に測定された高さ曲線から計算される係数atfluの系列と比較される。
【0097】
粘度仮想値から生じる系列を実験的な測定から計算された値の系列に最もうまく対応させる最適粘度ηoptが決定される。この最適値ηoptは薄層の実際の粘度の推定値である。
【0098】
上に行なわれた実験では、最適ηopt=6.4×10Pa.sが見出された。
【0099】
粘度だけでなく薄層内の材料の弾性係数もこの方法により測定可能であることに留意されたい。
【0100】
例えば、ガラス遷移温度(T)に近い温度で溶融されるポリマーは「粘弾性」と称される作用を有する(例えば、+20°Cの温度Tのポリスチレン)。
【0101】
低周波(すなわち、例えば数分の長い時間)の機械的応力に対し、材料は粘性流体の振る舞いを有し、流れる。一方、急速な(短時間、この例では数秒の)応力に対して、材料は弾性的振る舞いを有し、流れることなく変形しそしてばねのように歪みエネルギーを返す。この短時間と長時間との間の振る舞いの対生(dichotomy)は、τrelaxで表される特性時間(弾性応力の特性緩和時間)により測定される。この時間は、モードnの特性減衰時間を介し、ナノ構造の薄層のクリープをモデル化することに関与し、上に使用した式
τ=3η(1/γh)(L/2πn)
により純粋に粘着性の場合に表される。
ここで、ηは粘度、γは表面張力、hは膜の平均厚み、Lは測定されたプロフィールの長さである。粘弾性のより単純な場合のモデリングでは、我々は、弾性応力の特性緩和時間τrelaxに関与するわずかに異なる次式を有することになる。
τ=τrelax+3η(1/γh)(L/2πn)
【0102】
前と同様に、最適な相関の探索は、最適な一対の値ηopt、τrelax_optを得るように粘度ηと時間τrelaxの値の仮定から始めることにより実行されてよい。
【0103】
このとき、材料の弾性係数Eは次式により計算される。
E=ηopt/τrelax_opt
【0104】
したがって、本方法は、手短に言えば、弾性係数を計算する前に、以前と同じ計算工程、すなわち次の仮想粘度ηのフーリエ変換の理論n次係数の計算を含む。
tflu(η)=aexp(−tflu/τ
ここでatflu(η)は時間tfluの間のクリープ後のトポグラフィの理論n次フーリエ係数であり、aはクリープ後の印刷パターン上で測定されたトポグラフィのn次係数であり、τは次の関係式により粘度ηに関連付けられた層の緩和係数である。
τ=τrelax+3η(1/γh)(L/2πn)
ここで、γは薄層の表面張力、hはその平均厚み、Lは印刷パターンの全長、τrelaxは弾性応力の特性緩和時間である。計算は、異なる仮想粘度ηと異なる特性時間τrelaxに対して行なわれ、粘度ηoptと特性時間τrelax_optの最適なペアリングは最適な相関探索で選択される。
【符号の説明】
【0105】
10:基板
12:材料層
20:成形型
Ox,Oy,Oz:方向
λ:パターン周期
p:最大振幅深さ
:深さ
E:合計厚
flu:クリープ時間
Tm:測定温度
:平均厚み
:クリープ後のトポグラフィのn次フーリエ係数
tflu(η):クリープ後のトポグラフィの理論n次フーリエ係数
η:粘度
τ:緩和係数
γ:表面張力
:層の平均厚
L:パターンの全長
ηopt:最適粘度
α:係数
τ(L):横座標Lにおける緩和定数
λmax:パターンAの最大周期
λmin:パターンBの最小周期
τrelax:特性緩和時間
:ガラス遷移温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一測定温度Tmで薄層内の材料の粘度を測定する方法であって、
基板(10)上に前記材料の薄層(12)を形成する工程と、
成形またはエッチングにより既知の幾何学パターンを前記薄層内に印刷する工程であって、前記薄層は前記印刷工程の最後に固体状態である、工程と、
前記印刷されたパターンの初期トポグラフィを所定方向に沿った前記パターンの全長にわたって測定する工程と、
所定のクリープ時間tfluの間、測定温度Tmまで加熱する工程と、
前記層の凝固温度までその後冷却する工程と、
クリープパターンから生じるトポグラフィを測定する工程と、
前記測定温度における粘度の値を導出するために前記トポグラフィ測定結果を数学処理する工程と、
を含み、前記既知の形状の印刷パターンは非周期的なパターンであることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記パターンは完全に非周期的であり、局所的に周期的な領域を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パターンは部分的に非周期的であり、互いに異なる周期を有する局所的に周期的なサブパターンを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記薄層内に印刷される前記幾何学パターンは、トポグラフィ測定方向Oxに垂直な方向Oyに伸び、前記方向Oyに垂直な面に矩形断面を有しOxを通る並列溝からなり、
前記並列溝は前記軸Oxに沿って可変である空間的周期λ(x)を有し、
前記空間的周期は、溝と次の溝からそれを分離するプラトーとの前記方向Oxの長さであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記周期λ(x)の前記変動は次の関数に一致し、
1/λ(x)=1/λmax+(1/λmin−1/λmax)x/L
ここで、λminとλmaxは前記印刷パターン内の最小および最大空間的周期であり、Lは前記パターンの全長であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記周期λ(x)の前記変動は次の関数に一致し、
λ(x)=λmin(λmax/λminx/L
ここで、λminとλmaxは前記印刷パターン内の最小および最大空間的周期であり、Lは前記パターンの全長であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記周期λ(x)の前記変動は次の関数に一致し、
λ(x)=λmin+(λmax−λmin)x/L
ここで、λminとλmaxは前記印刷パターン内の最小および最大空間的周期であり、Lは前記パターンの全長であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記周期λ(x)の前記変動は次の関数に一致し、
λ(x)=λmin+(λmax−λmin)(x/L)1/4
ここで、λminとλmaxは前記印刷パターン内の最小および最大空間的周期であり、Lは前記パターンの全長であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記粘度は、
− クリープ前の前記印刷パターン上で測定される前記トポグラフィの離散フーリエ変換の係数が計算される工程と、
− クリープ後のトポグラフィのフーリエ変換の理論係数は、それぞれがそれぞれの仮想粘度に関連付けられる複数の一連の理論係数を得るために粘度パラメータを変更しながら、前記粘度パラメータを含む計算式に従って前記フーリエ変換から導出される工程と、
− クリープが計算された後、前記トポグラフィのフーリエ変換の一連の実験係数が測定される工程と、
− 前記一連の実験係数と前記様々な系列の理論係数間の最適相関の探索が実行され、最良の相関を与える粘度がそこから導出される工程と、
を含むやり方で計算されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
仮想粘度ηのフーリエ変換のn次理論係数を計算する式は、
tflu(η)=aexp(−tflu/τ
であり、ここで、atflu(η)は時間tfluのクリープ後のトポグラフィのn次理論フーリエ係数であり、aはクリープ後の前記印刷パターン上で測定された前記トポグラフィのn次係数であり、τは次の関係により粘度ηに関連する前記層の緩和係数であり
τ=3η(1/γh)(L/2πn)
ここで、γは前記薄層の表面張力であり、hはその平均厚みであり、Lは前記印刷パターンの全長であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
仮想粘度ηのフーリエ変換のn次理論係数を計算する式は次のように表され、
tflu(η)=aexp(−tflu/τ
ここで、atflu(η)は時間tfluのクリープ後のトポグラフィのn次理論フーリエ係数であり、aはクリープ後の前記印刷パターン上で測定された前記トポグラフィのn次係数であり、τは次の関係により粘度ηに関連する前記層の緩和係数であり
τ=τrelax+3η(1/γh3)(L/2πn)
ここで、γは前記薄層の表面張力であり、hはその平均厚みであり、Lは前記印刷パターンの全長であり、τrelaxは弾性ひずみの特徴的な緩和時間であり、前記計算は様々な仮想粘度ηと様々な特性時間τrelaxに対して行なわれ、粘度ηoptと特性時間τrelax_optの最適なペアリングは最適な相関探索で選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
さらに薄層内の材料の弾性係数が次式により計算される
E=ηopt/τrelax_opt
ことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
周期が連続的に変化するパターンに沿ったクリープ前部の位置が観察され、前記粘度の値はこの位置から導出されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記同じ薄層は、連続して同じ測定温度または異なる温度で複数の連続測定に使用されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。

【図6】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A−5G】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−221026(P2011−221026A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−88255(P2011−88255)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(510074896)