説明

衛生洗浄装置

【課題】複数のバキュームブレーカ設けられた場合において小型化することができる、あるいは組立性を簡素化することができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【解決手段】給水手段から供給された水を加熱する加熱装置と、前記加熱装置で加熱された水を噴射する吐水手段と、前記給水手段から供給された水を前記加熱装置を介して前記吐水手段に供給する水路と、前記水路の給水手段から吐水手段に至るまでの間に配置された第一のバキュームブレーカおよび第二のバキュームブレーカと、を備え、前記第一のバキュームブレーカおよび第二のバキュームブレーカのそれぞれから排水された水は、前記第一のバキュームブレーカおよび第二のバキュームブレーカで共用の排水ガイドによって排出されることを特徴とする衛生洗浄装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の局部を洗浄するノズル144を有する衛生洗浄装置において、例えば特許文献1のように加熱装置125の上下流にバキュームブレーカ150a、150bを配置したものがある(図10参照)。
加熱装置は、例えば貯湯式のようにタンク内に水を貯め、タンク内のヒータによって洗浄水を加熱する物や、瞬間式のように洗浄水が加熱装置内を通過するときにヒータによって加熱する物がある。貯湯式、瞬間式共に空炊き防止として、例えばフロート装置等の空炊き防止装置が設けられている。しかし、万が一この空炊き防止装置が故障した場合、加熱装置内が空の状態であると、空炊きが生じてしまう。これを防止するために、加熱装置の上下流に、バキュームブレーカを配置し、加熱装置内に水を残している。
【0003】
また人体の局部を洗浄するノズルを有する衛生洗浄装置において、例えば特許文献2のように衛生の向上を目的として、菌の繁殖を防ぐ機能水を生成する電解槽を備えた衛生洗浄装置がある。
電解槽には近接した1組の電極が備えられており、この電極間に水を満たした状態で電極間に電流を通電することで電気分解が行われる。これにより、機能水が生成される。この電気分解を行う際、電極間に水が満たされていることが重要である。例えば、電極間に部分的に水が存在し、電極間の一部をつないだ状態で電流を流した場合、その水が存在する部分に集中的に電流が流れることになる。このように電極の一部に集中して電流が流れると電極表面にコーティングされた触媒層が急激に消費され性能を失い、再度通水した際に、正常な機能を発揮しなくなる。特許文献2に記載されるように電解槽を配置した場合、加熱装置直後のバキュームブレーカによって電解槽内の水が抜けてしまう。
【0004】
バキュームブレーカは、負圧を破壊するための吸気口を必要とする。また、この吸気口は、フロート弁のごみ噛み時の排水口ともなる。
フロート弁を介して給水手段から流れてくる水が排水口へ流れた場合、外部への漏水等が生じないように衛生洗浄装置の各ユニットを固定するケーシング本体に排水経路を設け、その経路に確実に排水されるようにチューブ等でガイドすることが一般的である。複数のバキュームブレーカを設けているものにおいては、この排水口も複数となり、それに応じて複数の排水経路及びガイドが必要となる。
【0005】
しかしながら、複数のバキュームブレーカを用いた衛生洗浄装置の水路構成においては、ケーシング本体の排水形状及びチューブ等のガイドが複雑になり、また複数のチューブ等のガイドが必要となるため、製品の小型化やコストの面で問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−223468号公報
【特許文献2】特開平8−93034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる課題の認識に基づいてなされたもので、複数のバキュームブレーカが設けられた場合において小型化することができる、あるいは組立性を簡素化することができる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の発明は、給水手段から供給された水を加熱する加熱装置と、前記加熱装置で加熱された水を噴射する吐水手段と、前記給水手段から供給された水を前記加熱装置を介して前記吐水手段に供給する水路と、前記水路の給水手段から吐水手段に至るまでの間に配置された第一のバキュームブレーカおよび第二のバキュームブレーカと、を備え、前記第一のバキュームブレーカおよび第二のバキュームブレーカのそれぞれから排水された水は、前記第一のバキュームブレーカおよび第二のバキュームブレーカで共用の排水ガイドによって排出されることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0009】
第一の発明によれば、二つのバキュームブレーカの各排水口から流れる水をケーシングの排水経路へ案内するための排水ガイドを共通化することで、ケーシングの排水経路が一つになり、ケーシングの形状が簡素化される。これにより、衛生洗浄装置の小型を図ることができる。また、衛生洗浄装置の組立性を簡素化することができる。
【0010】
第二の発明は、第一の発明において、前記水路に設けられ、前記水を電気分解する電解槽をさらに備え、前記第一のバキュームブレーカは、前記電解槽の上流側に配置され、前記第二のバキュームブレーカは、前記電解槽の下流側に配置されたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0011】
第二の発明によれば、電解槽の上流・下流にそれぞれ配置した2つのバキュームブレーカにより、電解槽の内部を常時満水にすることができるので、電解槽の電極間の局所部分に集中的に電流が流れることがなく、電極の機能低下を防ぐことができる。
【0012】
第三の発明は、第一または第二の発明において、前記第一のバキュームブレーカ及び第二のバキュームブレーカは、フロート弁と、前記フロート弁の台座が設けられた下ケースと、前記フロート弁のリフト量を一定の量で抑え、前記第一のバキュームブレーカと前記第二のバキュームブレーカとで共用化され一体成形された上ケースと、を有することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0013】
第三の発明によれば、第一のバキュームブレーカの上ケースと第二のバキュームブレーカの上ケースが一体成形されているため、第一、第二のバキュームブレーカの上ケースは共用化され一体になる。そのため、第一、第二のバキュームブレーカの組立工数が削減され、組立性がよくなる。また、二個のバキュームブレーカを必要とするものにおいて、各々ケーシングへの固定が必要となる。これに対して、第三の発明によれば、第一、第二のバキュームブレーカは一体となるため、一個のバキュームブレーカの固定と同様の固定でよくなる。これによりケーシングへの固定がより簡略化されることとなる。
【0014】
第四の発明は、第三の発明において、前記一体成形された上ケースは、前記第一のバキュームブレーカから排水された水を前記排水ガイドに導く第一の排水経路と、前記第二のバキュームブレーカから排水された水を前記排水ガイドに導く第二の排水経路と、前記第一および第二の排水経路を流れる水が前記排水ガイドに至るまで互いに合流しないように縁切りする壁と、を有することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0015】
通常第一、第二のバキュームブレーカが共有している排水ガイドに至るまで、接続をチューブ等の配管部材で接続する必要がある。これに対して、第四の発明のように、一体化された上ケースに、排水ガイド及び排水経路を設け、且つ各フロート弁を介して排水される供給水が排水口に至るまで合流しないように壁を設け、縁切り構造にすることで、チューブ等の配管部材が不要となり、よりケーシングへの組立等が簡略化され、製品の小型が可能となる。
【0016】
第五の発明は、第三の発明において、前記下ケースは、前記第一のバキュームブレーカと第二のバキュームブレーカとで共用化され一体成形されたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0017】
第五の発明によれば、前記第一、第二のバキュームブレーカの下ケースが一体となるため、部品点数が削減され、コスト削減につながる。
【0018】
第六の発明は、第三〜第五のいずれか1つの発明において、前記第一のバキュームブレーカの下ケースは、前記加熱装置と締結されたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0019】
第六の発明によれば、前記第一のバキュームブレーカの下ケースが前記加熱装置と一体であるため、前記加熱装置をケーシングに固定することで、前記第一、第二のバキュームブレーカも同様にケーシングに固定される。そのため、より製品の小型が可能となる。
なお、上記バキュームブレーカの下ケースと、加熱装置の締結はネジ等による締結であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数のバキュームブレーカが設けられた場合において小型化することができる、あるいは組立性を簡素化することができる衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置が備えられたトイレ装置の模式斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態にかかる衛生洗浄装置の水路構成を表すブロック図である。
【図3】電解槽ユニットの内部構成を表す分解斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施形態にかかる衛生洗浄装置のバキュームブレーカの模式断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態にかかる衛生洗浄装置のバキュームブレーカの模式断面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態にかかる衛生洗浄装置のバキュームブレーカの模式上面図である。
【図7】図6に表したA−Aでの模式断面図である。
【図8】図7に表した上ケースの模式上面図である。
【図9】本発明の第四の実施形態にかかる衛生洗浄装置のバキュームブレーカの模式断面図である。
【図10】従来実施されている衛生洗浄装置の水路構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置11が備えられたトイレ装置の模式斜視図である。
このトイレ装置は、便器10と、その上に設置された衛生洗浄装置11と、を備える。衛生洗浄装置11は、ケーシング12と、ケーシング12に開閉可能に軸支された便座13および便ふた14と、を有する。使用者は便座13の上に腰掛け、局部洗浄の際にはケーシング12に内蔵されたノズル(吐水手段)44が伸出し、ノズル44から吐水された水で局部を洗浄する。
【0023】
図2は、本発明の第一の実施形態にかかる衛生洗浄装置の水路構成を表すブロック図である。
図2に示したように、衛生洗浄装置11の内部は、水道や貯水タンクなどの給水源20に接続され、ノズル44に至る流路(水路)21を有する。給水源20の下流には、バルブ(給水手段)23が設けられる。バルブ23は、流路開閉機構をもつ。バルブ23の下流には、熱交換ユニット25が設けられている。給水源20から給水された水は、熱交換ユニット25へと入り、熱交換ユニット25は、その水をヒータで加熱し、所定温度の温水にする。なお本明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0024】
熱交換ユニット25の下流には、電解槽ユニット30が設けられる。そして、電解槽ユニット30の上流側に逆流防止手段としてバキュームブレーカ50a(第一のバキュームブレーカ)が設けられ、下流側に大気開放手段としてバキュームブレーカ50b(第二のバキュームブレーカ)が設けられる。バキュームブレーカ50bの下流には流路調整弁42が設けられ、流路調整弁42は、ノズル44と洗浄室46とへ水路を分岐する。洗浄室46は、ノズル44の出入り口部に設けられており、ノズル44の伸出、後退時に図示しない吐水口からノズル44の胴体(表面)へ向けて洗浄水を噴出する。これにより、ノズル44の胴体に付着した汚物を洗い落とすことが可能となる。
【0025】
バキュームブレーカ50a、50bは、下流から上流への逆流を防止する役割を持つ。バキュームブレーカ50a、50bは、逆流防止のための吸気口を必要とする。なおこの吸気口は、バキュームブレーカ50a、50bのフロート弁(図4および図5参照)のごみ噛み時に給水源20からフロート弁を介して流れてくる水を排水させるための排水口ともなる。各バキュームブレーカ50a、50bよりそれぞれ排水される水は、外部への漏水および製品内の電気部品に被水することなく便器10内へ排水される必要がある。このため、ケーシング12に排水経路を設け、バキュームブレーカ50a、50bから流出する水がその排水経路に必ず排水されるようにチューブ等のガイドが設けられている。これにより、バキュームブレーカ50a、50bから流出する水は、この排水経路を伝って排水される。
【0026】
通常、複数のバキュームブレーカを設けた衛生洗浄装置においては、この排水経路及びガイドをバキュームブレーカの数に応じて複数設けていた。これに対して、本実施形態においては、図2に示すように、バキュームブレーカ50a、50bからの排水側の経路をこの排水経路に至るまでに合流させることでケーシング12の排水経路が一つとなる。これについては、後に詳述する。
【0027】
図3は、電解槽ユニット30の内部構成を示す分解斜視図である。
電解槽ユニット30は、ケース34の内部に一対の電極32a、32bを有する。水と接触する電極32a、32bの表面には、触媒層がコーティングされている。水は入水口36から給水され、電極32a、32bの間に電流を流すことで水の電気分解を行う。これにより、例えば塩化物イオンを含んだ水は、次亜塩素酸などを含んだ機能水へと変換され、出水口38から出水される。電解槽ユニット30の入水口36と出水口38とは、ケース34を挟んだ対角上に下から上へと配置されていることが望ましい。
【0028】
図4は、本発明の第一の実施形態にかかる衛生洗浄装置のバキュームブレーカ50a、50bの模式断面図である。
バキュームブレーカ50a、50bは、それぞれ、下ケース56a、56bと、上ケース51a、51bと、フロート弁52a、52bと、を有する。
【0029】
下ケース56a、56bには、フロート弁52a、52bの台座57a、57bと、入水口53a、53bと、出水口54a、54bと、が設けられている。熱交換ユニット25から流れてきた水は、入水口53aからバキュームブレーカ50aの内部に入り込み、台座57aを抜けて出水口54aから電解槽ユニット30に向かって出水される。電解槽ユニット30から流れてきた水または機能水は、入水口53bからバキュームブレーカ50bの内部に入り込み、台座57bを抜けて出水口54bからノズル44に向けて出水される。
【0030】
上ケース51a、51bには、それぞれ、吸気が可能な排水口55a、55bが設けられている。入水口53a、53bから水が供給されると、フロート弁52a、52bがリフトし排水口55a、55bを塞ぐ。この場合には、水は出水口54a、54bに流れる。一方、入水口53a、53bからの水の流れが止まると、フロート弁52a、52bが台座57a、57bに落ちて、排水口55a、55bからバキュームブレーカの内部にエアが吸気される。
【0031】
これにより、入水口53a、53bからの入水が止まると、バキュームブレーカ50a、50bの内部にエアが入り込んで、2つのバキュームブレーカ50a、50bの間にある電解槽ユニット30に水が残った状態となる。つまり、電解槽ユニット30の内部に常時満水にすることができる。そのため、電解槽ユニット30の電極32a、32bの局所的な部分に集中的に電流が流れることを防止することでき、電極32a、32bの機能低下を防ぐことができる。なお、バキュームブレーカ50bよりも下流側の水はノズル44から抜ける。
【0032】
また、この各排水口55a、55bから排水される水がケーシング12に設けられている排水経路を共用できるように、水の流入側が二股に分かれる排水口合流部材(排水ガイド)70が設けられている。また、各排水口55a、55bが排水口合流部材70の流入口71、72にそれぞれ接続されるように、チューブ等の配管部材60、80が排水口55a、55bと流入口71、72との間にそれぞれ接続されている。
【0033】
本実施形態によれば、排水口55a、55bから排水される水は、ケーシング12に設けられた排水経路に至る前に排水口合流部材70により合流される。そのため、ケーシング12に設けられる排水経路を共用し、一つの経路として形成することができる。これにより、衛生洗浄装置11の小型化を図ることができる。
【0034】
図5は、本発明の第二の実施形態にかかる衛生洗浄装置のバキュームブレーカ50a、50bの模式断面図である。
通常、バキュームブレーカ50a、50bは、フロート弁52a、52bの台座となる下ケース56a、56bと、フロート弁52a、52bのリフト量をある一定に位置で抑える上ケース51a、51bと、を有する。これに対して、この上ケース51a、52bを図5の上ケース51cのように一体成形にすることで、バキュームブレーカ50a、50bは一体となる。通常、複数個のバキュームブレーカを有する場合、各バキュームブレーカは、ケーシング12へ固定される。これに対して、本実施形態によれば、上ケース51cを一体で成形することにより、2個のバキュームブレーカが一体化される。そのため、1個のバキュームブレーカを固定する場合と同様となり、ケーシング12への固定を簡素化することが可能となる。つまり、バキュームブレーカ50a、50bのケーシング12への組立性を簡素化することができる。
【0035】
図6は、本発明の第三の実施形態にかかる衛生洗浄装置のバキュームブレーカ50a、50bの模式上面図である。
また、図7は、図6に表したA−A部での模式断面図を示す。
また、図8は、図7に表した上ケース51dの模式上面図を示す。
なお、図8は、ふさぎふた58を取り除いた状態の上ケース51dの上面模式図である。
【0036】
本実施形態では、図8で示すように、2つのバキュームブレーカ50a、50bの上ケース51dは、一体成形され、バキュームブレーカ50aとバキュームブレーカ50bとで共用化されている。上ケース51dには、各フロート弁52a、52bを介して流れる水が排水口73に向かうように水路が設けられている。さらに、上ケース51dは、その各水路の外周に沿ってふさぎふた58で塞がれている。
【0037】
2つの排水口55a、55bとを繋ぐ水路の途中には、排水口73が形成されている。この排水口73は、2つの排水口55a、55bとを繋ぐ水路を分断するように、より具体的には、水路の底面を分断するように形成されている。そして、排水口55aと排水口73とを繋ぐ水路部分59a(第一の排水経路)と、排水口55bと排水口73とを繋ぐ水路部分59b(第二の排水経路)と、は壁74で仕切られている。このようにすることで、2つのバキュームブレーカ50a、50bのうちの一方のバキュームブレーカから排出された水は、他方のバキュームブレーカに流れ込むことなく、確実に排水口73から排出される。そして、排水口73から排出された水は、排水口合流部材70(図4および図5参照)へ導かれる。
【0038】
一方のバキュームブレーカから排出された水が、他方のバキュームブレーカに流れ込んでしまうと、熱交換ユニット25で加熱された水が、ノズル44に向かう流路系外に一旦抜けて水温が低下するおそれがある。そして、その水が再び流路に戻ることになるので、局部洗浄の際の水温が不安定に変化するおそれがある。また、一方のバキュームブレーカから排出された水が、他方のバキュームブレーカに流れ込んでしまうと、給水源20から供給された水が電解槽ユニット30を通過せずにノズル44などから吐水されるおそれがある。そのため、機能水を生成すべきタイミングにおいて機能水が生成されないおそれがある。これに対して、本実施形態によれば、バキュームブレーカから漏れ出た水を確実に排水口73から排出することで、局部洗浄の際の水温を安定させることができる。また、機能水を適切なタイミングで生成することができる。
【0039】
図9は、本発明の第四の実施形態にかかる衛生洗浄装置のバキュームブレーカ50a、50bの模式断面図である。
本実施形態では、図9に表したように、バキュームブレーカ50a、50bの下ケース56cは、一体成形され、バキュームブレーカ50aとバキュームブレーカ50bとで共用化されている。このように、図7に示すバキュームブレーカの下ケース56a、56bを図9に示す下ケース56cのように一体にすることで、さらに部品点数を削減することが可能となる。これにより、衛生洗浄装置11の小型化を図ることができる。また、バキュームブレーカ50a、50bの組立性の簡素化を図ることができる。
【0040】
また第一から第四に示す実施形態のいずれにおいても、熱交換ユニット25直後にある第一のバキュームブレーカ50aの下ケース56a、56cを熱交換ユニット25と結合可能とすることで、第五の発明が実現可能となる。バキュームブレーカ50aの下ケース56a、56cと熱交換ユニット25との結合はネジによる締結であってもよい。
また、上記の実施形態では、バキュームブレーカ50a、50bを電解槽ユニット30の上流および下流にそれぞれ配置した例について説明したが、熱交換ユニット25の上流および下流にバキュームブレーカ50a、50bをそれぞれ配置してもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、給水源20からノズル44に至る流路21に、バキュームブレーカ50a、50bが設けられている。また、バキュームブレーカ50a、50bの排水口55a、55bから排水される水は、ケーシング12に設けられた排水経路に至る前に合流される。そのため、ケーシング12に設けられる排水経路を共用し、一つの経路として形成することができる。これにより、衛生洗浄装置11の小型化および組立性の簡素化を図ることができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置11などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などやバキュームブレーカ50a、50bや電解槽ユニット30や熱交換ユニット25の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0043】
10…便器、 11…衛生洗浄装置、 12…ケーシング、 13…便座、 14…便ふた、 20…給水源、 21…流路、 23…バルブ、 25…熱交換ユニット、 30…電解槽ユニット、 32a…電極、 32b…電極、 34…ケース、 36…入水口、 38…出水口、 42…流路調整弁、 44…ノズル、 46…洗浄室、 50a…第一のバキュームブレーカ、 50b…第二のバキュームブレーカ、 51a…上ケース、 51d…上ケース、 52a…フロート弁、 52b…フロート弁、 53a…入水口、 53b…入水口、 54a…出水口、 54b…出水口、 55a…排水口、 55b…排水口、 56c…下ケース、 57a…台座、 57b…台座、 58…ふさぎふた、 60…配管部材、 70…排水口合流部材、 71…流入口、 73…排水口、 74…壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水手段から供給された水を加熱する加熱装置と、
前記加熱装置で加熱された水を噴射する吐水手段と、
前記給水手段から供給された水を前記加熱装置を介して前記吐水手段に供給する水路と、
前記水路の給水手段から吐水手段に至るまでの間に配置された第一のバキュームブレーカおよび第二のバキュームブレーカと、
を備え、
前記第一のバキュームブレーカおよび第二のバキュームブレーカのそれぞれから排水された水は、前記第一のバキュームブレーカおよび第二のバキュームブレーカで共用の排水ガイドによって排出されることを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記水路に設けられ、前記水を電気分解する電解槽をさらに備え、
前記第一のバキュームブレーカは、前記電解槽の上流側に配置され、前記第二のバキュームブレーカは、前記電解槽の下流側に配置されたことを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記第一のバキュームブレーカ及び第二のバキュームブレーカは、
フロート弁と、
前記フロート弁の台座が設けられた下ケースと、
前記フロート弁のリフト量を一定の量で抑え、前記第一のバキュームブレーカと前記第二のバキュームブレーカとで共用化され一体成形された上ケースと、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記一体成形された上ケースは、
前記第一のバキュームブレーカから排水された水を前記排水ガイドに導く第一の排水経路と、
前記第二のバキュームブレーカから排水された水を前記排水ガイドに導く第二の排水経路と、
前記第一および第二の排水経路を流れる水が前記排水ガイドに至るまで互いに合流しないように縁切りする壁と、
を有することを特徴とする請求項3記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記下ケースは、前記第一のバキュームブレーカと第二のバキュームブレーカとで共用化され一体成形されたことを特徴とする請求項3記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記第一のバキュームブレーカの下ケースは、
前記加熱装置と締結されたことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−208432(P2011−208432A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77307(P2010−77307)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】