説明

薬剤の噴霧化を監視するシステム及び方法

薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面を監視するよう構成されたシステム(10)であって、上記システム(10)は、薬剤の噴霧化中に生成された超音波エネルギに関する情報を伝える1つ又は複数の出力信号(42)を生成するよう構成されたセンサ(30)と、上記センサ(30)によって生成された上記1つ又は複数の出力信号(42)を受信し、上記受信された1つ又は複数の出力信号(42)によって伝えられる、上記薬剤の上記噴霧化中に生成された上記超音波エネルギに関する上記情報に基づいて上記薬剤の上記噴霧化の1つ又は複数の局面を監視するよう構成されたプロセッサ(32)とを備えるシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、本明細書及び特許請求の範囲にその内容を参照によって援用する、西暦2008年12月11日付けで出願された米国特許仮出願第61/121582号明細書の、米国特許法第119条(e)の下での優先権の利益を主張する。
【0002】
本出願は、その内容全体を本出願に組み入れる、「SYSTEM AND METHOD FOR MONITORING A METERED DOSE INHALER」と題する米国特許出願第61/121580号明細書に関連している。
【0003】
本発明は、薬剤の噴霧化中に放出された超音波エネルギに基づいた薬剤の噴霧化の監視に関する。
【背景技術】
【0004】
被験者に供給するための薬剤を噴霧化する噴霧器システムが知られている。一般に、前述のシステムは、被験者に意味のあるやり方で薬剤の噴霧化を監視するものでない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
限定でない例として、(例えば、薬剤の全て(又は実質的に全て)が噴霧化されている場合、)噴霧治療の終了をユーザに示すことができないことがあり得る。そういうものとして、被験者は、噴霧器の使用を停止することが可能な時点を求めることができないので、治療を効果的に延長し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面は、薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面を監視するよう構成されたシステムに関する。一実施例では、システムはセンサ及びプロセッサを備える。センサは、薬剤の噴霧化中に生成された超音波エネルギに関する情報を伝える1つ又は複数の出力信号を生成するよう構成される。プロセッサは、センサによって生成された1つ又は複数の出力信号を受信し、受信された1つ又は複数の出力信号によって伝えられる、薬剤の噴霧化中に生成された超音波エネルギに関する情報に基づいて薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面を監視するよう構成される。
【0007】
本発明の別の局面は、薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面を監視する方法に関する。一実施例では、方法は、薬剤の噴霧化中に生成される超音波エネルギに関する情報を伝える1つ又は複数の出力信号を生成する工程と、生成された1つ又は複数の出力信号に基づいて薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面を監視する工程と、噴霧化の監視された1つ又は複数の局面に関する噴霧化の被験者に情報を提供する工程とを含む。
【0008】
本発明の更に別の局面は、薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面を監視するよう構成されたシステムに関する。一実施例では、システムは、薬剤の噴霧化中に生成された超音波エネルギに関する情報を伝える1つ又は複数の出力信号を生成する手段と、生成された1つ又は複数の出力信号に基づいて薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面を監視する手段と、噴霧化の監視された1つ又は複数の局面に関する噴霧化の被験者に情報を提供する手段とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の1つ又は複数の実施例による、薬剤の噴霧化を監視するよう構成されたシステムを示す図である。
【図2】本発明の1つ又は複数の実施例による、噴霧化モニタを示す図である。
【図3】本発明の1つ又は複数の実施例による、噴霧器の動作中に生成された超音波エネルギを監視することが可能な信号のプロットを示す図である。
【図4】本発明の1つ又は複数の実施例による、薬剤の噴霧化を監視する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の前述並びに他の目的、構成及び特性、並びに製造の経済性及び部品の組合せと、構造の関連した構成要素の機能及び動作の方法は、添付図面を参照して以下の明細書及び特許請求の範囲を検討すると、より明らかになるであろう。これらは全て、本明細書の一部を構成し、同じ参照符号は、種々の図中の対応する部分を表す。しかし、図面は、例証及び説明の目的のために過ぎず、本発明の限度を画定することを意図するものでない。明細書及び特許請求の範囲記載の「a」、「an」及び「the」という単数形は、前後関係がそうでないことを明確に規定していない限り、複数の対象を含む。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の一実施例による、被験者12への供給のために薬剤の噴霧化を監視するよう構成されたシステム10を示す。一実施例では、システム10は、噴霧化される対象の薬剤が存在しているか否か、噴霧化の速度、噴霧化されている薬剤の1つ又は複数の特性(例えば、粘性、組成等)、及び/又は薬剤の噴霧化の他の局面を監視し得る。噴霧化する対象の薬剤が存在しているか否かを監視するために、システム10は効果的には、薬剤の噴霧化が終了しているか否かを効果的に監視する。少なくとも、噴霧化が完了した時点という信頼できる表示が被験者12に供給されるという点で、このことは、薬剤の噴霧化を高め得る。システム10によって供給されるこの表示なしでは、(例えば、全ての薬剤がなくなった後に被験者12が噴霧化を試行し続けた場合、)不必要に、被験者12が治療を受ける時間を無用に長くし得る噴霧化の完了の、信頼性のより低い表示子への依存が強いられ得る。一実施例では、システム10は、加圧気体源14、噴霧器ハンドセット16、及び/又は噴霧化モニタ18のうちの1つ又は複数を備える。
【0012】
加圧気体源14は、被験者12への供給のために薬剤を噴霧化する気体の加圧フローを提供する。一実施例では、加圧気体源14は、加圧気体源14からの加圧気体の放出を制御するための1つ又は複数のバルブを含む。限定的でない例として、加圧気体源14は、壁ガス源、ブロワ、気体の加圧タンク又はカニスタ、ピストン、ダイアフラム、及び/又は、気体の他の加圧源を含み得る。
【0013】
噴霧器ハンドセット16は、加圧気体源から加圧気体のフローを受け取り、被験者12への供給のために薬剤を噴霧化するために加圧フローを実現する。図1に示す実施例では、噴霧器ハンドセット16は、間を流れるコンジット20を介して(例えば、加圧気体を受け取るために)加圧気体源14と連通する。一部の実施例(図示せず)では、噴霧器ハンドセット16は加圧気体源14に直結し得る。
【0014】
噴霧器ハンドセット16は、加圧気体入口22、薬剤出口24、及び排出口26を含む。噴霧器ハンドセット16は、噴霧器ハンドセット16内に形成されているので図1に示していない薬剤槽を更に備える。薬剤槽は、中に噴霧化される対象の薬剤の1つ又は複数の集合体を収容するよう適合される。加圧気体が、加圧気体源14から、噴霧器ハンドセット16に加圧気体入口22において受け取られる。加圧気体は、加圧気体が薬剤を噴霧化するように(例えば、薬剤槽内の)噴霧器ハンドセット16によって収容される薬剤に導入される。噴霧化された薬剤は次いで、薬剤出口24を介して被験者12によって受け取られる。一実施例では、被験者12は、薬剤出口24を自分の口とかみ合わせ、薬剤出口24から、噴霧化された薬剤を受け取るよう吸入する。被験者12によって薬剤出口24に呼出される気体、及び/又は、加圧気体入口22を介して噴霧器ハンドセット16に受け取られる加圧気体は、排出口26を介して噴霧器ハンドセット16から排出し得る。一部の実現形態では、噴霧器ハンドセット16は、薬剤が排出口26を介して排出されることを妨げるための1つ又は複数の機構を含み得る。前述の1つ又は複数の機構は、例えば、噴霧器ハンドセット16内に、かつ/又は、排出口26において、若しくは排出口26近くに配置された1つ又は複数のバッフル若しくはバルブを含み得る。
【0015】
動作中、コンジット20及び噴霧器ハンドセット16を介して加圧気体源14によって供給される加圧気体及び/又は加圧気体源14は、可聴の白色雑音を生成し得る。この白色雑音は、噴霧器ハンドセット16内の薬剤の実際の噴霧化によって生成される雑音を含む。薬剤の実際の噴霧化によって生成される白色雑音のトーンは、噴霧器ハンドセット16内の薬剤槽内の薬剤のレベルにより、かつ/又は、薬剤の噴霧化の他の局面によって多少変化し得る。しかし、薬剤の実際の噴霧化によって生成される白色雑音のトーンにおける変化は、比較的少ないことがあり得、かつ/又は、噴霧化中に、白色雑音のその他の源(例えば、加圧気体源14のモータ、加圧気体源14におけるバルブを通って流れる気体、コンジット20を通って流れる気体、コンジット20から噴霧器ハンドセット16に進む気体等)によってかき消され得る。そういうものとして、被験者12は、単に、噴霧化中にシステム10によって生成される音に基づいて噴霧化の他の局面に関する情報、薬剤がない理由による噴霧化の終了、及び/又は、薬剤がなくなり始めるにつれて生じるスパッタリングの検出の困難性を有し得る。更に、他の周囲雑音、聴覚喪失、及び/又は他の要因が、前述の検出の困難性に寄与し得る。
【0016】
噴霧化モニタ18は、噴霧化ヘッド16内の薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面を監視し、監視された1つ又は複数の曲面に関する被験者12に情報を提供するよう構成される。例えば、噴霧化モニタ18は、噴霧化ヘッド16内の薬剤の噴霧化がスパッタリングをもたらすか否か、噴霧化ヘッド16の薬剤槽内に残っている薬剤が存在しているか否か、及び/又は、噴霧化ヘッド内の薬剤の噴霧化の他の局面を監視し得る。噴霧化モニタ18は、噴霧化中にシステム10によって生成される超音波エネルギに基づいて噴霧化の1つ又は複数の局面を監視する。
【0017】
一実施例(図示せず)では、噴霧化モニタ18は、噴霧化モニタ18が、取り去られ、別の噴霧化ヘッドとともに使用されることが企図されていないように、噴霧化ヘッド16と一体化されて形成される。一実施例では、噴霧化モニタ18が、噴霧化ヘッド16から選択的に取り外し可能であり、取り外し可能な噴霧化モニタ18は、別々の複数の噴霧化ヘッドとともに使用可能であるよう設計し得る。更に、噴霧化モニタ18は、噴霧化ヘッド16上に全て収容されているものとして図1に示されているが、これは、限定することを企図するものでない。一実施例では、噴霧化モニタ18の構成部分全てのうちの一部は、噴霧化ヘッド16と完全に別個であり得る。例えば、噴霧化モニタ18の構成部分の一部又は全部は、加圧気体源14上、コンジット20上に収容し得、かつ/又は、システム10の他の構成部分全てと別個であり、連結していないことがあり得る。
【0018】
図2は、本発明の一実施例による噴霧化モニタ18の機能ブロック図を示す。図2に示す実施例では、噴霧化モニタ18は、ユーザ・インタフェース28、センサ30、及びプロセッサ32を含む。噴霧化モニタ18は一部の実施例では、図2のブロック図に示すよりも、含まれる構成部分が多くても少なくてもよい。
【0019】
ユーザ・インタフェース28は、被験者12が噴霧化モニタ18から情報を受信し得る、被験者12と噴霧化モニタ18との間のインタフェースを提供するよう構成される。これは、被験者12と、噴霧化モニタ18のその他の構成部分との間で、「情報」として併せて表されるデータ、結果、並びに/又は命令、及び何れかの他の通信可能な項目が通信されることを可能にする。一実施例では、噴霧化モニタ18の形態的要素はユーザ・インタフェース28の設計における考慮点である。この実施例では、ユーザ・インタフェース28によって提供されるインタフェースは、比較的小さく、かつ/又は、占める空間を制限することが単純であり得る。ユーザ・インタフェース28に含めるのに適したインタフェース・デバイスの例は、表示画面、スピーカ、1つ又は複数のインディケータ・ランプ、可聴アラーム、及び/又は他のインタフェース装置を含む。
【0020】
センサ30は、(例えば、図1に示す、上述の噴霧化ヘッド16内の)薬剤の噴霧化中に生成された超音波エネルギに関する情報を伝える1つ又は複数の出力信号を生成するよう構成される。そういうものとして、センサ30は、超音波エネルギを電子出力信号(例えば、電流、電圧等)に変換するよう構成されたトランスデューサを含み得る。一実施例では、センサ30は、超音波マイクロフォン(例えば、可聴周波数よりも高い周波数を感知できるマイクロフォン)、圧電トランスデューサ、及び/又は、電子出力信号に超音波エネルギを変換することができる他のトランスデューサを含む。
【0021】
噴霧器(例えば、図1に示し、上述したコンジット20、噴霧器ハンドセット16、及び加圧気体源14)の動作によって生成された超音波エネルギは、通常、噴霧器の動作が実際に薬剤を噴霧化しているか否か、薬剤が噴霧化されている速度、薬剤の1つ又は複数の特性(例えば、粘性、組成等)、及び/又は、噴霧器による、薬剤の噴霧化の他の局面によって影響を受けるように、より低い周波数(例えば、可聴範囲内)で変調される。例えば、一実施例では、噴霧器によって生成された超音波エネルギは、薬剤が実際に噴霧化されている間に、可聴範囲内の1つ又は複数の周波数で変調されるが、(例えば、噴霧器における空きの槽により、)薬剤が噴霧化されておらず、噴霧器がなお動作している場合、この変調は完全になくなり、かつ/又はこの変調は振幅が減少する。そういうものとして、センサ30によって生成される1つ又は複数の出力信号によって伝えられる噴霧化中に生成された超音波エネルギに関する情報は、噴霧器の動作が薬剤を噴霧化しているか否か、薬剤が噴霧器によって噴霧化されている速度、薬剤の1つ又は複数の特性(例えば、粘性、組成等)、及び/又は噴霧化の他の局面を示す変調された信号を収容する超音波キャリア波の検出を可能にする。
【0022】
プロセッサ32は、噴霧化モニタ18における情報処理機能を提供するよう構成される。そういうものとして、プロセッサ32は、ディジタル・プロセッサ、アナログ・プロセッサ、情報を処理するよう企図されたディジタル回路、情報を処理するよう企図されたアナログ回路、ステート・マシン、及び/又は、情報を電子的に処理するための他の機構のうちの1つ又は複数を含み得る。プロセッサ32は図2に単一のエンティティとして示されているが、これは例証の目的のために過ぎない。一部の実現形態では、プロセッサ32は複数の処理装置を含み得る。前述の処理装置は同じ装置内に物理的に位置し得るか、又は、プロセッサ32は、連係して動作している複数の装置の処理機能を表し得る。
【0023】
図2に示すように、一実施例では、プロセッサ32は、前置増幅モジュール34、変調モジュール36、フィルタ・モジュール38、モニタ・モジュール40、及び/又は、他のモジュールを含む。モジュール34、36、38及び/又は40は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアの一部の組合せで実現され、かつ/又は、他のやり方で実現され得る。モジュール34、36、38、及び/又は40は単一の処理装置内に一緒に配置されているように図2に示すが、プロセッサ32が複数の処理装置を含む実現形態では、モジュール34、36、38、及び/又は40は、その他のモジュールと遠隔に配置し得る。更に、以下に記載するモジュール34、36、38、及び/又は40の機能の説明は、例証的な目的のためであり、限定的であることを意図していない。モジュール34、36、38、及び/又は40の何れかも、記載されているよりも、提供される機能が多くても少なくてもよい。例えば、モジュール34、36、38、及び/又は40の1つ又は複数を除外し得、その機能の一部又は全部をモジュール34、36、38及び/又は40のうちの他のモジュールによって提供し得る。別の例として、プロセッサ32は、モジュール34、36、38、及び/又は40のうちの1つにあるとする機能の一部又は全部を行う更なる1つ又は複数のモジュールを含み得る。
【0024】
前置増幅モジュール34は、センサ30によって生成される1つ又は複数の出力信号を増幅するよう構成される。一実施例では、前置増幅モジュール34は、プロセッサ32のモジュールにより、その後の処理に先行して1つ又は複数の出力信号を前置増幅する。1つ又は複数の出力信号の前置増幅はその後の処理を容易にし得る。
【0025】
変調モジュール36は、センサ30によって生成される出力信号の1つ又は複数から検出される超音波キャリア信号によって搬送される変調された信号を抽出するよう構成される。一実施例では、変調された信号は、音速以下の周波数内の1つ又は複数の信号を含み得る。一実施例では、変調された信号は、薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面についての情報を伝える可聴範囲内の1つ又は複数の信号を含み得る。例えば、変調された信号は、約1kHZと約10kHzとの間の信号を含み得る。一実施例では、変調モジュール36は、センサ30によって生成される1つ又は複数の出力信号に存在している超音波キャリア信号から変調信号を抽出する整流器を備える。
【0026】
フィルタ・モジュール38は、変調モジュール36によって抽出された変調信号をフィルタリングするよう構成される。一部の場合には、薬剤の噴霧化についての情報を伝える信号に加えて、変調された信号は、関心でない周波数における雑音及び/又は信号を含み得る。フィルタ・モジュール38は、薬剤の噴霧化についての情報を伝える信号と干渉する変調信号の周波数を除去し得る。例えば、一実施例では、フィルタ・モジュール38は、少なくとも一部の可聴周波数を含む範囲を有する帯域通過フィルタを含む。帯域通過フィルタの範囲は、例えば、約2kHzと約10kHzとの間であり得る。
【0027】
モニタ・モジュール40は、フィルタ・モジュール38によって提供されるフィルタリングされた信号に基づいて薬剤の噴霧化を監視するよう構成される。以下から明らかであるように、噴霧器の動作によって生成される超音波エネルギにおいて元々収容されたフィルタリングされた信号は、薬剤が噴霧化されている速度、噴霧化の他の局面、薬剤が噴霧化されているか否かに関する情報を伝える。監視モジュール40は、フィルタ・モジュール38からのフィルタリングされた信号を受け取り、フィルタリングされた信号から、噴霧器による薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面に関する情報を求める。監視モジュール40に受信された信号は、環境に存在している白色雑音、及び/又は、噴霧器の動作を介して生成される白色雑音を受けない。これは、監視モジュール40によって受信された信号が、薬剤の噴霧化によって生成される超音波エネルギに収容されている一方、白色雑音源は、噴霧器を周囲する音波において搬送されるに過ぎず、薬剤の噴霧化から発せられる超音波エネルギに存在しない。一実施例では、監視モジュール40は、フィルタ・モジュール38から受け取られたフィルタリング信号内に含まれる周波数情報を電圧情報に変換する周波数・電圧変換器を含む。電圧情報は次いで、噴霧器による、薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面に関する情報を求めるよう監視される。一実施例では、監視モジュール40によって求められる薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面に関する情報は、ユーザ・インタフェース28を介してユーザに伝えられる。
【0028】
図3は、薬剤の噴霧化に関する情報を求めるために、(図2に示し、上述した)監視モジュール40と同様な、又は、監視モジュール40と同じ監視モジュールの一実施例によって監視される信号42のプロットを示す。特に、図3に示すプロットは、監視モジュールによって行われる周波数・電圧変換を表す。上述のように、噴霧器の動作中に生成される超音波エネルギは、時間の関数として超音波エネルギに変調される信号の動作の1つ又は複数の局面における変化に応じて変わる信号で変調される。第1の期間44中、信号42において高い振幅で表される、超音波エネルギによって収容される変調信号が存在していることは、噴霧器の動作が薬剤を実際に噴霧化していることを示す。そういうものとして、第1の期間44中、薬剤は、噴霧器の薬剤槽内に存在しており、噴霧化に利用可能である。第2の期間46中、信号42の振幅内のぐらつきは、時点(例えば、時点48)において、噴霧器の動作が薬剤を噴霧化している一方、他の時点(例えば、時点50)においては、噴霧器の動作は薬剤を噴霧化していない。薬剤の前述の散発的な噴霧化は通常、「スパッタリング」として表され、噴霧器の槽内に存在している薬剤のレベルが、薬霧化がもう行われない(すなわち、空になる)レベルに達したということを示す。第3の期間52では、信号42の振幅が持続的に低下していることは、噴霧器から発せられる超音波エネルギに、変調された信号が存在していないことを示す。噴霧器の動作が薬剤を噴霧化していないからである。このことは、最も一般的には、噴霧器の薬剤槽が空き状態にあることと関連付けられる。
【0029】
図2に戻れば、一実施例では、監視モジュール40は、噴霧モニタ18によって監視されている噴霧器の動作が、図3に関して上述した原理により、フィルタ・モジュール38から受け取られた信号からの薬剤を噴霧化しているか否かを判定する。例えば、この実施例では、モニタ・モジュール40は、フィルタ・モジュール38により、モニタ・モジュール40に供給されるフィルタリングされた信号(例えば、図3に示す信号42と同様な信号)の周波数・電圧変換を監視するコンパレータを含み得る。上述の通り、この信号の振幅は、薬剤が噴霧器によって噴霧化されているか否か、又は、噴霧器が動作されていても薬剤が噴霧化されていないか否かを示す。フィルタ・モジュール38から受け取られたフィルタリングされた信号から監視モジュール40によって判定される薬剤の噴霧化についての情報は、ユーザ・インタフェース28を介してユーザに提供し得、ユーザは、噴霧器から治療を受けているか否か、噴霧器の動作がスパッタリングをもたらしているか否か、及び/又は、薬剤の全て(若しくは実質的に全て)がユーザ・インタフェース28から噴霧化され、それにより、治療をタイムリーに終了することが可能になる。
【0030】
特定のタイプの噴霧器(例えば、ジェット噴霧器、空気噴霧器等)における噴霧化の監視の説明は、限定することを意図していない。ジェット噴霧器の監視に関する上記原理は、不当な実験がない限り、当業者のために他のタイプの噴霧器に容易に適用可能になる。更に、発せられた超音波エネルギに基づいた噴霧化の監視は、主に、噴霧治療が完了した(例えば、噴霧器に薬剤が何ら残っていない)か否かを監視するために説明しているが、これは限定するものでない。噴霧化の他の局面は、本明細書及び特許請求の範囲記載の原理により、発せられた超音波エネルギに基づいて監視し得る。
【0031】
図4は、薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面を監視する方法54を示す。以下に示す方法54の動作は、例証的であることを意図している。一部の実施例では、方法54は、説明されていない更なる1つ又は複数の動作により、かつ/又は、上述の動作のうちの1つ又は複数なしで実現し得る。更に、方法54の動作を図4に示し、後述する順序は、限定することを意図するものでない。方法54の実現形態は、上記システムの意味合いで説明しているが、一部の実施例では、方法54は、他の1つ又は複数のコンテキストにおいて実現される。
【0032】
方法54は、患者への供給のために薬剤が噴霧化される動作56を含む。動作56は噴霧器によって行われる。例えば、一実施例では、噴霧器は、(図1に示し、上述する)噴霧器ハンドセット16、外圧気体源14、及び、コンジット20と同じか、又は同様な噴霧器ハンドセット16、外圧気体源14、及びコンジット20を含み得る。
【0033】
動作58では、薬剤の噴霧化中に生成される超音波エネルギに関する情報を伝える1つ又は複数の出力信号が生成される。一実施例では、動作58は、(図2に示し、上述する)センサ30と同じか、又はセンサ30と同様なセンサによって行われる。
【0034】
動作60では、薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面は、生成された1つ又は複数の出力信号に基づいて監視される。一実施例では、動作60は、(図2に示し、上述する)プロセッサ32と同じか、又はプロセッサ32と同様なプロセッサによって行われる。
【0035】
動作62では、噴霧化の1つ又は複数の局面に関する情報は、噴霧化の被験者に供給される。一実施例では、動作62は、(図2に示し、上述する)ユーザ・インタフェース28と同じか、又は同様なユーザ・インタフェースによって行われる。
【0036】
本発明は、最も実用的であり、好適な実施例であると現在、みなされることに基づいて、例証の目的で詳細に説明してきたが、前述の詳細は、その目的のために過ぎず、本発明は、開示された実施例に限定されないばかりか、逆に、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に収まる修正及び均等な構成を包含することを意図している。例えば、本発明は、できる限り、何れかの実施例の1つ又は複数の特徴を、何れかの他の実施例の1つ又は複数の特徴と組合せ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面を監視するよう構成されたシステムであって、前記システムは、
薬剤の噴霧化中に生成された超音波エネルギに関する情報を伝える1つ又は複数の出力信号を生成するよう構成されたセンサと、
前記センサによって生成される前記1つ又は複数の出力信号を受信し、前記受信された1つ又は複数の出力信号によって伝えられる、前記薬剤の前記噴霧化中に生成された前記超音波エネルギに関する前記情報に基づいて前記薬剤の前記噴霧化の1つ又は複数の局面を監視するよう構成されたプロセッサと
を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、前記薬剤の前記噴霧化中に生成された前記超音波エネルギは、変調周波数において変調された超音波キャリア信号を含み、前記センサによって生成される前記1つ又は複数の出力信号によって伝えられる前記情報は、前記プロセッサによる、前記変調された超音波キャリア信号の検出を可能にするシステム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムであって、前記変調周波数は約1kHzと約10kHzとの間にあるシステム。
【請求項4】
請求項2記載のシステムであって、前記プロセッサは、前記変調された超音波キャリア周波数に基づいて前記薬剤の前記噴霧化の1つ又は複数の局面を監視するよう構成されたシステム。
【請求項5】
請求項1記載のシステムであって、前記プロセッサによる前記薬剤の前記噴霧化の1つ又は複数の局面の前記監視は、噴霧化すべき、前記薬剤の一部分が残っているか否かを監視する機能を含むシステム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムであって、前記センサは超音波マイクロフォンを含むシステム。
【請求項7】
請求項1記載のシステムであって、前記センサを収容する噴霧器ハンドセットを更に備えるシステム。
【請求項8】
請求項6記載のシステムであって、前記噴霧器ハンドセットは前記プロセッサを更に収容するシステム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムであって、前記プロセッサによって監視される前記噴霧化の前記1つ又は複数の局面に関する前記噴霧化の被験者に情報を供給するユーザ・インタフェースを更に備えるシステム。
【請求項10】
薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面を監視する方法であって、前記方法は、
薬剤の噴霧化によって生成される超音波エネルギに関する情報を伝える1つ又は複数の出力信号を生成する工程と、
前記生成された1つ又は複数の出力信号に基づいて前記薬剤の前記噴霧化の1つ又は複数の局面を監視する工程と、
前記噴霧化の前記監視された1つ又は複数の局面に関する前記噴霧化の被験者に情報を供給する工程と
を含む方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、前記薬剤の前記噴霧化中に生成された前記超音波エネルギは、変調周波数において変調された超音波キャリア信号を含み、前記生成された1つ又は複数の出力信号によって伝えられる前記情報は、前記生成された1つ又は複数の出力信号からの、前記変調された超音波キャリア信号の検出を可能にする方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法であって、前記変調周波数は約1kHzと約10kHzとの間にある方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法であって、前記薬剤の前記噴霧化の前記1つ又は複数の局面の前記監視は、前記生成された出力信号からの前記変調された超音波キャリア周波数の検出に基づく方法。
【請求項14】
請求項10記載の方法であって、前記薬剤の前記噴霧化の1つ又は複数の局面の前記監視は、噴霧化すべき、前記薬剤の一部分が残っているか否かを監視する工程を含む方法。
【請求項15】
請求項10記載の方法であって、前記薬剤を噴霧化する工程を更に含む方法。
【請求項16】
薬剤の噴霧化の1つ又は複数の局面を監視するよう構成されたシステムであって、前記システムは、
薬剤の噴霧化中に生成された超音波エネルギに関する情報を伝える1つ又は複数の出力信号を生成する手段と、
前記生成された1つ又は複数の出力信号に基づいて前記薬剤の前記噴霧化の1つ又は複数の局面を監視する手段と、
前記噴霧化の前記監視された1つ又は複数の局面に関する前記噴霧化の被験者に情報を供給する手段と
を備えるシステム。
【請求項17】
請求項16記載のシステムであって、前記薬剤の前記噴霧化中に生成された前記超音波エネルギは、変調周波数において変調された超音波キャリア信号を含み、前記生成された1つ又は複数の出力信号によって伝えられる前記情報は、前記生成された1つ又は複数の出力信号からの、前記変調された超音波キャリア信号の検出を可能にするシステム。
【請求項18】
請求項17記載のシステムであって、前記変調周波数は約1kHzと約10kHzとの間にあるシステム。
【請求項19】
請求項17記載のシステムであって、前記薬剤の前記噴霧化の前記1つ又は複数の局面の前記監視は、前記生成された出力信号からの前記変調された超音波キャリア周波数の検出に基づくシステム。
【請求項20】
請求項16記載のシステムであって、前記薬剤の前記噴霧化の1つ又は複数の局面を監視する手段は、噴霧化すべき、前記薬剤の一部分が残っているか否かを監視する手段を備えるシステム。
【請求項21】
請求項16記載のシステムであって、前記薬剤を噴霧化する手段を更に備えるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−511374(P2012−511374A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540274(P2011−540274)
【出願日】平成21年11月21日(2009.11.21)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055255
【国際公開番号】WO2010/067239
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)