説明

薬剤管理システムおよびこれを用いた薬剤管理方法

【課題】処方箋医薬品の適正使用を図り、副作用被害を防止する薬剤管理システムの提供。
【解決手段】処方医師情報、調剤薬剤師情報、患者情報及び処方箋情報を格納する登録手段、登録情報を検索する検索手段、検索結果表示手段を有する薬剤管理システムで、処方箋医薬品の譲渡先に関する前記譲渡先情報を表示し、譲渡先が該医薬品の譲受条件を満たしているか否かを表示する確認表示手段、処方箋情報や患者情報へのアクセスを、前記譲渡先情報及び処方箋情報を管理する登録情報管理者、処方医師、調剤薬剤師、及び処方医師・調剤薬剤師・患者からモニタリングの同意を得ている調査機関に限定するアクセス制限手段、並びに2回目以降の患者への処方箋医薬品の譲渡にあたり、処方箋情報に基づく医薬品の個別の処方数量、用法、用量の薬歴情報と、該患者の薬剤専用容器から取得された服薬情報とを対比表示する比較表示手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処方箋医薬品の処方箋情報と、処方医師情報、調剤薬剤師情報、卸薬剤師情報および患者情報などの譲渡先情報を登録する登録手段、登録された情報を検索する検索手段および得られた検索結果を表示するデータ表示手段を有する薬剤管理システムである。本発明の薬剤管理システムは、該処方箋医薬品を譲渡する時点において各譲渡先が該管理システムに登録され該処方箋医薬品の譲受条件を満たしているか否かを表示(判定)する管理システムである。また、本発明は該管理システムを用いた薬剤管理方法についての改良に関する。
【背景技術】
【0002】
処方箋医薬品は、通常、製造・発売元の医薬品メーカーから卸を経由して(又は直接に)医療機関に納入される。医療機関においては、医師が患者を診察し、患者に対して投薬の必要がある場合に処方箋を作成し、院内または院外の薬局の薬剤師にこの処方箋が渡され、処方箋に従って薬剤師から患者に医薬品が調剤される。
【0003】
医薬品には副作用があるため、医師または薬剤師は、処方箋医薬品の効能・効果、用法・用量に加えて、起こりうる副作用などについて、患者に適切な指導と説明をしなければならない。例えば、妊娠期間中に服用すると胎児に重篤な催奇形性を引き起こす可能性のある医薬品や他の医薬品と併用すると相互作用により生命に危険を及ぼすような重篤な副作用を引き起こす可能性のある医薬品については、このような副作用や注意事項に関する指導を行うと共に、患者の体質や体調、活動状況によっては使用に高度の注意を要したり使用が制限される。また、このような医薬品を誤って他人に譲り渡ししてしまった場合の危険性などについて正しく認識させ、患者が受け取った医薬品について定められた通りに服薬・管理し、危険を回避できるようにすることが必要である。
【0004】
処方箋医薬品が配布される患者を監視し教育する方法としては、例えば、催奇形性が知られている医薬品であるイソトレチノインに関して、避妊プログラムが開発されて用いられて来た。US 6045501では、適正使用と能率の向上を図るためイソトレチノインに採用された前記プログラムを更に発展させ、薬物に知られているかまたは疑われる有害な副作用の発生を避けつつ患者に薬物を送達する方法であって、処方箋作成者がコンピュータの読取可能な保存媒体に登録され、該薬物を処方する資格を与えられていること、薬局が該媒体に登録され、該薬物の処方箋を提供する資格を与えられていること並びに患者が該媒体に登録され、そして該薬物を受けることが承認されていることが確信された後にのみ、該薬物の処方箋が提供されるシステムが開示されている。
【0005】
WO2003/009204パンフレットには、薬剤の効能および危険性に関する個人特有の情報を作成するための患者情報システムであって、組成、適用範囲、禁忌、効能、危険性および副作用のような薬剤の重要なデータが記憶されているシステムが設けられ、特定の個人的状態データの指示の下に特定の薬剤に関する利用者照会の際に、利用者の基礎教育と知識水準とを含む個人的状態データに基づいたデータを含み、照会により個別の利用者情報が作成されるように構成されている患者情報システムが報告されている。
【0006】
特開2004-185181号には、患者が同時に複数の薬剤を使用しているかどうか、併用している場合には医師または薬剤師は、薬剤併用に関する安全性のチェックを漏れなく行うことができ、サーバで薬剤情報データベースや患者データベースを管理し、複数の薬局や、医療機関と薬局との間で、情報を共有し、患者の服薬管理を漏れなく行うための、入力装置と表示装置とカレンダーデータベースを蓄積した記憶装置とがCPUに接続されて構成され、端末機に患者名および処方薬剤名を入力し、表示装置に当該患者に処方された全ての薬剤毎の使用期間をカレンダー上にグラフ表示した薬歴カレンダーが表示されるシステムが報告されている。
【0007】
特開2003-331059号には、患者に対して処方された医薬品についての薬歴管理業務を支援する薬歴管理業務支援システムであって、前記薬歴管理業務において確認すべき複数の事項のそれぞれに対応して、収集され得る複数種類の収集情報、前記収集情報を評価して得られる複数種類の評価情報および前記評価情報に基づいて採り得る複数種類の行動を示す複数種類の行動情報のうちの少なくとも1つを提示するための画面を表示する画面表示手段と、前記画面表示手段により表示された画面において提示される情報のうち、外部操作により指定された種類の情報を前記患者毎に記憶する記憶手段を備える薬歴管理業務支援システムが開示されている。
【0008】
特開2003-196394号には、コンピュータの記憶装置に、患者の性別、年齢、体重、体質、病歴、薬歴、症状等の項目からなる個人情報と、薬剤の成分、形態、製品毎の適用条件からなる薬剤情報とが記憶されていて、患者名および薬剤名を前記コンピュータに入力すると、当該患者に関して前記項目毎に薬剤の成分、形態、製品の使用の可否が判定されるシステムが開示されている。
【0009】
特開2003-108667号には、患者についての薬剤に関する個人情報、各薬剤についての服用指導情報などを記憶させる記憶装置を有する本部のホストコンピュータと、携帯端末とを接続し、特定の患者に関する前記個人情報を検索して携帯端末に送信するとともに、前記個人情報の中で処方された薬剤に対する服用指導情報に関連する事項を検索照合してその結果を携帯端末に送信し、処方された薬剤をその患者が服用しても不適合でないかどうかを前記携帯端末により確認できることを特徴とする薬歴管理システムが開示されている。
【0010】
特開2001-325360号には、薬歴管理ソフトウェアの下に患者に関する薬歴等の個人情報および各薬剤に関する副作用や禁忌等の薬剤情報を記憶させる薬歴管理センターに配備された薬歴データサーバと、各医療機関および各調剤薬局に配備される各コンピュータとがインターネットを介して互いに接続されており、前記各医療機関および各調剤薬局に配備される各コンピュータにより前記薬歴管理センターに配備された薬歴データサーバに記憶される前記個人情報や前記薬剤情報の交換、追加ならびに引き出しを行うことができることを特徴とする電子薬歴管理システムが開示されている。
【0011】
特開平11-312207号には、記憶手段と、入力手段と、検索手段と、表示手段とを具備する薬情報提供システムであって、前記記憶手段は、薬に関する情報を記憶してなり、前記検索手段は、前記記憶手段に記憶されている薬に関する情報と前記入力手段で入力された薬の名称とから、それらの薬の成分間の重複および/または相互作用に関する情報を検索するものであり、又、前記検索情報によって前記入力手段で入力された薬の使用が適さないことが判った場合に、前記薬と同一効能を呈する代替品に関する情報を前記記憶手段に記憶されている薬に関する情報の中から検索するものであり、前記表示手段は、前記検索手段による検索情報を表示する使用する薬の安全性と有効性を適切に確保するための薬情報提供システムが開示されている。
【0012】
特開平8-275988号には、処方箋中に記された医薬品同志の相互作用の有無を検証するために、医薬品名の入力に対して、相互作用を生じる可能性のある医薬品名リストを出力する相互作用医薬品名表示手段と、入力医薬品と同一の医薬品を指し示す医薬品名リストを出力する同義医薬品名表示手段とを予め用意する。処方箋中から二つの医薬品名称を抽出して、一方を検討対象医薬品名とし、他方を比較対象医薬品名とする。検討対象医薬品名を相互作用医薬品名表示手段に入力して、検討対象相互作用情報を得る。また比較対象医薬品名を同義医薬品名表示手段に入力して、比較対象同義医薬品名情報を得る。比較対象同義医薬品名情報中の医薬品名で検討対象相互作用情報中を検索し、検討対象相互作用情報中に比較対象同義医薬品名情報中の医薬品名が含まれている場合には、処方箋中に記された医薬品同志で相互作用が発生する可能性が有るものと判定する処方箋中の医薬品相互作用検証方法が開示されている。
【0013】
特開平8-57021号には、診療科および薬局等の各情報サブシステム群をネットワークで結合し、病院内情報の管理を行う病院情報システムで、各々の薬品の個別情報を記憶するマスタ情報の中に薬品の構成成分を第1の情報として持たせ、また、使用される可能性のある薬品構成成分を予めマスタ情報として登録し、薬品構成成分同士の禁忌関係を示すテーブルを第2の情報として持たせ、処方オーダ入力時に、第1の情報に登録された薬品構成成分、および第2の情報に登録された薬品成分同士の禁忌関係を参照して、複数の薬品同士の相互作用のチェックを行なう配合禁忌チェック方式が開示されている。
【0014】
特開平6-274472号には、読み書き可能なカード状記憶媒体に患者の受診履歴、体質や既往症等の個人情報を記録すると共に、過去に投与された薬または現在服用し続けている薬に関する投薬情報を記録し、投薬処方時に該記録情報と、新たに投与しようとする薬の情報および薬の併用による副作用を起こす薬の組合せに関する薬の情報と、患者の体質や既往症によって投与してはならない薬の情報とから新たに投与する予定の薬の適否を判定し、その判定結果を投薬処方担当者に通知する投薬適否判定方法が開示されている。
【0015】
特表2004‐512617号には前記US6045501の改良法として、処方箋作成者・薬局・患者・患者の危険群・患者のインフォームドコンセントが前記保存媒体中に適当に登録されていなければ提供されない処方承認コードを設定し、登録された薬局が該処方承認コードのみを検索することにより該薬局に要求される労苦を最小にし、単純化する方法が開示されている。
【0016】
また、特開平10−59415号には、薬剤が収容されたPTPシートの複数の凸状部が嵌入される複数の孔を有し、余白に服用上の留意事項を記載した一対の厚紙の間にPTPシートが封止されたカード型包装体、および患者の服用に便宜を与えるためにこの包装体を週や月の服用単位に長さ方向に連続させた連続体が開示されている。
【特許文献1】US6045501
【特許文献2】WO2003/009204パンフレット
【特許文献3】特開2004-185181号
【特許文献4】特開2003-331059号
【特許文献5】特開2003-196394号
【特許文献6】特開2003-108667号
【特許文献7】特開2001-325360号
【特許文献8】特開平11-312207号
【特許文献9】特開平8-275988号
【特許文献10】特開平8-57021号
【特許文献11】特開平6-274472号
【特許文献12】特表2004‐512617号
【特許文献13】特開平10−59415号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前記の通り、薬剤に知られているかまたは疑われる有害な副作用の発生を避けつつ、薬剤を必要とする患者に送達するため方法として、患者が薬剤を受けるべく承認される前に、コンピュータの読取可能な保存媒体が調べられ、処方医師、薬局および患者が媒体に適切に登録されていることが確信された後にのみ医薬品の処方箋が提供される薬剤管理システムあるいは処方される薬剤の相互作用を事前にチェックするシステムなどは既に存在している。しかし、それら管理システムは専ら医師または薬剤師から適正に薬剤が患者に処方されるまでを管理することを主題としたシステムであり、患者に薬剤が渡った後はほとんど患者の自己管理に任されている。当然、患者には医師および薬剤師などから薬剤に関する指導や注意が文書または口頭で行われるが、多岐にわたる副作用や注意事項を患者に知らせて全てを教育することは困難であるし、もし全てを理解させたとしても、患者の自己管理のみで危険を回避できるように薬剤の正しい服薬や管理を徹底させるのは難しい。すなわち、薬剤の不適切な使用や管理は、専門的な知識と資格を有する医師または薬剤師などで発生するものより、むしろ、患者に薬剤が渡された後で発生する場合の方がはるかに多いことに注意しなければならない。更に、登録した各種情報を複数の端末機にて利用するシステムの場合は、該登録情報が他者に知られ易いことになるが、処方箋情報や患者情報などは慎重に取り扱われるべき個人情報であって、個人の権利利益と密接に関わるものであるので、こうした個人情報の有用性に配慮しつつ、個人情報の保護を図ったシステムとすることが不可欠である。本発明は、従来の薬剤管理システムでは十分な対処ができていないこの様な課題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、処方箋情報、処方医師情報、調剤薬剤師情報(さらに卸薬剤師情報)および患者情報を登録する手段と登録された情報を検索する手段並びに得られた検索結果を表示する手段を有する管理システム等において、処方箋医薬品を譲渡する時点に譲渡先が当該管理システムに登録され処方箋医薬品の譲受条件を満たしているか否かを判定するものである。詳しくは、本発明は処方医師情報、調剤薬剤師情報、患者情報からなる譲渡先情報及び処方箋情報を格納する登録手段、該登録手段により格納された登録情報を検索する検索手段、並びに該検索結果を表示するデータ表示手段を有する薬剤管理システムであって、
(i)処方箋医薬品の譲渡先に関する前記譲渡先情報を表示し、譲渡先が該医薬品の譲受条件を満たしているか否かを表示する確認表示手段、
(ii)処方箋情報または患者情報へのアクセスを、前記譲渡先情報及び処方箋情報を管理する登録情報管理者、処方医師、調剤薬剤師、及び処方医師・調剤薬剤師・患者からモニタリングの同意を得ている調査機関に限定するアクセス制限手段、並びに
(iii)2回目以降の患者への処方箋医薬品の譲渡にあたり、処方箋情報に基づく医薬品の個別の処方数量、用法、用量の薬歴情報と、該患者の薬剤専用容器から取得された服薬情報とを対比表示する比較表示手段
を有することを特徴とする薬剤管理システムを提供するものである。また、本発明はこのようなシステムを用いた薬剤管理方法を提供するものである。
【0019】
本発明が対象とする薬剤は、医師の処方箋のもとに使用される処方箋医薬品であり、特に限定されず、鎮痛剤、抗炎症剤、交感神経作用剤、強心剤、抗生物質、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、気管支拡張剤、抗腫瘍剤、抗不正脈剤、抗けいれん剤、抗パーキンソン剤、抗高血圧剤、中枢作用剤、抗糖尿病剤、胃腸剤、コリン作動剤、抗ウィルス剤などの処方箋医薬品が挙げられ、具体的な薬剤例としては、モルヒネ、ヒドロモルホン、オキシコドン、メタドン、メペリジン、ジヒドロコデイン、コデイン、アンフェタミン、ジヒドロモルヒネ、ブプレノルフィン、フェンタニル、ナプロキセン、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ジクロフェナック、エフェドリン、セレギリン、サルブタモール、テルブタリン、フェニールプロパノールアミン、フェニラミン、テルフェナジン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、クレマスチン、プロカインアミド、プロプラノロール、キニジン、メトプロロール、カプトプリル、ヒドララジン、ジルチアゼム、アモキシシリン、セファレキシン、クラリスロマイシン、ペニシリン、クロキサシリンナトリウム、メトロニダゾール、テオフィリン、サルブタモール、フルタミド、サリドマイド、フルオロウラシル、プロカインアミド、キニジン、フェニトインナトリウム、エトスクシミド、バプロエートナトリウム、ジアゼパム、ペルフェナジン、クロルプロマジン、ファモチジン、ラニチジン、ラメチジン、オメプラゾール、ランソプラゾール、トルブタミド、アカルボース、ボグリボース、ベタネコール、ネオスチグミン、カルバコール、ソリブジン、ビタミン類、アミノ酸、ペプチド類など、およびそれらの塩酸、硫酸、リン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、重酒石酸などの無機塩または有機塩が挙げられ、特に、麻薬、向精神薬、覚せい剤、覚せい剤原料、劇薬、毒薬などに属する医薬品や、がんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品で深刻な副作用が知られている医薬品や重篤な相互作用により併用禁忌とされる医薬品などの厳重な管理を要する医薬品や医師や薬剤師等の指導のもとに適正に使用されなければ危害を生ずるおそれが大きい医薬品に適用することが望ましい。なお、本願発明でいう副作用とは、薬剤によって惹起される望ましくないすべての作用を意味し、服用する患者自身への作用だけに限られず、患者の胎児に重篤な奇形を惹起する催奇形性などや世代を経て生じ得る望ましくない作用も本発明でいう副作用に含まれる。
【0020】
本発明でいう処方箋情報には、少なくとも処方医師名またはその登録番号、患者氏名またはその登録番号、処方医薬品の名称、処方日、医薬品の個別の処方数量、用法、用量および処方日数などが挙げられる。
【0021】
本発明でいう処方医師は、処方箋医薬品の使用に関し十分な知識を有し患者に医薬品を処方する本システムに登録された医師である。処方医師は患者、家族、介助者への用法・用量、使用上の説明、副作用などに関する教育および指導を実施し、更に診療時にそれら事項に関する患者等の理解度の確認を行ってもよい。処方医師情報には、当該医師の登録番号、医療機関名、所在地、氏名、所属、職名、URL、e−メールアドレス、電話番号、回収記録、Fax番号、処方または調査機関が行うモニタリングに関する同意の有無などが挙げられる。
【0022】
本発明でいう調剤薬剤師は医療機関内の薬局または院外薬局にて処方箋医薬品を取り扱う本システムに登録された薬剤師であり、卸薬剤師は医療機関等に処方箋医薬品を納入する卸業者の薬剤師である。本システムへ登録する薬剤師は、調剤責任薬剤師、卸管理薬剤師などが望ましい。調剤薬剤師または卸薬剤師情報には、当該薬剤師らの登録番号、施設名、所在地、氏名、所属、職名、処方箋医薬品の出納情報、調剤記録、回収記録、URL、e−メールアドレス、電話番号、Fax番号または調査機関が行うモニタリングに関する同意の有無などが挙げられる。
【0023】
本発明でいう患者は、本システムを使用して治療を受ける登録された患者であり、患者情報には、登録番号、名前、生年月日、血液型、アレルギー、年齢、性別、住所、URL、e−メールアドレス、電話番号、Fax番号、健康保険証番号、調査機関が行うモニタリングに関する同意の有無、病名、診断結果、服用日数および服用量などの服薬指示情報、薬剤保管場所情報、薬剤専用容器などからの実際の薬剤服用および残存数情報、既往歴、家族構成および名前等の家族情報、介助者情報、その他の薬剤に応じて種々要求される態様アクセスは、前記登録情報を管理する登録情報管理者、処方医師、調剤薬剤師および患者・処方医師・調剤薬剤師からモニタリングの同意を得られた調査機関に制限される。
登録情報管理者は、処方箋情報、処方医師情報、調剤薬剤師情報、卸薬剤師情報および患者情報を格納する登録手段と登録された情報を検索する検索手段並びに検索結果を表示するデータ表示手段を有する管理システム等の設備を有する。かかる登録情報管理者としては、処方箋医薬品メーカー、処方医師または調剤薬剤師が属する機関であることが望ましい。
【0024】
なお、前記調査機関は、本管理システムの処方箋情報および患者情報の内容を確認できる他、処方医師、調剤薬剤師および患者本人から直接的なモニタリングにより、患者等に適切な説明と同意取得がなされたか否か、患者等に適切な指導と教育がなされたか否か、患者の服薬状況などに関する情報を収集し検証するための機関で、薬剤管理システムの運用状況を第三者的に確認し、システム全体の信頼性を確保する。前記調査機関はその第三者性が保証されるのであれば例えば前記処方箋医薬品メーカー内に独立した組織として設けることも可能である。
【0025】
本発明の薬剤管理システムの使用にあたっては、少なくとも1つのコンピュータと少なくとも1つのアクセス端末を準備し、インターネット、イントラネット、LANなどのネットワーク環境を用いることが望ましいが、前記情報が格納されたメモリカード等の記憶媒体を用いて情報の伝達を行ってもよく、また、電話、Fax等の手段で提供された情報を本発明の薬剤管理システムに入力して登録した上で利用することも可能である。また、前記情報へのアクセス制限は情報セキュリティの手段として用いられているファイヤウォール(Firewall)、情報の暗号化、パスワード系記憶照合(ID番号、パスワード等)、所持物照合(鍵、ICカード、ハードウェアトークン等)、バイオメトリックス照合(指紋、網膜・虹彩、顔形、筆跡、DNA、静脈パターン、音声、耳介、掌形等)による個人認証などの様々な従来の技術を組み合わせて構築することが可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、登録情報が時間とともに移り変わる中、本システムに登録されていない者への譲渡は禁止され、処方箋医薬品を譲渡する時点に譲渡先が当該管理システムに登録されているか否か、該処方箋医薬品の譲渡条件を満たしているか否かを容易に判定することができ、逸脱可能性が高い患者に薬剤が渡った後の薬剤の管理状態の情報も薬剤専用容器を回収することによりフィードバックされ、処方箋情報に基づく医薬品の個別の処方数量、用法、用量の薬歴情報と患者情報に基づく患者の服薬情報の比較に基づき患者に応じた管理が可能となり、処方箋医薬品の適正使用の向上を図り、副作用被害を防止することができる。また、処方箋情報または患者情報へのアクセスは、登録情報管理者、処方医師、調剤薬剤師およびモニタリングの同意を得られた調査機関に制限されているため、信頼性を確保されつつ、慎重に取り扱われるべき個人情報の有用性に配慮しつつ個人情報の保護を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明を更に具体的に説明するため、催奇形性の副作用を有するサリドマイドを処方箋医薬品とする場合について、その実施形態を以下に示す。これらは本発明を限定するものではなく、各処方箋医薬品について知られている副作用に応じて、その服薬における教育、説明、注意事項または指導内容、副作用への対処法などの変更は、当該分野の技術常識に従って容易である。
図1では登録情報管理者が医薬品メーカーであり、処方箋医薬品がサリドマイドである場合の薬剤管理システム全体の概略を表す図である。本発明の管理システムにて処方箋医薬品に係わる者は正しい知識の習得と同意取得後に(2)、登録され(1)、妊娠等検査・避妊が徹底され(3)、残薬の返却等を含めた薬剤管理(4)、調査機関によるモニタリング(5) が行われる。図2は本発明の管理システムにおける処方箋医薬品の主な流れを表す。
【実施例】
【0028】
処方医師、調剤薬剤師および卸薬剤師は、医薬品メーカーの情報担当者から処方箋医薬品に関する情報提供を安全管理システム解説書、避妊方法解説書、教育用ビデオテープ等の教材が収納された情報フォルダとして受け、情報取得の確認を行う。情報取得確認が行われた処方医師、調剤薬剤師、卸薬剤師は、医療機関名、施設名、所在地、所属、氏名等を本システムにそれぞれ処方医師情報、調剤薬剤師情報、卸薬剤師情報として登録することにより、登録番号が付与される。
【0029】
処方医師がサリドマイドを処方するに際しては、医薬品メーカーの情報担当者から提供された情報フォルダの内容を十分理解していること、特定の調査機関によるモニタリングに応じることを同意すること、サリドマイドの治療を行う患者、家族、介助者に対し患者用情報フォルダを提供すると共に、サリドマイドの催奇形性などの副作用に関する危険性、薬剤の管理、一切の性交渉をしないこと或いは一切の性交渉をしないことを誓約できない場合は男性と女性がそれぞれ1種類ずつの避妊法を併用して避妊を徹底すること、他人への譲渡の禁止などの使用上の注意事項・遵守事項を説明すること、妊娠可能な女性患者の場合に処方前に妊娠検査実施に関する同意を取得すること、患者が本管理システムに登録されていることを確認すること、患者が妊娠可能な女性患者の場合妊娠検査が陰性であることを確認すること、患者、家族または介助者がサリドマイドの治療に関する内容を理解していることを確認すること、患者および家族の同意を確認すること、飲み忘れなどにより残薬が生じた場合は残薬が収納されたままの薬剤専用容器により回収し(調剤薬剤師による残薬の回収が既に行われた場合を除く)、他人への譲渡・紛失・盗難があった場合には逸脱歴に記録すること(調剤薬剤師による記録が既に行われた場合を除く)、万一患者またはそのパートナーが避妊に失敗した可能性がある場合に緊急の対応を行うこと、毎回の処方時に患者から文書による同意を取得すること等を承諾し、これら情報を処方医師情報の中に登録する。
【0030】
調剤薬剤師がサリドマイドを調剤するに際しては、医薬品メーカーの情報担当者から提供された薬剤師用情報フォルダの内容を十分理解していること、特定の調査機関によるモニタリングに応じることを同意すること、処方医師が本管理システムに登録されていることを確認すること、患者が本管理システムに登録されていることを確認すること、患者が妊娠可能な女性患者の場合妊娠検査が陰性であることを確認すること、患者に対して適切な服薬指導を行うこと、薬剤の出納記録を作成すること、飲み忘れなどにより残薬が生じた場合は残薬が収納されたままの薬剤専用容器により回収すること(医師による残薬の回収が既に行われた場合を除く)、他人への譲渡・紛失・盗難があった場合には逸脱歴に記録すること(医師による記録が既に行われた場合を除く)、等を承諾し、これら情報を調剤薬剤師情報の中に登録する。
【0031】
患者がサリドマイドによる治療を受けるに際しては、処方医師から提供された患者用情報フォルダの内容を十分理解していること、サリドマイドには催奇形性の重篤な副作用で胎児が奇形を起こす可能性があり、服用開始から服用中止後一定期間経過後まで、性交渉、献血、授乳、精子の提供などを一切行ってはならないこと、妊娠可能な女性患者の場合に万一性交渉を行う場合は男性と女性がそれぞれ1種類ずつ2種類以上の避妊法を併用して避妊を徹底しなければならないこと、避妊に失敗した可能性が認められる場合は直ちに処方医師に連絡し指示に従って緊急避妊を受けなければならないこと、他の薬と分けて専用容器で保管しなければならないこと、飲み忘れ等で残薬が生じた場合には処方医師または調剤薬剤師に残薬が収納されたままの薬剤専用容器により返却しなければならないこと、他人への譲渡・紛失・盗難が生じた場合には直ちに処方医師または調剤薬剤師に報告しなければならないこと、患者が妊娠可能な女性患者の場合処方ごとに妊娠検査を行わなければならないこと、毎回の処方時に処方医師へ治療に関する同意書を提出することおよび特定の調査機関によるモニタリングに応じることなどを承諾し、これら情報が患者情報の中に登録される。
【0032】
前記の特開平10‐59415号に開示されているカード型包装体は、服用に必要な各種情報を患者に伝達することは可能であるが、その記載には限界があり、また、薬剤を月単位で服用する場合は該カード型包装体をその長さ方向に月単位に連結して構成されるため、必要以上に長くなり、これを折り畳んだ場合は嵩高くなり取り扱いに不便である。これに対して、本発明では細長い矩形状の厚紙を四つ折りできるように構成し、左側の一対の構成片に月単位(28日分)のサリドマイドカプセルを収納するPTPシートの複数の凸状部が嵌入される複数の孔を設けて封止できるように構成した薬剤専用容器を使用するのが好ましい。この容器は前記のように構成されているから、PTPシートが封止されていない右側の一対の構成片は表裏両面のすべてを利用することが可能となるので、服用状必要な各種の留意事項等の記載に加えて、患者自身が記入する毎日の服薬状況欄や飲み忘れやまとめ飲み等があった場合の理由、普段とくらべて変わったこと等を記入するコメント欄を広く設けることができる。したがって、この薬剤専用容器を患者から回収することにより、処方医師または調剤薬剤師は残薬の数量を確認でき、残薬を確実に廃棄することができると共に、患者が記入した実際の服薬状況欄、コメント欄を参照しながら患者とインタビューすることにより、飲み忘れ、まとめ飲み、他人への譲渡・紛失・盗難があった場合等の患者の服薬指示逸脱歴を確認できるから、これらを前記保存媒体に入力し、登録することにより、医薬品メーカーによるサリドマイドの供給から調剤薬剤師による残薬の廃棄に至るまで数量による薬剤管理を徹底できる。また、再度の服薬指示逸脱歴を伴う患者に対してはサリドマイドの譲渡を中止し、患者の登録を削除する等の対応が可能である。
【0033】
卸管理薬剤師がサリドマイドを医療機関に譲渡するに際しては、譲渡先の医療機関および調剤薬剤師が本管理システムへ登録されていることのみを確認し、出納記録を作成するだけで譲渡が可能であり、製造または発売元の医薬品メーカーから卸にサリドマイドを譲渡するに際しては、譲渡先の卸薬剤師が本管理システムに登録されていることのみを確認し、出荷記録を作成するだけで譲渡が可能であるから、いずれの場合も、サリドマイドを処方医師が処方し、調剤薬剤師が調剤する際の確認に比較して薬剤譲渡時の確認は簡略化されているが、前記登録情報中の処方箋情報または患者情報へのアクセスは制限されている
【0034】
前記調査機関によるモニタリングは、処方医師、調剤薬剤師からの指導、教育に関する項目では、説明・同意の有無、副作用に関する説明の有無、性交渉、避妊の指導・教育の有無、服薬指導の有無、個人情報に関する項目では、氏名および生年月日の確認、家族構成の確認、介助者有無の確認、性交渉の有無、避妊の有無とその避妊方法、献血の有無、妊娠可能な女性患者の場合は妊娠検査実施の有無、生理の有無、授乳の有無、男性患者の場合は精子提供の有無、薬剤に関する項目では、服薬状況の確認、薬剤保管状況の確認、残薬の確認、逸脱歴の確認などを行う。
【0035】
処方医師、調剤薬剤師、卸薬剤師または患者が、処方箋医薬品による治療若しくは取り扱いを中止したまたは希望しなくなった場合には、本発明システムの登録から抹消される。
【0036】
(当該システムへの新規登録)
処方医師、調剤薬剤師、卸薬剤師および患者の登録希望者は、外部との通信可能な各端末を利用し、登録情報管理者によって示された仮IDを用い、薬剤管理システム(管理サーバ)にアクセスする。ついで、登録希望者は画面に表示された指示に従い、格納された上記情報フォルダと同一内容の各登録希望者に適した情報提供を受け、必要な遵守事項について同意し、各人の必要情報を入力することによって、処方医師情報、卸薬剤師情報、調剤薬剤師情報が各々処方医師ファイル、調剤薬剤師ファイル、卸薬剤師ファイルとして新規登録され保存される。前記登録によって、当該希望者にそれぞれIDとパスワードが与えられる。処方される患者については、処方医師により代理登録を行い患者情報が患者ファイルとして保存される。このようにして当該処方箋医薬品の各譲渡先情報が各譲渡先ファイルに記録される。
【0037】
(調剤施設での医薬品管理)
調剤薬剤師が登録されるとともに、同薬剤師が所属する薬局に対応した調剤施設フォルダが作成される(図3参照)。この調剤施設フォルダ内に医薬品ファイルが作成される。この医薬品ファイルには、薬剤の在庫管理表と回収帳簿が設けられる。在庫管理表(図4)は入手した医薬品のロット番号と管理番号により包装単位ごとの記録を行い当該医薬品の厳格な管理を行う。また、回収帳簿(図5)には、当該医薬品の回収日、処方箋番号、患者ID、回収数量、廃棄等の処理方法、担当者が記録される。
【0038】
(各譲渡先(医薬品メーカーから卸、卸から調剤施設、調剤施設から患者)の適否確認)
各譲渡を行う者は、それぞれの自己IDとパスワードを用い薬剤管理システムの検索画面にアクセスし、所定の欄に譲渡を希望する施設名称もしくは医師・患者名を入力し、その適否が確認され、その旨表示される。
【0039】
実際の治療では、当該処方箋医薬品の情報フォルダによる情報提供に基づき治療開始前に処方医師から患者への説明、教育および指導が行われ、患者から各種薬剤に応じた注意事項厳守の誓約がなされ、患者またはその家族に質問若しくは検査を行い、患者からモニタリングおよび治療に関する同意書が得られた場合に処方医師は患者情報を本システムに登録して患者ファイルが作成される。患者情報が登録された後にはじめて、処方医師は当該患者への薬剤処方を開始することが可能となり、処方時点に必要な検査およびその他の薬剤に応じて種々要求される態様への同意または理解の有無の程度などに適合していることが確認された後、処方医師は処方箋を発行し、処方箋情報を処方箋ファイルに記録する。次いで、患者は調剤薬剤師に処方箋を提出する。処方箋を受けた調剤薬剤師は薬剤管理システムにアクセスし、該患者が登録されていること並びに、必要な検査およびその他の薬剤に応じて種々要求される態様への同意または理解の有無の程度になどに適合していることを確認した後、患者に薬剤(処方箋医薬品)を専用容器に入れて譲渡する。処方箋医薬品を受けた患者は、指定された用法・用量に従い、薬剤の専用容器に実際の服薬ごとの服薬状況と飲み忘れやまとめ飲み等があった場合の理由をコメント欄に記録する。
【0040】
患者が2回目以降治療と投薬を受ける場合は、診察時および薬剤を受け取る場合に必ず薬剤の専用容器を持参し、記録された実際の服薬情報と返却した残薬情報を処方医師および調剤薬剤師に伝達する。当該情報は処方箋情報と比較処理され、両者の数量に相違が生じた場合は逸脱歴として記録される。患者より回収された医薬品は、医薬品管理ファイル中の前記回収帳簿に回収日、処方箋番号、患者ID、回収数量、廃棄等の処理方法、担当者が入力され回収医薬品の厳格な管理がなされる。
【0041】
(各患者の処方箋ファイル中の診察記録の作成)
(医師、図3、図6、図7参照)
図6に示される通り、処方医師は患者の診察ごとに、端末から自己IDとパスワードを用い薬剤管理システムを開き、患者IDとパスワードを入力し、画面上の診察記録作成を選択する。表示された画面に従い、患者に薬物情報を提供し、理解・同意について確認する。理解不十分な場合はもう一度情報提供にもどる。次に、服薬による有害事象の発生回避のため服薬上の遵守事項の実施状況について、逸脱の有無を選択する。このとき遵守事項の逸脱があれば、関係機関および施設への情報配信が行われる。遵守事項の逸脱が見られた場合はもう一度情報提供にもどる。逸脱事項なしが選択されれば、図7に示される画面が表示され、用法・用量にもとづく処方数量を入力し、処方箋番号が付された処方記録として保存される。この処方記録は、当該患者に調剤が予定される施設に診察記録として配信される。
【0042】
(薬剤師、図3、図8、図9参照)
薬剤師は端末から自己IDとパスワードを用い薬剤管理システムを開き、画面上の調剤記録作成を選択し、患者IDおよび前記の配信された診察記録より処方箋番号を入力する(先ほどの医師による診察記録へ調剤記録の追加を行う)。表示された画面に従い、患者に服薬情報を提供し、理解・同意について確認する。理解不十分な場合はもう一度情報提供にもどる。次に、薬物管理上の遵守事項の実施状況について、逸脱の有無を選択する。このとき遵守事項の逸脱があれば、関係機関および施設への情報配信が行われる。遵守事項の逸脱が見られた場合はもう一度情報提供にもどる。また、飲み忘れ、譲渡、紛失により適正使用されなかった場合は、調剤記録にその数量が対処した処理方法とともに記録され、回収された医薬品数量は、その他情報とともに回収帳簿に入力される。逸脱事項なしが選択されれば、図9に示される画面が表示される。画面内に表示された医師の処方事項に基づき、入荷日順に表示された管理番号とその現在の残量表示を確認し、必要な調剤数量を入力する。また、回収した医薬品の再度の確認のためその数量を入力する。入力された数値がそれぞれ医師の処方事項として表示された数値、先に適正使用確認において入力された数値と比較され、異なる場合はその入力は確定されず、注意喚起する画面が表示される。入力した数値に問題がなければ、処方情報が患者の服薬記録(図10)に登録され、当該診察記録が必要な関係機関に配信される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の薬剤管理システム全体を示す概略説明図である。
【図2】本発明の薬剤管理システムにおける処方箋医薬品の主な流れを表す説明図である。
【図3】本発明の薬剤管理システム(管理サーバ)のファイル構成を説明する概念図である。
【図4】本発明の管理システムにおいて用いられる各調剤施設における在庫管理の表示例を示す図である
【図5】各調剤施設において回収された当該医薬品の回収履歴の表示例を示す図である。
【図6】本発明実施の形態にかかる処方記録作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明実施の形態にかかる処方記録作成処理時にその処方箋番号、当該医薬品を処方する数量を入力する画面表示例を示す図である。
【図8】本発明実施の形態にかかる調剤記録作成処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明実施の形態にかかる調剤記録作成処理時に回収した当該医薬品の数量、その使用数量を入力する画面表示例を示す図である。
【図10】本発明実施の形態にかかる診察記録作成処理により作成された服薬記録の表示例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方医師情報、調剤薬剤師情報、患者情報からなる譲渡先情報及び処方箋情報を格納する登録手段、該登録手段により格納された登録情報を検索する検索手段、並びに該検索結果を表示するデータ表示手段を有する薬剤管理システムであって、
(i)処方箋医薬品の譲渡先に関する前記譲渡先情報を表示し、譲渡先が該医薬品の譲受条件を満たしているか否かを表示する確認表示手段、
(ii)処方箋情報または患者情報へのアクセスを、前記譲渡先情報及び処方箋情報を管理する登録情報管理者、処方医師、調剤薬剤師、及び処方医師・調剤薬剤師・患者からモニタリングの同意を得ている調査機関に限定するアクセス制限手段、並びに
(iii)2回目以降の患者への処方箋医薬品の譲渡にあたり、処方箋情報に基づく医薬品の個別の処方数量、用法、用量の薬歴情報と、該患者の薬剤専用容器から取得された服薬情報とを対比表示する比較表示手段
を有することを特徴とする薬剤管理システム。
【請求項2】
譲渡先情報として卸薬剤師情報が含まれる請求項1の薬剤管理システム。
【請求項3】
処方箋医薬品の患者への譲渡が調剤薬剤師または処方医師により行われる請求項1の薬剤管理システム。
【請求項4】
前記患者の薬剤専用容器からの服薬情報の比較が、患者の薬歴情報から求めた処方箋医薬品の残存数量と、患者が実際に保持している処方箋医薬品の残存数量との比較を含む請求項1の薬剤管理システム。
【請求項5】
該患者の薬剤専用容器からの服薬情報として患者自身が記入した服薬指示逸脱歴を含む請求項1の薬剤管理システム。
【請求項6】
深刻な副作用が知られている処方箋医薬品の管理に用いられる請求項1〜5いずれかの薬剤管理システム。
【請求項7】
知られている深刻な副作用が催奇形性である請求項6の薬剤管理システム。
【請求項8】
深刻な副作用が知られている処方箋医薬品がサリドマイドである請求項6の薬剤管理システム。
【請求項9】
処方医薬品の譲渡先情報を各譲渡先ファイルに記録するステップ及び処方箋情報を処方箋ファイルに記録するステップ、前記譲渡先ファイル及び処方箋ファイルを検索する検索ステップ、並びに得られた検索結果を表示するデータ表示ステップを有する薬剤管理方法であって、前記譲渡先ファイルが処方医師情報の記録された処方医師ファイル、調剤薬剤師情報の記録された調剤薬剤師ファイル及び患者情報の記録された患者ファイルであり、
(i)処方箋医薬品の譲渡先に関する前記譲渡先情報を表示し、譲渡先が該医薬品の譲受条件を満たしているか否かを表示する確認表示ステップ、
(ii)前記の譲渡先情報及び処方箋情報を管理する登録情報管理者、処方医師、調剤薬剤師、及び処方医師・調剤薬剤師・患者からモニタリングの同意を得ている調査機関に限定し、処方箋情報または患者情報へのアクセスがなされる情報アクセスステップ、並びに
(iii)2回目以降の患者への処方箋医薬品の譲渡にあたり、処方箋情報に基づく医薬品の個別の処方数量、用法、用量の薬歴情報と、該患者の薬剤専用容器から取得された服薬情報とを対比表示する比較表示ステップ
を有することを特徴とする薬剤管理方法。
【請求項10】
譲渡先情報として卸薬剤師情報が含まれる請求項9の薬剤管理システム。
【請求項11】
処方箋医薬品の患者への譲渡が調剤薬剤師または処方医師により行われる請求項9の薬剤管理方法。
【請求項12】
前記患者の薬剤専用容器からの服薬情報の比較が、患者の薬歴情報から求めた処方箋医薬品の残存数量と、患者が実際に保持している処方箋医薬品の残存数量との比較を含む請求項9の薬剤管理方法。
【請求項13】
該患者の薬剤専用容器からの服薬情報として患者自身が記入した服薬指示逸脱歴を含む請求項9の薬剤管理方法。
【請求項14】
深刻な副作用が知られている処方箋医薬品の管理に用いられる請求項9〜13いずれかの薬剤管理方法。
【請求項15】
知られている深刻な副作用が催奇形性である請求項14の薬剤管理方法。
【請求項16】
深刻な副作用が知られている処方箋医薬品がサリドマイドである請求項14の薬剤管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−285973(P2006−285973A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60685(P2006−60685)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(501228129)株式会社フジモト・コーポレーション (8)