説明

薬剤供給装置

【課題】 簡単な構造で且つ確実にフロートを上昇又は下降させることができる薬剤供給装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本実施の形態に係る薬剤供給装置10は、筐体12と、フロート14と、薬剤カートリッジ16とから構成される。筐体12は、上部筐体20と、下部筐体22と、蓋24及び26とを備えている。フロート14は、その中央部に、フロート支持棒25が挿入される挿入孔14aが設けられ、その上面部には、弾性部材にて、円柱の上面に円錐台を載せた形状に一体成形されたパッキン46が設けられている。蓋24は、その略中央部に4個の空気孔24aが設けられ、その中央部には、フロート14の挿入孔14aに挿入されるフロート支持棒25が取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を含んだ水を供給するための薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤供給装置は、例えば、水洗便器に設置して使用される。薬剤供給装置を設置した水洗便器においては、便器への尿石の付着防止、及び、便器の消毒、消臭、洗浄等のために、薬剤供給装置が設置されている。そして、使用者が便器を使用すると、自動的に、又は、使用者の手動操作によりフラッシュ水が便器に供給されると共に、薬剤供給装置から薬剤を含んだ水が便器内に供給されるようになっている。
【0003】
図10は、従来の薬剤供給装置100の構成及び使用状態を示す概略断面図である。まず、従来の薬剤供給装置100の構成を説明する。同図に示すように、薬剤供給装置100は、筐体102と、フロート104と、薬剤容器106とから構成される。筐体102は、その天井面108に外部に貫通させた空気孔110と、その底面112にエルボ部118が接続される流入・流出口114とを有する。また、筐体102は、その天井面108に設けられた空気孔110を囲むように、底面112に向けて略筒状のフロート誘導枠116が設けられている。フロート誘導枠116により囲まれた中空部内には、フロート104が往復運動自在に装填されている。また、筐体102の所定位置には、所望の薬剤を内包する薬剤容器106が設置されている。
【0004】
次に、従来の薬剤供給装置100の使用状態を説明する。図10に示すように、便器Bの上部には、フラッシュ水を便器Bに供給するための本管120が接続されている。本管120には、その側面から分岐して側方へ伸びる分流管122が接続されている。分流管122の他端には、略L字状のエルボ部118が接続されている。エルボ部118の他端は、薬剤供給装置100の底面に設けられた流入・流出口114に接続される。これにより、フラッシュ水は、本管120から分流管122を通り薬剤供給装置100に供給される。また、薬剤を含んだ水は、薬剤供給装置100から分流管122を通り本管120に出水され便器Bに供給される。
【0005】
上記薬剤供給装置100の構成において、本管からフラッシュ水が便器Bに供給されると、フラッシュ水の一部は、本管120から分流管122を通り薬剤供給装置100の筐体102内に流入される。フロート104は、筐体102内に流入するフラッシュ水の水位の上昇により、フロート誘導枠116の中空部内面に沿って天井面108に向け上昇される。そして、その上部が天井面108に到達することにより、空気孔110は閉塞される。また、薬剤容器106中の薬剤は、水が筐体102内に流入するとほぼ同時に、海綿体124を介して除々に侵出しながら水に溶解される。
【0006】
フロート104により空気孔110が閉塞されると、筐体102内部の圧力が上昇することにより、筐体102内部へのフラッシュ水の流入が停止される。また、便器Bへ供給されるフラッシュ水は、所定時間経過後に供給が停止される。本管120から便器Bへのフラッシュ水の供給が停止することにより、本管120内のフラッシュ水がなくなると、筐体102内に溜まった薬剤を含んだ水が流入・流出口114から流出される。この流出された水は、分流管122を通って本管120に流入することにより、便器B内に供給される。
【0007】
このような薬剤供給装置は、例えば、下記特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特許第2417514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記記載の薬剤供給装置100においては、フロート104の側面と誘導枠116の中空部内面との接触面積が大きいので、フロート104が上昇する際に途中でつかえたり、又は、軋んだりして動かなくなる場合があった。フロート104が途中で動かなくなってしまった場合には、フロート104により空気孔110を閉塞することができず、空気孔110からフラッシュ水が外部に漏れるといった問題があった。また、フロート誘導枠116やフロート104の表面に水垢やコケ等が付着し、又は、フロート誘導枠116の中空部内にゴミ等が侵入した場合も、上記と同様の問題があった。また、便器用薬剤供給装置100から薬剤を含んだ水を出水する時にも、フロート104が途中でつかえたり、又は、軋んだりして下降しないこともあり、故障の原因となっていた。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構造で且つ確実にフロートを上昇又は下降させることができる薬剤供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る薬剤供給装置は、流体供給管から流入する流体によって溶解される薬剤を収容し、溶解された薬剤を含む流体を前記流体供給管に流出して供給する薬剤供給装置であって、前記流体供給管に接続され、その内部に前記流入した流体を貯水するための筐体と、前記筐体内に上下方向に延在して設けられた支持棒と、前記筐体の上面部に設けられた筐体外部と連通可能な空気孔と、前記支持棒が挿入される挿入孔が形成され、前記支持棒に沿って上昇又は下降可能なフロートと、を備え、前記流入した流体の水位の上昇に伴って前記フロートが上昇し、前記空気孔を塞ぐことで前記筐体内を密封し、前記流体供給管からの流体の流入を停止させるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る薬剤供給装置によれば、簡単な構造で且つ確実にフロートを上昇、又は、下降させて水漏れを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態では、水洗便器に設置して使用される薬剤供給装置について説明する。
【0013】
まず、本実施の形態に係る薬剤供給装置10の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る薬剤供給装置10の外観構成を示す斜視図、図2は、薬剤供給装置10のカバーを取り除いた状態の概略斜視図、図3は、薬剤供給装置10の概略断面図、図4は、上部筐体20の上側部分拡大図であるである。
【0014】
図1乃至図4に示すように、本実施の形態に係る薬剤供給装置10は、筐体12と、フロート14と、薬剤カートリッジ16とから構成される。
【0015】
筐体12は、上部筐体20と、下部筐体22と、蓋24及び26とを備え、それぞれがプラスチック材料にて一体成形されている。
【0016】
筐体12は、上部筐体20により、フロート14を収容できる円柱状のフロート収容空間である領域を内部に形成し、また、上部筐体20と下部筐体22により、薬剤カートリッジ16を収容できる円柱状の薬剤カートリッジ収容空間である領域を内部に形成している。
【0017】
また、上部筐体20のフロート収容空間の下部には、フロート14の下端を支持するための円板状のフロート支持部28が設けられている。また、上部筐体20のフロート収容空間の上部には、図4に詳細に示すように、後述する蓋24の雄ネジ部24dと嵌め合わされる雌ネジ部29が設けられている。本実施の形態において、フロート支持部28には、複数の孔28aが設けられている。この孔28aから水が出入りすることにより、フロート14は、上昇又は下降するように構成されている。また、フロート支持部28は、フロート14の上昇及び下降のストロークの範囲を規定しており、本実施の形態では、フロート14のストローク長が2〜3mmとなる位置にフロート支持部28が設けられている。
【0018】
また、上部筐体20の薬剤カートリッジ収容空間の上部には、図4に詳細に示すように、後述する蓋26の雄ネジ部26aと嵌め合わされる雌ネジ部30が設けられている。また、雌ネジ部30の内方側には、後述する薬剤カートリッジ16のフランジ16aを載置することで、薬剤カートリッジ16を保持するための段部31が設けられている。また、上部筐体20の下部には、図2に示すように、後述する下部筐体22の下部フランジ38と締結される上部フランジ32が成形されている。
【0019】
下部筐体22は、トラック状の長円柱形状で、フラッシュ水を貯水できる空間を内部に形成している。そして、その下部中央部外側には、フラッシュ水が通る分流管122を接続することができる接続管34が成形されている。また、下部筐体22の下部中央部内側には、接続管34と連通し、フラッシュ水を下部筐体22内に流入させる流入・流出管36が成形されている。また、下部筐体22の上部には、図2に示すように、上部フランジ32と締結される下部フランジ38が成形されている。また、流入・流出管36には、フラッシュ水の流入状態を整流するための整流板18が設けられている。これにより、フラッシュ水は、本管120から分流管122を通り、下部筐体22内に供給される。
【0020】
整流板18は、図5に示すように、板状で、その一端は、流入・流出管36の側面部に取り付けられる。また、その他端は、下部筐体22内面に取り付けられる。これにより、流入・流出管36の流入・流出口36aから流入されたフラッシュ水は、整流板18に沿って進む。そして、流入されたフラッシュ水は、下部筐体22内に流入され、薬剤カートリッジ16の周りを、渦を巻きながら流入するように構成されている。
【0021】
蓋24は、図2乃至図4に詳細に示すように、その略中央部に4個の空気孔24aが設けられている。また、蓋24の下面側で空気孔24aを囲む位置には、後述するフロート14のパッキン46と接触する垂直壁24bが設けられている。この垂直壁24bは、空気孔24aを囲むように筒状に形成されている。
【0022】
また、蓋24の中央部には、後述するフロート14の挿入孔14aに挿入されるフロート支持棒25が取り付けられる。本実施の形態において、フロート支持棒25は、金属又はプラスチック材料にて成形され、ナットにより蓋24に取り付けられる。
【0023】
また、蓋24の下部外側には、前述した上部筐体20のフロート収容空間の上部に設けられた雌ネジ部29と嵌め合わされる雄ネジ部24dが設けられている。本実施の形態において、上部筐体20のフロート収容空間の上部と蓋24との間には、上部筐体20のフロート収容空間の上部と蓋24とを密閉するためのOリング42が配置されている。よって、上部筐体20のフロート収容空間の上部に蓋24をねじ込むことにより密閉することができる。
【0024】
蓋26は、図3及び図4に詳細に示すように、その下部外側に、上部筐体20の薬剤カートリッジ収容空間の上部に設けられた雌ネジ部30と嵌め合わされる雄ネジ部26aが設けられている。本実施の形態において、上部筐体20の薬剤カートリッジ収容空間の上部と蓋26との間には、上部筐体20の薬剤カートリッジ収容空間の上部と蓋26とを密閉するためのOリング42が配置されている。よって、上部筐体20の薬剤カートリッジ収容空間の上部に蓋26をねじ込むことにより密閉することができる。
【0025】
フロート14は、水より比重が小さく、水に浮く材料である発泡材料にて円柱状に成形されている。また、その中央部には、フロート支持棒25が挿入される挿入孔14aが設けられている。この挿入孔14aは、フロート14の上面の中心から重心を通って下面近くまで垂直に形成されている。本実施の形態において、フロート14とフロート支持棒25との長さは、流入されるフラッシュ水により上昇又は下降する際に、確実に上昇又は下降できる長さをそれぞれ有している。また、フロート14は、その下端を支持するフロート支持部28により、フロート収容空間である領域内に保持されている。
【0026】
また、フロート14の上面部には、弾性部材にて、円柱の上面に円錐台を載せた形状に一体成形されたパッキン46が設けられている。パッキン46は、フロート14が上昇することにより、蓋24の垂直壁24bに圧接し、前述した蓋24の空気孔24aを塞ぐことができる。本実施の形態において、パッキン46には、ゴム等の弾性部材が使用される。
【0027】
薬剤カートリッジ16は、プラスチック材料にて格子状に一体成形されている。そして、その格子状の内部には、薬剤Yを収容できる空間が形成されている。本実施の形態において、薬剤カートリッジ16は、円柱形状の薬剤Yを4個重ねて収容できる空間を有している。
【0028】
また、薬剤カートリッジ16の上部には、フランジ16aが全周に設けられている。このフランジ16aは、上部筐体20の薬剤カートリッジ収容空間である領域上部の段部31に載せることにより、薬剤カートリッジ16を領域内に収容することができる。また、薬剤カートリッジ16の周面は、図3のA−A線断面図である図5に示すように、フランジ16aから底面側に伸びる格子状の柱16bが複数設けられている。よって、その隙間からフラッシュ水が浸入できる。本実施の形態において、下部筐体22内には、図3に示すように、流入・流出管36の流入・流出口36aの高さまでフラッシュ水が常に貯水されている(図3の符号W1の水位)。これは、薬剤カートリッジ16の内部に収容された薬剤Yの一部が、常にフラッシュ水に浸るようにするためである。これにより、下部筐体22内には、常に、薬剤Yが溶解された水を貯水しておくことができる。
【0029】
上部筐体20と下部筐体22とは、上部フランジ32と、下部フランジ38とをボルト40を使用して締結することにより一体的に組み立てられる。なお、上部フランジ32と下部フランジ38との間には、上部フランジ32と下部フランジ38とを密閉するためのOリング44が全周に配置される。これにより、上部筐体20と下部筐体22とを密閉することができる。
【0030】
このように構成された薬剤供給装置10の設置状態を説明する。図1に示すように、便器Bの上部には、フラッシュ水を便器Bに供給するための本管120が接続されている。本管120には、その側面から分岐して側方へ伸びる分流管122が接続されている。筐体12への水(流体)供給管としての分流管122の他端は、下部筐体22の下面に設けられた接続管34に接続される。これにより、フラッシュ水は、本管120から分流管122を通り薬剤供給装置10の筐体12に供給される。また、薬剤を含んだ水は、薬剤供給装置10から分流管122を通り本管120に出水され便器Bに供給される。
【0031】
次に、このように便器Bに設置された薬剤供給装置10の使用状態を、以下に詳細に説明する。図6に示すように、使用者が便器Bを使用すると、自動的に、又は、使用者がフラッシュボタン(図示せず)を押すことにより、フラッシュ水が本管120から便器Bに供給される(図6の矢印Fの方向)。次に、フラッシュ水が便器Bに供給されると、フラッシュ水の一部は、本管120から分流管122を通り接続管34へと流入する(図6の矢印F2の方向)。そして、接続管34に流入したフラッシュ水は、流入・流出管36を通って、薬剤供給装置10の下部筐体22内に供給される(図6の矢印F3の方向)。
【0032】
下部筐体22内に流入したフラッシュ水は、図5に示すように、整流板18により整流され、下部筐体22の内面に沿って流入される。この時、フラッシュ水は、薬剤カートリッジ16の周りを、渦を巻きながら流入される(図5に示す矢印の方向)。これにより、薬剤カートリッジ16に収容されている薬剤Yは、より溶けやすくなる。また、薬剤Yは、渦を巻きながら流入した水により、表面から徐々に溶解される。
【0033】
次に、下部筐体22内に流入したフラッシュ水は、図6に示すように、徐々に、筐体12内での水位を上昇させる。筐体12内の水は、フロート支持部28の複数の孔28aからフロート収容空間である領域内に侵入する。これにより、フロート14は、その浮力により押し上げられ、フロート支持棒25に沿って徐々に上昇される。そして、流入したフラッシュ水が所定の水位まで上昇することにより(図6の符号W2の水位)、フロート14は、図4に示すように、蓋24の垂直壁24bに到達するまで上昇する。これにより、フロート14の上部に設けられたパッキン46は、蓋24の垂直壁24bに接触しながら圧接され、蓋24の空気孔24aを塞ぐ。
【0034】
フロート14により空気孔24aが閉塞されると、薬剤供給装置10の筐体12内部の圧力が上昇し、フラッシュ水の流入が停止される。また、便器Bへ供給されるフラッシュ水は、所定時間経過後に供給が停止される。本管120から便器Bへのフラッシュ水の供給が停止して、本管120内のフラッシュ水がなくなると、図7に示すように、薬剤供給装置10の筐体12内に溜まった薬剤を含んだ水が、流入・流出管36の流入・流出口36aから流出される(図7矢印S1参照)。フロート14は、薬剤を含んだ水が流入・流出管36から所定量流出されると(図7の符号W3の水位)、フロート支持棒25に沿って下降しながら初期位置に戻る。また、流入・流出管36から流出された水は、分流管122を通って本管120に流入される(図7の矢印S2参照)。これにより、便器B内に薬剤を含んだ水が供給される。この時、筐体12内に貯水された薬剤を含んだ水は、徐々に水位を下げ、流入・流出管36の流入・流出口36aの高さまで水が流出される(図7の符号W4の水位)。そして、下部筐体22内には、流入・流出口36aの高さまでの水が常に貯水される。
【0035】
以上、詳細に説明した本実施の形態に係る薬剤供給装置10によれば、フロート14の重心がフロート支持棒25のほぼ中心線上になるように構成されている。よって、フロート14は、上昇又は下降の際に横方向への振れを減少することができる。これにより、フラッシュ水の水位の上昇又は下降により、フロート14は、上昇又は下降する際に軋むことなく、スムーズに上昇又は下降することが可能となる。また、フロート14がスムーズに上昇して確実に空気孔24aを塞ぐので、水漏れを防止することができる。
【0036】
また、本実施の形態に係る薬剤供給装置10においては、フロート14の挿入孔14aの表面とフロート支持棒25の表面との接触面積が小さいので、引っ掛かることなく、スムーズに上昇又は下降することが可能となる。
【0037】
また、本実施の形態に係る薬剤供給装置10においては、フロート支持棒25が、フロート14の上面側に配置され、筐体12内に流入されたフラッシュ水と接触しないように構成されている。これにより、その表面に、水垢やコケ等が付着することが少なくできると共に、フロート14の挿入孔14aへのゴミ等の侵入も防ぐことができる。この構成により、フロート14をスムーズに上昇又は下降することが可能となる。
【0038】
さらに、本実施の形態では、フロート支持部28によりフロート14のストローク下端を規定し、フロート14のストローク長が2〜3mmとなるように構成している。ストローク長が長くなる程、途中で引っ掛かる可能性も高くなるので、本実施形態によれば、ストローク長を短くしたことのよっても、安定したフロートのストロークを実現している。
【0039】
また、本実施の形態では、弾性部材であるパッキン46を介して、フロート14と空気孔24a周囲の垂直壁24bとが圧接し、空気孔24aを塞ぐように構成されているため、確実に筐体12内を密封し、水の流入を停止させることができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能であることは言うまでもない。例えば、本実施の形態においては、蓋22には、4個の空気孔22aを設けたが、必要に応じて任意の数の空気孔を設けても良い。
【0041】
また、本実施の形態においては、薬剤供給装置10に使用されるフラッシュ水として水道水を使用したが、他の流体、例えば、排水を再利用した水等を使用されても良い。
【0042】
また、本実施の形態においては、薬剤カートリッジ14に薬剤を4個収容したが、適宜所望の数の薬剤を収容されても良い。
【0043】
また、本実施の形態においては、流入・流出管36の上部に流入・流出口36aを設けることにより、下部筐体22内に常に水を貯水し、薬剤Yの一部を常にフラッシュ水に浸るように構成したが、流入・流出口36aを下部筐体22の底面部に設け、下部筐体22内の全ての水を流出するように構成されても良い。
【0044】
また、本実施の形態においては、フロート14の上面部に、円柱の上面に円錐台を載せた形状に一体成形された弾性部材のパッキン46を設け、蓋24の垂直壁24bに当接させることにより空気孔24aを閉塞させるように構成したが、フロートの上昇により筐体の空気孔24aを確実に閉じることができる構成であれば良く、これに限定されるものではない。例えば、図8(a)に示すように、フロートの上面中央部に、弾性部材にて円柱状に成形されたパッキンを設け、蓋の下面に当接させて空気孔を閉塞させるように構成されても良い。また、図8(b)に示すように、蓋の空気孔の周囲にパッキンを設け、フロートの上面をパッキンに当接させることにより空気孔を閉塞させるように構成されても良い。また、図8(c)に示すように、フロートの上面部に、円柱とその上面に円錐台を載せた形状に一体成形された凸部を設け、蓋の空気孔の周囲に設けられた弾性部材にて成形された垂直壁(パッキン)に当接させることにより空気孔を閉塞させるように構成されても良い。
【0045】
また、本実施の形態では、フロートのストローク長が2〜3mmとなるように構成したが、もちろんこれに限定されるものではなく、1〜5mmのストローク長であれば、確実に安定してフロートを上昇及び下降させることが可能である。また、1〜10mm程度のストローク長であっても、安定したストロークが可能である。
【0046】
また、本実施の形態では、フロートを上下方向に移動可能に支持する支持棒がフロートの重心を通るように構成したが、重心を外れた部分を通るように構成しても良い。重心部分から外れるにつれて、フロートの上昇及び下降安定性に悪影響を与えるおそれもあるが、従来のフロート外周全面をフロート枠で支える構成と比べれば、高い安定性を得ることが可能である。
【0047】
また、本実施の形態では、水洗便器に設置される薬剤供給装置を例にとって説明したが、これに限定されるものではなく、流し台や浴槽の排水管等、薬剤を溶解させた流体を供給する必要性のある設備であれば、本発明に係る薬剤供給装置を適用可能である。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。図9は、本発明の第2の実施の形態に係る薬剤供給装置200の概略断面図である。なお、第1の実施の形態では、蓋24にフロート支持棒25を取り付け、フロート14の上面から挿入する構成としたのに対して、第2の実施の形態では、フロート支持部222の上面にフロート支持棒222bが設けられ、フロート216の下面から挿入する構成としたことが大きな特徴である。したがって、上記構成以外の構成は、第1の実施の形態と同一であり、同一の構成については、同じ符号を付して説明は省略する。また、薬剤供給装置200の使用状態は、第1の実施の形態の薬剤供給装置10と同様であるので、説明は省略する。
【0049】
図9に示すように、本実施の形態に係る薬剤供給装置200は、筐体210と、フロート216と、薬剤カートリッジ16とから構成される。
【0050】
筐体210は、上部筐体212と、下部筐体214と、蓋218及び26とを備え、それぞれがプラスチック材料にて一体成形されている。
【0051】
筐体210は、上部筐体212により、フロート216を収容できる円柱状のフロート収容空間である領域を内部に形成し、また、上部筐体212と下部筐体214により、薬剤カートリッジ16を収容できる円柱状の薬剤カートリッジ収容空間である領域を内部に形成している。
【0052】
また、上部筐体212のフロート収容空間の下部には、フロート216の下端を支持するための円板状のフロート支持部222が設けられている。また、フロート支持部222には、後述する水が通るための複数の孔222aが設けられている。また、フロート支持部222の上面側中央部には、後述するフロート216の挿入孔216aに挿入されるフロート支持棒222bが設けられている。また、上部筐体212の下部には、後述する下部筐体214の下部フランジ38と締結される上部フランジ32が成形されている。本実施の形態において、フロート支持部222には、複数の孔が設けられている。この孔から水が出入りすることにより、フロート216は、上昇又は下降するように構成されている。
【0053】
蓋218は、その中央部に4個の空気孔218aが設けられている。また、蓋218の下面側で空気孔218aを囲む位置には、後述するフロート216のパッキン224と接触する垂直壁218bが設けられている。この垂直壁218bは、空気孔218aを囲むように筒状に形成されている。また、蓋218の下面外側には、前述した上部筐体212のフロート収容空間の上部に設けられた雌ネジ部226と嵌め合わされる雄ネジ部218cが設けられている。本実施の形態において、上部筐体212のフロート収容空間の上部と蓋218との間には、上部筐体20のフロート収容空間の上部と蓋24とを密閉するためのOリングが配置されている。よって、上部筐体212のフロート収容空間の上部に蓋218をねじ込むことにより密閉することができる。
【0054】
フロート216は、水より比重が小さく、水に浮く材料である発泡材料にて円柱状に一体成形されている。フロート216は、フロート216を収容できる円柱状のフロート収容空間である領域内において、後述する流入されるフラッシュ水により上昇又は下降できる高さを有する。また、その中央部には、フロート支持棒222bが挿入される挿入孔216aが設けられている。本実施の形態において、フロート216は、フロート支持棒222bより長く成形されている。また、フロート216は、その下端を支持するフロート支持部222により、フロート収容空間である領域内に保持されている。
【0055】
また、フロート216の上面部には、弾性部材にて、円柱の上面に円錐台を載せた形状に一体成形されたパッキン224が設けられている。パッキン224は、フロート216が上昇することにより、蓋218の垂直壁218bに圧接し、前述した蓋218の空気孔218aを塞ぐことができる。本実施の形態において、パッキン224には、ゴム等の弾性部材が使用される。
【0056】
以上、詳細に説明した本実施の形態に係る薬剤供給装置200によれば、第1の実施形態と同様に、フロート216の重心が、フロート支持棒222bのほぼ中心線上になるように構成されている。よって、フロート216は、上昇又は下降の際に横方向への振れを減少できる。これにより、フラッシュ水の水位の上昇又は下降により、フロート216は、上昇又は下降する際に軋むことなく、スムーズに上昇又は下降することが可能となる。また、フロート216がスムーズに上昇して確実に空気孔218aを塞ぐので、水漏れを防止することができる。
【0057】
以上、第2の実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は、これらの構成に限定されないことは言うまでもない。例えば、本実施の形態においては、フロート支持棒222bの長さを、フロート挿入孔216aより若干短くしたが、フロート216が確実に上昇又は下降できる長さであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る薬剤供給装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る薬剤供給装置のカバーを取り除いた状態の概略斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る薬剤供給装置の概略断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態に係る上部筐体20の上側部分拡大図である
【図5】図5は、図3のA−A線断面図である
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態に係る使用状態を示す概略断面図である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施の形態に係る使用状態を示す概略断面図である。
【図8】図8は、他の実施の形態に係る弾性部材にて空気孔を閉塞する構成を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施の形態に係る薬剤供給装置の概略断面図である。
【図10】図10は、従来の薬剤供給装置の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0059】
10 薬剤供給装置
12 筐体
14 フロート
16 薬剤カートリッジ
18 整流板
20 上部筐体
22 下部筐体
24 蓋
25 フロート支持棒
26 蓋
28 フロート支持部
34 接続管
36 流入・流出管
46 パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体供給管から流入する流体によって溶解される薬剤を収容し、溶解された薬剤を含む流体を前記流体供給管に流出して供給する薬剤供給装置であって、
前記流体供給管に接続され、その内部に前記流入した流体を貯水するための筐体と、
前記筐体内に上下方向に延在して設けられた支持棒と、
前記筐体の上面部に設けられた筐体外部と連通可能な空気孔と、
前記支持棒が挿入される挿入孔が形成され、前記支持棒に沿って上昇又は下降可能なフロートと、を備え、
前記流入した流体の水位の上昇に伴って前記フロートが上昇し、前記空気孔を塞ぐことで前記筐体内を密封し、前記流体供給管からの流体の流入を停止させるように構成されていることを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項2】
前記フロート上面又は前記筐体上面には弾性部材が設けられており、前記フロート上面及び筐体上面が前記弾性部材を介して圧接されることで、前記空気孔を塞ぐように構成されていることを特徴とする請求項1記載の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記フロートの挿入孔は、フロートの重心を通るように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記流体供給管は、流体が流れる本管から分岐して前記流体の一部が流入する分流管であることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項に記載の薬剤供給装置。
【請求項5】
前記支持棒は前記筐体上面から下方に延在して設けられており、前記フロートの挿入孔は、前記フロートの上面から下方に向けて形成されていることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項に記載の薬剤供給装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記フロートのストローク下端を規定するフロート支持部を備えることを特徴とする請求項1乃至5何れか1項に記載の薬剤供給装置。
【請求項7】
前記フロート支持部は、前記フロートのストローク長が1〜10mmとなる位置に設けられたことを特徴とする請求項1乃至6何れか1項に記載の薬剤供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−152731(P2006−152731A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347452(P2004−347452)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(593126226)株式会社ジャスト (1)
【Fターム(参考)】