説明

蛍光管用ソケット

【課題】蛍光管を装着する際に、ZIF構造を採用することなく、蛍光管とリード部との間の封止部に負荷が加わるのを防止でき、簡単な構造でコンタクトの接触信頼性に優れた蛍光管用ソケットの提供を目的とする。
【解決手段】蛍光管を電源側に電気接続するためのソケットであって、上部が開口したコンタクト収容部を有するハウジングと、当該収容部に配置したコンタクトと、前記ハウジングの開口部に係止するカバー部とを備え、コンタクトは、蛍光管のリード部を載置する載置部と、リードが押し込まれることによって挟持する挟持部を備えた弾性片を有し、カバー部は前記弾性片にリード部を押し込むための押込部と、ハウジングに設けた被係止部に係止する係止部とを有し、カバー部をハウジングに係止する際に、カバー部に設けた押込部が蛍光管のリード部に当接し、リード部を前記弾性片の載置部から挟持部へ押し込むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蛍光管用のソケットに関し、特に液晶テレビ等の液晶表示装置のバックライト用蛍光管のソケットに適する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトとして冷陰極蛍光管が広く採用されている。
この種の冷陰極管はガラス管の中に不活性ガスを封入し、両端の封止部から内部の電極と溶着したリード部を引き出している構造が一般的である。
従って、蛍光管をソケットに装着する際にリード部に曲げ方向の強い負荷が加わると、ガラス管の端部の封止部にも負荷がかかり、封止部からのガス洩れにより寿命が短くなったり、最悪の場合にガラス管の封止部に破損が生じる問題がある。
【0003】
そこで従来は、特許文献1や図5に示すように、蛍光管のリード部をソケットに装着する初期状態においては、コンタクトのバネ接点部を開放状態にしておき、カバー部材等にて後からバネ接点部をリード側に押圧するZIF(Zero Insertion Force)構造やLIF(Low Insertion Force)構造を採用していた。
その構造例を図5に基づいて具体的に説明すると、次のとおりである。
バネ性の一対の接点部142,142をその間が蛍光管のリード部1aの径よりも大きい状態で立設しておき、その初期接点開放状態にて、リード部1aをソケットの支持部150に載置し、カバー部材130を押し込むと、カバー部材に設けた傾斜部131にて接点部を内側に押圧し、一対のバネ性接点部にてリード部1aを挟持する。
しかし、このようなソケット構造にあっては、コンタクトの接点部が初期状態では開放状態になるような、バネ性接点構造が必要であり、電気接続状態にするには、このバネの反発力に対抗して、常にリード側に接点部を押圧保持する別部材が必要となるために部品点数が多くなる問題がある。
また、蛍光管が点灯すると、その発熱により樹脂製のカバー部材等が変形し、接点部のバネ荷重が低下する恐れもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−166040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は蛍光管を装着する際に、ZIF構造を採用することなく、蛍光管とリード部との間の封止部に負荷が加わるのを防止でき、簡単な構造でコンタクトの接触信頼性に優れた蛍光管用ソケットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蛍光管用ソケットは、蛍光管を電源側に電気接続するためのソケットであって、上部が開口したコンタクト収容部を有するハウジングと、当該収容部に配置したコンタクトと、前記ハウジングの開口部に係止するカバー部とを備え、コンタクトは、蛍光管のリード部を載置する載置部と、リードが押し込まれることによって挟持する挟持部を備えた弾性片を有し、カバー部は前記弾性片にリード部を押し込むための押込部と、ハウジングに設けた被係止部に係止する係止部とを有し、カバー部をハウジングに係止する際に、カバー部に設けた押込部が蛍光管のリード部に当接し、リード部を前記弾性片の載置部から挟持部へ押し込むことを特徴とする。
ここで、本発明に係るソケットを適用する蛍光管は、ガラス管の端部の封止部に過度の負荷がかからないようにするものであり、熱陰極蛍光管でもよいが、特にガラス管の径が小さく、リード部が脆弱で変形しやすい冷陰極蛍光管に適用するのが効果的である。
また、本明細書にて上部とは、蛍光管をソケットに装置する方向における位置関係においての上方をいう。
本発明において、カバー部とは蛍光管のリード部を弾性片の載置部に載置し、その後からコンタクト収容部の開口部を概ね塞ぐようにハウジングに係止するものをいう。
【0007】
蛍光管のリード部は脆弱であるので、カバー部は蛍光管のリード部に2ヶ所で当接する第1押込部と第2押込部を有し、前記挟持部が当該第1押込部と第2押込部との間に位置するようにしてもよい。
【0008】
前記弾性片は、板材にスリット状の切り込みを入れて形成され、前記コンタクトは、弾性片に連結されたアーム部と、当該アーム部を相互に連結した補強部とを有し、当該補強部によって、蛍光管のリード部が弾性片の挟持部へ挿入される深さを制限するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る蛍光管用ソケットにあっては、ハウジングに設けたコンタクト収容部の上部を開口した状態にて蛍光管のリード部を弾性片の載置部に無負荷の状態で載置し、その上からカバー部に設けた押込部でリード部を弾性片の挟持部に押し込むようにして当該カバー部をコンタクト収容部の開口部に係止することになるので、リード部の根元になるガラス管の封止部にストレスが加わらないため、封止部からのガス洩れによる寿命の短命化を防止できる。
【0010】
また、カバー部に設けた押込部がリード部の抜け止めになり、ソケットに振動や衝撃が加わっても蛍光管がソケットから脱落したり、接触不良となるのを防止する。
【0011】
本発明において、カバー部に第1押込部と第2押込部を設け、この第1押込部と第2押込部の間に弾性片の挟持部が位置するようにすると、さらにリード部にのみ力が加わるように押圧するので封止部へのストレスがさらに低減できる。
【0012】
本発明においては、コンタクトを板材にスリット状の切り込みを入れて、リード部の載置部と押し込みにより挟持する挟持部を有する弾性片を形成することも可能であり、このようにするとコンタクトの構造が簡素化される。
その場合に、スリット状の切り込みを入れた弾性片に連結したアーム部とこのアーム部を相互に連結した補強部を設けると、この補強部にてリード部の上部からの挿入深さが制限されることによって、弾性片挟持部の所望位置にリード部が適切に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る蛍光管用ソケットの外観図を示し、(a)はカバー部を開いた状態を示し、(b)は蛍光管をソケットに装着し、カバー部をハウジングに係止した状態を示す。
【図2】蛍光管ソケットのカバー部を開いた状態の背面斜視図を示す。
【図3】蛍光管用ソケットの断面図を示し、(a)はカバー部を開いた状態を示し、(b)はカバー部を閉じようとしている状態を示し、(c)はカバー部を閉じた状態を示す。
【図4】リード部と弾性片との位置関係を示し、(a)はリード部を弾性片の間に載置した状態を示し、(b)はカバー部に設けた押込部でリード部を押し込む状態を示し、(c)はその押し込み完了状態を示す。
【図5】従来のソケット構造例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る蛍光管用ソケット(以下単にソケットと称する。)の構造例を以下、図面に基づいて説明する。
図1はソケット10の外観図を示し、(a)はカバー部30を開いた状態を示し、(b)はソケット10に蛍光管1を装着した状態を示す。
図2はカバー部30を開いた状態の背面斜視図を示す。
図3は断面図を示す。
【0015】
ソケット10はハウジング20にカバー部30をヒンジ状の薄肉化した連結部31にて連結してあり、樹脂材料にて一体成形した例となっている。
ハウジング10は、図示を省略したシャーシ等に孔を明けて差し込むことで取り付けるための取付ベース部21とロック部21aを有し、下部に制御回路を形成した基板2を差し込むための基板挿入口22を有している。
ハウジングの内部は側壁23a等を立設することで中空空間を形成し、図3をみると分かりやすいように上部が開口したコンタクト収容部23を形成し、その中にコンタクト40を配置してある。
【0016】
コンタクト40は金属板を折り曲げて製作してあり、下端側は基板挿入口22に臨むように略L字型に折り曲げ、さらに先端よりを山形に折り曲げて基板2との接点部44を形成することで基板2と電気接続する。
コンタクト40の上方側は、板状のコンタクトベース部41の中央部を切り抜くとともに、スリット状の隙間を形成することで一対の弾性片42,42を立設してある。
一対の弾性片42,42の接点部付近の拡大図を図4に示す。
一対の弾性片の間のスリット形状は2段形状に形成してあり、上段は蛍光管1のリード部1aが入りやすいように、両側の弾性片42にて谷状の傾斜部を形成しつつ、リード部1aを無負荷で載置できるように、載置部42aを設けてある。
この載置部42aは一対の弾性片42で形成した両側の載置部42aの側部がリード部1aの径よりもやや広く、下部側の間隔がリード部1aの径よりもやや小さくなっている。
スリットの上段の載置部42aの下段側は一対の弾性片42,42で形成したリード部1aの径よりも狭く形成し、リード部1aを押し込むと弾性的に広くなるように変形して挟持する挟持部42b,42bとなっている。
挟持部42bの下側は、それ以上リード部1aが押し込まれないようにさらに隙間が狭くなったリード受け部42cとなっている。
【0017】
コンタクト40の一対の弾性片42,42の上端は逆U字状に折り返したアーム部44を形成し、一対のアーム部44の先端部よりは、リード部1aの挟持部の下端位置にて連結した補強部43となっている。
従って、リード部1aはこの補強部43に当接することで、それ以上深く押し込まれないようになっている。
図1(a)及び図2に示すように一対の弾性片42,42はハウジング20に設けたスリット状の弾性片スライド保持部25にて板状の弾性片42のスライド移動を許容しつつ、両面を保持している。
これにより一対の弾性片42,42が安定して広狭弾性変形する。
コンタクト40の補強部43はハウジング20に設けたスリット状の差し込み部26に差し込み固定してある。
【0018】
カバー部30はリード部1aの側部に当接し、一対の弾性片42,42で形成した挟持部42b,42bの間にリード部1aを押し込むための突部形状の第1押込部32と第2押込部33とを有し、カバー部30の開閉方向の両側には、カバーベース部30aからL字形状部34aを形成して突出延在させ、中央部を切り抜いた係止部34を設け、ハウジング側に形成した突部形状の被係止部24に嵌合係止するようになっている。
なお、カバー部をハウジングに係止できれば本実施例に限定されない。
【0019】
次に、ソケット10に蛍光管1を装着する手順を説明する。
図3(a)に示すようにハウジング20のコンタクト収容部23の開口部が開口するようにカバー部30を開き、一対の弾性片42,42で形成した載置部42a,42aに無負荷で蛍光管1のリード部1aを載置する。
この状態を図4(a)に示す。
この初期状態から、カバー部30を連結部31を起点にして回動し、開口部を閉じるようにすると、図3(b)に示すようにカバー部30に設けた第1押込部32と第2押込部33とがリード部1aの上部側の側部に当接する。
この場合に第1押込部32と第2押込部33との間に弾性片の載置部42a,42aが位置する。
カバー部30をさらに閉じるように押圧すると、図3(b),(c)及び図4(b),(c)に示すように一対の弾性片42,42の間が広がるようにリード部1aが押し込まれ、挟持部42b,42bの間に弾性挟持される。
この押し込み移動の際には、カバー部30に設けた押込部32,33がリード部1aにのみ当接するので蛍光管1の端部の封止部1bにストレスが加わらない。
カバー部30の係止部34はハウジング側に設けた被係止部24に係止ロックされるので押込部32,33がストッパーとして作用し、リード部1aがソケットから脱落するのを防止する。
また、押し込まれたリード部1aは、補強部43に当接することでリード部1aの挿入深さが制限され、挟持部42b,42bの所定位置に適切に固定される。
【符号の説明】
【0020】
1 蛍光管
2 基板
10 ソケット
20 ハウジング
21 取付ベース部
22 基板挿入口
23 コンタクト収容部
24 被係止部
25 弾性片スライド保持部
30 カバー部
30a カバーベース部
31 連結部
32 第1押込部
33 第2押込部
34 係止部
40 コンタクト
41 コンタクトベース部
42 弾性片
42a 載置部
42b 挟持部
43 補強部
44 アーム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光管を電源側に電気接続するためのソケットであって、
上部が開口したコンタクト収容部を有するハウジングと、当該収容部に配置したコンタクトと、前記ハウジングの開口部に係止するカバー部とを備え、
コンタクトは、蛍光管のリード部を載置する載置部と、リード部が押し込まれることによって挟持する挟持部を備えた弾性片を有し、
カバー部は前記弾性片にリード部を押し込むための押込部と、ハウジングに設けた被係止部に係止する係止部とを有し、
カバー部をハウジングに係止する際に、カバー部に設けた押込部が蛍光管のリード部に当接し、リード部を前記弾性片の載置部から挟持部へ押し込むことを特徴とする蛍光管用ソケット。
【請求項2】
カバー部は蛍光管のリード部に2ヶ所で当接する第1押込部と第2押込部を有し、前記挟持部が当該第1押込部と第2押込部との間に位置することを特徴とする請求項1記載の蛍光管用ソケット。
【請求項3】
前記弾性片は、板材にスリット状の切り込みを入れて形成され、
前記コンタクトは、弾性片に連結されたアーム部と、当該アーム部を相互に連結した補強部とを有し、当該補強部によって、蛍光管のリード部が弾性片の挟持部へ挿入される深さを制限することを特徴とする請求項1又は2記載の蛍光管用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−225444(P2010−225444A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72174(P2009−72174)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】