説明

衛星画像シーンの晴天判別装置、判別方法、判別プログラム

【課題】観測した衛星画像シーンの画像データ全体において、晴天域の判別の精度を向上させる。
【解決手段】晴天判別装置100は、衛星可視画像データの推定日射量から算出した晴天度および晴天ピクセル率と、閾値Xおよび閾値Zを指標として晴天判別を行う。晴天判別装置100は、静止気象衛星シーンの晴天度算出処理機能101、第一段階の晴天判別処理機能102、極軌道衛星シーンの晴天度算出処理機能103、第二段階の晴天判別処理機能104、閾値決定処理機能105、および衛星データ取得機能106を備えている。晴天度算出処理機能101は、日射量の推定および晴天度の算出を行う。晴天度算出処理機能103は、日射量の推定、晴天度および晴天ピクセル率の算出を行う。閾値決定処理機能105は、閾値Xおよび閾値Zの決定を行う。算出した晴天度もしくは晴天ピクセル率、ならびに、閾値X、もしくは閾値Xおよび閾値Zを用いて、晴天判別処理機能102、104が衛星画像の晴天判別を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衛星画像の利用技術に関し、より詳細には、衛星画像の雲域判別の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星からの可視画像により地表面を観測するリモートセンシングの分野では、雲域の判別が重要な技術である。天気予報における雲画像などでは雲域が観測対象であるが、地表面の観測においては、雲のある観測域の衛星画像データは利用できない。観測したい地表面が雲に隠れてしまうためである。そこで、画像データの雲域を予め判別しておくことが、地表面の観測の準備段階として必要となる。しかしながら衛星画像データはデータ量が非常に多く、撮像や画像の解析に時間がかかる。そして、時間を費やして画像データを解析しても、その観測域が雲域と判明した場合には解析作業が無駄になってしまうということもある。したがって、正確な雲域の判別技術が必要とされている。
【0003】
現在実施されている雲域の判別方法として、人工衛星からの可視画像データから得られる反射率に閾値を設定し、設定した閾値以上の反射率であれば雲域と判別する手法が知られている。太陽からの光が地球で反射した量を示す反射率は、静止気象衛星に搭載された可視センサ(光学センサ)で測定することができる。
【0004】
別の判別方法としては、一定時間毎の衛星画像データを蓄積しておき、晴天判別したい画像と比較する手法が知られている。この手法では、まず、一定時間毎の衛星画像データを蓄積する。そして、晴天域を判別したい画像を観測した時期に近い時期のうち、一定期間(例えば10日分)の蓄積された画像データを選択する。選択した画像データから得られる、各ピクセルの反射率の最も低い値(最低アルベード)を基準とした画像(閾値画像という)と、晴天判別したい画像との反射率を比較する。この手法では、地表面に応じた晴天時のアルベードを求めることができる。
【0005】
また従来より関連技術として、衛星の可視画像データを基に反射率に相当するアルベード値を計算し、日射量を推定する技術が知られている。日射量は、既知の物理モデルを基に定義される、日射量推定モデルの計算式(A)もしくは(B)を用いて計算される。
【0006】
さらに、式(A)および(B)のどちらを利用して日射量を推定するかは、観測域が晴天か曇天かの判断による。このとき、雪氷域は反射率が高く、晴れていても雲天と判別され、日射量推定に誤認が生じるということがあったため、雪氷域と雲域の判別をするための手法も開発されている。なお、式(A)および(B)の詳細については後述する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3751737号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】棚橋修一、川村宏著「日射量推定システムの開発」、FAPIG No.162(2002-11)、p.24-28
【非特許文献2】C. Gautier et al, A Simple Physical Model to Estimate Incident Solar Radiation at the Surface from GOSE Satellite Data, J. Appl. Meteor., 19, 1005-1012, 1980
【非特許文献3】C. Gautier et al, An Investigation of the Effect of Spatially Averaging Satellite Brightness Measurements on the Calculations of Isolation, J. Appl. Meteor., 23, 1380-1386, 1984
【非特許文献4】S. Kizu et al, A Study on Thermal Response of Ocean Surface Layer to Solar Radiation Using Satellite Sensing, Doctoral Thesis, Tohoku University, pp, 100, 1995
【非特許文献5】棚橋修一、後藤あずみ、川村宏、境田太樹、磯口治、高橋知行、「ひまわり6号(HRIT)による日射量推定システムの雪氷域対応」、日本気象学会2007年春季大会予稿集
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の雲域判別方法においては、反射率が地表面の状態、あるいは種類により大きく異なるため、一定の閾値で観測域全ての雲域判別を行うと、誤認が生ずる場合があるという問題点があった。例えば、裸地の反射率は10〜15%であり、砂地や砂漠では25〜40%であるため、この二つの地表面が混在する観測域では、観測域全体に対して一つの閾値を用いて雲域を判別することが難しい場合があった。
【0010】
閾値画像を用いる判別方法においては、基準とした閾値画像データは例えば一年以上前の地表面の状況を示すものであり、基準とした画像を観測した時点と、雲域判別を行うための新しい画像を観測した時点で地表面が経年変化していることがある。そして、経年変化によりアルベードも変わってしまうことがあり、基準とした画像データを利用することが難しい場合があった。また、基準とする画像を選択した10日間で一度も晴れていなかった領域では、最も低い反射率が晴天時の反射率を示していないことから、誤った晴天判別を行ってしまうという可能性もあった。さらに解析毎に非常に膨大な量のデータを処理しなければならない場合もあった。
【0011】
したがって本発明は、衛星画像の観測域全体において、晴天域の判別の精度を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書に記載の晴天判別装置は、衛星によって撮影された画像データを取得する衛星データ取得手段と、取得した画像の晴天度を算出する晴天度算出手段と、取得した画像データの晴天判別を行う晴天判別手段とを備える。衛星データ取得手段は、人工衛星によって撮影された可視画像データを取得する。晴天度算出手段は、日射量推定計算式を用いて、画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αと、取得した衛星画像から得られる反射率(アルベード値)に基づいて、画像を構成するピクセル毎に推定日射量βを算出する。
【0013】
日射量の強さは地域、季節、ならびに時刻等により変化するので、日射量強度そのものの値では、晴天か曇天かは判別できない。そこで、この晴天判別装置は、相対的に晴天か否かを判別するために、前述の晴天度算出手段が、取得した衛星画像データを構成するピクセル毎に、推定日射量αに対する推定日射量βの割合として定義される晴天度β/αを算出する。
【0014】
さらに、この晴天判別装置は、前述の晴天判別手段が、晴天判別を行いたい領域に対応する晴天度に基づく値を算出し、晴天度を用いて晴天判別を行う。この晴天判別手段は、算出されたピクセル毎の晴天度β/αに基づく値が予め決定された閾値以上である場合に、その領域を晴天と判別する。
【0015】
この晴天判別装置によれば、衛星画像の対象領域について、晴天度という判別指標を用いて、晴天判別手段が晴天判別を行う。推定日射量から算出された相対的な指標である晴天度を用いて晴天判別を行うことにより、衛星画像の晴天域を高精度で判別することができる。
【0016】
また、本明細書では、晴天判別装置の各構成要素が提供する機能をコンピュータに行わせることで、当該コンピュータで当該晴天判別装置を構築させるためのプログラムについても記載している。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に記載の晴天判別装置によれば、衛星画像シーンの観測域全体において、晴天域の判別をよりよい精度で行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】晴天判別装置の機能ブロック図である。
【図2】晴天判別装置を実現させるコンピュータのハードウェア構成図である。
【図3】静止気象衛星データ(可視センサ)から作成された日射量画像データの例である。
【図4】静止気象衛星データ(可視センサ)のデータ配列の例である。
【図5】気象衛星シーンの晴天判別の概念図である。
【図6】晴天度算出処理の処理内容を示した図である。
【図7】晴天判別処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図8A】閾値Xの決定処理の処理内容を示した図である。
【図8B】図8Aのヒストグラム作成処理の例を示した図である。
【図9】第一段階の晴天判別処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図10】段階的な晴天域判別処理のイメージ図である。
【図11A】閾値Zの決定処理の処理内容を示した図である。
【図11B】図11Aのヒストグラム作成処理の例を示した図である。
【図12】第二段階の晴天判別処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図13】晴天判別処理全体のデータの流れを示した図である。
【図14】晴天判別処理の内容を時間軸に沿って表した図である。
【図15】第二の実施例の晴天判別処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1について説明する。図1は、晴天判別装置100を含む晴天判別システムの全体構成、および晴天判別装置100の機能構成を示している。この晴天判別装置100は、静止気象衛星シーンの画像データ(第一の画像データ)および/または極軌道衛星シーンの画像データ(第二の画像データ)の晴天判別を行う。
【0020】
図1に示した晴天判別装置100は、静止気象衛星シーンの晴天度算出処理機能101、第一段階の晴天判別処理機能102、極軌道衛星シーンの晴天度算出処理機能103、第二段階の晴天判別処理機能104、閾値決定処理機能105、および衛星データ取得機能106を備えている。静止気象衛星シーンの晴天度算出処理機能101(第一の晴天度算出手段)は、静止気象衛星シーンの画像データの晴天度を算出する。第一段階の晴天判別処理機能102(第一の晴天判別手段)は、静止気象衛星シーンの画像データの晴天判別を行う。極軌道衛星シーンの晴天度算出処理機能103(第二の晴天度算出手段)は、極軌道衛星シーンの画像データの晴天度および晴天ピクセル率を算出する。第二段階の晴天判別処理機能104(第二の晴天判別手段)は、極軌道衛星シーンの画像データの晴天判別を行う。閾値決定処理機能105(閾値決定手段)は、晴天判別に用いる閾値XおよびZを決定する。衛星データ取得機能106(衛星データ取得手段)は、静止気象衛星データベース、極軌道衛星データベース、過去の極軌道衛星データベース、晴天判別装置100に画像データを取り込む。静止気象衛星データベースには静止気象衛星(第一の衛星)で観測した画像データ107、極軌道衛星データベースには極軌道衛星(第二の衛星)で観測した画像データ108が、それぞれ蓄積されている。また、過去の極軌道衛星データベースには、過去に観測された極軌道衛星画像データから、利用者によって、地表面の観測に利用可能な画像(例えば、シーン全体に亘って雲が無いか、もしくは少なく、ほぼ晴天である画像)として選別された画像データ109が蓄積されている。
【0021】
晴天判別装置100は、前述のデータベースから画像を取り込んで、晴天判別処理をおこなう。そして、晴天判別された画像の晴天判別結果110が出力される。
なお、図1において晴天判別装置100は、静止気象衛星シーンの晴天度算出処理機能101を備える代わりに極軌道衛星シーンの晴天度算出機能103を利用し、第一段階の晴天判別処理機能102に代えて、極軌道衛星シーンの第一段階の晴天判別機能を備えてもよい。このような構成を備える実施例については、図15を参照して後述する。
【0022】
次に図2について説明する。図2は、晴天判別装置100の各機能を実現するコンピュータ200のハードウェア構成の一例を示している。
図2において、コンピュータ200は、CPU201、ROM202、RAM203、ハードディスク装置204、インタフェース装置205、入力装置206、出力装置207を備えている。これらの要素はいずれもバス208に接続されており、CPU201の管理の下で各種のデータを相互に授受することができる。
【0023】
CPU201は、この晴天判別装置100全体の動作を制御する中央演算処理装置である。ここで、ROM(Read Only Memory)202は、各種の制御動作を行うための制御プログラムを格納する。RAM(Random Access Memory)203は、CPU201が制御プログラムを実行する際に必要に応じて使用する作業用の一時記憶領域を提供する。ROM202には、CPU201が実行する制御プログラムが予め格納されている。CPU201は、ROM202に格納されている制御プログラム(コンピュータプログラム)をCPU201が読み出してその実行を開始すると、後述する各種の制御処理を行って、前述した機能を提供する。
【0024】
ハードディスク装置204は、CPU201によって実行される各種の制御プログラムやデータを記憶しておく記憶装置である。CPU201はハードディスク装置204に記憶されている所定の制御プログラムを読み出して実行することにより、後述する各種の制御処理を行って、前述した機能を提供する。
【0025】
前述の静止気象衛星で観測されたデータ107および極軌道衛星で観測されたデータ108、ならびに過去に観測された極軌道衛星画像データから選別された画像データ109は、ハードディスク装置204に記憶されている。CPU201は、必要に応じてこれらのデータを読み出して晴天判別処理を実行する。
【0026】
インタフェース装置205は、外部コンピュータ等から晴天判別装置100に気象衛星データなどが通信ネットワークを介して入力される場合に、コンピュータ200との各種データの授受の管理を行う。
【0027】
入力装置206は、例えばキーボード装置やマウス装置であり、晴天判別装置100に日射量推定計算式に用いる各種パラメータなどを入力するのに使用されうる。利用者により操作されると、取得した入力情報をCPU201に送付する。
【0028】
出力装置207は、晴天判別処理装置100の処理結果、および処理経過等を出力する。
なお、図2に示した構成から明らかなように、コンピュータ200の構成は標準的なコンピュータの多くが備えている構成である。したがって、標準的なコンピュータによって晴天判別装置100の前述した機能が実現できる。
【0029】
次に図3について説明する。図3は、静止気象衛星に搭載された可視センサにより観測された可視画像データから作成された日射量画像データの例である。日射量画像は1ピクセル1バイトもしくは2バイトであり、各ピクセルの地表面の反射率(0〜100%)をキャリブレーションし、例えば256階調もしくは1024階調で表現される。図3では画像中央上部の渦が曇天域、そのすぐ外側が晴天域であり、画像外側にいくにつれ雲が多くなっていることを表している。
【0030】
次に図4について説明する。図4は静止気象衛星の可視画像データの配列の例を示している。1画像(もしくは1シーン)は、横9600ピクセル(0.0125度格子)、縦9600ライン(0.0125度格子)であり、各ピクセル毎に反射率や日射量などのデータが格納されている。極軌道衛星の画像データも、ピクセル数とライン数が少ないが同様の配列であり、データの格納方法についても同様である。
【0031】
次に図5について説明する。図5は晴天判別処理装置100によって行われる、シーンの晴天判別の概念図である。ここでシーンとは、衛星により帯状に観測された観測データのうち、決まった大きさで切り出された画像データをいう。
【0032】
静止気象衛星は赤道上空36000 kmに静止して広域の観測を行う人工衛星である。地表からの距離が長いため、その観測シーンは非常に広く、撮像された画像データの分解能は低い(画像解像度が低い)。一方極軌道衛星は、北極上空から南極上空に回る軌道またはそれに近い軌道傾斜角を持ち、低軌道では上空350〜1400 km、中軌道では上空1400〜36000 kmで周回する衛星である。地表との距離が近いため高解像度の画像が得られる。また、観測される1シーンは局所的であるが、軌道が地表上を隈無く回っているため、地球上の全表面を観測できるという特徴がある。
【0033】
以上をふまえて晴天判別装置100が行う晴天判別の概念を表現すると、静止気象衛星の観測シーンに極軌道衛星の観測シーンが含まれている状態となる。そして、それぞれのシーンの画像データについて判別処理が行われる。
【0034】
ここで、図1の晴天判別装置100で行われる晴天判別処理に用いる、推定日射量と晴天度について説明する。
薄い雲で覆われている場合や、小さな雲が点在する場合の大気の光学的な厚さは、上空から地表が見える程度を表す指標となる。この光学的な厚さは第一近似的には反射率(アルベード)で表現できるが、地表に到達する太陽光の強さ(日射量)で表現すると、より精度よく表現できる。しかしながら、日射量の強さは地域や季節、時刻により様々であり、単純に日射量の強度が高ければ晴れであるとは言えず、したがって、観測された日射量そのままの値は、どの程度雲が無いかを示す指標にすることはできない。
【0035】
そこで、晴天判別装置100では、雲が存在しない場合を仮定した推定日射量αに対する、現実のアルベード値から推定した推定日射量βの割合である、晴天度β/αを晴天域判別の指標とすることを考案した。
【0036】
推定日射量αおよびβは、以下に示す公知の日射量推定モデルの計算式(A)もしくは(B)を用いて理論的に推定される。ここで、公知ではあるが、以下に日射量推定モデルの計算式を示す。
(A)晴天域での日射量推定計算式
SS = SI + SR + SA ・・・(1)
(B)雲域での日射量計算式
SS = (SI + SR + SA)(1-a・A) ・・・(2)
ここで、
SI=S・tO・tR(l−aw)・tA ・・・(3)
SR=S・tO・(0.5・(1−tR))・tA ・・・(4)
SA=S・tO・tR(1−aw)・FC・ω0(1−tA) ・・・(5)
S=I・(dM/d)2・cosθ ・・・(6)
A=R/cos θ ・・・(7)
上記式(1)〜(7)の各記号(パラメータ)の意味は以下の通りである。
θ:太陽天頂角
I:太陽定数
dM:太陽−地球間の平均距離
d:太陽−地球間の距離
tO:オゾンの吸収に関する透過率
tR:レイリー散乱に関する透過率
tA:エアロゾルに関する透過率
aw:水蒸気による日射吸収率
FC:エアロゾルによる前方散乱の割合
ω0:単一散乱アルベード
R:衛星が観測した反射率
A:アルベード値
a:雲の日射吸収係数
【0037】
ここで、図6を参照して、図1の晴天判別装置100で行われる、日射量推定処理および晴天度β/αの算出処理(図1の101、103が行う処理)の内容を説明する。図6は、晴天度算出の処理内容を示した図である。
【0038】
まず、晴天と仮定した場合のピクセル毎の日射量α 611を推定する(601b’)。晴天、すなわち雲が存在しないと仮定すると、アルベード値Aを0として計算すればよい。したがって、日射量α 611は、実際の画像データが無くとも、画像データが撮像された時刻(T0)607’と計算式(B)(2)から推定されうる。日射量αの値は太陽天頂角(太陽高度)に依存するので、撮像時刻とピクセルの位置により異なる値となる。なお、A=0であるので、(B)(2)は、(A)(1)と同一の式となることに留意されたい。
【0039】
次に、撮像時刻(T0)の画像データ 607の各ピクセルの反射率(アルベード値)から、雪氷域推定処理601aと日射量推定処理601bを行い、各ピクセルの日射量β 612を推定する。日射量βは、ピクセルの反射率を元に推定されるので、ピクセル毎に異なる値となる。日射量βの値は反射率に依存するところが大きいが、各パラメータにも依存している。例えば、オゾンの吸収に関する透過率は緯度と季節ごとに固定値が設定され、また、水蒸気による日射吸収率は赤外センサから推定される。
【0040】
雪氷域推定処理601aは、日射量を推定したいピクセルが雪氷域か否かを推定して、日射量推定式(A)と式(B)のどちらを用いるか判断するために利用される。詳細は後述する。
【0041】
続いて、算出した推定日射量α 611と推定日射量β612から、各ピクセル毎に、推定日射量α 611に対する推定日射量β 612の割合である、晴天度β/α 613を算出する(601c)。晴天度β/α 613は、晴天であれば1に近い値となり、曇天であれば0に近い値となる。
【0042】
なお、ここではデータアクセスの利便性から、αとβは同じタイミング、すなわち撮像時刻T0の画像を取得するためにデータベースにアクセスした時点、で両方を計算している。データベースへのアクセスを2回に分け、各アクセス時にαとβをそれぞれ計算してもよい。
【0043】
またここで、公知ではあるが、雪氷域推定処理601bについて説明する。雪氷域推定処理601bは、いずれも画像での反射率が高いために判別しにくい、雪氷域と雲域の判別を行うための手法の一つである。衛星画像データの雪氷域は、アルベード値、ならびに輝度温度に関する幾つかの条件を定めた雪氷域推定アルゴリズムを適用して推定される。画像データは、満たす条件によって、雪氷域、雲域、晴天域のいずれであるか推定される。この推定結果は、日射量を推定したいピクセルについて、晴天域での日射量推定式(A)と曇天域での日射量推定式(B)のどちらを用いるか判断するために利用される。
【0044】
次に、図7について説明する。図7は図1の晴天判別装置100で行われる晴天判別の処理内容を示すフローチャートである。
まず、S701では、CPU201は、ハードディスク装置204に記憶されている静止気象衛星画像データのデータベースから、静止気象衛星シーンの可視画像データ107を取得する処理を行う。
【0045】
次にS702では、CPU201は、S701で取得した静止気象衛星シーンの可視画像データ107から日射量を推定する処理を行う。続いて、S703では、CPU201は、S702で推定した日射量を用いて晴天度β/αを算出する処理を行う。具体的には、静止気象衛星の可視画像データ107と、画像データのピクセル毎に格納されている反射率(アルベード値)を用いて、図6を参照して前述した処理を行う。
【0046】
次にS704では、CPU201は、晴天判別を行いたい極軌道衛星画像シーンの観測域を、ハードディスク装置204に記憶されている極軌道衛星画像データベースから取得する処理を行う。CPU201は、取得した極軌道衛星画像シーンの観測域を用いて、静止気象衛星シーン内における極軌道衛星画像シーンの観測域の占める位置を特定する。特定した位置範囲は後述する第一段階の晴天判別処理S706で利用する。
【0047】
次に、S705では、CPU201は、予め閾値決定処理で決定され、RAM203に格納されている、晴天度β/αの閾値Xを取得する処理を行う。閾値決定処理は、閾値Xの値を決定する処理であり、その処理の詳細は後述する。
【0048】
続いてS706では、晴天度β/αと閾値Xを比較して、判別対象の極軌道衛星の観測域が晴天か否かを判別する処理を行う。その処理の詳細は後述する。
【0049】
ここで、S705の閾値決定処理の詳細について、図8Aおよび図8Bを用いて説明する。図8Aは閾値Xを決定する処理内容を示した図であり、図8Bは閾値Xの決定処理において作成するヒストグラム(度数分布図)の例である。
【0050】
まず始めに、CPU201は、ハードディスク装置204に記憶されている過去の極軌道衛星画像データのデータベースから、S701で取得した静止気象衛星画像が撮像された時刻以前に撮影された、過去の極軌道衛星画像データ809を取得する。ハードディスク装置204に記憶されている過去の極軌道衛星画像データ809は、例えばシーン全体に亘って雲が無いか、もしくは少なく(すなわちほぼ晴天である)、地表面の観測に利用可能な画像として利用者により予め選別(採用)されたものである。画像データは、後述するヒストグラムを作成するのに十分な程度のシーン数、例えば少なくとも1枚以上、好ましくは10シーン程、取得することが望ましい。これら取得したシーンと同時刻の極軌道衛星画像から、日射量推定に用いる日射量画像が作成される。なお、簡易的に日射量を推定する場合には、静止気象衛星画像から日射量画像を作成することも可能である。静止気象衛星画像は30分毎に撮影されているので、取得したシーンとほぼ同時刻の日射量画像を作成できるからである。
【0051】
次に、CPU201は、取得した極軌道衛星画像データの複数のシーン809を用いて、雲が存在しないと仮定した場合の推定日射量α 811を推定する処理を行う(801b)。さらに、同じ極軌道衛星画像データの複数のシーン809を用いて、画像を構成するピクセル毎に、雪氷域推定処理801aと、日射量推定処理801bを行い、推定日射量β 812を推定する処理を行う。
【0052】
続いて、推定した日射量α 811と日射量β 812を用いて、ピクセル毎に晴天度β/α 813を算出する処理を行う(801c)。雪氷域推定処理801a、日射量推定処理801b、および晴天度算出処理801cの内容は、用いる画像データが極軌道衛星画像データの複数のシーン809であることを除いて、図6に示される雪氷域推定処理601a、日射量推定処理601b、および晴天度算出処理601cに同じである。
【0053】
次に、CPU201は、図8Bに示すように、算出したピクセル毎の晴天度β/α 813のヒストグラム分布を作成する処理を行う(図8Aの815)。続いて、CPU201は、作成したヒストグラムに基づいて、例えば全体のピクセル数の80%のピクセル数が属するβ/αの下限値を算出し、閾値X 816の値として決定する処理を行う。閾値X 816の値を全ピクセル数の何%に対応して決定するかについては、使用者が目的に応じて任意に決定することができる。例えば、閾値X 816の値を調整することにより、薄曇りの状態や部分的に雲が混在している状態の許容範囲を調整することができる。決定した閾値X 816は、RAM203に格納されうる。
【0054】
以上のように、閾値Xの決定処理は、晴天判別を行う静止気象衛星画像シーン(対象領域)の撮影時以前に、極軌道衛星によって撮影された一枚以上の画像を取得する処理と、画像の晴天度を算出する処理と、晴天度のヒストグラムから閾値Xを決定する処理によって実現されうる。晴天度を算出する処理は、まず、一枚以上の画像について、各画像を構成するピクセル毎に、その画像の領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求める。次に画像データの実際の反射率から推定日射量βを求め、ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する処理によって実現される。閾値Xを決定する処理は、一枚の画像を構成する全てのピクセルに対して晴天度β/αのヒストグラムを作成し、全てのピクセルに対して、ピクセル数の合計が定められた割合以上となるβ/αの下限値を閾値Xとして決定する処理により実現されうる。
【0055】
図9は、S706の晴天判別処理の処理内容を、S704およびS705を含めてフローチャートで示したものである。
S901は、図7のS704の処理であり、CPU201は、晴天判別を行いたい極軌道衛星画像シーンの観測域をハードディスク装置204に記憶されている極軌道衛星画像データベースから取得する処理を行う。CPU201は、取得した極軌道衛星画像シーンの観測域を用いて、静止軌道衛星シーン内の極軌道衛星画像シーンの観測域の占める領域を特定する。
【0056】
次に、S902では、CPU201は、特定した極軌道衛星シーンの領域内にある、静止気象衛星画像のピクセルについて、その領域内での晴天度β/αの平均値を算出する処理を行う。
ここで、平均値の算出方法としては、以下の方法が考えられうる。
【0057】
極軌道衛星の観測域が静止気象衛星画像のピクセルを全くまたがない場合、言い換えると、複数のピクセルがピクセル単位でそのまま観測域内に入るような場合、すなわち最も外側のピクセルの境界(の一部)が観測域の境界と一致する場合には、観測域内に入っている全てのピクセルの平均値を計算する。一方、極軌道衛星の観測域が静止軌道衛星の複数のピクセルにまたがるような場合には、観測域との重なりの小さいピクセルについては平均値の計算から除外する。
【0058】
前述の平均値の算出方法の他に、当業者によって考案されうるその他の方法が用いられてもよい。
また、極軌道衛星シーンの領域内にあるピクセルの晴天度については、平均値だけではなく、中央値を用いる、ヒストグラムを作成して下限値を算出した値を用いる、などのその他の方法が用いられてもよい。
【0059】
次に、S903では、CPU201は、前述の閾値決定処理で決定した閾値Xを取得する処理を行う(図7のS705)。続いて、S904では、S902で算出した晴天度β/αの平均値が、閾値X以上かを判定する。CPU201は、晴天度β/αの平均値が閾値X以上であれば晴天と判別し、S905で静止気象衛星画像のヘッダ部に晴天フラグをつける処理を行う。一方、晴天度β/αの平均値が閾値Xに満たない場合は曇天と判別し、S906で静止気象衛星画像のヘッダ部に曇天フラグをつける処理を行う。S907では、晴天フラグをつけた晴天判別画像、もしくは曇天フラグをつけた晴天判別画像を作成する処理を行い、晴天判別処理が終了する。
【0060】
以上のように、第一段階の晴天判別処理は、静止気象衛星によって撮影された画像データを取得する処理と、静止気象衛星画像データの晴天度と晴天度の平均値を算出する処理と、晴天度の平均値と閾値Xと比較して晴天判別を行う処理によって実現される。晴天度の算出処理は、まず、静止気象衛星画像を構成するピクセル毎に、その画像の領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求める。続いて、静止気象衛星画像データに基づいて実際の反射率から推定日射量βを求め、静止気象衛星画像のピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する処理を行うことにより実現される。続いて、晴天判別処理は、まず、静止気象衛星画像の領域内に含まれる、晴天判別が行われるべき極軌道衛星シーンの観測域に対応する静止気象衛星の複数のピクセルの晴天度の平均値を算出する処理を行う。次に、平均値が閾値決定処理で決定した閾値X以上であるときに、極軌道衛星シーンの観測域を晴天と判別する処理を行うことにより、実現されうる。
【0061】
図7におけるS701からS706の処理を終えると、第一段階の晴天判別処理が終了する。第一段階の晴天判別処理を終えることにより、晴天判別を行いたい極軌道衛星画像の領域について、極軌道衛星の画像データを用いることなく、精度を高めて晴天判別をすることが可能となる。
【0062】
また、静止気象衛星画像の晴天判別処理は、衛星画像が撮像されてから即時に行うことが可能である。したがって、第一段階の晴天判別結果を、後に予定される第二段階の判別を行うか否かの検討材料とすることができ、データ量の多い極軌道衛星画像データを多数判別するという無駄を省くことにも役立つ。
【0063】
続いて、晴天判別装置100で行われる第二段階の晴天判別処理について説明する。図10は、第一段階の晴天判別と、第二段階の晴天判別を組み合わせた、段階的な晴天判別の概念を示した図である。
【0064】
前述した第一段階の晴天判別では、静止気象衛星シーンの画像データについて、極軌道衛星の観測域内の晴天度の平均値と閾値Xを指標として、晴天判別を行った。第二段階の晴天判別では、極軌道衛星シーンの画像データについて、新たな指標である晴天ピクセル率と閾値Zを用いて、晴天判別を行う。極軌道衛星の画像データは高分解能であり、それに合わせて、晴天判別についても高精度の処理が要求されるためである。なお、晴天ピクセル率と閾値Zについては後述する。
【0065】
図10で、日没域とは、日没しているために日射量のない観測域であり、静止気象衛星シーンの日射量画像では黒色で表現される。したがって、日射量画像から日没域部分が容易に判断でき、その観測域の画像データは地表面の観測には利用できないことが判別できる。
【0066】
次に、再び図7を参照して、晴天判別装置100で行われる、第一段階の晴天判別以降の処理の内容について説明する。
まず、S707では、第一段階の晴天判別画像に基づいて、極軌道衛星シーンの画像データについて晴天判別を行うか否かを判断する。この判断は、第一段階の判別結果が晴天であれば第二段階を行うよう予め判断条件を設定しておいてもよいし、あるいは、利用者が晴天判別画像を確認して判断してもよい。もしくは、単に第一段階の処理が終了したかどうかを確認して、第二段階を行ってもよい。予め判断条件を設定しておく場合には、閾値Xの値に応じて、晴天とする範囲を任意に決めることができる。例えば、閾値X決定時に下限値とするピクセル数を多くすれば、薄い雲や小さな雲を含む領域も晴天域と判別されることになる。したがって、このような場合は、第一段階では判別できなかった小さな雲域等を判別することを目的として、第二段階の判別を行うことになりうる。一方、予め判断条件を予め設定しない場合には、利用者が目的によって、第二段階の晴天判別を行うか否かを判断してもよい。例えば、第一段階の晴天判別結果が曇天であったとしても、例えば雲域中の小さな晴天域を判別する目的等で、利用者の判断により第二段階の判別を行ってもよい。
【0067】
第二段階の晴天判別を行わないと判断した場合には、晴天判別処理が終了する。静止気象衛星の画像データを用いて極軌道衛星の画像領域全体が晴天か否かの晴天判別処理を行うことで、極軌道衛星の高解像度画像を用いたさらなる晴天判別を行う必要のない画像データを判別することが可能となる。これにより、高解像度画像を解析作業にかけたが、雲域であったために地表面観測に利用できなかった、というような無駄を省くことも可能となる。
【0068】
一方、第二段階の晴天判別を行うと判断した場合は、S708に進む。S708では、CPU201は、ハードディスク装置204に記憶されている極軌道衛星画像データのデータベースから、S704で取得した観測域に対応する極軌道衛星シーンの可視画像データ108を取得する処理を行う。
【0069】
次にS709では、CPU201は、S708で取得した極軌道衛星シーンの可視画像データ108からピクセル毎の日射量を推定する処理を行う。続いて、S710では、CPU201は、S709で推定したピクセル毎の日射量を用いて晴天度β/αを算出する処理を行う。具体的には、極軌道衛星シーンの可視画像データ108と、画像データのピクセル毎に格納されている反射率(アルベード値)を用いて、図6を参照して前述した処理を行う。
【0070】
次に、S711では、CPU201は、予め閾値決定処理で決定され、RAM203に格納されている、晴天度β/αの閾値Xと、晴天ピクセル率の閾値Zを取得する処理を行う。ここで、閾値Xは図8Aおよび8Bを参照して前述した閾値決定処理により決定されたものである。閾値Zの値を決定する処理の詳細については、後述する。
【0071】
続いてS712では、晴天ピクセル率と閾値Zを比較して、取得した極軌道衛星シーンが晴天か否かを判別する処理を行う。その処理の詳細は後述する。
ここで、S711の閾値Zの決定処理の詳細について、図11Aおよび図11Bを用いて説明する。図11Aは閾値Zを決定する処理内容を示した図であり、図11Bは閾値Zの決定処理において作成するヒストグラムの例である。
【0072】
まずCPU201は、雪氷域推定処理1101aおよびピクセル毎の日射量を推定する処理1101bを行い、続いてピクセル毎の晴天度β/α 1113を算出する処理1101cを行う。これらの処理は、図8Aおよび8Bを参照して前述した閾値X 816の決定処理における雪氷域推定処理801a、日射量推定処理801b、および晴天度算出処理801cと同様の処理である。
【0073】
次にCPU201は、算出したピクセル毎の晴天度β/α1113の各々が、前述した閾値決定処理で決定された閾値X 1116以上かについて判定する処理を行う。CPU201は、晴天度β/α1113の値が閾値X 1116以上であるピクセルを晴天と判別する(1117)。
【0074】
続いてCPU201は、取得した複数の極軌道衛星画像の1シーン毎に、1シーンの画像データ中の全ピクセル数に対する、晴天と判別されたピクセルの割合である、晴天ピクセル率 1118を算出する処理を行う(1117)。
【0075】
次に、CPU201は、図11Bに示すように、シーン毎に算出した晴天ピクセル率のヒストグラム分布を作成する処理を行う(図11Aの1119)。続いてCPU201は、作成したヒストグラムに基づいて、例えば全体のシーン数の80%のシーン数が属する晴天ピクセル率の下限値を算出し、閾値Z 1120の値として決定する処理を行う。閾値Z 1120の値を全シーン数の何%以上に対応するものとするかについては、使用者が目的に応じて任意に決定することができる。例えば、閾値Z 1120の値を調整することにより、シーン中の曇天域の許容範囲を調整することができる。決定した閾値Z 1120は、RAM203に格納されうる。
【0076】
以上のように、閾値Zの決定処理は、晴天判別を行う静止気象衛星画像シーン(対象領域)の撮影時以前に、極軌道衛星によって撮影された一枚以上の画像を取得する処理と、画像の晴天度および晴天ピクセル率を算出する処理と、晴天ピクセル率のヒストグラムから閾値Zを決定する処理によって実現されうる。晴天度を算出する処理は、まず、一枚以上の画像について、各画像を構成するピクセル毎に、その画像の領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求める。次に画像データの実際の反射率から推定日射量βを求め、ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する処理によって実現される。続いて晴天ピクセル率を算出する処理は、まず、ピクセル毎の晴天度β/αが閾値決定処理で決定された閾値X以上であるときに、そのピクセルを晴天と判別する。次に一枚の画像データ毎に全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出する処理により実現される。閾値Zを決定する処理は、一枚以上の画像シーンに対してシーン毎の晴天度ピクセル率のヒストグラムを作成し、シーンの全ての数に対して、シーン数の合計が定められた割合以上となる晴天ピクセル率の下限値を閾値Zとして決定する処理により実現されうる。
【0077】
図12は、S712の晴天判別処理の処理内容を、S711を含めてフローチャートで示したものである。
まず、S1201では、CPU201は、前述の閾値決定処理で決定した閾値Xを取得する処理を行う(図7のS705)。次にCPU201は、S710で算出したピクセル毎の晴天度β/αについて、各々が閾値X以上かについて判定する処理を行う。CPU201は、晴天度β/αの値が閾値X以上であれば晴天と判別して、S1203で晴天判別結果を示すフラグを1とし、晴天度β/αの値が閾値X未満であれば曇天と判別して、S1204で晴天判別結果を示すフラグを0とする。続いてCPU201は、S1205では、この判別結果に基づいて極軌道衛星画像シーンの晴天判別二値画像を作成する処理を行う。二値画像としては例えば、図3に示したデータ配列のピクセル毎に、判別された0もしくは1のフラグのデータが格納された画像が考えられる。もしくは、判別された結果のフラグを元に、0と1でそれぞれ決められた異なる二色のうちいずれかに、各ピクセルが色分けされた画像が作成されてもよい。
【0078】
次にS1206では、CPU201は、S708で取得した極軌道衛星画像のシーン毎に、1シーンの画像データ中の全ピクセル数に対する、S1202で晴天と判別されたピクセル数の割合である、晴天ピクセル率を算出する処理を行う。例えば、1シーン中の画像データの全ピクセル数が100で、晴天と判別されたピクセル数が60であれば、晴天ピクセル率は0.6である。
【0079】
次に、S1207では、CPU201は、閾値決定処理で決定した閾値Zを取得する処理を行う(図7のS711)。続いて、S1208では、S1206で算出した晴天ピクセル率が閾値Z以上であるかを判定する。CPU201は、晴天ピクセル率が閾値Z以上であればそのシーンを晴天と判別し、S1209で極軌道衛星画像のヘッダ部に晴天フラグをつける処理を行う。一方、晴天ピクセル率が閾値Z未満であれば曇天と判別し、S1210で極軌道衛星画像のヘッダ部に曇天フラグをつける処理を行う。S1211では、晴天フラグをつけた晴天判別画像、もしくは曇天フラグをつけた晴天判別画像を作成する処理を行い、晴天判別処理が終了する。
【0080】
以上のように、第二段階の晴天判別処理は、極軌道衛星によって撮影された画像データを取得する処理と、極軌道衛星画像データの晴天度と晴天ピクセル率を算出する処理と、晴天ピクセル率と閾値Zと比較して晴天判別を行う処理によって実現される。晴天度の算出処理は、まず、極軌道衛星画像を構成するピクセル毎に、その画像の領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求める。続いて、極軌道衛星画像データに基づいて実際の反射率から推定日射量βを求め、極軌道衛星画像のピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する処理を行うことにより実現される。次に晴天ピクセル率の算出処理は、ピクセルの晴天度が閾値決定処理で決定された閾値X以上であるときに、そのピクセルを晴天と判別し、極軌道衛星画像の全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出する処理により実現される。続いて、晴天判別処理は、晴天ピクセル率が閾値決定処理で決定した閾値Z以上であるときに、その極軌道衛星画像を晴天と判別する処理を行うことにより、実現されうる。
【0081】
図7におけるS708からS712の処理を終えると、第二段階の晴天判別処理が終了する。第二段階の晴天判別処理を終えることにより、精度を高めて極軌道衛星画像を晴天判別することが可能となる。
【0082】
さらに、第一段階の晴天判別処理と、第二段階の晴天判別処理を続けて行うことにより、第二段階の判別処理を行うことが必要であると判断したデータのみについて、処理を行うことが可能となる。すなわち、第一段階の判別結果を元に第二段階の判別処理を行う必要のない画像データを除外することができ、第二段階の判別処理を行ったが雲域であった、というような無駄を省き、ひいては、始めから第二段階の判別を行うよりも効率的な晴天判別が可能となる。
【0083】
ここまでに説明した晴天判別処理装置100で行われる処理全体について、データおよびデータ処理の流れを表したものが図13である。図面内の13から始まる符号の下2桁は、前述した各図面の要素と対応している。また、「’」をつけた符号は、「’」のない符号の要素と処理方法は同様であるが、処理に用いたデータが異なることを示している。
【0084】
また、図14は、晴天判別装置100で行われる晴天判別処理の内容を時系列で示した図である。図面内の14から始まる符号の下2桁は、前述した各図面の要素と対応している。
一般に、静止気象衛星は30分毎に観測したデータを配信し、極軌道衛星は一周90分ぐらいで地球を周回し、観測したデータを配信している。配信されたデータは地上の受信局や受信装置で受信され、ハードディスク等に保存される。受信局等で保存されたデータは、インターネット回線を通じて、もしくは記憶媒体に保存して配布することにより、利用者に提供することが可能である。
【0085】
図14では、CPU201は、まず、静止気象衛星から配信され、コンピュータ200のハードディスク装置204に記憶されたデータを取得する。次に、取得した静止軌道衛星画像の晴天度の計算処理1401を行い、続いて、第一段階の晴天判別処理1402を行う。この際、極軌道衛星シーンの観測域1408aの情報に基づいて判別処理を行う画像部分を特定する処理も行う。その後、極軌道衛星から配信され、コンピュータ200のハードディスク装置204に記憶された画像データを取得する(1406)。次に、取得した極軌道衛星画像の晴天度の計算処理1403を行い、続いて第二段階の晴天判別処理1404を行う。
これらの処理の前に、予め選別された過去の極軌道衛星画像データを用いて、閾値の決定処理が行われている(1405)。
【0086】
図15は、静止気象衛星の画像データを用いず、始めから極軌道衛星の画像データを用いて、第一段階の判別を行う場合の、図1の晴天判別装置100で行われる晴天判別の処理内容を示すフローチャートである。
【0087】
まず、S1501では、CPU201は、ハードディスク装置204に記憶されている極軌道衛星画像データのデータベースから、極軌道衛星シーンの可視画像データ108を取得する処理を行う。
【0088】
次にS1502では、CPU201は、S1501で取得した極軌道衛星シーンの可視画像データ108から日射量を推定する処理を行う。続いて、S1503では、CPU201は、S1502で推定した日射量を用いて晴天度β/αを算出する処理を行う。具体的には、極軌道衛星の可視画像データと、画像データのピクセル毎に格納されている反射率(アルベード値)を用いて、図6を参照して前述した処理を行う。
【0089】
次に、S1504では、CPU201は、閾値決定処理で決定され、RAM203に格納されている、晴天度β/αの閾値Xを取得する処理を行う。ここで、閾値Xは図8Aおよび8Bを参照して前述した閾値決定処理と同様の処理により決定されたものである。
【0090】
S1501からS1504の処理は、用いるデータが極軌道衛星の画像データであること以外は、図7のS701からS705の処理と同様である。
続いてS1505では、CPU201は、晴天度β/αの値が閾値X以上であれば晴天と判別して、S1506で晴天判別結果を示すフラグを1とし、晴天度β/αの値が閾値X未満であれば曇天と判別して、S1507で晴天判別結果を示すフラグを0とする。S1508では、この判別結果に基づいて極軌道衛星画像シーンの晴天判別二値画像を作成する処理を行い、晴天判別処理が終了する。
【0091】
図15に示した判別処理は、使用者が予め極軌道衛星画像の晴天判別を行うと決めている場合などに用いられる処理方法である。すなわち、極軌道衛星シーンの観測域が晴天域か曇域かに関わらず、極軌道衛星画像の晴天判別を行う必要がある場合などに有効な処理方法である。
【0092】
さらに、S1508の処理の後、図12のS1206以降の処理を行い、同じ極軌道衛星画像について第二段階の晴天判別を行ってもよい。
第二段階の晴天判別に用いる閾値Z決定のヒストグラムは、極軌道衛星画像の晴天ピクセル率について、シーン数を縦軸にとった分布を表している。ヒストグラム作成に用いる極軌道衛星画像シーンはほぼ晴天であるため、晴天ピクセル率は100%に近い値が多く、分布のばらつきが少なくなることが予想される。一方、閾値X決定のヒストグラムは、ピクセルの晴天度について、ピクセル数を縦軸にとった分布を表している。ピクセル毎の晴天度はシーン毎の晴天ピクセル率に比べてばらつきが大きくなることが予想される。ばらつきの小さいヒストグラムから決定した閾値Zは閾値Xに比べて信頼度が高く、したがって、図15の第一段階の判別処理に続いて図12の第二段階の判別処理を行うことにより、さらに信頼性の高い晴天判別結果を得ることができると考えられる。
【0093】
また、前述した実施例の他に、極軌道衛星画像データを用いた第二段階の判別処理のみを行う実施例も可能である。
【0094】
なお、以上までに説明した全ての実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
第一の衛星によって撮影された第一の画像データを取得する衛星データ取得手段と、
該第一の画像を構成するピクセル毎に、該第一の画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記第一の画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する第一の晴天度算出手段と、
前記第一の画像に対応する領域内に含まれ、晴天判別が行われるべき対象領域に対応する晴天度に基づく値を算出し、該基づく値が予め定められた閾値X以上であるときに、前記対象領域を晴天と判別する第一の晴天判別手段と、
を備える、晴天判別装置。
(付記2)
前記第一の画像データの撮影時以前に、前記対象領域を撮影する第二の衛星によって撮影された一枚以上の各画像のデータを取得し、
該一枚以上の画像について、各画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出し、前記一枚以上の画像を構成する全てのピクセルに対して該晴天度β/αの度数分布図を作成し、該全てのピクセルの数に対して、ピクセル数の合計が定められた割合以上となるβ/αの下限値を前記閾値Xとして決定する、
閾値決定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の晴天判別装置。
(付記3)
前記衛星データ取得手段が、前記第一の画像データに加えて、第二の衛星によって撮影された第二の画像のデータを取得するとともに、
該第二の画像を構成するピクセル毎に、該第二の画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記第二の画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出し、該晴天度が前記閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別し、前記第二の画像データ毎に全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出する、第二の晴天度算出手段と、
該晴天ピクセル率が予め定められた閾値Z以上であるときに、前記第二の画像データを晴天と判別する第二の晴天判別手段と、
をさらに備える、請求項1に記載の晴天判別装置。
(付記4)
前記第一の画像データの撮影時以前に、前記対象領域を撮影する第二の衛星によって撮影された一枚以上の各画像のデータを取得し、
該一枚以上の画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出し、
前記ピクセル毎の前記晴天度β/αが予め定められた閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別するとともに、前記画像データ毎に全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出し、
前記一枚以上の画像に対して該晴天ピクセル率の度数分布図を作成し、該画像の全ての数に対して、晴天ピクセル数の合計が定められた割合以上となる晴天ピクセル率の下限値を前記閾値Zとして決定する、
閾値決定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の晴天判別装置。
(付記5)
衛星によって撮影された可視画像のデータを取得する衛星データ取得手段と、
該画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する晴天度算出手段と、
前記ピクセル毎に対応する領域毎に、前記晴天度が予め定められた閾値以上である領域を晴天と判別する晴天判別手段と、
を備える、晴天判別装置。
(付記6)
衛星によって撮影された画像のデータを取得する衛星データ取得手段と、
該画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する、第一の晴天度算出手段と、
該晴天度が予め定められた閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別する、第一の晴天判別手段と、
前記画像データ毎に全ピクセル数に対する該晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出する、第二の晴天度算出手段と、
該晴天ピクセル率が予め定められた閾値Z以上であるときに、前記画像データを晴天と判別する第二の晴天判別手段と、
を備える、晴天判別装置。
(付記7)
衛星によって撮影された画像のデータを取得する衛星データ取得手段と、
該画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出し、該晴天度が予め定められた閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別し、前記画像データ毎に全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出する、晴天度算出手段と、
該晴天ピクセル率が予め定められた閾値Z以上であるときに、前記画像データを晴天と判別する晴天判別手段と、
を備える、晴天判別装置。
(付記8)
第一の衛星によって撮影された第一の画像データを取得する処理と、
該第一の画像を構成するピクセル毎に、該第一の画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記第一の画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する処理と、
前記第一の画像に対応する領域内に含まれ、晴天判別が行われるべき対象領域に対応する晴天度に基づく値を算出し、該基づく値が予め定められた閾値X以上であるときに、前記対象領域を晴天と判別する処理と、
をコンピュータに行わせることを特徴とするプログラム。
(付記9)
前記第一の画像データの撮影時以前に、前記対象領域を撮影する第二の衛星によって撮影された一枚以上の各画像のデータを取得する処理と、
該一枚以上の画像について、各画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出し、前記一枚以上の画像を構成する全てのピクセルに対して該晴天度β/αの度数分布図を作成し、該全てのピクセルの数に対して、ピクセル数の合計が定められた割合以上となるβ/αの下限値を前記閾値Xとして決定する処理と、
をさらにコンピュータに行わせることを特徴とする、付記8に記載のプログラム。
(付記10)
前記第一の画像データに加えて、第二の衛星によって撮影された第二の画像のデータを取得する処理と、
該第二の画像を構成するピクセル毎に、該第二の画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記第二の画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出し、該晴天度が前記閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別し、前記第二の画像データ毎に全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出する処理と、
該晴天ピクセル率が予め定められた閾値Z以上であるときに、前記第二の画像データを晴天と判別する処理と、
をさらにコンピュータに行わせることを特徴とする、付記8に記載のプログラム。
(付記11)
前記第一の画像データの撮影時以前に、前記対象領域を撮影する第二の衛星によって撮影された一枚以上の各画像のデータを取得する処理と、
該一枚以上の画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する処理と、
前記ピクセル毎の前記晴天度β/αが予め定められた閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別するとともに、前記画像データ毎に全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出する処理と、
前記一枚以上の画像に対して該晴天ピクセル率の度数分布図を作成し、該画像の全ての数に対して、晴天ピクセル数の合計が定められた割合以上となる晴天ピクセル率の下限値を前記閾値Zとして決定する処理と、
をさらにコンピュータに行わせることを特徴とする、付記10に記載のプログラム。
(付記12)
衛星によって撮影された可視画像のデータを取得する処理と、
該画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する処理と、
前記ピクセル毎に対応する領域毎に、前記晴天度が予め定められた閾値以上である領域を晴天と判別する処理と、
をコンピュータに行わせることを特徴とする、プログラム。
(付記13)
衛星によって撮影された画像のデータを取得する処理と、
該画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する処理と、
該晴天度が予め定められた閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別する処理と、
前記画像データ毎に全ピクセル数に対する該晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出する処理と、
該晴天ピクセル率が予め定められた閾値Z以上であるときに、前記画像データを晴天と判別する処理と、
をコンピュータに行わせることを特徴とする、プログラム。
(付記14)
衛星によって撮影された画像のデータを取得する処理と、
該画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する処理と、
該晴天度が予め定められた閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別し、前記画像データ毎に全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出する処理と、
該晴天ピクセル率が予め定められた閾値Z以上であるときに、前記画像データを晴天と判別する処理と、
をコンピュータに行わせることを特徴とする、プログラム。
(付記15)
第一の衛星によって撮影された第一の画像データを取得するステップと、
該第一の画像を構成するピクセル毎に、該第一の画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記第一の画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出するステップと、
前記第一の画像に対応する領域内に含まれ、晴天判別が行われるべき対象領域に対応する晴天度に基づく値を算出し、該基づく値が予め定められた閾値X以上であるときに、前記対象領域を晴天と判別するステップと、
を備える、晴天判別方法。
(付記16)
前記第一の画像データの撮影時以前に、前記対象領域を撮影する第二の衛星によって撮影された一枚以上の各画像のデータを取得するステップと、
該一枚以上の画像について、各画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出するステップと、
前記一枚以上の画像を構成する全てのピクセルに対して該晴天度β/αの度数分布図を作成し、該全てのピクセルの数に対して、ピクセル数の合計が定められた割合以上となるβ/αの下限値を前記閾値Xとして決定するステップと、
をさらに備えることを特徴とする、付記15に記載の晴天判別方法。
(付記17)
前記第一の画像データに加えて、第二の衛星によって撮影された第二の画像のデータを取得するステップと、
該第二の画像を構成するピクセル毎に、該第二の画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記第二の画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出するステップと、
該晴天度が前記閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別し、前記第二の画像データ毎に全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出するステップと、
該晴天ピクセル率が予め定められた閾値Z以上であるときに、前記第二の画像データを晴天と判別するステップと、
をさらに備える、付記15に記載の晴天判別方法。
(付記18)
前記第一の画像データの撮影時以前に、前記対象領域を撮影する第二の衛星によって撮影された一枚以上の各画像のデータを取得するステップと、
該一枚以上の画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出するステップと、
前記ピクセル毎の前記晴天度β/αが予め定められた閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別するとともに、前記画像データ毎に全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出するステップと、
前記一枚以上の画像に対して該晴天ピクセル率の度数分布図を作成し、該画像の全ての数に対して、晴天ピクセル数の合計が定められた割合以上となる晴天ピクセル率の下限値を前記閾値Zとして決定するステップと、
さらに備えることを特徴とする、付記17に記載の晴天判別方法。
(付記19)
衛星によって撮影された可視画像のデータを取得するステップと、
該画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出するステップと、
前記ピクセル毎に対応する領域毎に、前記晴天度が予め定められた閾値以上である領域を晴天と判別するステップと、
を備える、晴天判別方法。
(付記20)
衛星によって撮影された画像のデータを取得するステップと、
該画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出するステップと、
該晴天度が予め定められた閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別するステップと、
前記画像データ毎に全ピクセル数に対する該晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出するステップと、
該晴天ピクセル率が予め定められた閾値Z以上であるときに、前記画像データを晴天と判別するステップと、
を備える、晴天判別方法。
(付記21)
衛星によって撮影された画像のデータを取得するステップと、
該画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出するステップと、
該晴天度が予め定められた閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別し、前記画像データ毎に全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出するステップと、
該晴天ピクセル率が予め定められた閾値Z以上であるときに、前記画像データを晴天と判別するステップと、
を備える、晴天判別方法。
【符号の説明】
【0095】
100 晴天判別装置
101 静止気象衛星シーンの晴天度算出処理機能
102 第一段階の晴天判別処理機能
103 極軌道衛星シーンの晴天度算出処理機能
104 第二段階の晴天判別処理機能
105 閾値決定処理機能
106 衛星データ取得機能
107 静止気象衛星データ
108 極軌道衛星データ
109 過去の極軌道衛星データ
110 晴天判別結果
601a、801a、1101a、1301a、1301a’ 雪氷域推定処理
601b、601b’、801b、1101b、1301b、1301b’ 日射量推定処理
601c、801c、1101c、1301c、1301c’ 晴天度算出処理
607 撮像時刻T0の衛星画像データ
607’ 撮像時刻T0
611、811、1111、1311、1311’ 推定日射量α
612、812、1112、1312、1312’ 推定日射量β
613、813、1113、1313、1313’ 晴天度β/α
814、1114 雪氷域
815、1119 ヒストグラム作成処理
816、1116、1316 閾値X
1117 晴天ピクセル率算出処理
1118、1318 晴天ピクセル率
1120、1320 閾値Z
1308a、1408a 極軌道衛星データの観測域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の衛星によって撮影された第一の画像データを取得する衛星データ取得手段と、
該第一の画像を構成するピクセル毎に、該第一の画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記第一の画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する第一の晴天度算出手段と、
前記第一の画像に対応する領域内に含まれ、晴天判別が行われるべき対象領域に対応する晴天度に基づく値を算出し、該基づく値が予め定められた閾値X以上であるときに、前記対象領域を晴天と判別する第一の晴天判別手段と、
を備える、晴天判別装置。
【請求項2】
前記第一の画像データの撮影時以前に、前記対象領域を撮影する第二の衛星によって撮影された一枚以上の各画像のデータを取得し、
該一枚以上の画像について、各画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出し、前記一枚以上の画像を構成する全てのピクセルに対して該晴天度β/αの度数分布図を作成し、該全てのピクセルの数に対して、ピクセル数の合計が定められた割合以上となるβ/αの下限値を前記閾値Xとして決定する、
閾値決定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の晴天判別装置。
【請求項3】
前記衛星データ取得手段が、前記第一の画像データに加えて、第二の衛星によって撮影された第二の画像のデータを取得するとともに、
該第二の画像を構成するピクセル毎に、該第二の画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記第二の画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出し、該晴天度が前記閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別し、前記第二の画像データ毎に全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出する、第二の晴天度算出手段と、
該晴天ピクセル率が予め定められた閾値Z以上であるときに、前記第二の画像データを晴天と判別する第二の晴天判別手段と、
をさらに備える、請求項1に記載の晴天判別装置。
【請求項4】
前記第一の画像データの撮影時以前に、前記対象領域を撮影する第二の衛星によって撮影された一枚以上の各画像のデータを取得し、
該一枚以上の画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出し、
前記ピクセル毎の前記晴天度β/αが予め定められた閾値X以上であるときに、前記ピクセルを晴天と判別するとともに、前記画像データ毎に全ピクセル数に対する晴天と判別されたピクセルの割合である晴天ピクセル率を算出し、
前記一枚以上の画像に対して該晴天ピクセル率の度数分布図を作成し、該画像の全ての数に対して、晴天ピクセル数の合計が定められた割合以上となる晴天ピクセル率の下限値を前記閾値Zとして決定する、
閾値決定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の晴天判別装置。
【請求項5】
第一の衛星によって撮影された第一の画像データを取得する処理と、
該第一の画像を構成するピクセル毎に、該第一の画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記第一の画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する処理と、
前記第一の画像に対応する領域内に含まれ、晴天判別が行われるべき対象領域に対応する複数の前記ピクセル毎の晴天度に基づく値を算出し、該基づく値が予め定められた閾値X以上であるときに、前記対象領域を晴天と判別する処理と、
をコンピュータに行わせることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
第一の衛星によって撮影された第一の画像データを取得するステップと、
該第一の画像を構成するピクセル毎に、該第一の画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記第一の画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出するステップと、
前記第一の画像に対応する領域内に含まれ、晴天判別が行われるべき対象領域に対応する複数の前記ピクセル毎の晴天度に基づく値を算出し、該基づく値が予め定められた閾値X以上であるときに、前記対象領域を晴天と判別するステップと、
を備える、晴天判別方法。
【請求項7】
衛星によって撮影された可視画像のデータを取得する衛星データ取得手段と、
該画像を構成するピクセル毎に、該画像に対応する領域を晴天と仮定した場合の推定日射量αを求めるとともに、前記画像データに基づいて実際の推定日射量βを求め、前記ピクセル毎にβ/αによって定義される晴天度を算出する晴天度算出手段と、
前記ピクセル毎に対応する領域毎に、前記晴天度が予め定められた閾値以上である領域を晴天と判別する晴天判別手段と、
を備える、晴天判別装置。

【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【公開番号】特開2010−230587(P2010−230587A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80359(P2009−80359)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)