説明

血中脂肪酸濃度測定による心疾患の早期診断方法

【課題】 動脈硬化症に罹患しているかまたは過去に罹患していたほ乳類において心疾患が発症する状態を、高価な専用測定機器を必要とせず、単一の測定によって心疾患の発症を早期に検出する。
【解決手段】 対象のほ乳類由来の血液中の脂肪酸化合物のレベルおよび動脈硬化症および心疾患のいずれにも罹患していない健常なほ乳類群由来の血液中の脂肪酸化合物レベルを測定し、対象のほ乳類の脂肪酸化合物レベルを健常なほ乳類の脂肪酸化合物レベルと比較することによって、対象のほ乳類において所定の期間以内に心疾患が発症する状態であることを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ほ乳類における心疾患の早期診断方法に関する。より詳しくは、本発明は、パルミチン酸、9−ヘキサデセン酸、α−ヒドロキシ酪酸等の脂肪酸化合物の血中レベルを測定することによって、ほ乳類、特に、ヒトにおける心筋梗塞および狭心症のごとき心疾患を発症前に検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心疾患は、日本において、悪性新生物に続き2番目に多い死亡原因であり、厚生労働省人口動態統計によれば、虚血性心疾患の割合が年々増加している。虚血性心疾患は、狭心症および心筋梗塞を含む。この疾患は、冠動脈血管中の血流が悪くなることによって心筋に必要な酸素や栄養が供給されず、心臓の働きが低下し、ひいては心筋が壊死する状態をいう。
【0003】
一般に、急性心筋梗塞が発症してから15分後には心筋細胞が死に始め、約6時間経過すると心筋細胞の約半数が壊死する。また、急性心筋梗塞の死亡率は20%程度であるが、死亡例の約60%が発症後2時間以内、約40%が発症後1時間以内に集中している。
したがって、心疾患の発症前に、心疾患が発症する状態を検出し、早期に適切な治療を行うことが必要である。
【0004】
狭心症および心筋梗塞のいずれの症状にも動脈硬化が大きく関連している。動脈硬化症は、動脈壁の肥厚、弾力性の低下、内腔の狭窄を呈する動脈疾患で、発症と進展に血清脂質が関与しており、心筋梗塞および狭心症などの冠動脈疾患における器質的狭窄を作る原因とされている。
特に、アテローム性動脈硬化症は、高い血清コレステロール値、低い血清HDLコレステロール値、高い血清LDLコレステロールおよび変性LDL値の状態によって引き起こされると考えられている。したがって、これらの脂質マーカーが高脂血症、冠動脈疾患の診断に利用されている。
【0005】
欧米人に関しては、米国のボストン郊外にある地域住民5000人以上を対象にした長期疫学追跡調査(Framingham Study)によって、性別、年齢、高血圧、喫煙習慣、高コレステロール血症、糖尿病などが冠動脈疾患の発症率にどれくらい影響するか報告され、そのデータをもとに今後10年以内に冠動脈疾患を発症するリスクを評価することが可能である。
【0006】
従来の動脈硬化の診断方法として、超音波検査、核磁気共鳴検査、脈波伝播速度測定(特許文献1)などの機器を用いた方法、診断マーカーとして血漿中変性LDLを測定する方法(特許文献2)があり、心疾患の早期発見の方法(特許文献3)としてスフィンゴ脂質およびその代謝物の測定がある。
【特許文献1】特許第3538409号明細書
【特許文献2】特許第3491748号明細書
【特許文献3】特表2002−504999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
日本人に長期疫学追跡調査のデータを適用しても、欧米人と日本人とでは食事等の生活習慣が異なり、診断性の妥当性や信頼性に疑問が残る。
また、上記の従来技術によれば、高価な専用測定機器を新たに必要とし、血清中コレステロール値、変性LDL値、スフィンゴ脂質等の従来マーカーを測定する方法では、測定値が良くない値を示しても、必ずしも心疾患になるとは限らない。
【0008】
日本脂質介入試験(J−lit)は、1992年から1999年までの6年間にわたり約5万人(51,326人)の日本人の高脂血症患者を対象として、冠動脈危険因子の有無と冠動脈疾患発症率の関係を大規模に調査した比較的長期な疫学追跡調査である。この試験において、高脂血症患者とは、血清総コレステロール(TC)値が220mg/dL以上の男性または閉経後の女性である。
このJ−litについての調査報告によれば、冠動脈疾患による死亡例は93例(0.50人/千人年)であった。一方、日本人一般における心疾患による予測死亡率は0.69人/千人年であり、J−litの方が低いことが示された。また、TC値が同レベルでも、HDLコレステロール値が変動すると心疾患発症リスクは2〜10倍も変化すると推定され、TC値のみでは心疾患発症率を予測できないとの見解がある。
【0009】
そこで、本発明では、高価な専用測定機器を必要とせず、単一の測定によって心疾患の発症を早期に検出する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った結果、動脈硬化症患者および過去に動脈硬化症を罹患した患者のうち、血中脂肪酸化合物量が多い患者ほど将来心筋梗塞および狭心症などの心疾患になる危険性が有意に高い(片側P<0.05)という知見を得た。
そこで、本発明者らは、患者の血中脂肪酸化合物量を測定することで、心疾患となる可能性が高い患者を早期に診断する方法を開発した。本発明の方法により早期診断することができる心疾患には、心筋梗塞および狭心症を含む冠動脈疾患などがある。
【0011】
本発明によれば、1または複数の健常ほ乳類由来の血中脂肪酸化合物レベルおよび、対象のほ乳類由来の血中肪酸化合物レベルを一般的な手法で測定し、健常ほ乳類由来の血中脂肪酸化合物レベルを基にして決定された基準レベルと、対象のほ乳類由来の血中肪酸化合物レベルとを比較することによって、対象のほ乳類が、将来心疾患を発症する可能性が高い状況にあるかどうかを判断する。
【0012】
すなわち、本発明は、心疾患を発症していないほ乳類における、心疾患の早期診断方法または心疾患が発症する状態を検出する方法であって、
(a)対象のほ乳類由来の血液中の脂肪酸化合物のレベルを測定し;
(b)測定した脂肪酸化合物のレベルと所定の基準レベルとを比較し;次いで、
(c)測定した脂肪酸化合物のレベルが所定の基準レベル以上の場合、対象のほ乳類において一定期間以内に心疾患が発症する状態であると決定することを特徴とする方法を提供する。
【0013】
本発明による心疾患の早期診断方法または心疾患が発症する状態を検出する方法において、測定される好ましい脂肪酸化合物は、パルミチン酸、9−ヘキサデセン酸またはα−ヒドロキシ酪酸である。
【0014】
本発明において、心疾患が発症する状態であると決定するための所定の基準レベルが、複数の健常ほ乳類を含む群由来の血液中の脂肪酸化合物のレベルを測定した結果から得られた群の平均値および標準偏差値を基にして、次式:
【0015】
【数1】

を用いて決定された値であることを特徴とする。
【0016】
特に、この所定の基準レベルが、血漿中の脂肪酸化合物の濃度であることを特徴とする。血漿中の遊離脂肪酸化合物濃度のみの比較では、動脈硬化を基礎疾患として持つほ乳類と健常ほ乳類との間で有意差は観察されないが、本発明によれば、血漿中の脂肪酸化合物の全体の濃度を比較するので、両者に有意差が観察される。
すなわち、本発明において、血漿中の脂肪酸化合物を遊離であるか非遊離であるかを区別せずに測定することによって、対象のほ乳類において心疾患が発症する状態であるか否かを決定し、心疾患の早期診断を行うことができる。
【0017】
本発明において、脂肪酸化合物の血中レベルを測定した後、心疾患が発症する状態であると決定することができる一定期間は、好ましくは2ヶ月、より好ましくは6ヶ月、最も好ましくは1年以上である。
本発明の早期診断方法によれば、心疾患が発症する少なくとも2ヶ月前に発症を予測できるので、予防処置を行うことによって、発症自体を回避できる可能性がある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、高価な専用機器を必要とすることなく、一般的な手法で脂肪酸化合物量を測定することにより、心筋梗塞および狭心症などの心疾患を発症していない対象のほ乳類において将来心疾患が発症する可能性を早期診断することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明において適用される血中脂肪酸化合物量の測定方法は、従来から知られている脂肪酸化合物を測定する方法すなわち、GC/MSによる分析、HPLCによる分析、比色定量法、RIA法および酵素免疫測定法などを用いることができる。
測定する脂肪酸化合物はパルミチン酸、9−ヘキサデセン酸、ヒドロキシ酪酸、バクセン酸、マルガリン酸、ラウリン酸、フマル酸、リンゴ酸、ピログルタミン酸およびこれらの異性体などが挙げられるが、特にパルミチン酸、9−ヘキサデセン酸、ヒドロキシ酪酸およびこれらの異性体を測定するのが好ましい。「異性体」とは、構造異性体および光学異性体を含む。
本発明の早期診断方法に適用される試料は、哺乳動物由来の血液が好ましい。
【0020】
本発明において、「ほ乳類」は、好ましくはヒトである。
本発明において、「健常ほ乳類」とは、動脈硬化症および、冠動脈疾患(狭心症および心筋梗塞)等の心疾患のいずれにも罹患したことのないほ乳類をいい、ほ乳類がヒトである場合、特に、「健常人」という。
本発明において、「対象のほ乳類」とは、本発明の方法を適用しようとするほ乳類をいい、現在心疾患を発症していないほ乳類である。
【実施例】
【0021】
実施例1:健常人および心疾患患者におけるパルミチン酸濃度、9−ヘキサデセン酸濃度およびα−ヒドロキシ酪酸の血中濃度の比較
動脈硬化由来の冠動脈疾患(ここでは、心筋梗塞)を発症した患者(n=7)、および健常人(n=4)から同意を得て採取した血漿500μLに、PBS(リン酸緩衝液−生理食塩液)500μL、2mmol/LのBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)25μL、6規定塩酸100μLおよび塩化ナトリウム1gを加え、酢酸エチル5mLで抽出した。その後有機層を採取し、窒素ガスで吹き付け乾固後、BSTFA(N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド)+TMCS(トリメチルクロロシラン)でトリメチルシリル化し、GC/MSで測定し、血漿中のパルミチン酸濃度、9−ヘキサデセン酸濃度およびα−ヒドロキシ酪酸濃度を得た。
この実施例において、日本人の患者および健常人を測定対象とした。
【0022】
GC/MS条件:ガスクロマトグラフ装置はアジレント社のHP6890、カラムはHP−5(0.32mm×30m、アジレント社製)を用いた。分析条件は、キャリアーガスはヘリウム、流速1.5mL/分、注入法はスプリットレス法、注入量は1μL、昇温条件は試料注入後1分間60℃を保ち、その後1分間に4℃ずつ280℃まで昇温させ、その後5分間280℃を維持した。質量分析機器の条件は、装置は日本電子のJMS−AMII 150を用い、イオン化法はEI(電子イオン化)法、スキャン範囲はm/z 40〜600/0.4秒(m/zは質量電荷比)とした。
それぞれの脂肪酸化合物の同定には、標準品とのマススペクトルの比較により行った。また、GCのピーク面積から各脂肪酸化合物の含有量を決定し、次いで、血漿中脂肪酸化合物濃度を算出した。
【0023】
表1、表2および図1〜3に、健常人と心筋梗塞患者における血漿中のパルミチン酸濃度、9−ヘキサデセン酸濃度およびα−ヒドロキシ酪酸濃度の比較をそれぞれ示す。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
心筋梗塞患者において、血漿中のパルミチン酸量、9−ヘキサデセン酸量およびα−ヒドロキシ酪酸量のいずれも、健常人と比較して有意に高い値を示した(片側P<0.05)。
この結果から、血漿中のパルミチン酸、9−ヘキサデセン酸およびα−ヒドロキシ酪酸等の脂肪酸の含有量を測定すれば、狭心症や心筋梗塞等の動脈硬化由来の心疾患を早期に診断できる可能性が示された。
【0027】
実施例2:動脈硬化症患者のパルミチン酸濃度、9−ヘキサデセン酸濃度またはα−ヒドロキシ酪酸の血中濃度の測定による心疾患の早期診断
現在心疾患を発症していない動脈硬化患者(n=10)および健常人(n=4)から同意を得て採取した血漿500μLに、PBS(リン酸緩衝液−生理食塩液)500μL、2mmol/LのBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)25μL、6規定塩酸100μLおよび塩化ナトリウム1gを加え、酢酸エチル5mLで抽出する。有機層を採取し、窒素ガスで吹き付け乾固後、BSTFA(N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセタミド)+TMCS(トリメチルクロロシラン)でトリメチルシリル化し、GC/MSで測定し、血漿中のパルミチン酸濃度、9−ヘキサデセン酸濃度およびα−ヒドロキシ酪酸濃度を得た。
この実施例において、日本人の患者および健常人を測定対象とした。
【0028】
GC/MS条件:ガスクロマトグラフ装置はアジレント社のHP6890、カラムはHP−5(0.32mm×30m、アジレント社製)を用いた。分析条件は、キャリアーガスはヘリウム、流速1.5mL/分、注入法はスプリットレス法、注入量は1μL、昇温条件は試料注入後1分間60℃を保ち、その後1分間に4℃ずつ280℃まで昇温させ、その後5分間280℃を維持する。質量分析機器の条件は、装置は日本電子のJMS−AMII 150を用い、イオン化法はEI(電子イオン化)法、スキャン範囲はm/z 40〜600/0.4秒(m/zは質量電荷比)とした。
それぞれの脂肪酸化合物の同定には、標準品とのマススペクトルの比較により行った。また、GCのピーク面積から各脂肪酸化合物の含有量を決定し、次いで、血漿中脂肪酸化合物濃度を算出した。
【0029】
表3、表4および図4〜6に、健常人と動脈硬化症患者における血漿中のパルミチン酸濃度、9−ヘキサデセン酸濃度およびα−ヒドロキシ酪酸濃度の比較をそれぞれ示す。
【0030】
同じ動脈硬化症患者について測定日より2ヶ月以内の心筋梗塞または狭心症の発症状況を調査した。血漿中脂肪酸化合物(パルミチン酸、9−ヘキサデセン酸およびα−ヒドロキシ酪酸)の濃度が診断の基準ライン(健常人の平均値+標準偏差×1.64:片側P<0.05の値)より低い患者(B9およびB10)は心筋梗塞も狭心症も発症しなかった。一方、血漿中脂肪酸化物濃度が診断の基準ラインより高い患者は、1例(B6)を除き、高頻度(8例中7例)で心筋梗塞または狭心症を発症していた。一方、血漿中脂肪酸化合物の濃度が基準ラインを下回るにもかかわらず、心疾患を発症した患者はいなかった。
【0031】
現実の臨床現場において、心疾患発症前の診断で、心疾患発症を50%的中させれば、優れた診断マーカーであるとされている。かくして、本発明の方法は優れた心疾患検出方法であることが示された。
【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
比較例1:健常人および動脈硬化症患者における血漿中遊離脂肪酸濃度の比較
心疾患を発症していない患者および心疾患を発症している患者の双方を含む動脈硬化症を基礎疾患として有する患者(n=20)および健常人(n=10)から同意を得て血漿を採取し、NEFA C−テストワコー(和光純薬)を用いて、血漿中の遊離脂肪酸濃度を測定した。
この比較例において、日本人の患者および健常人を測定対象とした。
【0035】
まず、コエンザイムA0.73mmol/L、アデノシン−5’−三リン酸二ナトリウム(Bacterium属由来)4.5mmol/L、アシルCoAシンセターゼ(Pseudomonas属由来)0.27単位/mL、4−アミノアンチピリン1.5mmol/Lおよびアスコルビン酸オキシダーゼ(カボチャ由来)2.7単位/mLを50mLリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解して、発色試薬Aを調製した。また、アシルCoAオキシダーゼ(ACOD;Arthrobacter属由来)5.5単位/mLおよびペルオキシダーゼ(西洋ワサビ由来)6.8単位/mLを3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アニリン(MEHA)1.2mmol/Lに溶解して、発色試薬Bを調製した。
次に、採取した血漿、試験盲検用の蒸留水および検量線作成用の基準液の各々0.05mLに、発色試薬A1.0mLを加え、よく混合して37℃にて10分間加温した。その後、発色試薬B2.0mLを加え、よく混合して37℃にて10分間加温した。室温に戻した後、30分以内に試験盲検を対照として、550nmにおける検体の吸光度(E)および基準液の吸光度(ESTD)を測定し、次式を用いて、遊離脂肪酸濃度を決定した。
【0036】
【数2】

【0037】
NEFA C−テストワコー(和光純薬)を用いて測定した血漿中の遊離脂肪酸濃度の結果を表5、6および図7に示す。
【0038】
【表5】

【0039】
【表6】

【0040】
上記の結果から分かるように、血漿中の遊離脂肪酸濃度は、健常人および動脈硬化症患者のいずれも有意差がなかった(片側P<0.05)。
また、血漿中遊離脂肪酸化合物の濃度が診断の基準ライン(健常人の平均値+標準偏差×1.64:片側P<0.05の値)より低い患者でも、ほとんどの患者が心疾患を発症しているかまたは測定日より2ヶ月以内に心筋梗塞または狭心症を発症した。すなわち、血漿中の遊離脂肪酸濃度を比較しても、心疾患を発症する可能性を早期に診断することはできないことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によって、狭心症や心筋梗塞等の心疾患を発症する状態にあるかどうかを心疾患発症前に簡便にかつ高い的中率で早期発見することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】健常人および心疾患患者における血漿中パルミチン酸濃度の比較を示すグラフ。
【図2】健常人および心疾患患者における血漿中9−ヘキサデセン酸濃度の比較を示すグラフ。
【図3】健常人および心疾患患者における血漿中ヒドロキシ酪酸濃度の比較を示すグラフ。
【図4】動脈硬化症患者における血漿中パルミチン酸濃度と心疾患発症との相関を説明するグラフ。
【図5】動脈硬化症患者における血漿中9−ヘキサデセン酸濃度と心疾患発症との相関を説明するグラフ。
【図6】動脈硬化症患者における血漿中ヒドロキシ酪酸濃度と心疾患発症との相関を説明するグラフ。
【図7】動脈硬化症患者における血漿中遊離脂肪酸濃度と心疾患発症との相関を説明するグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心疾患を発症していないほ乳類における心疾患の早期診断方法であって、
(a)対象のほ乳類由来の血液中の脂肪酸化合物のレベルを測定し;
(b)測定した脂肪酸化合物のレベルと所定の基準レベルとを比較し;次いで、
(c)測定した脂肪酸化合物のレベルが所定の基準レベル以上の場合、対象のほ乳類において一定期間以内に心疾患が発症する状態であると決定することを特徴とする心疾患の早期診断方法。
【請求項2】
脂肪酸化合物がパルミチン酸である請求項1に記載の早期診断方法。
【請求項3】
請求項1の脂肪酸化合物がヘキサデセン酸である請求項1に記載の早期診断方法。
【請求項4】
脂肪酸化合物がヒドロキシ酪酸である請求項1に記載の早期診断方法。
【請求項5】
所定の基準レベルが、複数の健常ほ乳類を含む群由来の血液中の脂肪酸化合物のレベルを測定した結果から得られた群の平均値および標準偏差値を基にして、次式:
【数1】

を用いて決定された値である請求項1に記載の早期診断方法。
【請求項6】
所定の基準レベルが、血漿中の脂肪酸化合物の濃度である請求項5に記載の早期診断方法。
【請求項7】
一定期間が2ヶ月である請求項1に記載の早期診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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