説明

蛍光灯の点灯装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は蛍光灯の点灯装置に係り、特に蛍光灯の点灯によって、テレビジョン、オーディオビジュアル機器などのリモコン操作によるテレビジョン、オーディオビジュアル機器などの誤動作を発生させない蛍光灯の点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、蛍光灯の点灯装置には、複数個の高周波点灯蛍光灯とそれらの蛍光灯を点灯させる点灯回路が備えられているものなどがあった。この種の点灯装置では、それぞれ固有の周波数で発振し、その固有の発振周波数で蛍光灯をそれぞれ点灯させていた。かかる点灯装置の一例としては、図7に示す回路がある。図7において、50〜52は高周波点灯用の蛍光灯で、これら高周波点灯蛍光灯50〜52を点灯させる回路が高周波点灯回路53〜55である。これらの高周波点灯回路53〜55は交流電源ラインに接続されている。なお、蛍光灯として高周波点灯蛍光灯について説明したが、これと同様に高周波点灯の放電灯にも適用されていた。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】しかしながら、従来のこの種の点灯装置では、高周波点灯回路53〜55はそれぞれ固有の発振周波数で高周波点灯蛍光灯50〜52を点灯させていたため、赤外線を使用したリモート・コントロール(「リモコン」)機器を備えたオーディオビジュアル(以下、「AV」という)機器などの普及により、前記高周波点灯回路53〜55の点灯周波数がお互いに干渉し合い、疑似リモコン信号を発生させることがあった。そして、このリモコン機器では、複数個の蛍光灯の点灯周波数がお互いに干渉しAV機器などの誤動作の原因になる疑似リモコン信号により制御を攪乱する結果、AV機器などの誤動作を生じる虞れがあった。そのため、例えば、リモコン機器側で上記複数個の蛍光灯の点灯周波数の干渉を防止するには、複雑な処理をリモコンでさせなければならず、リモコンのコストが嵩む要因になる虞れがあった。
【0004】そこで、本発明は複数の蛍光灯の点灯時に、同期またはスタガ同調による点灯により、点灯周波数の干渉を防止する蛍光灯の点灯装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための手段として本発明は、他の点灯装置と接続される接続手段と、所定の発振周波数で発振する発振手段と、前記発振手段からの出力信号に基づいて、前記接続された他の点灯装置と起動タイミングを合わせるように、蛍光灯の起動タイミングを決定するタイミング決定手段と、前記タイミング決定手段からの起動タイミングに基づいて電圧を発生し、蛍光灯を点灯する電圧発生手段と、前記発振手段からの出力信号を同期信号として前記他の点灯装置に出力する出力手段とを有するものである。また、他の点灯装置と接続された蛍光灯の点灯装置であって、前記他の点灯装置から同期信号を入力する入力手段と、前記入力手段からの同期信号に基づいて、前記接続された他の点灯装置と起動タイミングを合わせるように、蛍光灯の起動タイミングを決定するタイミング決定手段と、前記タイミング決定手段からの起動タイミングに基づいて電圧を発生し、蛍光灯を点灯する電圧発生手段とを有することを特徴とする。
【0006】
【作用】外部同期信号に応答して蛍光灯の起動タイミング決定回路で決定し、そのタイミング決定回路で決定したタイミングに基いて蛍光灯の点灯回路を付勢する駆動回路を動作する。また、蛍光灯に対応してそれぞれ複数の外部同期信号に応答して蛍光灯の点灯タイミング決定回路で決定し、そのタイミング決定回路で決定したタイミングに基いて蛍光灯の点灯回路を付勢する駆動回路を独立して設けて、それぞれの蛍光灯を同期して点灯させ、複数個の高周波点灯蛍光灯の点灯周波数の干渉を防止する。さらに、各蛍光灯点灯手段のそれぞれの蛍光灯駆動周波数をわずかずつ異なる周波数にして各蛍光灯のスタガ点灯タイミングを決定し、そのタイミングで蛍光灯の点灯回路を動作する。この際には、複数の駆動周波数を選択し相互にずらすことで相互干渉を避けるようにする。
【0007】
【実施例】本発明蛍光灯の点灯装置の実施例について図に基づいて説明する。図1は本発明の蛍光灯の点灯装置の一実施例を示す回路図、図2は本発明の蛍光灯の点灯装置の全体構成を示す概要説明図である。なお、図1の回路図は蛍光灯を同期して点灯させる回路の例を示すものである。これらの図において、1は蛍光灯2を点灯するための点灯回路を示すもので、この点灯回路1は高電圧を発生させる発生部3と点灯時を規定する点灯タイミング制御部4とから構成されている。図2において、高周波点灯蛍光灯2は、高周波点灯蛍光灯2A〜2Cで、これらの高周波点灯蛍光灯2A〜2Cを点灯する高周波点灯回路1は、高周波点灯回路1A〜1Cである。これらの構成はまったく同じ構成のものを3つ電源ラインに沿って接続したものである。
【0008】上記高電圧発生部3は、交流電圧100VがA,ノードから入力するブリッジ回路から成る整流回路5と、整流回路5のDノードとEノード間に接続される抵抗6と、EノードとFノード間に接続されるコンデンサ7と、GノードとHノード間に接続されるコンデンサ8と、HノードとIノード間に逆方向に接続されるダイオード9と、Jノードとノード間に接続されるョークコイル10と、チョークコイル10のノードとコレクタが接続され、エミッタが前記Iノードに接続されるトランジスタ11と、蛍光灯2の電極2bと一方が接続され、他方が前記ノードに接続されるチョークコイル12及びトランジスタ11のベース電圧を制御してトランジスタ11を動作させる駆動回路とから構成される。そのため、高電圧発生部3では、駆動回路13を動作させることにより、トランジスタ11を動作させて周波電力を蛍光灯2に供給し蛍光灯を点灯させるようになっている。なお、14はコンデンサで、蛍光灯2のヒータ2a,2bを予熱するためのコンデンサである。
【0009】上記点灯タイミング制御部4は、入力端子27の入力端子27aと接続されている、ホトカプラ15の発光素子である光ダイオード15aのアノード側で、光ダイオード15aのカソード側は抵抗14を介して入力端子27bに接続されている。ホトカプラ15の受光素子である光トランジスタ15bのベースには、抵抗29を介してノードXで光トランジスタ15bのエミッタと接続されている。そのため、入力端子27に入力した電気信号は、光ダイオード15aで電気信号から光信号に変換され、光トランジスタ15bが導通して、次の同期点灯回路の抵抗17とダイオード18に電流が流れる。
【0010】点灯タイミング制御部4のノードNとノードとの間には、逆方向に定電圧用のツェナーダイオード16が接続され電圧をクランプし、上記光トランジスタ15bに過電圧が印加してトランジスタを壊さないように保護する。点灯タイミング制御部4のノードSとノードTとの間には、抵抗19が接続され、ノードTとノードU間には、コンデンサ20が接続されている。また、点灯タイミング制御部4のノードTとノードRとの間には、順方向にダイオード18が接続され、ノードからノードRに順方向に電流が流れる。
【0011】発振器21はAND回路22の一方の入力端子に接続され、AND回路22の他方の入力端子はノードV、ノードTに接続されている。このノードTは、ノードTとノードRとの間のダイオード18と、ノードTとノードUとの間のコンデンサ20でピークホールド回路を構成し、上記ホトカプラ15の光トランジスタ15bのコレクタがオフし続けるとき、AND回路22の論理積出力が得られる。また、AND回路23の一方の入力端子は、上記ホトカプラ15の光トランジスタ15bのコレクタに接続され、AND回路23の他方の反転入力端子はノードVと接続されている。AND回路23にはホトカプラ出力があるとき、AND回路23の論理積出力が得られる。また、OR回路24にはAND回路22とAND回路23のいずれかの論理積出力があるき、上記高電圧発生部3の駆動回路13に電流が流れ、駆動回路13を動作させてトランジスタ11のベースにベース電圧を印加してトランジスタ11を動作させることにより、高周波電力を高周波点灯蛍光灯2に供給して高周波点灯蛍光灯2を点灯させることができる。
【0012】上記同期点灯回路では、OR回路24の出力側はトランジスタ25のベースに接続され、トランジスタ25のコレクタが上記ノードS,P,N,K,Eを経て整流回路5のノードDに接続されると共に、トランジスタ25のエミッタが抵抗26を介して出力端子28の出力端子28aに接続されるので、OR回路24の出力信号があるとき、トランジスタ25のベースにベース電圧が印加すると、トランジスタ25が動作し、上記入力端子27から入力した信号を出力端子28より出力することができるようになる。従って、この同期点灯回路では、入力した電気信号をホトカプラ15、ゲート回路であるAND回路23及びOR回路24を経て出力端子28に出力することができ、図2に示す高周波点灯回路1Aから次段の高周波点灯回路1Bに信号を送ることができるので、高周波点灯蛍光灯2A〜2Cを同期させて同時に点灯させることが可能になる。それ故に、各高周波点灯蛍光灯2A〜2Cの点灯周波数を合わせることにより、点灯周波数が個々に相違することにより生じる干渉をなくすことができる。そのことから、例えば、AV機器などでリモコン操作する場合に、その干渉にが原因となるリモコン操作不能、リモコン誤操作などを防止することが可能になる。
【0013】図3及び図4は同期用の入力信号が入力していない場合と、同期用の入力信号が入力している場合の時間t〜t10における具体的な電圧レベルを示すタイミングチャートを示す図である。図3において同期用の入力信号が入力していない場合には図3(i)は、図1のノードTにおける電圧レベルがハイレベル(Hレベル)で、発振器21の出力(I)がハイレベル(Hレベル)であるから、AND回路22は論理積出力を出力するが、AND回路23にはホトカプラ15を経て入力信号が入力されないので、AND回路23は論理積出力が得られない。この際には、OR回路24の入力端子にAND回路22から信号が入力するため、出力信号図3(II)が得られる。すなわち、このときには、発振器21が選択されることになり、上述のように駆動回路13、トランジスタ11を順に動作させ、高周波電力を高周波点灯蛍光灯2に供給して高周波点灯蛍光灯2を点灯させる。この時には、同時に出力端子28から発振器21の信号が出力する
【0014】図4の(i)に示すように同期用の入力信号が入力している場合には、ホトカプラ出力はノードRで図4(R)になり、ノードTではダイオード18とコンデンサ20のピークホールド回路で図4(T)のようにローレベル(Lレベル)になるので、AND回路22の出力はローレベル、AND回路23の出力はノードRと同じになり、OR回路24から図4(II)のように同期の入力信号が選択され出力される。
【0015】なお、上記入力端子27には、ダイオードブリッジ回路(図示省略)を接続したり、ホトカプラ15のホトダイオード15aと共に、ホトダイオード15aと並列に逆方向にホトダイオード(図示省略)を接続し、両極性のホトカプラ15にすることにより、入力端子側を無極性にし、蛍光灯取付け時の配線工事ミスを防止することが可能になる。また、上記ノードXからノードY間の同期結線は、例えばホトカプラ15の光トランジスタ15bのエミッタに抵抗(図示省略)を介してホトダイオード(図示省略)のアノード側を接続し、光ファイバケーブル(図示省略)により光信号を送り、光電変換器(図示省略)で電気信号に変換した後、上記トランジスタ25のベース側に印加し、トランジスタ2を導通させることにより、同期信号を出力端子28より出力するようにしてもよい。この時には、同期用の発振器21を独立におくことが可能になるので、容易に全体の調光をすることが可能になるなどの作用を得ることができる。
【0016】上記入力端子27、出力端子28はスイッチで図5に示すように並列接続することが可能である。ボード30は入出力端子ボード30A〜30Dで、それぞれのスイッチ31を入出力端子ボード30Aのスイッチ31Aは出力に入出力端子ボード30B〜30Dのスイッチ31B〜31Dは入力に設定する。このように出力用端子ボードと30Aと入力用端子ボード30B〜30Dを並列接続することにより、同期点灯を容易にすることができる。
【0017】図3の発振器21としては、セラミック発振子あるいは水晶発振子を用いいることが可能である。この場合には同期用の入力端子を省略し、複数の発振器21間の周波数の差が図6の斜線で示した範囲に入らないように選択し、図1の高周波点灯回路1により、高周波点灯蛍光灯2を点灯させる。ここで具体的には、フレーム同期に相当するものはその斜線で示す範囲の6〜33Hz、リーダパルスに相当するものは50〜200Hz、リモコンビット周波数に相当するのは、500〜2500Hzであるとする。このとき、周波数に0.5%(200Hz)の誤差があるとすると、2個の蛍光灯2,2間では1%(400Hz)の誤差を見込めばよいことになる。この際には、例えば、図6から2個の蛍光灯2,2間では、同期点灯ではなく、スタガ同調となり、2500(Hz)+400(Hz)=2900(Hz)
以上のタイミングの差をもってスタガ同調にすれば複数の点灯周波数を選択し、相互にずらすことで相互干渉を避けるようにすることが可能になる。
【0018】上記スタガ同調による点灯方式と同期点灯方式による具体的な例を以下に説明する。スタガ点灯方式の点灯周波数の例を示すと、(例1)スタガ点灯方式蛍光灯A:43000(Hz)
蛍光灯B:43000+2900=45900(Hz)
蛍光灯C:45900+2900=48800(Hz)
とする。すなわち、蛍光灯Aの点灯周波数に2900(Hz)を加算し蛍光灯Bの点灯周波数とし、蛍光灯Bの点灯周波数にさらに2900(Hz)を加算して階層的に周波数を増加することができ、リコモンの種類を考慮して点灯周波数を規定することが可能になる。また、上記同期点灯方式では例えば、(例2)同期点灯方式蛍光灯A:44800(Hz)
蛍光灯B:44800(Hz)
蛍光灯C:44800(Hz)
と点灯周波数を選択することができる。この同期点灯方式では、高周波点灯蛍光灯の定格である周波数帯(40000〜50000Hz)までから点灯周波数を任意に選択することができる。
【0019】上記点灯装置では、高周波点灯蛍光灯2は、2灯以上で使用することできるもので、同期点灯により、複数個の高周波点灯蛍光灯の点灯周波数の干渉の防止することができるだけでなく、スタガ点灯により、複数の点灯周波数を選択し、相互にずらすことで相互干渉を避けるようにすることが可能になる。なお、上記実施例では、同調点灯あるいはスタガ点灯のそれぞれについて説明したが、これらに限定されるものだけではなく、例えば同調点灯とスタガ点灯をを混在した高周波点灯回路を構成することも可能である。なお、上記本発明は、高周波点灯蛍光灯について説明したが、高周波出力点灯可能な放電灯などにも適用することができることは言うまでもない。したがって、本発明においては、「蛍光灯」の語には放電灯も含まれる。
【0020】
【発明の効果】上記のように本発明によれば、同調点灯またはスタガ点灯により点灯周波数の干渉が生じないように設定することで、リモコン機器の誤動作をなくすことで、テレビジョン及びオーディオビジュアル機器のコントロールを確実に行うことができるなどの優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛍光灯の点灯装置の一実施例の要部の回路図である。
【図2】本発明の蛍光灯の点灯装置の全体構成を示す概要説明図である。
【図3】本発明の蛍光灯の点灯装置の一実施例である図1R>1の要部における出力電圧のタイミング・チャートを示す図である。
【図4】本発明の蛍光灯の点灯装置の一実施例である図1R>1の要部における出力電圧のタイミング・チャートを示す図である。
【図5】本発明の蛍光灯の点灯装置の一実施例の要部の回路図である。
【図6】本発明の蛍光灯の点灯装置の一実施例である同期点灯とスタガ点灯の例を説明するための周波数レンジである。
【図7】従来の蛍光灯の点灯装置の一例の全体構成を示す概要説明図である。
【符号の簡単な説明】
1 高周波点灯回路
2 高周波点灯蛍光灯
3 高電圧発生部
点灯タイミング制御部
整流回路
10 チョークコイル
11 トランジスタ
12 チョークコイル
13 駆動回路
14 コンデンサ
15 ホトカプラ
16 ツェナーダイオード
21 発振器
22 AND回路
23 AND回路
24 OR回路
25 トランジスタ
27 入力端子
28 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】他の点灯装置と接続される接続手段と、所定の発振周波数で発振する発振手段と、前記発振手段からの出力信号に基づいて、前記接続された他の点灯装置と起動タイミングを合わせるように、蛍光灯の起動タイミングを決定するタイミング決定手段と、前記タイミング決定手段からの起動タイミングに基づいて電圧を発生し、蛍光灯を点灯する電圧発生手段と、前記発振手段からの出力信号を同期信号として前記他の点灯装置に出力する出力手段と、を有する蛍光灯の点灯装置。
【請求項2】他の点灯装置と接続された蛍光灯の点灯装置であって、前記他の点灯装置から同期信号を入力する入力手段と、前記入力手段からの同期信号に基づいて、前記接続された他の点灯装置と起動タイミングを合わせるように、蛍光灯の起動タイミングを決定するタイミング決定手段と、前記タイミング決定手段からの起動タイミングに基づいて電圧を発生し、蛍光灯を点灯する電圧発生手段と、を有することを特徴とする蛍光灯の点灯装置。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図4】
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【図7】
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【特許番号】特許第3278879号(P3278879)
【登録日】平成14年2月22日(2002.2.22)
【発行日】平成14年4月30日(2002.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−339791
【出願日】平成3年11月28日(1991.11.28)
【公開番号】特開平5−152082
【公開日】平成5年6月18日(1993.6.18)
【審査請求日】平成10年11月6日(1998.11.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【参考文献】
【文献】特開 昭62−226597(JP,A)
【文献】特開 昭64−74066(JP,A)
【文献】特開 昭63−313499(JP,A)
【文献】特開 平1−167993(JP,A)
【文献】特開 平2−98216(JP,A)