衣服
本発明は、特にジョギング、スケーティング、スキー等のスポーツ活動において使用される、膝外側の領域にクッションを備えた衣服に関する。この場合、前記クッション（１）が複数のひだ（４）によって形成されており、これらのひだ（４）が、皮膚（３）に面した側で互いに隣接し合って配置され、かつ衣服の長手方向軸線に対してほぼ直角に整列されており、前記ひだ（４）が互いに分離されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えばジョギング、スケーティング、スキー等のスポーツ活動において使用される、膝外側の領域にクッションを備えた衣服（スポーツウエア）に関する。
【０００２】
衣服は、人を保護するために、特に天候の影響に対して保護するために用いられる。また、所定の条件下、例えばスポーツ活動において、衣服は怪我に対して保護するために用いられる。さらに衣服は、特に低い外気温度において、身体を冷やさないようにするために撥水性及び防風性を有していなければならない。
【０００３】
衣服が平穏状態で着られる場合は、その機能性はいつでも保証される。しかしながら、特にスポーツ活動時の運動によって、衣服は伸張及び収縮し、それによって平穏状態において与えられた機能性が損なわれることがある。特に、曲げた時に衣服の外側が伸張し、これによって使用された材料の厚味が小さくなるような、関節領域において、平穏状態において保証された保護機能はもはや得られない。
【０００４】
このような欠点を避けるために、関節の外側にクッションを設ける（例えばドイツ連邦共和国実用新案登録第８１０４６５３号明細書）ことが公知である。クッションは、材料の厚味を増すので、関節が曲げられた時に、クッションが設けられていない場合より厚い材料が、関節の外側に存在することになる。これによって遮断特性は改善されるが、関節が曲げられると、使用されたクッションも伸ばされるので、伸びた箇所においても材料が減少し、それによって平穏状態において良好な遮断特性は低減される。
【０００５】
そこで本発明の課題は、関節が曲げられた時に関節の外側領域においても、関節が伸びた状態におけるのと同様の良好な遮断特性を有するような、特にスポーツ活動において使用される衣服を提供することである。この課題を解決した本発明によれば、クッションが複数のひだによって形成されており、これらのひだが、皮膚に面した側に互いに隣接し合って配置され、かつ衣服の長手方向軸線に対してほぼ直角に整列されており、前記ひだが互いに分離されていることによって解決された。
【０００６】
本発明によれば、関節外側の領域において、関節が曲げられた時に関節の伸びた位置におけるのと同じ程度の良好な遮断特性を有する、スポーツ活動時に使用される衣服が提供された。これは特に、複数のひだが互いに分離されていて、それによって関節が曲げられることによって、外側材料が伸びるだけであり、複数のひだはその材料厚さを維持することができるので、衣服の外側と皮膚との間の間隔が不変に維持されることによって得られる。これによって、曲げられた関節に外部から作用する天候の影響は、皮膚から遮断されるので、不快な冷たい感覚が皮膚に感じられることはない。
【０００７】
本発明の実施態様によれば、複数のひだが互いに接続されずに配置されている。これによって、関節が曲げられた時に各ひだは互いに独立してその位置を変えることができるので、ひだの運動が互いに及ぼす影響は、隣接し合うひだによって阻止される。これによって、著しくフレキシブルな、しかも高価値の遮断が得られる。
【０００８】
有利な形式で、ひだはループ（環）状に構成されている。ひだをループ状に構成したことによって、ループの内室と、衣服の外側との間に空気室が形成される。ループ及び、これらのループ内に形成されたエアクッションが隣同士に配置されたことによって、関節が曲げられた時も変わることのない、非常に良好な遮断特性が得られる。
【０００９】
本発明のその他の変化実施例及び実施態様は従属請求項に記載されている。本発明の実施例が以下に図面を用いて詳しく説明されている。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】曲げられていない状態の膝関節の領域におけるクッションの部分的な概略図である。
【図２】膝関節の折り曲げられた状態における、図１に示したクッションの部分的な概略図である。
【００１１】
本発明による衣服は、例えば膝領域について説明されている。膝関節２の領域にクッション１が設けられている。このクッション１は、膝関節２の関節外側２１、つまり膝頭の前、従って膝の裏側のくぼみとは反対側に配置されている。その他の関節、例えば肘関節において、本発明によるクッションは、肘の内側とは反対側に配置されており、同様に例えば肩の領域では腋の下とは反対側に配置され、また指関節においては手のひら／指の内側とは反対側に配置されている。これらの側は、本発明においてすべて関節外側である。
【００１２】
クッション１は、衣服を付けている人の皮膚３に接している。クッション１はひだ４より形成されており、これらのひだ４は、その他の衣服を形成する外側材料５（一般的に繊維材料である）に縫いつけられているか若しくは編みつけられている。これらのひだ４は、同様に繊維材料より成っている。ひだ４は、皮膚３に面した側で外側材料５に配置されている。互いに隣接する複数のひだ４が設けられており、これらのひだは、衣服の長手方向軸線に対してほぼ直角に、つまり図示の実施例では足の縦軸線に対して直角に、ひいてはほぼ水平に整列されている。ひだ４は、それぞれ２つの壁部４１と、これらの壁部４１を接続する１つのベース部４２とを有しており、このベース部４２で以て、ひだ４は皮膚３に載っている。従ってひだ４は、狭い条片状（細長い筋状）の複数の部分だけで皮膚３に接触しており、それによって装着快適性が高められる。ひだ４はループ状に構成されていて、それによって壁部４１とベース４２と外側材料５との間にそれぞれ、周囲空気で満たされた複数の室６が形成される。これによってエアクッションが形成されている。
【００１３】
ひだ４は互いに分離されている。ひだ４の分離とは、ひだ４が互いに隣接し合っていて、膝の伸びた状態（図１）では互いに接触するように配置されているが、互いに接続されていないので、関節が曲げられて外側材料５が伸びても、ひだ４は伸びない（図２参照）。むしろ、外側材料５が伸びると、複数のひだ４がずれることによって、隣接し合うひだ４間にそれぞれ１つのギャップ７が形成される。図１と図２とを比較すると、関節を曲げた状態でも外側材料５と皮膚３との間隔が同じであることが明らかである。従って、複数の室６によって形成されたエアクッションは、関節を曲げた状態でも維持される。隣接し合うひだ４間にギャップ７が形成されていることによって、関節を曲げた状態で外側材料５が皮膚３に当たらないようになっている。これによって、複数のひだ４間にエアクッションが得られ、ひいては、皮膚に周囲空気が直接作用し、ひいては関節が冷やされることは避けられる。
【００１４】
本発明によるクッションは、特にスポーツ活動のための衣服に適しているが、スポーツ活動だけに限定されるものではない。本発明によるクッションは、冷たい環境において又は強い気流を受けるようなスポーツにおいて特に有利に使用される。このようなスポーツは特に、例えばスキー、スノーボード又はスケートであるが、例えば低い温度においても実施され、しかも気流が関節に作用するような自転車走行においても、本発明によるクッションは関節を冷やさないように保護することができる。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えばジョギング、スケーティング、スキー等のスポーツ活動において使用される、膝外側の領域にクッションを備えた衣服（スポーツウエア）に関する。
【０００２】
衣服は、人を保護するために、特に天候の影響に対して保護するために用いられる。また、所定の条件下、例えばスポーツ活動において、衣服は怪我に対して保護するために用いられる。さらに衣服は、特に低い外気温度において、身体を冷やさないようにするために撥水性及び防風性を有していなければならない。
【０００３】
衣服が平穏状態で着られる場合は、その機能性はいつでも保証される。しかしながら、特にスポーツ活動時の運動によって、衣服は伸張及び収縮し、それによって平穏状態において与えられた機能性が損なわれることがある。特に、曲げた時に衣服の外側が伸張し、これによって使用された材料の厚味が小さくなるような、関節領域において、平穏状態において保証された保護機能はもはや得られない。
【０００４】
このような欠点を避けるために、関節の外側にクッションを設ける（例えばドイツ連邦共和国実用新案登録第８１０４６５３号明細書）ことが公知である。クッションは、材料の厚味を増すので、関節が曲げられた時に、クッションが設けられていない場合より厚い材料が、関節の外側に存在することになる。これによって遮断特性は改善されるが、関節が曲げられると、使用されたクッションも伸ばされるので、伸びた箇所においても材料が減少し、それによって平穏状態において良好な遮断特性は低減される。
【０００５】
そこで本発明の課題は、関節が曲げられた時に関節の外側領域においても、関節が伸びた状態におけるのと同様の良好な遮断特性を有するような、特にスポーツ活動において使用される衣服を提供することである。この課題を解決した本発明によれば、クッションが複数のひだによって形成されており、これらのひだが、皮膚に面した側に互いに隣接し合って配置され、かつ衣服の長手方向軸線に対してほぼ直角に整列されており、前記ひだが互いに分離されていることによって解決された。
【０００６】
本発明によれば、関節外側の領域において、関節が曲げられた時に関節の伸びた位置におけるのと同じ程度の良好な遮断特性を有する、スポーツ活動時に使用される衣服が提供された。これは特に、複数のひだが互いに分離されていて、それによって関節が曲げられることによって、外側材料が伸びるだけであり、複数のひだはその材料厚さを維持することができるので、衣服の外側と皮膚との間の間隔が不変に維持されることによって得られる。これによって、曲げられた関節に外部から作用する天候の影響は、皮膚から遮断されるので、不快な冷たい感覚が皮膚に感じられることはない。
【０００７】
本発明の実施態様によれば、複数のひだが互いに接続されずに配置されている。これによって、関節が曲げられた時に各ひだは互いに独立してその位置を変えることができるので、ひだの運動が互いに及ぼす影響は、隣接し合うひだによって阻止される。これによって、著しくフレキシブルな、しかも高価値の遮断が得られる。
【０００８】
有利な形式で、ひだはループ（環）状に構成されている。ひだをループ状に構成したことによって、ループの内室と、衣服の外側との間に空気室が形成される。ループ及び、これらのループ内に形成されたエアクッションが隣同士に配置されたことによって、関節が曲げられた時も変わることのない、非常に良好な遮断特性が得られる。
【０００９】
本発明のその他の変化実施例及び実施態様は従属請求項に記載されている。本発明の実施例が以下に図面を用いて詳しく説明されている。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】曲げられていない状態の膝関節の領域におけるクッションの部分的な概略図である。
【図２】膝関節の折り曲げられた状態における、図１に示したクッションの部分的な概略図である。
【００１１】
本発明による衣服は、例えば膝領域について説明されている。膝関節２の領域にクッション１が設けられている。このクッション１は、膝関節２の関節外側２１、つまり膝頭の前、従って膝の裏側のくぼみとは反対側に配置されている。その他の関節、例えば肘関節において、本発明によるクッションは、肘の内側とは反対側に配置されており、同様に例えば肩の領域では腋の下とは反対側に配置され、また指関節においては手のひら／指の内側とは反対側に配置されている。これらの側は、本発明においてすべて関節外側である。
【００１２】
クッション１は、衣服を付けている人の皮膚３に接している。クッション１はひだ４より形成されており、これらのひだ４は、その他の衣服を形成する外側材料５（一般的に繊維材料である）に縫いつけられているか若しくは編みつけられている。これらのひだ４は、同様に繊維材料より成っている。ひだ４は、皮膚３に面した側で外側材料５に配置されている。互いに隣接する複数のひだ４が設けられており、これらのひだは、衣服の長手方向軸線に対してほぼ直角に、つまり図示の実施例では足の縦軸線に対して直角に、ひいてはほぼ水平に整列されている。ひだ４は、それぞれ２つの壁部４１と、これらの壁部４１を接続する１つのベース部４２とを有しており、このベース部４２で以て、ひだ４は皮膚３に載っている。従ってひだ４は、狭い条片状（細長い筋状）の複数の部分だけで皮膚３に接触しており、それによって装着快適性が高められる。ひだ４はループ状に構成されていて、それによって壁部４１とベース４２と外側材料５との間にそれぞれ、周囲空気で満たされた複数の室６が形成される。これによってエアクッションが形成されている。
【００１３】
ひだ４は互いに分離されている。ひだ４の分離とは、ひだ４が互いに隣接し合っていて、膝の伸びた状態（図１）では互いに接触するように配置されているが、互いに接続されていないので、関節が曲げられて外側材料５が伸びても、ひだ４は伸びない（図２参照）。むしろ、外側材料５が伸びると、複数のひだ４がずれることによって、隣接し合うひだ４間にそれぞれ１つのギャップ７が形成される。図１と図２とを比較すると、関節を曲げた状態でも外側材料５と皮膚３との間隔が同じであることが明らかである。従って、複数の室６によって形成されたエアクッションは、関節を曲げた状態でも維持される。隣接し合うひだ４間にギャップ７が形成されていることによって、関節を曲げた状態で外側材料５が皮膚３に当たらないようになっている。これによって、複数のひだ４間にエアクッションが得られ、ひいては、皮膚に周囲空気が直接作用し、ひいては関節が冷やされることは避けられる。
【００１４】
本発明によるクッションは、特にスポーツ活動のための衣服に適しているが、スポーツ活動だけに限定されるものではない。本発明によるクッションは、冷たい環境において又は強い気流を受けるようなスポーツにおいて特に有利に使用される。このようなスポーツは特に、例えばスキー、スノーボード又はスケートであるが、例えば低い温度においても実施され、しかも気流が関節に作用するような自転車走行においても、本発明によるクッションは関節を冷やさないように保護することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
殊にジョギング、スケーティング、スキー等のスポーツ活動において使用される、膝外側の領域にクッションを備えた衣服において、
前記クッション（１）が複数のひだ（４）によって形成されており、これらのひだ（４）が、皮膚（３）に面した側に互いに隣接し合って配置され、かつ衣服の長手方向軸線に対してほぼ直角に整列されており、前記ひだ（４）が互いに分離されていることを特徴とする、衣服。
【請求項２】
前記複数のひだ（４）が互いに接続されずに配置されている、請求項１記載の衣服。
【請求項３】
前記複数のひだ（４）がループ状に構成されている、請求項１又は２記載の衣服。
【請求項４】
前記複数のひだ（４）がそれぞれ、複数の壁部（４１）と、これらの壁部（４１）を接続する１つのベース部（４２）とを有している、請求項１から３までのいずれか１項記載の衣服。
【請求項５】
前記ベース部（４２）が皮膚（３）上に載っている、請求項４記載の衣服。
【請求項１】
殊にジョギング、スケーティング、スキー等のスポーツ活動において使用される、膝外側の領域にクッションを備えた衣服において、
前記クッション（１）が複数のひだ（４）によって形成されており、これらのひだ（４）が、皮膚（３）に面した側に互いに隣接し合って配置され、かつ衣服の長手方向軸線に対してほぼ直角に整列されており、前記ひだ（４）が互いに分離されていることを特徴とする、衣服。
【請求項２】
前記複数のひだ（４）が互いに接続されずに配置されている、請求項１記載の衣服。
【請求項３】
前記複数のひだ（４）がループ状に構成されている、請求項１又は２記載の衣服。
【請求項４】
前記複数のひだ（４）がそれぞれ、複数の壁部（４１）と、これらの壁部（４１）を接続する１つのベース部（４２）とを有している、請求項１から３までのいずれか１項記載の衣服。
【請求項５】
前記ベース部（４２）が皮膚（３）上に載っている、請求項４記載の衣服。
【図１】
【図２】
【図２】
【公表番号】特表２０１０−５２６２１７（Ｐ２０１０−５２６２１７Ａ）
【公表日】平成２２年７月２９日（２０１０．７．２９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−５０６７９８（Ｐ２０１０−５０６７９８）
【出願日】平成２０年５月５日（２００８．５．５）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＤＥ２００８／０００７４８
【国際公開番号】ＷＯ２００８／１３５０２９
【国際公開日】平成２０年１１月１３日（２００８．１１．１３）
【出願人】（５０４３０３６８７）エクス−テクノロジー スイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (23)
【氏名又は名称原語表記】Ｘ−Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ Ｓｗｉｓｓ ＧｍｂＨ
【住所又は居所原語表記】Ｓａｍｓｔａｇｅｒｎｓｔｒａｓｓｅ ４５， ＣＨ−８８３２ Ｗｏｌｌｅｒａｕ， Ｓｗｉｔｚｅｒｌａｎｄ
【Ｆターム（参考）】
【公表日】平成２２年７月２９日（２０１０．７．２９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年５月５日（２００８．５．５）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＤＥ２００８／０００７４８
【国際公開番号】ＷＯ２００８／１３５０２９
【国際公開日】平成２０年１１月１３日（２００８．１１．１３）
【出願人】（５０４３０３６８７）エクス−テクノロジー スイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (23)
【氏名又は名称原語表記】Ｘ−Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ Ｓｗｉｓｓ ＧｍｂＨ
【住所又は居所原語表記】Ｓａｍｓｔａｇｅｒｎｓｔｒａｓｓｅ ４５， ＣＨ−８８３２ Ｗｏｌｌｅｒａｕ， Ｓｗｉｔｚｅｒｌａｎｄ
【Ｆターム（参考）】
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