説明

血管壁の品質およびソリッドネスを検出するための装置

【課題】血管壁の品質およびソリッドネスを検出するための装置を提供すること。
【解決手段】相互にフレキシブルに移動し対向する任意の形状の2つの固定プレートを有し、組織試料は該固定プレート間に配置されて該固定プレートに固定され、該検出装置は検出器に接続されており、該検出器は、該固定プレートの相互間の外転または回動によって、該組織試料のソリッドネスに相応する値を測定および記録するために構成されていることを特徴とする、検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管壁の品質およびソリッドネスを検出するための装置に適用される。本装置は、外科的手順および人間の組織の調査または異なる有機生物の組織の調査で使用される装置の技術的構成に関する。
【背景技術】
【0002】
動脈組織の品質を検出する原理は現在、不完全な技術的手段によって決定づけられる。WO2007/117782に記載された手段は、組織の品質の検出と、該組織を処理するために種々のソースを使用することに取り組んでいる。それによれば、種々の種類の放射をこの組織に導入してプローブが組織の変化を検出し、その後に、この組織を通過する間の放射の変化を検査する。ここに記載された手段の欠点は、組織の品質(ソリッドネス)を直接検査しないので、該組織の特性および品質を定義しないことである。
【0003】
有効なチェコ共和国特許第292284号に、生きた有機生物の組織を検査する別の公知の技術的手段が記載されている。しかし、ここに記載された装置は組織の異なる特性を検査し、すなわち粘性を検査するので、血管壁の切開のリスクに関する組織の特性を証明しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2007/117782
【特許文献2】チェコ共和国特許第292284号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、血管壁の品質およびソリッドネスを検出するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、次のような検出装置、すなわち、
相互にフレキシブルに移動し対向する任意の形状の2つの固定プレートを有し、
組織試料は該固定プレート間に配置されて該固定プレートに固定され、
該検出装置は検出器に接続されており、
該検出器は、該固定プレートの相互間の外転または回動によって、該組織試料のソリッドネスに相応する値を測定および記録するために構成されていることを特徴とする、検出装置
によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】線形に外転する正方形の固定プレートを有する装置の斜視図と、検出器との接続を示す線図である。
【図2】ブレードおよび孔の配置を示す、図1に示された底部固定プレートの斜視図である。
【図3】固定プレートが角度で折り返された装置の斜視図と、検出器との接続を示す線図である。
【図4】円形の固定プレートと回動する頂部固定プレートとを有する実施形態の装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願で提案される技術的解決手段の対象は、血管壁の品質およびソリッドネスを破壊的に検出するための装置である。この装置は空気ポンプまたは別の吸引装置に接続され、この空気ポンプまたは別の吸引装置は、固定プレート間のスペースにおいて該固定プレートの表面に負圧を発生する。固定プレート間のスペースに挿入された数mm〜数十mmに及ぶ血管壁の試料は、負圧を使用して該固定プレートへの吸引によって固定される。固定プレートを移動させる構成により、血管壁の個々の層間で内部結合が破壊される位置まで該固定プレートを相互に移動することによって、血管壁の被検査試料を伸長させることができる。このような破裂に必要な力は、検出器を使用して測定および記録される。
【0009】
本発明の利点は、特定された情報から予防的な心臓手術に関する総合的な判断を行うことや、進行中の外科的手順を拡張することが可能であることだ。公知の手段と異なり、本発明の装置は厳密な無菌環境で使用する必要がない。というのも、組織は患者の身体の外側で検査され、使用される組織はこの身体に戻されないからである。
【0010】
ここで重要な要因は、特定の患者の血管壁の品質に該当する現在値を得て標準値と比較し、外科的手順が有利であるか不必要であるかを判断することである。
【実施例】
【0011】
実施例1
装置は、本発明にしたがって血管壁の品質を検査するために構成された。この装置は2つの固定プレート1および2から成る。底部固定プレート2には正方形のブレード5が設けられており、頂部固定プレート1には溝9が設けられており、この溝9の形状および大きさはブレード5に相応する。両固定プレート1および2は中空であり、孔3内に向かう負圧の分布を均等にするための通路の集合が内部に設けられている。孔3は固定プレート1および2間のスペースに向かって方向づけされており、ブレード5と溝9とによって画定された領域に配置されている。この孔3は負圧を、出口4から固定プレート1および2の表面に渡すために使用される。このようにして、動脈壁の試料6が固定されるのが保証される。さらにこの装置は、固定プレート1および2を外転するためのアブダクタ11も有する。この場合には固定プレートは線形に外転され、固定プレート1および2を外転するためのアブダクタ11が設けられており、このアブダクタ11にはここでは4つのねじが設けられている。固定プレート1および2を外転するために必要とされる力は検出器7によって測定および記録され、この検出器7は、固定プレート1および2の外転を行うためのアブダクタ11に接続されている。ここに記載された実施形態は、図1および2に示されている。
【0012】
実施例2
装置は、本発明にしたがって血管壁の品質を検査するために構成された。この装置では、2つの固定プレート1および2は長手方向ジョイント8を使用して接続されている。固定プレート1および2は、20mmの辺を有する正方形である。両固定プレート1および2は中空であり、孔3の集合が該固定プレート間のスペース内に向かって方向づけされている。この孔3により、負圧が出口4から固定プレート1および2の表面に供給され、試料6が確実に固定される。さらにこの装置は、固定プレート1および2を外転するためのアブダクタ11も有する。固定プレート1および2の外転は連続的に行うことができ、また定義された時間遅延をもって段階的に行うこともできる。固定プレート1および2を外転するために必要とされる力は検出器7によって測定および記録され、この検出器7は、固定プレート1および2の外転を行うためのアブダクタ11に接続されている。ここに記載された実施形態は、図3に示されている。
【0013】
実施例3
装置は、本発明にしたがって血管壁の品質を検査するために構成された。この装置では、15mmの直径を有する円形の2つの固定プレート1および2が設けられている。ここでは表面積が小さいので、負圧による固定が有効でない場合には、組織試料6の固定は接着材によって保証される。組織試料6はこの場合、上記の装置と異なって必要な形状および表面積に適合されている。またこの装置は、頂部固定プレート1をシャフト12によって回動する装置も有し、この場合にはこの回動は、ステップモータ10によって行われる。試料に含まれる組織の個々の層を外転して頂部固定プレート1をスタートするのに必要とされる力は、検出器7によって測定および記録される。上記の構成は図4に示されている。
【0014】
さらに、前記固定プレート(1,2)は、ねじれ力によって相互に回転移動し、頂部の固定プレート(1)に相対回動不能に固定されたシャフト(12)が、該頂部の固定プレート(1)を貫通し、かつ、被検査対象の試料(6)も貫通して、底部の固定プレート(2)にすべり軸受で固定されるように構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、動脈壁の品質の検査に基づいて実際の手順中のすべての外科的指示を、上行動脈で行われる手順によって拡張する心臓外科手術の現場で実用化することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 頂部固定プレート
2 底部固定プレート
3 孔
4 出口
5 ブレード
6 組織試料
7 検出器
8 長手方向ジョイント
9 溝
10 ステップモータ
11 アブダクタ
12 シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管壁の品質およびソリッドネスを検出するための検出装置であって、
該血管壁の個々の層の相互間の結合性を破壊的に検出するのに使用される検出装置において、
相互にフレキシブルに移動し対向する任意の形状の2つの固定プレート(1,2)を有し、
組織試料(6)は該固定プレート(1,2)間に配置されて該固定プレート(1,2)に固定され、
該検出装置は検出器(7)に接続されており、
該検出器(7)は、該固定プレート(1,2)の相互間の外転または回動によって、該組織試料(6)のソリッドネスに相応する値を測定および記録するために構成されていることを特徴とする、検出装置。
【請求項2】
前記固定プレート(1,2)は、アブダクタ(11)を使用して相互に線形に外転される、請求項1記載の検出装置。
【請求項3】
前記固定プレート(1,2)は、アブダクタ(11)を使用して行われる該固定プレート(1,2)の角度外転を検出するために、長手方向ジョイント(8)によって相互に接続されている、請求項1記載の検出装置。
【請求項4】
前記固定プレート(1,2)は、ねじれ力によって相互に回転移動し、
頂部の固定プレート(1)に相対回動不能に固定されたシャフト(12)が、該頂部の固定プレート(1)を貫通し、かつ、被検査対象の試料(6)も貫通して、底部の固定プレート(2)にすべり軸受で固定されている、請求項1記載の検出装置。
【請求項5】
前記固定プレート(1,2)の相互に対向する壁に、被検査対象の前記試料の標準的な大きさを検出するために、閉じられた幾何的形状のブレード(5)と溝(9)とが設けられており、
該溝(9)の形状および大きさは該ブレード(5)に相応し、
該試料の表面積は、該ブレード(5)および溝(9)の形状に適合される、請求項1から4までのいずれか1項記載の検出装置。
【請求項6】
前記固定プレート(1,2)の内側領域に孔(3)が設けられており、
該孔(3)は、前記組織試料(4)を固定プレート(1,2)に固定するための負圧を形成する空気ポンプに連通された出口(4)に連通されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−175149(P2009−175149A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12605(P2009−12605)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(509024385)
【氏名又は名称原語表記】Jaroslav Benedik
【住所又は居所原語表記】Jugoslavska 691/144, CZ−613 00 Brno, Czech Republic