説明

衣類乾燥機

【課題】フィルターの目詰まりを検知し、機器に過負荷がかかることを防止する。
【解決手段】ヒートポンプ装置4により加熱された温風を回転ドラム1へ供給する送風ファン11と、乾燥用空気を吸熱器8から放熱器6へと流して回転ドラムへと導く風路12と、風路内に配設され衣類等から発生するリントを回収するフィルター13と、放熱器の管路9を流れる冷媒の温度を検知する温度検知手段10と、温度検知手段によりフィルターの目詰まり度合いを検出するフィルター目詰まり検出手段18と、フィルターの目詰まりを報知する報知手段19と、ヒートポンプ装置等を制御する制御手段17とを備え、制御手段は、フィルター目詰まり検出手段によりフィルターの目詰まりを検出すると、報知手段によりフィルターの目詰まりを報知するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の乾燥をおこなう衣類乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の衣類乾燥機は、衣類を乾燥させる回転ドラム内に糸屑などを捕捉するリントフィルターを設け、このリントフィルターに糸屑が捕捉されて目詰まりした場合に、表示灯により目詰まりを報知することが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された衣類乾燥機は、図10に示すように、衣類を乾燥させる回転ドラム51と、この回転ドラム51内へ温風を循環させる送風手段と、回転ドラム51への熱交換風路に設けたPTCヒータ52と、熱交換風路に設けたフィルターと、回転ドラム51を回転駆動するモータ53と、回転ドラム51、モータ53の回転数を制御する制御手段54と、PTCヒータ52への熱交換風路に設けた温度検知手段55と、PTCヒータ52の電流を検知する電流検知手段56と、報知手段57を備え、制御手段54は、モータ53の回転数を一定に設定し、温度検知手段55の出力信号と電流検知手段56の出力信号とでフィルターの目詰まりを報知するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−134194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の構成では、PTCヒータ52の入力等によりフィルターの目詰まりを検知しているため、ヒータを設けていないヒートポンプを利用した衣類乾燥機では、フィルターの目詰まりを検知することが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ヒートポンプを用いた衣類乾燥機において、フィルターの目詰まりを的確に検知し、目詰まりによって機器に過負荷がかかることを防止した衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の衣類乾燥機は、ヒートポンプ装置により加熱された温風を回転ドラムへ供給する送風ファンと、前記送風ファンにより送風される乾燥用空気を吸熱器から放熱器へと流して前記回転ドラムへと導く風路と、前記風路内に配設され衣類等から発生するリントを回収するフィルターと、前記放熱器の管路を流れる冷媒の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段により前記フィルターの目詰まり度合いを検出するフィルター目詰まり検出手段と、前記フィルターの目詰まりを報知する報知手段と、前記ヒートポンプ装置等を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記フィルター目詰まり検出手段により前記フィルターの目詰まりを検出すると、前記報知手段により前記フィルターの目詰まりを報知するようにしたものである。
【0008】
これによって、フィルターが目詰まりしているか否かを的確に判定し、報知することができるとともに、機器の過負荷状態での運転を防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の衣類乾燥機は、ヒートポンプ装置を用いた衣類乾燥機において、フィルターの
目詰まりを的確に検知して報知することができるとともに、過負荷状態での運転を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における衣類乾燥機のシステム概念図
【図2】同衣類乾燥機のブロック図
【図3】同衣類乾燥機の要部断面図
【図4】同衣類乾燥機の要部断面図
【図5】同衣類乾燥機の電極の斜視図
【図6】同衣類乾燥機のフィルターが目詰まりしていない時の温度検知手段の出力特性および圧縮機の回転数の時間変化を示す図
【図7】同衣類乾燥機のフィルターが目詰まりしている時の温度検知手段の出力特性図および圧縮機の回転数の時間変化を示す図
【図8】同衣類乾燥機のフィルターが目詰まりしている時の温度検知手段の出力特性図および圧縮機の回転数の時間変化を示す図
【図9】同衣類乾燥機のフィルターが目詰まりしている時の温度検知手段の出力特性図および圧縮機の回転数の時間変化を示す図
【図10】従来の衣類乾燥機のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、衣類等を収容し乾燥させる回転ドラムと、前記回転ドラムを回転駆動するモータと、圧縮機と圧縮された冷媒の熱を放熱する放熱器と高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り手段と減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、前記ヒートポンプ装置により加熱された温風を前記回転ドラムへ供給する送風ファンと、前記送風ファンにより送風される乾燥用空気を前記吸熱器から前記放熱器へと流して前記回転ドラムへと導く風路と、前記風路内に配設され衣類等から発生するリントを回収するフィルターと、前記放熱器の前記管路を流れる冷媒の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段により前記フィルターの目詰まり度合いを検出するフィルター目詰まり検出手段と、前記フィルターの目詰まりを報知する報知手段と、前記ヒートポンプ装置等を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記フィルター目詰まり検出手段により前記フィルターの目詰まりを検出すると、前記報知手段により前記フィルターの目詰まりを報知するようにしたことにより、フィルターが目詰まりしているか否かを的確に判定し、報知することができるとともに、フィルターの目詰まりによる過負荷状態での運転を防止することができる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明の制御手段は、フィルター目詰まり検出手段によりフィルターの目詰まりを検出すると圧縮機の回転数を低くし、再度フィルターの目詰まりの状態を温度検知手段の情報により判定し、乾燥運転を継続するか停止するかを判定するようにしたことにより、フィルターが目詰まりしている状態でも機器に過負荷がかからない状態で運転することができる。
【0013】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の制御手段は、フィルター目詰まり検出手段によりフィルターが目詰まりしていると判定した場合は、圧縮機の運転を停止するようにしたことにより、フィルターが目詰まりしている過負荷状態での運転を防止することができる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における衣類乾燥機のシステム概念図で、ヒートポンプ装置の構成と乾燥用空気の流れを示している。図2は、同衣類乾燥機のブロック図、図3および図4は、同衣類乾燥機の要部断面図、図5は、同衣類乾燥機の電極の斜視図である。
【0016】
図1〜図5において、衣類等の乾燥対象Cを入れて乾燥させる回転ドラム1は、衣類乾燥機の本体2内に回転自在に設け、モータ3の駆動によりベルト(図示せず)を介して回転させるようにしている。
【0017】
ヒートポンプ装置4は、圧縮機5と、この圧縮機5で圧縮された冷媒の熱を放熱する放熱器6と、高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り弁や毛細管等からなる絞り手段7と、減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器8とを冷媒が循環するように管路9で連結されており、冷媒は図1の矢印Bの方向に流れて循環し、ヒートポンプサイクルを実現する。温度検知手段10は、放熱器6の管路9に設けて冷媒の温度を検知するようにしている。
【0018】
乾燥用空気は、モータ3の駆動によりベルト(図示せず)を介して送風ファン11を回転させて風路12に送風し、ヒートポンプ装置4の吸熱器8から放熱器6を通過した後、衣類等を入れた乾燥室としての回転ドラム1へと導かれ、風路12に配設された吸熱器8および放熱器6と、回転ドラム1との間を循環する。
【0019】
吸熱器8では、回転ドラム1内の湿った衣類と接触して多湿となった乾燥用空気を冷却除湿し、放熱器6では、吸熱器8で除湿された乾いた低温の乾燥用空気を再加熱して回転ドラム1へと送り込む。フィルター13は、回転ドラム1の後面の中央部に着脱可能に取り付けられ、乾燥用空気中の衣類から発生したリントやほこりを捕捉し回収する。
【0020】
衣類の乾燥度を検出する電極14は、乾燥運転中は、回転ドラム1内の衣類に接触するように回転ドラム1内に配設している。電極14は、金属製の2個の導電部材14aと、この導電部材14aを電気的に絶縁する絶縁部材14bとで構成され、導電部材14aに回転ドラム1内で撹拌されている衣類が接触することによって、導電部材14a間の抵抗値を検知し、衣類の乾燥状態を検出するようにしている。
【0021】
抵抗検知手段15は、乾燥運転中に回転ドラム1内の衣類が電極14の2個の導電部材14a間に跨って接触した衣類の抵抗値を検出するもので、乾燥度検出手段16は、抵抗検知手段15によって検知した衣類の抵抗値が、所定の値よりも小さくなったことを検出した回数の時間変化の情報より衣類の乾燥度を検出する。
【0022】
制御手段17は、抵抗検知手段15と乾燥度検出手段16の情報が入力され、また、温度検知手段10とフィルター目詰まり検出手段18の情報が入力され、モータ3と、ヒートポンプ装置4の圧縮機5および送風ファン11、報知手段19等を制御する。
【0023】
乾燥度検出手段16は、抵抗検知手段15により検知した衣類の抵抗値によって乾燥度を検出し、フィルター目詰まり検出手段18は、温度検知手段10により検知した温度情報によってフィルター13の目詰まり度合いを検出する。フィルター目詰まり検出手段18によりフィルター13の目詰まりを検出すると、報知手段19により報知する。
【0024】
制御手段17は、乾燥度検出手段16と温度検知手段10の情報により、ヒートポンプ装置4およびモータ3を制御し、圧縮機5の回転数Rは、制御手段17により一定速または温度検知手段10の情報により制御している。
【0025】
以上のように構成された衣類乾燥機について、以下その動作、作用を説明する。まず、本体2の前面に開閉自在に設けられた扉20を開いて乾燥対象Cの衣類を回転ドラム1内に投入し、乾燥運転を開始すると、モータ3が駆動し、回転ドラム1および送風ファン11が回転して風路12に乾燥用空気の流れ(矢印A)が生じる。乾燥用空気は、回転ドラム1内の衣類から水分を奪って多湿となった後、風路12内を通ってヒートポンプ装置43の吸熱器8へ導かれる。
【0026】
吸熱器8で低温の冷媒に熱を奪われた乾燥用空気は、冷却除湿されて乾いた低温の空気となって放熱器6へ運ばれる。吸熱器8で吸熱された熱量に、圧縮機5からの熱量が加わって高温となった冷媒からの放熱で加熱され、吹き出し口21から再び回転ドラム1内へと循環される。以上の繰り返しで衣類の乾燥が進行する。
【0027】
図6は、フィルター13が目詰まりしていない時の、温度検知手段10の出力特性と圧縮機5の回転数の時間変化を示している。図6に示すように、フィルター13が目詰まりしていない時は、圧縮機5の回転数が一定(R1)で回転しているとき、温度検知手段10の出力特性は、温度がth1からth2まで上昇するのに、T3(t1からt2)の時間がかかっている。
【0028】
図7は、フィルター13が目詰まりしている時の、温度検知手段10の出力特性と圧縮機5の回転数の時間変化を示している。図7に示すように、フィルター13が目詰まりしている時は、圧縮機5の回転数が一定(R1)で回転しているとき、温度検知手段10の出力特性は、温度がth1からth2まで上昇するのに、T6(t4からt5)の時間がかかっている。
【0029】
フィルター13が目詰まりしていると送風ファン11からの風量が減少し、冷媒の温度上昇が早くなる。そこで、フィルター目詰まり検出手段18はT3とT6を比較して、T3よりT6が所定時間以上短い時に目詰まりしていると判定する。
【0030】
制御手段17は、フィルター目詰まり検出手段18がフィルター13が目詰まりしていると判定したときは、目詰まりしていることを報知手段19により報知するようにしている。
【0031】
図8は、フィルター13が目詰まりしている時の、温度検知手段10の出力特性と圧縮機5の回転数の時間変化を示している。図8に示すように、フィルター13が目詰まりしていると判定した時は、圧縮機5の回転数をR1からR2へ落して一定で回転するようにしている。そして、回転数R2の間の温度検知手段10の情報により、さらにフィルター13の目詰まり度合いを検知するようにしている。
【0032】
つまり、T9(t7からt8)の時間に温度検知手段10の出力特性が、温度がth4からth5まで上昇した場合は運転を停止し、上昇しなかった場合は運転を継続するように判定する。
【0033】
図9は、フィルター13が目詰まりしている時の、温度検知手段10の出力特性と圧縮機5の回転数の時間変化を示している。図9に示すように、時間T6の期間に温度検知手段10の出力特性が、温度がth1からth3まで上昇した場合は、圧縮機5の回転を停止する。
【0034】
以上のように、本発明の衣類乾燥機は、ヒートポンプ装置4により加熱された温風を回転ドラム1へ供給する送風ファン11と、送風ファン11により送風される乾燥用空気を吸熱器8から放熱器6へと流して回転ドラム1へと導く風路12と、風路12内に配設さ
れ衣類等から発生するリントを回収するフィルター13と、放熱器6の管路9を流れる冷媒の温度を検知する温度検知手段10と、温度検知手段10によりフィルター13の目詰まり度合いを検出するフィルター目詰まり検出手段18と、フィルター13の目詰まりを報知する報知手段19と、ヒートポンプ装置4等を制御する制御手段17とを備え、制御手段17は、フィルター目詰まり検出手段18によりフィルター13の目詰まりを検出すると、報知手段19によりフィルター13の目詰まりを報知するようにしたものであり、ヒートポンプ装置4を用いて衣類の乾燥をおこなう場合でも、フィルター13の目詰まりを的確に検知することが可能になるとともに、報知手段19によりフィルター13の目詰まりを報知することができる。また、フィルター13が過度の目詰まり状態であるときの運転を防止して、機器に過負荷がかかることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明にかかる衣類乾燥機は、ヒートポンプ装置を用いた衣類乾燥機のフィルターの目詰まりを的確に検知して報知することができるとともに、過負荷状態での運転を防止することができるので、衣類乾燥機として有用である。
【符号の説明】
【0036】
1 回転ドラム
3 モータ
4 ヒートポンプ装置
5 圧縮機
6 放熱器
7 絞り手段
8 吸熱器
9 管路
10 温度検知手段
11 送風ファン
12 風路
13 フィルター
17 制御手段
18 フィルター目詰まり検出手段
19 報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類等を収容し乾燥させる回転ドラムと、前記回転ドラムを回転駆動するモータと、圧縮機と圧縮された冷媒の熱を放熱する放熱器と高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り手段と減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う吸熱器とを冷媒が循環するように管路で連結したヒートポンプ装置と、前記ヒートポンプ装置により加熱された温風を前記回転ドラムへ供給する送風ファンと、前記送風ファンにより送風される乾燥用空気を前記吸熱器から前記放熱器へと流して前記回転ドラムへと導く風路と、前記風路内に配設され衣類等から発生するリントを回収するフィルターと、前記放熱器の前記管路を流れる冷媒の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段により前記フィルターの目詰まり度合いを検出するフィルター目詰まり検出手段と、前記フィルターの目詰まりを報知する報知手段と、前記ヒートポンプ装置等を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記フィルター目詰まり検出手段により前記フィルターの目詰まりを検出すると、前記報知手段により前記フィルターの目詰まりを報知するようにした衣類乾燥機。
【請求項2】
制御手段は、フィルター目詰まり検出手段によりフィルターの目詰まりを検出すると圧縮機の回転数を低くし、再度フィルターの目詰まりの状態を温度検知手段の情報により判定し、乾燥運転を継続するか停止するかを判定するようにした請求項1記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
制御手段は、フィルター目詰まり検出手段によりフィルターが目詰まりしていると判定した場合は、圧縮機の運転を停止するようにした請求項1または2記載の衣類乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−85680(P2013−85680A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228564(P2011−228564)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】