説明

薬剤塗布用具

【課題】 手を汚すことなく、一人で簡単に薬を塗布することができ、手間のかからない薬剤塗布用具を提供することを目的とする。
【解決手段】 用具本体10の一端に薬剤塗布部2を設けるとともに他端に孫の手3を設け、前記薬剤塗布部2が回転体4と、前記回転体4を回転可能に保持する保持部7とからなり、前記保持部7の内部に薬剤21を収納する空間20を設けて前記回転体4表面に薬剤21の付着層6を形成可能にするとともに、該付着層6が保持部7より突出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手が自由に届かない身体の部位に一人で薬を塗布するための薬剤塗布用具に関する。
【背景技術】
【0002】
背中等の手の届きにくい部位に薬を塗ったり、掻いたりするのには、人手を借らなければならない場合が多く、一人では困難である。
一人で薬を塗れるように孫の手などに切込みを設け、薬剤を含ませたガーゼや脱脂綿を挟持できるようにした補助具がある(特許文献1)。
また、ローラーに軟膏などの薬を塗布して、手の届かない箇所へ薬を塗るようにした薬物塗り付け器がある(特許文献2)。
【特許文献1】 特開2002−136602号
【特許文献2】 特開平11−76421号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に示す発明は、ガーゼや脱脂綿に薬剤を含ませたり、この薬剤を含ませたガーゼや脱脂綿を孫の手状先端部に取り付けなければならず、手が汚れたり、手間がかかり煩わしいものであった。
また、特許文献2に示す発明は、予め薬をローラーに塗布するものであるため、ローラーに塗布した量しか薬を患部に塗ることができない。
このため使用する都度、薬をローラーに塗布しなければならず、手が汚れたりして面倒である。
【0004】
本発明は、かかる問題点に鑑み、手を汚すことなく、一人で簡単に薬を塗布することができ、手間のかからない薬剤塗布用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような目的を達成するために、本発明の薬剤塗布用具は、用具本体の一端に薬剤塗布部を設けるとともに他端に孫の手を設け、前記薬剤塗布部が回転体と、前記回転体を回転可能に保持する保持部とからなり、前記保持部の内部に薬剤を収納する空間を設けて前記回転体表面に薬剤の付着層を形成可能にするとともに、該付着層が保持部より突出するようにしたことを特徴とするものである。
また、本発明の薬剤塗布用具は、薬剤塗布部を用具本体に対して着脱可能とすることができる。
【0006】
上記課題解決手段による作用は、次のとおりである。
本薬剤塗布用具を使用する時は、用具本体を手で握って持ち、腕を上げて回転体を患部に当て、軽く動かす。
回転体の表面には薬剤の付着層が形成されており、回転体を患部に当てて動かすことで回転体を回転させながら、その表面に付着している薬剤を患部に塗布することができる。
薬剤を塗布し終わった回転体は、再び薬剤と接触して回転体の表面に薬剤の付着層が形成される。
このようにして回転体を背中に当てて動かすことで、回転体の表面に薬剤の付着層を形成しながらその薬剤が患部に塗布されるので、背中のどの部分にも満遍く薬剤を塗布しつづけることができる。
一方、用具本体の他端には孫の手を設けてあるので、背面の手の届かない場所が痒い時にも使用することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したようになるから、次のような効果を得ることができる。
<イ>予め薬剤の付着層が形成された回転体を患部にあてて動かすだけでよいので、手を汚すことのない薬剤塗布用具を提供することができる。
<ロ>一人で簡単に薬を塗布することができ、手間のかからない薬剤塗布用具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態について説明する。
図1は回転体に球体を用いた薬剤塗布用具の斜視図で、図2は回転体にローラーを用いた薬剤塗布用具の斜視図である。図3は保持部の断面図である。図4は回転体に蓋をかぶせる状態を示す図で、図5は保持部と用具本体の接続状態を示す断面図である。
【0009】
<イ>薬剤塗布用具(図1、図2)
薬剤塗布用具1は、用具本体10の一端に薬剤塗布部2を設けるとともに他端に孫の手3を設けてなる。
用具本体10の部材は、木、竹、金属でもよいが、プラスチック等の可撓性のある素材が適当である。
薬剤塗布用具1を手で握って操作できるように、用具本体10の適当な個所に把握部11を設ける。
把握部11は手で握った時、滑りにくい凹凸を設け、力が入りやすい太さを持つのが好ましい。
また用具本体10は、把握部11を持って肩線まで持ち上げた時に、成人の平均的な背中の任意所望箇所に無理なく薬剤塗布部2が届く長さを持つ。
【0010】
<ロ>薬剤塗布部(図3)
薬剤塗布部2は患部に薬を塗るためのもので、本発明では表面に薬剤21の付着層6が形成された回転体4からなる。
図3に薬剤塗布部2の構造の一例を示す。
薬剤塗布部2は、回転体4とこれを回転可能に保持する保持部7とで構成される。
保持部7は、回転体4を回転可能に保持するほか、その内部が空間20となっており、そこに薬剤21を収納可能にしている。
本例では、保持部7は用具本体10の一端から断面略楕円状に突出した形状であり、回転体4の少なくとも半分以上を収納するとともに、突出した箇所に薬剤21を収納するようになっている。
保持部7の空間20を横切って複数の支持部材8が回転体4に向けて設けられ、さらに支持部材8の先端をつなぐようにして支持面9が回転体4の表面に沿って形成されている。
支持面9と回転体4表面との間には隙間が設けられてあり、空間20に充填されている薬剤21が隙間に入り込んで、回転体4の表面に薬剤21の付着層6が形成されるようになっている。
かくしてその表面に薬剤21の付着層6が形成された回転体4が構成される。
【0011】
回転体4の中心に回転軸40を挿通し、回転軸40を保持部7に取り付ける。
回転体4を保持部7に取り付けた状態では、表面の付着層6が保持部7から突出し、薬剤21を患部に塗布できるようになっている。
この回転体4を患部に押し当てて動かすことによって薬剤21の付着層6が肌に張り付き、患部に薬を塗ることができる。
回転体4を保持部7にセットするには、例えば回転体4と保持部7の穴を同軸にし、回転軸40を挿通するか、あるいは回転体4に回転軸40を固定し、保持部7を押し広げて回転軸40をセットすればよい。
支持面9が回転体4の表面に沿って形成されているので、回転軸40を省略してもよいが、回転体4をスムースに回転させるには回転軸40を設けた方が望ましい。
回転軸40を省略した場合は、回転体4が、抜け落ちることがないように保持部7は回転体4表面の半分以上を覆う必要がある。
【0012】
回転体4表面の薬剤21が他に付かないように、使用しないときは蓋41などで回転体4の表面を覆うようにするのがよい(図4参照)。
薬剤塗布部2は用具本体10と一体的に構成してもよく、あるいは用具本体10に着脱可能に構成してもよい。
薬剤塗布部2と用具本体10との接続は、ワンタッチの差込形式かネジ形式(ネジ穴72)とすることができる(図5参照)。
薬剤塗布部2を着脱可能にすることによって、必要に応じ種類を選択し、ソフトな塗り方をしたりすることも可能である。
また、本発明の薬剤塗布用具1は使い捨てを基本にしているが、保持部7に穴22をあけて外部から薬剤21を空間20内に注入して補充するようにしてもよい(図3)。
注入したら蓋23等で穴22を塞いでおく。
あるいはネジ穴72を利用して薬剤21を空間20内へ注入するようにしてもよい(図5参照)。
【0013】
<ハ>回転体(図1、図2、図3)
回転体4は、球体またはローラーを用いることができる。
図1は球体を用いた例であり、図2はローラーを用いた例である。
球体は肌と接触する面が狭いので、小さな傷など薬を僅かに塗る場合に好適であり、ローラーは幅広く薬を塗る場合に好適である。
薬剤21を表面に付着した回転体4は肌と接触するので、肌を傷つけず、また薬剤21が適量に塗れるように弾力があり、多孔質状の例えばスポンジ状5のものとするのが好ましい。
スポンジ5にすることによって薬剤21が内部に浸透するほか、身体に柔軟に接すると同時に身体の多少の凹凸にも対応出来るようになる。
回転体4自体をスポンジで構成してもよく、あるいは回転体4の外周にフエルトやスポンジ状シートを接着して回転体4の表面をスポンジ状にしてもよい。
【0014】
<ホ>作用
空間20に薬剤21を充填しておく。
保持部7にセットされた回転体4は、そのまま空間20内の薬剤21に接触しているので、回転体4の表面には薬剤21が付着した付着層6が形成されることになる。
本薬剤塗布用具1を使用する時は、用具本体10を手で握って持ち、腕を上げて回転体4を患部に当て、軽く動かす。
回転体4の表面には薬剤21が付着した付着層6が形成されており、また回転体4は保持部7に回転自在に保持されているので、回転体4を患部に当てて動かすことで回転体4が回転しながら、その表面に付着している薬剤21を患部に塗布することができる。
薬剤21を塗布し終わった回転体4をそのまま回転させれば、再び薬剤21と接触して回転体4の表面に薬剤21の付着層6が形成される。
このようにして回転体4を背中に当てて動かすことで、背中のどの部分にも満遍なく薬剤21を塗布しつづけることができる。
回転体4が球体の場合は、回転軸40を省略することによって球体が多方向へ回転し、球体表面に付着している薬を満遍なく塗ることができる。
一方、用具本体10の他端には孫の手3を設けてあるので、背面の手の届かない場所が痒い時にも使用することができる。
【0015】
本発明の薬剤塗布用具1は、用具本体10の一端に回転体4を回転自在に支持し、また回転体4は常時薬剤21に接触して薬剤21の付着層6が形成されているため、連続的に薬を患部に塗布することができる。
回転体4の外周には弾力があり、多孔質状のスポンジ状物5を設けてあるので、使用しようとする回転体4の外周に薬剤21が浸透するほか、柔らかい感触で薬剤21を塗布でき、身体の多少の凹凸にも対応できる。
本発明は、以上説明したように構成され、使用されるので、一人暮らしの人でも身体の背面を適度に掻いたり、薬品類を塗ったりすることができ、非常に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】回転体に球体を用いた薬剤塗布用具の斜視図。
【図2】回転体にローラーを用いた薬剤塗布用具の斜視図。
【図3】保持部の断面図。
【図4】回転体に蓋をかぶせる状態を示す図
【図5】保持部と用具本体の接続状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0017】
1・・・・薬剤塗布用具
2・・・・薬剤塗布部
3・・・・孫の手
4・・・・回転体
40・・・回転軸
5・・・・スポンジ
6・・・・付着層
7・・・・保持部
8・・・・支持部材
9・・・・支持面
10・・・用具本体
11・・・把握部
20・・・空間
21・・・薬剤
22・・・穴
23・・・蓋
72・・・ネジ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用具本体の一端に薬剤塗布部を設けるとともに他端に孫の手を設け、前記薬剤塗布部が回転体と、前記回転体を回転可能に保持する保持部とからなり、前記保持部の内部に薬剤を収納する空間を設けて前記回転体表面に薬剤の付着層を形成可能にするとともに、該付着層が保持部より突出するようにしたことを特徴とする、薬剤塗布用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−212371(P2006−212371A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59602(P2005−59602)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(596049991)
【Fターム(参考)】