薬用カートリッジの透明な電子マーキング
本発明はカートリッジ、カープル、又は、あらゆる種類のパッケージのマーキングに関する。本マーキングは透明であり且つ電子読み取りが可能なマーキングである。これにより、不可欠な内容物の目視検査を確実に行うことができると同時に読み取りエラーを避けることのできる、セキュリティを向上させたマーキングが実現される。透過性の導体は、ポリマー、ITO等の形態とすることができる。これら透過性の導体は、改良型マーキング技術に使用され、これにより読み取りのセキュリティが更に向上する。本発明は、例えば糖尿病等の自己治療のため薬剤注入デバイスと関連して使用できる。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、薬用カートリッジ等の電子マーキングに関する。
本発明は、特に、一つ或いは複数の電子的に読み取り可能な情報伝達エリアを有するカートリッジ、カープル(carpule)、ラベル又はパッケージ等の媒体に関する。
本発明は薬用カートリッジに電子的に読み取り可能な情報アイテムを提供する方法にも関する。
更に、本発明は、電子的に読み取り可能な情報アイテムを含む情報供給源を有する薬用カートリッジにも関する。
【0002】
先行技術
先行技術に関する以下の説明は、本発明の応用分野の一つである薬用カートリッジ、薬用カープル、又は、薬用パッケージの電子マーキングに関する。
例えば、糖尿病等の病気の自己治療のための薬剤注入装置の分野において、所定投与回数分の薬剤を含んだカートリッジが注入装置に装着され、カートリッジが空になるか、又は特定の状況下で別の薬剤が必要なとき、新しいものと交換される。使用される薬剤が意図したものであること、古すぎないこと、正しい濃度である等が、極めて重要である。従って、薬剤を収容するカートリッジのマーキングには格別の注意を払わなければならない。投薬装置の使用に際し、ユーザーが満足できるレベルの安全性を確保するのを補助するため、従来型の英数字タイプの処方記載に加え、カートリッジのマーキングが導入された。情報アイテムは、カートリッジの内容物に関する情報に加え、カートリッジの種類、出口寸法、或いは投薬手順に関するその他の情報に関する技術データを保持することができる。
【0003】
US-A-5,954,700は、電子投薬装置に使用される、流体を収容するカートリッジを開示している。この投薬装置は、流体を保持するカートリッジハウジングと、情報供給源を有している。この情報供給源は、バイナリ-コードを生成することにより、電子投薬装置に所定の情報を提供する接点又は接触帯とワイアーとの組である。
EP 0 911859 A1、EP 0 690 457 A2及びUS 6 265 466 B1は、別の種類の透明な導体を開示している。
【0004】
WO 00/42678は、無線周波の識別機能と組み合わせた透明な静電電極と透明な導電部材の使用法を開示している。これらの電極は、電子監視システム内で使用され、マーキングされた対象物が固定点を通過したか否かを識別することが出来る。この種のマーキングは、自動処理作業の一環として医療用の容器に対して用いられる。この方法は、マーキング対象物に必要なチップが比較的高価であること、或いはそうでない場合も容器の内容物や有効期限などに関する情報を提供せず、象物がある位置を通過したかどうかが識別されるにすぎないという欠点を有している。
典型的なトラブルとして、投薬カートリッジから薬剤がこぼれ、化学反応によってカートリッジ上のコード情報の光学的又は電子的読み取り性能が低下する可能性がある。このようなコードの僅かな劣化に際し、エラーに強く、コード情報の解釈にエラーの介入を許さないマーキング法が必要とされる。
【0005】
WO 02/13133は、電子的に読み取り可能な情報アイテムをカートリッジ上に提供する方法、及びこの情報を電子回路に転送する方法を開示している。カートリッジのマーキングは、導電構造/パターンの形でカートリッジの表面に提供される。このパターンは、それぞれが1個の情報を含む符号化エレメントである複数のエリアに分割される。マーキングはペン型インスリン注入器、又はインスリン・ポンプ等の投薬装置内に設けられたセンサ/接点アレーによって検知可能である。
好適な一実施形態において、マーキングはカートリッジのラベル上に配置される。このようなラベルは、継続使用型の投薬システムのカートリッジに見られ、使用済みで空になったカートリッジは新しいカートリッジに次々に交換される。本ラベルはカートリッジの最も外側の表面に設けられるので、検知用の接触電極アレーとの結合に適している。本ラベルは、製造年月日や有効期限の他に、薬剤の種類や濃度等、患者や介護者に対する印字テキスト情報を含んでいる。然しながら、多くの場合、必要な情報に関する規制のため、ラベルの大半はテキストで占められてしまう。
【0006】
導電構造がラベルのテキストの上部に設けられている場合、印字テキストを読む際に困難を伴う場合がある。後述する理由により、ラベルの大きさを増やすことは不可能である。従って、マーキングはカートリッジ表面の狭い領域、出来ればカートリッジのピストン周辺に限定する必要がある。換言すると、増大する情報に対処するために投薬カートリッジの一定エリアを確保しておく必要がある。
操作エラーを避け、且つ操作を快適にする他の方法は、投薬カートリッジ内の薬剤を外部から見えるようにして、患者が薬剤の色や均一性、不純物が含まれていないか等をチェックできるようにすることである。このために、投薬用カートリッジの表面は、患者の視界を薬剤から遮る金属導体などの不透明な部材の使用を避けて、出来るだけ広く開放されているべきである。
【0007】
更に、投薬デバイスを含む電子装置は、持ち運びが便利で使用を目立たなくするため一般に小型化される傾向にある。
投薬デバイスにおいては、情報伝達エリアをエラーなしに読取ることができることが重要である。情報伝達エリアの大きさは限定されているので、マーキングの情報密度が増大し、よってマーキングと接点アレー間の結合に機械的精度が益々必要とされている。これらの要求を大量生産されるカートリッジ、カープル、又はパッケージに求めることは難しい。
従って、カートリッジ、カープル、又はパッケージの目視検査が可能で、必須のテキストを読むことのできる電子的に読み取り可能なマーキングの必要性が生ずる。この場合、マーキングエリアが十分に広いので、容器の向き及びセンサの精度という二つの課題を共に解決できる。
【0008】
発明の開示
従って、本発明の目的は媒体に対するマーキング方法の改善である。
【0009】
本発明は、カートリッジ、カープル、ラベル、又はあらゆる種類のパッケージ等の媒体に対して、内容物の目視検査と自動識別の双方を可能にする新しいマーキング方法を提供する。本発明においては、透明な導電性部材を使用して、狭い導電エリア及び/又は狭い非導電エリアから構成されるパターンを形成し、このパターンは、例えば、薬剤の種類、濃度、有効期限等、あらゆる所望の情報をも含むことができる。
透明、透過的、透過性という用語は、光のスペクトルの一領域においてマーキングを透して見ることが出来ることを意味する。マーキングが透過的である光の帯域は可視光帯であることが好ましい。或いは、マーキングは、UV及び/又はIR帯において透過性及び/又は非透過性であることも可能である。
【0010】
ここでは、必須テキストと内容物の目視検査エリアを有するどのようなパッケージに対しても貼付可能であって、更に、検知用の広い接触電極エリアを持つラベルが提供される。
内容物の目視検査を制限すること無く、又はテキストの読み取りの障害となること無く、電子的に読み取り可能なエリアを新たに増大できるようになったことにより、読み取り装置の感度及び精度はもはや従来と同じでなくともよい。従って、より廉価な検知装置を使用して、従来と同じ程度の安全性が維持できる。
【0011】
更に、カートリッジの方向は、センサアレー方向を指す以前の狭い情報エリアにもはや限定されない。今や、カートリッジ、カープル又はパッケージの全面に情報を印刷したいと思えばそれは可能であり、容器の方向性にも何の制限も存在しない。
このことは、前記情報アイテムを冗長的に提供する本発明によって達成可能である。このようにして、各応用分野に応じてカスタマイズでき、多くの方式によって実施可能な非常に単純なマーキング方法が提供される。
【0012】
本明細書において、「カートリッジ」という用語は、手で操作できる大きさと重量を有し、液体、粉末、又はその他の物質を保持するための容器を意味する。例えば、カートリッジは、病気の自己治療に用いられる薬剤注入システムに使用される薬剤を含むカートリッジである。カートリッジ内の薬剤は、例えば、ペン型注入器に用いられる糖尿病治療のためのインスリンである。
「カープル」という用語は、医薬品に使用される特殊な形のカートリッジである。
【0013】
好適な実施形態において、前記情報アイテムは正負のバイナリ形式で少なくとも一度提供される。
本明細書において、「冗長性を有する正負のバイナリ形式で提供される」という表現は、情報がバイナリ表示(例えば、100110)に直接翻訳可能な方法で提供されること、及び同じ情報アイテムがその正(例えば100110)及び逆値(011001)形式で提供され、電子的読み取りコードの正規性を検証する為に使用できる冗長性を与えていることを意味する。即ち、例えば、一つ又は複数の逆転ビット(と思われるもの)が正表示の対応するビットに等しい場合、何らかのエラーが存在する。このチェック方法は問題となる情報アイテムの解釈において安全性を高める。このことは、例えば、容器が病気の自己治療に関する医療用に使用される場合、極めて重要である。
【0014】
上述の冗長性とは別に、各情報アイテム(正負のバイナリ形式)は、パリティチェック用の保存ビット、CRC(巡回冗長検査)等の標準的なエラー検出処理、及び/又は、エラー修正処理の対象となる。
各情報ビットの状態に対応する絶縁エリアと導電エリアを形成することによって、前記情報アイテムをバイナリ形式でカートリッジ表面の所定の位置に提供することにより、非常に単純、柔軟、且つ、廉価な方法を実現できる。
【0015】
前記薬用カートリッジが回転対称軸を有する場合、カートリッジの回転方向と無関係な読み取り手段が確保される。この事により、患者は、対称軸に垂直なカートリッジ表面の周縁と定義される円周方向(以下「周方向」と呼ぶ)の正規な位置を気にする必要がないので、薬剤注入デバイスに対するカートリッジの位置決めが容易になる。
前記電気的絶縁エリア又は導電エリアが前記対称軸の回りを全面的又は部分的に取り囲み、二つ以上の情報伝達エリアが画定されており、各情報伝達エリアが正負のバイナリ形式の情報アイテムを前記カートリッジ上に有する場合、カートリッジの周方向とは無関係に情報が読み出される。
【0016】
前記電気的絶縁エリア又は導電エリアが、前記対称軸方向に延びる一つ又は複数の長軸エリア内に配置され、各長軸エリアが前記カートリッジの外周の一部だけを占め、よって二つ以上の情報伝達エリアが画定され、各情報伝達エリアが前記情報アイテムを正負のバイナリ形式で前記カートリッジ上に有する場合、情報伝達エリアは均等にカートリッジの円周方向に配置され、これによりカートリッジの周方向と無関係に、或いは略無関係に情報の読み取りを行うことができる。
前記カートリッジ上に設けられた導電ホイル上の所定の位置に前記電気的絶縁エリアを配置することにより何らかのバイナリ形式で前記情報アイテムが得られる場合、電子読み取り可能な情報アイテムをカートリッジに付加するための非常に簡便な方法が提供される。この方法は大量生産に向いている。
【0017】
デジタル処理回路のロジックレベルの供給電圧に相当する電圧を前記導電ホイルに印加し、ホイル上の所定の各点をデジタル処理回路入力に電気的に接続することによって、前記情報アイテムを読み取る場合、応用分野別にカスタマイズされ、様々な形態で提供される、非常に簡便で廉価な方法が提供できる。又、追加コンポーネントや他のカスタマイズされた結線をカートリッジ上に要せずに、特定の情報アイテムを規定し、これを電子的に読み取ることが出来るという利点も有する。
前記デジタル処理回路への入力にプルアップ回路又はプルダウン回路を設け、これにより前記デジタル処理回路のロジックレベルの供給電圧が導電ホイルに印加される場合、単純で製造容易なスキームが構築できる。
【0018】
前記デジタル処理回路への入力にプルアップ回路又はプルダウン回路を選択的に設けることができ、これにより前記デジタル処理回路のロジックレベルの供給電圧が導電ホイルに選択的に印加でき、前記選択が前記デジタル処理ユニットによって制御できる場合、問題となる情報アイテムの誤読の可能性が減少する。
カートリッジ上の二つ以上の情報伝達エリアから得られる冗長性を有する情報が、カートリッジの支持具を介して処理回路に接続された接触エリアに転送され、この支持具が少なくとも部分的に二つ以上の電気的接続用支持部から構成されており、各支持部が絶縁部材の中に埋め込まれた相互に絶縁された近接する多数の導体を有し、この導体が、カートリッジの支持面の一つから接触エリアに伸びて、前記処理回路と情報を送受信する構成において、前記カートリッジが前記支持部に置かれる場合、カートリッジを支えると同時に、次の処理のため情報をカートリッジから接触エリアに送る柔軟な方法が導入できる。
【0019】
前記二つ以上の電気的接続用支持部のそれぞれが、最大厚Tclの導電部材と最大厚Tilの電気絶縁部材の交互層によって構成されている場合、高密度情報の転送にうまく適応する方法が確保される。層厚の寸法と対応する接触エリア及び情報伝達エリアの寸法を制御することにより、情報密度を制御することができる。即ち、層厚を小さくすることにより、情報密度が増大する。広いコードエリアを使用できる透明な導体を使用することにより、従来型の導体に比べ厚さを飛躍的に増大することができる。これにより、より安い支持具の製造が可能となるか、或いはその検証精度を向上させることができる。
前記交互層が弾性材料から作られている場合、支持具にカートリッジを所定の最低圧力を使って置くと、電気的接続用支持具はカートリッジの形状に一致する。即ち、この事は支持具の柔軟性を増大させ、カートリッジ及び接触エリア(例えば、プリント基板(PCB)上の処理回路に接続するためPCB上に設けるパッド)との一致性の許容差を改善する。
【0020】
本発明は、更に、電子読み取り可能な情報アイテムを含む情報提供源を有する薬用カートリッジを提供する。カートリッジ表面の所定の位置に情報の各ビット状態に対応した前記電気的絶縁エリア及び導電エリアを適用することにより、前記情報アイテムを冗長的に少なくとも一度適用すると、簡単な方法で埋め込まれた電子読み取りを可能とする情報アイテムを含むカートリッジが提供される。このカートリッジは、例えば、自己治療用の薬剤注入システムのような情報の転送時に高度の安全性を必要とするシステムの部品として最適である。
前記情報アイテムがカートリッジ表面に設けられた自己接着型のキャリヤ上に形成されると、カートリッジに情報アイテムを提供するための簡便な手段が提供できる。
【0021】
好適な実施形態において、前記カートリッジは回転対称軸を有している。
好適な実施例において、前記情報アイテムを正負のバイナリ形式で含む情報伝達エリアはそれぞれ、前記カートリッジの前記対称軸の方向に並んで配置される。
【0022】
好適な実施形態において、前記情報アイテムを正負のバイナリ形式で含む情報伝達エリアはそれぞれ、前記カートリッジの前記対称軸の円周方向に並んで配置される。
好適な実施形態において、情報伝達エリアは定形か、又は大小のエリアの組み合わせである。エリアの組み合わせ、例えば、二つの小さいエリアの後に一つの大きなエリアが続く組み合わせは、この場合例えば濃度を符号化する(図9参照)。エリアと情報の組み合わせは殆んど無限なので符号化に適した方法である。
【0023】
正負形式の前記情報アイテムを有する情報伝達エリアがそれぞれ前記カートリッジの前記対称軸の円周方向に交互に多数回出現する場合、同一の情報アイテムが冗長的に繰返し提供され、読み取り処理を容易にすることができる。更に、回転対称性が導入されている場合、カートリッジの回転方向と無関係に読み取りが可能である。
前記カートリッジ上に位置する導電性ホイルの表面の所定の位置に絶縁エリアを設定することによって前記情報アイテムがバイナリ形式で与えられ、前記所定の位置に設けられた絶縁エリアが一つの所定のバイナリ状態を表現し、且つ所定の位置に設けられた導電エリアがこれらの補数バイナリ状態を表現する場合、カートリッジから処理手段まで情報アイテムを電気的に転送するための、単純で柔軟性を有する経済的な構成が得られる。
【0024】
カートリッジ上に前記電子的に読み取り可能な情報アイテムが光学的に読み取り可能な方式で与えられている場合、電子読み取り用にカートリッジ上に置かれた情報アイテムは、ユーザー及び/又は光学スキャナーによって直接的に読取ることも出来る。随意で、本マーキングは可視光領域で透過性を有し、且つ紫外線(UV)又は赤外線(IR)領域で反応する部材を使用して実施することも可能である。これにより光学的に読み取り可能な透明なマーキングが可能となる。
更に、電子的に読み取り可能な情報アイテムを有する薬用カートリッジのための支持具を提供する。前記カートリッジ上の所定の位置に各情報ビットの状態に対応する絶縁エリアと導電エリアを含む少なくとも二つの情報伝達エリアを形成することよって、前記情報アイテムが少なくとも一度冗長的に提供され、且つ、前記カートリッジのための前記支持具が少なくとも部分的に二つ以上の電気接続用支持部によって構成され、各支持部が、カートリッジの支持面の一つから接触エリアまで伸びている絶縁材の中に埋め込まれて相互に絶縁された多数の近接する導体を有し、それによって処理回路と情報の送受信を行う場合、前記支持具に前記カートリッジを配置すると、カートリッジ上の情報アイテムが、カートリッジの特定の実施形態及びそれが部品として含まれる物理的デバイスに応じて調整可能な「アダプタ」を介して電子回路に転送される。
【0025】
前記二つ以上の電気接続用支持部の各々が最大厚Tclの導電層及び最大厚Tilの絶縁層の交互層によって構成されている場合、簡便な解決法が提供される。この二種類の層の厚さを制御することにより、情報の最大密度を制御できる。
前記カートリッジが回転対称軸を有し、且つ前記接触エリアが、同一で規則的な間隔で隣接するパッドの方向に並ぶ幅Wcpの導電パッド群で構成され、この隣接パッドが幅Diacpの絶縁エリアによって隔てられ、前記距離の間に次式、即ち
Diacp>2*Tcl、及び
Wcp>Til+Tcl
の関係が成立する場合、(境界を接して)隣接する所定の位置の電気的状態は同一パッドに転送されず(Diacp>2*Tcl)、且つ少なくとも一つの導電層はいずれかパッドに接触する(Wcp>Til+Tcl)。
【0026】
前記カートリッジが回転対称軸を有し、且つ、前記カートリッジが、前記対称軸の円周方向に、高さHicaを有し、大きさが同一で、互いに平行な多数の方形情報伝達エリアを有し、前記情報伝達エリアが前記対称軸の円周方向にカートリッジの外周に沿って相互に等間隔Dicaで隔てられており、且つ前記支持手段が、カートリッジの対称軸に垂直な方向に、高さHctmを有し、互いに平行な二つの同一な方形電気接続用支持部を有し、この二つの電気接続用支持部が幅Dctmの絶縁体で分離されており、更に、前記距離の間に次式の関係、即ち
Hica<Dctm<2*Hica+Dica、及び
Hctm<Dica<2*Hctm+Dctm
が成立する場合、カートリッジの配置位置とは無関係に、任意の情報伝達エリアが二つの電気接続用支持部と同時に接触することが完全に回避される(Hica<Dctm)。更に、カートリッジの配置位置とは無関係に、任意の電気接続用支持部が二つの情報伝達エリアと同時に接触することが完全に回避される(Hctm<Dica)。更に、カートリッジの配置位置とは無関係に、電気接続用支持部が二つの情報伝達エリアの間に完全に入ってしまうことにより、カートリッジの情報伝達エリアのいずれとも接触しないという事態が完全に回避される(Dica<2*Hctm+Dctm)。更に、カートリッジの配置位置とは無関係に、二つの隣接する情報伝達エリアが電気接続用支持部的の間に完全に入ってしまうことにより、電気接続用支持部がカートリッジの情報伝達エリアのいずれとも接点を持たないという事態が完全に回避される(Dctm<2*Hica+Dica)。
高さHicaの前記情報伝達エリアの各々が、前記情報アイテムのバイナリ表現にしたがって前記カートリッジの前記所定の位置に配置された方形の導電パッチと絶縁パッチから構成され、前記パッチが幅Wpdaを有して互いに境界を接し、且つ前記電気接続用支持部を構成する導電部材と絶縁部材の前記交互層の最大厚TclとTilの合計が前記パッチの幅Wpdaよりも小さく、よって、前記距離間に次式の関係、即ち
Wpda>Til+Tcl
が成立する場合、カートリッジが支持具の正規の位置にある場合は各パッチが電気接続用支持部の導電層の少なくとも一つと確実に接触する。
【0027】
以下に、添付図面を参照しながら好適な実施形態に関連して本発明を詳細に説明する。
添付図面は概略的なものであり、簡明さのために単純化されており、本発明の理解に必須な細部だけを示し、他の細部を省略している。一般に、添付図面における参照番号は該当図面の図面番号から始まっている。即ち、図1においては、参照番号は通常その最大桁に1を有している(例えば、1,11,102)。換言すると、これは、同一の機能特性であっても異なった図面においては異なった参照番号を有することを意味する。
【実施例】
【0028】
実施形態の詳細な説明
本発明は、例えばマトリックス形式の透明な導電パターンを有する、カートリッジ、カープル、ラベル、又は、パッケージなどの媒体に対するマーキングに関する。このパターンは、任意の種類の情報を含む複数のサブユニットを有し、例えば一又は複数の接触電極の形態のセンサアレーを使って読み取ることが出来る。測定はガルバニック法により行うことが可能であるが、これに限定されるものではない。
ガルバニック法は、容易で、検知装置が安価であり、読み取りエラーが少ないという利点を有する。
【0029】
様々の方法を用いて物品にパターンをマーキングすることが出来る。一つの方法は、容器の最表層として導電パターンを直接印刷することである。
別の方法は、透明な導電パターンをラベル上に印刷することであり、このラベルは透明であっても、透明でなくとも良い。ラベルが非透明である場合、必ずしも必須ではないが、ラベルには最初に必須テキストを印刷し、その後透明なパターンをマーキングする。透明なラベルの場合、必ずしも必須ではないが、ラベルは最表層ラベルとして用いられ、随意で必須テキストが印刷された別のラベルの上に貼り付ける。導体は透明であるので、物品の目視検査が可能であるように、マーキングを透してどのようなテキストも読むことができる。
【0030】
随意で、人間や機器によって生じる使用中の摩擦や一般的な接触に対する耐性を向上させるように、透明な導電パターンを設計することも出来る。
本発明により、物品の内容の符号化に適したエレメントのパターンを形成する透明な導体でマーキングされたカートリッジ、カープル、又はパッケージが提供される。
【0031】
更に、本発明は、物品の内容の符号化に適したエレメントのパターンを形成する透明な導体でマーキングされたラベルを有するカートリッジ、カープル、又はパッケージを提供する。
透明な導電パターンは、透過性導電ポリマー、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンデスルホン酸塩(PEDOT−PSS)、α―BEDO−TFF2I3,β−BEDO−TFF2I3,BEDO−TFF2.4I3などの臭素塩、又はbis(エチレンジオキシ)テトラチアフルベレン(BEDO−TFF)―ヨウ素のネットワークを有するポリマー;随意で一つ又は複数の銀薄膜を混合した酸化インジウム錫(ITO)の薄膜を有する。更に、透明性導電パターンは、ポリマー結合剤に拡散した導電性のナノチューブを含むことができ、プロトン処理されたポリアニン同様、1〜100nmの大きさを持つ貴金属粒子が、ポリマー結合剤に含まれる。
【0032】
別の実施形態では、本パターンは、透明な導電性のフィルム/コーティングを形成し、次いでこのフィルム/コーティング領域を導電層を破壊できる薬剤でエッチングすることによって形成することができる。エッチング剤は、特に限定されないが、酸と酸化剤の混合、例えば、塩酸とCuCl2の組み合わせである。
したがって、本発明は、情報の保存に適するエレメントを有する透明な導体の製造方法も提供し、本方法は、
透明な導体を有する表面の少なくとも一部分をコーティングするステップ、及び
エッチングによってパターン化するステップ
を有する。
【0033】
随意で、エッチングの前に透明導体にレジストを施し、その後、アルカリ溶剤、好ましくは強めのアルカリ溶剤等の洗浄剤でこのレジストを除去する。
好適には、パターン化の結果、透明導体の表面が導電領域と非導電領域に分割される。
随意で、エッチング剤の代わりに、透明導体の所定の領域を除去するレーザを使用することもできる。
【0034】
本発明は、カートリッジ、カープル等の医療用容器をマーキングするのに特に有用である。本発明は、安価でそれ程精度の高くないデバイスを用いて、アイテム内容を自動的にチェックすることが出来、且つ、同時にアイテム内容の目視検査も可能である。
導電エリアと非導電エリアのほぼ無制限な組み合わせに情報を保存することができる。本発明は後述の方法に限定されるものではなく、これらは例示のみを目的とする。
【0035】
図1a〜図1fは、読み取り可能な電子情報をカートリッジ上に保持する情報伝達エリアの様々な配置方法を示す。図1a〜図1dでは、カートリッジの一方の軸端、好ましくは蓋の近くに情報伝達エリアが偏在しており、一方図1e及び図1fでは、情報伝達エリアはカートリッジの周方向の限られた区域に偏在し、カートリッジの全長に亘っている。説明を明瞭にするためだけに限られた区域に図示したのであり、情報エリアはカートリッジの全表面に配置されてもよい。
図1a〜図1dには、回転対称軸11を有するカートリッジ10と、カートリッジの一方の軸端に配置された情報エリアを示す。
【0036】
図1aには、カートリッジ表面の周方向に(即ち、対称軸に垂直に外周に沿って)並んで配置された二つの情報伝達エリア101、102を示す。各情報伝達エリアは表面の周方向に限られた区域を占める。
図1bには、カートリッジ表面の軸方向に(即ち、対称軸と平行に外周に沿って)並んで配置された二つの情報伝達エリア103、104を示す。各情報伝達エリアは表面の周方向に限られた区域を占める。
【0037】
図1cには、カートリッジ表面の軸方向に(即ち、対称軸と平行に外周に沿って)並んで配置された二つの情報伝達エリア105、106示す。各情報伝達エリアはカートリッジの全円周を取り巻いている。
図1a〜図1cの各図には、二つの情報伝達エリアが並んで示されているが、同様に、複数の情報伝達エリアを軸方向又は周方向に並列に配置することも可能である。
図1dには、カートリッジ表面の周方向に(即ち、対称軸に垂直に外周に沿って)並んで均等に配置された情報伝達エリア110、111、112、113、114を示す。各情報伝達エリアは表面の周方向に限られた区域を占める。情報伝達エリア110、111、112、113,114の他に、図面の隠れた部分には同一の情報伝達エリアがカートリッジ表面の周方向に均等に、即ち、カートリッジの軸方向を取り囲む全外周に亘って配置されている。
【0038】
図1eと図1fには、回転対称軸11を有するカートリッジ10と、カートリッジの限られた中心角を有する扇状断面121の表面エリア120に偏在する情報伝達エリアを示す。
図1eには、軸方向に並び、カートリッジの軸長方向のほぼ全域に亘る情報伝達エリア115と116を示す。これらの情報伝達エリアは、中心角を有する扇状断面121に該当する表面エリア120内に配置されている。
【0039】
図1fには、周方向に並び、カートリッジの軸長方向のほぼ全域に亘る情報伝達エリア117と118を示す。これらの情報伝達エリアは、中心角を有する扇状断面121に該当する表面エリア120内に配置されている。
図1e及び図1fにおいては、二つの情報伝達エリアが表面エリア120内に示されている。然しながら、同様に複数の情報伝達エリアを軸方向又は周方向に並べて配置することも可能である。
【0040】
図2a〜図2eには、情報アイテムを正負のバイナリ形式で表現する導電エリアと絶縁エリアとを、情報伝達エリア内の所定の位置に配置する種々の方法を示す。
図2a〜図2eの各図には、正負のバイナリ形式で表現した情報アイテムを有する二つの情報伝達エリアを概略的に示す。各情報伝達エリアは方形であり、その最長の辺を縦方向と定義する。又、特定のビット情報を含み、隣接し合う二つの所定の位置の間にある面に垂直な方向によって一方向を定義する。
【0041】
図2aには、隣接する所定の位置によって定義される方向205に垂直に並んで配置された二つの情報伝達エリア20、21を有する実施形態を示す。各情報ビットは、情報伝達エリアの所定の特定位置に配置された、導電部材211(白)、又は絶縁部材201(斜線)のパッチとして実施されている。隣接するパッチは互いに境界を接している。この情報伝達エリア20、21の構成は、例えば図1a、図1d、及び図1fに使用出来る。
図2bには、隣接する所定の位置によって定義される方向225に垂直に並んで配置された二つの情報伝達エリア22、23を有する実施形態を示す。各情報ビットは、情報伝達エリアの所定の特定位置に配置された、導電部材231(白)、又は絶縁部材221(斜線)のパッチとして実施されている。隣接するパッチは、情報伝達パッチ221、231のそれぞれと同じ幅の「空き」スペース220、230によって隔てられている。「空き」スペースは導電層、又は絶縁層から構成される場合もある(PCB(図7の763、764参照)上のパッドの配置がこれに対応する場合)。情報伝達エリア22、23の構造は、例えば、図1a、図1d、及び図1fに使用できる。
【0042】
図2cには、隣接する所定の位置によって定義される方向245に並んで配置された二つの情報伝達エリア24、25を有する実施形態を示す。各情報ビットは、情報伝達エリアの所定の特定位置に配置された、導電部材251(白)、又は絶縁部材241(斜線)のパッチとして実施されている。隣接するパッチは互いに境界を接している。この情報伝達エリア24、25の構成は、例えば図1a、図1d、及び図1fに使用出来る。
図2dには、隣接する所定の位置によって定義される方向265に並んで配置された二つの情報伝達エリア26、27を有する実施形態を示す。各情報ビットは、情報伝達エリアの所定の特定位置に配置された、導電部材262、271(白)、又は絶縁部材261、272(斜線)のパッチとして実施されている。隣接するパッチは互いに境界を接している。この情報伝達エリア26、27の構成は、例えば図1b、図1c、及び図1eに使用出来る。
図2eには、隣接する所定の位置によって定義される方向285に垂直に並んで配置された二つの情報伝達エリア28、29を有する実施形態を示す。各情報ビットは、情報伝達エリアの所定の特定位置に配置された、導電部材291(白)、又は絶縁部材281(斜線)のパッチとして実施されている。隣接するパッチは互いに境界を接している。この情報伝達エリア28、29の構成は、例えば図1b、図1c、及び図1eに使用出来る。
【0043】
図3a及び図3bには、所定の位置に導電エリアと絶縁エリアを有する多数の情報伝達エリアを備えた本発明のラベルを示す。
図3aには、情報伝達エリア310、320、330、340、350、360、370を有するキャリヤホイル31から構成される自己接着型ラベル30を示す。各情報伝達エリアは、正負のバイナリ形式の情報アイテムを有している。各情報伝達エリアは方形の導電性基板から構成され、この基板の所定の位置に方形の絶縁パッチ層312、332、352、372(斜線)が付加される。正負の形式がキャリヤの周方向に沿って交互に現われる。情報伝達エリア340の情報のバイナリ表現は、例えば、対応するビット342、352によってそれぞれ示されているように、情報伝達エリア350の逆であり、互いに逆転している(342は空白で示されて導電パッチを表し、352は斜線で示され、電気的絶縁体パッチを表す)。各情報伝達エリア310、320、330、340、350、360、370内の所定の位置311、321、331、341、351、361、371は、電源電圧を印加するためにそれぞれ確保されている。
図3bには、情報伝達エリア315、325、335、345、355、365、375を有する導電性キャリヤホイル36から構成される自己接着型ラベル35の好適な実施形態を示し、各情報伝達エリアは正負のバイナリ形式で情報アイテムを含む。各情報伝達エリアは、所定の位置に付加された導電性の方形パッチ357、366(白)及び電気的絶縁体の方形パッチ356、367(斜線)から構成される。全ての所定の位置は、エリア355とエリア365に対してだけ示し、各導電パッチ(導電性ホイル上の所定の「空き」位置に相当する)は破線の境界線で示す。他の情報伝達エリアについては、絶縁パッチだけを特に示す。正負の形式がキャリヤの周方向に沿って交互に現われる。情報伝達エリア355内の情報のバイナリ表現は、例えば、対応するビット(356、366)及び(357、367)によりそれぞれ示されるように、情報伝達エリア365と逆であり、互いに逆転している。電源電圧を印加するため、ホイルの所定のエリア37が確保されている。
【0044】
図4に、電子的に読み取り可能な情報を含んだラベルを有するカートリッジと、カートリッジを支え、カートリッジからの情報を電子回路に転送するための支持具を示す。
図4はペン型注射器用の置換可能なカートリッジ40を示す。このカートリッジは回転対称性43を有している。カートリッジの一方の軸端の表面位置に配置される前のラベル41が示されている。ラベルは情報伝達エリア410、411、412、413、414、415を有する自己接着型キャリヤ42から構成され、各情報伝達エリアは所定の位置に配置された絶縁性パッチ4152(暗灰色)を有する導電性ホイル4151(明灰色)の帯から構成される。図2b及び図3a参照。
図4には、対称軸に垂直なカートリッジの断面に対応する、カートリッジを受入れる支持具46の断面図と、カートリッジの軸方向に対応する支持具46の受入れ面45の平面図も示されている。支持具46は、電気的絶縁体463によって隔てられた二つの電気接続用支持部461、462から構成されている。同一の情報伝達エリア451及び452により例示した「平面図」に示すように、電気接続用支持部461、462は、導電性のシリコンラバーと絶縁性のシリコンラバーの交互層から構成されている。カートリッジ上の情報伝達エリアの所定の位置4152(絶縁層又は導電層を有する)を受入れるために設計されているエリア、例えば454、457は、暗灰色に塗りつぶされており、他方空白のエリア、例えば455、466は、情報ビットを含む所定の位置間の「空スペース」に該当する(図2bの230参照)。絶縁体463の「平面」断面に対応する絶縁性エリア453の寸法は、カートリッジ上の情報伝達エリアの形状に適合するように設計され、これによって、カートリッジを支持具上に配置する際、カートリッジの周方向とは無関係に、隣接する二つの情報伝達エリアが支持具によって受け入れられる。これに関しては図6を参照して詳述する。
【0045】
図5a〜図5cには、本発明による電気接続用支持具の種々の寸法が示されている。
図5a〜図5cの共通点は、層厚が情報伝達エリアのパッチ51の寸法、及びPCB上のパッド52に比べ誇張されて示されていることである。
【0046】
図5aは、絶縁層53の厚さTil530が導電層54の厚さTcl540より大きい電気接続用支持具50の一実施形態を示す。情報伝達エリアのパッチ51は、同一の幅Wpda510を有し、互いに境界を接している。PCB上のパッド52は同一の幅Wcp520を有し、互いに距離Diacp521を置いて等間隔に配置されている。
図5bは、絶縁層53の厚さTilが導電層54の厚さTclよりも小さい電気接続用支持具50の一実施形態を示す。
図5cは、絶縁層53の厚さTilが導電層54厚さTclと等しい電気接続支持具50の一実施形態を示す。
【0047】
Diacp>2*Tclである場合、隣接するパッチの間の境界が「二つのパッド間の中間に相当する」位置にあると仮定すると、カートリッジ上の隣接する情報伝達パッドの電気的状態が接触エリアの同じパッドに伝達されることはない。Wcp>Til+Tclである場合、少なくとも一つの導電層がいずれかのパッドと確実に接触する。同様に、Wpda>Til+Tclである場合、カートリッジが正しく支持具に配置されると、各パッチが電気接続用支持具の導電層の少なくとも一つと確実に接触する。
図5a〜図5cでは、カートリッジ上の情報伝達パッチは境界を接するように図示されている。しかし、必ずしもその必要はない。Wpda>Til+Tclである限り、パッチの幅Wpdaとは無関係に、少なくとも一つの導電層がいずれかの情報伝達パッチに確実に接触する。
この関係はパッドとパッチ、及びパッド間の最小距離を反映し、よって所与の層厚が情報密度(ビット当たりの最小幅)を決定する。
【0048】
図6は、回転対称軸を有するカートリッジの円周に沿って設けられた多数の情報伝達エリアを二つの電気接続用支持部を使って読み取る際に関連する寸法を示す。
図6には、電気接続用支持部61、62が示されている。この支持部は、図示の位置において、情報伝達エリア630、640から情報をそれぞれ読み取り、その情報をPCB上のパッド63、64にそれぞれ転送する。同じ幅Wpda69を有する個々のパッチによって概略的に示すように、ラベル60上の情報伝達エリア610、620、630、640、650、660は、情報アイテムを正負のバイナリ形式で交互に有する。これらのパッチは導電パッチ6102(白)であるか、又は絶縁パッチ6101(斜線)である。
【0049】
本発明によれば、カートリッジ上に配置される情報伝達エリアとカートリッジの支持具である電気接続用支持部61、62との間には次式のような寸法の関係があることが好ましい。
Hica<Dctm<2*Hica+Dica、及び
Hctm<Dica<2*Hctm+Dctm
此処で、
Hica=情報伝達エリアの高さ67
Dica=情報伝達エリア間の距離68
Hctm=電気接続用支持具の高さ65
Dctm=電気接続用支持具間の距離66
【0050】
Hctm<Dicaの場合、カートリッジの配置位置とは無関係に、所与の情報伝達エリアが二つの電気接続用支持具と同時に接触することが完全に回避される。
Hctm<Dicaの場合、カートリッジの配置位置とは無関係に、所与の電気接続用支持具が二つの情報伝達エリアと同時に接触することが完全に回避される。
【0051】
Dica<2*Hctm+Dctmの場合、カートリッジの配置位置とは無関係に、電気接続支持具が二つの情報伝達エリアの間に完全に入り込み、そのためにカートリッジ上のいずれの情報伝達エリアとも接触しないという事態が完全に回避される。
Dctm<2*Hica+Dicaの場合、カートリッジの配置位置とは無関係に、二つの隣接する情報伝達エリアが電気接続用支持部の間に完全に入り込み、そのために電気接続用支持具がカートリッジ上のいずれの情報伝達エリアとも接触しないという事態が完全に回避される。
【0052】
好適な実施形態においては、Dctm+Hctm=Dica+Hicaの関係が(前述のDctm、Hctm、Dica、Hicaの関係に加えて)成立することにより、支持具内のカートリッジの周方向とは無関係に、電気接続用支持部61、62が確実に二つの情報伝達エリアと接触する。
【0053】
図7に、カートリッジの軸方向にパッチのパターンの形式で配置された、本発明の電子的に読み取り可能な情報を含むカートリッジと、情報を電子回路に転送するための二つの電気接続用支持部を有する支持具を示す。
本発明の支持具は、情報伝達エリアを有するカートリッジの一部を受入れて機械的に保持する機能と、情報伝達エリアから情報を次の処理のため電子回路に転送するという複合機能を有している。
【0054】
図7では、カートリッジ右側の「波線」に示すように、カートリッジ70の一部のみを示す。カートリッジは、対称軸を象徴する矢印71で示す回転対称性を有する。カートリッジの軸方向に配置された情報伝達エリアを含むラベル72は、カートリッジの一方の軸端の外表面に配置されており、場合によってはピストン形式の蓋73によりカートリッジを閉鎖する(例えば、カートリッジが投薬装置用の交換可能な薬剤カートリッジである場合)。
ラベル72は、カートリッジの軸方向に伸びる情報伝達エリア712〜727を有する導電性ホイル720を有する。図7において、多数の情報伝達エリア(712−727と図面では見えない位置の表面に位置するエリア)がカートリッジ表面上の周方向に均等に配置されている(即ち、カートリッジの軸方向を取り囲む全周囲に亘って)。従って、導電パッチ7250、7260、7261及び絶縁パッチ7251のパターンから構成される各情報伝達エリアは、カートリッジ表面の周方向に限定された区域を占めるだけである。図7の実施形態において、導電「端部」パッチ7250、7260は、電源電圧を接続するために使用される。
【0055】
各情報伝達エリアは、導電エリアと絶縁エリアのパターン形式で情報アイテムを有している。各パターンはバイナリ形式で情報アイテムを表現する。各情報ビットは、情報伝達エリアの所定の位置における電気的特性層によって表現される。つまり、所定の位置のバイナリ1はこの所定の位置を占める導電層によって表され、所定の位置のバイナリ0は、この所定の位置を占める電気的絶縁層によって表される。逆に、バイナリ1が絶縁層によって表され、バイナリ0が導電層によって表される場合もある。
情報伝達エリアを含むホイル720は、導電性であるので、バイナリ状態の一方(本実施形態においては「0」)を表す所定の位置に電気的絶縁層(例えば、塗料)を適用するだけで良い。
【0056】
図7において、カートリッジは支持具75の真上に示されている。支持具は、説明を明瞭にするため、電子コンポーネントを有するPCBと接続ワイアー76の真上に示されている。プリント配線は、処理ユニット761、即ちマイクロプロセッサへの矢印762によって象徴的に示される電気接続を有するパッド763、764を備える。支持具は、電気的絶縁体755に埋め込まれた一つ又は複数の電気接続用支持部751、752から構成されている。電気接続用支持部は、弾性部材、例えば、導電性のために十分なカーボンブラック濃度を有する導電層を有するシリコン・ラバーからなる電気的導電層7511と電気的絶縁層7512との交互層から構成されている。各導電層は、他の全ての導電層から電気的に絶縁され、その結果、各導電層は実質的にひとつの絶縁された導体を表す。これらの層厚を制御することにより、軸方向の最大「情報密度」も制御することが出来る。
図7の実施形態に示すように、電気接続用支持部を含む支持具は、その形状を一致させることにより、情報伝達エリアが位置するカートリッジの曲面形状の受け入れに適応している。これは、都合に応じて、支持具に非弾性部材の使用を可能にする。
【0057】
動作時には、電気接続用支持部751、752とパッド763、764間に電気的接触が確保されるように、支持具をPCB760上に置く(且つ随意で固定する)。全軸長に亘り二つの情報伝達エリア(即ち、情報ビットを表現する所与の情報伝達エリアの全パッチに関して)と電気接続用支持部間の電気的接触が確保できるように、カートリッジを支持具の上に置く。パッチ、層、及びパッドの寸法、及びカートリッジ上の隣接する情報伝達エリアと対応する電気接続用支持部間の相互距離に関しては、図5及び図6を参照して上述した。
導電ホイルに特定の電位を印加すると、この電位は導電層を含む所定のエリア(即ち、本実施形態においては、絶縁層によって覆われていない所定のエリア)からPCB上の対応するパッドに転送される。この接続回路を介して、所定の電気接続用支持部によりパッドに接続された情報伝達エリアのバイナリ状態のパターンの直接測定値が、プロセッサユニットの入力に現われる。これは、導電ホイルに印加された電位とバイナリ状態の定義に応じて、プルアップ又はプルダウン回路により入力を適切に終端することにより可能である。好適には、ホイルの特定の部分が電圧の印加のために確保される(例えば、図7の、カートリッジを取り囲むホイルのエリアで情報伝達エリアで占められていないエリア、例えば、所定の位置721−730の情報ビットによって占拠されていないホイル720の部分)。
【0058】
支持具は、対応する情報伝達エリア(例えば、図7の725)の軸長に相当する軸長を有する形態のみが示されているが、当然ながら用途に適切であれば両方の軸方向に延びていてよい。同様に、図面では特定の周方向の区域(90°未満)に亘る形態が示されているが、当然ながら適切であれば360°を含め、あらゆる周方向の区域に亘っていてよい。好適な実施形態においては、支持具の占める区域は180°未満であり、支持具内にカートリッジを直接的に「縦」置きすることが可能である(反対に360°の支持具の場合、カートリッジは軸方向に挿入しなければならない)。
図7において、情報伝達エリアを含むラベルは、カートリッジの一方の軸端に配置され、カートリッジの内部を完全に目視検査できるように、蓋/ピストンの軸方向の範囲によって占拠される空間を占めているだけである。当然ながら、ラベルは、利便性に応じてカートリッジの表面に沿ったどのような位置にも置くことが出来る。同様に、図7においては、情報伝達エリアはカートリッジの軸方向に伸びている。電気接続用支持部を含む支持具と適応している限り、利便性に応じて、情報伝達エリアは円周方向(図1及び図2に関連して上述)、或いはその間の方向(即ち、カートリッジの表面上に一つ又は複数の螺旋上に)にも延びていてもよい。
【0059】
矢印762によって概略的に示す、パッド763、764をプロセッサユニット761に接続する電気接続は、各パッドとプロセッサの対応する入力との間の一対一の平行な電気接続とすることができるが、プロセッサユニットへの必要入力数を減らす為に、マルチプレクサ又は符号化ユニットを備えてもよい。
図7の実施形態において、支持具75は二つの電気接続用支持部751、752を有し、カートリッジ上の二つの情報伝達エリアから同時に二つの情報アイテムを読み取る。図7において、均等に配置された情報伝達エリア721−730は、情報伝達エリア725、726内の導電パッチと電気的絶縁パッチで概略的に示すパターンによって示す正のバイナリ形式と負の形式の情報を交互に含んでいる。一方のパターンは他方の逆である。
【0060】
カートリッジの回転対称性は、情報伝達エリアの一つと電気接続用支持部間の電気的接続を確立するためには、周方向にカートリッジを正しく配置するだけでよい(対称軸を中心にカートリッジは僅かに回転してもよい)という利点を有する(軸方向の配置はカートリッジの受け入れ手段によって機械的に確保できるので)。正しく配置されたカートリッジの制御はプロセッサユニットが行い、必要に応じてディスプレイ又は音声を介して修正行動を要求し、カートリッジが正しく配置されていない場合はその後の装置の使用をブロックすることができる。
図7の実施形態は、更に、情報を正負のバイナリ形式で読むという利点を有し、これにより読み取り中の安全性を改善することができる。情報を正負の形式で提供する代わりに、情報アイテムの同じバイナリ表現を全ての情報伝達エリアに提供し、二度読むことができ、これも読み取りの安全性を向上させる。
【0061】
図8a−8bには、カートリッジと、弾性部材から作られた三つの電気接続用支持部を有する本発明の支持具の一実施例を示す。
図8aは、支持具80の真上に配置された回転対称軸82を有するカートリッジ81を示す。この支持具はカートリッジを受入れるための三つの独立した電気接続用支持部801、802、803を有する。カートリッジは、周方向の周囲に沿ってカートリッジ上に配置された情報伝達エリアを有し、この情報伝達エリアは電気接続用支持部の寸法に対応した間隔を有している。この電気接続用支持部間のスペースは、図示しない絶縁部材(例えばシリコンラバー)で埋めてもよい。
図8bでは、カートリッジ81は支持具80に配置され、矢印83で示す下方への僅かな圧力により固定されている。電気接続用支持部を含む支持具は、カートリッジが支持具に置かれた時に、支持具の全長に亘ってカートリッジ形状に対応できるように弾性部材から作られている。
【0062】
同時に読み出される三つの情報アイテムのデータは同一である、この場合、冗長性は読み取りの安全性を向上させる為に使用される(簡単なマジョリティテスト、又はもっと進歩したエラー修正技術によって)。
所望の情報を保存するため、随意で異なる符号化方法を使用することができる。この方法においては、情報は導体のマトリックス内に保存され、ガルバニック法によってバイナリコードに変換される。
随意で、情報に冗長性を与えるため、情報伝達マトリックスを繰返すことができ、好適には繰り返し回数は自然数であるが、それに限定されない。マトリックスを繰返すことにより、容器、カートリッジ、又はカープルの一部分だけが感知アレーと接触すれば良い。
【0063】
好適な実施形態においては、1又は複数のマトリックスは、容器、カートリッジ、又はカープルの端面から所定の距離に位置合わせされる。
随意で、マトリックスは符号化のスタート位置を指定するエレメントを含む。別の実施形態は、あらゆる符号化方法に使用可能であり、容器、カートリッジ、又は、カープルはアイテムの方向を特定する手段を有している。この手段は、随意で図15に示すようなコードトップ型とすることができる。これにより、容器、カートリッジ又はカープルの方向に対して所定の位置にマトリックスを配置することができる。アイテムの方向を決定する手段は、単独で、又は前述のように端面から所定の距離でのマトリックスの位置合わせと組み合わせて使用することが出来る。
【0064】
情報伝達マトリックスは、所定の大きさのエレメントから構成される。マトリックスの各エレメントは、導電部、非導電部、又はその両方を含むことが出来る。エレメントは随意で互いに重複してもよい。マトリックスを構成するエレメントの寸法に検知装置の寸法を調整することによって、導体がセンサとの少なくとも一つの接触ポイントを有すること、及び随意で適用された導体帯だけが所望の導体に接触することが保証される。
マトリックス内に保持される情報は、マトリックスを増やすことによって増やすことができる。これにより情報を繰返すことが可能であり、これにより読み取りエラーの可能性を減らすこと、或いはマトリックス内により多くの情報を有することが可能である。マトリックスの幅方向のセルの数を増やすことにより、表記体系を2進法から3進法に、等というように増やすことが出来る。マトリックスの高さ方向のセル数を増やすことにより、桁数を増やすことが出来る。
【0065】
上記に幾つかの好適な実施形態を示したが、本発明はこれらに限定されるものではく、請求の範囲に規定される範囲内で他の方法で実施できることを強調する。
【0066】
実施例1
カートリッジのマーキングを実施する一つの方法を以下に述べる。印刷部門が、透明なポリエステルホイルを供給業者からロールスタイルで受領する。このポリエステルは、ポリエステルホイルの裏側に透明な接着剤と保護用のキャリヤ紙が付いた状態で納入される。接着剤はポリエステル側に強力に接着しており、キャリヤ紙には弱く接着している。これにより、接着剤が付着したポリエステルをキャリヤ紙から分離した後、製品表面に貼付することが可能になる。処理ラインにおいて、スクリーン印刷やロタフレックス印刷などの適切な印刷技術によりポリエステルホイルの表面に書き込み情報と導電性ポリマーを加える。又、ポリエステルロールを切断機でカットしラベル状に切離す。このとき、ポリエステルだけを切断し、キャリヤ紙を切断しない。このようにしてキャリヤ紙上に完成した接着剤付きラベルが得られる。テキストは従来型のプリント糊で印着される。導電性の透明なポリマーは、例えば、ORGACON(登録商標)という商標名で印刷用ペースト製品を取扱うベルギーのAGFA−GEVAERT社から調達できる。このロールを次いでラベルをガラス製のカートリッジに張り付けるラベリング部門に送る。ガラス製カートリッジはラベリングの前に薬剤を充填する。
【0067】
実施例2
印刷部門は表面にテキストを印刷し、裏面に接着剤とキャリヤ紙を有するロール型のラベルを製造する。このロールを第一のロールと呼ぶ。この第一のロールは実施例1のロールと同一であるが、導電構造がこのロールには適用されていない。透明なポリエステルを素材とする第二のロールの表面は、適切なプラズマコーティング施設、例えば、ドイツ国ドレスデンのFraunhofer Institut for Electonenstrahl und Plasmatechinikにおいて見られるような酸化インジウム錫(ITO)で全面的に覆われる。この第二のロールは、フレキシブル電子配線基板の製造法として知られ、デンマーク国ラーネルスのMekoprint社及びその他多数社により製造されるような、水性エッチングにより処理される。この処理では、スクリーン印刷によって第二のロールにレジストを施し、次いで、このロールをエッチング処理する。このエッチング処理では、塩酸と塩化銅の溶液、又は他の適切な酸性及び酸化環境にレジストで覆われていない酸化インジウム錫でコーティングされた部分をエッチングし、その後強力なアルカリ性溶液でレジストを除去する。次に、接着剤と搬送用紙を第二のポリエステルロールの裏側に施す。このロールは実施例1に述べたようにして、切断機で個別のラベルにカットされる。ITO構造のパターン化の位置合わせとその後の切断は、ホイルを貫通する一連の機械的位置合わせホールによって行うことができる。これらのホールは、レジスト適用部の一部として切断され、その後ラベルの切断時にロールと切断機の位置合わせに利用できる。次いで、この第一のロールと第二のロールをラベリング部門に送る。ここでは、先ず、第一のロールのラベルを薬用カートリッジ上に貼付け、次いで第二のロールのラベルを貼り付ける。このようにして、印字テキストをラベル上に有するほぼ透明なラベルが薬用カートリッジに貼付され、更に最終カートリッジ製品の円筒形表面の最も外側に置かれる導電構造を有する透明性ラベルで覆われたカートリッジが得られる。
【0068】
実施例3
後述では、図21に示すように、カートリッジと接触アレーの円筒形表面構造の高さ及び縦方向とは、円筒部の円を描く円周に沿った軸を指し、幅及び水平方向とは、円筒形の軸方向に沿った軸を指すものとする。
カートリッジ表面のセルを、次のような寸法に定義する:
高さ=円周の1/16=π*11.2mm÷16=2.2mm
幅=7.5mm
一つのセルは一つの情報ビットを含むことができる。ビット値は、導体がセル内でどのように印刷されているかによる。図9にビット値「1」の導体の実施例を示す。図10は、ビット値「0」の実施例である。図11に示すように、16個のセルを有する三つの列がカートリッジの外周に配列されている。セルの高さを選択することにより、第1番目のセルの下部境界が実質的に16番目のセルの上部境界に配置される。
【0069】
図11に示す3×16のマトリックスは、同一の情報を縦方向に4回繰返している。全ての情報を含む最小のマトリックスは、高さ方向に4セル、幅方向に3セルを有する(図12参照)。セルは水平方向に互いに重複している。情報の繰返しにより、読み取りアレーとカートリッジの一部分が接触するだけで、符号化された情報内容の全てを読み取ることができる。図11の左から1番目の列は位置表示セルを含む。第1列内で値「1」に符号化されたセルは、前述した4×3マトリックスの最上位セルであることを示す。次の2つの列は、8ビットの情報を含む。この8ビットは、情報の誤読を検出するための冗長な情報を含むことができる。列を更に追加することにより、より多くのビットをカートリッジ表面に保存できる。
【0070】
図13及び図14には、エラストマー製の接触アレーを前述の導電性パターンと結合する方法を示す。3種類の結合エリアが突出したエラストマー接触アレー上に存在する。第一に、検知エリアと呼ばれる1×0.3mmの面積を有する小エリアが、8×3マトリックスとして繰返される。二つの隣接する検知エリアはセルの高さの半分だけ離れている。これにより、一つのセルが一つ又は複数の検知エリアと結合する。図14に示すように、カートリッジが検知エリアに対して回転移動した場合も、この機能が適用される。検知エリアの高さは、一つの検知エリアが一つのセルと結合し、二つのセルと結合しないように、十分に低く保たなければならない。接触部の第二及び第三の種類のエリアは、A導体及びB導体と呼ばれる。(A導体は図13において黒でマークされ(二つの大きな黒色バー)、B導体は暗灰色でマークされる(二つの大きな暗灰色バー))。セル内の導電エリアは、常に、A導体又はB導体のどちらか一方と結合している。この結果、セル内の符号化された「1」又は「0」を識別することが可能となる。例えば、図13の第二列において、B導体と結合しているセルは、「1」であり、A導体と結合しているセルは「0」である。これを検知するために、次のような手順を行う。
【0071】
A導体上に電圧を印加する。
各検知エリアについて、カートリッジ上のセルを介して電圧が印加されているかどうかを測定する。この結果を、各検知エリアに関する読み取りAとして保存する。
次いで、B導体に電圧を印加する。
各検知エリアに対し、再度カートリッジ上のセルを介して電圧が印加されているかどうかを測定する。結果を各検知エリアに関する読み取りBとして保存する。
読み取りAと読み取りBの結果を使用して、各検知エリアが1又は0のどちらと結合しているか計算することができる。図13の第2列の場合、各検知エリアについて以下の法則を使用することにする。
表1
【0072】
検知した読み取りを8ビット長の情報ストリングに転送するためは、図13及び図14の第1列内の情報マークの位置を検知する必要がある。「1」と読み取れた第1列の検知エリアは、図12に示す情報伝達マトリックス内の最上位列を示す。接触エリアと導電パターンの寸法間に前述のような制約があることから、この表示マークは、接触アレーに対するカートリッジの回転とは無関係に、検知された読み取りを8ビット長の情報ストリングに変換することを可能にする。
表1は、AとBの読み取りの特定の組み合わせを誤読と解釈する方法を示している。0−0と1−1の読み取りは、接触アレーと導電パターンが無接触か、又は短絡していることを検知するために使用できる。これは、導電パターンが傷等でダメージを受けた場合、又は非導電物で汚された場合に関連付けられる。0−0の読み取りの発生は、検知エリアが、二つのセルの導電エリアの間にある非導電性の隙間に位置している場合に起きる。このような0−0読み取りの検出の際には、有意に多数の誤読のために有害となった検知済み読み取りの行をまとめて切り捨てることによって、検知した読みをビット列に変換するアルゴリズムを使用することが出来る。図17に、2行毎に拒絶が行われる実施例を示す。この場合、第二列と第三列内の残留検知エリアは、非導電エリアの隙間によって生ずる0−0の読み取りを有さない。
【0073】
実施例4
前実施例では、カートリッジの回転方向と無関係に導電構造マトリックスの読み取りを可能にする方法を開示した。然しながら、カートリッジの端に置かれるコードトップと呼ばれる構造は、コードリーダー(図15)に対するカートリッジの許容位置を制限する。今日のコードトップは、円筒軸に沿った回転を妨げない単純なスナップ結合により、本出願人の耐久型用の全てのインスリンカートリッジに設けられている。コードトップは、コードトップの円筒状表面の外周に均等に配置された八つの機械的くさびを有している。図15に示すように、コードトップが導電パターン対して位置合わせされており、例えばカートリッジの製造中にコードトップをカートリッジに接着することによってその位置が固定されている場合、セルの方向はコードトップの機械的くさびの方向と相関する。読み取り用接触アレーを有するデバイスは、くさびの対応部分を含め、カートリッジの正しい位置を維持するための種々の手段を有している。接触アレー部において、検知エリアに対するくさびの対応部分の方向が制御されると、検知エリアに対する導電構造の許容位置を制限することが可能になる。この場合、図16に示すように、セル当たり一つの検知エリアがあれば良い。これにより検知用アレーの複雑性が緩和される。
【0074】
実施例5
前述の読み取りA及びBを含まないさらに単純なセルと接触アレーを設計することが出来る。図18及び図19には、1及び0をコード化するセルを示す。図20は、読み取り中に、導電エリアに電圧を印加する導体及び検知エリアによってこれらセルを読み出す方法を示す。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1a】図1aは、カートリッジ上に電子的に読み取り可能な情報を保持するための情報伝達エリアの一配置方法を示す。
【図1b】図1bは、カートリッジ上に電子的に読み取り可能な情報を保持するための情報伝達エリアの別の配置方法を示す。
【図1c】図1c、カートリッジ上に電子的に読み取り可能な情報を保持するための情報伝達エリアの別の配置方法を示す。
【図1d】図1d、カートリッジ上に電子的に読み取り可能な情報を保持するための情報伝達エリアの別の配置方法を示す。
【図1e】図1e、カートリッジ上に電子的に読み取り可能な情報を保持するための情報伝達エリアの別の配置方法を示す。
【図1f】カートリッジ上に電子的に読み取り可能な情報を保持するための情報伝達エリアの別の配置方法を示す。
【図2a】情報伝達エリア内の所定の位置に、正負のバイナリ形式で情報アイテムを示す導電エリアと絶縁エリアを配置する一方法を示す。
【図2b】情報伝達エリア内の所定の位置に、正負のバイナリ形式で情報アイテムを示す導電エリアと絶縁エリアを配置する別の方法を示す。
【図2c】情報伝達エリア内の所定の位置に、正負のバイナリ形式で情報アイテムを示す導電エリアと絶縁エリアを配置する別の方法を示す。
【図2d】情報伝達エリア内の所定の位置に、正負のバイナリ形式で情報アイテムを示す導電エリアと絶縁エリアを配置する別の方法を示す。
【図2e】情報伝達エリア内の所定の位置に、正負のバイナリ形式で情報アイテムを示す導電エリアと絶縁エリアを配置する別の方法を示す。
【図3a】所定の位置に導電エリアと絶縁エリアを含む多数の情報伝達エリアを有する本発明のラベルを示す。
【図3b】所定の位置に導電エリアと絶縁エリアを含む多数の情報伝達エリアを有する本発明のラベルを示す。
【図4】電子的に読み取り可能な情報を含むラベルを有するカートリッジと、カートリッジを支え、且つカートリッジからの情報を電気回路に転送する支持具を示す。
【図5】a−cは、本発明による電気接続用支持具の種々の寸法を示す。
【図6】回転対称性を有するカートリッジの外周に沿って複数回提供された情報アイテムを二つの電気接続用支持部によって読み取る際の寸法を示す。
【図7】本発明による電子的に読み取り可能な情報をパッチパターン様式でカートリッジの軸方向に有するカートリッジと、電子回路に情報を転送するために用いられる二つの電気接続用支持部を有する支持具を示す。
【図8】a−bは、カートリッジと、弾性部材からなる三つの電気接続用支持部から構成された本発明による支持具の一実施例を示す。
【図9】符号化マトリックスの一エレメントの一実施例を示す。
【図10】符号化マトリックスの別のエレメントの一実施例を示す。
【図11】円筒形カートリッジに用いられる3x4x4様式の符号化マトリックスを示す。
【図12】3x4様式の符号化マトリックスを示す。
【図13】導電パターンと接触アレーとの結合状態を示す。
【図14】カートリッジが移動した場合の図13に示す導電パターンと接触アレーとの結合状態を示す。
【図15】導電パターンと位置合わせされた、位置合わせ手段を有するカートリッジを示す。
【図16】検知エリアの数を減らした検知アレーを示す。
【図17】非導電性の行、又はその近傍におけるセンサ読み取りの拒絶状態を示す。斜線で示す検知エリアは読み取り情報を情報ストリングへ変換する際に考慮されない。
【図18】「1」を符号化するセルを示す。
【図19】「0」を符号化するセルを示す。
【図20】導電エリア、検知アレー、及びこの導電構造に電圧を印加するための導体を有するマトリックスセルを示す、
【図21】軸の定義を示す。
【発明の開示】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、薬用カートリッジ等の電子マーキングに関する。
本発明は、特に、一つ或いは複数の電子的に読み取り可能な情報伝達エリアを有するカートリッジ、カープル(carpule)、ラベル又はパッケージ等の媒体に関する。
本発明は薬用カートリッジに電子的に読み取り可能な情報アイテムを提供する方法にも関する。
更に、本発明は、電子的に読み取り可能な情報アイテムを含む情報供給源を有する薬用カートリッジにも関する。
【0002】
先行技術
先行技術に関する以下の説明は、本発明の応用分野の一つである薬用カートリッジ、薬用カープル、又は、薬用パッケージの電子マーキングに関する。
例えば、糖尿病等の病気の自己治療のための薬剤注入装置の分野において、所定投与回数分の薬剤を含んだカートリッジが注入装置に装着され、カートリッジが空になるか、又は特定の状況下で別の薬剤が必要なとき、新しいものと交換される。使用される薬剤が意図したものであること、古すぎないこと、正しい濃度である等が、極めて重要である。従って、薬剤を収容するカートリッジのマーキングには格別の注意を払わなければならない。投薬装置の使用に際し、ユーザーが満足できるレベルの安全性を確保するのを補助するため、従来型の英数字タイプの処方記載に加え、カートリッジのマーキングが導入された。情報アイテムは、カートリッジの内容物に関する情報に加え、カートリッジの種類、出口寸法、或いは投薬手順に関するその他の情報に関する技術データを保持することができる。
【0003】
US-A-5,954,700は、電子投薬装置に使用される、流体を収容するカートリッジを開示している。この投薬装置は、流体を保持するカートリッジハウジングと、情報供給源を有している。この情報供給源は、バイナリ-コードを生成することにより、電子投薬装置に所定の情報を提供する接点又は接触帯とワイアーとの組である。
EP 0 911859 A1、EP 0 690 457 A2及びUS 6 265 466 B1は、別の種類の透明な導体を開示している。
【0004】
WO 00/42678は、無線周波の識別機能と組み合わせた透明な静電電極と透明な導電部材の使用法を開示している。これらの電極は、電子監視システム内で使用され、マーキングされた対象物が固定点を通過したか否かを識別することが出来る。この種のマーキングは、自動処理作業の一環として医療用の容器に対して用いられる。この方法は、マーキング対象物に必要なチップが比較的高価であること、或いはそうでない場合も容器の内容物や有効期限などに関する情報を提供せず、象物がある位置を通過したかどうかが識別されるにすぎないという欠点を有している。
典型的なトラブルとして、投薬カートリッジから薬剤がこぼれ、化学反応によってカートリッジ上のコード情報の光学的又は電子的読み取り性能が低下する可能性がある。このようなコードの僅かな劣化に際し、エラーに強く、コード情報の解釈にエラーの介入を許さないマーキング法が必要とされる。
【0005】
WO 02/13133は、電子的に読み取り可能な情報アイテムをカートリッジ上に提供する方法、及びこの情報を電子回路に転送する方法を開示している。カートリッジのマーキングは、導電構造/パターンの形でカートリッジの表面に提供される。このパターンは、それぞれが1個の情報を含む符号化エレメントである複数のエリアに分割される。マーキングはペン型インスリン注入器、又はインスリン・ポンプ等の投薬装置内に設けられたセンサ/接点アレーによって検知可能である。
好適な一実施形態において、マーキングはカートリッジのラベル上に配置される。このようなラベルは、継続使用型の投薬システムのカートリッジに見られ、使用済みで空になったカートリッジは新しいカートリッジに次々に交換される。本ラベルはカートリッジの最も外側の表面に設けられるので、検知用の接触電極アレーとの結合に適している。本ラベルは、製造年月日や有効期限の他に、薬剤の種類や濃度等、患者や介護者に対する印字テキスト情報を含んでいる。然しながら、多くの場合、必要な情報に関する規制のため、ラベルの大半はテキストで占められてしまう。
【0006】
導電構造がラベルのテキストの上部に設けられている場合、印字テキストを読む際に困難を伴う場合がある。後述する理由により、ラベルの大きさを増やすことは不可能である。従って、マーキングはカートリッジ表面の狭い領域、出来ればカートリッジのピストン周辺に限定する必要がある。換言すると、増大する情報に対処するために投薬カートリッジの一定エリアを確保しておく必要がある。
操作エラーを避け、且つ操作を快適にする他の方法は、投薬カートリッジ内の薬剤を外部から見えるようにして、患者が薬剤の色や均一性、不純物が含まれていないか等をチェックできるようにすることである。このために、投薬用カートリッジの表面は、患者の視界を薬剤から遮る金属導体などの不透明な部材の使用を避けて、出来るだけ広く開放されているべきである。
【0007】
更に、投薬デバイスを含む電子装置は、持ち運びが便利で使用を目立たなくするため一般に小型化される傾向にある。
投薬デバイスにおいては、情報伝達エリアをエラーなしに読取ることができることが重要である。情報伝達エリアの大きさは限定されているので、マーキングの情報密度が増大し、よってマーキングと接点アレー間の結合に機械的精度が益々必要とされている。これらの要求を大量生産されるカートリッジ、カープル、又はパッケージに求めることは難しい。
従って、カートリッジ、カープル、又はパッケージの目視検査が可能で、必須のテキストを読むことのできる電子的に読み取り可能なマーキングの必要性が生ずる。この場合、マーキングエリアが十分に広いので、容器の向き及びセンサの精度という二つの課題を共に解決できる。
【0008】
発明の開示
従って、本発明の目的は媒体に対するマーキング方法の改善である。
【0009】
本発明は、カートリッジ、カープル、ラベル、又はあらゆる種類のパッケージ等の媒体に対して、内容物の目視検査と自動識別の双方を可能にする新しいマーキング方法を提供する。本発明においては、透明な導電性部材を使用して、狭い導電エリア及び/又は狭い非導電エリアから構成されるパターンを形成し、このパターンは、例えば、薬剤の種類、濃度、有効期限等、あらゆる所望の情報をも含むことができる。
透明、透過的、透過性という用語は、光のスペクトルの一領域においてマーキングを透して見ることが出来ることを意味する。マーキングが透過的である光の帯域は可視光帯であることが好ましい。或いは、マーキングは、UV及び/又はIR帯において透過性及び/又は非透過性であることも可能である。
【0010】
ここでは、必須テキストと内容物の目視検査エリアを有するどのようなパッケージに対しても貼付可能であって、更に、検知用の広い接触電極エリアを持つラベルが提供される。
内容物の目視検査を制限すること無く、又はテキストの読み取りの障害となること無く、電子的に読み取り可能なエリアを新たに増大できるようになったことにより、読み取り装置の感度及び精度はもはや従来と同じでなくともよい。従って、より廉価な検知装置を使用して、従来と同じ程度の安全性が維持できる。
【0011】
更に、カートリッジの方向は、センサアレー方向を指す以前の狭い情報エリアにもはや限定されない。今や、カートリッジ、カープル又はパッケージの全面に情報を印刷したいと思えばそれは可能であり、容器の方向性にも何の制限も存在しない。
このことは、前記情報アイテムを冗長的に提供する本発明によって達成可能である。このようにして、各応用分野に応じてカスタマイズでき、多くの方式によって実施可能な非常に単純なマーキング方法が提供される。
【0012】
本明細書において、「カートリッジ」という用語は、手で操作できる大きさと重量を有し、液体、粉末、又はその他の物質を保持するための容器を意味する。例えば、カートリッジは、病気の自己治療に用いられる薬剤注入システムに使用される薬剤を含むカートリッジである。カートリッジ内の薬剤は、例えば、ペン型注入器に用いられる糖尿病治療のためのインスリンである。
「カープル」という用語は、医薬品に使用される特殊な形のカートリッジである。
【0013】
好適な実施形態において、前記情報アイテムは正負のバイナリ形式で少なくとも一度提供される。
本明細書において、「冗長性を有する正負のバイナリ形式で提供される」という表現は、情報がバイナリ表示(例えば、100110)に直接翻訳可能な方法で提供されること、及び同じ情報アイテムがその正(例えば100110)及び逆値(011001)形式で提供され、電子的読み取りコードの正規性を検証する為に使用できる冗長性を与えていることを意味する。即ち、例えば、一つ又は複数の逆転ビット(と思われるもの)が正表示の対応するビットに等しい場合、何らかのエラーが存在する。このチェック方法は問題となる情報アイテムの解釈において安全性を高める。このことは、例えば、容器が病気の自己治療に関する医療用に使用される場合、極めて重要である。
【0014】
上述の冗長性とは別に、各情報アイテム(正負のバイナリ形式)は、パリティチェック用の保存ビット、CRC(巡回冗長検査)等の標準的なエラー検出処理、及び/又は、エラー修正処理の対象となる。
各情報ビットの状態に対応する絶縁エリアと導電エリアを形成することによって、前記情報アイテムをバイナリ形式でカートリッジ表面の所定の位置に提供することにより、非常に単純、柔軟、且つ、廉価な方法を実現できる。
【0015】
前記薬用カートリッジが回転対称軸を有する場合、カートリッジの回転方向と無関係な読み取り手段が確保される。この事により、患者は、対称軸に垂直なカートリッジ表面の周縁と定義される円周方向(以下「周方向」と呼ぶ)の正規な位置を気にする必要がないので、薬剤注入デバイスに対するカートリッジの位置決めが容易になる。
前記電気的絶縁エリア又は導電エリアが前記対称軸の回りを全面的又は部分的に取り囲み、二つ以上の情報伝達エリアが画定されており、各情報伝達エリアが正負のバイナリ形式の情報アイテムを前記カートリッジ上に有する場合、カートリッジの周方向とは無関係に情報が読み出される。
【0016】
前記電気的絶縁エリア又は導電エリアが、前記対称軸方向に延びる一つ又は複数の長軸エリア内に配置され、各長軸エリアが前記カートリッジの外周の一部だけを占め、よって二つ以上の情報伝達エリアが画定され、各情報伝達エリアが前記情報アイテムを正負のバイナリ形式で前記カートリッジ上に有する場合、情報伝達エリアは均等にカートリッジの円周方向に配置され、これによりカートリッジの周方向と無関係に、或いは略無関係に情報の読み取りを行うことができる。
前記カートリッジ上に設けられた導電ホイル上の所定の位置に前記電気的絶縁エリアを配置することにより何らかのバイナリ形式で前記情報アイテムが得られる場合、電子読み取り可能な情報アイテムをカートリッジに付加するための非常に簡便な方法が提供される。この方法は大量生産に向いている。
【0017】
デジタル処理回路のロジックレベルの供給電圧に相当する電圧を前記導電ホイルに印加し、ホイル上の所定の各点をデジタル処理回路入力に電気的に接続することによって、前記情報アイテムを読み取る場合、応用分野別にカスタマイズされ、様々な形態で提供される、非常に簡便で廉価な方法が提供できる。又、追加コンポーネントや他のカスタマイズされた結線をカートリッジ上に要せずに、特定の情報アイテムを規定し、これを電子的に読み取ることが出来るという利点も有する。
前記デジタル処理回路への入力にプルアップ回路又はプルダウン回路を設け、これにより前記デジタル処理回路のロジックレベルの供給電圧が導電ホイルに印加される場合、単純で製造容易なスキームが構築できる。
【0018】
前記デジタル処理回路への入力にプルアップ回路又はプルダウン回路を選択的に設けることができ、これにより前記デジタル処理回路のロジックレベルの供給電圧が導電ホイルに選択的に印加でき、前記選択が前記デジタル処理ユニットによって制御できる場合、問題となる情報アイテムの誤読の可能性が減少する。
カートリッジ上の二つ以上の情報伝達エリアから得られる冗長性を有する情報が、カートリッジの支持具を介して処理回路に接続された接触エリアに転送され、この支持具が少なくとも部分的に二つ以上の電気的接続用支持部から構成されており、各支持部が絶縁部材の中に埋め込まれた相互に絶縁された近接する多数の導体を有し、この導体が、カートリッジの支持面の一つから接触エリアに伸びて、前記処理回路と情報を送受信する構成において、前記カートリッジが前記支持部に置かれる場合、カートリッジを支えると同時に、次の処理のため情報をカートリッジから接触エリアに送る柔軟な方法が導入できる。
【0019】
前記二つ以上の電気的接続用支持部のそれぞれが、最大厚Tclの導電部材と最大厚Tilの電気絶縁部材の交互層によって構成されている場合、高密度情報の転送にうまく適応する方法が確保される。層厚の寸法と対応する接触エリア及び情報伝達エリアの寸法を制御することにより、情報密度を制御することができる。即ち、層厚を小さくすることにより、情報密度が増大する。広いコードエリアを使用できる透明な導体を使用することにより、従来型の導体に比べ厚さを飛躍的に増大することができる。これにより、より安い支持具の製造が可能となるか、或いはその検証精度を向上させることができる。
前記交互層が弾性材料から作られている場合、支持具にカートリッジを所定の最低圧力を使って置くと、電気的接続用支持具はカートリッジの形状に一致する。即ち、この事は支持具の柔軟性を増大させ、カートリッジ及び接触エリア(例えば、プリント基板(PCB)上の処理回路に接続するためPCB上に設けるパッド)との一致性の許容差を改善する。
【0020】
本発明は、更に、電子読み取り可能な情報アイテムを含む情報提供源を有する薬用カートリッジを提供する。カートリッジ表面の所定の位置に情報の各ビット状態に対応した前記電気的絶縁エリア及び導電エリアを適用することにより、前記情報アイテムを冗長的に少なくとも一度適用すると、簡単な方法で埋め込まれた電子読み取りを可能とする情報アイテムを含むカートリッジが提供される。このカートリッジは、例えば、自己治療用の薬剤注入システムのような情報の転送時に高度の安全性を必要とするシステムの部品として最適である。
前記情報アイテムがカートリッジ表面に設けられた自己接着型のキャリヤ上に形成されると、カートリッジに情報アイテムを提供するための簡便な手段が提供できる。
【0021】
好適な実施形態において、前記カートリッジは回転対称軸を有している。
好適な実施例において、前記情報アイテムを正負のバイナリ形式で含む情報伝達エリアはそれぞれ、前記カートリッジの前記対称軸の方向に並んで配置される。
【0022】
好適な実施形態において、前記情報アイテムを正負のバイナリ形式で含む情報伝達エリアはそれぞれ、前記カートリッジの前記対称軸の円周方向に並んで配置される。
好適な実施形態において、情報伝達エリアは定形か、又は大小のエリアの組み合わせである。エリアの組み合わせ、例えば、二つの小さいエリアの後に一つの大きなエリアが続く組み合わせは、この場合例えば濃度を符号化する(図9参照)。エリアと情報の組み合わせは殆んど無限なので符号化に適した方法である。
【0023】
正負形式の前記情報アイテムを有する情報伝達エリアがそれぞれ前記カートリッジの前記対称軸の円周方向に交互に多数回出現する場合、同一の情報アイテムが冗長的に繰返し提供され、読み取り処理を容易にすることができる。更に、回転対称性が導入されている場合、カートリッジの回転方向と無関係に読み取りが可能である。
前記カートリッジ上に位置する導電性ホイルの表面の所定の位置に絶縁エリアを設定することによって前記情報アイテムがバイナリ形式で与えられ、前記所定の位置に設けられた絶縁エリアが一つの所定のバイナリ状態を表現し、且つ所定の位置に設けられた導電エリアがこれらの補数バイナリ状態を表現する場合、カートリッジから処理手段まで情報アイテムを電気的に転送するための、単純で柔軟性を有する経済的な構成が得られる。
【0024】
カートリッジ上に前記電子的に読み取り可能な情報アイテムが光学的に読み取り可能な方式で与えられている場合、電子読み取り用にカートリッジ上に置かれた情報アイテムは、ユーザー及び/又は光学スキャナーによって直接的に読取ることも出来る。随意で、本マーキングは可視光領域で透過性を有し、且つ紫外線(UV)又は赤外線(IR)領域で反応する部材を使用して実施することも可能である。これにより光学的に読み取り可能な透明なマーキングが可能となる。
更に、電子的に読み取り可能な情報アイテムを有する薬用カートリッジのための支持具を提供する。前記カートリッジ上の所定の位置に各情報ビットの状態に対応する絶縁エリアと導電エリアを含む少なくとも二つの情報伝達エリアを形成することよって、前記情報アイテムが少なくとも一度冗長的に提供され、且つ、前記カートリッジのための前記支持具が少なくとも部分的に二つ以上の電気接続用支持部によって構成され、各支持部が、カートリッジの支持面の一つから接触エリアまで伸びている絶縁材の中に埋め込まれて相互に絶縁された多数の近接する導体を有し、それによって処理回路と情報の送受信を行う場合、前記支持具に前記カートリッジを配置すると、カートリッジ上の情報アイテムが、カートリッジの特定の実施形態及びそれが部品として含まれる物理的デバイスに応じて調整可能な「アダプタ」を介して電子回路に転送される。
【0025】
前記二つ以上の電気接続用支持部の各々が最大厚Tclの導電層及び最大厚Tilの絶縁層の交互層によって構成されている場合、簡便な解決法が提供される。この二種類の層の厚さを制御することにより、情報の最大密度を制御できる。
前記カートリッジが回転対称軸を有し、且つ前記接触エリアが、同一で規則的な間隔で隣接するパッドの方向に並ぶ幅Wcpの導電パッド群で構成され、この隣接パッドが幅Diacpの絶縁エリアによって隔てられ、前記距離の間に次式、即ち
Diacp>2*Tcl、及び
Wcp>Til+Tcl
の関係が成立する場合、(境界を接して)隣接する所定の位置の電気的状態は同一パッドに転送されず(Diacp>2*Tcl)、且つ少なくとも一つの導電層はいずれかパッドに接触する(Wcp>Til+Tcl)。
【0026】
前記カートリッジが回転対称軸を有し、且つ、前記カートリッジが、前記対称軸の円周方向に、高さHicaを有し、大きさが同一で、互いに平行な多数の方形情報伝達エリアを有し、前記情報伝達エリアが前記対称軸の円周方向にカートリッジの外周に沿って相互に等間隔Dicaで隔てられており、且つ前記支持手段が、カートリッジの対称軸に垂直な方向に、高さHctmを有し、互いに平行な二つの同一な方形電気接続用支持部を有し、この二つの電気接続用支持部が幅Dctmの絶縁体で分離されており、更に、前記距離の間に次式の関係、即ち
Hica<Dctm<2*Hica+Dica、及び
Hctm<Dica<2*Hctm+Dctm
が成立する場合、カートリッジの配置位置とは無関係に、任意の情報伝達エリアが二つの電気接続用支持部と同時に接触することが完全に回避される(Hica<Dctm)。更に、カートリッジの配置位置とは無関係に、任意の電気接続用支持部が二つの情報伝達エリアと同時に接触することが完全に回避される(Hctm<Dica)。更に、カートリッジの配置位置とは無関係に、電気接続用支持部が二つの情報伝達エリアの間に完全に入ってしまうことにより、カートリッジの情報伝達エリアのいずれとも接触しないという事態が完全に回避される(Dica<2*Hctm+Dctm)。更に、カートリッジの配置位置とは無関係に、二つの隣接する情報伝達エリアが電気接続用支持部的の間に完全に入ってしまうことにより、電気接続用支持部がカートリッジの情報伝達エリアのいずれとも接点を持たないという事態が完全に回避される(Dctm<2*Hica+Dica)。
高さHicaの前記情報伝達エリアの各々が、前記情報アイテムのバイナリ表現にしたがって前記カートリッジの前記所定の位置に配置された方形の導電パッチと絶縁パッチから構成され、前記パッチが幅Wpdaを有して互いに境界を接し、且つ前記電気接続用支持部を構成する導電部材と絶縁部材の前記交互層の最大厚TclとTilの合計が前記パッチの幅Wpdaよりも小さく、よって、前記距離間に次式の関係、即ち
Wpda>Til+Tcl
が成立する場合、カートリッジが支持具の正規の位置にある場合は各パッチが電気接続用支持部の導電層の少なくとも一つと確実に接触する。
【0027】
以下に、添付図面を参照しながら好適な実施形態に関連して本発明を詳細に説明する。
添付図面は概略的なものであり、簡明さのために単純化されており、本発明の理解に必須な細部だけを示し、他の細部を省略している。一般に、添付図面における参照番号は該当図面の図面番号から始まっている。即ち、図1においては、参照番号は通常その最大桁に1を有している(例えば、1,11,102)。換言すると、これは、同一の機能特性であっても異なった図面においては異なった参照番号を有することを意味する。
【実施例】
【0028】
実施形態の詳細な説明
本発明は、例えばマトリックス形式の透明な導電パターンを有する、カートリッジ、カープル、ラベル、又は、パッケージなどの媒体に対するマーキングに関する。このパターンは、任意の種類の情報を含む複数のサブユニットを有し、例えば一又は複数の接触電極の形態のセンサアレーを使って読み取ることが出来る。測定はガルバニック法により行うことが可能であるが、これに限定されるものではない。
ガルバニック法は、容易で、検知装置が安価であり、読み取りエラーが少ないという利点を有する。
【0029】
様々の方法を用いて物品にパターンをマーキングすることが出来る。一つの方法は、容器の最表層として導電パターンを直接印刷することである。
別の方法は、透明な導電パターンをラベル上に印刷することであり、このラベルは透明であっても、透明でなくとも良い。ラベルが非透明である場合、必ずしも必須ではないが、ラベルには最初に必須テキストを印刷し、その後透明なパターンをマーキングする。透明なラベルの場合、必ずしも必須ではないが、ラベルは最表層ラベルとして用いられ、随意で必須テキストが印刷された別のラベルの上に貼り付ける。導体は透明であるので、物品の目視検査が可能であるように、マーキングを透してどのようなテキストも読むことができる。
【0030】
随意で、人間や機器によって生じる使用中の摩擦や一般的な接触に対する耐性を向上させるように、透明な導電パターンを設計することも出来る。
本発明により、物品の内容の符号化に適したエレメントのパターンを形成する透明な導体でマーキングされたカートリッジ、カープル、又はパッケージが提供される。
【0031】
更に、本発明は、物品の内容の符号化に適したエレメントのパターンを形成する透明な導体でマーキングされたラベルを有するカートリッジ、カープル、又はパッケージを提供する。
透明な導電パターンは、透過性導電ポリマー、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンデスルホン酸塩(PEDOT−PSS)、α―BEDO−TFF2I3,β−BEDO−TFF2I3,BEDO−TFF2.4I3などの臭素塩、又はbis(エチレンジオキシ)テトラチアフルベレン(BEDO−TFF)―ヨウ素のネットワークを有するポリマー;随意で一つ又は複数の銀薄膜を混合した酸化インジウム錫(ITO)の薄膜を有する。更に、透明性導電パターンは、ポリマー結合剤に拡散した導電性のナノチューブを含むことができ、プロトン処理されたポリアニン同様、1〜100nmの大きさを持つ貴金属粒子が、ポリマー結合剤に含まれる。
【0032】
別の実施形態では、本パターンは、透明な導電性のフィルム/コーティングを形成し、次いでこのフィルム/コーティング領域を導電層を破壊できる薬剤でエッチングすることによって形成することができる。エッチング剤は、特に限定されないが、酸と酸化剤の混合、例えば、塩酸とCuCl2の組み合わせである。
したがって、本発明は、情報の保存に適するエレメントを有する透明な導体の製造方法も提供し、本方法は、
透明な導体を有する表面の少なくとも一部分をコーティングするステップ、及び
エッチングによってパターン化するステップ
を有する。
【0033】
随意で、エッチングの前に透明導体にレジストを施し、その後、アルカリ溶剤、好ましくは強めのアルカリ溶剤等の洗浄剤でこのレジストを除去する。
好適には、パターン化の結果、透明導体の表面が導電領域と非導電領域に分割される。
随意で、エッチング剤の代わりに、透明導体の所定の領域を除去するレーザを使用することもできる。
【0034】
本発明は、カートリッジ、カープル等の医療用容器をマーキングするのに特に有用である。本発明は、安価でそれ程精度の高くないデバイスを用いて、アイテム内容を自動的にチェックすることが出来、且つ、同時にアイテム内容の目視検査も可能である。
導電エリアと非導電エリアのほぼ無制限な組み合わせに情報を保存することができる。本発明は後述の方法に限定されるものではなく、これらは例示のみを目的とする。
【0035】
図1a〜図1fは、読み取り可能な電子情報をカートリッジ上に保持する情報伝達エリアの様々な配置方法を示す。図1a〜図1dでは、カートリッジの一方の軸端、好ましくは蓋の近くに情報伝達エリアが偏在しており、一方図1e及び図1fでは、情報伝達エリアはカートリッジの周方向の限られた区域に偏在し、カートリッジの全長に亘っている。説明を明瞭にするためだけに限られた区域に図示したのであり、情報エリアはカートリッジの全表面に配置されてもよい。
図1a〜図1dには、回転対称軸11を有するカートリッジ10と、カートリッジの一方の軸端に配置された情報エリアを示す。
【0036】
図1aには、カートリッジ表面の周方向に(即ち、対称軸に垂直に外周に沿って)並んで配置された二つの情報伝達エリア101、102を示す。各情報伝達エリアは表面の周方向に限られた区域を占める。
図1bには、カートリッジ表面の軸方向に(即ち、対称軸と平行に外周に沿って)並んで配置された二つの情報伝達エリア103、104を示す。各情報伝達エリアは表面の周方向に限られた区域を占める。
【0037】
図1cには、カートリッジ表面の軸方向に(即ち、対称軸と平行に外周に沿って)並んで配置された二つの情報伝達エリア105、106示す。各情報伝達エリアはカートリッジの全円周を取り巻いている。
図1a〜図1cの各図には、二つの情報伝達エリアが並んで示されているが、同様に、複数の情報伝達エリアを軸方向又は周方向に並列に配置することも可能である。
図1dには、カートリッジ表面の周方向に(即ち、対称軸に垂直に外周に沿って)並んで均等に配置された情報伝達エリア110、111、112、113、114を示す。各情報伝達エリアは表面の周方向に限られた区域を占める。情報伝達エリア110、111、112、113,114の他に、図面の隠れた部分には同一の情報伝達エリアがカートリッジ表面の周方向に均等に、即ち、カートリッジの軸方向を取り囲む全外周に亘って配置されている。
【0038】
図1eと図1fには、回転対称軸11を有するカートリッジ10と、カートリッジの限られた中心角を有する扇状断面121の表面エリア120に偏在する情報伝達エリアを示す。
図1eには、軸方向に並び、カートリッジの軸長方向のほぼ全域に亘る情報伝達エリア115と116を示す。これらの情報伝達エリアは、中心角を有する扇状断面121に該当する表面エリア120内に配置されている。
【0039】
図1fには、周方向に並び、カートリッジの軸長方向のほぼ全域に亘る情報伝達エリア117と118を示す。これらの情報伝達エリアは、中心角を有する扇状断面121に該当する表面エリア120内に配置されている。
図1e及び図1fにおいては、二つの情報伝達エリアが表面エリア120内に示されている。然しながら、同様に複数の情報伝達エリアを軸方向又は周方向に並べて配置することも可能である。
【0040】
図2a〜図2eには、情報アイテムを正負のバイナリ形式で表現する導電エリアと絶縁エリアとを、情報伝達エリア内の所定の位置に配置する種々の方法を示す。
図2a〜図2eの各図には、正負のバイナリ形式で表現した情報アイテムを有する二つの情報伝達エリアを概略的に示す。各情報伝達エリアは方形であり、その最長の辺を縦方向と定義する。又、特定のビット情報を含み、隣接し合う二つの所定の位置の間にある面に垂直な方向によって一方向を定義する。
【0041】
図2aには、隣接する所定の位置によって定義される方向205に垂直に並んで配置された二つの情報伝達エリア20、21を有する実施形態を示す。各情報ビットは、情報伝達エリアの所定の特定位置に配置された、導電部材211(白)、又は絶縁部材201(斜線)のパッチとして実施されている。隣接するパッチは互いに境界を接している。この情報伝達エリア20、21の構成は、例えば図1a、図1d、及び図1fに使用出来る。
図2bには、隣接する所定の位置によって定義される方向225に垂直に並んで配置された二つの情報伝達エリア22、23を有する実施形態を示す。各情報ビットは、情報伝達エリアの所定の特定位置に配置された、導電部材231(白)、又は絶縁部材221(斜線)のパッチとして実施されている。隣接するパッチは、情報伝達パッチ221、231のそれぞれと同じ幅の「空き」スペース220、230によって隔てられている。「空き」スペースは導電層、又は絶縁層から構成される場合もある(PCB(図7の763、764参照)上のパッドの配置がこれに対応する場合)。情報伝達エリア22、23の構造は、例えば、図1a、図1d、及び図1fに使用できる。
【0042】
図2cには、隣接する所定の位置によって定義される方向245に並んで配置された二つの情報伝達エリア24、25を有する実施形態を示す。各情報ビットは、情報伝達エリアの所定の特定位置に配置された、導電部材251(白)、又は絶縁部材241(斜線)のパッチとして実施されている。隣接するパッチは互いに境界を接している。この情報伝達エリア24、25の構成は、例えば図1a、図1d、及び図1fに使用出来る。
図2dには、隣接する所定の位置によって定義される方向265に並んで配置された二つの情報伝達エリア26、27を有する実施形態を示す。各情報ビットは、情報伝達エリアの所定の特定位置に配置された、導電部材262、271(白)、又は絶縁部材261、272(斜線)のパッチとして実施されている。隣接するパッチは互いに境界を接している。この情報伝達エリア26、27の構成は、例えば図1b、図1c、及び図1eに使用出来る。
図2eには、隣接する所定の位置によって定義される方向285に垂直に並んで配置された二つの情報伝達エリア28、29を有する実施形態を示す。各情報ビットは、情報伝達エリアの所定の特定位置に配置された、導電部材291(白)、又は絶縁部材281(斜線)のパッチとして実施されている。隣接するパッチは互いに境界を接している。この情報伝達エリア28、29の構成は、例えば図1b、図1c、及び図1eに使用出来る。
【0043】
図3a及び図3bには、所定の位置に導電エリアと絶縁エリアを有する多数の情報伝達エリアを備えた本発明のラベルを示す。
図3aには、情報伝達エリア310、320、330、340、350、360、370を有するキャリヤホイル31から構成される自己接着型ラベル30を示す。各情報伝達エリアは、正負のバイナリ形式の情報アイテムを有している。各情報伝達エリアは方形の導電性基板から構成され、この基板の所定の位置に方形の絶縁パッチ層312、332、352、372(斜線)が付加される。正負の形式がキャリヤの周方向に沿って交互に現われる。情報伝達エリア340の情報のバイナリ表現は、例えば、対応するビット342、352によってそれぞれ示されているように、情報伝達エリア350の逆であり、互いに逆転している(342は空白で示されて導電パッチを表し、352は斜線で示され、電気的絶縁体パッチを表す)。各情報伝達エリア310、320、330、340、350、360、370内の所定の位置311、321、331、341、351、361、371は、電源電圧を印加するためにそれぞれ確保されている。
図3bには、情報伝達エリア315、325、335、345、355、365、375を有する導電性キャリヤホイル36から構成される自己接着型ラベル35の好適な実施形態を示し、各情報伝達エリアは正負のバイナリ形式で情報アイテムを含む。各情報伝達エリアは、所定の位置に付加された導電性の方形パッチ357、366(白)及び電気的絶縁体の方形パッチ356、367(斜線)から構成される。全ての所定の位置は、エリア355とエリア365に対してだけ示し、各導電パッチ(導電性ホイル上の所定の「空き」位置に相当する)は破線の境界線で示す。他の情報伝達エリアについては、絶縁パッチだけを特に示す。正負の形式がキャリヤの周方向に沿って交互に現われる。情報伝達エリア355内の情報のバイナリ表現は、例えば、対応するビット(356、366)及び(357、367)によりそれぞれ示されるように、情報伝達エリア365と逆であり、互いに逆転している。電源電圧を印加するため、ホイルの所定のエリア37が確保されている。
【0044】
図4に、電子的に読み取り可能な情報を含んだラベルを有するカートリッジと、カートリッジを支え、カートリッジからの情報を電子回路に転送するための支持具を示す。
図4はペン型注射器用の置換可能なカートリッジ40を示す。このカートリッジは回転対称性43を有している。カートリッジの一方の軸端の表面位置に配置される前のラベル41が示されている。ラベルは情報伝達エリア410、411、412、413、414、415を有する自己接着型キャリヤ42から構成され、各情報伝達エリアは所定の位置に配置された絶縁性パッチ4152(暗灰色)を有する導電性ホイル4151(明灰色)の帯から構成される。図2b及び図3a参照。
図4には、対称軸に垂直なカートリッジの断面に対応する、カートリッジを受入れる支持具46の断面図と、カートリッジの軸方向に対応する支持具46の受入れ面45の平面図も示されている。支持具46は、電気的絶縁体463によって隔てられた二つの電気接続用支持部461、462から構成されている。同一の情報伝達エリア451及び452により例示した「平面図」に示すように、電気接続用支持部461、462は、導電性のシリコンラバーと絶縁性のシリコンラバーの交互層から構成されている。カートリッジ上の情報伝達エリアの所定の位置4152(絶縁層又は導電層を有する)を受入れるために設計されているエリア、例えば454、457は、暗灰色に塗りつぶされており、他方空白のエリア、例えば455、466は、情報ビットを含む所定の位置間の「空スペース」に該当する(図2bの230参照)。絶縁体463の「平面」断面に対応する絶縁性エリア453の寸法は、カートリッジ上の情報伝達エリアの形状に適合するように設計され、これによって、カートリッジを支持具上に配置する際、カートリッジの周方向とは無関係に、隣接する二つの情報伝達エリアが支持具によって受け入れられる。これに関しては図6を参照して詳述する。
【0045】
図5a〜図5cには、本発明による電気接続用支持具の種々の寸法が示されている。
図5a〜図5cの共通点は、層厚が情報伝達エリアのパッチ51の寸法、及びPCB上のパッド52に比べ誇張されて示されていることである。
【0046】
図5aは、絶縁層53の厚さTil530が導電層54の厚さTcl540より大きい電気接続用支持具50の一実施形態を示す。情報伝達エリアのパッチ51は、同一の幅Wpda510を有し、互いに境界を接している。PCB上のパッド52は同一の幅Wcp520を有し、互いに距離Diacp521を置いて等間隔に配置されている。
図5bは、絶縁層53の厚さTilが導電層54の厚さTclよりも小さい電気接続用支持具50の一実施形態を示す。
図5cは、絶縁層53の厚さTilが導電層54厚さTclと等しい電気接続支持具50の一実施形態を示す。
【0047】
Diacp>2*Tclである場合、隣接するパッチの間の境界が「二つのパッド間の中間に相当する」位置にあると仮定すると、カートリッジ上の隣接する情報伝達パッドの電気的状態が接触エリアの同じパッドに伝達されることはない。Wcp>Til+Tclである場合、少なくとも一つの導電層がいずれかのパッドと確実に接触する。同様に、Wpda>Til+Tclである場合、カートリッジが正しく支持具に配置されると、各パッチが電気接続用支持具の導電層の少なくとも一つと確実に接触する。
図5a〜図5cでは、カートリッジ上の情報伝達パッチは境界を接するように図示されている。しかし、必ずしもその必要はない。Wpda>Til+Tclである限り、パッチの幅Wpdaとは無関係に、少なくとも一つの導電層がいずれかの情報伝達パッチに確実に接触する。
この関係はパッドとパッチ、及びパッド間の最小距離を反映し、よって所与の層厚が情報密度(ビット当たりの最小幅)を決定する。
【0048】
図6は、回転対称軸を有するカートリッジの円周に沿って設けられた多数の情報伝達エリアを二つの電気接続用支持部を使って読み取る際に関連する寸法を示す。
図6には、電気接続用支持部61、62が示されている。この支持部は、図示の位置において、情報伝達エリア630、640から情報をそれぞれ読み取り、その情報をPCB上のパッド63、64にそれぞれ転送する。同じ幅Wpda69を有する個々のパッチによって概略的に示すように、ラベル60上の情報伝達エリア610、620、630、640、650、660は、情報アイテムを正負のバイナリ形式で交互に有する。これらのパッチは導電パッチ6102(白)であるか、又は絶縁パッチ6101(斜線)である。
【0049】
本発明によれば、カートリッジ上に配置される情報伝達エリアとカートリッジの支持具である電気接続用支持部61、62との間には次式のような寸法の関係があることが好ましい。
Hica<Dctm<2*Hica+Dica、及び
Hctm<Dica<2*Hctm+Dctm
此処で、
Hica=情報伝達エリアの高さ67
Dica=情報伝達エリア間の距離68
Hctm=電気接続用支持具の高さ65
Dctm=電気接続用支持具間の距離66
【0050】
Hctm<Dicaの場合、カートリッジの配置位置とは無関係に、所与の情報伝達エリアが二つの電気接続用支持具と同時に接触することが完全に回避される。
Hctm<Dicaの場合、カートリッジの配置位置とは無関係に、所与の電気接続用支持具が二つの情報伝達エリアと同時に接触することが完全に回避される。
【0051】
Dica<2*Hctm+Dctmの場合、カートリッジの配置位置とは無関係に、電気接続支持具が二つの情報伝達エリアの間に完全に入り込み、そのためにカートリッジ上のいずれの情報伝達エリアとも接触しないという事態が完全に回避される。
Dctm<2*Hica+Dicaの場合、カートリッジの配置位置とは無関係に、二つの隣接する情報伝達エリアが電気接続用支持部の間に完全に入り込み、そのために電気接続用支持具がカートリッジ上のいずれの情報伝達エリアとも接触しないという事態が完全に回避される。
【0052】
好適な実施形態においては、Dctm+Hctm=Dica+Hicaの関係が(前述のDctm、Hctm、Dica、Hicaの関係に加えて)成立することにより、支持具内のカートリッジの周方向とは無関係に、電気接続用支持部61、62が確実に二つの情報伝達エリアと接触する。
【0053】
図7に、カートリッジの軸方向にパッチのパターンの形式で配置された、本発明の電子的に読み取り可能な情報を含むカートリッジと、情報を電子回路に転送するための二つの電気接続用支持部を有する支持具を示す。
本発明の支持具は、情報伝達エリアを有するカートリッジの一部を受入れて機械的に保持する機能と、情報伝達エリアから情報を次の処理のため電子回路に転送するという複合機能を有している。
【0054】
図7では、カートリッジ右側の「波線」に示すように、カートリッジ70の一部のみを示す。カートリッジは、対称軸を象徴する矢印71で示す回転対称性を有する。カートリッジの軸方向に配置された情報伝達エリアを含むラベル72は、カートリッジの一方の軸端の外表面に配置されており、場合によってはピストン形式の蓋73によりカートリッジを閉鎖する(例えば、カートリッジが投薬装置用の交換可能な薬剤カートリッジである場合)。
ラベル72は、カートリッジの軸方向に伸びる情報伝達エリア712〜727を有する導電性ホイル720を有する。図7において、多数の情報伝達エリア(712−727と図面では見えない位置の表面に位置するエリア)がカートリッジ表面上の周方向に均等に配置されている(即ち、カートリッジの軸方向を取り囲む全周囲に亘って)。従って、導電パッチ7250、7260、7261及び絶縁パッチ7251のパターンから構成される各情報伝達エリアは、カートリッジ表面の周方向に限定された区域を占めるだけである。図7の実施形態において、導電「端部」パッチ7250、7260は、電源電圧を接続するために使用される。
【0055】
各情報伝達エリアは、導電エリアと絶縁エリアのパターン形式で情報アイテムを有している。各パターンはバイナリ形式で情報アイテムを表現する。各情報ビットは、情報伝達エリアの所定の位置における電気的特性層によって表現される。つまり、所定の位置のバイナリ1はこの所定の位置を占める導電層によって表され、所定の位置のバイナリ0は、この所定の位置を占める電気的絶縁層によって表される。逆に、バイナリ1が絶縁層によって表され、バイナリ0が導電層によって表される場合もある。
情報伝達エリアを含むホイル720は、導電性であるので、バイナリ状態の一方(本実施形態においては「0」)を表す所定の位置に電気的絶縁層(例えば、塗料)を適用するだけで良い。
【0056】
図7において、カートリッジは支持具75の真上に示されている。支持具は、説明を明瞭にするため、電子コンポーネントを有するPCBと接続ワイアー76の真上に示されている。プリント配線は、処理ユニット761、即ちマイクロプロセッサへの矢印762によって象徴的に示される電気接続を有するパッド763、764を備える。支持具は、電気的絶縁体755に埋め込まれた一つ又は複数の電気接続用支持部751、752から構成されている。電気接続用支持部は、弾性部材、例えば、導電性のために十分なカーボンブラック濃度を有する導電層を有するシリコン・ラバーからなる電気的導電層7511と電気的絶縁層7512との交互層から構成されている。各導電層は、他の全ての導電層から電気的に絶縁され、その結果、各導電層は実質的にひとつの絶縁された導体を表す。これらの層厚を制御することにより、軸方向の最大「情報密度」も制御することが出来る。
図7の実施形態に示すように、電気接続用支持部を含む支持具は、その形状を一致させることにより、情報伝達エリアが位置するカートリッジの曲面形状の受け入れに適応している。これは、都合に応じて、支持具に非弾性部材の使用を可能にする。
【0057】
動作時には、電気接続用支持部751、752とパッド763、764間に電気的接触が確保されるように、支持具をPCB760上に置く(且つ随意で固定する)。全軸長に亘り二つの情報伝達エリア(即ち、情報ビットを表現する所与の情報伝達エリアの全パッチに関して)と電気接続用支持部間の電気的接触が確保できるように、カートリッジを支持具の上に置く。パッチ、層、及びパッドの寸法、及びカートリッジ上の隣接する情報伝達エリアと対応する電気接続用支持部間の相互距離に関しては、図5及び図6を参照して上述した。
導電ホイルに特定の電位を印加すると、この電位は導電層を含む所定のエリア(即ち、本実施形態においては、絶縁層によって覆われていない所定のエリア)からPCB上の対応するパッドに転送される。この接続回路を介して、所定の電気接続用支持部によりパッドに接続された情報伝達エリアのバイナリ状態のパターンの直接測定値が、プロセッサユニットの入力に現われる。これは、導電ホイルに印加された電位とバイナリ状態の定義に応じて、プルアップ又はプルダウン回路により入力を適切に終端することにより可能である。好適には、ホイルの特定の部分が電圧の印加のために確保される(例えば、図7の、カートリッジを取り囲むホイルのエリアで情報伝達エリアで占められていないエリア、例えば、所定の位置721−730の情報ビットによって占拠されていないホイル720の部分)。
【0058】
支持具は、対応する情報伝達エリア(例えば、図7の725)の軸長に相当する軸長を有する形態のみが示されているが、当然ながら用途に適切であれば両方の軸方向に延びていてよい。同様に、図面では特定の周方向の区域(90°未満)に亘る形態が示されているが、当然ながら適切であれば360°を含め、あらゆる周方向の区域に亘っていてよい。好適な実施形態においては、支持具の占める区域は180°未満であり、支持具内にカートリッジを直接的に「縦」置きすることが可能である(反対に360°の支持具の場合、カートリッジは軸方向に挿入しなければならない)。
図7において、情報伝達エリアを含むラベルは、カートリッジの一方の軸端に配置され、カートリッジの内部を完全に目視検査できるように、蓋/ピストンの軸方向の範囲によって占拠される空間を占めているだけである。当然ながら、ラベルは、利便性に応じてカートリッジの表面に沿ったどのような位置にも置くことが出来る。同様に、図7においては、情報伝達エリアはカートリッジの軸方向に伸びている。電気接続用支持部を含む支持具と適応している限り、利便性に応じて、情報伝達エリアは円周方向(図1及び図2に関連して上述)、或いはその間の方向(即ち、カートリッジの表面上に一つ又は複数の螺旋上に)にも延びていてもよい。
【0059】
矢印762によって概略的に示す、パッド763、764をプロセッサユニット761に接続する電気接続は、各パッドとプロセッサの対応する入力との間の一対一の平行な電気接続とすることができるが、プロセッサユニットへの必要入力数を減らす為に、マルチプレクサ又は符号化ユニットを備えてもよい。
図7の実施形態において、支持具75は二つの電気接続用支持部751、752を有し、カートリッジ上の二つの情報伝達エリアから同時に二つの情報アイテムを読み取る。図7において、均等に配置された情報伝達エリア721−730は、情報伝達エリア725、726内の導電パッチと電気的絶縁パッチで概略的に示すパターンによって示す正のバイナリ形式と負の形式の情報を交互に含んでいる。一方のパターンは他方の逆である。
【0060】
カートリッジの回転対称性は、情報伝達エリアの一つと電気接続用支持部間の電気的接続を確立するためには、周方向にカートリッジを正しく配置するだけでよい(対称軸を中心にカートリッジは僅かに回転してもよい)という利点を有する(軸方向の配置はカートリッジの受け入れ手段によって機械的に確保できるので)。正しく配置されたカートリッジの制御はプロセッサユニットが行い、必要に応じてディスプレイ又は音声を介して修正行動を要求し、カートリッジが正しく配置されていない場合はその後の装置の使用をブロックすることができる。
図7の実施形態は、更に、情報を正負のバイナリ形式で読むという利点を有し、これにより読み取り中の安全性を改善することができる。情報を正負の形式で提供する代わりに、情報アイテムの同じバイナリ表現を全ての情報伝達エリアに提供し、二度読むことができ、これも読み取りの安全性を向上させる。
【0061】
図8a−8bには、カートリッジと、弾性部材から作られた三つの電気接続用支持部を有する本発明の支持具の一実施例を示す。
図8aは、支持具80の真上に配置された回転対称軸82を有するカートリッジ81を示す。この支持具はカートリッジを受入れるための三つの独立した電気接続用支持部801、802、803を有する。カートリッジは、周方向の周囲に沿ってカートリッジ上に配置された情報伝達エリアを有し、この情報伝達エリアは電気接続用支持部の寸法に対応した間隔を有している。この電気接続用支持部間のスペースは、図示しない絶縁部材(例えばシリコンラバー)で埋めてもよい。
図8bでは、カートリッジ81は支持具80に配置され、矢印83で示す下方への僅かな圧力により固定されている。電気接続用支持部を含む支持具は、カートリッジが支持具に置かれた時に、支持具の全長に亘ってカートリッジ形状に対応できるように弾性部材から作られている。
【0062】
同時に読み出される三つの情報アイテムのデータは同一である、この場合、冗長性は読み取りの安全性を向上させる為に使用される(簡単なマジョリティテスト、又はもっと進歩したエラー修正技術によって)。
所望の情報を保存するため、随意で異なる符号化方法を使用することができる。この方法においては、情報は導体のマトリックス内に保存され、ガルバニック法によってバイナリコードに変換される。
随意で、情報に冗長性を与えるため、情報伝達マトリックスを繰返すことができ、好適には繰り返し回数は自然数であるが、それに限定されない。マトリックスを繰返すことにより、容器、カートリッジ、又はカープルの一部分だけが感知アレーと接触すれば良い。
【0063】
好適な実施形態においては、1又は複数のマトリックスは、容器、カートリッジ、又はカープルの端面から所定の距離に位置合わせされる。
随意で、マトリックスは符号化のスタート位置を指定するエレメントを含む。別の実施形態は、あらゆる符号化方法に使用可能であり、容器、カートリッジ、又は、カープルはアイテムの方向を特定する手段を有している。この手段は、随意で図15に示すようなコードトップ型とすることができる。これにより、容器、カートリッジ又はカープルの方向に対して所定の位置にマトリックスを配置することができる。アイテムの方向を決定する手段は、単独で、又は前述のように端面から所定の距離でのマトリックスの位置合わせと組み合わせて使用することが出来る。
【0064】
情報伝達マトリックスは、所定の大きさのエレメントから構成される。マトリックスの各エレメントは、導電部、非導電部、又はその両方を含むことが出来る。エレメントは随意で互いに重複してもよい。マトリックスを構成するエレメントの寸法に検知装置の寸法を調整することによって、導体がセンサとの少なくとも一つの接触ポイントを有すること、及び随意で適用された導体帯だけが所望の導体に接触することが保証される。
マトリックス内に保持される情報は、マトリックスを増やすことによって増やすことができる。これにより情報を繰返すことが可能であり、これにより読み取りエラーの可能性を減らすこと、或いはマトリックス内により多くの情報を有することが可能である。マトリックスの幅方向のセルの数を増やすことにより、表記体系を2進法から3進法に、等というように増やすことが出来る。マトリックスの高さ方向のセル数を増やすことにより、桁数を増やすことが出来る。
【0065】
上記に幾つかの好適な実施形態を示したが、本発明はこれらに限定されるものではく、請求の範囲に規定される範囲内で他の方法で実施できることを強調する。
【0066】
実施例1
カートリッジのマーキングを実施する一つの方法を以下に述べる。印刷部門が、透明なポリエステルホイルを供給業者からロールスタイルで受領する。このポリエステルは、ポリエステルホイルの裏側に透明な接着剤と保護用のキャリヤ紙が付いた状態で納入される。接着剤はポリエステル側に強力に接着しており、キャリヤ紙には弱く接着している。これにより、接着剤が付着したポリエステルをキャリヤ紙から分離した後、製品表面に貼付することが可能になる。処理ラインにおいて、スクリーン印刷やロタフレックス印刷などの適切な印刷技術によりポリエステルホイルの表面に書き込み情報と導電性ポリマーを加える。又、ポリエステルロールを切断機でカットしラベル状に切離す。このとき、ポリエステルだけを切断し、キャリヤ紙を切断しない。このようにしてキャリヤ紙上に完成した接着剤付きラベルが得られる。テキストは従来型のプリント糊で印着される。導電性の透明なポリマーは、例えば、ORGACON(登録商標)という商標名で印刷用ペースト製品を取扱うベルギーのAGFA−GEVAERT社から調達できる。このロールを次いでラベルをガラス製のカートリッジに張り付けるラベリング部門に送る。ガラス製カートリッジはラベリングの前に薬剤を充填する。
【0067】
実施例2
印刷部門は表面にテキストを印刷し、裏面に接着剤とキャリヤ紙を有するロール型のラベルを製造する。このロールを第一のロールと呼ぶ。この第一のロールは実施例1のロールと同一であるが、導電構造がこのロールには適用されていない。透明なポリエステルを素材とする第二のロールの表面は、適切なプラズマコーティング施設、例えば、ドイツ国ドレスデンのFraunhofer Institut for Electonenstrahl und Plasmatechinikにおいて見られるような酸化インジウム錫(ITO)で全面的に覆われる。この第二のロールは、フレキシブル電子配線基板の製造法として知られ、デンマーク国ラーネルスのMekoprint社及びその他多数社により製造されるような、水性エッチングにより処理される。この処理では、スクリーン印刷によって第二のロールにレジストを施し、次いで、このロールをエッチング処理する。このエッチング処理では、塩酸と塩化銅の溶液、又は他の適切な酸性及び酸化環境にレジストで覆われていない酸化インジウム錫でコーティングされた部分をエッチングし、その後強力なアルカリ性溶液でレジストを除去する。次に、接着剤と搬送用紙を第二のポリエステルロールの裏側に施す。このロールは実施例1に述べたようにして、切断機で個別のラベルにカットされる。ITO構造のパターン化の位置合わせとその後の切断は、ホイルを貫通する一連の機械的位置合わせホールによって行うことができる。これらのホールは、レジスト適用部の一部として切断され、その後ラベルの切断時にロールと切断機の位置合わせに利用できる。次いで、この第一のロールと第二のロールをラベリング部門に送る。ここでは、先ず、第一のロールのラベルを薬用カートリッジ上に貼付け、次いで第二のロールのラベルを貼り付ける。このようにして、印字テキストをラベル上に有するほぼ透明なラベルが薬用カートリッジに貼付され、更に最終カートリッジ製品の円筒形表面の最も外側に置かれる導電構造を有する透明性ラベルで覆われたカートリッジが得られる。
【0068】
実施例3
後述では、図21に示すように、カートリッジと接触アレーの円筒形表面構造の高さ及び縦方向とは、円筒部の円を描く円周に沿った軸を指し、幅及び水平方向とは、円筒形の軸方向に沿った軸を指すものとする。
カートリッジ表面のセルを、次のような寸法に定義する:
高さ=円周の1/16=π*11.2mm÷16=2.2mm
幅=7.5mm
一つのセルは一つの情報ビットを含むことができる。ビット値は、導体がセル内でどのように印刷されているかによる。図9にビット値「1」の導体の実施例を示す。図10は、ビット値「0」の実施例である。図11に示すように、16個のセルを有する三つの列がカートリッジの外周に配列されている。セルの高さを選択することにより、第1番目のセルの下部境界が実質的に16番目のセルの上部境界に配置される。
【0069】
図11に示す3×16のマトリックスは、同一の情報を縦方向に4回繰返している。全ての情報を含む最小のマトリックスは、高さ方向に4セル、幅方向に3セルを有する(図12参照)。セルは水平方向に互いに重複している。情報の繰返しにより、読み取りアレーとカートリッジの一部分が接触するだけで、符号化された情報内容の全てを読み取ることができる。図11の左から1番目の列は位置表示セルを含む。第1列内で値「1」に符号化されたセルは、前述した4×3マトリックスの最上位セルであることを示す。次の2つの列は、8ビットの情報を含む。この8ビットは、情報の誤読を検出するための冗長な情報を含むことができる。列を更に追加することにより、より多くのビットをカートリッジ表面に保存できる。
【0070】
図13及び図14には、エラストマー製の接触アレーを前述の導電性パターンと結合する方法を示す。3種類の結合エリアが突出したエラストマー接触アレー上に存在する。第一に、検知エリアと呼ばれる1×0.3mmの面積を有する小エリアが、8×3マトリックスとして繰返される。二つの隣接する検知エリアはセルの高さの半分だけ離れている。これにより、一つのセルが一つ又は複数の検知エリアと結合する。図14に示すように、カートリッジが検知エリアに対して回転移動した場合も、この機能が適用される。検知エリアの高さは、一つの検知エリアが一つのセルと結合し、二つのセルと結合しないように、十分に低く保たなければならない。接触部の第二及び第三の種類のエリアは、A導体及びB導体と呼ばれる。(A導体は図13において黒でマークされ(二つの大きな黒色バー)、B導体は暗灰色でマークされる(二つの大きな暗灰色バー))。セル内の導電エリアは、常に、A導体又はB導体のどちらか一方と結合している。この結果、セル内の符号化された「1」又は「0」を識別することが可能となる。例えば、図13の第二列において、B導体と結合しているセルは、「1」であり、A導体と結合しているセルは「0」である。これを検知するために、次のような手順を行う。
【0071】
A導体上に電圧を印加する。
各検知エリアについて、カートリッジ上のセルを介して電圧が印加されているかどうかを測定する。この結果を、各検知エリアに関する読み取りAとして保存する。
次いで、B導体に電圧を印加する。
各検知エリアに対し、再度カートリッジ上のセルを介して電圧が印加されているかどうかを測定する。結果を各検知エリアに関する読み取りBとして保存する。
読み取りAと読み取りBの結果を使用して、各検知エリアが1又は0のどちらと結合しているか計算することができる。図13の第2列の場合、各検知エリアについて以下の法則を使用することにする。
表1
【0072】
検知した読み取りを8ビット長の情報ストリングに転送するためは、図13及び図14の第1列内の情報マークの位置を検知する必要がある。「1」と読み取れた第1列の検知エリアは、図12に示す情報伝達マトリックス内の最上位列を示す。接触エリアと導電パターンの寸法間に前述のような制約があることから、この表示マークは、接触アレーに対するカートリッジの回転とは無関係に、検知された読み取りを8ビット長の情報ストリングに変換することを可能にする。
表1は、AとBの読み取りの特定の組み合わせを誤読と解釈する方法を示している。0−0と1−1の読み取りは、接触アレーと導電パターンが無接触か、又は短絡していることを検知するために使用できる。これは、導電パターンが傷等でダメージを受けた場合、又は非導電物で汚された場合に関連付けられる。0−0の読み取りの発生は、検知エリアが、二つのセルの導電エリアの間にある非導電性の隙間に位置している場合に起きる。このような0−0読み取りの検出の際には、有意に多数の誤読のために有害となった検知済み読み取りの行をまとめて切り捨てることによって、検知した読みをビット列に変換するアルゴリズムを使用することが出来る。図17に、2行毎に拒絶が行われる実施例を示す。この場合、第二列と第三列内の残留検知エリアは、非導電エリアの隙間によって生ずる0−0の読み取りを有さない。
【0073】
実施例4
前実施例では、カートリッジの回転方向と無関係に導電構造マトリックスの読み取りを可能にする方法を開示した。然しながら、カートリッジの端に置かれるコードトップと呼ばれる構造は、コードリーダー(図15)に対するカートリッジの許容位置を制限する。今日のコードトップは、円筒軸に沿った回転を妨げない単純なスナップ結合により、本出願人の耐久型用の全てのインスリンカートリッジに設けられている。コードトップは、コードトップの円筒状表面の外周に均等に配置された八つの機械的くさびを有している。図15に示すように、コードトップが導電パターン対して位置合わせされており、例えばカートリッジの製造中にコードトップをカートリッジに接着することによってその位置が固定されている場合、セルの方向はコードトップの機械的くさびの方向と相関する。読み取り用接触アレーを有するデバイスは、くさびの対応部分を含め、カートリッジの正しい位置を維持するための種々の手段を有している。接触アレー部において、検知エリアに対するくさびの対応部分の方向が制御されると、検知エリアに対する導電構造の許容位置を制限することが可能になる。この場合、図16に示すように、セル当たり一つの検知エリアがあれば良い。これにより検知用アレーの複雑性が緩和される。
【0074】
実施例5
前述の読み取りA及びBを含まないさらに単純なセルと接触アレーを設計することが出来る。図18及び図19には、1及び0をコード化するセルを示す。図20は、読み取り中に、導電エリアに電圧を印加する導体及び検知エリアによってこれらセルを読み出す方法を示す。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1a】図1aは、カートリッジ上に電子的に読み取り可能な情報を保持するための情報伝達エリアの一配置方法を示す。
【図1b】図1bは、カートリッジ上に電子的に読み取り可能な情報を保持するための情報伝達エリアの別の配置方法を示す。
【図1c】図1c、カートリッジ上に電子的に読み取り可能な情報を保持するための情報伝達エリアの別の配置方法を示す。
【図1d】図1d、カートリッジ上に電子的に読み取り可能な情報を保持するための情報伝達エリアの別の配置方法を示す。
【図1e】図1e、カートリッジ上に電子的に読み取り可能な情報を保持するための情報伝達エリアの別の配置方法を示す。
【図1f】カートリッジ上に電子的に読み取り可能な情報を保持するための情報伝達エリアの別の配置方法を示す。
【図2a】情報伝達エリア内の所定の位置に、正負のバイナリ形式で情報アイテムを示す導電エリアと絶縁エリアを配置する一方法を示す。
【図2b】情報伝達エリア内の所定の位置に、正負のバイナリ形式で情報アイテムを示す導電エリアと絶縁エリアを配置する別の方法を示す。
【図2c】情報伝達エリア内の所定の位置に、正負のバイナリ形式で情報アイテムを示す導電エリアと絶縁エリアを配置する別の方法を示す。
【図2d】情報伝達エリア内の所定の位置に、正負のバイナリ形式で情報アイテムを示す導電エリアと絶縁エリアを配置する別の方法を示す。
【図2e】情報伝達エリア内の所定の位置に、正負のバイナリ形式で情報アイテムを示す導電エリアと絶縁エリアを配置する別の方法を示す。
【図3a】所定の位置に導電エリアと絶縁エリアを含む多数の情報伝達エリアを有する本発明のラベルを示す。
【図3b】所定の位置に導電エリアと絶縁エリアを含む多数の情報伝達エリアを有する本発明のラベルを示す。
【図4】電子的に読み取り可能な情報を含むラベルを有するカートリッジと、カートリッジを支え、且つカートリッジからの情報を電気回路に転送する支持具を示す。
【図5】a−cは、本発明による電気接続用支持具の種々の寸法を示す。
【図6】回転対称性を有するカートリッジの外周に沿って複数回提供された情報アイテムを二つの電気接続用支持部によって読み取る際の寸法を示す。
【図7】本発明による電子的に読み取り可能な情報をパッチパターン様式でカートリッジの軸方向に有するカートリッジと、電子回路に情報を転送するために用いられる二つの電気接続用支持部を有する支持具を示す。
【図8】a−bは、カートリッジと、弾性部材からなる三つの電気接続用支持部から構成された本発明による支持具の一実施例を示す。
【図9】符号化マトリックスの一エレメントの一実施例を示す。
【図10】符号化マトリックスの別のエレメントの一実施例を示す。
【図11】円筒形カートリッジに用いられる3x4x4様式の符号化マトリックスを示す。
【図12】3x4様式の符号化マトリックスを示す。
【図13】導電パターンと接触アレーとの結合状態を示す。
【図14】カートリッジが移動した場合の図13に示す導電パターンと接触アレーとの結合状態を示す。
【図15】導電パターンと位置合わせされた、位置合わせ手段を有するカートリッジを示す。
【図16】検知エリアの数を減らした検知アレーを示す。
【図17】非導電性の行、又はその近傍におけるセンサ読み取りの拒絶状態を示す。斜線で示す検知エリアは読み取り情報を情報ストリングへ変換する際に考慮されない。
【図18】「1」を符号化するセルを示す。
【図19】「0」を符号化するセルを示す。
【図20】導電エリア、検知アレー、及びこの導電構造に電圧を印加するための導体を有するマトリックスセルを示す、
【図21】軸の定義を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体によりマーキングされた媒体であって、導体が、導体によってマーキングされた物品の内容に関する情報の保存に適するエレメントのパターンを形成し、且つ導体が透明である媒体。
【請求項2】
媒体がカートリッジ、カープル、パッケージ、又はラベルであることを特徴とする、請求項1に記載の媒体。
【請求項3】
患者の治療に使用されるカートリッジ(70)であることを特徴とする、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
カートリッジ(70)表面の所定の位置に、各情報ビットの関連状態に対応する電気的絶縁エリア(7251)と電気的導電エリア(7261)を設けることにより、前記情報アイテム(725)が少なくとも一度、冗長的に提供されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の薬用カートリッジ(70)。
【請求項5】
前記情報アイテム(725)がカートリッジ(70)の表面に設けられた自己接着型のキャリヤ(72)上に形成されることを特徴とする、請求項2ないし4のいずれか1項に記載の薬用カートリッジ。
【請求項6】
前記カートリッジ(10)が回転対称軸(11)を有することを特徴とする、請求項4又5に記載の薬用カートリッジ。
【請求項7】
前記情報アイテムをそれぞれ正負の形式で含む情報伝達エリア(103,104;105,106;115,116)が、前記カートリッジ(10)の前記対称軸(11)の方向に並んで配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の薬用カートリッジ。
【請求項8】
前記情報アイテムをそれぞれ正負の形式で含む情報伝達エリア(101、102;110,111、112,113,114;117、118)が、前記カートリッジ(10)の前記対称軸(11)の円周方向に並んで配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の薬用カートリッジ。
【請求項9】
前記情報アイテムをそれぞれ正負の形式で含む情報伝達エリア(721,722,723,724,725,726,727)が、前記カートリッジ(70)の前記対称軸(71)の円周方向に交互に多数回現われることを特徴とする、請求項8に記載の薬用カートリッジ。
【請求項10】
前記カートリッジ上の電気的導電性ホイル(36)の表面の所定の位置に電気的絶縁エリアを適用することによって、前記情報アイテムがいずれかのバイナリ形式で提供されることにより、所定の一つのバイナリ状態を表す所定の位置に電気的絶縁エリア(356,367)を適用し、その補数のバイナリ状態を表す所定の位置に導電エリア(357,366)を適用していることを特徴とする、請求項4ないし9のいずれか1項に記載の薬用カートリッジ。
【請求項11】
情報がマトリックス形式で保存されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の薬用カートリッジ。
【請求項12】
マトリックスが開始地点を指定するシーケンスを含むことを特徴とする、請求項11に記載の薬用カートリッジ。
【請求項13】
マトリックスが繰返されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の薬用カートリッジ。
【請求項14】
マトリックスが自然数回繰返されることを特徴とする、請求項11ないし13のいずれか1項に記載の薬用カートリッジ。
【請求項15】
カートリッジがアイテムの方向性を確保する手段を有することを特徴とする、請求項11ないし14のいずれか1項に記載の薬用カートリッジ。
【請求項16】
マトリックスが端面から所定の距離を置いて配置されていることを特徴とする、請求項11ないし14のいずれか1項に記載の薬用カートリッジ。
【請求項17】
前記電子読み取り可能な情報アイテムがカートリッジ上に光学的に読み取り可能な形式で提供されることを特徴とする、請求項4ないし16のいずれか1項に記載の薬用カートリッジ。
【請求項18】
透明な導体がポリマーであることを特徴とする、請求項2ないし17のいずれか1項に記載のカートリッジ、カープル、又はパッケージ。
【請求項19】
ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンデスルホン酸塩(PEDOT−PSS)及び/又はbis(エチレンジオキシ)テトラチアフルバレン又はヨウ素のネットワークを有するポリマー又はそのそれらの臭素塩を含むことを特徴とする、請求項18に記載のカートリッジ、カープル、又はパッケージ。
【請求項20】
ポリマーが、α―BEDO−TFF2I3,β−BEDO−TFF2I3,及び/又はBEDO−TFF2.4I3を含むことを特徴とする、請求項19に記載のカートリッジ、カープル、又はパッケージ。
【請求項21】
透過性導体が、一つ又は複数のインジウム-スズ酸化物(ITO)の薄膜であることを特徴とする、請求項2ないし16のいずれか1項に記載のカートリッジ、カープル、又はパッケージ。
【請求項22】
インジウム-スズ酸化物の層が、一つ又は複数の薄い銀層と混合されていることを特徴とする、請求項21に記載のカートリッジ、カープル、又はパッケージ。
【請求項23】
物品の内容に関する情報の保持に適するエレメントのパターンを形成する導体によりマーキングされたラベルであって、導体が透明であることを特徴とするラベル。
【請求項24】
ラベルが透過性を有することを特徴とする、請求項23に記載のラベル。
【請求項25】
ラベル上にテキストが存在することを特徴とする、請求項23に記載のラベル。
【請求項26】
透過性導体がテキストの一部を少なくとも覆っていることを特徴とする、請求項25に記載のラベル。
【請求項27】
請求項1ないし26のいずれかの項に記載の透明性導体によりマーキングされる媒体の製造方法であって、
表面の少なくとも一部を透過性導体でコーティングするステップ、及び
エッチングによってパターン化するステップ
を有する方法。
【請求項28】
更に、導体にレジストを適用するステップを有することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
更に、導体からレジストを除去するステップを有することを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
アルカリ溶液、好ましくは強力なアルカリ溶液でレジストを除去することを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
酸及び酸化剤を用いてエッチングを実施することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
塩酸とCuCl2を用いてエッチングを実施することを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
薬用カートリッジ(70)上に電子的に読み取り可能な情報アイテム(725)を提供する方法であって、前記情報アイテム(725)が冗長的に提供され、アイテムが透過性導体により提供されることを特徴とする方法。
【請求項34】
前記情報アイテム(725)が、正(725)及び負(726)のバイナリ形式で少なくとも一度提供されることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項1】
導体によりマーキングされた媒体であって、導体が、導体によってマーキングされた物品の内容に関する情報の保存に適するエレメントのパターンを形成し、且つ導体が透明である媒体。
【請求項2】
媒体がカートリッジ、カープル、パッケージ、又はラベルであることを特徴とする、請求項1に記載の媒体。
【請求項3】
患者の治療に使用されるカートリッジ(70)であることを特徴とする、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
カートリッジ(70)表面の所定の位置に、各情報ビットの関連状態に対応する電気的絶縁エリア(7251)と電気的導電エリア(7261)を設けることにより、前記情報アイテム(725)が少なくとも一度、冗長的に提供されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の薬用カートリッジ(70)。
【請求項5】
前記情報アイテム(725)がカートリッジ(70)の表面に設けられた自己接着型のキャリヤ(72)上に形成されることを特徴とする、請求項2ないし4のいずれか1項に記載の薬用カートリッジ。
【請求項6】
前記カートリッジ(10)が回転対称軸(11)を有することを特徴とする、請求項4又5に記載の薬用カートリッジ。
【請求項7】
前記情報アイテムをそれぞれ正負の形式で含む情報伝達エリア(103,104;105,106;115,116)が、前記カートリッジ(10)の前記対称軸(11)の方向に並んで配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の薬用カートリッジ。
【請求項8】
前記情報アイテムをそれぞれ正負の形式で含む情報伝達エリア(101、102;110,111、112,113,114;117、118)が、前記カートリッジ(10)の前記対称軸(11)の円周方向に並んで配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の薬用カートリッジ。
【請求項9】
前記情報アイテムをそれぞれ正負の形式で含む情報伝達エリア(721,722,723,724,725,726,727)が、前記カートリッジ(70)の前記対称軸(71)の円周方向に交互に多数回現われることを特徴とする、請求項8に記載の薬用カートリッジ。
【請求項10】
前記カートリッジ上の電気的導電性ホイル(36)の表面の所定の位置に電気的絶縁エリアを適用することによって、前記情報アイテムがいずれかのバイナリ形式で提供されることにより、所定の一つのバイナリ状態を表す所定の位置に電気的絶縁エリア(356,367)を適用し、その補数のバイナリ状態を表す所定の位置に導電エリア(357,366)を適用していることを特徴とする、請求項4ないし9のいずれか1項に記載の薬用カートリッジ。
【請求項11】
情報がマトリックス形式で保存されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の薬用カートリッジ。
【請求項12】
マトリックスが開始地点を指定するシーケンスを含むことを特徴とする、請求項11に記載の薬用カートリッジ。
【請求項13】
マトリックスが繰返されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の薬用カートリッジ。
【請求項14】
マトリックスが自然数回繰返されることを特徴とする、請求項11ないし13のいずれか1項に記載の薬用カートリッジ。
【請求項15】
カートリッジがアイテムの方向性を確保する手段を有することを特徴とする、請求項11ないし14のいずれか1項に記載の薬用カートリッジ。
【請求項16】
マトリックスが端面から所定の距離を置いて配置されていることを特徴とする、請求項11ないし14のいずれか1項に記載の薬用カートリッジ。
【請求項17】
前記電子読み取り可能な情報アイテムがカートリッジ上に光学的に読み取り可能な形式で提供されることを特徴とする、請求項4ないし16のいずれか1項に記載の薬用カートリッジ。
【請求項18】
透明な導体がポリマーであることを特徴とする、請求項2ないし17のいずれか1項に記載のカートリッジ、カープル、又はパッケージ。
【請求項19】
ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンデスルホン酸塩(PEDOT−PSS)及び/又はbis(エチレンジオキシ)テトラチアフルバレン又はヨウ素のネットワークを有するポリマー又はそのそれらの臭素塩を含むことを特徴とする、請求項18に記載のカートリッジ、カープル、又はパッケージ。
【請求項20】
ポリマーが、α―BEDO−TFF2I3,β−BEDO−TFF2I3,及び/又はBEDO−TFF2.4I3を含むことを特徴とする、請求項19に記載のカートリッジ、カープル、又はパッケージ。
【請求項21】
透過性導体が、一つ又は複数のインジウム-スズ酸化物(ITO)の薄膜であることを特徴とする、請求項2ないし16のいずれか1項に記載のカートリッジ、カープル、又はパッケージ。
【請求項22】
インジウム-スズ酸化物の層が、一つ又は複数の薄い銀層と混合されていることを特徴とする、請求項21に記載のカートリッジ、カープル、又はパッケージ。
【請求項23】
物品の内容に関する情報の保持に適するエレメントのパターンを形成する導体によりマーキングされたラベルであって、導体が透明であることを特徴とするラベル。
【請求項24】
ラベルが透過性を有することを特徴とする、請求項23に記載のラベル。
【請求項25】
ラベル上にテキストが存在することを特徴とする、請求項23に記載のラベル。
【請求項26】
透過性導体がテキストの一部を少なくとも覆っていることを特徴とする、請求項25に記載のラベル。
【請求項27】
請求項1ないし26のいずれかの項に記載の透明性導体によりマーキングされる媒体の製造方法であって、
表面の少なくとも一部を透過性導体でコーティングするステップ、及び
エッチングによってパターン化するステップ
を有する方法。
【請求項28】
更に、導体にレジストを適用するステップを有することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
更に、導体からレジストを除去するステップを有することを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
アルカリ溶液、好ましくは強力なアルカリ溶液でレジストを除去することを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
酸及び酸化剤を用いてエッチングを実施することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
塩酸とCuCl2を用いてエッチングを実施することを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
薬用カートリッジ(70)上に電子的に読み取り可能な情報アイテム(725)を提供する方法であって、前記情報アイテム(725)が冗長的に提供され、アイテムが透過性導体により提供されることを特徴とする方法。
【請求項34】
前記情報アイテム(725)が、正(725)及び負(726)のバイナリ形式で少なくとも一度提供されることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2006−520624(P2006−520624A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504335(P2006−504335)
【出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000199
【国際公開番号】WO2004/084795
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000199
【国際公開番号】WO2004/084795
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】
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