説明

衛生バッグ製造装置、並びに、その制御装置および制御方法

【課題】装置のレイアウトおよび設計変更を容易にするとともに、高品質な衛生バッグを製造することができる衛生バッグ製造装置、並びに、その制御装置および制御方法を提供する。
【解決手段】複数の駆動部12は、制御装置1によって制御され、ワークの搬送および加工を繰り返し、衛生バッグを連続的に加工する。制御装置1は、複数の駆動部12によるワークの搬送および加工の繰り返し周期を示すタイミング信号を出力するタイミング信号出力手段4と、複数の駆動部12のそれぞれについて駆動パターンを示す駆動パターン信号を出力する駆動パターン信号出力手段8と、タイミング信号と駆動パターン信号とに基づいて複数の駆動部12を制御する制御手段10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の駆動部によって、ワークの搬送とワークの加工とを繰り返して衛生バッグを連続的に製造する衛生バッグ製造装置、並びに、その制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野や食品分野において、液体やゼリー状態の流動体が充填された衛生バッグが用いられていた。
衛生バッグは、例えば、半製品バッグ(ワーク)を搬送しながら、ワークにポートを挿入し、ワークに流動体を充填し、ワークをシールすることで製造される。
【0003】
このように半製品バッグから衛生バッグを製造する際、従来は、メカニカルカムにより駆動部を駆動させるとともに、アクチュエータについてはメインモータの回転数からエンコーダ信号によって制御していた。
【0004】
例えば、メインモータの駆動をベルトやシャフトのような機械的要素によって複数のメカニカルカムへ伝達し、各メカニカルカムと連結された駆動部をそれぞれ動かして衛生バッグを製造する。
このとき、複数の駆動部は、各駆動部と同期をとりながらメカニカルカムにより定められた駆動パターンに基づいて動く。また、アクチュエータはメインモータに取りつけたエンコーダによってメインモータの回転変位を変換して得るエンコーダ信号に基づいて各駆動部と同期をとりながら動かされる。
【0005】
ところで、上述したメカニカルカムを用いた動作の制御では、機械的要素を用いて各部材を連結して各駆動部と同期させているため、装置のレイアウトに制限がある。
また、メカニカルカムを用いて動作を行っているため、駆動パターンの変更を行う場合は、駆動パターンを定めるメカニカルカムの形状を変更し、且つ各駆動部と同期がとれるように装置全体の設計を変更しなければならず、その作業が煩雑であるという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1には、電気的に各駆動部を同期させる生産設備制御装置が提案されている。
特許文献1に開示される生産設備制御装置では、各動作を行う作業ステーションから搬送ライン制御部に出力される状態信号に応じ、ワークに対する所定の動作がそれぞれ終了したことが確認された時点で、搬送ラインの駆動部を作動させる駆動指令信号が出力され、ワークが次工程に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−266199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、医療分野や食品分野における衛生バッグは、衛生面や安全面から高品質な製品が要求されるので、複数の駆動部が正確に同期のタイミングを取りながら加工を行う必要がある。複数の駆動部が同期のタイミングを取り損ねると、例えばワークのシールが不十分となって菌や異物が混入したり、ワークに充填される流動体の充填量にバラツキが生じたりする場合がある。
【0009】
この点、特許文献1に記載された生産設備制御装置では、各作業ステーションから出力される状態信号による通信制御を用いてインターロック動作を行っているが、各動作を行う複数の駆動部の同期を確実に取ることが難しく、サイクル毎に動作のタイミングが異なる場合がある。
このため、特許文献1に記載された生産設備制御装置により衛生バッグ製造機を制御しても、十分な品質の衛生バッグを製造することは難しい。
【0010】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、装置のレイアウトおよび設計変更を容易にするとともに、高品質な衛生バッグを製造することができる衛生バッグ製造装置、並びに、その制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る衛生バッグ製造機の制御装置は、複数の駆動部によって、ワークの搬送と、前記ワークの加工とを繰り返して衛生バッグを連続的に製造する衛生バッグ製造機の制御装置であって、前記複数の駆動部による前記ワークの搬送および加工の繰り返し周期を示すタイミング信号を出力するタイミング信号出力手段と、前記複数の駆動部のそれぞれについて駆動パターンを示す駆動パターン信号を出力する駆動パターン信号出力手段と、前記タイミング信号と前記駆動パターン信号とに基づいて前記複数の駆動部を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記衛生バッグ製造機の制御装置では、タイミング信号出力手段によって複数の駆動部を互いに同期させ、タイミング信号に基づいて一定の周期で複数の駆動部を一括動作させることができる。
よって、複数の駆動部を正確に同期させながら駆動させることが可能となり、毎サイクル決まった駆動パターンによる動作を遅延無く繰り返すことができる。また、タイミング信号に基づいて複数の駆動部を同期することができるので、機械的なタイミングスイッチが不要となる。
これにより、衛生バッグの精度を向上させ、高品質な衛生バッグを製造することが可能となる。
【0013】
また、複数の駆動部の制御を制御手段によって一括して行っているので、ワークの加工を行う各作業機と通信して所定の作業がそれぞれ終了したことを確認する必要がなく、自己完結制御できる。
さらに、複数の駆動部を毎サイクルの決まったタイミングで駆動させることができ、駆動部の動作範囲外の位置になって装置が緊急停止しても、該当の駆動部を半速運転させて次の周期から通常速度で継続運転させることにより再起動が容易である。単に各駆動部を自動制御するのであれば、シーケンス制御を用いればよいが、シーケンス制御の場合、緊急停止後に同期を取りながら再起動することは難しい。これに対して、上記衛生バッグ製造機の制御装置では、緊急停止したとしても予め決められた原点に戻し、各駆動部間の同期をとることが可能である。
【0014】
また、駆動パターン信号出力手段によって出力される駆動パターン信号を変更することにより、複数の駆動部の駆動パターンを容易に変更することができる。
よって、各駆動部の駆動パターンを変更するために装置全体の設計を変更する必要がなく、駆動パターン変更に伴う装置の設計変更が容易になる。
【0015】
また、機械的要素を用いて各部材を連結していないので、レイアウト制限を緩和して容易に装置をレイアウトすることが可能であり、操作面と反操作面とに分けて保守メンテナンスをしやすいレイアウトにすることができる。さらに、ワークの加工を行う各作業機を独立して駆動することができ、個別調整しやすくなる。
【0016】
また、前記ワークの有無を示すワークデータを出力するワークデータ出力手段をさらに備え、前記駆動パターン信号出力手段は、前記ワークデータに基づいて前記ワークの加工に用いる前記駆動パターン信号のON信号もしくはOFF信号のいずれか一方を選択して前記制御手段に出力することが好ましい。
【0017】
これにより、ワークデータによってワークの存在が確認されたときは、駆動パターン信号としてON信号を選択し、選択されたON信号とタイミング信号とに基づいて複数の駆動部を制御することができる。一方、ワークの存在が確認されないときは、駆動パターン信号としてOFF信号を選択して駆動部を駆動させずに、無駄なワークの加工の実施を防ぐことができる。
【0018】
さらに、各加工を行う作業機のONおよびOFFの切り替えは、機械的なクラッチで切り替えるのではなく、駆動パターン信号のON信号およびOFF信号によって容易に行われる。また、各作業機のONおよびOFFの切り替えは、毎サイクルの同じタイミング(同一アドレス)で行うことができる。
【0019】
また、前記ワークの品質を判定する品質判定手段をさらに備え、前記駆動パターン信号出力手段は、前記品質判定手段により前記ワークの加工に用いる前記駆動パターン信号のON信号もしくはOFF信号のいずれか一方を選択して前記制御手段に出力することが好ましい。
【0020】
これにより、品質判定手段によりワークの品質が良であると判定されたときは、駆動パターン信号としてON信号を選択し、選択されたON信号とタイミング信号とに基づいて複数の駆動部を制御することができる。一方、ワークの品質が良でないと判定されたときは、駆動パターン信号としてOFF信号を選択して駆動部を駆動させずに、無駄なワークの加工の実施を防ぐことができる。
【0021】
本発明に係る衛生バッグ製造装置の制御方法は、複数の駆動部によって、ワークの搬送と、前記ワークの加工とを繰り返して衛生バッグを連続的に製造する衛生バッグ製造機の制御方法であって、前記複数の駆動部による前記ワークの搬送および加工の繰り返し周期を示すタイミング信号を出力する工程と、前記複数の駆動部のそれぞれについて駆動パターンを示す駆動パターン信号を出力する工程と、前記タイミング信号と前記駆動パターン信号とに基づいて前記複数の駆動部を制御する工程とを含むことを特徴とする。
【0022】
上記衛生バッグ製造機の制御方法では、タイミング信号を出力することによって複数の駆動部を互いに同期させ、タイミング信号に基づいて一定の周期で複数の駆動部を一括動作させることができる。
よって、複数の駆動部を正確に同期させながら駆動させることが可能となり、毎サイクル決まった駆動パターンによる動作を遅延無く繰り返すことができる。
これにより、衛生バッグの精度を向上させ、高品質な衛生バッグを製造することが可能となる。
【0023】
また、複数の駆動部の制御を一括して行っているので、ワークの加工を行う各作業機と通信して所定の作業がそれぞれ終了したことを確認する必要がなく、自己完結制御できる。
さらに、複数の駆動部を毎サイクルの決まったタイミングで駆動させることができ、装置が緊急停止しても再起動が容易である。
【0024】
また、駆動パターン信号を変更することにより、複数の駆動部の駆動パターンを容易に変更することができる。
よって、各駆動部の駆動パターンを変更するために装置全体の設計を変更する必要がなく、駆動パターン変更に伴う装置の設計変更が容易になる。
【0025】
また、機械的要素を用いて各部材を連結していないので、レイアウト制限を緩和して容易に装置をレイアウトすることが可能であり、操作面と反操作面とに分けて保守メンテナンスをしやすいレイアウトにすることができる。さらに、ワークの加工を行う各作業機を独立して駆動することができ、個別調整しやすくなる。
【0026】
また、前記ワークの有無を示すワークデータを出力する工程をさらに備え、前記ワークデータによって前記ワークの存在が確認されたときに前記駆動パターン信号のON信号を出力し、前記ワークデータによって前記ワークの存在が確認されなかったときに前記ワークの加工に用いる前記駆動パターン信号のOFF信号を出力することが好ましい。
これにより、無駄なワークの加工の実施を防ぐことができる。
【0027】
また、前記ワークの品質を判定する工程をさらに備え、前記ワークの品質が良であると判定されたときに前記駆動パターン信号のON信号を出力し、前記ワークの品質が良であると判定されなかったときに前記ワークの加工に用いる前記駆動パターン信号のOFF信号を出力することが好ましい。
これにより、無駄なワークの加工の実施を防ぐことができる。
【0028】
本発明に係る衛生バッグ製造装置は、複数の駆動部を有し、ワークの搬送と、前記ワークの加工とを繰り返して衛生バッグを連続的に加工する加工手段と、前記加工手段の前記ワークの搬送および加工の繰り返し周期を示すタイミング信号を出力するタイミング信号出力手段と、前記複数の駆動部のそれぞれについて駆動パターンを示す駆動パターン信号を出力する駆動パターン信号出力手段と、前記タイミング信号と前記駆動パターン信号とに基づいて前記複数の駆動部を制御する制御手段とを含むことを特徴とする。
【0029】
上記衛生バッグ製造装置では、タイミング信号出力手段によって複数の駆動部を互いに同期させ、タイミング信号に基づいて一定の周期で複数の駆動部を一括動作させることができる。
よって、複数の駆動部を正確に同期させながら駆動させることが可能となり、毎サイクル決まった駆動パターンによる動作を遅延無く繰り返すことができる。また、タイミング信号に基づいて複数の駆動部を同期することができるので、機械的なタイミングスイッチが不要となる。
これにより、衛生バッグの精度を向上させ、高品質な衛生バッグを製造することが可能となる。
【0030】
また、複数の駆動部の制御を制御手段によって一括して行っているので、ワークの加工を行う各加工手段と通信して所定の作業がそれぞれ終了したことを確認する必要がなく、自己完結制御できる。
さらに、複数の駆動部を毎サイクルの決まったタイミングで駆動させることができ、装置が緊急停止しても再起動が容易である。
【0031】
また、駆動パターン信号出力手段によって出力される駆動パターン信号を変更することにより、複数の駆動部の駆動パターンを容易に変更することができる。
よって、各駆動部の駆動パターンを変更するために装置全体の設計を変更する必要がなく、駆動パターン変更に伴う装置の設計変更が容易になる。
【0032】
また、機械的要素を用いて各部材を連結していないので、レイアウト制限を緩和して容易に装置をレイアウトすることが可能であり、操作面と反操作面とに分けて保守メンテナンスをしやすいレイアウトにすることができる。さらに、ワークの加工を行う各作業機を独立して駆動することができ、個別調整しやすくなる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、タイミング信号出力手段によって複数の駆動部を互いに同期させ、タイミング信号に基づいて一定の周期で複数の駆動部を一括動作させることができる。
よって、複数の駆動部を正確に同期させながら駆動させることが可能となり、毎サイクル決まった駆動パターンによる動作を遅延無く繰り返すことができる。また、タイミング信号に基づいて複数の駆動部を同期することができるので、機械的なタイミングスイッチが不要となる。
これにより、衛生バッグの精度を向上させ、高品質な衛生バッグを製造することが可能となる。
【0034】
また、駆動パターン信号出力手段によって出力される駆動パターン信号を変更することにより、複数の駆動部の駆動パターンを容易に変更することができる。
よって、各駆動部の駆動パターンを変更するために装置全体の設計を変更する必要がなく、駆動パターン変更に伴う装置の設計変更が容易になる。
さらに、機械的要素を用いて各部材を連結していないので、レイアウト制限を緩和して容易に装置をレイアウトすることが可能であり、操作面と反操作面とに分けて保守メンテナンスをしやすいレイアウトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態1に係る衛生バッグ製造機の制御装置の構成ブロック図である。
【図2】実施形態1に係るワークの搬送および加工のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図3】実施形態1に係る制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明による衛生バッグ製造機の一例を示す全体構成図である。
【図5】図4の衛生バッグ製造機を用いた衛生バッグ製造手順を示すフローチャートである。
【図6】図4におけるワークの搬送およびワークの主な加工のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】実施形態2に係る衛生バッグ製造機の制御装置の構成ブロック図である。
【図8】実施形態2に係るワークの搬送および加工のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図9】実施形態2に係る制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。
【0037】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る衛生バッグ製造機の制御装置の構成ブロック図である。図2は、実施形態1に係るワークの搬送および加工のタイミングを示すタイミングチャートである。図3は、実施形態1に係る制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0038】
図1に示す衛生バッグ製造機の制御装置1は、複数の駆動部12によって、ワークの搬送と、ワークの加工とを繰り返して衛生バッグを連続的に製造する衛生バッグ製造機の制御を行う。
【0039】
制御装置1は、主として、タイミング信号を出力するタイミング信号出力手段4と、複数の駆動部12のそれぞれについて駆動パターンを示す駆動パターン信号を出力する駆動パターン信号出力手段8と、タイミング信号と駆動パターン信号とに基づいて複数の駆動部12を制御する制御手段10とにより構成される。
さらに、制御装置1は、複数の駆動部12のそれぞれについて設定された駆動パターンを記憶する記憶部6と、記憶部6の設定データの変更やタイミング信号出力手段4のタイミング調整を行う操作部2とを備える。
【0040】
タイミング信号は、ワークの搬送および加工の繰り返し周期を示す信号であり、仮想的に駆動するメインモータの回転角(0°〜360°)を示す信号として生成される。この仮想モータの回転角を仮想モータ回転角とする。
具体的には、駆動パターンによる動作が毎サイクル同じタイミングで繰り返されるよう制御手段10を介して複数の駆動部12に一括して指令を送る信号である。このタイミング信号により、複数の駆動部12は一定の周期で各駆動部と同期しながら駆動することができる。
【0041】
ここでは、図2に示すように、例えばワーク搬送からワーク加工までを1サイクルとすると、タイミング信号は1サイクルに1回出力される。
なお、タイミング信号としては、オープンコレクタ出力信号や差動ラインドライバ出力信号を用いることができる。また、タイミング信号は、例えば0°〜360°までの単調増加を繰り返すノコギリ波であってもよいし、0°(360°)ごとに瞬間的に立ち上がる矩形波であってもよいし、0°〜360°を1周期として変化する正弦波あるいは三角波であってもよい。
【0042】
駆動パターン信号は、タイミング信号によって特定される仮想モータ回転角(0°〜360°)の1サイクル内で各駆動部をどのように駆動させるかを示す信号である。すなわち駆動パターン信号は、仮想モータ回転角と、そのときの駆動部の作動量を示す。
例えば、図2に示すように、ワークの搬送を行う駆動部とワークの加工を行う駆動部とでは、異なる駆動パターンを有している。駆動パターン信号はこれら駆動パターンに応じた搬送および加工といった動作を各駆動部に行わせるために出力される。
【0043】
制御手段10は、タイミング信号と駆動パターン信号とに基づいて駆動部12を制御するものであり、いわゆる電子カムに相当する。
【0044】
このようにして、複数の駆動部12を制御手段によって一括して制御しているので、ワークの加工を行う各作業機と通信して所定の作業がそれぞれ終了したことを確認する必要がなく、自己完結制御できる。
【0045】
次に、上述した実施形態1における制御装置1の制御手順について説明する。
制御装置1では、図3に示すように、運転を開始すると、まず操作部2からON信号が出力される(ステップ1)。操作部2からのON信号は、例えばオペレータが操作画面を操作することにより出力される。
【0046】
操作部2からON信号が出力されると、タイミング信号出力手段4からワークの搬送および加工の繰り返し周期を示すタイミング信号が制御手段10へ出力される(ステップ2)。
タイミング信号が出力されると、複数の駆動部12のそれぞれについて設定された駆動パターンのデータを記憶部6から読み込み(ステップ3)、駆動パターン信号出力手段8から駆動パターン信号が制御手段10へ出力される(ステップ4)。
なお、記憶部6に記憶された駆動パターンは、不図示のインターフェースを介してデータ入力してもよいし、オペレータが操作部2から入力してもよい。
【0047】
ステップ5では、制御手段10へ出力されたタイミング信号と駆動パターン信号とに基づいて制御手段10が複数の駆動部12に対して駆動指令を与える。
制御手段10によって駆動指令された駆動部12は、各駆動部と同期しながら駆動パターンによる動作を行う(ステップ6)。
【0048】
ステップ7では、操作部2からOFF信号が出力されたか否かを判断し、操作部2からOFF信号が出力されたときは運転を停止する。一方、操作部2からOFF信号が出力されないとき、すなわちON信号が引き続き出力されているときはステップ2へ戻り、上述した手順を繰り返す。
【0049】
なお、図3に示す制御装置1の制御手順は1サイクルごとに行われ、タイミング信号が1回出力されることによって図2に示すワーク搬送からワーク加工までを実施する。
これにより、複数の駆動部を正確に同期させながら駆動させることが可能となり、毎サイクル決まった駆動パターンによる動作を遅延無く繰り返すことができる。
よって、衛生バッグの精度を向上させ、高品質な衛生バッグを製造することが可能となる。
【0050】
次に、実施形態1の制御装置1を用いた衛生バッグ製造機30について、以下に説明する。
図4は、衛生バッグ製造機30の一例を示す全体構成図である。図5は、図4の衛生バッグ製造機30を用いた衛生バッグ製造手順を示すフローチャートである。図6は、図4におけるワークの搬送およびワークの主な加工のタイミングを示すタイミングチャートである。
【0051】
ここで述べる衛生バッグは、主に、医療分野や食品分野で用いられる衛生バッグであって、液体やゼリー状態の流動体が充填されたものをいう。
衛生バッグを製造する衛生バッグ製造機30は、図4に示すように、主に、ワーク供給部32と、開口移載部33と、ポート供給部34と、ポート予熱部35と、ポートシール部36と、ポート冷却部38と、受渡移載部40と、ポート付バッグ供給部42と、充填部44と、キャップ供給部45と、キャップ溶着部46と、本シール部47と、冷却部48と、排出部49とで構成される。
衛生バッグ製造機30を構成するこれらの作業部材は、駆動部12(図1参照)にそれぞれ連結され、制御装置1による駆動部12に対する制御に基づいてそれぞれ駆動する。
【0052】
このように、上述した制御装置を用いた衛生バッグ製造機は、機械的要素を用いて各部材を連結していないので、レイアウト制限を緩和して容易に装置をレイアウトすることが可能であり、操作面と反操作面とに分けて保守メンテナンスをしやすいレイアウトにすることができる。さらに、ワークの加工を行う各作業部材を独立して駆動することができ、個別調整しやすくなる。
【0053】
なお、操作面とは、図4でいうとワーク供給部32−開口移載部33−ポートシール部36から排出部49の移載もしくは加工される側を意味する。一方、反操作面とは、ポート予熱部35−ポート供給部34といったワーク加工面の反対側を意味する。
例えば、複数の駆動部を直列配置することで、操作面あるいは反操作面から駆動部への距離を短くでき、メンテナンスが容易になる。この場合、メンテナンスしやすい方面からメンテナンスをすればよい。
【0054】
衛生バッグ製造機30を用いた衛生バッグの製造手順では、図5に示すように、まずワーク供給部32によりワークが供給される(ステップ11)。ここでは、ワークとしてインフレーションフィルムによる半製品バッグが用いられる。
【0055】
ワークが供給されると、ステップ12でワークが移載される。
このとき、供給されるワークの品質に応じて、ワークの下流への移載とワークの系外排出とを選択してもよい。また、ワークの在庫状態に応じて、移載するワーク量を調節してもよい。
【0056】
ステップ13では、ワークの縦方向および横方向について位置決めが行われる。
その後、ワークは、開口移載部33によってポート(口栓)を挿入する側のワーク側端が開口され、下流のステーションへ移載される(ステップ14)。
【0057】
ステップ15では、ポート処理が行われる。
ポート処理は、図5に示すように、ポート供給部34によりポートが供給され(ステップ31)、ポート予熱部35により予めポートを熱する処理である。
なお、ポート供給部34では、ポートを搬送コンベアへ移載し、ポートを搬送する搬送治具へ装着されたかを検出する。さらに、ポート予熱部35では、ポート供給部34で検出されたポートに対してのみ予熱する。
【0058】
このようにしてポート処理されたポートは、ポートシール部36でワークへ挿入されてシールされる(ステップ16)。
ステップ17では、ポート冷却部38により、ポートの挿入およびシールが行われたワークを冷却する。このとき、ワークにポートが挿入されているか否かを判定する判定手段を設け、ポートが挿入されたワークに対してのみ冷却を行う構成としてもよい。
【0059】
ステップ18では、受渡移載部40によってワークがポート付バッグとして下流へ移載される。このとき、下流に位置するポート付バッグ供給部42へ移載する前にワークの品質を判定し、品質が良であると判定されたワークは移載待ちさせ、良でないと判定されたワークは系外へ排出してもよい。
ステップ19では、ポート付バッグ供給部42によりポート付バッグがワークとして供給され、供給されたワークを検出する。
【0060】
ステップ20では、流動体を充填する前にワーク内部を予め窒素置換する。この窒素置換は、衛生バッグに充填された流動体の酸化や腐敗を防止するために行われる。
なお、衛生バッグに充填する流動体は、液状やゼリー状など流動性を有するものであれば限定されない。
【0061】
ステップ21では、ワーク内部を脱気した後、充填部44により流動体をワーク内部へ充填する。
ステップ22では、流動体を充填したワーク内部を窒素置換し、キャップ供給部45で供給されたキャップを、キャップ溶着部46により溶着する。その後、本シール部47により、ワークを本シールする(ステップ23)。
このように、窒素置換および脱気をしてシールすることにより、流動体の品質劣化が生じにくい衛生バッグを製造することができる。
【0062】
本シールされたワークは、冷却部48で冷却される(ステップ24)。
その後、例えば輸液バッグのような吊り下げ用の穴を有する衛生バッグを製造する場合は、ワークを打ち抜いて吊り下げ用の穴を形成する。
【0063】
ステップ25では、製造された衛生バッグを排出部49により排出し、不図示の充填量計測部により衛生バッグに充填された流動体の充填量を計測し、不良品を除去する(ステップ26)。
このようにして、高品質な衛生バッグを製造することができる。
【0064】
なお、例えば充填、シール、キャップ溶着や冷却などの作業を行うステーションの前後に予備ステーション(不図示)を設けてもよい。これにより、全体の流れが律速になるような時間を要する工程を設ける場合は、予備ステーションを用いて同じワーク加工を行ってもよいし、ワークを待機させてもよい。
【0065】
また、衛生バッグ製造機30を構成する作業部材は、駆動部12(図1参照)に連結され、図6に示すような駆動パターンに基づいてそれぞれ同期しながら駆動する。複数の駆動部12を毎サイクル決まったタイミングで駆動させているので、例えば該当の駆動部の速度を調整し次のサイクルから通常速度で継続運転させることにより、衛生バッグ製造機30の途中停止や再起動が容易である。
【0066】
駆動部12は、サーボモータおよびシリンダなどにより構成され、それぞれ様々な駆動パターンを有する。例えば、図6に示すように、位置決めコンベヤ、供給スライダ、搬送コンベヤおよび開口移載は、サーボモータにより駆動する。一方、幅寄せガイド、吸盤昇降、受渡チャック、開口ユニット前後、開口ニップ開閉、開口吸盤昇降、開口幅寄、開口真空およびポートシールは、シリンダより駆動する。
【0067】
このようなサーボモータおよびシリンダの駆動パターンは、駆動パターン信号出力手段によって出力される駆動パターン信号を変更することにより容易に変更することができる。したがって、サーボモータおよびシリンダのような各駆動部の駆動パターンを変更するために装置全体の設計を変更する必要がなく、駆動パターン変更に伴う装置の設計変更が容易になる。
【0068】
[実施形態2]
次に、実施形態2に係る衛生バッグ製造機の制御装置について説明する。
図7は、実施形態2に係る衛生バッグ製造機の制御装置の構成ブロック図である。図8は、実施形態2に係るワークの搬送および加工のタイミングを示すタイミングチャートである。図9は、実施形態2に係る制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0069】
制御装置1は、タイミング信号を出力するタイミング信号出力手段4と、複数の駆動部12のそれぞれについて駆動パターンを示す駆動パターン信号を出力する駆動パターン信号出力手段8と、タイミング信号と駆動パターン信号とに基づいて複数の駆動部12を制御する制御手段10とにより構成される。
さらに、複数の駆動部12のそれぞれについて設定された駆動パターンを記憶する記憶部6と、記憶部6の設定データの変更やタイミング信号出力手段4のタイミング調整を行う操作部2とを備える。
また、実施形態1と異なる構成として、ワークデータ出力手段14と、品質判定手段16とを更に備える。
【0070】
ワークデータ出力手段14は、ワークの有無を示すワークデータを出力する手段である。
ワークデータによってワークの存在が確認されたときは、図8に示すように、ワーク搬送用の駆動部の駆動パターン信号をONにするとともに、ワーク加工用の駆動部の駆動パターン信号をONにする。
一方、ワークデータによってワークの存在が確認されないとき(図8の破線部分)は、ワーク搬送用の駆動部の駆動パターン信号をONにするとともに、ワーク加工用の駆動部の駆動パターン信号をOFFにする。これにより、各ステーションにワークが存在するときにのみ、ワーク加工を行うことができる。
【0071】
品質判定手段16は、ワークの品質を判定する手段である。
品質判定手段16によってワークの品質が良であると判定されたときは、上述したワークデータ出力手段と同様に、ワーク搬送用の駆動部の駆動パターン信号をONにするとともに、ワーク加工用の駆動部の駆動パターン信号をONにする。
一方、品質判定手段16によってワークの品質が良でないと判定されたときは、ワーク搬送用の駆動部の駆動パターン信号をONにするとともに、ワーク加工用の駆動部の駆動パターン信号をOFFにする。これにより、ワークの品質が良であると判定されるときにのみ、ワーク加工を行うことができる。
このように、ワークデータ出力手段14と、品質判定手段16とを備えることにより、無駄なワークの加工の実施を防ぐことができる。
【0072】
実施形態2の衛生バッグ製造機の制御装置1は、ワークデータ出力手段14と品質判定手段16とを設けた点を除けば実施形態1の衛生バッグ製造機の制御装置1と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0073】
次に、実施形態2における制御装置1の制御手順について説明する。なお、実施形態1と共通するステップについては詳細な説明を省略する。
実施形態2の制御装置1では、図9に示すように、運転を開始すると、まず操作部2からON信号が出力される(ステップ41)。
【0074】
操作部2からON信号が出力されると、タイミング信号出力手段4からワークの搬送および加工の繰り返し周期を示すタイミング信号が制御手段10へ出力される(ステップ42)。
タイミング信号が出力されると、複数の駆動部12のそれぞれについて設定された駆動パターンのデータを記憶部6から読み込む(ステップ43)
【0075】
ステップ44では、ワークデータ出力手段14によって出力されるワークデータに基づいて、ワークが有るか無いかを判断し、ワークが有ると判断されたときはステップ45へ進む。一方、ワークが無いと判断されたときはステップ42へ戻る。
【0076】
ステップ45では、品質判定手段16によってワークの品質が良であるか否かを判断し、品質が良であると判断されたときはステップ46へ進む。一方、ワークの品質が良でないと判断されたときはステップ42へ戻る。
【0077】
ワークが存在し、且つワークの品質が良であるときは、駆動パターン信号出力手段8から駆動パターン信号(ON信号)が制御手段10へ出力される(ステップ46)。
【0078】
ステップ47では、制御手段10へ出力されたタイミング信号と駆動パターン信号とに基づいて制御手段10が複数の駆動部12に対して駆動指令を与える。
制御手段10によって駆動指令された駆動部12は、各駆動部と同期しながら駆動パターンによる動作を行う(ステップ48)。
【0079】
ステップ49では、操作部2からOFF信号が出力されたか否かを判断し、操作部2からOFF信号が出力されたときは運転を停止する。一方、操作部2からOFF信号が出力されないとき、すなわちON信号が出力されているときはステップ42へ戻り、上述した手順を繰り返す。
【0080】
図9に示す制御装置1の制御手順は、実施形態1と同様に1サイクルごとに行われ、タイミング信号が1回出力されることによってワーク搬送からワーク加工までを実施する。
これにより、複数の駆動部を正確に同期させながら駆動させることが可能となり、毎サイクル決まった駆動パターンによる動作を遅延無く繰り返すことができる。
よって、衛生バッグの精度を向上させ、高品質な衛生バッグを製造することが可能となる。また、無駄なワークの加工の実施を防ぐことができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0082】
1 制御装置
2 操作部
4 タイミング信号出力手段
6 記憶部
8 駆動パターン信号出力手段
10 制御手段
12 駆動部
14 ワークデータ出力手段
16 品質判定手段
30 衛生バッグ製造機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動部によって、ワークの搬送と、前記ワークの加工とを繰り返して衛生バッグを連続的に製造する衛生バッグ製造機の制御装置であって、
前記複数の駆動部による前記ワークの搬送および加工の繰り返し周期を示すタイミング信号を出力するタイミング信号出力手段と、
前記複数の駆動部のそれぞれについて駆動パターンを示す駆動パターン信号を出力する駆動パターン信号出力手段と、
前記タイミング信号と前記駆動パターン信号とに基づいて前記複数の駆動部を制御する制御手段とを備えることを特徴とする衛生バッグ製造機の制御装置。
【請求項2】
前記ワークの有無を示すワークデータを出力するワークデータ出力手段をさらに備え、
前記駆動パターン信号出力手段は、前記ワークデータに基づいて前記ワークの加工に用いる前記駆動パターン信号のON信号もしくはOFF信号のいずれか一方を選択して前記制御手段に出力することを特徴とする請求項1記載の衛生バッグ製造機の制御装置。
【請求項3】
前記ワークの品質を判定する品質判定手段をさらに備え、
前記駆動パターン信号出力手段は、前記品質判定手段により前記ワークの加工に用いる前記駆動パターン信号のON信号もしくはOFF信号のいずれか一方を選択して前記制御手段に出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生バッグ製造機の制御装置。
【請求項4】
複数の駆動部によって、ワークの搬送と、前記ワークの加工とを繰り返して衛生バッグを連続的に製造する衛生バッグ製造機の制御方法であって、
前記複数の駆動部による前記ワークの搬送および加工の繰り返し周期を示すタイミング信号を出力する工程と、
前記複数の駆動部のそれぞれについて駆動パターンを示す駆動パターン信号を出力する工程と、
前記タイミング信号と前記駆動パターン信号とに基づいて前記複数の駆動部を制御する工程とを含むことを特徴とする衛生バッグ製造機の制御方法。
【請求項5】
前記ワークの有無を示すワークデータを出力する工程をさらに備え、
前記ワークデータによって前記ワークの存在が確認されたときに前記駆動パターン信号のON信号を出力し、前記ワークデータによって前記ワークの存在が確認されなかったときに前記ワークの加工に用いる前記ワークの加工における前記駆動パターン信号のOFF信号を出力することを特徴とする請求項4記載の衛生バッグ製造機の制御方法。
【請求項6】
前記ワークの品質を判定する工程をさらに備え、
前記ワークの品質が良であると判定されたときに前記駆動パターン信号のON信号を出力し、前記ワークの品質が良であると判定されなかったときに前記ワークの加工に用いる前記ワークの加工における前記駆動パターン信号のOFF信号を出力することを特徴とする請求項4又は5に記載の衛生バッグ製造機の制御方法。
【請求項7】
複数の駆動部を有し、ワークの搬送と、前記ワークの加工とを繰り返して衛生バッグを連続的に加工する加工手段と、
前記加工手段の前記ワークの搬送および加工の繰り返し周期を示すタイミング信号を出力するタイミング信号出力手段と、
前記複数の駆動部のそれぞれについて駆動パターンを示す駆動パターン信号を出力する駆動パターン信号出力手段と、
前記タイミング信号と前記駆動パターン信号とに基づいて前記複数の駆動部を制御する制御手段とを含むことを特徴とする衛生バッグ製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−51607(P2011−51607A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200578(P2009−200578)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)