説明

行先予定表示システム、行先予定管理装置、行先予定表示方法および行先予定表示プログラム

【課題】各人が通常いる場所以外の場所に出向く場合にその場所やその後の予定までを電子的に表示可能な行先予定表示システム、行先予定管理装置、行先予定表示方法および行先予定表示プログラムを得ること。
【解決手段】行先予定表示システム10の行先表示装置13はネットワークを介して行先予定管理装置14等の装置と接続されている。行先表示装置13は各個人のスケジュールを格納すると共に、各場所の認証結果と個人の通常使用する電子装置11の稼働の有無の状況から個人の行き先を判別して行先表示装置13に今後の予定と共に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業所内等の人が移動する空間でこれらの人の位置を個別に追跡して行き先を表示する行先予定表示システム、行先予定管理装置、行先予定表示方法および行先予定表示プログラムに関する。本発明は特に会議のように複数の人が集まる会合がある場合に、それらの者の位置追跡の管理を好適に行うことのできる行先予定表示システム、行先予定管理装置、行先予定表示方法および行先予定表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば事業所では、各人が自分のデスクや仕事場で一日中仕事を行っているとは限らない。会議に出席したり、他の部署から呼ばれて居室から離れるというように各種の場所に移動することも多い。そこで、本発明に関連する第1の関連技術では、ホワイトボードと筆記具あるいは磁石の付いた名前や行き先を示すプレートからなる行先表示板装置を職場ごとに配置するようになっている。この第1の関連技術では、居室から他の場所に移動する場合には、本人が行先と居室に帰って来る予定時刻を行先表示板に記入したり、プレートを行先表示板の該当する場所に配置するようになっていた。
【0003】
この第1の関連技術によれば、外部から電話が掛かってきたり来訪者があったときに、行先表示板を見れば該当する者のいる場所に電話を転送したり、来訪者を待機させるといったような適切な対応を採ることができる。また、同じグループに属する者は仕事を連携して行う際に、グループを構成する各人の居場所を把握しておくことができる。
【0004】
ところが、第1の関連技術では、行先を表示すべき本人に急用が発生して居室を慌てて後にするような場合、その行先を行先表示板に記載するのを忘れてしまう場合があった。このような場合、行先表示板には「在席」あるいは「居室」と表示されたり、そのような表示のプレートが配置されたままになり、電話が掛かってきたり来訪者があったとき、あるいはグループの仕事の連携に困ることになった。
【0005】
そこで、行先の追跡の対象となる社員等の人物にPHS(Personal Handy-phone System)とRFID(Radio Frequency IDentification)受信機を持たせておくことが、本発明に関連する第2の関連技術(たとえば特許文献1参照)として提案されている。この第2の関連技術では、たとえば事業所の各自の職場、会議室、休憩室、売店の主要な場所にRFID送信機を配置しておく。各人の位置情報を管理する位置追跡サーバは、ある人物がどこにいるかを知る必要が生じたとき、その人物のPHSに近くのRFID送信機からの電波を受信させる。そして、抽出された位置情報をPHSから位置追跡サーバに送らせるようにしている。これにより、位置追跡サーバは該当する人物のPHSがRFID送信機のいずれかの近くにいれば、事業所内のどこにいるかを知ることができる。
【0006】
また、社員等の人物にRFIDタグを所持させて、行先の追跡を行うことが、本発明に関連する第3の関連技術(たとえば特許文献2参照)として提案されている。この第3の関連技術では、グループメンバーを構成する各社員にそれぞれの固有ID情報とパスワードを記憶したRFIDタグを所持させる。また、これらの社員の扱うパーソナルコンピュータと、各所には位置検出用リーダが配置されている。これらの位置検出用リーダはLAN(Local Area Network)で位置追跡サーバに接続しておく。
【0007】
この第3の関連技術では、社員が自分のパーソナルコンピュータの前に座ると、専用の位置検出用リーダがRFIDタグを検出して、位置検出が行われる。また、社員が社内の各部署や通路を通過すると、これらの場所に配置された位置検出用リーダがRFIDタグを検出して、それぞれの場所を検出して位置追跡サーバに通知することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−102392号公報(第0015段落、図1、図7)
【特許文献2】特開2006−309609号公報(第0024段落〜第0027段落、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このうち第2の関連技術では、PHSに対して近くのRFID送信機からの電波を受信させる指示を行わなければ、そのPHSを所持する者の現在位置を把握することができない。したがって、たとえば行先表示板に各人の行先を表示しようとすると、リアルタイムに各人の位置確認が必要であり、位置追跡サーバに過度の負担を掛けることになる。特に、自分の席で仕事を長時間行っているような者に対してまでPHSでの位置検出を繰り返し行って、基地局経由で位置追跡サーバに通信させることは経費上でも大変無駄となる。
【0010】
一方、第3の関連技術では、位置検出用リーダをLANに接続している。したがって、各社員が自分のパーソナルコンピュータの前で仕事を行っている間、通信経費が特に嵩むという問題は生じない。しかしながら、位置検出用リーダですべての位置検出を行うので、システムの構築の費用が膨大となる。また、職場の配置換えが生じると、その度に位置検出用リーダの配置される位置を変更する必要があり、面倒であった。
【0011】
また、これら第2および第3の関連技術では、追跡対象の人物の検出を行った時点しかその人物の位置を検出し判別することができない。したがって、追跡の対象となる人物がある会議室の前を通っていたときに位置検出動作が行われれば、その会議室で会議を行っているような位置検出結果が得られてしまう危険性がある。このような危険性を防止するためには、その会議室の付近に配置された位置検出用リーダで時間を違えて複数回の位置検出を行うことが有効であるが、これでもそれらの位置検出のタイミングで該当者が会議室あるいはその付近にいたことが検出されるに過ぎず、該当者が出席中の会議がいつまで続く予定であるといった情報を得ることはできない。
【0012】
なお、位置検出にはGPS(Global Positioning System)を用いる手法も存在する。しかしながらGPSを用いた場合にはビル等の建物の内部で複数の人工衛星からの電波を同時に受信して各人の位置を正確に検出するのは困難であり、特に高層ビルでの3次元的な位置特定に問題がある。そこで、本発明の関連技術としてはGPSを用いる技術を考察していない。
【0013】
以上説明したように従来の位置追跡管理では、以下のような幾つかの解決すべき問題が存在した。
(1)行先表示板は各人の行先を表示するのに用いられた。したがって、各人のスケジュールとの関係で行先を把握することができず、たとえば会議室に行ったことが確認されても、資料を届けに行ってすぐ戻ってくるのか、会議に参加するために行ったのかが分からなかった。
(2)行先表示板に各人の位置を表示するとしても、その都度、位置情報を取得してこれを反映させる必要があった。このため、データ処理や通信の負荷が掛かるという問題があった。
(3)仮にある人が会議に出ていることが分かっても、その会議が外部との接触を絶った重要な会議かとか、会議が遅延する可能性があるかといったことが不明であり、電話を掛けてきた人や来訪者への対応が困難であった。
【0014】
そこで本発明の目的は、各人が通常いる場所以外の場所に出向く場合にその場所やその後の予定までを電子的に表示可能な行先予定表示システム、行先予定管理装置、行先予定表示方法および行先予定表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明では、(イ)予め定めた各個人に1台ずつ割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記した個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置と、(ロ)前記した各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記したネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置と、(ハ)前記したネットワークから必要な情報を受信することで、前記した予め定めた各個人の少なくとも一部を構成する者の行先を表示する行先表示装置と、(ニ)前記したネットワークに接続され、前記した予め定めた各個人に割り当てられた前記した電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納するスケジュール格納手段と、前記した電子装置のそれぞれから前記したネットワークを通じて前記した稼働状態通知手段の通知を受け付ける電子装置稼働状態通知受信手段と、前記した個人位置情報送出装置から前記したネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける個人位置情報通知受信手段と、前記したスケジュール格納手段に格納された個人のスケジュールと前記した個人位置情報通知受信手段で受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された前記した行先表示装置に表示のために送出する表示内容送出手段とを備えた行先予定管理装置とを行先予定表示システムが具備する。
【0016】
また、本発明では、(イ)予め定めた各個人に割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記した個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納するスケジュール格納手段と、(ロ)前記した電子装置のそれぞれから前記したネットワークを通じて前記した稼働状態通知手段の通知を受け付ける電子装置稼働状態通知受信手段と、(ハ)前記した各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記したネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置から前記したネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける個人位置情報通知受信手段と、(ニ)前記したスケジュール格納手段に格納された個人のスケジュールと前記した個人位置情報通知受信手段で受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された前記した行先表示装置に表示のために送出する表示内容送出手段とを行先予定管理装置が具備する。
【0017】
更に本発明では、(イ)予め定めた各個人に割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記した個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納するスケジュール格納ステップと、(ロ)前記した電子装置のそれぞれから前記したネットワークを通じて前記した稼働状態通知手段の通知を受け付ける電子装置稼働状態通知受信ステップと、(ハ)前記した各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記したネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置から前記したネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける個人位置情報通知受信ステップと、(ニ)前記したスケジュール格納ステップで格納された個人のスケジュールと前記した個人位置情報通知受信ステップで受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された前記した行先表示装置に表示のために送出する表示内容送出ステップとを行先予定表示方法が具備する。
【0018】
更にまた本発明では、コンピュータに、行先予定表示プログラムとして、(イ)予め定めた各個人に割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記した個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納するスケジュール格納処理と、(ロ)前記した電子装置のそれぞれから前記したネットワークを通じて前記した稼働状態通知手段の通知を受け付ける電子装置稼働状態通知受信処理と、(ハ)前記した各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記したネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置から前記したネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける個人位置情報通知受信処理と、(ニ)前記したスケジュール格納処理で格納された個人のスケジュールと前記した個人位置情報通知受信処理で受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された前記した行先表示装置に表示のために送出する表示内容送出処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、各個人に1台ずつ割り当てられた電子装置の存在する場所を通常の居場所として、その場所から他の場所に出かける際の移動先を行き先表示として表示する場合に、各個人ごとの行き先の予定を示したスケジュールを行先予定管理装置側に格納することにした。これにより、移動先で個人の認証が行われた事実と組み合わせて、各個人の行き先とその後の予定を正確に把握することができる。
【0020】
また、本発明によれば、行き先がどのような場所であるかをスケジュールとの関係で知ることができる場合には、その行き先に滞在する時間も類推が可能になる。更に、各個人に1台ずつ割り当てられた電子装置の稼働状態を通知させることで、該当する個人が電子装置の存在する場所にいるかどうかを特別なセンサを使用することなく簡単かつデータ処理系に特別な負担を掛けることなく判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の行先予定表示システムのクレーム対応図である。
【図2】本発明の行先予定管理装置のクレーム対応図である。
【図3】本発明の行先予定表示方法のクレーム対応図である。
【図4】本発明の行先予定表示プログラムのクレーム対応図である。
【図5】本発明の実施の形態による行先予定表示システムの構成の概要を表わしたシステム構成図である。
【図6】本実施の形態で使用するパーソナルコンピュータの構成の一例を表わしたブロック図である。
【図7】本実施の形態におけるパーソナルコンピュータの特定状態確認部および特定状態通知部の処理の様子を表わした流れ図である。
【図8】本実施の形態でパーソナルコンピュータの特定スケジュール通知部が行う処理の様子を表わした流れ図である。
【図9】本実施の形態における位置追跡サーバによるデータベースの更新処理の内容を表わした流れ図である。
【図10】本実施の形態で電子掲示板が行き先表示板として機能している状態の一例を表わした平面図である。
【図11】本実施の形態で特定の社員の行動と行先予定表示システムを構成する各部の関係を時間を追って示した説明図である。
【図12】本実施の形態で「鈴木」が出勤してきて間もなくの時点における「行先表示板」の表示された電子掲示板を表わした平面図である。
【図13】本実施の形態で「鈴木」が第1会議室にいることが確認された時点における「行先表示板」の表示された電子掲示板を表わした平面図である。
【図14】本実施の形態で会議開始が想定される時刻が到来した時点の位置追跡サーバの制御の様子を表わした流れ図である。
【図15】本実施の形態で図11に示した各部の処理について、その後の処理の様子を表わした説明図である。
【図16】本発明の第1の変形例の行先予定表示システムにおける電子掲示板の表示例を表わした平面図である。
【図17】本発明の第2の変形例の行先予定表示システムにおける電子掲示板の表示例を表わした平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の行先予定表示システムのクレーム対応図を示したものである。本発明の行先予定表示システム10は、電子装置11と、個人位置情報送出装置12と、行先表示装置13と、行先予定管理装置14を備えている。ここで、電子装置11は、稼働状態通知手段11aを備えている。稼働状態通知手段11aは、予め定めた各個人に1台ずつ割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記した個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する。個人位置情報送出装置12は、前記した各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記したネットワークに個人位置情報として送出する。行先表示装置13は、前記したネットワークから必要な情報を受信することで、前記した予め定めた各個人の少なくとも一部を構成する者の行先を表示する。行先予定管理装置14は、スケジュール格納手段14aと、電子装置稼働状態通知受信手段14bと、個人位置情報通知受信手段14cと、表示内容送出手段14dを備えている。ここでスケジュール格納手段14aは、前記したネットワークに接続され、前記した予め定めた各個人に割り当てられた前記した電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納する。電子装置稼働状態通知受信手段14bは、電子装置11のそれぞれから前記したネットワークを通じて稼働状態通知手段11aの通知を受け付ける。個人位置情報通知受信手段14cは、個人位置情報送出装置12から前記したネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける。表示内容送出手段14dは、スケジュール格納手段14aに格納された個人のスケジュールと個人位置情報通知受信手段14cで受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された行先表示装置13に表示のために送出する。
【0023】
図2は、本発明の行先予定管理装置のクレーム対応図を示したものである。本発明の行先予定管理装置20は、スケジュール格納手段21と、電子装置稼働状態通知受信手段22と、個人位置情報通知受信手段23と、表示内容送出手段24を備えている。ここで、スケジュール格納手段21は、予め定めた各個人に割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記した個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納する。電子装置稼働状態通知受信手段22は、前記した電子装置のそれぞれから前記したネットワークを通じて前記した稼働状態通知手段の通知を受け付ける。個人位置情報通知受信手段23は、前記した各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記したネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置から前記したネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける。表示内容送出手段24は、スケジュール格納手段21に格納された個人のスケジュールと個人位置情報通知受信手段23で受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された行先表示装置に表示のために送出する。
【0024】
図3は、本発明の行先予定表示方法のクレーム対応図を示したものである。本発明の行先予定表示方法30は、スケジュール格納ステップ31と、電子装置稼働状態通知受信ステップ32と、個人位置情報通知受信ステップ33と、表示内容送出ステップ34を備えている。ここで、スケジュール格納ステップ31では、予め定めた各個人に割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記した個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納する。電子装置稼働状態通知受信ステップ32では、前記した電子装置のそれぞれから前記したネットワークを通じて前記した稼働状態通知手段の通知を受け付ける。個人位置情報通知受信ステップ33では、前記した各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記したネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置から前記したネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける。表示内容送出ステップ34では、スケジュール格納ステップ31で格納された個人のスケジュールと個人位置情報通知受信ステップ33で受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された前記した行先表示装置に表示のために送出する。
【0025】
図4は、本発明の行先予定表示プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明の行先予定表示プログラム40は、コンピュータにスケジュール格納処理41と、電子装置稼働状態通知受信処理42と、個人位置情報通知受信処理43と、表示内容送出処理44を実行させるようにしている。ここで、スケジュール格納処理41では、予め定めた各個人に割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記した個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納する。電子装置稼働状態通知受信処理42では、前記した電子装置のそれぞれから前記したネットワークを通じて前記した稼働状態通知手段の通知を受け付ける。個人位置情報通知受信処理43では、前記した各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記したネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置から前記したネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける。表示内容送出処理44では、スケジュール格納処理41で格納された個人のスケジュールと個人位置情報通知受信処理43で受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された前記した行先表示装置に表示のために送出する。
【0026】
<発明の実施の形態>
【0027】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図5は、本発明の実施の形態による行先予定表示システムの構成の概要を表わしたものである。この実施の形態の行先予定表示システム100は、ある会社のそれぞれの社員の位置を追跡して今後の予定と共に表示するシステムである。ここでは、説明の都合上で1名の社員101を定め、その位置の変化を追跡するものとして行先予定表示システム100の説明を行う。
【0029】
この会社で社員101は、社員証102を社内で常に携行するように定められている。社員証102はRFID(Radio Frequency IDentification)を内蔵しており、近距離無線通信を行うことができる。社員101の働く会社のビル103は3階建てとなっている。そのビル103の1階部分には、社員101の所属する部課があり、自席にはパーソナルコンピュータ104が設置されている。図示しないが同一の部課に働いている他の社員も、それぞれの席にパーソナルコンピュータを配置している。
【0030】
社員101の働く部署の境界位置にはRFIDカードリーダ10501が配置されている。また、1階部分の他の場所にもRFIDカードリーダ10502が配置されている。ビル103の2階部分の第1会議室106の入り口にもRFIDカードリーダ10521が配置されており、同じ階の他の場所にもRFIDカードリーダ10522が配置されている。更に、ビル103の3階部分の第2会議室107の入り口にはRFIDカードリーダ10531が配置されており、同じ階の他の場所にはRFIDカードリーダ10532が配置されている
【0031】
社員証102は、これらRFIDカードリーダ10501、10502、10521、10522、10531、10532(以下、RFIDカードリーダ10501-32と略称する。)のいずれか1つに接近すると、RFIDの内部に書き込まれた社員番号、氏名等の予め定めた個人情報の読み出しを行うようになっている。これらRFIDカードリーダ10501-32およびパーソナルコンピュータ104は、それぞれLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワーク108に接続されている。
【0032】
ネットワーク108には、この会社の適宜の箇所に適宜の数だけ配置された電子掲示板109や、位置追跡サーバ110とも接続されている。ここで電子掲示板109は液晶ディスプレイや有機EL(Organic Electro-Luminescence)等のディスプレイからなる情報表示部111を備えており、特定の部署を構成する社員ごとに居場所や予定を表示するようになっている。また、第1会議室106あるいは第2会議室107で会議を行っている場合には、その会議の種類(重要度)も表示するようになっている。これは、電子掲示板109を見たものが、会議中の該当する社員について会議を中座して電話に出たり人に会うことが可能であるかを判別できるようにするためである。
【0033】
位置追跡サーバ110は、社員証102に代表される各社員の位置の追跡を行うための各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)121を備えており、またデータベース格納部122を接続している。CPU121は、位置追跡サーバ110の図示しない記憶部に格納された位置追跡プログラムを実行することで、社員101の位置の追跡のための位置追跡プログラム実行部123を実現する。また、CPU121は前記した記憶部に格納されたグループウェアを実行することで、パーソナルコンピュータ104同士で社員101等の社員ごとの情報の交換や共有を可能にするグループウェア実行部124を実現する。更にCPU121は、前記した記憶部に格納された入退場管理プログラムを実行することで、たとえば社員101が第1会議室106等の特定の施設を入退場した事実を管理する入退場管理プログラム実行部125を実現する。
【0034】
データベース格納部122には、各種のデータベースが格納されている。社員ID(identification)部131には、社員101等の予め定めた社員のIDがデータベース化されている。本実施の形態では社員ID部131に各社員のIDだけでなく、役職を表わすコード情報も格納されている。これは、第1会議室106等の会議室での会議に出席する者の役職をコード情報で分析することで、会議の重要度を判別できるようにするためである。
【0035】
データベース格納部122における位置情報部132には、これら社員の位置情報がデータベース化されている。PC状態部133は、それぞれのパーソナルコンピュータ104が動作状態にあるのか、スタンバイ(standby)状態、すなわち作業状態を保持した節電状態としてのサスペンドモードの状態にあるかといった判別を行う。会議室予約情報部134は、第1会議室106等の会議室の予約状態がデータベース化されている。社員予定部135は、社員101等の予め定めた社員が自席のパーソナルコンピュータ104にシステム専用の予定表あるいは市販のスケジュールソフトウェアを使用して自分の予定表を作成すると、その中から必要なデータを抽出して、データベース化するようになっている。
【0036】
図6は、本実施の形態で使用するパーソナルコンピュータの構成の一例を表わしたものである。図5と共に説明する。
【0037】
パーソナルコンピュータ104は、CPU(Central Processing Unit)141と、このCPU141が実行する制御プログラム(アプリケーションソフトウェア)等の各種データを格納するメモリ142を備えた制御部143を有している。制御部143は、データバス等の接続手段144を介して次の各部と接続されており、通常のデスクワークをこなす機能を備える他に、行先予定表示システム100の一員としての制御を可能にしている。
【0038】
通信制御部145は、ネットワーク108と必要な通信を行うようになっている。特定状態確認部146は、このパーソナルコンピュータ104を専用に使用する社員101がその使用位置としての通常作業位置(ホームポジション)から他の場所に移動したり、再びホームポジションに戻ることを特定する状態の確認を行う。
【0039】
このような特定状態確認部146は、パーソナルコンピュータ104にUSB(Universal Serial Bus)接続される図示しない宛先表示装置が社員101によって「離席」、「帰宅」、「在席」等の状態表示を行う行為に連動して特定状態を確認するようになっていてもよい。本実施の形態では、社員101に負担を掛けず、かつ宛先表示装置のような即別の装置が不要な手法を特定状態確認部146が採用している。具体的には、パーソナルコンピュータ104を社員101がサスペンド(suspend)状態に操作したり、あるいはパーソナルコンピュータ104の電源を終了させる操作を行ったとき、特定状態確認部146がソフトウェア的にこれを検出して「離席」が比較的短期間に行われることを確認(推測)する。また、パーソナルコンピュータ104の電源が投入されたとき、特定状態確認部146はその機能が開始した時点をもって社員101が「在席」していることを確認する。パーソナルコンピュータ104が再起動された場合には、「離席」と「在席」の確認が相次いで行われることになるが、結果的に「在席」が確認される。
【0040】
特定状態通知部147は、特定状態確認部146が「在席」または「離席」の確認を行うたびに、これを位置追跡サーバ110に通知する。ただし、パーソナルコンピュータ104の再起動が行われる場合に「離席」と「在席」の通知が繰り返し行われることを防止する必要があるときには、「離席」が確認されてから1分等の所定の時間の計測を開始し、この時間が計時終了前に「在席」が確認されなかった場合にのみ「離席」を通知するようにしてもよい。
【0041】
スケジュール管理部148はパーソナルコンピュータ104に組み込まれたスケジュール管理ソフトウェアによって社員101自身のスケジュールを管理する。スケジュール管理ソフトウェアは各種のものが存在しているが、行先予定表示システム100の管理者が推奨する幾つかの種類のものをパーソナルコンピュータ104に組み込んでおく。社員101は、会議に出席したり、出張するような場合、その予定を入力して、スケジュール管理部148にこれを管理させる。
【0042】
特定スケジュール通知部149は、スケジュール管理部148の管理する社員101についてのスケジュールの内容に追加、変更および削除があったとき、これを検出する。そして、これらが社員101の位置の移動を伴う予め定めた事項に該当する場合には、これを位置追跡サーバ110に通知する。たとえば、11月11日の朝10時から11時まで第1会議室106で会議がある旨の入力を社員101がスケジュール管理ソフトウェアで行った場合、これがパーソナルコンピュータ104から位置追跡サーバ110に通知される。これに対して、デスクワークにおける仕事の割り振りをスケジュール管理ソフトウェアで記録した内容は、社員101の位置の移動を伴わない予定であるとして特定スケジュール通知部149の通知の対象にはならない。
【0043】
なお、社員101があるグループの事務を管理する事務員である場合もある。このような場合、その事務員は自身の位置管理を行先予定表示システム100で行うのはもちろんであるが、担当グループの社員が開催する会議について会議室の予約を行う業務を有している場合がある。このような場合、その事務員の操作するパーソナルコンピュータのスケジュール管理部148は、グループのための会議がどの会議室で何時から何時まで行われるかといった情報を管理できることになる。この場合、特定スケジュール通知部149はその事務員の位置の移動を通知する他に、担当グループの社員の会議等のスケジュールを通知することになる。
【0044】
入力部150は、パーソナルコンピュータ104のデータ入力処理を行う部分であり、通常はキーボードやマウス等のポインティングデバイスとこれらの入力回路で構成されている。タッチパネルが入力部150の一部を構成してもよい。
【0045】
表示部151は液晶ディスプレイあるいは有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイといったディスプレイを備えている。表示部151は、パーソナルコンピュータ104における通常の業務の他にスケジュール管理に使用されることになる。
【0046】
図7は、パーソナルコンピュータの特定状態確認部および特定状態通知部の処理の様子を表わしたものである。図5および図6と共に説明する。
【0047】
パーソナルコンピュータ104は、社員101が入力部150を用いてサスペンド操作を行ったかを監視している(ステップS201)。社員101が予め定めたサスペンド操作として、たとえば図示しない特定のキーを押下したとする。この場合(ステップS201:Y)、特定状態確認部146はパーソナルコンピュータ104をサスペンド状態に移行させる指示が行われたことを確認する。そして、メモリ142の特定領域に割り当てられたサスペンドフラグをオンにする(ステップS202)。特定状態通知部147は、これを基にして位置追跡サーバ110に対してパーソナルコンピュータ104の操作者の社員101が離席することを通知して(ステップS203)、処理をステップS201に戻す(リターン)。
【0048】
もちろん、パーソナルコンピュータ104は、以上の処理と並行してその時点まで行われたデータ処理の内容を保存した後、特定状態通知部147の通知が完了したことを確認して、サスペンド状態に移行する。サスペンド状態では必要なメモリに電力が供給される点で電源のオフとは異なるが、省電力効果がある。
【0049】
特定状態確認部146はサスペンド操作が行われない状態で(ステップS201:N)、パーソナルコンピュータ104の電源をオフにする操作が行われたか(ステップS204)と、スケジュール管理部148によるスケジュール管理が開始したか(ステップS205)と、サスペンドフラグがオンになっているか(ステップS206)を監視している。このうち、パーソナルコンピュータ104の電源をオフにする操作が行われた場合(ステップS204:Y)、特定状態通知部147は位置追跡サーバ110に対してパーソナルコンピュータ104の操作者の社員101が離席することを通知して(ステップS203)、処理をステップS201に戻す(リターン)。
【0050】
この場合、特定状態通知部147が位置追跡サーバ110に離席を通知した後にパーソナルコンピュータ104の電源が完全に遮断される。したがって、サスペンドフラグのオン・オフ操作は行われない。
【0051】
一方、パーソナルコンピュータ104の電源が投入された場合や、社員101がスケジュール管理部148の管理ソフトウェアを立ち上げてスケジュール管理を開始させる場合がある。このようにしてパーソナルコンピュータ104による社員101のスケジュール管理が開始すると(ステップS204:N、ステップS205:Y)、特定状態通知部147は位置追跡サーバ110に対して社員101が在席していることを通知する(ステップS207)。そして処理をステップS201に戻す(リターン)。
【0052】
パーソナルコンピュータ104がサスペンド状態に移行した後に社員101がサスペンド状態を解除する操作を行った場合、スケジュール管理部148はスケジュール管理の継続を再開するが、スケジュール管理自体を開始するものではない。したがって、本実施の形態ではパーソナルコンピュータ104が正常な動作状態であるにも係わらずサスペンドフラグがオンとなっていれば、これはサスペンド状態が比較的直前に解除されたものであると判別することにしている。
【0053】
したがって、サスペンド操作の直後以外の状態でサスペンドフラグがオンとなっていれば(ステップS206:Y)、特定状態確認部146はサスペンドフラグをオフにする(ステップS208)。特定状態通知部147は、これを基にして位置追跡サーバ110に対して社員101が在席していることを通知する(ステップS207)。そして処理をステップS201に戻す(リターン)。これは、たとえば社員101がパーソナルコンピュータ104をサスペンド状態に移行させて席を外した後、自分の席に戻ってサスペンド状態を解除した場合を想定している。
【0054】
図8は、パーソナルコンピュータの特定スケジュール通知部が行う処理の様子を表わしたものである。図5および図6と共に説明する。
【0055】
特定スケジュール通知部149は、スケジュール管理部148が社員101についてのスケジュールの追加、変更、削除のいずれかを行ったかを監視している(ステップS221)。これらのいずれかが行われると(Y)、特定スケジュール通知部149はそれが社員101の在席の有無に影響する予め定めた特定事項に該当するかを判別する(ステップS222)。一例としては、第1会議室106または第2会議室107で行われる会議に出席したり、図示しない図書室に文献を探しに行く場合には離席を生じさせる特定事項に該当すると判別する。
【0056】
スケジュールが特定事項に該当する場合(ステップS222:Y)、特定スケジュール通知部149はその内容を位置追跡サーバ110に通知する(ステップS223)。たとえば社員101が11月11日の朝10時から11時まで会議に出席する場合には、その会議室の名前や、会議における電話の取り次ぎの可否といった社員101の入力事項のうちの必要な事項が位置追跡サーバ110に通知される。この後、特定スケジュール通知部149はステップS221に処理を戻す(リターン)。スケジュールが特定事項に該当しなかった場合(ステップS222:N)、特定スケジュール通知部149は通知処理を行うことなくステップS221に処理を戻すことになる(リターン)。
【0057】
なお、本実施の形態では、後に説明するように電話の取り次ぎの可否といった事項が入力されていない場合に、会議に出席する者の構成を調べることで会議の内容を類推し、電話等の取り次ぎの可否を判別するようにしている。社員101別に電話の取り次ぎの可否といった事項が入力されている場合には、このような判別が不要であることはもちろんである。
【0058】
図9は、位置追跡サーバによるデータベースの更新処理の内容を表わしたものである。図5と共に説明する。
【0059】
位置追跡サーバ110は、データベース格納部122を接続しており、パーソナルコンピュータ104、RFIDカードリーダ10501-32、第1会議室106および第2会議室107から各種通知を受けるようになっている。位置追跡プログラム実行部123は、受信した通知が社員証102を検出したRFIDカードリーダ10501-32からの位置情報であれば(ステップS241:Y)、社員ID部131に格納された社員ID別にRFIDカードリーダ10501-32で検出された最新位置をその検出時刻と共に位置情報部132に上書き処理する(ステップS242)。この後、ステップS221に処理が戻る(リターン)。
【0060】
また位置追跡プログラム実行部123は、受信した通知がパーソナルコンピュータ(PC)104の状態を示す情報であれば(ステップS241:N、ステップS243:Y)、社員ID部131に格納された社員ID別に在席の有無を通知のあった時刻と共にPC状態部133に上書き処理する(ステップS244)。この後、ステップS221に処理が戻る(リターン)。このようにパーソナルコンピュータ104からの通知は、着目する社員101に関する状態の変化が確認された時点ごとに行われる。「離席」あるいは「在席」状態が継続している間、パーソナルコンピュータ104は所定の時間間隔で状態を位置追跡サーバ110に通知している訳ではない。これは管理対象となるパーソナルコンピュータが多数あるような場合に位置追跡サーバ110の負担を軽減するのに役立つ。
【0061】
更に位置追跡プログラム実行部123は、特定スケジュール通知部149から会議室の予約についての通知を受けると(ステップS241:N、ステップS243:N、ステップS245:Y)、会議室予約情報部134に各会議室の予約時間と、分かっている出席者の社員IDを上書き処理する(ステップS246)。この後、ステップS221に処理が戻る(リターン)。
【0062】
会議に参加するメンバの構成は、前記した事務員による会議室の予約の段階、あるいは1名の社員のスケジュール管理ソフトウェアによる位置追跡サーバ110への通知だけでは、その一部しか判別できない場合がある。このような場合であっても、各社員のスケジュール管理ソフトウェアに基づく会議への参加の通知が集まれば、会議ごとの参加者の全員がほぼ特定されることになる。これによって、参加者の役職を社員ID部131へのアクセスで判別可能になり、会議の重要度を判別する手掛かりにすることができる。
【0063】
位置追跡プログラム実行部123は、社員予定部135から社員ごとのスケジュールの追加、変更あるいは削除の通知を受けると(ステップS241:N、ステップS243:N、ステップS245:N、ステップS247:Y)、社員ID部131に格納された社員ID別にこれらの社員の予定を上書き処理する(ステップS248)。この後、ステップS221に処理が戻る(リターン)。
【0064】
図10は、電子掲示板が行き先表示板として機能している状態の一例を表わしたものである。電子掲示板109は、「行先表示板表示モード」でその情報表示部111に、予め定めたグループを構成する社員の在席状態や行き先を表示するようになっている。もちろん、他の表示モードに切り替えることで、電子掲示板109にテレビジョン番組を映し出したり、インターネット上の指定したサイトのコンテンツ情報を表示することも可能である。
【0065】
図10に示した例では、電子掲示板109の設置された特定部署の社員3名についての行先が情報表示部111に表示されている。このような表示は、図5に示した位置追跡サーバ110が、この電子掲示板109の設置された場所で必要とされる複数の社員の行先に合わせて、行先情報を適宜の時間間隔で送信してくることにより実現される。図5と共に説明する。
【0066】
情報表示部111に「行先表示板」が表示されている現在時刻が13時15分であるとする。このとき、社員である「佐藤」は、在席している。「鈴木」は、第1会議室106で幹部会議に出席中であり、この会議は14時に終了する。「鈴木」は会社の幹部が出席する幹部会議に出ているので、第1会議室106での会議が終了するまで電話の取り次ぎができない。
【0067】
「鈴木」は、14時から15時まで第2会議室107で行われるグループ会議に出席する。グループ会議では取り次ぎができるという取り決めになっていれば、「鈴木」に対して電話が掛かってきた場合、14時以降は取り次ぎが可能となる。
【0068】
「行先表示板」に示されている「高橋」については、現在は在席しており、14時から15時まで第2会議室107で行われるグループ会議に出席することが分かる。現在、在席している「佐藤」や「高橋」も新たな予定が発生してスケジュールの追加または変更が行われ、これが本人の移動を伴うものであれば、その予定が「行先表示板」に新たに表示されることになる。また、緊急の用事が発生して「佐藤」がビル103の1階の居室から3階に移動したような場合には、「離席」表示となる。そして、RFIDカードリーダ10501-32のいずれかが「佐藤」の社員証を検出すれば、おおよその行先を推定して「行先表示板」に表示することが可能になる。
【0069】
次に、図5に示した社員101が図10に示す「鈴木」である場合を例に採って、行先予定表示システム100の動作を具体的に説明する。
【0070】
図11は、特定の社員の行動と行先予定表示システムを構成する各部の関係を時間を追って示したものである。この図では縦軸の下方向に時間が経過している。図5〜図10と共に説明する。
【0071】
まず、一日のうちのある定められた時刻t1になると、データベース格納部122が社員101である「鈴木」の属するグループ全員(ここでは「佐藤」と「鈴木」と「高橋」の3名であるとする。)のスケジュールを社員予定部135から読み出して、その内容を位置追跡サーバ110に通知する(ステップS261)。位置追跡サーバ110は、これを基にしてそのグループの「行先表示板」に表示する予定を編集して、電子掲示板109に送信する(ステップS262)。電子掲示板109は「行先表示板」としての情報表示部111にその内容を表示する(ステップS263)。このとき表示される「行先表示板」の内容は、「佐藤」と「鈴木」と「高橋」の3名が前日までに、それぞれの管理するパーソナルコンピュータ104等の端末から入力し、位置追跡サーバ110に通知した社員予定部135に格納された内容である。
【0072】
なお、電子掲示板109はビル103内の各所に部署あるいはグループごとに配置されている。したがって、位置追跡サーバ110はこれら電子掲示板109に割り当てられた社員ごとに、それらの者のスケジュールを社員予定部135から受信して、それらの者の予定を編集して電子掲示板109に送信することになる。
【0073】
このように該当するグループを構成する社員の行先が「行先表示板」に表示された状態で、社員101としての「鈴木」が時刻t2に出社して、自分のパーソナルコンピュータ104の電源を投入したとする(ステップS264)。パーソナルコンピュータ104は起動して、図7で説明したように特定状態確認部146が特定状態の確認を行う(ステップS265)。この例の場合には、パーソナルコンピュータ104が仕事に使用するために起動されたので、社員101は少なくともしばらくの間はそのホームポジションで仕事をすることになる。そこで、パーソナルコンピュータ104は、位置追跡サーバ110に「PC状態送信」として「鈴木」の在席(出勤)を通知する(ステップS266、図7ステップS207)。
【0074】
位置追跡サーバ110は、この通知を受けると、通知内容を解読して「鈴木」が在席しているのか、あるいは離席しているのかを判別し、その結果を電子掲示板109に通知する(ステップS267)。電子掲示板109はこの結果として「鈴木」の在席(出勤)を「自席」として表示する(ステップS268)。
【0075】
図12は、「鈴木」が出勤してきて間もなくの時点における「行先表示板」の表示された電子掲示板を表わしたものである。この例では「佐藤」がまだ出勤していないので、その現在の場所が表示されていない。「鈴木」は出勤し、「自席」にいるので、「自席」と表示されている。また、「鈴木」については13時以降の会議の予定が情報表示部111に表示されている。「高橋」については、「自席」にいることが表示され、また14時以降の会議の予定が情報表示部111に表示されている。
【0076】
この図12の表示内容を図10と比較すると、図10では会議の内容が「幹部会議」のように表示されているが、図12ではこれらの表示がない。これは、会議がどのような性格のものであるか、この時点では判明していないためである。会議の内容の判別原理については後に説明する。
【0077】
図11に戻って説明を続ける。社員101としての「鈴木」は、自席で仕事をした後、13時からの会議に出席するために時刻t3にパーソナルコンピュータ104をサスペンド状態になるように操作する(ステップS269)。すると、図7で説明したようにパーソナルコンピュータ104は「鈴木」が離席のためにサスペンド状態に移行を指示したことを確認する(ステップS270)。そして、このパーソナルコンピュータ104の状態を位置追跡サーバ110に送信する(ステップS271)。
【0078】
位置追跡サーバ110は、パーソナルコンピュータ104のこの状態の通知を受けると、在席状態から近い将来に離席状態に移行することを判別する(ステップS272)。そして、この状態変化を電子掲示板109に送信する。電子掲示板109はこれと共に「鈴木」を「自席」にいる表示状態から「離席」の可能性を示す表示に切り替える(ステップS273)。このような「離席」の可能性を示す表示内容は、現在連続して表示されている「自席」という文字を「鈴木」に関しては点滅表示に変更することで実現してもよいし、「移動中」という文字に変更するようにしてもよい。
【0079】
また、この時点から位置追跡サーバ110はその日における「鈴木」に対する「位置の追跡」を開始する(ステップS274)。換言すれば、位置追跡サーバ110は「鈴木」についての位置追跡作業を自発的に開始するのではなく、「鈴木」の「離席」の可能性が生じるまで「鈴木」に関する追跡処理は行わない。このような手法を採用することで、位置追跡サーバ110の処理負荷が軽減される。
【0080】
ところで「鈴木」は、ステップS270でパーソナルコンピュータ104をサスペンド操作した後、時刻t4に第1会議室106に向かって移動を開始する。そして、その後の時刻t5に第1会議室106の入り口に配置されたRFIDカードリーダ10521が「鈴木」の社員証102を検出する。これにより、RFIDカードリーダ10521が「鈴木」の社員ID情報を位置追跡サーバ110に送信する(ステップS275)。
【0081】
位置追跡サーバ110は、「鈴木」の社員ID情報を受信すると「鈴木」が第1会議室106内にいることが確認されたので、図9のステップS242で示したようにデータベース格納部122における位置情報部132の内容を更新する(ステップS276)。そして、「移動中」の「鈴木」の行先が確定したので行先としての位置情報を電子掲示板109に送信する(ステップS277)。これに基づき電子掲示板109は「鈴木」についての位置情報の表示を更新する(ステップS278)。
【0082】
図13は、「鈴木」が第1会議室にいることが確認された時点における「行先表示板」の表示された電子掲示板を表わしたものである。この時点で「佐藤」は「自席」で仕事を行っている。「鈴木」は第1会議室106に移動したことが、現在位置を示すマーク161の一時的な点滅表示によって示されている。「高橋」については、図12に示した状態と同一の表示状態となっている。
【0083】
再び図11に戻って説明を続ける。位置追跡サーバ110は、ステップS277で「鈴木」が第1会議室106にいることを判別すると、この会議室に入室したと判別する(ステップS279)。そこで位置追跡サーバ110は第1会議室106での会議開始がほぼ確実であると想定される時刻としての時刻t6になると、データベース格納部122の会議室予約情報部134から会議室予約情報を読み出す(ステップS280)。
【0084】
ここで会議開始がほぼ確実であると想定される時刻t6とは、会議の性格にもよるが会議の開始予定時刻ちょうど、あるいは開始予定時刻から5分経過後が一例として設定されている。「鈴木」が第1会議室106に入室した時点が会議の開始予定時刻よりも若干早い場合があり、この場合には会議の参加メンバがまだ揃っていない場合がある。また、第1会議室106には直前に開催した会議のメンバが残っている場合もある。
【0085】
時刻t6が経過すると、位置追跡サーバ110は第1会議室106にその時点で入室している者を特定するための社員の位置情報の読み出しを行う(ステップS281)。そして、これ以後の処理で会議の終了時間と内容を類推して電子掲示板109に掲示することになる。
【0086】
図14は、会議開始が想定される時刻が到来した時点の位置追跡サーバの制御の様子を表わしたものである。図5、図6および図11と共に説明する。
【0087】
「鈴木」が出席する第1会議室106での会議の開始が想定される時刻t6が到来すると(ステップS301:Y)、位置追跡サーバ110は、対象地域にホームポジションとしての「自席」が存在する人の中で現時点で第1会議室106にいる者を抽出する(ステップS302)。具体的には、ビル103の内部に「自席」が存在し、かつ移動中で「位置の追跡」が行われる対象となる社員(ステップS269参照)のすべてについてデータベース格納部122の位置情報部132を検索した結果を読み出す(ステップS281)。
【0088】
位置追跡サーバ110は位置情報部132の検索により抽出した、現時点で第1会議室106に入室している者の多数が集まった最近の会議の情報を会議室予約情報部134の過去のデータから抽出する(ステップS303)。そのような会議が存在した場合には(ステップS304:Y)、これらの会議に予め設定されていた予定終了時刻に実際の会議が終了したかの過去の会議の傾向を分析する(ステップS305)。
【0089】
この結果、過去の会議が通常の時間範囲で終了する場合が多かったときには(ステップS306:Y)、今回の会議も通常の終了時刻に終了すると類推する(ステップS307)。ステップS304で同様の構成員の会議が最近開かれていないことが分かった場合にも(N)、同様に会議終了の予定時刻として設定されていた時刻を終了時刻と類推する。
【0090】
一方、過去の会議が通常の時間範囲よりも遅延(延長)して終了する場合が多かったときには(ステップS306:N、ステップS308:Y)、今回の会議も同様に遅延(延長)して終了すると類推する(ステップS309)。また、過去の会議が通常の時間範囲よりも早く終了する場合が多かったときには(ステップS306:N、ステップS308:N)、今回の会議も同様に予定時刻として設定されていた時刻よりも早く終了すると類推する(ステップS310)。
【0091】
以上のようにして今回の第1会議室106で行われる会議の終了時刻の類推が行われたら、位置追跡サーバ110はステップS302で位置情報部132の検索により抽出した、第1会議室106に入室している者の社員IDに対応する役職のコード情報を社員ID部131から読み出して、会議のメンバの役職を特定する(ステップS311)。そして、該当する第1会議室106に入室している者の全員に対するある役職以上の役職者の割合を算出する(ステップS312)。これによって、幹部とされる人物が第1会議室106の会議の出席者に占める割合が分かる。
【0092】
位置追跡サーバ110は幹部の占める割合が予め定めたAパーセント以上であるかを判別する(ステップS313)。このとき、幹部の役職の重要性に複数の段階がある場合には、それぞれに重みを設定してもよい。Aパーセントは100パーセントであることを要しない。これは、幹部以外の者が幹部会議に出席する場合があることを考慮したものである。値Aは、この行先予定表示システム100の管理者が任意の数値に設定することができる。
【0093】
ステップS313の判別結果として幹部の割合がAパーセント以上のときには、幹部会議が行われると判別する(ステップS314)。これ以外の場合には(ステップS313:N)、グループ内の会議としてのグループ会議あるいは通常の会議が行われると判別する(ステップS315)。
【0094】
位置追跡サーバ110は以上の処理により類推した会議終了時間と会議内容とを会議の予定として編集し、電子掲示板109に向けて送信する(ステップS316)。その後、位置追跡サーバ110は再びステップS241の処理に戻ることになる(リターン)。
【0095】
以上、図14を用いた処理を図11で簡単に振り返る。ステップS281では第1会議室106に現在入室している者を特定するための位置情報の読み出しを行う。そして、ステップS282では第1会議室106に現在入室している者の役職を読み出しす。また、次のステップS283では会議室予約情報部134の過去のデータを読み出して今回の会議の終了時間を類推する。ステップS284では幹部会議であるか等の今回の会議の内容を類推する。そして、ステップS285では、図14のステップS316の処理として今回の会議の予定を電子掲示板109に送信することになる。第1会議室106を例にして説明したこれら一連の処理は、処理の順序を多少前後してもよいことはもちろんである。
【0096】
電子掲示板109は、ステップS285で位置追跡サーバ110から新たな予定内容についての送信があると、これを受信して情報表示部111に表示する内容の更新を行う(ステップS286)。情報表示部111の表示内容の更新に伴って、図13に示したマーク161の表示は消える。
【0097】
図15は、図11に示した各部の処理について、その後の処理の様子を表わしたものである。この図でも縦軸の下方向に時間が経過している。図5〜図10と共に説明する。
【0098】
社員101である「鈴木」は13時からの第1会議室106での会議の後、14時からの第2会議室107での会議に出席する予定がある。そこで、時刻t11に第1会議室106を出て時刻t12に第2会議室107に到達する。「鈴木」が第1会議室106を出たことは、RFIDカードリーダ10521が「鈴木」の社員証102を検出することによって判別される。また第2会議室107に入室したことは、第2会議室107の入り口に配置されたRFIDカードリーダ10531が検出する。これにより、第2会議室107のRFIDカードリーダ10531が「鈴木」の社員ID情報を位置追跡サーバ110に送信する(ステップS291)。
【0099】
位置追跡サーバ110は、「鈴木」の社員ID情報を受信すると「鈴木」が第2会議室107内にいることが確認されたので、図9のステップS242で示したようにデータベース格納部122における位置情報部132の内容を更新する(ステップS292)。そして、「移動中」の「鈴木」の行先が確定したので行先としての位置情報を電子掲示板109に送信する(ステップS293)。これに基づき電子掲示板109は「鈴木」についての位置情報の表示を更新する(ステップS294)。
【0100】
位置追跡サーバ110は、ステップS293で「鈴木」の位置情報を送信すると、「鈴木」が第2会議室107に入室済みであると判別する(ステップS295)。そこで位置追跡サーバ110は第2会議室107での会議開始がほぼ確実であると想定される時刻としての時刻t13になると、データベース格納部122の会議室予約情報部134から会議室予約情報を読み出す(ステップS296)。
【0101】
このステップS296の処理は、第1会議室106における図11のステップS280の処理と同様である。そこでこれ以降における第2会議室107での処理の詳細についての図示および説明は省略する。結局、位置追跡サーバ110は、ステップS331で第2会議室107における会議の予定を電子掲示板109に送信し、電子掲示板109はこれを受信して情報表示部111に表示する内容を更新する(ステップS332)。
【0102】
このようにして第2会議室107で会議が行われ、「鈴木」はその後の時刻t14に第2会議室107を出て、時刻t15にホームポジションの自席に戻る。「鈴木」はサスペンド状態となっている自分のパーソナルコンピュータ104について、サスペンド状態を解除する。すると、図7で説明したように特定状態確認部146が特定状態の確認を行う(ステップS333)。その結果、パーソナルコンピュータ104は、位置追跡サーバ110に対して「PC状態送信」として「鈴木」の在席を通知する(ステップS334、図7ステップS207)。
【0103】
位置追跡サーバ110は、この通知を受けると、通知内容を解読して「鈴木」が「自席」に戻ったことを判別し(ステップS335)、データベース格納部122における位置情報部132の内容を「自席」に更新する(ステップS336)。そして、「鈴木」についての位置情報の内容を電子掲示板109に送信して(ステップS337)、情報表示部111に表示する内容を更新させる(ステップS338)。
【0104】
以上説明したように本実施の形態の行先予定表示システム100によれば、人手を使用してグループウェアへの予定登録や掲示板への行き先記載を行う必要なく、社内等の特定の組織内におけるこれらの者の位置や予定を管理し、他人に現在位置や予定、現在いる場所での電話等によるコンタクトの可否の類推判断を伝えることができる。
【0105】
また、本実施の形態の行先予定表示システム100によれば、追跡の対象とされる者は離席時あるいは自席に戻った際に行先表示板に対して行き先表示の変更のために特別な操作を行う必要がない。このため、人手で行先表示板あるいは入力装置を操作する従来の手法と比較すると操作を忘れたり、誤操作を行う危険性がなく、行先表示の信頼性を高めることができる。しかも、本実施の形態の行先予定表示システム100では、システムの構築に特殊なデバイスを使用する必要がないのでシステムの構築や運用に掛かる費用を低減することができるという効果がある。
【0106】
更に本実施の形態では、追跡の対象とされる者が自席に停まっている間は移動の検出のための追跡を行わず、離席してから自分の席に戻るまでを追跡期間としている。このように追跡の必要な時間帯に限定して位置追跡サーバ110が位置の追跡を行うので、システムの処理負荷、通信負荷、ならびに消費電力を低減することができる。この結果、本発明では、システムの構築に掛かるコストの低減に加え、システムの運用コストの低減を図ることができる。たとえば資産や物流といった分野に使用される近距離無線の位置情報管理技術では、頻繁に動く「人」の位置情報管理をリアルタイムに行うことは困難であり、位置情報管理に係わるシステムの構築に多大なコストを要していた。したがって、コスト面で本発明は大きな利点を有することになる。
【0107】
更にまた本実施の形態では、個人の行き先についての情報が得られるだけでなく、その行き先が会議室等の会合が行われる場所である場合には、その行き先に集まる構成員の情報や過去の同様の会合の履歴および各個人のスケジュールを基にして会合の終了時間の類推や、会合の目的、その後の移動先の類推も可能になる。
【0108】
<発明の第1の変形例>
【0109】
図16は、本発明の第1の変形例の行先予定表示システムにおける電子掲示板の表示例を表わしたものである。図16で図10と同一部分には同一の符号を付している。図5および図6と共に説明する。
【0110】
第1の変形例では、電子掲示板109の情報表示部111に表示された行先表示板に現在時刻表示ウィンドウ401が配置されるようになっており、ここに現在時刻がデジタル表示で表示されるようになっている。デジタル表示の代わりにアナログ時計が表示されるようになっていてもよい。
【0111】
「鈴木」については、パーソナルコンピュータ104をサスペンド操作し忘れた状態で自席で昼食をとっている状態である。パーソナルコンピュータ104は「鈴木」の設定により、一定時間以上操作が行われないと自動的にサスペンド状態となるようになっている。このため、この12時10分の時点でパーソナルコンピュータ104はサスペンド状態に移行している。この後、RFIDカードリーダ10501-32による社員証102の検出も行われていないので、位置追跡サーバ110は「自席」表示の代わりに「所在不明」の点滅表示に表示状態を切り替えている。図16で点線で囲んだ領域は、点滅表示を示すものである。
【0112】
このような表示制御は、パーソナルコンピュータ104がそのユーザの操作によらずにサスペンド状態あるいは電源オフの状態に移行することをもって「所在不明」の状態に移行するようにメモリ142に格納したプログラムを記述することで簡単に実現できる。もちろん、「鈴木」がRFIDカードリーダ10501-32によってその位置を検出されれば、「所在不明」の状態から検出位置の表示に切り替わるのはもちろんである。また、「鈴木」が再びパーソナルコンピュータ104を動作させれば、「自席」表示に戻るのも当然である。
【0113】
この図16で「高橋」は食堂に食事にいっているので、図10で表示していた「自席」から「食堂」に現在位置の表示が切り替わっている。これは、食堂の入り口に配置した図示しないRFIDカードリーダ105によって「高橋」が検出されたことによる。
【0114】
<発明の第2の変形例>
【0115】
図17は、本発明の第2の変形例の行先予定表示システムにおける電子掲示板の表示例を表わしたものである。図17で図10と同一部分には同一の符号を付している。図5、図6および図11と共に説明する。
【0116】
この第2の変形例では、電子掲示板109の情報表示部111の表示で13時10分現在に「鈴木」が「自席」にいる状態を示している。「鈴木」は、第1会議室106で13時から開かれる会議に出席する予定となっている。
【0117】
先の実施の形態で説明した通り位置追跡サーバ110は社員101である「鈴木」が「自席」にいることをそのパーソナルコンピュータ104が判別している限り、その位置の追跡作業を行わない。しかしながら、「鈴木」がパーソナルコンピュータ104を作動状態にしている限り「鈴木」が「自席」にいると判別されるので、13時になると情報表示部111に表示された行先表示板は「自席」という表示と「第1会議室 13:00〜14:00」という予定の双方を表示することになる。
【0118】
この後、図11のステップS280で説明したように所定の時刻t6になると、データベース格納部122の会議室予約情報部134から会議室予約情報を読み出す。そして位置追跡サーバ110は第1会議室106にその時点で入室している者を特定するための社員の位置情報の読み出しを行う(ステップS281)。この結果、この時点までに「鈴木」が第1会議室106の会議の予定を取り消していない限り位置追跡サーバ110は「第1会議室 13:00〜14:00」の表示箇所を点滅表示に変えて、この箇所を強調する。図17でも点線で囲んだ領域は、点滅表示を示すものである。「鈴木」が第1会議室106の会議の予定を前記した時点までに取り消していれば「第1会議室 13:00〜14:00」の表示は行われない。
【0119】
したがって、この第2の変形例によれば、13時10分の時点で「鈴木」に外部から電話が掛かってきたような場合、電話の取り次ぎに出た者は行先表示板を見て、「鈴木」に電話を転送することができる。また、「鈴木」に第1会議室106で13時から開かれる会議への出席を促すことも可能である。
【0120】
以上説明した本発明は更に各種の変形が可能である。たとえば実施の形態では各社員の仕事場としてのホームポジションにパーソナルコンピュータ104が備わっていることを前提としたが、これに限るものではない。たとえば計測装置や工作機械といったようなパーソナルコンピュータ以外の電子装置を専用に扱っている者であれば、その装置の電源のオン・オフあるいは休止状態を通信ネットワーク上で同様に検出することで、その者の追跡の必要な時期を判別することができる。
【0121】
また、実施の形態ではRFIDを内蔵したIC(Integrated Circuit)カードからなる社員証102を使用して社員101の認証と位置の検出を行うことにしたが、これに限るものではない。たとえば各個人固有の識別情報を記録した磁気カードや、各個人の指紋を固有の識別情報として使用する指紋認証といった手法を使用して個人の認証とその個人の移動先の位置を検出するようにしてもよい。更に個人の認証や位置を検出する手段は1個人に対して1つずつ用意させれる必要はなく、複数の手段が用意されるようにしてもよい。
【0122】
更に実施の形態では社員101の出勤および帰宅の事実はパーソナルコンピュータ104の使用状況やスケジュール管理ソフトウェアを用いたスケジュール管理から類推するしかなかったが、RFIDカードを利用した勤怠管理と組み合わせることにより、これらを確実に管理することができる。
【0123】
更にまた実施の形態では社員101が自席に在席しているか離席しているかの判別をパーソナルコンピュータ等の特定の利用機器の状態を見ることで行ったが、これに限るものではない。たとえば人感センサ付きディスプレイの状態をチェックしたり、自分で在席や離席の設定を行う事のできるソフトウェアを使用するようにしてもよい。
【0124】
また、実施の形態では電子掲示板109に個人やグループの行先を表示することにしたが、パーソナルコンピュータ104や各個人の所持する携帯電話機等の携帯端末に表示するようにしてもよい。
【0125】
更にまた実施の形態では会議中における外部からの電話や人との接触の可否を判別するために会議が幹部で構成される重要なものであるかの判別を行ったが、これに限るものではない。たとえば会議の予約の段階あるいは会議の進行中に、その会議が外部との接触を不可とするか否かを情報として取得するようにして、これを反映させるようにしてもよい。
【0126】
また、幹部会議でなくても集中力を必要とするブレーンストーミングを行う会議やのように外部との接触を好ましくないとする会議もある。会議がどのような性格を有するかは、会議出席者に来訪者を含むか否かによっても判別することができる。ここで来訪者は、ビル103の図示しない受付で支給する専用のRFIDカードによって判別することができる。
【0127】
更に実施の形態では、第1会議室106あるいは第2会議室107での会議について説明したが、ロビーや専用のコーナにおける来訪者との対応や接客についても、会議と同様に社員101の行先の表示を行ったり、終了時刻の類推を行うことが可能である。また、同様に接客における重要度も類推して表示することができる。
【0128】
以上説明した実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0129】
(付記1)
予め定めた各個人に1台ずつ割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置と、
前記各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記ネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置と、
前記ネットワークから必要な情報を受信することで、前記予め定めた各個人の少なくとも一部を構成する者の行先を表示する行先表示装置と、
前記ネットワークに接続され、前記予め定めた各個人に割り当てられた前記電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納するスケジュール格納手段と、前記電子装置のそれぞれから前記ネットワークを通じて前記稼働状態通知手段の通知を受け付ける電子装置稼働状態通知受信手段と、前記個人位置情報送出装置から前記ネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける個人位置情報通知受信手段と、前記スケジュール格納手段に格納された個人のスケジュールと前記個人位置情報通知受信手段で受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された前記行先表示装置に表示のために送出する表示内容送出手段とを備えた行先予定管理装置
とを具備することを特徴とする行先予定表示システム。
【0130】
(付記2)
前記行先予定管理装置は、前記電子装置から前記稼働の停止が行われたことの通知から前記稼働の開始が行われるまでの時間帯でのみその電子装置に対応する個人の前記個人位置情報を受け付ける個人位置情報受付時間帯制御手段を具備することを特徴とする付記1記載の行先予定表示システム。
【0131】
(付記3)
前記行先表示装置は、電子掲示板を行先表示に兼用するものであることを特徴とする付記1記載の行先予定表示システム。
【0132】
(付記4)
前記行先表示装置は、前記ネットワークに接続可能な携帯端末のディスプレイであることを特徴とする付記1記載の行先予定表示システム。
【0133】
(付記5)
前記スケジュールは、該当する個人が前記予め設定した場所の1つに前記予め定めた各個人のうちの他の人を少なくとも含んだメンバで構成される会合を有しており、前記行先予定管理装置は前記予め定めた各個人の職務上の地位を表わした地位情報を示す地位情報格納手段と、前記会合を構成するメンバを前記地位情報格納手段の格納内容で検索した結果により前記会合の重要度を判別する会合重要度判別手段と、この会合重要度判別手段の判別結果を前記行先表示装置に表示のために送出する会合重要度判別結果送出手段を更に具備することを特徴とする付記1記載の行先予定表示システム。
【0134】
(付記6)
前記スケジュールは、該当する個人が前記予め設定した場所の1つに前記予め定めた各個人のうちの他の人を少なくとも含んだメンバで構成される会合を有しており、前記行先予定管理装置は前記メンバの構成ごとに会合の終了がスケジュール通り行われたか否かについて過去の実績を格納する会合終了時間実績格納手段と、前記会合が予定されるたびにその会合のメンバの構成を基にして前記会合終了時間実績格納手段から過去の実績を読み出して会合の終了時期を推測する会合終了時刻推測手段と、この会合終了時刻推測手段によって推測した会合の終了時期を前記行先表示装置に表示のために送出する会合終了時刻送出手段を更に具備することを特徴とする付記1記載の行先予定表示システム。
【0135】
(付記7)
前記会合重要度判別手段は、判別の時点で該当する会合に対応する前記個人位置情報送出装置が認証を行った個人の組み合わせで前記会合の重要度を判別することを特徴とする付記5記載の行先予定表示システム。
【0136】
(付記8)
前記会合終了時刻推測手段は、判別の時点で該当する会合に対応する前記個人位置情報送出装置が認証を行った個人の組み合わせで前記会合終了時刻を推測することを特徴とする付記5記載の行先予定表示システム。
【0137】
(付記9)
前記行先予定管理装置は、前記スケジュール格納手段に格納されている個人のスケジュールの内容と前記電子装置稼働状態通知受信手段の受信した通知内容あるいは前記個人位置情報通知受信手段の受信した個人位置情報の通知内容が異なるとき、これらの通知内容を優先して前記行先表示装置に表示するための修正を行う表示内容修正手段を更に具備することを特徴とする付記1記載の行先予定表示システム。
【0138】
(付記10)
前記表示内容修正手段は、前記電子装置稼働状態通知受信手段あるいは前記個人位置情報通知受信手段によって得られた通知内容を行先の主たるものとして表示し、元のスケジュールを従たるものとして表示する表示内容に修正することを特徴とする付記9記載の行先予定表示システム。
【0139】
(付記11)
前記予め定めた各個人はRFID(Radio Frequency IDentification)を内蔵した社員証等の身分証明証を所持しており、前記個人位置情報送出装置は、このRFIDを検出して認証するRFIDカードリーダであることを特徴とする付記1記載の行先予定表示システム。
【0140】
(付記12)
前記予め定めた各個人は固有の識別情報を記録した磁気カードを所持しており、前記個人位置情報送出装置は、この磁気カードを検出して認証する磁気カードリーダであることを特徴とする付記1記載の行先予定表示システム。
【0141】
(付記13)
前記個人位置情報送出装置は、前記予め定めた各個人の指紋を判別してして認証する指紋判別手段を具備することを特徴とする付記1記載の行先予定表示システム。
【0142】
(付記14)
前記行先予定管理装置は、前記ネットワークに接続されたサーバであることを特徴とする付記1記載の行先予定表示システム。
【0143】
(付記15)
予め定めた各個人に割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納するスケジュール格納手段と、
前記電子装置のそれぞれから前記ネットワークを通じて前記稼働状態通知手段の通知を受け付ける電子装置稼働状態通知受信手段と、
前記各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記ネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置から前記ネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける個人位置情報通知受信手段と、
前記スケジュール格納手段に格納された個人のスケジュールと前記個人位置情報通知受信手段で受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された行先表示装置に表示のために送出する表示内容送出手段
とを具備することを特徴とする行先予定管理装置。
【0144】
(付記16)
前記電子装置から前記稼働の停止が行われたことの通知から前記稼働の開始が行われるまでの時間帯でのみその電子装置に対応する個人の前記個人位置情報を受け付ける個人位置情報受付時間帯制御手段を具備することを特徴とする付記15記載の行先予定管理装置。
【0145】
(付記17)
予め定めた各個人に割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納するスケジュール格納ステップと、
前記電子装置のそれぞれから前記ネットワークを通じて前記稼働状態通知手段の通知を受け付ける電子装置稼働状態通知受信ステップと、
前記各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記ネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置から前記ネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける個人位置情報通知受信ステップと、
前記スケジュール格納ステップで格納された個人のスケジュールと前記個人位置情報通知受信ステップで受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された前記行先表示装置に表示のために送出する表示内容送出ステップ
とを具備することを特徴とする行先予定表示方法。
【0146】
(付記18)
前記個人位置情報通知受信ステップでは、前記電子装置から前記稼働の停止が行われたことの通知から前記稼働の開始が行われるまでの時間帯でのみその電子装置に対応する個人の前記個人位置情報を受け付けることを特徴とする付記17記載の行先予定表示方法。
【0147】
(付記19)
コンピュータに、
予め定めた各個人に割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納するスケジュール格納処理と、
前記電子装置のそれぞれから前記ネットワークを通じて前記稼働状態通知手段の通知を受け付ける電子装置稼働状態通知受信処理と、
前記各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記ネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置から前記ネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける個人位置情報通知受信処理と、
前記スケジュール格納処理で格納された個人のスケジュールと前記個人位置情報通知受信処理で受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された前記行先表示装置に表示のために送出する表示内容送出処理
とを実行させることを特徴とする行先予定表示プログラム。
【0148】
(付記20)
前記個人位置情報通知受信処理では、前記電子装置から前記稼働の停止が行われたことの通知から前記稼働の開始が行われるまでの時間帯でのみその電子装置に対応する個人の前記個人位置情報を受け付ける処理を行うことを特徴とする付記19記載の行先予定表示プログラム。
【符号の説明】
【0149】
10、100 行先予定表示システム
11 電子装置
11a 稼働状態通知手段
12 個人位置情報送出装置
13 行先表示装置
14、20 行先予定管理装置
14a、21 スケジュール格納手段
14b、22 電子装置稼働状態通知受信手段
14c、23 個人位置情報通知受信手段
14d、24 表示内容送出手段
30 行先予定表示方法
31 スケジュール格納ステップ
32 電子装置稼働状態通知受信ステップ
33 個人位置情報通知受信ステップ
34 表示内容送出ステップ
40 行先予定表示プログラム
41 スケジュール格納処理
42 電子装置稼働状態通知受信処理
43 個人位置情報通知受信処理
44 表示内容送出処理
101 社員
102 社員証
103 ビル
104 パーソナルコンピュータ
105 RFIDカードリーダ
106 第1会議室
107 第2会議室
108 ネットワーク
109 電子掲示板
110 位置追跡サーバ
111 情報表示部
121、141 CPU
122 データベース格納部
123 位置追跡プログラム実行部
124 グループウェア実行部
125 入退場管理プログラム実行部
131 社員ID部
132 位置情報部
133 PC状態部
134 会議室予約情報部
135 社員予定部
142 メモリ
143 制御部
146 特定状態確認部
147 特定状態通知部
148 スケジュール管理部
149 特定スケジュール通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定めた各個人に1台ずつ割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置と、
前記各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記ネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置と、
前記ネットワークから必要な情報を受信することで、前記予め定めた各個人の少なくとも一部を構成する者の行先を表示する行先表示装置と、
前記ネットワークに接続され、前記予め定めた各個人に割り当てられた前記電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納するスケジュール格納手段と、前記電子装置のそれぞれから前記ネットワークを通じて前記稼働状態通知手段の通知を受け付ける電子装置稼働状態通知受信手段と、前記個人位置情報送出装置から前記ネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける個人位置情報通知受信手段と、前記スケジュール格納手段に格納された個人のスケジュールと前記個人位置情報通知受信手段で受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された前記行先表示装置に表示のために送出する表示内容送出手段とを備えた行先予定管理装置
とを具備することを特徴とする行先予定表示システム。
【請求項2】
前記行先予定管理装置は、前記電子装置から前記稼働の停止が行われたことの通知から前記稼働の開始が行われるまでの時間帯でのみその電子装置に対応する個人の前記個人位置情報を受け付ける個人位置情報受付時間帯制御手段を具備することを特徴とする請求項1記載の行先予定表示システム。
【請求項3】
前記スケジュールは、該当する個人が前記予め設定した場所の1つに前記予め定めた各個人のうちの他の人を少なくとも含んだメンバで構成される会合を有しており、前記行先予定管理装置は前記予め定めた各個人の職務上の地位を表わした地位情報を示す地位情報格納手段と、前記会合を構成するメンバを前記地位情報格納手段の格納内容で検索した結果により前記会合の重要度を判別する会合重要度判別手段と、この会合重要度判別手段の判別結果を前記行先表示装置に表示のために送出する会合重要度判別結果送出手段を更に具備することを特徴とする請求項1記載の行先予定表示システム。
【請求項4】
前記スケジュールは、該当する個人が前記予め設定した場所の1つに前記予め定めた各個人のうちの他の人を少なくとも含んだメンバで構成される会合を有しており、前記行先予定管理装置は前記メンバの構成ごとに会合の終了がスケジュール通り行われたか否かについて過去の実績を格納する会合終了時間実績格納手段と、前記会合が予定されるたびにその会合のメンバの構成を基にして前記会合終了時間実績格納手段から過去の実績を読み出して会合の終了時期を推測する会合終了時刻推測手段と、この会合終了時刻推測手段によって推測した会合の終了時期を前記行先表示装置に表示のために送出する会合終了時刻送出手段を更に具備することを特徴とする請求項1記載の行先予定表示システム。
【請求項5】
前記会合重要度判別手段は、判別の時点で該当する会合に対応する前記個人位置情報送出装置が認証を行った個人の組み合わせで前記会合の重要度を判別することを特徴とする請求項3記載の行先予定表示システム。
【請求項6】
前記会合終了時刻推測手段は、判別の時点で該当する会合に対応する前記個人位置情報送出装置が認証を行った個人の組み合わせで前記会合終了時刻を推測することを特徴とする請求項3記載の行先予定表示システム。
【請求項7】
前記行先予定管理装置は、前記スケジュール格納手段に格納されている個人のスケジュールの内容と前記電子装置稼働状態通知受信手段の受信した通知内容あるいは前記個人位置情報通知受信手段の受信した個人位置情報の通知内容が異なるとき、これらの通知内容を優先して前記行先表示装置に表示するための修正を行う表示内容修正手段を更に具備することを特徴とする請求項1記載の行先予定表示システム。
【請求項8】
予め定めた各個人に割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納するスケジュール格納手段と、
前記電子装置のそれぞれから前記ネットワークを通じて前記稼働状態通知手段の通知を受け付ける電子装置稼働状態通知受信手段と、
前記各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記ネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置から前記ネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける個人位置情報通知受信手段と、
前記スケジュール格納手段に格納された個人のスケジュールと前記個人位置情報通知受信手段で受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された行先表示装置に表示のために送出する表示内容送出手段
とを具備することを特徴とする行先予定管理装置。
【請求項9】
予め定めた各個人に割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納するスケジュール格納ステップと、
前記電子装置のそれぞれから前記ネットワークを通じて前記稼働状態通知手段の通知を受け付ける電子装置稼働状態通知受信ステップと、
前記各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記ネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置から前記ネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける個人位置情報通知受信ステップと、
前記スケジュール格納ステップで格納された個人のスケジュールと前記個人位置情報通知受信ステップで受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された前記行先表示装置に表示のために送出する表示内容送出ステップ
とを具備することを特徴とする行先予定表示方法。
【請求項10】
コンピュータに、
予め定めた各個人に割り当てられ、自装置の稼働の開始あるいは稼働の停止が生じる時点で該当する前記個人の識別情報と共にその稼働の開始または停止が行われることを予め定めた所定のネットワークに対して通知する稼働状態通知手段を備えた電子装置の存在する場所以外の場所を行先とするスケジュールをこれら各個人ごとに格納するスケジュール格納処理と、
前記電子装置のそれぞれから前記ネットワークを通じて前記稼働状態通知手段の通知を受け付ける電子装置稼働状態通知受信処理と、
前記各個人が移動する移動先として予め設定した場所にそれぞれ配置され、これら配置された場所で各個人の認証を行うことで該当する場所に認証時点に認証した個人がいることを前記ネットワークに個人位置情報として送出する個人位置情報送出装置から前記ネットワークを通じて個人位置情報の通知を受け付ける個人位置情報通知受信処理と、
前記スケジュール格納処理で格納された個人のスケジュールと前記個人位置情報通知受信処理で受信することで追跡したその個人の追跡状況を、これらの表示を行うために用意された前記行先表示装置に表示のために送出する表示内容送出処理
とを実行させることを特徴とする行先予定表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−114382(P2013−114382A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258875(P2011−258875)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)