説明

蛍光ランプ

【課題】口金ピンが破損し難い構造の蛍光ランプを提供する。
【解決手段】ランプ1は、内面に電極を有する発光管10と、この発光管10の両端部に設けられた口金30とからなる。口金30は、発光管10の端壁10bに装着される第1本体部33と、第1本体部33の一部から連出され前記発光管10の周壁に装着される第2本体部34とからなる。第2本体部34は、その一部に口金ピン31が立設されたピン設置領域(ピン設置部36の上壁である。)を有し、ピン設置領域の残部が口金ピン31の立設方向に隆起され、口金ピン保護用の保護部37とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光管の端部に口金が装着されてなる蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている蛍光ランプ(以下、単に「ランプ」という。)は、内部に電極を備える筒状の発光管の端部に、前記電極と電気的に接続する口金ピンを口金本体に有する口金が設けられている。口金ピンは、口金本体から発光管の管軸が延伸する方向(以下、「管軸方向」ともいう。)に突出する状態で設けられている。
したがって、このようなランプが装着される照明装置では、例えば、ランプが直管形である場合、ランプの両側に必ず照明装置のソケットが位置することとなる。
【0003】
一方、従来の発光管は、電極を保持するステムマウントがガラス管の端部に封着されてなり、特にフレア状のステムを利用したステムマウントでは細管を発光管の管軸方向に延伸する状態で備えるため、この細管を覆う口金本体の管軸方向の寸法が大きくなる。
上記構成のランプが直管形である場合において、例えば、長さ方向に直列に複数本ランプを配置すると(所謂、ライン照明)、隣接するランプ間に、口金及び当該口金が取り付けられるソケットが介在することとなり、隣接するランプ(発光管)間の隙間が大きくなると共に、ランプ間に光を発しない暗部が広い範囲で生じることとなり、暗部の範囲の小さなライン照明の要望がある。
【0004】
この要望に応えるライン照明として、口金あるいは口金ピンを発光管の周壁端部に設けることにより、隣接するランプ間からソケットがなくなり、隣接するランプ間の隙間を小さくして、複数のランプがあたかも一本のランプであるように点灯させようとするものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
発明者は、上記要望に応えるべく、電極を保持するステムマウントのステムをフレア状のものから板状のものに変更し、この板状のステムによってガラス管の端壁の略中央にある開口を外側から塞ぐ構成のランプを検討している。
【0005】
図14は、検討中のランプの端部の構成を示す模式断面図を示す。
同図に示すランプ901は、発光管903と、発光管903の端部に装着された口金905とを備える。口金905は、発光管903の端部を覆う口金本体907と、口金本体907に設けられ且つ発光管903の管軸と直交する方向に延伸(立設)する一対の口金ピン909(手前側のピンのみ図示している。)とを備え、口金本体907は、発光管903の端壁903aを覆う第1本体部907aと、当該端壁903aに近い周壁903bを第2本体部907bとを有する「L」字状の形状を有する。
【0006】
発光管903の端壁903aからは、発光管903の内部の電極(フィラメントコイル)911を支持する一対のリード913が延出し、この延出部分は、発光管903の端壁903a及び端壁903aに近い周壁903bに沿うように曲げられ、延出部分の先端(電極側と反対側の端である。)は口金ピン909に接続される。なお、口金905の発光管903の端部への装着は、例えば、固着剤(図示省略)等により行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭61−48548号公報
【特許文献2】特許3149077号公報
【特許文献3】特開2004−247276号公報
【特許文献4】特開昭64−27139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の構成のランプ901では、口金ピン909が第2本体部907bに設けられかつ発光管903の管軸と直交する方向に突出しているため、口金ピン909が破損しやすいという課題がある。
つまり、口金ピン909に圧縮負荷が作用すると、口金ピン909が口金本体907内に入り、曲げ負荷が作用すると、口金ピン909における口金本体907により支持されている箇所で曲がってしまうのである。
【0009】
なお、口金ピン909に負荷が作用する例としては、ランプ901を照明装置に装着しようとする際に口金ピン909が照明装置のソケットに衝突したり、ランプ901が転がった際に周辺物に衝突したり等である。
本発明は、このような課題の解決するためになされたものであって、ランプの軸心に対して直交する方向に突出する口金ピンを有する蛍光ランプにおいて、口金ピンの破損を防止することのできる蛍光ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る蛍光ランプは、口金ピンを有する口金が発光管に装着されてなる蛍光ランプにおいて、前記口金は、前記発光管の端壁に装着される第1本体部と、前記第1本体部の一部から連出され前記発光管の周壁に装着される第2本体部とからなり、前記第2本体部は、その一部に口金ピンが立設されたピン設置領域を有し、前記ピン設置領域の残部が口金ピンの立設方向に隆起され、前記口金ピン保護用の保護部とされていることを特徴としている。
【0011】
保護部は、第2本体におけるピン設置領域の残部の全領域が保護部とされても良いし、残部の一部の領域が保護部とされていても良い。また、保護部の数は、一個でも良く、また2箇以上の複数であっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る蛍光ランプでは、口金に保護部を有しているため、口金ピンの損傷を防止できる。
また、前記口金のピンの高さは、前記発光管の表面からの前記保護部の頂部よりも低い
ことを特徴とし、あるいは、前記発光管は、その端部の周壁に排気管を備え、前記口金の保護部の内部が空洞になっており、前記空洞内に前記排気管が格納されていることを特徴としている。
【0013】
さらに、前記口金ピンの立設方向から前記口金を見たときに、前記ピン設置領域と前記保護部とが前記発光管の管軸方向に隣接していることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態に係るランプを示す斜視図。
【図2】ランプを図1のY方向から見た図。
【図3】図2のAA断面を矢印方向から見た図。
【図4】ランプを利用する照明装置を示す図。
【図5】変形例1に係るランプ端部の拡大図。
【図6】変形例2に係る口金の表側の斜視図。
【図7】変形例2に係る口金の平面図。
【図8】変形例2に係る口金の裏側の斜視図。
【図9】変形例2に係る口金に塗布する固着剤の様子を示す図。
【図10】変形例3に係る口金の正面図。
【図11】変形例3に係る口金の側面図。
【図12】変形例3に係る口金の表側の斜視図。
【図13】変形例3に係る口金の底面図。
【図14】検討中のランプの端部の構成を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態について、一例を示して説明する。なお、以下の説明で用いる形態は、本発明の構成および作用・効果を分かりやすく説明するために用いる一例であって、本発明は、その本質的な特徴部分以外に何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
<実施の形態>
本実施の形態に係る蛍光ランプ(以下、単に「ランプ」とする。)、照明装置の構成について、図を用いて以下説明する。
1.ランプの構成
図1は、本実施の形態に係るランプを示す斜視図である。図2は、ランプを図1のY方向から見た図である。図3は、図2のAA断面を矢印方向から見た図である。
【0016】
なお、図中のY方向はランプ1(発光管10)の管軸が延伸する方向(管軸方向ともいう。)であり、Z方向は口金ピン31の立設方向であり、X方向はランプ1の管軸方向と口金ピン31の立設方向との両方向に直交する方向である。
ランプ1は、図1から図3に示すように、細長い円筒形状の発光管10と、発光管10の端部に装着された口金30とを備える。口金30の口金ピン31は、発光管10の内部の電極22とリード23を介して電気的に接続する。
(1)発光管
発光管10は、例えば、ガラス管11と、ガラス管11の内面に形成された蛍光体層14と、このガラス管11の端部に取着されたステムマウント19とを備える。つまり、図1〜図3に示すように、周壁11aと端壁11bとを有する円筒状のガラス管11と、ガラス管11の内面に形成された蛍光体層14と、ガラス管11の周壁11aの端部に設けられた排気等に用いられた細管13と、ガラス管11の端壁11bに装着されたステムマウント19とを備える。
【0017】
細管13は、当該細管13の管軸がガラス管11の管軸と直交する方向に突出する状態で、ガラス管11に設けられている。
ガラス管11の端壁11bの略中央には開口11cが設けられており(図3参照)、この開口11cを塞ぐようにステムマウント19がガラス管11の端壁11bの開口11cの周辺部分に装着され、内部に後述の水銀等が封入されて発光管10が完成する。
【0018】
このため、ガラス管11の周壁11aが発光管10の周壁10aとなり、また同様に、ガラス管11の端壁11bが、後述のステム20と共に発光管10の端壁10bとなる。
蛍光体層14としては、例えば、一般的な三波長型蛍光体が用いられている。
発光管10は、ガラス管11の端壁11bの中央の開口11cを、後述のステム20により塞がれることにより構成されている。発光管10の内部には、放電物質である水銀(Hg)と、希ガスとしてのアルゴン(Ar)ガス等とが、細管13(図3参照。)を介して封入されている。細管13は、このような所定のガス等を封入した後、公知の技術によって、例えばチップオフ封止され、その後の発光管10の内部は密閉状の放電空間15となる。
【0019】
細管13は、ガラス管11の周壁11aの所定位置、例えば、放電空間15内に配される予定の電極(フィラメントコイル)22の位置よりもガラス管11の端壁11b側に装着されている。つまり、発光管10としたときに、細管13と発光管10の端(端部の外周縁)との距離が、電極22(フィラメントコイルのコイル軸)と発光管10の端(端部の外周縁)との距離よりも小さくなっている。
(2)ステムマウント
ステムマウント19は、図3に示すように、ステム20と、ステム20を貫通する一対のリード23と、当該一対のリード23間に支持された電極22とからなる。
【0020】
電極22は、コイル状をしたフィラメントコイルからなる。このフィラメントコイルは、当該フィラメントコイルの両端が一対のリード23のそれぞれ一端部に支持されて、リード23間に架設されている。
ステム20は、円盤状(板状でもある。)をしたガラス製の所謂ボタンステム(以下、「ステム」を「ボタンステム」とする。)20である。電極22のボタンステム20への取着は、一対のリード23がボタンステム20をその肉厚方向に挿通した状態で、リード23とボタンステム20とが密着した状態で接合されている。なお、電極22は、所謂、熱陰極タイプのものであり、少なくとも1ターン以上のコイル部分を有する。
【0021】
ガラス管11の端壁11bの開口11cの形状は例えば円形状をしている。ボタンステム20の外径は、ガラス管11の端壁11bの開口11cの直径より大きく、ボタンステム20にフィラメントコイルが存在している側の面(以下、「内面」とする。)の一部と、ガラス管11の端壁11bにおける開口11cの周辺部分(の外面)とが重なる状態で、前記ボタンステム20がガラス管11の端壁11b(端面)に溶着されている。
【0022】
ここで、ガラス管11にボタンステム20が溶着された状態では、発光管10の端面は、ボタンステム20の外面と、ガラス管11の端壁11bの外面であってボタンステム20が取着されていない端壁11bの面(つまり、ガラス管11の端壁11bのうち、ボタンステム20と重なり合っていない部分の外面)とからなる。なお、ここで端壁11bの面は、ガラス管11の長さ方向に対して直交あるいはガラス管11の内側に向かう角度で設けられ、その角度は約85度から90度の角度を有する。
【0023】
つまり、発光管10の端面は、発光管10をその管軸方向から(図1のY方向から)見たときに、発光管10の見えている部分(面)である。なお、ガラス管11の端壁11bとボタンステム20とが重なり合っている部分は溶着されているため円環状の溶着部となっている。
ここで、発光管10の端壁10bは、例えば、ガラス管11の端壁11bにおけるボタンステム20と溶着する部分及びその周辺が発光管10の内部側に窪んでおり、ボタンステム20の内面が、発光管10の端部の外周縁のなす仮想平面(図3の「P1」であり、発光管10の端壁の外面と同じになる。)よりも発光管10の内部側に位置している。つまり、ガラス管11の端壁11bは陥没する状態に窪んでおり、ガラス管11の端壁11bの前記窪んだ部分(開口11c周辺部分)にボタンステム20が存在し、ボタンステム20の外面が、発光管10の端部の外周縁のなす仮想平面P1と略面一になっている。
【0024】
なお、ランプ1の発光光束を確保する観点から、発光管10の周壁11aの内周面(ガラス管の内面)だけでなく、ボタンステム20における放電空間15側の面であって、ガラス管11の開口11cに対応する部分(つまり、放電空間に露出している部分)にも蛍光体層14aが形成されている。
発光管10の端壁10b(正確には、ボタンステム20の外面である。)からは、図2及び図3に示すように、一対のリード23が延出され、当該リード23が口金30の口金ピン31に電気的に接続されている。リード23のうち、発光管10の端壁10bから延出している部分を、単に、「リード23の延出部分」という。
【0025】
このリード23の延出部分は、図3に示すように、ボタンステム20から外方へと延出した直後に曲げられ(屈曲部23aである。)、ボタンステム20の外面及びガラス管11の端壁11b(発光管10の端壁10bである。)に沿って配され、発光管10の端壁10bと周壁10aとの境界付近で再度曲げられ(屈曲部23bである。)、発光管10の周壁10aであって端壁10bに近い部分(周壁端部10d)に沿って配され、口金30により覆われている。
(3)口金
口金30は、発光管10の端部に固着剤(例えば、シリコーン樹脂である。)を用いて装着されている。ここで、発光管10の端部とは、発光管10の周壁10aであって発光管10の端に近い部分(例えば、周壁端部10dである。)と、発光管10の端壁10bとを含むものとし、発光管10の周壁10aであって発光管10の端に近い部分とは、発光管10の端と、当該端から中央部側に少なくとも20(mm)移った位置との間との一部または全部分をいう。
【0026】
口金30は、発光管10に装着される口金本体32と、口金本体32に設けられ、かつ電極22を支持するリード23と接続される口金ピン31とを備える。なお、固着剤は、口金30における発光管10と接触する接着予定部に配され、その後、発光管10と口金30とが固着されている。なお、図1から図3では、リード23の配線、発光管10の端壁10b等の様子が分かるように、固着剤は図示していない。
【0027】
この口金30は、図1〜図3から分かるように、発光管10の端部の周壁10aの一部とボタンステム20とをすくなくとも覆うように設けられ、かつ発光管10の端壁10bの一部が外観視できる状態で設けられている。ここでいう、外観視できる状態とは、口金30により覆われていない部分が端壁10bに存在することである。
口金本体32は、例えば、樹脂材料により構成され、図1〜図3に示すように、発光管10の端壁10b(ボタンステム20)を覆う第1本体部33と、発光管10の周壁10aの端側(以下、周壁端部10dとする。)を覆う第2本体部34とを有している。これにより、口金30と発光管10との接合面積を広く確保することができ、口金30を充分な強度で発光管10に固着することができる。
【0028】
口金本体32、つまり、第1本体部33と第2本体部34とは、その内部が空洞であって発光管10側が開口している。このため、発光管10の端部に口金30が装着された状態では、図2及び図3に示すように、ボタンステム20から延出して、発光管10の端壁10bおよび周壁端部10dに沿って配されたリード23の延出部分が口金30の内部に格納されることとなる。
【0029】
第1本体部33は、図1〜図3に示すように、発光管10の端壁10bを覆うように、第2本体部34の一部から張り出し、その張出端(ボタンステム20と対向する側の端)が、発光管10の管軸方向から発光管10の端壁10bを見たときに、円状のボタンステム20の半径よりも大きな半径の半円状をしている。
第1本体部33には、発光管10の端壁10bを沿う一対のリード23の延出部分の間に仕切り壁35を有している。この仕切り壁35は、発光管10の端壁11bを沿う一対のリード23の延出部分と略並行に形成されており、第1本体部33を構成する底壁33aからボタンステム20側に突出する突出部分により構成されている。
【0030】
第2本体部34は、図1〜図3に示すように、口金ピン31を設置するピン設置部36と、口金ピン31の保護用の保護部37とを有する。ピン設置部36及び保護部37は箱状をし、一対の口金ピン31は、ピン設置部36の上壁36aに立設されており、当該上壁36aがピン設置領域となる。
一対の口金ピン31は、図1及び図3に示すように、発光管10の管軸及び口金ピン31に直交する方向(この方向を、「口金ピンの並び方向」といい、図2におけるX方向である。)に所定の間隔をおいて、発光管10の管軸に直交する方向に延出する状態でピン設置部36に設けられている。
【0031】
保護部37は、第2本体34のピン設置領域を除く部分が口金ピン31の立設方向に、ピン設置部36よりもさらに高く隆起し、口金ピン31の先端は、発光管10の管軸を基準にして、保護部37の頂部よりも低くなっている。
保護部37は、口金ピン31の延伸する方向から口金30を見たときの形状が四角形の平坦な上壁37aと、四角形状の上壁37aの端縁から発光管10側に立設する側壁37b,37c,37d,37eを備え、側壁37bが一対の口金ピン31に対向している。なお、保護部37における側壁37bと対向する側壁37dは、第1本体部33の上壁(端壁)33aと繋がっている。
【0032】
また、保護部37の上壁37aの口金ピンの並び方向(X方向)の寸法、つまり、側壁37cの外面と側壁37eの外面との距離は、一対の口金ピン31を結ぶ線分の寸法(一対の口金ピンの距離が離れている外周面間の距離である。)よりも大きくなっている。
保護部37は、図3に示すように、口金ピン31の立設方向から口金30を見たときに矩形状をする箱状をし、上壁37a、側壁37b,37c,37d,37eから構成される。発光管10の管軸方向の中央側に位置する端壁37bが、一対の口金ピン31と対向し、口金ピン31の立設方向に立設している。
【0033】
保護部37の内部は空洞となっており、この空洞に発光管10の周壁端部10dに設けられた細管13が格納される。
上記構成のランプ1では、口金30の口金ピン31に隣り合う部位が口金ピン31の立設方向に突出して保護部37となっている。このため、例えば、口金30に対して何らか物体が衝突するような場合でも、口金ピン31に衝突する可能性を低くできる。
【0034】
また、保護部37における口金ピン31の並び方向の寸法が、一対の口金ピン31を結ぶ線分寸法よりも大きい(つまり、保護部37がピン設置領域の幅よりも広い。)ため、保護部37側からの物体の飛翔に対して口金ピン31への直接の衝突を回避することができ、たとえ衝突した場合でも口金ピン31に作用する負荷を少なくできる。
また、口金30は、第2本体部34に保護部37よりも低いピン設置部36の上壁36aに口金ピン31を備え、保護部37内に細管13を格納しているので、例えば、背景技術で説明したランプに比べて、口金(第2本体部)の厚みを薄くできる。
【0035】
さらに、口金30の第1本体部33に仕切り壁35が形成されているため、リード23の延出部分が口金ピン31に接続されるまでの間に、発光管10の端部に沿って複数箇所で屈曲するような場合であっても、口金30の内部で一対のリード23が互いに接触するのを防止することができる。
2.実施例
本実施の形態に係る実施例の一例を説明する。
【0036】
発光管10(ガラス管11)の外径が25.5(mm)、内径が24.1(mm)である。ガラス管11の開口11cの直径が9.8(mm)、ボタンステム20の外径が12.5(mm)である。発光管10の全長は、1200(mm)である。
口金30の第1本体部33の管軸と直交する方向(口金ピン31の立設方向)の長さL1(図3参照)が28(mm)で、管軸方向の厚さt1(図3参照)は2.5(mm)である。また、第2本体部34の管軸方向の長さL2(図3参照)が38(mm)であり、口金30の幅W(一対の口金ピン31が並ぶ方向の寸法であり、図2参照)が13(mm)である。
【0037】
ピン設置部36の管軸方向の長さL3(図3参照)は、15(mm)で、保護部37の管軸方向の長さL4(図3参照)は23(mm)である。また、ピン設置部36の管軸方向と直交する方向の厚さt2(図3参照)は、4.5(mm)で、保護部37の管軸方向と直交する方向の厚さt3(図3参照)は10.5である。
3.照明装置
上記構成のランプ1を構成要素として有する本実施の形態に係る照明装置について、図4を用い説明する。
【0038】
図4は、ランプ1を利用する照明装置を示す図であり、併せて隣接するランプ間の部分を拡大して示した図である。
照明装置40は、図4に示すように、一例として、2本のランプ1を備え、当該2本のランプ1は、直列配置される。照明装置40には、器具本体42に4つのソケット43が配設されている。器具本体42上における4つのソケット43のそれぞれは、ランプ1の口金ピン31の装着を受け入れる。このため、4つのソケット43は、Y軸方向に直列配置されている。
【0039】
また、実施の形態に係る照明装置40では、器具本体42のソケット43に2本のランプ1の口金ピン31をそれぞれ差し込むことにより、2本のランプ1が直列配置される。この場合、図4の円で囲む部分に示すように、ランプ1とランプ1との長手方向(Y軸方向)における隙間Dは、ランプ1の管軸方向の寸法において口金30の厚みを小さくすることができ、従来の長手方向端部に口金を有するランプに比べて狭くすることができる(3.ランプ及び照明装置の優位性の欄で説明。)。
【0040】
また、口金30の第2本体部34において、保護部37内に細管13を格納することで、ピン設置部36の高さを低くすることができ、照明装置40にランプ1を装着した際に、口金ピン31の延出する方向における照明装置40と発光管10との間隔(図中の「H」である。)を小さくできる。
なお、本実施の形態での器具本体42は、天井41に埋設されたタイプであるが、当然、天井41に装着されるタイプであっても良い。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記の実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を実施することができる。
1.ランプについて
上記実施の形態では、直管形であって口金30のランプ1の管軸方向の厚みの薄いランプ1を一例として用いたが、円環形のランプに対して本発明を適用することも可能である。円環形のランプに対して本発明を採用する場合にも、発光管の管軸と直交する方向に口金ピン31を備えていても、口金30における口金ピン31の隣接部分が突出しているので、当該部分で口金ピン31を保護できる。
【0041】
また、発光管の一方の端部と他方の端部との間隔を小さくできるため意匠性の優れたランプを得ることができ、さらにランプの端部同士の接近箇所間における非発光領域を少なくすることができ、1本のランプが切れ目のない円環状に光っているようにすることができる。
2.蛍光体材料
上記実施の形態では、蛍光体層14の構成材料として特に説明しなかったが、一般的にランプの形成において用いられている蛍光体材料を適宜利用することができる。
3.ステムの位置
上記実施の形態では、発光管10の管軸と直行する方向から発光管10の端部を見たとき(つまり、図3である。)に、ボタンステム20の外面と、発光管10の端部の外周縁のなす仮想平面P1とが略一致して(略面一状になって)いたが、ボタンステムの外面が、発光管の端部の外周縁のなす仮想平面よりも、発光管の内側(他端側)に位置していても良い。以下、変形例1として説明する。
【0042】
図5は、変形例1に係るランプ端部の拡大図である。
ランプ101は、実施の形態と同様に、発光管103、口金105を有する。口金105は、固着剤で発光管103の端部に固着され、また、口金ピン107を備え、ボタンステム109から延出するリード111の延出部分の先端が口金ピン107に接続されている。なお、固着剤は、口金105の内部に配されているが、リード111の延出部分の配線等の様子が分かるように、その図示を省略している。
【0043】
発光管103は、ガラス管113と、ガラス管113の内面に形成された蛍光体層115と、このガラス管113の端壁113bに取着されたステムマウント117と、細管119とを備える。なお、ガラス管113は、周壁113aと両端の2つの端壁113bとを有し、端壁113bの中央には開口113cが設けられている。
ここでも、ガラス管113にステムマウント117のボタンステム109が装着され、内部に後述の水銀等が封入されて発光管103が完成すると、ガラス管113の周壁113aが発光管103の周壁103aとなり、また同様に、ガラス管113の端壁113bとボタンステム109とが発光管103の端壁103bとなる。
【0044】
ボタンステム109は、その内面の一部と、ガラス管113の端壁113bにおける開口113cの周辺部分とが重なる状態で、ガラス管113の端壁113bに溶着されている。
ここでも、ガラス管113にボタンステム109が溶着された状態では、発光管103の端面は、ボタンステム109の外面と、ガラス管113の端壁113bであって封着されているボタンステム109の周囲の外面とからなる。
【0045】
発光管103の端壁103bは、例えば、発光管103の端部の外周縁からボタンステム109の外縁に向かって傾斜する状態で窪んでおり、ボタンステム109の外面が、発光管103の端部の外周縁のなす仮想平面(図中の「P2」である。)よりも発光管103の内部側に位置している。
上述のように、発光管103のボタンステム109を取着している端壁103bが陥没しているため、ボタンステム109の外面が発光管103の端部の外周縁のなる仮想平面P2よりも発光管103の内側に位置することとなり、口金105の発光管103の端壁103bからの張り出しを少なくすることできる。
【0046】
変形例1に係る口金105は、実施の形態に係る口金30と同様に、第1本体部121と第2本体部123とを有し、さらには、第2本体部123は、ピン設置部125と保護部127とを有する。
ピン設置部125の高さは、保護部127よりも低く、ピン設置部125の上壁に口金ピン107が立設され、保護部127の内部に細管119が格納されている。
【0047】
発光管103と口金105との固着強度については、発光管103の端壁103bと口金105とを固着する固着剤が、ボタンステム109の外面が発光管103の端部の外周縁のなす仮想平面P2よりも発光管103の内側に窪んだ部分に入り込むことにより、固着剤が発光管103の端壁103bに掛止すると共にその固着面積が広くなり、結果的に固着強度を向上させることとなる。
【0048】
変形例に係るランプ101では、発光管103の端壁103bの出っ張りを無くしたため、発光管103の端壁103bと口金105との掛止箇所が無くなるが、固着剤が発光管103の端壁103bの窪みに入り込むので固着強度が問題のない範囲で確保でき、口金105の突出量を低減できるためランプ101間の暗部の範囲の少ないランプ照明を実現することができる。
4.口金
(1)構造
実施の形態及び変形例1に係る口金30,105は、第1本体部33,121と、第2本体部34,123とを有し、第1本体部33,121は箱状をしていたが、他の構造であっても良い。以下、変形例2,3として説明する。
【0049】
図6は変形例2に係る口金の表側の斜視図であり、図7は変形例2に係る口金の平面図であり、図8は、変形例2に係る口金の裏側の斜視図である。
口金201は、実施の形態及び変形例1と同様に、口金本体203と口金ピン205とを備える。
口金本体203は、発光管の端壁の一部を覆い端壁に装着される第1本体部207と、発光管の周壁の一部を覆い周壁に装着される第2本体部209とを備える。
【0050】
第1本体部207は、図6及び図8に示すように、例えば一端が円弧状をした矩形の平板部材211から構成され、第2本体部209は内部に空間を有する箱状のピン設置部213と保護部215とから構成されている。
平板部材211は、ピン設置部213の1つの側面213aに、当該側面213aから連出するように設けられている。なお、矩形の平板部材211における長手方向と、平板部材211の連出方向とは略一致している。
【0051】
第1本体部207は、図8に示すように、発光管の端壁から延出する一対のリードの延出部分に対応して、平板部材211の裏側に一対の溝217を有している。溝217は、平板部材211のピン設置部213の側面213aからの連出方向と略平行に形成され、口金201を発光管の端部に装着したときに、一対のリードの延出部分がその内部に配される(格納される)ようになっている。
【0052】
一対の溝217の間には、平板部材211を構成する部材がそのまま残り、一対のリード同士の接触を防ぐ仕切り部219となっている。
溝217の第2本体部209側の端(図6の上端、図8の下端である。)は、図6及び図7に示すように、平板部材211の側面211aを貫通して外部にまで続いており、この溝217に連続する貫通孔221となっている。なお、貫通孔221の形成方向(貫通方向)の仮想延長上にはリードが存在し、その視野領域内にリードの延出部分が存在する。
【0053】
第2本体部209は、図6〜図8に示すように、高さの異なるピン設置部213と保護部215とを有する。ピン設置部213は、保護部215よりも低く、ピン設置部213の上壁213aがピン設置領域となっており、この領域に一対の口金ピン205が立設している。なお、この口金ピン205は、実施の形態や変形例と同様に、発光管の管軸に対して直交する方向に立設(延伸)している。
【0054】
保護部215の内部には、図8に示すように、空間223があり、この空間223に発光管の細管(例えば、図3の「13」である。)は格納される。このため、口金ピン205が設けられているピン設置部213の高さを低くすることができる。なお、変形例2に係る口金201を用いる場合、発光管の細管位置は、放電空間内に配される予定の電極(フィラメントコイル22)の位置よりも、ガラス管(11)の周壁(11a)の管軸方向であってガラス管(11)の中央部側に装着されることになる。
【0055】
保護部215の高さは、発光管の管軸を基準とした場合(あるいは、発光管の表面を基準とした場合)に、ピン設置部213に設けられた口金ピン205の高さ(ピン設置部213の高さと口金ピン205の高さとの和である。)と略一致し、口金ピン205に物が衝突するのを防いだり、ランプを照明装置に装着する際にガイドの役割をしたりする。
第2本体部209は、図8に示すように、口金ピン205と平行な方向に延伸するリブ部225を内面に複数有し、発光管への装着時に、第2本体部209の内部に配された固着剤(図9の「227a」である。)を保持するようになっている。
【0056】
第2本体部209の内部は、図8に示すように、口金ピン205を保持するピン保持部228の間に、ピン設置部213の上壁213aの裏面(上面の反対側の面である)から発光管側(平板部材211の張り出し方向と平行な方向であって、口金ピン205の突出する方向と反対側である。)に突出して、仕切り部219につながる第2の仕切り部229を備える。
【0057】
図9は、変形例2に係る口金に塗布する固着剤の様子を示す図である。
口金201を発光管の端部に装着するための固着剤227は、図9に示すように、第2本体部209の内面の複数のリブ部225の上面(発光管の周壁と対向する面)に跨るように配され(図9において「227a」で示す。)、また、平板部材211における溝217の周囲(ここでは、溝217間には固着剤が配されていない。)に配されている(図9において「227b」で示す。)。なお、図9の固着剤227は、模式的に帯状で示しており、使用する固着剤の種類や粘性等によっては、異なる形状で所定範囲に配される。
【0058】
口金201の発光管への装着は、例えば、固着剤(例えば、シリコーン樹脂である。)227を上記所定範囲に塗布した後、発光管の端壁から延出しているリードの延出部分の先端を口金201の口金ピン205に挿通させる。そして、一対のリードの延出部分が、口金201の平板部材211の溝217内に配され、仕切り部219,229により仕切られるように、口金201を発光管の端部に押圧し、固着剤227を加熱硬化させる。
【0059】
上記口金201においては、実施の形態で説明した以外に、固着剤227が口金201の内部全体に配されていない(つまり、口金201の内部に空間を残して固着剤227が配されている。)ため、貫通孔221からの口金201内の視野領域が広がり、口金201の内部のリードの延出部分の様子が観察されやすくできる。
また、固着剤227は、口金201の内部に空間を残す状態で配され、この空間が貫通孔221と連通する。このため、例えば、固着剤227の加熱硬化時、口金201を構成する樹脂の加工乾燥時、経年劣化時及び発光管の寿命末期に生じる電極の異常発熱時に、固着剤227や口金(口金本体)を構成する樹脂から発生したガスを、口金201内部に溜まることなく外部へと流出させることができる。
【0060】
図10は変形例3に係る口金の正面図であり、図11は、変形例3に係る口金の側面図である。図12は変形例3に係る口金の表側の斜視図であり、図13は変形例3に係る口金の底面図である。
口金301は、実施の形態及び変形例1並びに変形例2と同様に、口金本体303と口金ピン305とを備える。口金本体303は、第1本体部307と第2本体部309とを備える。
【0061】
第1本体部307は、図10〜図13に示すように、変形例2と同様に、例えば一端が円弧状をした矩形の平板部材311から構成され、第2本体部309は内部に空間を有する箱状のピン設置部313と保護部315とから構成されている。
第1本体部307は、一対のリードの延出部分用の溝317を一対で有し、また、一対の溝317間に仕切り部319を有し、口金301を発光管の端部に装着したときに、一対のリードの延出部分がその内部に格納される。なお、この溝317は、平板部材311の側面311aを貫通する貫通孔321とつながっている
第2本体部309は、図10〜図12に示すように、高さの異なるピン設置部313と保護部315とを有し、高さの低いピン設置部313の上壁313aに一対の口金ピン305が設けられている。
【0062】
保護部315の内部には、図12及び図13に示すように、発光管側が開口するような空間323があり、この空間323に発光管の細管は格納される。なお、保護部315の高さは、ピン設置部313に設けられた口金ピン305の高さと発光管の管軸を基準にした場合に略一致している。
第2本体部309の内面には、図12及び図13に示すように、リブ部325が複数形成され、第2本体部309に配された固着剤(例えば図9の「227a」である。)を保持するようになっている。
【0063】
第2本体部309は、図12及び図13に示すように、その内部であって口金ピン305を保持する保持部327間に、仕切り部329を備える。仕切り部329は、発光管の周壁端部に沿って配されている一対のリードの延伸部分と平行な方向に延伸する第1の仕切り部331と、当該第1の仕切り部331と直交する方向に延伸する第2の仕切り部333とを備える。
(2)口金ピン
実施の形態等では、一対の口金ピン31は発光管10の管軸方向と当該口金ピン31の立設方向とに直交する方向に並んでいるが、一対の口金ピン31の並び方向は、これに限定するものではなく、例えば、発光管の管軸方向に並んでいても良い。
(3)保護部
実施の形態では、保護部37の上壁37aは平坦であったが、ドーム状・錘状その他の形状に膨出していても良いし、逆に凹入していても良い。
【0064】
実施の形態では、保護部37は箱状(つまり、四角柱状(内部は空洞である。)である。)をしていたが、例えば、円柱状、楕円柱状、四角柱以外の多角柱状等であっても良いし、さらには、円錐状、楕円錘状、三角錐状等の多角錘状であって良いし、また、裁頭円錐状、裁頭楕円錘状、裁頭多角錘状であっても良い。なお、これらの保護部の内部が空洞である場合、その内部に細管を格納することができ、また、原材料費の削減もできる。
【0065】
また、実施の形態では、保護部37の数は1個であったが、2個以上の複数個であっても良い。例えば、口金ピンを挟むように保護部を2個設けても良いし、さらには、口金ピンを囲うように保護部を3個以上設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、口金ピンが破損し難い構造の蛍光ランプを提供するのに利用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 ランプ
10 発光管
10b 端壁
19 ステムマウント
20 ボタンステム
22 電極
30 口金
35 仕切り部
36 ピン設置部
37 保護部
40 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口金ピンを有する口金が発光管に装着されてなる蛍光ランプにおいて、
前記口金は、前記発光管の端壁に装着される第1本体部と、前記第1本体部の一部から連出され前記発光管の周壁に装着される第2本体部とからなり、
前記第2本体部は、その一部に口金ピンが立設されたピン設置領域を有し、前記ピン設置領域の残部が口金ピンの立設方向に隆起され、前記口金ピン保護用の保護部とされている
ことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項2】
前記口金のピンの高さは、前記発光管の表面からの前記保護部の頂部よりも低い
ことを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
【請求項3】
前記発光管は、その端部の周壁に排気管
を備え、
前記口金の保護部の内部が空洞になっており、前記空洞内に前記排気管が格納されている
ことを特徴とする請求項2に記載の蛍光ランプ。
【請求項4】
前記口金ピンの立設方向から前記口金を見たときに、前記ピン設置領域と前記保護部とが前記発光管の管軸方向に隣接している
ことを特徴とする請求項3に記載の蛍光ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−244713(P2010−244713A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89040(P2009−89040)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】