説明

薬害軽減方法

3,4−ジクロロ−イソチアゾール−5−カルボン酸−2−シアノアニリドを播種前に種子処理することによる、当該種子作物の薬害を軽減する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬害軽減方法に関する。詳しくは、本発明は特定の薬剤を種子処理することによって薬害を軽減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
JP2001522840Tに記載されている特定のイソチアゾールカルボキサミド類が薬害軽減作用を有することは、既に公知である(JP2004346030A参照)。さらに、水稲移植後の本田における除草剤による水稲薬害を軽減する目的で、3,4−ジクロロ−イソチアゾール−5−カルボン酸−2−シアノアニリド(一般名をイソチアニル)を予め育苗箱に散布しておく方法が効果的であることが知られている(JP2007137833A参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001−522840号公報
【特許文献2】特開2004−346030号公報
【特許文献3】特開2007−137833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、省力・低コスト稲作が求められる中、移植栽培に比べ苗作り等の春作業が大幅に軽減される直播栽培技術の確立には大きな期待が寄せられている。しかしながら一般に直播においては、除草剤による薬害が強い傾向があり、早急に解決されることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、イソチアニルを種子処理することによって、本田において、例えば、除草剤処理によって引き起こされる薬害に対して明確な軽減効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。本発明はまた、移植栽培にも適用できる。即ち、イソチアニルを種子処理した後に育苗することにより、育苗中及び本田に移植後の薬剤処理、例えば、除草剤処理によって引き起こされる薬害に対しても軽減効果を発揮する。
【0006】
本発明の方法を用いて達成し得る薬害軽減の対象となる除草活性化合物は特に限定されないが、その例としては、次のものを挙げることができる。
アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase)阻害剤として、
アリールオキシフェノキシプロピオン酸系ACCase阻害剤:クロジナホップ・プロパルギル、シハロホップ・ブチル、ジクロホップ・メチル、フェノキサプロップ・P・エチル、フルアジホップ・P・ブチル、ハロキホップ・R・メチル、プロパキザホップ、キザロホップ・P・エチル、メタミホップ、
シクロヘキサンジオン系ACCase阻害剤:アロキシジム、ブトロキシジム、クレソジム、シクロキシジム、プロホキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム、トラルコキシジム、
フェニルピラゾリン系ACCase阻害剤:ピノキサデン。
アセト乳酸合成酵素(ALS)阻害剤として、
スルホニルウレア系ALS阻害剤:アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン・メチル、クロリムロン・エチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロン・メチル、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン・メチル・Na、ホラムスルフロン、ハロスルフロン・メチル、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン・メチル、メトスルフロン・メチル、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン・メチル、ピラゾスルフロン・エチル、リムスルフロン、スルホメツロン・メチル、スルホスルフロン、チフェンスルフロン・メチル、トリアスルフロン、トリベニュロン・メチル、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン・メチル、トリトスルフロン、オルトスルファムロン、TH547、NC620、
イミダゾリノン系(ALS)阻害剤:イマザピク、イマザメタベンズ・メチル、イマザモックス、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、
トリアゾロピリミジン系ALS阻害剤:クロランスランスラム・メチル、ジクロスラム、フロラスラム、フルメツラム、メトスラム、ペノキススラム、
ピリミジニルサリチル酸系ALS阻害剤:ビスピリバック・ナトリウム塩、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリチオバック・ナトリウム塩、ピリミノバック・メチル、ピリミスルファン、
トリアゾリノン系ALS阻害剤:フルカルバゾン・ナトリウム塩、プロポキシカルバゾン・ナトリウム塩、チエンカルバゾン、
光合成阻害剤(光化学系II)として、
トリアジン系:アメトリン、アトラジン、シアナジン、デスメトリン、ジメタメトリン、プロメトン、プロメトリン、プロパジン、シマジン、シメトリン、テルブメトン、テルブチラジン、テルブトリン、トリエタジン、
トリアジノン系:ヘキサジノン、メタミトロン、メトリブジン、
トリアゾリノン系:アミカルバゾン、
ウラシル系:ブロマシル、レナシル、ターバシル、
ピリダジノン系:クロリダゾン、
フェニルカーバメート系:デスメディファム、フェンメディファム、
ウレア系:クロルブロムロン、クロロトルロン、クロロクスロン、ジメフロン、ジウロン、エチジムロン、フェニュロン、フルオメツロン、イソプロツロン、イソウロン、リニュロン、メタベンズチアズロン、メトブロムロン、メトキスロン、モノリニュロン、ネブロン、シデュロン、テブチウロン、
アミド系:プロパニル、ペンタノクロール、
ニトリル系:ブロモフェノキシム、ブロモキシニル、アイオキシニル、
ベンゾチアジアジノン系:ベンタゾン、
フェニルピリダジン系:ピリデート、ピリダフォル、
光活性化による毒性発現剤(光化学系II)として、
ビピリジニウム系:ジクワット、パラコート、
プロトポルフィリノーゲンオキシターゼ(PPO)阻害剤として、
ジフェニルエーテル系:アシフルオルフェン、ビフェノックス、クロメトキシフェン、フルオログリコフェン、ホメサフェン、ハロサフェン、ラクトフェン、オキシフルオルフェン、クロメトキシニル、
フェニルピラゾール系:フルアゾレート、ピラフルフェン・エチル、
N−フェニルフタルイミド系:シニドン・エチル、フルミオキサジン、フルミクロラック・ペンチル、
チアジアゾール系:フルチアセット・メチル、チジアジミン、
オキサジアゾール系:オキサジアゾン、オキサジアルギル、
トリアゾリノン系:アザフェニジン、カルフェントラゾン・エチル、スルフェントラゾン、
オキサゾリジンジオン系:ペントキサゾン、
ピリミジンジオン系:ベンズフェンジゾン、ブタフェナシル、
その他:ピラクロニル、プロフルアゾール、フルフェンピル・エチル、
カロチノイド生合成阻害剤として、
1、PDS阻害剤
ピリダジノン系:ノルフルラゾン、
ピリジンカルボキシアミド系:ジフルフェニカン、ピコリナフェン、
その他:ベフルブタミド、フルリドン、フルロクロリドン、フルルタモン、
2、4−HPPD阻害剤
トリケトン系:メソトリオン、スルコトリオン、ベンゾビシクロン、テフリルトリオン、
イソキサゾール系:イソキサクロルトール、イソキサフルトール、
ピラゾール系:ベンゾフェナップ、ピラゾリネート、ピラゾキシフェン、
その他:ベンゾビシクロン、
3、標的未解明のもの
トリアゾール系:アミトロール、
イソキサゾリジノン系:クロマゾン、
ジフェニルエーテル系:アクロニフェン、
EPSP合成酵素阻害剤として、
グリシン系:グリホサート、グリホサート・トリメシウム塩、
グルタミン合成酵素阻害剤として、
ホスフィン酸系:グルホシネート、ビアラホス、
DHP生合成阻害剤として、
カーバメート系:アシュラム、
微小管重合阻害剤として、
ジニトロアニリン系:ベスロジン、ブトルアリン、ジニトラミン、エタルフルラリン、オリザリン、ペンディメタリン、トリフルラリン、
リン酸アミド系:アミプロホスメチル、ブタミホス、
ピリジン系:ジチオピル、チアゾピル、
ベンズアミド系:プロピザミド、テブタム、クロルタル・ジメチル、
有糸分裂・微小管形成阻害剤として、
カーバメート系:クロルプロファム、プロファム、カルベタミド、
超長鎖脂肪酸生合成阻害剤として、
クロロアセタミド系:アセトクロール、アラクロール、ブタクロール、ジメタクロール、ジメテナミド、メタザクロール、メトラクロール、ペトキサミド、プレチラクロール、プロパクロール、プロピソクロール、テニルクロール、
アセタミド系:ジフェナミド、ナプロパミド、ナプロアニリド、
オキシアセタミド系:フルフェナセット、メフェナセット、
テトラゾリノン系:フェントラザミド、
その他:アニロホス、カフェンストロール、ピペロホス、
セルロース生合成阻害剤として、
ニトリル系:ニクロベニル、クロルチアミド、
ベンズアミド系:イソキサベン、
トリアゾロカルボキサミド系:フルポキサム、
キノリンカルボン酸系:キンクロラック、
アンカプラーとして、
ジニトロフェノール系:DNOC、ジノセブ、ジノテルブ、
脂肪酸伸長阻害剤(非ACCase阻害)として、
チオカーバメート系:ブチレート、シクロエート、ジメピペレート、EPTC、エスプロカルブ、モリネート、オルベンカルブ、ペブレート、プロスルホカルブ、ベンチオカーブ、ピリブチカルブ、チオカルバジル、トリアレート、バーナレート、
リン酸ジチオエート系:ベンスルリド、
ベンゾフラン系:ベンフレセート、エトフメセート、
クロロカルボニックアシッド系:TCA、ダラポン、テトラピオン、
オーキシン様除草剤として、
フェノキシカルボン酸系:クロメプロップ、2,4−D、2,4−DB、ジクロプロップ、MCPA、MCPB、MCPP、
安息香酸系:クロランベン、ジカンバ、2,3,6−TBA、
ピリジンカルボン酸系:クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム、トリクロピル、キンクロラック、キンメラック、
その他:ベナゾリン・エチル、
オーキシン転流阻害剤として、
ナフタラメート系:ナプタラム、
セミカルバゾン系:ジフルフェンゾピル・ナトリウム塩、
その他(作用機構不明)として、
アリールアミノプロピオン酸系:フラムプロップ・M・メチル、フラムプロップ・イソプロピル、
ピラゾリウム系:ジフェンゾコート、
有機ヒ素系:DSMA、MSMA、
その他:ブロモブチド、クロルフルレノール、シンメチリン、クミルロン、ダゾメット、ダイムロン、メチルダイムロン、エトベンザニド、ホサミン、インダノファン、メタム、オキサジクロメホン、オレイン酸、ペラルゴン酸、ピリブチカルブ。
【0007】
これらの除草剤化合物(一般名又は派生名で記載される)は、例えば、The Pesticide Manual,第14版(British Crop Protection Council出版2007年)に主として記載されるか、又は、既に周知である。
【0008】
本発明の方法により、栽培植物−雑草間の選択的除草効果を獲得することができる。本明細書において、雑草とは広義に望ましくない場所に生育するすべての植物を意味する。例えば、下記の雑草と栽培植物を使用対象にすることができる。
【0009】
双子葉雑草の属:カラシ(Sinapis)、ナズナ(Capsella)、マメグンバイナズナ(Leipidium)、ヤエムグラキヌタソウ(Galium)、ハコベ(Stellaria)、アカザ・アリタソウ(Chenopodium)、ホウキギ(Kochia)、イラクサ(Urtica)、ハンゴウソウ・ノボロギク・キオン(Senecio)、ヒユ・ハゲイトウ(Amaranthus)、スベリヒユ・マツバボタン(Portulaca)、オナモミ(Xanthium)、アサガオ(Ipomoea)、ミチヤナギ(Polygonum)、ブタクサ(Ambrosia)、ノアザミ・フジアザミ(Cirsium)、ノゲシ(Sonchus)、ナス・ジャガイモ(Solanum)、イヌガラシ(Rorippa)、オドリコソウ(Lamium)、クワガタソウ・イヌノフグリ(Veronica)、チョウセンアサガオ(Datura)、スミレパンジー(Viola)、チシマオドロ(Galeopsis)、ケシ(Papaver)、ヤグルマギク(Centaurea)、ハキダメギク(Galinsoga)、キカシグサ(Rotala)、アゼナ(Lindernia)、アメリカツノクサネム(Sesbania)、シロツメクサ(Trifolium)、イチビ(Abutilon)、ホトケノザ(Lamium)、イヌカミツレ(Matricaria)、ヨモギ(Artemisia)、アメリカツノクサネム(Sesbania)、アルバアサガオ(Pharbitis)等。
【0010】
双子葉栽培植物の属:ワタ(Gossypium)、ダイズ(Glycine)、フダンソウ・サトウダイコン(Beta)、ニンジン(Daucus)、インゲンマメ・アオイマダ(Phaseolus)、エンドウ(Pisum)、ナス・ジャガイモ(Solanum)、アマ(Linum)、サツマイモ・アサガオ(Ipomoea)、ソラマメ・ナンテンハギ(Vicia)、タバコ(Nicotiana)、トマト(Lycopersicon)、ナンキンマメ(Arachis)、アブラナ・ハクサイ・カブラ・キャベツ(Brassica)、アキノノゲシ(Lactuca)、キュウリ・メロン(Cucumis)、カボチャ(Cucurbita)等。
【0011】
単子葉雑草の属:ヒエ(Echinochlona)、エノコロ・アワ(Setaria)、キビ(Panicum)、メヒシバ(Digitaria)、アワガリエ・チモシー(Phleum)、イチゴツナギ・スズメノカタビラ(Poa)、ウシノケグサ・トボシガラ(Festuca)、オヒシバ・シコクビエ(Eleusine)、ドクムギ(Lolium)、キツネガヤ・イヌムギ(Bromus)、カラスムギ・オートムギ(エンバク)(Avena)、カヤツリグサ・パピルス・シチトウイ・ハマスゲ(Cyperus)、モロコシ(Sorghum)、カモジグサ(Agropyron)、コナギ(Monochoria)、テンツキ(Fimbristylis)、オモダカ・クワイ(Sagittaria)、ハリイ・クログワイ(Eleocharis)、ホタルイ・ウキヤグラ・フトイ(Scirpus)、スズメノヒエ(Paspalum)、カモノハシ(Ischaemum)、ヌカボ(Agrostis)、スズメノテッポウ(Alopecurus)、ギヨウギシバ(Cynodon)、ツユクサ(Commelina)、ニクキビ(Brachiaria)、アゼガヤ(Leptochloa)等。
【0012】
単子葉栽培植物の属:イネ(Oryza)、トウモロコシ・ホップコーン(Zea)、コムギ(Triticum)、オオムギ(Hordeum)、カラスムギ・オートムギ(エンバク)(Avena)、ライムギ(Secale)、モロコシ(Sorghum)、キビ(Panicum)、サトウキビ・ワセオバナ(Saccharum)、バナナ(Musa)、パイナップル(Ananas)、アスパラガス(Asparagus)、ネギ・ニラ(Allium)等。
【0013】
さらに、本発明の前記方法は、前述の植物に限定されず、他の植物について同様に適用することができる。
【0014】
さらに、本発明の前記方法は多年生植物栽培での雑草を防除するために用いることができ、例えば、植林、装飾用樹木園、果樹園、ブドウ畑、柑橘類畑、ナッツ園、バナナ園、コーヒー園、茶畑、ゴム園、油ヤシ園、ココア園、軟質果実園、ホップ畑などに適用することができる。さらに本方法は、1年生植物栽培の選択的な雑草防除に適用することができる。
【0015】
本発明の方法は、水稲−水田雑草間の選択的除草効果を獲得することができる。そして、防除することができる水田雑草の例として以下のものが挙げられる。
【0016】
次の属の双子葉植物:タデ属(Polygonum)、イヌガラシ属(Rorippa)、キカシグサ属(Rotala)、アゼナ属(Lindernia)、タコウギ属(Bidens)、アブノメ属(Dopatrium)、タカサブロウ属(Eclipta)、ミゾハコベ属(Elatine)、オオアブノメ属(Gratiola)、アゼトウガラシ属(Lindernia)、ミズキンバイ属(Ludwigia)、セリ属(Oenanthe)、キンポウゲ属(Ranunculus)、サワトウガラシ属(Deinostema)など。
【0017】
次の属の単子葉植物:ヒエ属(Echinochloa)、キビ属(Panicum)、スズメノカタビラ属(Poa)、カヤツリグサ属(Cyperus)、ミズアオイ属(Monochoria)、テンツキ属(Fimbristylis)、オモダカ属(Sagittaria)、ハリイ属(Eleocharis)、ホタルイ属(Scirpus)、サジオモダカ属(Alisma)、イボクサ属(Aneilema)、スブタ属(Blyxa)、ホシクサ属(Eriocaulon)、ヒルムシロ属(Potamogeton)、ニクキビ属(Brachiaria)、アゼガヤ属(Leptochloa)、スフェノクレア属(Sphenoclea)など。
【0018】
より具体的に、例えば、次の代表的な水田雑草に関して使用することができる。
植物名 ラテン名
双子葉植物
デンジソウ Marisilea quadrifolia
ヒデリコ Fimbristylis miliacea
ナガボノウルシ Sphenoclea zeylanica
ヒメミソハギ類 Ammannia sp.
キカシグサ Rotala indica Koehne
アゼナ Lindernia procumbens Philcox
アオビユ Amaranthus viridis
アメリカアゼナ Lindernia dubia L. Penn.
タカサブロウ Eclipta prostrata
アゼトウガラシ Lindernia angustifolia
チヨウジタデ Ludwigia prostrata Roxburgh
タデ類 Polygonum sp.
アメリカツノクサネム Sesbania exaltata
ヒルムシロ Potamogeton distinctus A. Benn
マメアサガオ Ipomoea lacunosa
ミゾハコベ Elatine triandra Schk
セリ Oenanthe javanica
単子葉植物
タイヌビエ Echinochloa oryzicola Vasing
コヒメビエ Echinochlor colonum
イヌビユ E. crus−galli
シバカモノハシ Ischaemum rugosum
キビ属 Panicum sp.
オヒシバ Eleusine indica
メヒシバ類 Digitaria sp.
キシュウスズメノヒエ Paspalum distichum
コゴメガヤツリ Cyperus iria
ハマスゲ C. rotundus
マツバイ Eleocharis acicularis L.
クログワイ Eleochris kuroguwai Ohwi
タマガヤツリ Cyperus difformis L.
ミズガヤツリ Cyperus serotinus Rottboel
ヒメカンガレイ Scirpus mucronatus
コウキヤガラ S. planiculmis
ホタルイ Scirpus juncoides Roxburgh
コナギ Monochoria vaginalis Presl
ウリガワ Sagittaria pygmaea Miq
ヘラオモダカ Alisma canaliculatum A. Br. et Bouche
サジオモダカ A. plantago−aquatica
オモダカ Sagittaria trifolia
ミズアオイ Monochoria korsakowii
ニクキビ Brachiaria plantaginea
アゼガヤ Leptochloa chinensis
【0019】
本発明の方法は、これらの草種の雑草に対する使用に限定されるものではなく、他の草種の雑草に対しても同様に適用することができる。
【0020】
本発明の方法を実施する際、種子は催芽又は非催芽の状態で、その種子を育苗箱、本田又は畑地に播種する前にイソチアニルを含有する組成物により処理する。具体的には、例えば浸漬処理又は粉衣処理することができ、それにより育苗箱及び移植後の本田、直播後の本田又は畑地での育成時における薬害を軽減することができる。
【0021】
本発明による処理の方法は、遺伝子操作生物体(GMO)、例えば、植物又は種子の処理に用いられる。遺伝子組み換え植物(又は遺伝子導入植物)は異種遺伝子がゲノムに安定に組み込まれた植物である。表現「異種遺伝子」は、植物の外部で供給され又は構築された遺伝子であって、核、葉緑体又はミトコンドリアゲノムに導入された場合、関心のあるタンパク質又はポリペプチドを発現することによって、又は(例えば、アンチセンス技術、共抑制技術又はRNA干渉−RNAi−技術を使用して)植物中に存在する他の遺伝子(複数可)を下方調節若しくはサイレンス化することにより、形質転換された植物に、新規の若しくは改善された農学上の又は他の特性を与える遺伝子を、本質的に意味する。ゲノムに配置する異種遺伝子はまた導入遺伝子とも呼ばれる。植物ゲノムにおいて特定の位置で指定する導入遺伝子は、形質転換又は遺伝子導入イベントと呼ばれる。
【0022】
植物の種類又は植物栽培品種、これらの立地及び生長条件(土壌、気候、生育期、養分)に依存して、本発明による処理はまた、超付加(「相乗」)効果をもたらすことができる。したがって、例えば、本発明によって用いることができる活性化合物及び組成物の、施用量の削減及び/又は活性スペクトルの広域化及び/又は活性の増加、よりよい植物の生長、高又は低温に対する耐性の増加、干ばつ若しくは水害又は土壌塩分に対する耐性の増加、開花成績の増加、より容易な収穫、成熟の加速、より高い収穫量、より大きい果実、より大きい植物高さ、収穫した産物のより緑色の葉色、より早い開花、より高い品質及び/又はより高い栄養価、果物中のより高い糖濃度、収穫した産物のよりよい貯蔵安定性及び/又は加工性が可能であり、それは実際に予想されていた効果を上回る。
【0023】
本発明によって処理されることが好ましい植物及び植物栽培品種は、(品種改良及び/又は生物工学的手段により得られたとしても)特に有利で有用な形質をこれらの植物に与える遺伝子素材を有する植物をすべて含む。
【0024】
本発明によって処理されることがまた好ましい植物及び植物栽培品種は、1種又は複数の生物ストレスに対して抵抗性である。即ち、前記植物は、動物及び微生物の有害生物に対して、例えば線虫、虫類、ダニ、植物病原性菌類、細菌、ウイルス及び/又はウイロイドなどに対してよりよい防御を示す。
【0025】
本発明によって処理することもできる植物及び植物栽培品種は、1種又は複数の非生物的ストレスに対して抵抗する植物である。非生物的ストレス条件は、例えば、干ばつ、低温曝露、熱曝露、浸透ストレス、洪水、土壌塩分の増加、無機質曝露の増加、オゾン(ozon)曝露、高光曝露、窒素栄養素の利用可能性の制約、リン栄養素の利用可能性の制約、日陰の忌避を含み得る。
【0026】
本発明によって処理することもできる植物及び植物栽培品種は、収穫特性の増強を特徴とする植物である。前記植物の高い収穫量は、例えば、水使用効率、水保持効率、窒素使用の改善、炭素同化の増強、光合成の改善、高い発芽効率及び成熟の加速などの、植物生理学の改善、生長と生育の結果であり得る。収穫量は、植物アーキテクチャーの改善(ストレス及び非ストレス条件の下で)によってさらに影響を受ける場合があり、これは、早期の開花、雑種種子生産のための開花制御、苗活力、植物寸法、節間数及び間隔、根の生長、種子寸法、果実寸法、鞘寸法、鞘又は耳数、鞘又は耳当たり種子数、種子質量、種子充填の増強、種子飛散の低減、鞘裂開及び耐倒伏性の低減を含むが、これらに限定されない。さらなる収穫形質は、炭水化物含有量、タンパク質含有量、油脂含有量及び組成、栄養価、反栄養化合物の低減などの種子組成、加工性の改善及びよりよい貯蔵安定性を含む。
【0027】
本発明によって処理することができる植物は、より高度の収穫、活力、健康並びに生物的及び非生物的ストレス因子に対する抵抗力を一般にもたらすヘテロシス又は雑種強勢の特性を既に示す雑種植物である。この種の植物は通常、1つの同系繁殖雄性不稔親系統(雌性の親)を別の同系繁殖雄性不稔親系統(雄性の親)と掛け合わせることにより作られる。雑種種子は通常、雄性不稔植物から収穫され、栽培者に販売される。雄性不稔植物は、時には(例えばトウモロコシで)雄穂除去、即ち雄性生殖器(又は雄花)の機械的な除去によって生産することができるが、より典型的には雄性不稔性は、植物ゲノムの遺伝的決定基の結果である。その場合に、及び、とりわけ種子が雑種植物から収穫される所望の産物である場合、雑種植物の雄性稔性が十分に回復されることを確実にすることが、通常、有用である。これは、雄性不稔性の原因である遺伝的決定基を含む雑種植物に雄性の稔性を回復することができる適切な稔性回復遺伝子を、雄親が有することを確実にすることにより遂行することができる。雄性不稔性の遺伝的決定基は細胞質に配置してもよい。細胞質雄性不捻(CMS)の例は、例えばアブラナ種に記載されていた。しかし、雄性不稔性の遺伝的決定基はまた、核ゲノムに配置することもできる。雄性不稔植物も遺伝子工学などの植物生物工学的方法によって得ることができる。雄性不稔の植物を得る特に有用な手段は、WO89/10396に記載され、例えば、バルナーゼなどのリボヌクレアーゼは、雄しべの絨毯組織細胞に選択的に発現される。次いで、稔性はバルスターなどのリボヌクレアーゼ阻害剤の絨毯組織細胞での発現によって回復することができる。
【0028】
本発明によって処理することができる植物又は植物栽培品種(遺伝子工学などの植物生物工学的方法によって得られる。)は、除草剤耐性植物(即ち1種又は複数の所与の除草剤に対して耐性になった植物)である。この種の植物は、遺伝的形質転換又はこの種の除草剤耐性を与える突然変異を含む植物を選択することによって得ることができる。
【0029】
除草剤耐性植物は、例えば、グリホセート耐性植物、即ち除草剤グリホセート又はこの塩に対して耐性になった植物である。植物は異なる手段によってグリホセートに対して耐性にすることができる。例えば、グリホセート耐性植物は5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)をコードする遺伝子を有する植物を形質転換することにより得ることができる。この種のEPSPS遺伝子の例は、バクテリアのサルモネッラ・テュピムリウム(Salmonella typhimurium)のAroA遺伝子(突然変異体CT7)、バクテリアのアグロバクテリウム属種(Agrobacterium sp.)のCP4遺伝子、ペチュニアEPSPS、トマトEPSPS又はエレウシネ(Eleusine)EPSPSをコードする遺伝子である。また、それは変異したEPSPSであってもよい。グリホセート耐性植物はまた、グリホセート酸化還元酵素をコードする遺伝子の発現により得ることができる。グリホセート耐性植物はまた、グリホセートアセチル転移酵素をコードする遺伝子の発現により得ることができる。グリホセート耐性植物はまた、前述の遺伝子の自然発生の突然変異を含む植物を選択することにより得ることができる。
【0030】
他の耐除草剤性植物は、例えば、ビアラホス、ホスフィノトリシン又はグルホシネートなどの酵素グルタミン合成酵素を阻害する除草剤に対して耐性になる植物である。この種の植物は除草剤を解毒する酵素、又は阻害に対して抵抗する突然変異体グルタミン合成酵素の発現により得ることができる。このような1種の効率的な解毒酵素は、(ストレプトマイシーズ種からのbar又はpatタンパク質などの)ホスフィノトリシンアセチル転移酵素をコードする酵素である。外因性のホスフィノトリシンアセチル転移酵素を発現する植物も記載されている。
【0031】
また、さらなる除草剤耐性植物は、酵素ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害する除草剤に対して耐性になる植物である。ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼは、パラ−ヒドロキシフェニルピルベート(HPP)がホモゲンチジン酸に変換される反応を触媒する酵素である。HPPD阻害剤に対して耐性の植物は、自然発生の抵抗力のあるHPPD酵素をコードする遺伝子、又は変異したHPPD酵素をコードする遺伝子で形質転換することができる。HPPD阻害剤に対する耐性も、HPPD阻害剤による在来のHPPD酵素の阻害があるにもかかわらず、ホモゲンチジン酸の形成を可能にするある種の酵素をコードする遺伝子で植物を形質転換することにより得ることができる。HPPD阻害剤に対する植物の耐性も、HPPD耐性の酵素をコードする遺伝子に加えて、酵素プレフェン酸脱水素酵素をコードする遺伝子で植物を形質転換することにより改善することができる。
【0032】
またさらなる耐除草剤性の植物は、アセト乳酸合成酵素(ALS)阻害剤に対して耐性になる植物である。知られているALS阻害剤は、例えば、スルホニル尿素、イミダゾリノン、トリアゾロピリミジン、ピリミジニルオキシ(チオ)ベンゾエート(pyrimidinyoxy(thio)benzoates)及び/又はスルフォニルアミノカルボニルトリアゾリノン除草剤を含む。ALS酵素(アセトヒドロキシ酸合成酵素、AHASとしても知られている。)の種々の突然変異は、種々の除草剤及び除草剤群に対する耐性を与えることが知られている。スルホニル尿素耐性植物及びイミダゾリノン耐性植物の生産が記載されている。他のイミダゾリノン耐性植物も記載されている。さらなるスルホニル尿素及びイミダゾリノン耐性植物も、例えば、WO2007/024782に記載されている。
【0033】
イミダゾリノン及び/又はスルホニル尿素に対して耐性の他の植物は、除草剤の存在において誘発された突然変異、細胞培養での選択によって、又は例えば、ダイズ、コメ、サトウダイコン、レタス、若しくはヒマワリに記載される突然変異育種によって得ることができる。
【0034】
本発明によって処理することもできる植物又は植物栽培品種(遺伝子工学などの植物生体工学的方法によって得られる。)は、耐虫類性の遺伝子導入植物、即ち特定の標的虫類による攻撃に対して抵抗性になった植物である。この種の植物は、遺伝的形質転換によって又はこの種の耐虫性を与える突然変異を含む植物を選択することによって得ることができる。
【0035】
「耐虫類性遺伝子導入植物」は、本明細書に用いるとき、暗号配列コード化を含む、少なくとも1つの以下の導入遺伝子を含む任意の植物を含む:
1)バキッルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)からの殺虫性結晶タンパク質又はこの殺虫部分、例えば、CrickmoreらMicrobiology and Molecular Biology Reviews(1998)、62、807−813によってリストされ、Crickmoreら(2005)バキッルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)毒素命名法、オンライン:http://www.lifesci.sussex.ac.uk/Home/Neil_Crickmore/Bt/によって更新された、例えば、Cryタンパク質類Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry2Ab、Cry3Aa又はCry3Bbのタンパク質又はこの殺虫部分などの殺虫性結晶タンパク質又はこの殺虫部分;又は
2)Cry34及びCry35結晶タンパク質から構成される二元系毒素などの、バキッルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)からの第2の他の結晶タンパク質又はその一部の存在下に殺虫性である、バキッルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)からの結晶タンパク質又はその一部;又は
3)バキッルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)からの種々の殺虫性結晶タンパク質の部分を含むハイブリッド殺虫性タンパク質、例えばトウモロコシイベントMON98034によって生産されたCry1A.105タンパク質などの、上記1)のタンパク質のハイブリッド又は上記2)のタンパク質のハイブリッド;又は
4)上記1)から3)のいずれか1種のタンパク質であって、標的虫類種に対するより高い殺虫力を得るために、及び/又は影響を与える標的虫類種の範囲を広げるために、及び/又はトウモロコシイベントMON863又はMON88017のCry3Bb1タンパク質、又はトウモロコシイベントMIR604のCry3Aタンパク質などの、クローニング又は形質転換の間にコード化DNAに導入された変化のために、いくつか、特に1から10個のアミノ酸が別のアミノ酸と取り替えられたタンパク質;
5)http://www.lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/vip.htmlにリストされている植物性殺虫性タンパク質(VIP)、例えば、VIP3Aaタンパク質種類からのタンパク質などの、バキッルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)又はバキッルス・ケレウス(Bacillus cereus)からの殺虫性分泌タンパク質、又はこの殺虫部分;又は
6)VIP1A及びVIP2Aタンパク質から構成される二元系毒素などの、バキッルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)又はB.ケレウス(B.cereus)から分泌される第2のタンパク質の存在下に殺虫性である、バキッルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)又はバキッルス・ケレウス(Bacillus cereus)から分泌されるタンパク質;又は
7)上記1)のタンパク質のハイブリッド又は上記2)のタンパク質のハイブリッドなどの、バキッルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)又はバキッルス・ケレウス(Bacillus cereus)からの種々の分泌タンパク質からの部分を含むハイブリッド殺虫性タンパク質;又は
8)上記1)から3)のいずれか1種のタンパク質であって、標的虫類種に対するより高い殺虫力を得るために、及び/又は影響を与える標的虫類種の範囲を広げるために、及び/又はワタイベントCOT102のVIP3Aaタンパク質などの、クローニング又は形質転換(さらに殺虫性タンパク質をコードしている間)の間にコード化DNAに導入された変化のために、いくつか、特に1から10個のアミノ酸が別のアミノ酸と取り替えられたタンパク質。
【0036】
もちろん、耐虫類性の遺伝子導入植物は、また、本明細書に用いるとき、上記の種類1から8のいずれか1つのタンパク質をコードする遺伝子の組合せを含む任意の植物を含む。一実施形態において、耐虫類性植物は、種々の標的虫類種に向けた種々のタンパク質を用いるときに影響を与える標的虫類種の範囲を広げるために、又は同一の標的虫類種に対して殺虫性であるが異なる作用様式(虫類の種々の受容体結合部位への結合などの)を有する種々のタンパク質を用いることにより、植物に対して耐虫類性の進展を遅らせるために、上記種類1から8のうちのいずれか1つのタンパク質をコードする複数の導入遺伝子を含む。
【0037】
本発明により処理することもできる植物又は植物栽培品種(遺伝子工学などの植物生物工学方法によって得られる)は、非生物的ストレスに対して耐性である。この種の植物は、遺伝的形質転換によって又はこの種のストレス抵抗性を与える突然変異を含む植物の選択によって得ることができる。特に有用なストレス耐性植物は次のものを含む:
a. 植物細胞又は植物のポリ(ADPリボース)重合酵素(PARP)遺伝子の形質発現及び/又は活性を低減することができる導入遺伝子を含む植物
b. 植物又は植物細胞の遺伝子をコードするPARGの形質発現及び/又は活性を低減することができる導入遺伝子を増強するストレス耐性を含む植物
c. ニコチンアミダーゼ、ニコチン酸ホスホリボシル転移酵素、ニコチン酸モノヌクレオチドアデニル転移酵素、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド合成酵素又はニコチンアミドホスホリボシル転移酵素を含むニコチンアミドアデニンジヌクレオチドサルベージ合成経路の植物機能酵素をコードする導入遺伝子を増強するストレス耐性を含む植物。
【0038】
前述の形質を有する植物の例は、表Aにリストするが、これらに限定されない。
【0039】
【表1】



【0040】
本発明によって処理することもできる植物又は植物栽培品種(遺伝子工学などの植物生物工学方法によって得られる)は、以下のような、収穫した産物の改変された量、品質及び/又は貯蔵安定性、及び/又は収穫した産物の特定成分の改変された特性を示す。
1)特殊な用途によりよく適するように、物理化学的特性、特にアミロース含有量又はアミロース/アミロペクチン比、枝分れ度、平均鎖長、側鎖分布、粘性挙動、ゲル強度、デンプン粒寸法及び/又はデンプン粒形態において、野生型植物細胞又は植物中で合成されるデンプンと比較して変化した、変性デンプンを合成する遺伝子導入植物。
2)非デンプン炭水化物ポリマーを合成するか、又は遺伝子変化のない野生型植物と比較して改変された特性を有する非デンプン炭水化物ポリマーを合成する遺伝子導入植物。例としては、とりわけイヌリン及びレバン型のポリフルクトースを産生する植物である、アルファ−1,4−グルカンを産生する植物、アルファ−1,6分枝鎖状アルファ−1、4−グルカンを産生する植物、アルテルナンを産生する植物がある。
3)ヒアルロナンを産生する遺伝子導入植物。
【0041】
本発明によって処理することができる特に有用な遺伝子導入植物は、アメリカ農務省(USDA)動植物検疫局(APHIS)に対する、米国内での規制の除外を求める請願の対象物で、このような請願が許可されるか又は未決である、形質転換イベント又は形質転換イベントの組合せを含む植物である。いつでも、この情報は、APHIS(4700 River Road Riverdale,MD20737,USA)、例えばそのインターネットサイト(URL http://www.aphis.usda.gov/brs/not_reg.html)から容易に入手できる。APHISで未決又はAPHISによって許可された、規制の除外を求める請願は、本出願の出願日時点で、以下の情報を含む表Bにリストされたものであった。
【0042】
請願:請願の識別番号。形質転換イベントの専門的説明は、APHIS、例えばこの請願番号を参照してAPHISウェブサイトから入手可能である個別の請願文書に見出すことができる。これらの記載は引用により本明細書に包含される。
請願の延長:延長が要求される以前の請願に対する参照。
機関:請願を提出する実体の名称。
規制物品:関係する植物種。
遺伝子組み換え表現型:形質転換イベントによって植物に付与された形質。
形質転換のイベント又は系統:規制の除外を求めるイベントの名称(複数可)(時には系統(複数可)とも示す)。
APHIS文書:請願に関してAPHISによって発表され、APHISに要求することができる様々な文書。
【0043】
【表2】










【0044】
本発明の方法において、イソチアニルは、種々の製剤形態に製剤化することができ、その具体例としては、例えば、水和剤、顆粒状水和剤、水溶剤、液剤、AL剤、水性懸濁剤、マイクロカプセル剤等を例示することができる。さらに種子被覆用製剤も使用することができる。これらの製剤はそれ自体既知の方法で、例えば、イソチアニルを、展開剤、即ち、液体又は固体の希釈剤又は担体と、場合によっては界面活性剤、即ち、乳化剤及び/又は分散剤と共に混合することによって行われる。その際に展開剤として水を用いる場合には、例えば、有機溶媒を補助溶媒として使用することができる。
【0045】
液体の希釈剤又は担体としては、例えば、芳香族炭化水素(例えば、キシレン、トルエン、アルキルナフタレン等)、クロル化芳香族又はクロル化脂肪族炭化水素(例えば、クロロベンゼン類、塩化エチレン類、塩化メチレン等)、脂肪族炭化水素[例えば、シクロヘキサン等、パラフィン類(例えば、鉱油留分等)]、アルコール類(例えば、ブタノール、グリコール等及びそれらのエーテル、エステル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、強極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等を挙げることができる。
【0046】
固体の希釈剤又は担体としては、例えば、粉砕天然鉱物(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルガイド、モンモリロナイト、珪藻土等)、粉砕合成鉱物(例えば、高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等)等を挙げることができる。粒剤のための固体担体としては、粉砕且つ分別された岩石(例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石、白雲石等)、無機及び有機物粉の合成粒、有機物質(例えば、おがくず、ココやしの実のから、とうもろこしの穂軸、タバコの茎等)の細粒体等を挙げることができる。
【0047】
界面活性剤としては、例えば、非イオン及び陰イオン界面活性剤[例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル(例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アリールスルホン酸塩)]、アルブミン加水分解生成物等を挙げることができる。
【0048】
分散剤には、例えば、リグニンサルファイト廃液やメチルセルロース等が包含される。
【0049】
固着剤も製剤(粉剤、粒剤、乳剤)に使用することができ、該固着剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、天然及び合成ポリマー(例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート等)を挙げることができる。
【0050】
着色剤を使用することもでき、該着色剤としては、例えば、無機顔料(例えば、酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルー等)、アリザリン染料、アゾ染料又は金属フタロシアニン染料のような有機染料、さらに、鉄、マンガン、ボロン、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛等の金属の塩のような微量要素を挙げることができる。
【0051】
該製剤は、一般に、イソチアニルを0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%の範囲内で含有することができる。
【0052】
種子処理に際しては、イソチアニルを種子1kg当たり、0.001g〜50g、好ましくは0.01g〜10gを使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0053】
次に、本発明の化合物の製造及び用途を下記の実施例によりさらに具体例を示すが、本発明はこれのみに限定されるべきものではない。
【0054】
生物試験及び製剤例
供試化合物
3,4−ジクロロ−イソチアゾール−5−カルボン酸−2−シアノアニリド
(一般名:イソチアニル)
除草剤(一般名)
H−1:フェノキサプロップ・P・エチル
H−2:オキサジアルギル
(供試薬剤の調製)
担体:アセトン 5重量部
界面活性剤:ベンジルオキシポリグリコールエーテル 1重量部
上記の担体及び界面活性剤と1重量部のイソチアニルとを混合し、得られる製剤を水で希釈して所定薬量のイソチアニル水性懸濁剤を調製する。
【0055】
種子処理:催芽させたイネ種子(品種:日本晴れ)に、上記イソチアニル水性懸濁剤の所定量を震盪ミキサーにて被覆処理した後、風乾して調製した。
【0056】
試験例
水稲に対する除草性化合物の薬害に対しての軽減作用効果試験:
(方法)
上記種子処理したイネ種子を温室内において、水田土壌を詰めたポット(プラスチック製、100cm)に、播種、生育させた。イネ2.5葉期に供試除草剤希釈液の所定量をイネ体上部より散布処理した。処理1日後に湛水深3cmとし、処理3週間後に水稲薬害を調査した。なお、水稲薬害の評価は、完全枯死を100%とし、0%を薬害なしとした。結果を表1に示す。
【0057】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
3,4−ジクロロ−イソチアゾール−5−カルボン酸−2−シアノアニリドを播種前に種子処理することによる、当該種子作物の薬害を軽減する方法。
【請求項2】
種子作物が水稲であって、本田直播後の水稲苗の薬害を軽減する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
種子作物が水稲であって、育苗箱での育苗時の薬害を軽減する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
種子作物が水稲であって、本田移植後の水稲苗の薬害を軽減する請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2011−517679(P2011−517679A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503369(P2011−503369)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002539
【国際公開番号】WO2009/124708
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】