説明

街路灯管理システム

【課題】 同一区域内でも管理者が異なる街路灯において、不点灯等の故障があった場合に、一般の通行者が修理を求めるための通報先が分かりにくいという問題があった。また、通報後においても修理に一定の期間が必要になるという問題があった。
【解決手段】 街路灯の故障に関する通報先を、インターネットのホームページ上に一元化し、街路灯と連動した地図を用いて通報の方法を容易とすることにより、一般の通行者から迅速に通報を得られることとする。また、管理者が異なる街路灯について、専門性を有する工事業者が修理を一括して代行することで、通報後の修理を迅速に行えることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般の通行者が利用する街路灯の維持管理を行うコンピュータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
公共の道路、橋梁、公園等には、一般の通行者における安全の確保のために、地方公共団体、自治会、企業等により街路灯が設置されている。そのため、維持管理についても設置者が各自に行うことが原則となる。
【0003】
一般に街路灯は、蛍光灯、白熱灯、水銀灯等によるものが多く、一定期間ごとに電球の交換が必要となる。この場合、不点灯となった街路灯を発見した一般の通行者からの通報により、はじめて設置者が不点灯であることを認識する例が多く見られる。
【0004】
しかし、街路灯は設置者により通報先が異なるため、一般の通行者では通報先が分かりづらい場合がある。そのため、設置者への通報がなされずに長期にわたり不点灯の街路灯が放置されるような場合もあり、安全対策の面で問題である。
【0005】
さらに、自治会等が設置した街路灯の不点灯では、自治会長等が電球の交換を行うことになるが、専門性を有しない自治会長等では電球のワット数の判断等が困難な場合がある。また、新たに電気店で電球を購入しなければならず、交換に一定の期間を要することになる。
【0006】
加えて、不点灯の原因は電球が切れている場合に限られず、電線や配電施設に問題があることも考えられる。そのような場合には、専門的知識を有しない自治会長等では対応することができない。
【0007】
そのため、実務においては、本来は需給契約者である街路灯の管理者が行うべき街路灯の維持管理であっても、上記の困難性から電力供給会社等の工事担当者が無償で協力を行うような場合もあった。
【0008】
なお、街路灯を地図データとともにデータベース化して街路灯の維持管理を行う街路灯管理システム等が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2004−119030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の通り、安全対策の観点からも街路灯の適正な維持管理が求められるが、街路灯の管理者がそれぞれ異なるため通報先の把握が困難であり、不点灯の情報が管理者に届くのに一定の時間を要する。また、街路灯は地方公共団体によっても設置されるが、通報が可能な時間は平日の午前9時から午後5時までに限られ、実際に街路灯が点灯している時間には通報をすることができないという問題がある。
【0010】
街路灯の管理者に通報がなされた後においても、自治会が設置した街路灯では、修理を行う自治会長等は通常の業務の傍らに行うことから、実際に修理を行う時期が遅れるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の問題に対処するためになされたものであり、すべての街路灯についての通報を、インターネット等の公衆に利用可能な通信ネットワーク上で一元的に受け付け、修理についても専門性を有する工事担当者が代行して行うことにより、適正な街路灯の管理を実現するとともに、管理に携わる関係者の負担軽減を可能とする街路灯管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の街路灯管理システムは、街路灯の情報を管理する街路灯管理システムであって、公衆に利用可能な通信ネットワークに接続した端末の表示部に、通信ネットワークを介して、街路灯の一覧と、それぞれの街路灯に対応した入力領域を表示する街路灯情報表示手段と、該入力領域に入力された街路灯の故障情報のデータを、通信ネットワークを介して受信し、保存する故障情報取得手段と、あらかじめ保持する街路灯の情報から、前記故障した街路灯の管理者と、街路灯の故障の修理に必要な工事情報を抽出する修理情報抽出手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
すなわち、街路灯の管理に携わる電力供給会社や地方公共団体等が、コンピュータサーバを用いて区域内の街路灯を一元的に管理するシステムである。
【0014】
ここで街路灯とは、主に市町村や都道府県等により設置される道路照明灯や、自治会等により設置される防犯灯、商店会等により設置される商店街灯等を意味する。
【0015】
公衆に利用可能なネットワークとは、一般の利用者がアクセス可能なインターネット等のオープンなネットワークであって、携帯電話を用いて行われる通信ネットワークも含まれる。
【0016】
街路灯の故障とは、電球が切れたことによる不点灯に限らず、消灯時間においても消灯しない場合や、電線や配電設備の故障による場合も含むものである。
【0017】
なお、前記街路灯の一覧は、街路灯の位置を示す地図により表すことを特徴とする。
すなわち、所管する街路灯を地図で具体的に図示することで、より好ましい効果を奏することができる。
【0018】
また、本発明の街路灯管理システムは、前記故障した街路灯の管理者が備える端末の表示部に、故障した街路灯の情報と、故障の修理に必要な工事情報と、修理申込の要否に関する入力を行う入力領域とを、通信ネットワークを介して表示する故障情報表示手段と、前記故障した街路灯の管理者により、該入力領域に入力された修理申込の要否に関するデータを、通信ネットワークを介して受信し、修理申込の要否を判定して保存する修理申込取得手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
すなわち、通行者からの街路灯の故障に関する通報を街路灯の管理者に知らせ、具体的な情報をもとに、修理の代行を案内して申し込みを受け付けることができる。
【0020】
さらに、本発明の街路灯管理システムは、故障した街路灯の修理を行う工事担当者が備える端末の表示部に、故障した街路灯の情報と、修理に必要な工事情報と、前記修理申込取得手段により修理申込を要と判定した修理申込のデータとを、通信ネットワークを介して表示する工事依頼手段を備えることを特徴とする。
【0021】
これにより、修理の申し込みがあった故障した街路灯について、迅速に工事の依頼を行うことができる。
【0022】
また、本発明の街路灯管理システムは、前記故障した街路灯の修理を行う工事担当者は、前記修理申込取得手段により修理申込を要と判定した修理申込のデータと、あらかじめ保持する街路灯の工事担当者の情報に基づいて選定される工事担当者選定手段を備えることを特徴とする。
【0023】
これにより、上記の工事担当者が二以上である場合に、申し込みの受付とともに工事担当者の選定を行うことが可能となる。
【0024】
なお、前記工事依頼手段により表示される工事依頼には、工事担当者における工事依頼の諾否に関する入力を行う入力領域を含み、該入力領域に入力した工事依頼の諾否に関するデータを、通信ネットワークを介して受信し、工事依頼の諾否を判定して保存する工事受諾情報取得手段と、前記工事受諾情報取得手段により工事依頼を諾と判定した工事依頼のデータを、前記故障した街路灯の管理者が備える端末の表示部に、通信ネットワークを介して表示する工事情報表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
すなわち、工事担当者が外部の工事業者等であって、工事依頼の諾否確認が必要な場合に、一連のネットワーク処理において、その諾否を確認したうえで、工事の日程の取得までを行う。
【0026】
また、本発明の街路灯管理システムは、前記工事依頼を受けた工事担当者が備える端末の表示部に、工事の完了を報告する入力領域を、通信ネットワークを介して表示する完了報告依頼手段と、該入力領域に入力した工事完了報告のデータを、通信ネットワークを介して受信する完了報告受信手段と、前記工事完了報告のデータを、前記故障した街路灯の管理者が備える端末の表示部に、通信ネットワークを介して表示する工事完了報告手段と、を備えることを特徴とする。
【0027】
これにより、工事の完了を管理できるとともに、修理を申し込んだ街路灯の管理者にも報告を行うことができる。
【0028】
さらに、本発明の街路灯管理システムは、前記完了報告受信手段により受信した工事完了報告のデータと、あらかじめ保持する街路灯の情報に基づき、前記故障した街路灯の修理代金を算定する修理代金算定手段と、前記故障した街路灯の管理者が備える端末の表示部に、前記修理代金算定手段により算定した修理代金に基づく請求書データを、通信ネットワークを介して表示する修理代金請求手段と、を備えることを特徴とする。
【0029】
ここで、修理代金の算定に用いる工事完了報告のデータには、完了した工事の種類が入力されており、あらかじめ保持する街路灯の情報には、工事の種別とその単価が管理されており、それらに基づいて修理代金が算定される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、これまで一般の通行者では煩雑であった街路灯の管理者への不点灯等の街路灯の通報を、インターネットのホームページ等で一元的に行うことができる。インターネットのホームページ等では24時間いつでも通報することが可能であり、また、ブラウザ等に表示した地図を検索しながら通報を行うことで、一般の通行者からの通報を格段に容易にしている。
【0031】
また、通報を受けた後においても、専門性を有する事業者が代行して工事を行い、後で工事代金を請求することにより、迅速な修理を実現するとともに、街路灯の管理者等の負担を大幅に減少させることができる。
【0032】
さらに、これら一連の作業のストリームラインをネットワーク上で行うことで、一般の通行者が不点灯等の街路灯を発見してから、修理の完了までを迅速に行うことができる。そのため、不点灯の期間は大幅に短縮することが可能となり、地域における安全対策面にも大きな効果が認められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の1実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る街路灯管理システム1と、通信ネットワーク2を介して接続する工事担当者のコンピュータ端末3、街路灯管理者のコンピュータ端末4、通行者のコンピュータ端末5の機能ブロック図である。
【0034】
街路灯管理システム1は、通信ネットワーク2等と通信を行う送受信部11、街路灯の管理に関する演算処理等を行う中央演算処理部12、街路灯や街路灯管理者等に関するデータ等を保持する記憶部13、データを入力するキーボード等の入力部14およびデータを出力する表示装置あるいはプリンタ等の出力部15から構成されている。
【0035】
街路灯管理システム1の送受信部11は、公衆に利用可能なインターネット等の通信ネットワーク2を介して、工事担当者のコンピュータ端末3、街路灯管理者のコンピュータ端末4、通行者のコンピュータ端末5等に接続する。
【0036】
なお、工事担当者者のコンピュータ端末3および街路灯管理者のコンピュータ端末4は、専用ネットワークにより接続してもよい。
【0037】
記憶部13は、街路灯のID、所在地、種類等の情報を保持する街路灯DB131、街路灯の所管区域の地図データを保持する地図DB132、街路灯の管理者の名称、住所、連絡先等に関する情報を保持する管理者DB133、街路灯修理に必要な工事を行う工事担当者の情報を管理する工事担当者DB134、街路灯の修理に関する情報を保持する修理DB135、修理代金の請求等に関する情報を保持する請求DB136等により構成されている。
【0038】
中央演算処理部12は、送受信部11との間でデータの受け渡しを行う送受信処理手段501、入力部14または出力部15とデータの受け渡しを行う入出力処理手段502、一般の通行者が利用する端末に街路灯の情報を表示する街路灯情報表示手段503、街路灯情報の表示画面の入力領域に入力された街路灯の故障情報を取得する故障情報取得手段504、取得した街路灯の故障情報に基づいて、故障した街路灯の管理者と街路灯の修理に必要な工事情報等を抽出する修理情報抽出手段505、故障した街路灯の管理者が備えるコンピュータ端末に街路灯の故障の情報を表示する故障情報表示手段506、故障情報の表示画面の入力領域に入力された修理の申し込みを受け付ける修理申込取得手段507と、修理のための工事担当者を選定する工事担当者選定手段508、工事担当者に工事を依頼する工事依頼手段509、依頼を受けた工事担当者が工事の確認を行う工事受諾情報取得手段510、工事担当者が予定する工事の情報を街路灯の管理者に知らせる工事情報表示手段511、工事担当者に工事完了報告のフォーマットを表示する完了報告依頼手段512、工事担当者からの工事完了報告を受信する完了報告受信手段513、工事完了報告を街路灯の管理者に表示する工事完了報告手段514、街路灯の修理代金を算定する修理代金算定手段515、街路灯の管理者に修理代金を請求する修理代金請求手段516を備える。
【0039】
次に、記憶部13が保持するデータベースの構成例について説明する。
街路灯DB131では、所管区域内にあるすべての街路灯の情報を管理する。街路灯にはそれぞれ主キーとして個別の街路灯IDが付与され、街路灯の所在地、緯度経度、種別等の街路灯の情報を保持する。街路灯DB131には街路灯種別マスタを備え、蛍光灯、白熱灯、水銀灯等の街路灯の種別を管理する(図2(a)(b))。
【0040】
また、街路灯DB131は、それぞれの街路灯の緯度経度情報を保持することから、地図DB132が保持する緯度経度の情報を持つ地図データに街路灯の位置をプロットして呼び出すことができる(図2(b))。
【0041】
さらに、街路灯DB131は、管理者DB133の主キーである管理者IDを保持し、街路灯の管理者の氏名・名称、住所、電話番号、メールアドレス等を参照することができる(図2(b))。
【0042】
修理DB135では、修理の案件ごとに固有の修理案件IDが付与され、修理の申込日や修理を行った日、修理種別等の修理に関する情報を管理する(図3(a))。
【0043】
修理DB135には修理種別マスタを備え、蛍光灯の交換、水銀灯の交換等の、修理種別ごとの工事の情報を管理する。また、修理種別マスタでは、不点灯の街路灯の修理に必要な、交換用の電球の在庫等についても管理を行い、電球交換による修理の完了後は、該当する電球の数量が減じられるように設定されている(図3(b))。
【0044】
なお、修理DB135は修理に係る街路灯の街路灯IDを保持し、街路灯DB131が保持する各種の街路灯に関する情報を参照することができる。街路灯IDからは管理者IDを介して、管理者DB133が保持する管理者の各種の情報を参照することができる(図3(b))。
【0045】
さらに、修理DB135は、工事担当者DB134の主キーである工事担当者IDを保持する。工事担当者DB134では、工事を担当する工事部門または外部の工事会社の情報を管理する(図3(b))。
【0046】
図4の請求DB136では、街路灯の修理により発生した修理代金の請求処理を管理する。具体的には、請求ごとに請求IDを付与し、請求の対象となる修理案件ID、請求日、請求先となる管理者ID等を管理する。請求額である修理代金は、修理DB135が保持するデータに基づき、修理代金算定手段515により算定される。
【0047】
図5は、本発明の街路灯管理システム1の実施形態に係るフローチャートである。
はじめに、通行に際して街路灯を利用する通行者が、不点灯となった街路灯を発見する(S201)。通行者が不点灯の街路灯の通報を行う場合には、インターネット上の該当のURLにアクセスすることで、コンピュータ端末5の出力部55のモニタに、街路灯情報が表示される(街路灯情報表示手段503、S202)。
【0048】
なお、携帯電話のネットワークを用いた情報サービスにおいても、同様に運用することができる。携帯電話によれば、不点灯の街路灯の発見と同時にアクセスが可能であり、本システムの情報収集能力はさらに大きいものとなる。
【0049】
街路灯情報のページでは、所管区域内のすべての街路灯が地図上で一覧にして表示される。本実施形態では、トップページに所管区域全体の地図が表示され、該当するエリアをクリックすることでエリアごとの拡大図が表示される(図6)。拡大図には周辺のランドマークとともに、エリア内におけるすべての街路灯の位置がマークで表示される。街路灯にはそれぞれ固有の番号が付されているが、通行者が該当する街路灯であるか否かの確認を行う利便性から、本実施形態では街路灯番号をマークに併記する。
【0050】
なお、取り扱いが簡単な個別のエリアマップ等に街路灯の位置をプロットして、リンクにより関連付けて管理することも可能である。
【0051】
ここで用いられる地図データは、所管区域全体をカバーする一枚のデジタルマップであって、自由に拡大・縮小を行うことができる。街路灯の指示マークの位置および番号の表示は、街路灯DB131が保持する街路灯の緯度経度のデータに基づき、専用のレイヤにおいて対応する位置にプロットされる。なお、この方法によれば、頻繁に行われる街路灯の新設、移設、撤去等に際しても、街路灯DB131において緯度経度の情報を更新することで、簡単に地図表示の更新を行うことができる。
【0052】
通報を行う通行者は、不点灯となった街路灯の検索を地図表示により行い、対象の街路灯の指示マークおよび番号の表示をクリックすることで、リンクが張られた故障情報の入力画面が表示される(S203)。入力画面では、夜間に点灯しない(不点灯)、昼間でも消灯しない等の故障の内容や、街路灯の故障を確認した日時等の入力項目が表示される。一般的な故障である場合には、該当する内容が記載されたチェックボックスを選択することで、通行者は管理者に通報を行うことができる。
【0053】
なお、街路灯情報の表示画面では、地図による検索以外にも、街路灯番号や住所等から検索できるように設定することもできる。
【0054】
また、通報を行う通行者が不点灯となった街路灯の、通報後の修理状況を知りたい場合には、「修理状況を連絡」とするチェックボックスにチェックをしてメールアドレスを入力することで、街路灯の修理の完了時にその旨のメールが送信される(S222)。
【0055】
通行者が入力画面で入力した不点灯の街路灯の情報は、通信ネットワーク2を介して、故障情報取得手段504が必要事項の記載不備の確認を行い、不備を有する場合には、その旨を通行者の端末5のモニタ(出力部55)に表示して、再度、不備を解消した故障情報の入力を求める。不備を有しない場合には故障情報を受信して、特定された街路灯の街路灯ID、故障の内容、故障情報を受信した日時、故障情報の通報者の情報等を取得する。故障情報取得手段504は、取得した情報を記憶部13の修理DB135に保存する(S204)。
【0056】
修理情報抽出手段505は、取得した街路灯IDに基づき、記憶部13の街路灯DB131が保持する街路灯の情報から、修理に必要な情報を抽出する。具体的には、街路灯の管理者、街路灯の所在地、街路灯の種別等の情報を抽出する(S205)。
【0057】
抽出された修理情報は、故障情報表示手段506により、街路灯の管理者が備える端末4の出力部45のモニタに表示される。本実施形態では、修理情報抽出手段505により抽出した対象の街路灯IDに基づき、記憶部13の管理者DB133から管理者のメールアドレスを取得し、街路灯の所在地、地図DB132が保持する対応するエリアの地図データ、街路灯の種別等の情報を、HTML形式のメールとして送信する(S206)。
【0058】
これにより、街路灯の管理者は、それまで街路灯が不点灯であることを認識していなかった場合でも、メールを受信することにより知得することができる。
【0059】
故障情報表示手段506により表示される故障情報には、修理申込フォーマットが備えられ、街路灯の管理者は必要事項を入力することで不点灯の街路灯の修理を申し込むことができる(S207)。具体的には、修理申込の有無を問うチェックボックスにおいて「有」にチェックを入れることで行う。一方、街路灯の管理者が自ら修理を行うような場合には、修理申込の有無を問うチェックボックスにおいて「無」にチェックを入れる。
【0060】
また、不点灯の街路灯の工事では、通常は工事予定日を設定する必要はないが、特段の事情がある場合には希望日時を入力する。すでに交換する電球が準備できている場合にも、該当するチェックボックスにチェックを入れる。
【0061】
なお、修理情報抽出手段505により取得した街路灯種別や修理種別に基づき、後述の修理代金算定手段519を起動させることで、事前に修理の予定額を算定することができる。故障情報表示手段506により、街路灯の管理者へ送信される修理情報に修理の予定額を含めることで、修理代金の見積もりとして機能させることもできる。
【0062】
図7において、街路灯の管理者からの修理の申し込みから、工事の完了におけるデータの流れを示す。
【0063】
必要事項を入力した修理申込フォーマットは、HTML形式のメールにおける所定のボタンを押下することでブラウザが起動し、通信ネットワーク2を介して、修理申込取得手段507の手続きが開始する(S101)(図5・S208)。修理申込取得手段507は、必要事項の記載不備の確認を行い、不備を有する場合には、その旨を街路灯の管理者のブラウザに表示して、再度、不備を解消した修理申込の入力を求める。不備を有しない場合には修理申込フォーマットに入力されたデータを修理DB135に保存する。
【0064】
次に、工事担当者選定手段508は、修理申込を「有」とした不点灯の街路灯について(S102)、工事を担当する工事部門または外部の工事会社を選定する。通常は工事担当者DB134が保持する工事日程等に基づいて、最短で工事が行われるように工事担当者を選定する(S103)(図5・S209)。ただし、修理申込データに工事予定日の指定がある場合には、工事予定日に工事が可能な工事担当者を選定する。
【0065】
また、工事担当者を振り分ける方法として、修理DB135において、街路灯IDまたは管理者IDと、工事担当者IDとを関連付けることで、修理案件が特定の街路灯、または、特定の街路灯管理者である場合に、工事担当者を自動で定めるように設定することができる。
【0066】
他に、エリアにより工事担当者を振り分けるような場合には、街路灯IDにより関連付けられる街路灯DB131の、街路灯の緯度経度データまたは所在地の郵便番号の範囲をそれぞれの工事担当者に割り当てることで、自動で工事担当者を定めるように設定することもできる。
【0067】
受け付けた修理申込は、工事依頼手段509により選定された工事部門または外部の工事会社の工事担当者に工事を依頼する(S104)(図5・S210)。具体的には、通信ネットワーク2を介して、工事担当者のコンピュータ端末3が備える出力部35のモニタに、依頼に係る街路灯、所在地、管理者、修理種別等を表示する。
【0068】
なお、これらの情報は修理申込取得手段507により取得した情報、および、修理情報抽出手段505により抽出された情報である。ここで修理種別は、修理申込フォーマットに入力された故障の情報に対応して定められる。たとえば、修理申込フォーマットに夜間に点灯しないとして通報された故障については、不点灯の修理とする修理種別に定められる。
【0069】
工事依頼手段509により表示される工事依頼には、工事予定フォーマットが備えられ、工事担当者は必要事項を入力することで工事依頼の許諾を通知するとともに、工事の予定を提示することができる(S105)(図5・S211)。
【0070】
工事担当者は、工事依頼の内容に承諾すれば、工事依頼の諾否の「諾」のチェックボックスにチェックを行い、工事予定日時等を入力する。工事受諾情報取得手段510は、必要事項の記載不備の確認を行い、不備を有する場合には、その旨を工事担当者が備える端末3のモニタ(出力部35)に表示して、再度、不備を解消した工事予定の入力を求める。不備を有しない場合には工事予定フォーマットを受信して、修理DB135に保存する(S105)(図5・S212)。
【0071】
なお、受注を「否」とする場合には(S106)、工事受諾情報取得手段510が検知して、再度、工事担当者選定手段508により、あらためて工事担当者の選定を行い、その後の処理を繰り返す(S103)。
【0072】
工事を行う工事担当者が確定した場合には、街路灯の管理者の端末4が備える出力部45のモニタには、工事情報表示手段511により、工事受諾情報取得手段510が取得した工事予定が表示される(S107)(図5・S213)。これにより、街路灯の管理者は、街路灯の工事を行う工事担当者および工事の日時等を、事前に知ることができる。
【0073】
工事受諾情報取得手段510による工事予定の取得後、工事担当者の端末3が備える出力部35のモニタには、完了報告依頼手段512により、工事完了報告フォーマットが表示される(S108)(図5・S216)。工事担当者は、街路灯の工事完了後(S109)(図5・S215)に工事日、工事種別等を入力することで工事完了報告を行う(S110)(図5・S218)。
【0074】
なお、街路灯の管理者が自ら修理を行ったような場合においても、街路灯の一元管理を行う観点から工事完了報告フォーマットへの入力を受けることが好ましい。具体的には、上述の修理申込取得手段507により取得した修理申込フォーマットの、自らで修理を行うとするチェックボックスへのチェックを検知して、街路灯の管理者の端末4が備えるモニタ(出力部45)に工事完了報告フォーマットを表示する(S112)。
【0075】
必要事項を入力した工事完了報告フォーマットは、完了報告受信手段512により必要事項の記載不備の確認を行い、不備を有する場合には、その旨を工事担当者の端末3のモニタ(出力部35)に表示して、再度、不備を解消した工事完了報告の入力を求める。不備を有しない場合には工事完了報告フォーマットに入力されたデータを修理DB135に保存する。
【0076】
また、工事完了報告の情報は、工事情報表示手段511により、街路灯の管理者が備える端末4に伝送される(S111)(図5・S219)。これにより、街路灯の管理者は、工事担当者により実際に行われた工事種別等を知ることができる。
【0077】
工事完了報告フォーマットへの入力の検知により、修理代金算定手段515が起動して、工事担当者が行った工事代金を積算する(図5・S220)。具体的には、工事完了報告フォーマットで工事種別に入力された内容と、あらかじめデータベースが保持する情報に基づいて算定する。たとえば、街路灯の電球交換の工事では、その街路灯の種別により工事の内容が異なり、その基本となる工事代金および電球の代金は、修理DB135が備える修理種別マスタで管理する。
【0078】
ただし、工事完了報告フォーマットにおいて、「街路灯管理者により電球を準備」とするチェックボックスにチェックがなされていた場合には、電球の代金は加算されない。
【0079】
なお、従前において、管理者が修理案件ごとに電球を購入するという実務が見られたが、本実施形態においては、電力供給会社または工事担当者により電球を一括購入して管理を行う。これにより電球を安価に購入することができるというメリットがある。
【0080】
以上の通り、修理代金算定手段515により算定された修理代金は、修理DB135に保存される。
【0081】
街路灯の管理者への修理代金の請求は、修理代金請求手段516により行われる。本実施形態においては、修理代金請求手段516は、当月における所定の日付を検知して起動し、修理DB135が保持する修理日の日付を参照して、当月に行われた修理案件をリストする。リストされた修理案件は、それぞれの管理者IDごとにグループ化される。請求金額は修理案件IDに基づいて修理DB135が保持する修理代金を参照する。参照された修理代金は、グループ化された管理者ごとに集計されて、請求書が作成される。
【0082】
作成された請求書データは、通信ネットワーク2を介して、街路灯の管理者の端末4が備える出力部45のモニタに表示する(図5・S221)。
【0083】
なお、街路灯の電気料金は街路灯の管理者により電力供給会社に支払われるが、修理代金についても電気料金の支払いに含めるように設定することで、さらに利便性が高まる。
【0084】
上述の通り、本発明の街路灯管理システムによれば、これまで個別に対応していた街路灯の管理を一元的に行うことが可能となり、不点灯の期間を大幅に短縮できることで、利用者の利益は大きい。
【0085】
また、街路灯の管理者にとっても、煩雑な電球取替等の業務を合理的に専門業者に依頼することができる。本実施形態における電力供給会社においても、これまで無償で行われていた街路灯の管理者への協力を、サービスの向上とともに有償で行うことが可能となり、事業の面でもメリットを有する。
【0086】
さらに、街路灯をデータベースで一元化することで、地方公共団体等におけるまちづくりの支援にも大きな効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態に係る街路灯管理システム1、および、工事担当者のコンピュータ端末3、街路灯管理者のコンピュータ端末4、通行者のコンピュータ端末5等の機能ブロック図である。
【図2】(a)(b)図1の記憶部13にある街路灯DB131と地図DB132、管理者DB133の構成例である。
【図3】(a)(b)図1の記憶部13にある修理DB135と工事担当者DB134の構成例である。
【図4】図1の記憶部13にある請求DB136の構成例である。
【図5】本発明の実施の形態に係る街路灯管理システム1の、本システムのシステム管理者のサーバ装置、工事担当者のコンピュータ端末3、街路灯管理者のコンピュータ端末4、通行者のコンピュータ端末5の全体フロー図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る街路灯管理システム1の街路灯情報表示手段503により、インターネットのホームページ上に表示する街路灯の地図について例示した図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る街路灯管理システム1の、修理の申し込み(修理申込取得手段507)から工事完了報告(工事完了報告手段514)までの、データの流れを示す図である。
【符号の説明】
【0088】
1 街路灯管理システム
2 通信ネットワーク
3 工事担当者(コンピュータ端末)
4 街路灯管理者(コンピュータ端末)
5 通行者(コンピュータ端末)
11、31、41、51 送受信部
12、32、42、52 中央演算処理部
13、33、43,53 記憶部
14、34、44,54 入力部
15、35、45,55 出力部
131 街路灯DB
132 地図DB
133 管理者DB
134 工事担当者DB
135 修理DB135
136 請求DB136
501 送受信処理手段
502 入出力処理手段
503 街路灯情報表示手段
504 故障情報取得手段
505 修理情報抽出手段
506 故障情報表示手段
507 修理申込取得手段
508 工事担当者選定手段
509 工事依頼手段
510 工事受諾情報取得手段
511 工事情報表示手段
512 完了報告依頼手段
513 完了報告受信手段
514 工事完了報告手段
515 修理代金算定手段
516 修理代金請求手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
街路灯の情報を管理する街路灯管理システムであって、
公衆に利用可能な通信ネットワークに接続した端末の表示部に、通信ネットワークを介して、街路灯の一覧と、それぞれの街路灯に対応した入力領域を表示する街路灯情報表示手段と、
該入力領域に入力された街路灯の故障情報のデータを、通信ネットワークを介して受信し、保存する故障情報取得手段と、
あらかじめ保持する街路灯の情報から、前記故障した街路灯の管理者と、街路灯の故障の修理に必要な工事情報を抽出する修理情報抽出手段と、
を備えることを特徴とする街路灯管理システム。
【請求項2】
前記街路灯の一覧は、街路灯の位置を示す地図により表すことを特徴とする請求項1記載の街路灯管理システム。
【請求項3】
前記故障した街路灯の管理者が備える端末の表示部に、故障した街路灯の情報と、故障の修理に必要な工事情報と、修理申込の要否に関する入力を行う入力領域とを、通信ネットワークを介して表示する故障情報表示手段と、
前記故障した街路灯の管理者により、該入力領域に入力された修理申込の要否に関するデータを、通信ネットワークを介して受信し、修理申込の要否を判定して保存する修理申込取得手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の街路灯管理システム。
【請求項4】
故障した街路灯の修理を行う工事担当者が備える端末の表示部に、故障した街路灯の情報と、修理に必要な工事情報と、前記修理申込取得手段により修理申込を要と判定した修理申込のデータとを、通信ネットワークを介して表示する工事依頼手段を備えることを特徴とする請求項3記載の街路灯管理システム。
【請求項5】
前記故障した街路灯の修理を行う工事担当者は、前記修理申込取得手段により修理申込を要と判定した修理申込のデータと、あらかじめ保持する街路灯の工事担当者の情報に基づいて選定される工事担当者選定手段を備えることを特徴とする請求項3または4記載の街路灯管理システム。
【請求項6】
前記工事依頼手段により表示される工事依頼には、工事担当者における工事依頼の諾否に関する入力を行う入力領域を含み、
該入力領域に入力した工事依頼の諾否に関するデータを、通信ネットワークを介して受信し、工事依頼の諾否を判定して保存する工事受諾情報取得手段と、
前記工事受諾情報取得手段により工事依頼を諾と判定した工事依頼のデータを、前記故障した街路灯の管理者が備える端末の表示部に、通信ネットワークを介して表示する工事情報表示手段と、
を備えることを特徴とする請求項4または5記載の街路灯管理システム。
【請求項7】
前記工事依頼を受けた工事担当者が備える端末の表示部に、工事の完了を報告する入力領域を、通信ネットワークを介して表示する完了報告依頼手段と、
該入力領域に入力した工事完了報告のデータを、通信ネットワークを介して受信する完了報告受信手段と、
前記工事完了報告のデータを、前記故障した街路灯の管理者が備える端末の表示部に、通信ネットワークを介して表示する工事完了報告手段と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1に記載の街路灯管理システム。
【請求項8】
前記完了報告受信手段により受信した工事完了報告のデータと、あらかじめ保持する街路灯の情報に基づき、前記故障した街路灯の修理代金を算定する修理代金算定手段と、
前記故障した街路灯の管理者が備える端末の表示部に、前記修理代金算定手段により算定した修理代金に基づく請求書データを、通信ネットワークを介して表示する修理代金請求手段と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1に記載の街路灯管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−123382(P2008−123382A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308484(P2006−308484)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(504279212)株式会社エネルギア・ライフ&アクセス (15)