薬類保管庫
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、病院や薬局等に置かれ注射器やアンプル等の輸液用薬剤を保管し、自動的に供給する薬類保管庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、病院、薬局、ナースステーション等では、注射器、アンプル、服用液薬のカップ容器等の輸液用薬剤は、中に劇薬や麻薬もあり厳重に管理を必要とするため、施錠された保管庫に収納されている。そして、この種の輸液を使う場合は取扱者が保管庫の該当する引出体を解錠し、必要な種類、個数の輸液を取り出した後、台帳に記入し再び施錠していた。
【0003】
しかし、劇薬や麻薬等は上記したように特に厳重な管理を必要とするにも拘ず、取扱者の管理だけに頼っているため、取扱者の台帳への記入忘れや記入ミス、施錠忘れ等があると紛失や盗難の危険があるという問題があった。
【0004】
そこで、本件出願人は特願平1−132059号明細書に記載したように、薬類を収容する複数の引出体と、この引出体に施錠するロック装置と、このロック装置を駆動制御する制御部とを備えた薬類保管庫を発明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の構成によると、引出体が多数になると開放が指示された引出体を捜すのが困難となり、どの引出体を開放するのかを認識するのに時間がかかり操作性が悪くなるという問題があった。
【0006】
本発明は斯る点に鑑みなされたもので、引出体が多数でも開放を指示した引出体を簡単に確認でき、また、フォトセンサーとセンサー感知板との位置合わせも簡単に行えて生産性が良く、使用性に優れた薬類保管庫を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、薬類を収納する複数の引出体と、この引出体に施錠するロッ
ク装置と、このロック装置を駆動制御する制御部とを備えた薬類保管庫において、前記引出体の開状態の場合に信号を出力するセンサーを備え、この信号は引出体が閉塞されるまで継続して出力され、且つ、引出体が開放中である旨のメッセージが表示され続け、この表示が消えるまでは次の操作ができないことを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明の薬類保管庫は上記の構成により、引出体の開けっ放しを防止することができる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0010】
1は輸液用の薬類保管庫である。この保管庫は、上部に開口を有する箱体2と、この箱体の開口を開閉自在に閉塞する蓋体3とからなる本体ユニット4と、この本体ユニット内上部に縦方向に整列して収納され、内部に注射器5、アンプル6、服用薬入りカップ容器7等の輸液用の薬剤を収納した3種類の複数のカセット8,9,10と、このカセット及び本体ユニット4を駆動制御する制御装置11とから構成される。
【0011】
12は前記カセット8,9,10の下方で本体ユニット4の下部に設けられた引き出しであり、この引き出しは2本のベルト13上に固定されて自動的に摺動し本体ユニット4前方に所定量引き出し可能になっている。即ち、引き出し12の駆動装置は、後述する制御装置11からの信号により駆動するモータ14と、このモータに軸支されて回転するローラ15と、このローラに圧接され支軸16を有する圧接ローラ17と、前記支軸16の両端に固着され圧接ローラ17と共に回転する2個の駆動ローラ18と、この2個の駆動ローラ18及びこれと対向して設置された2個の回転ローラ19と、これら駆動ローラ18と回転ローラ19に張架された前記2本のベルト13とから構成されており、引き出し12は前記2本のベルト13上に固定されてベルト13と共に前後に移動する。ここで、引き出し12はカセット8,9,10の全て(カセットが縦3列分)に対応する幅寸法とカセット8,9,10の横4列分に対応する奥行き寸法を有する大きさ、即ち、本体ユニット4の平面形状の半分以下の大きさに形成されている。
【0012】
そして、この引き出し12には、取扱者が所望とした薬剤、即ち、制御装置11の後述する入力部で指定した種類、個数の薬剤が所定のカセットから落下される。ここで、この引き出し12は、制御装置11の入力部で入力された情報に基づいて指定された薬剤が入ったカセットの位置まで前後方向に所定量自動的に移動する。これにより、引き出し12が前述したようにコンパクトに形成されていても、全てのカセット8,9,10に対処することができ、引き出し12の引き出し時の突出寸法を削減し省スペースに寄与できるものである。なお、20は引き出しの後部に斜めに形成された案内板であり、カセット8,9,10から落下した薬剤がなるべく引き出し12の前方に行くようにして取り出し時の利便を図っている。
【0013】
21は本体ユニット4の側部に設けられた多数の引出体である。
【0014】
24はユニット本体4の箱体2及び蓋体3に装着されたロック装置、25は各引出体21に設けられたロック装置であり、これらのロック装置はいずれも制御装置11の識別部で取扱者の識別が確認された場合にのみ解錠される。
【0015】
カセット8,9,10は上述したように本体ユニット4内の上部に縦方向に整列して収納されているが、これらカセットは内部に注射器5を収納したカセット8と、アンプル6を収納したカセット9と、服用薬入りカップ容器7を収納したカセット10の3種類に大別される。これらカセットは各種の輸液用薬剤が収納できるように各々専用品となっているが、その外形形状は全て共通化されており、薬剤の種類や数の割合が任意に設定でき、しかも、収納後の割合の変更も容易に行えるようになっている。
【0016】
次に、制御装置11について説明する。制御装置11は、図10に示すように、パスワードやICカード等の個別識別手段により使用者を個別識別する識別部47と、前記本体ユニット4から取り出す薬剤の種類、個数を入力する入力部48と、この入力部に入力された情報を記憶する記憶部49と、入力部48に入力された情報、記憶部49に記憶された情報、及び、本体ユニット4からフィードバックされた情報を表示する表示部50と、前記入力部48で指定された情報に基づいて前記本体ユニット4から所望とする種類、個数の薬剤を自動的に取り出すためにカセット8,9,10や引き出し12、或いは、ロック装置24,25を駆動制御する制御部51とから構成されている。
ここで、識別部47にはICカードや磁気カード等のカードリーダーを使用すれば良いが、この他、パスワード、指紋、音声、手紋(3次元的な手の形)、サイン等の識別装置を使用しても良く、いずれの場合にも登録した者でなければ薬類保管庫を操作できないようにする。
また、識別部47や入力部48や表示部50には市販されているパソコンを使用すれば良いが、専用機器を製作して本体ユニット4内に組み込んでも良い。この時、入力部48または制御部51に各作業の目的に応じた動作モードの切り替え装置を設けておくと便利である。例えば、通常の薬剤の取り出し運転を行う場合には薬剤取り出しモード、薬剤の補給を行う場合には薬剤補給モード、在庫チェック等を行う場合には記録モードという具合である。
【0017】
前記引出体21は図5乃至図8に示したように、一側に設けたレール取付板26に固定された上下2個のレール27に片持支持されて引き出し可能になっている。
【0018】
25は前記引出体21の後部に設けたロック装置、28は引出体21の後部に設けた圧縮バネである。
【0019】
前記ロック装置25は、鉤部となる孔29を有し前記引出体21に取り付けられたL字形の突片30と、この突片の孔29に引掛かる爪部31を有し引っ張りバネ32によって回転方向に附勢された回転体33と、前記バネ32の一端を係止した作動片34を有し制御装置11からの信号により作動するソレノイド35とをベース板36に固定して構成されている。前記回転体33にはソレノイド35の作動片34に引っ掛かる凹部37と、膨出部38とが形成されている。
39はベース板36に形成した回転体33のストッパーである。40はフォトセンサーであり、前記回転体33の膨出部38の上方に設置した発光素子41と下方に設置した受光素子42とで構成され、両素子41,42間に膨出部38が介在している時にはOFF状態にあり、両素子41,42間に膨出部38が介在していない時にはON信号を制御装置11に出力している。
このON信号は引出体21が開放しているという信号であるため、この旨が表示部50に表示される。そして、引出体21を閉めてフォトセンサー40をOFFとするまで前記ON信号は解除されない。
従って、このON信号をチェックすることにより、引出体21の開けっ放しを防止することができる。
【0020】
このロック装置25は、例えば、操作者が制御装置11を操作して所定の引出体21の開放を指示すると、ソレノイド35が通電されて作動片34がバネ32の弾性力に抗して引っ込み、凹部37が作動片34から開放されて回転体33が図7中実線矢印方向に回転する。これにより、引出体21の突片30の孔29から回転体33の爪部31が外れ、引出体21はバネ28の弾性力により前方に押し出される。
ここで、突片30は回転体33の回転に伴うバネ32の弾性力によっても若干押し出される。そして、回転体33は、爪部31がベース板36のストッパー39に当った位置で止まる。(図7中破線で示す位置)
この状態、即ち引出体21を開放した状態から、操作者が所望の薬剤を取り出して再び引出体21を閉める場合には、突片30の先端が回転体33の角部43に当り、回転体33は図7中破線矢印方向に回転する。そして、突片30の孔29に回転体33の爪部31が引っ掛かると共に、ソレノイド35の作動片34が回転体33の凹部37に引っ掛かり、施錠された元の状態に復帰する。
【0021】
即ち、引出体21の解錠時には、制御装置11の操作により回転体33を回転させて爪部31を孔29から解除すると共に、バネ28にて前記引出体21を引き出し方向に自動的に押し出すものである。
【0022】
このように構成された薬類保管庫において、解錠時には、制御装置11の操作によりソレノイド35に通電し回転体33を回転させて爪部31を孔29から解除すると共に、バネ28の弾性力により引出体21を引き出し方向に押し出すことができ、引出体21が多数あっても、開放指示した引出体21が直接自動的に押し出されていることで確認することができる。また、施錠、解錠、引出体21の自動押し出しは、バネ28によって簡単に行えるため、装置を複雑化することもない。
【0023】
更に、回転体33の回転に連動して出力されるフォトセンサー41のON信号は、例えば、引出体21の近傍に設けたLED44を点灯させたり、表示部50のCRT画面上に表示したりする出力とすることにより、開放を指示した引出体21を簡単に確認することができ、引出体21が多数あっても、どの引出体21を開放するのかを捜す手間がなくなり操作性を向上できる。しかも、前記フォトセンサー40のON信号は引出体21が閉塞されてセンサー40がOFFとなるまで継続して出力されており、例えば、表示部50に引出体21が開放中である旨のメッセージが表示され続け、これが消えるまでは次の操作ができないようになっている。
これにより、引出体21の開けっ放しは防止できる。また、フォトセンサー40は、回転体33の両側に発光素子41と受光素子42とを配置するという簡単な構成であり、しかも、この回転板33を利用したセンサー感知板である膨出部38とフォトセンサー40とは共にロック装置側25に組み込まれているため、引出体21との位置合わせをするまでもなく比較的ラフな設定で組み立てることができ、組立作業性を向上して生産性を向上できる。
【0024】
以上のように本願によれば、解錠時には、制御装置の操作により回転体を回転させて爪部を鉤部から解除すると共に、告知手段にて開放を指示した引出体を簡単に確認することができ、引出体が多数あっても、どの引出体を開放するのかを捜す手間がなくなり操作性を向上できる。また、フォトセンサーは、回転体の両側に発光素子と受光素子とを配置するという簡単な構成であり、しかも、この回転板を利用したセンサー感知板とフォトセンサーとは共にロック装置側に組み込まれているため、引出体との位置合わせをするまでもなく比較的ラフな設定で組み立てることができ、組立作業性を向上して生産性を向上できる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、引出体の開けっ放しを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】薬類保管庫の斜視図である。
【図2】薬類保管庫の平面図である。
【図3】薬類保管庫の正面図である。
【図4】薬類保管庫の側面図である。
【図5】引出体の正面図である。
【図6】引出体の正面図である。
【図7】ロック装置の平面図である。
【図8】ロック装置の正面図である。
【図9】薬類保管庫の正面図である。
【符号の説明】
11 制御装置
21 引出体
25 ロック装置
28 圧縮バネ
29 孔
30 突片
31 爪部
32 バネ
33 回転体
38 膨出部
40 フォトセンサー
41 発光素子
42 受光素子
44 LED
50 表示部
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、病院や薬局等に置かれ注射器やアンプル等の輸液用薬剤を保管し、自動的に供給する薬類保管庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、病院、薬局、ナースステーション等では、注射器、アンプル、服用液薬のカップ容器等の輸液用薬剤は、中に劇薬や麻薬もあり厳重に管理を必要とするため、施錠された保管庫に収納されている。そして、この種の輸液を使う場合は取扱者が保管庫の該当する引出体を解錠し、必要な種類、個数の輸液を取り出した後、台帳に記入し再び施錠していた。
【0003】
しかし、劇薬や麻薬等は上記したように特に厳重な管理を必要とするにも拘ず、取扱者の管理だけに頼っているため、取扱者の台帳への記入忘れや記入ミス、施錠忘れ等があると紛失や盗難の危険があるという問題があった。
【0004】
そこで、本件出願人は特願平1−132059号明細書に記載したように、薬類を収容する複数の引出体と、この引出体に施錠するロック装置と、このロック装置を駆動制御する制御部とを備えた薬類保管庫を発明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の構成によると、引出体が多数になると開放が指示された引出体を捜すのが困難となり、どの引出体を開放するのかを認識するのに時間がかかり操作性が悪くなるという問題があった。
【0006】
本発明は斯る点に鑑みなされたもので、引出体が多数でも開放を指示した引出体を簡単に確認でき、また、フォトセンサーとセンサー感知板との位置合わせも簡単に行えて生産性が良く、使用性に優れた薬類保管庫を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、薬類を収納する複数の引出体と、この引出体に施錠するロッ
ク装置と、このロック装置を駆動制御する制御部とを備えた薬類保管庫において、前記引出体の開状態の場合に信号を出力するセンサーを備え、この信号は引出体が閉塞されるまで継続して出力され、且つ、引出体が開放中である旨のメッセージが表示され続け、この表示が消えるまでは次の操作ができないことを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明の薬類保管庫は上記の構成により、引出体の開けっ放しを防止することができる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0010】
1は輸液用の薬類保管庫である。この保管庫は、上部に開口を有する箱体2と、この箱体の開口を開閉自在に閉塞する蓋体3とからなる本体ユニット4と、この本体ユニット内上部に縦方向に整列して収納され、内部に注射器5、アンプル6、服用薬入りカップ容器7等の輸液用の薬剤を収納した3種類の複数のカセット8,9,10と、このカセット及び本体ユニット4を駆動制御する制御装置11とから構成される。
【0011】
12は前記カセット8,9,10の下方で本体ユニット4の下部に設けられた引き出しであり、この引き出しは2本のベルト13上に固定されて自動的に摺動し本体ユニット4前方に所定量引き出し可能になっている。即ち、引き出し12の駆動装置は、後述する制御装置11からの信号により駆動するモータ14と、このモータに軸支されて回転するローラ15と、このローラに圧接され支軸16を有する圧接ローラ17と、前記支軸16の両端に固着され圧接ローラ17と共に回転する2個の駆動ローラ18と、この2個の駆動ローラ18及びこれと対向して設置された2個の回転ローラ19と、これら駆動ローラ18と回転ローラ19に張架された前記2本のベルト13とから構成されており、引き出し12は前記2本のベルト13上に固定されてベルト13と共に前後に移動する。ここで、引き出し12はカセット8,9,10の全て(カセットが縦3列分)に対応する幅寸法とカセット8,9,10の横4列分に対応する奥行き寸法を有する大きさ、即ち、本体ユニット4の平面形状の半分以下の大きさに形成されている。
【0012】
そして、この引き出し12には、取扱者が所望とした薬剤、即ち、制御装置11の後述する入力部で指定した種類、個数の薬剤が所定のカセットから落下される。ここで、この引き出し12は、制御装置11の入力部で入力された情報に基づいて指定された薬剤が入ったカセットの位置まで前後方向に所定量自動的に移動する。これにより、引き出し12が前述したようにコンパクトに形成されていても、全てのカセット8,9,10に対処することができ、引き出し12の引き出し時の突出寸法を削減し省スペースに寄与できるものである。なお、20は引き出しの後部に斜めに形成された案内板であり、カセット8,9,10から落下した薬剤がなるべく引き出し12の前方に行くようにして取り出し時の利便を図っている。
【0013】
21は本体ユニット4の側部に設けられた多数の引出体である。
【0014】
24はユニット本体4の箱体2及び蓋体3に装着されたロック装置、25は各引出体21に設けられたロック装置であり、これらのロック装置はいずれも制御装置11の識別部で取扱者の識別が確認された場合にのみ解錠される。
【0015】
カセット8,9,10は上述したように本体ユニット4内の上部に縦方向に整列して収納されているが、これらカセットは内部に注射器5を収納したカセット8と、アンプル6を収納したカセット9と、服用薬入りカップ容器7を収納したカセット10の3種類に大別される。これらカセットは各種の輸液用薬剤が収納できるように各々専用品となっているが、その外形形状は全て共通化されており、薬剤の種類や数の割合が任意に設定でき、しかも、収納後の割合の変更も容易に行えるようになっている。
【0016】
次に、制御装置11について説明する。制御装置11は、図10に示すように、パスワードやICカード等の個別識別手段により使用者を個別識別する識別部47と、前記本体ユニット4から取り出す薬剤の種類、個数を入力する入力部48と、この入力部に入力された情報を記憶する記憶部49と、入力部48に入力された情報、記憶部49に記憶された情報、及び、本体ユニット4からフィードバックされた情報を表示する表示部50と、前記入力部48で指定された情報に基づいて前記本体ユニット4から所望とする種類、個数の薬剤を自動的に取り出すためにカセット8,9,10や引き出し12、或いは、ロック装置24,25を駆動制御する制御部51とから構成されている。
ここで、識別部47にはICカードや磁気カード等のカードリーダーを使用すれば良いが、この他、パスワード、指紋、音声、手紋(3次元的な手の形)、サイン等の識別装置を使用しても良く、いずれの場合にも登録した者でなければ薬類保管庫を操作できないようにする。
また、識別部47や入力部48や表示部50には市販されているパソコンを使用すれば良いが、専用機器を製作して本体ユニット4内に組み込んでも良い。この時、入力部48または制御部51に各作業の目的に応じた動作モードの切り替え装置を設けておくと便利である。例えば、通常の薬剤の取り出し運転を行う場合には薬剤取り出しモード、薬剤の補給を行う場合には薬剤補給モード、在庫チェック等を行う場合には記録モードという具合である。
【0017】
前記引出体21は図5乃至図8に示したように、一側に設けたレール取付板26に固定された上下2個のレール27に片持支持されて引き出し可能になっている。
【0018】
25は前記引出体21の後部に設けたロック装置、28は引出体21の後部に設けた圧縮バネである。
【0019】
前記ロック装置25は、鉤部となる孔29を有し前記引出体21に取り付けられたL字形の突片30と、この突片の孔29に引掛かる爪部31を有し引っ張りバネ32によって回転方向に附勢された回転体33と、前記バネ32の一端を係止した作動片34を有し制御装置11からの信号により作動するソレノイド35とをベース板36に固定して構成されている。前記回転体33にはソレノイド35の作動片34に引っ掛かる凹部37と、膨出部38とが形成されている。
39はベース板36に形成した回転体33のストッパーである。40はフォトセンサーであり、前記回転体33の膨出部38の上方に設置した発光素子41と下方に設置した受光素子42とで構成され、両素子41,42間に膨出部38が介在している時にはOFF状態にあり、両素子41,42間に膨出部38が介在していない時にはON信号を制御装置11に出力している。
このON信号は引出体21が開放しているという信号であるため、この旨が表示部50に表示される。そして、引出体21を閉めてフォトセンサー40をOFFとするまで前記ON信号は解除されない。
従って、このON信号をチェックすることにより、引出体21の開けっ放しを防止することができる。
【0020】
このロック装置25は、例えば、操作者が制御装置11を操作して所定の引出体21の開放を指示すると、ソレノイド35が通電されて作動片34がバネ32の弾性力に抗して引っ込み、凹部37が作動片34から開放されて回転体33が図7中実線矢印方向に回転する。これにより、引出体21の突片30の孔29から回転体33の爪部31が外れ、引出体21はバネ28の弾性力により前方に押し出される。
ここで、突片30は回転体33の回転に伴うバネ32の弾性力によっても若干押し出される。そして、回転体33は、爪部31がベース板36のストッパー39に当った位置で止まる。(図7中破線で示す位置)
この状態、即ち引出体21を開放した状態から、操作者が所望の薬剤を取り出して再び引出体21を閉める場合には、突片30の先端が回転体33の角部43に当り、回転体33は図7中破線矢印方向に回転する。そして、突片30の孔29に回転体33の爪部31が引っ掛かると共に、ソレノイド35の作動片34が回転体33の凹部37に引っ掛かり、施錠された元の状態に復帰する。
【0021】
即ち、引出体21の解錠時には、制御装置11の操作により回転体33を回転させて爪部31を孔29から解除すると共に、バネ28にて前記引出体21を引き出し方向に自動的に押し出すものである。
【0022】
このように構成された薬類保管庫において、解錠時には、制御装置11の操作によりソレノイド35に通電し回転体33を回転させて爪部31を孔29から解除すると共に、バネ28の弾性力により引出体21を引き出し方向に押し出すことができ、引出体21が多数あっても、開放指示した引出体21が直接自動的に押し出されていることで確認することができる。また、施錠、解錠、引出体21の自動押し出しは、バネ28によって簡単に行えるため、装置を複雑化することもない。
【0023】
更に、回転体33の回転に連動して出力されるフォトセンサー41のON信号は、例えば、引出体21の近傍に設けたLED44を点灯させたり、表示部50のCRT画面上に表示したりする出力とすることにより、開放を指示した引出体21を簡単に確認することができ、引出体21が多数あっても、どの引出体21を開放するのかを捜す手間がなくなり操作性を向上できる。しかも、前記フォトセンサー40のON信号は引出体21が閉塞されてセンサー40がOFFとなるまで継続して出力されており、例えば、表示部50に引出体21が開放中である旨のメッセージが表示され続け、これが消えるまでは次の操作ができないようになっている。
これにより、引出体21の開けっ放しは防止できる。また、フォトセンサー40は、回転体33の両側に発光素子41と受光素子42とを配置するという簡単な構成であり、しかも、この回転板33を利用したセンサー感知板である膨出部38とフォトセンサー40とは共にロック装置側25に組み込まれているため、引出体21との位置合わせをするまでもなく比較的ラフな設定で組み立てることができ、組立作業性を向上して生産性を向上できる。
【0024】
以上のように本願によれば、解錠時には、制御装置の操作により回転体を回転させて爪部を鉤部から解除すると共に、告知手段にて開放を指示した引出体を簡単に確認することができ、引出体が多数あっても、どの引出体を開放するのかを捜す手間がなくなり操作性を向上できる。また、フォトセンサーは、回転体の両側に発光素子と受光素子とを配置するという簡単な構成であり、しかも、この回転板を利用したセンサー感知板とフォトセンサーとは共にロック装置側に組み込まれているため、引出体との位置合わせをするまでもなく比較的ラフな設定で組み立てることができ、組立作業性を向上して生産性を向上できる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、引出体の開けっ放しを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】薬類保管庫の斜視図である。
【図2】薬類保管庫の平面図である。
【図3】薬類保管庫の正面図である。
【図4】薬類保管庫の側面図である。
【図5】引出体の正面図である。
【図6】引出体の正面図である。
【図7】ロック装置の平面図である。
【図8】ロック装置の正面図である。
【図9】薬類保管庫の正面図である。
【符号の説明】
11 制御装置
21 引出体
25 ロック装置
28 圧縮バネ
29 孔
30 突片
31 爪部
32 バネ
33 回転体
38 膨出部
40 フォトセンサー
41 発光素子
42 受光素子
44 LED
50 表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬類を収納する複数の引出体と、この引出体に施錠するロッ
ク装置と、このロック装置を駆動制御する制御部とを備えた薬類保管庫において、
前記引出体の開状態の場合に信号を出力するセンサーを備え、この信号は引出体が閉塞されるまで継続して出力され、且つ、引出体が開放中である旨のメッセージが表示され続け、この表示が消えるまでは次の操作ができないことを特徴とする薬類保管庫。
【請求項1】
薬類を収納する複数の引出体と、この引出体に施錠するロッ
ク装置と、このロック装置を駆動制御する制御部とを備えた薬類保管庫において、
前記引出体の開状態の場合に信号を出力するセンサーを備え、この信号は引出体が閉塞されるまで継続して出力され、且つ、引出体が開放中である旨のメッセージが表示され続け、この表示が消えるまでは次の操作ができないことを特徴とする薬類保管庫。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【特許番号】特許第3547765号(P3547765)
【登録日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【発行日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−312595
【出願日】平成3年11月27日(1991.11.27)
【公開番号】特開平5−147706
【公開日】平成5年6月15日(1993.6.15)
【審査請求日】平成10年10月19日(1998.10.19)
【審判番号】不服2001−17256(P2001−17256/J1)
【審判請求日】平成13年9月27日(2001.9.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【合議体】
【参考文献】
【文献】特開昭63−219778(JP,A)
【文献】実開昭55−54045(JP,U)
【文献】実開平3−33812(JP,U)
【文献】実公平3−50226(JP,Y2)
【文献】実公昭58−14765(JP,Y2)
【登録日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【発行日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成3年11月27日(1991.11.27)
【公開番号】特開平5−147706
【公開日】平成5年6月15日(1993.6.15)
【審査請求日】平成10年10月19日(1998.10.19)
【審判番号】不服2001−17256(P2001−17256/J1)
【審判請求日】平成13年9月27日(2001.9.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【合議体】
【参考文献】
【文献】特開昭63−219778(JP,A)
【文献】実開昭55−54045(JP,U)
【文献】実開平3−33812(JP,U)
【文献】実公平3−50226(JP,Y2)
【文献】実公昭58−14765(JP,Y2)
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