説明

表示媒体の駆動装置、駆動プログラム、及び表示装置

【課題】異種の電気泳動粒子群を凝集させた凝集体を泳動させる表示媒体に、各色の階調表示を実現させる。
【解決手段】表示媒体の駆動装置は、階調表示を行う場合、凝集体を形成させた状態で、階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群を、その差分の量、表示基板側に移動させる電位差を電極間に付与し、階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が凝集体と逆極性の場合、階調表示に必要な粒子量の凝集体を表示基板側に移動させる電位差を電極間に付与し、階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が凝集体と同極性の場合、階調表示に不要な粒子量の凝集体を背面基板側に移動させる電位差を電極間に付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示媒体の駆動装置、駆動プログラム、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
繰り返し書き換えが行なわれる表示媒体として、電気泳動粒子を用いた表示媒体が知られている。この電気泳動型の表示媒体は、例えば、それぞれ電極を備え、対向配置された一対の基板と、一対の基板間に形成された電界に応じて基板間を移動するように該基板間に封入された粒子群と、を含んで構成されている。
【0003】
一対の基板間に封入された粒子群としては、特定の色に着色された1種類の粒子群である場合や、互いに色及び移動に必要な電界強度の異なる複数種類の粒子群である場合等がある。例えば、2種類の粒子群を含む場合、表示媒体では、一対の基板間に電圧を印加することにより封入されている粒子を移動させることで、何れか一方の基板側に移動した粒子の量及び移動した粒子の色に応じた色の画像を表示させる。すなわち、表示対象となる画像の色及び濃度に応じて、移動させる対象となる粒子群を移動させるための強度の電圧を基板間に印加することで、移動対象となる粒子群を一対の基板の何れか一方側へ移動させて表示対象の画像の色及び濃度に応じた画像が表示される。
【0004】
特許文献1には、複数のセル化部材と、各セル化部材内に充填された黒色着色分散媒と、複数の色に着色され各色ごとに各セル化部材内の黒色着色分散媒中に分散された着色電気泳動粒子とを有した表示媒体を備え、上記表示媒体に電界をかけることにより電気泳動粒子を駆動して所要の表示動作を行う表示装置であって、黒色着色分散媒中に分散された互いに異なる色に着色された着色電気泳動粒子は、互いに異なる電気泳動移動度を有しており、該表示媒体に強度や向き、印加時間等の異なる電界をかけることにより異なる色彩の表示が行われることを特徴とする表示装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、第1の電極と、第2の電極と、顔料粒子を着色分散媒中に分散させた分散液と、前記第1電極と前記第2電極との間に駆動電圧を印加して、前記顔料粒子を電気泳動させる駆動電圧発生手段と、を有し、前記駆動電圧発生手段は、前記顔料粒子を前記第1 の電極側から引き離すために第1の駆動電圧を印加し、前記第1の駆動電圧の印加した後、前記第1の電極の側から前記第2の電極の側に完全に移動する為の第2の駆動電圧を印加し、前記第1の駆動電圧の電圧値の絶対値は、前記第2の駆動電圧の電圧値の絶対値より大であること、を特徴とする電気泳動装置が開示されている。
【0006】
特許文献3には、電気泳動ディスプレイであって、懸濁流体と、少なくとも第1の粒子および第2の粒子とを含有する少なくとも1つのカプセルであって、該第1の粒子は、第1の光学特性および第1の電気泳動移動度を有し、該第2の粒子は、第2の光学特性および第2の電気泳動移動度を有する、少なくとも1つのカプセルと、該カプセルに隣接して配置される少なくとも2つの電極と、によって特徴づけられ、該電極による該カプセルへの電界の印加によって、該カプセルが、該粒子の該光学特性および該電気泳動移動度に応答して、視覚的状態を変化させる、電気泳動ディスプレイが開示されている。
【0007】
特許文献4には、互いに対向関係にあり少なくとも一方が透明な一対以上の電極を周壁の構成要素とする閉空間内に液相分散媒と顔料とを含む電気泳動表示用分散液が収容された電気泳動表示素子の該電極に、駆動電源により所定駆動電圧の印加を開始してから該分散液中の顔料が該電極に到達して泳動を終了するまでの時間を適正印加時間として測定する方法であって、センサーで前記電気泳動表示素子の輝度を検出し、前記電気泳動表示素子の一対の電極に前記駆動電源により各回毎に異なる所定駆動電圧を印加したときから前記センサーの輝度値がほぼ飽和に達するまでの時間をそれぞれ求める手順と、前記駆動電圧と前記センサーの輝度値がほぼ飽和値に達する時間との関係を求め、この関係から電気泳動表示素子の所定駆動電圧に対する適正印加時間を求める手順とを有する泳動時間測定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2000−194021号公報
【特許文献2】特許第3991367号公報
【特許文献3】特開2006−58901号公報
【特許文献4】特許平9−6277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、異種の電気泳動粒子群を凝集させた凝集体を泳動させる表示媒体に、各色の階調表示を実現させる表示媒体の駆動装置、駆動プログラム、及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、透光性を有する表示基板と、前記表示基板と間隙を持って対向して配置された背面基板と、前記表示基板に配置され透光性を有する表示側電極と、前記背面基板に配置された背面側電極と、前記表示側電極と前記背面側電極との電極間に配置された分散媒と、前記分散媒中に分散され、色及び帯電極性が異なる第1粒子群及び第2粒子群を含み、前記電極間に第1の電位差を予め定めた第1の時間付与することにより、前記第1粒子群及び前記第2粒子群がそれぞれ単独で泳動し、かつ、前記電極間に前記第1の電位差を前記第1の時間よりも短い第2の時間付与することにより、前記第1粒子群及び前記第2粒子群とが正又は負に帯電した凝集体を形成し、かつ、前記第1の電位差よりも小さい第2の電位差を付与することにより、前記凝集体が泳動する2種類以上の粒子群と、を有する表示媒体に対して、前記凝集体を形成させる電位差を前記電極間に付与し、前記第1の粒子群及び前記第2の粒子群のうち前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群を、前記第1の粒子群と前記第2の粒子群との差分の量、前記表示基板側に移動させる第3の電位差を前記電極間に付与し、前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が前記凝集体と逆極性の場合、前記階調表示に必要な粒子量の前記凝集体を前記表示基板側に移動させる第4の電位差を前記電極間に付与し、前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が前記凝集体と同極性の場合、前記階調表示に不要な粒子量の前記凝集体を前記背面基板側に移動させる第5の電位差を前記電極間に付与する電位差付与手段を備えた表示媒体の駆動装置である。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記表示媒体は、前記分散媒中に分散され、前記電極間に第6の電位差を前記第1の時間付与することにより少なくとも単独で泳動し、前記第1粒子群及び前記第2粒子群に対する凝集力が、前記第1粒子群と前記第2粒子群との凝集体の凝集力より弱い第3粒子群を有する。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記電位差付与手段は、前記第6の電位差よりも大きい第7の電位差を前記第1の時間より短い予め定めた第3の時間付与することにより、前記第3粒子群を単独で泳動させる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記第3粒子群の極性が、前記凝集体の極性と反対の極性である。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記第1粒子群及び前記第2粒子群は、それぞれ前記第3粒子群の粒子間を通過する粒子で構成されており、前記第3粒子群は、前記電極間に付与された電位差に対する応答性が前記第1粒子群及び前記第2粒子群よりも高い粒子群である。
【0015】
請求項6記載の発明は、前記第3粒子群を構成する粒子の粒径が、前記第1粒子群を構成する粒子の粒径及び前記第2粒子群を構成する粒子の粒径の10倍以上である。
【0016】
請求項7記載の発明は、コンピュータを、透光性を有する表示基板と、前記表示基板と間隙を持って対向して配置された背面基板と、前記表示基板に配置され透光性を有する表示側電極と、前記背面基板に配置された背面側電極と、前記表示側電極と前記背面側電極との電極間に配置された分散媒と、前記分散媒中に分散され、色及び帯電極性が異なる第1粒子群及び第2粒子群を含み、前記電極間に第1の電位差を予め定めた第1の時間付与することにより、前記第1粒子群及び前記第2粒子群がそれぞれ単独で泳動し、かつ、前記電極間に前記第1の電位差を前記第1の時間よりも短い第2の時間付与することにより、前記第1粒子群及び前記第2粒子群とが正又は負に帯電した凝集体を形成し、かつ、前記第1の電位差よりも小さい第2の電位差を付与することにより、前記凝集体が泳動する2種類以上の粒子群と、を有する表示媒体に対して、前記凝集体を形成させる電位差を前記電極間に付与し、前記第1の粒子群及び前記第2の粒子群のうち前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群を、前記第1の粒子群と前記第2の粒子群との差分の量、前記表示基板側に移動させる第3の電位差を前記電極間に付与し、前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が前記凝集体と逆極性の場合、前記階調表示に必要な粒子量の前記凝集体を前記表示基板側に移動させる第4の電位差を前記電極間に付与し、前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が前記凝集体と同極性の場合、前記階調表示に不要な粒子量の前記凝集体を前記背面基板側に移動させる第5の電位差を前記電極間に付与する電位差付与手段として機能させるための表示媒体の駆動プログラムである。
【0017】
請求項8記載の発明は、透光性を有する表示基板と、前記表示基板と間隙を持って対向して配置された背面基板と、前記表示基板に配置され透光性を有する表示側電極と、前記背面基板に配置された背面側電極と、前記表示側電極と前記背面側電極との電極間に配置された分散媒と、前記分散媒中に分散され、色及び帯電極性が異なる第1粒子群及び第2粒子群を含み、前記電極間に第1の電位差を予め定めた第1の時間付与することにより、前記第1粒子群及び前記第2粒子群がそれぞれ単独で泳動し、かつ、前記電極間に前記第1の電位差を前記第1の時間よりも短い第2の時間付与することにより、前記第1粒子群及び前記第2粒子群とが正又は負に帯電した凝集体を形成し、かつ、前記第1の電位差よりも小さい第2の電位差を付与することにより、前記凝集体が泳動する2種類以上の粒子群と、を有する表示媒体と、前記凝集体を形成させる電位差を前記電極間に付与し、前記第1の粒子群及び前記第2の粒子群のうち前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群を、その多い分だけ前記表示基板側に移動させる第3の電位差を前記電極間に付与し、前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が前記凝集体と逆極性の場合、前記階調表示に必要な粒子量の前記凝集体を前記表示基板側に移動させる第4の電位差を前記電極間に付与し、前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が前記凝集体と同極性の場合、前記階調表示に不要な粒子量の前記凝集体を前記背面基板側に移動させる第5の電位差を前記電極間に付与する電位差付与手段と、を備えた表示装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、7、8の発明によれば、異種の電気泳動粒子群を凝集させた凝集体を泳動させる表示媒体に、各色の階調表示を実現させることができる、という効果を有する。
【0019】
請求項2の発明によれば、多くの色表示が実現される、という効果を有する。
【0020】
請求項3の発明によれば、短時間で第3粒子群を移動させることができる、という効果を有する。
【0021】
請求項4の発明によれば、第3粒子群及び凝集体を駆動しやすくなる、という効果を有する。
【0022】
請求項5の発明によれば、第3粒子群を駆動しやすくなる、という効果を有する。
【0023】
請求項6の発明によれば、第1の粒子群及び第2の粒子群が第3粒子群をすり抜けやすくなる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態に係る表示装置を示す概略図である。
【図2】第1実施形態に係る表示装置において電圧印加に応じた泳動粒子の挙動を示す概略図である。
【図3】第1実施形態に係る各泳動粒子の電圧印加特性を示す図である。
【図4】マゼンダ又はシアンを階調表示する場合における電圧印加の具体例について説明するための図である。
【図5】青色を階調表示する場合における電圧印加の具体例について説明するための図である。
【図6】青色を色調表示する場合における電圧印加の具体例について説明するための図である。
【図7】第2実施形態に係る各泳動粒子の電圧印加特性を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る表示装置における各色の表示状態について説明するための図である。
【図9】第2実施形態に係る表示装置における各色の表示状態について説明するための図である。
【図10】黄色を階調表示する場合における電圧印加の具体例について説明するための図である。
【図11】黄色粒子を短パルスで駆動する場合について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明者らは、2種以上の電気泳動粒子群を用いて各粒子群の色に応じた表示を行う場合、泳動粒子の組み合わせによっては、電極間に印加する電圧の強度及び時間によって泳動途中で異種粒子群同士による凝集体を形成し、凝集体として泳動することを見出した。そして、本発明者らは、電極間に印加される電圧に応じて各粒子群が単独で又は凝集体として泳動する粒子群を用い、電極間に印加する電圧を制御することで、各粒子群の色による表示のほかに、これらの異種の粒子群によって形成される凝集体としての色による表示も実現されることを見出した。
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。作用・機能が同じ働きを担う部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する場合がある。また、説明を簡易化するために、適宜1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。
【0027】
また、シアン色の粒子をシアン粒子C、マゼンタ色の粒子をマゼンタ粒子M、黄色の粒子を黄色粒子Yと記し、各粒子とその粒子群は同じ記号(符号)によって示す。
【0028】
また、これらの異種粒子群同士により形成される凝集体を、各粒子群を表す記号を組み合わせて、例えばシアン粒子Cとマゼンタ粒子Mとの凝集体は凝集体CMと記し、同様に、凝集体CY、凝集体MY、凝集体CMY等と記す場合がある。
【0029】
<第1実施形態>
【0030】
図1(A)は、第1実施形態に係る表示装置を概略的に示している。この表示装置100は、表示媒体10と、表示媒体10を駆動する駆動装置20と、を備えている。駆動装置20は、表示媒体10の一対の電極3、4間に電圧を印加する電圧印加部30と、表示媒体10に表示させる画像の画像情報に応じて電圧印加部30を制御する制御部40と、を含んで構成されている。
【0031】
表示媒体10は、画像表示面とされる表示基板1と非表示面とされる背面基板2とが間隙を持って対向して配置されている。
【0032】
これらの基板1、2間を定められた間隔に保持すると共に、該基板間を複数のセルに区画する間隙部材5が設けられている。
【0033】
上記セルとは、背面側電極4が設けられた背面基板2と、表示側電極3が設けられた表示基板1と、間隙部材5と、によって囲まれた領域を示している。セル中には分散媒6と、分散媒6中に分散された第1粒子群11、第2粒子群12、及び白色粒子群13とが封入されている。
【0034】
第1粒子群11と第2粒子群12は、色及び帯電極性が互いに異なり、一対の電極3、4間に印加された電圧に応じて第1の電位差を付与することにより、第1粒子群11及び第2粒子群12がそれぞれ単独で泳動し、かつ、第1の電位差よりも電位差が小さい第2の電位差を付与することにより、第1粒子群11と第2粒子群12とが正又は負に帯電した凝集体を形成して泳動する特性を有している。一方、白色粒子群13は、第1粒子群11、第2粒子群12よりも帯電量が少なく、第1粒子群11、第2粒子群12、あるいは、これらの粒子群により形成される凝集体がいずれか一方の電極側まで移動する電圧が電極間に印加されても、いずれの電極側まで移動しない粒子群である。
【0035】
まず、本実施形態に係る表示装置の構成部材について具体的に説明する。
【0036】
‐表示基板及び背面基板‐
【0037】
表示基板1、又は表示基板と背面基板の双方は、透光性を有している。
【0038】
表示基板1には、表示側電極3が形成され、背面基板2には、背面側電極4が形成されている。
【0039】
表示基板1及び背面基板2としては、ガラスや、プラスチック、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
【0040】
表示基板1及及び背面基板2のそれぞれの厚みは、例えば50μm以上3mm以下である。
【0041】
表示側電極3および背面側電極4には、インジウム、スズ、カドミウム、アンチモン等の酸化物、ITO等の複合酸化物、金、銀、銅、ニッケル等の金属、ポリピロールやポリチオフェン等の有機材料等が使用される。これらは単層膜、混合膜あるいは複合膜として使用され、蒸着法、スパッタリング法、塗布法等で形成される。
【0042】
また、各電極の厚さは、蒸着法、スパッタリング法によれば、通常100Å以上2000Å以下である。背面側電極4および表示側電極3は、従来の液晶表示媒体あるいはプリント基板のエッチング等、従来公知の手段により、予め定められたパターン、例えば、マトリックス状、またはパッシブマトリックス駆動を実現するストライプ状に形成してもよい。
【0043】
また、表示側電極3を表示基板1に埋め込んでもよい。また、背面側電極4を背面基板2に埋め込んでもよい。
【0044】
また、アクティブマトリックス駆動を実現にするために、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)を備えていてもよい。配線の積層化および部品実装が容易であることから、TFTは表示基板1ではなく背面基板2に形成することが望ましい。
【0045】
‐間隙部材‐
【0046】
表示基板1と背面基板2との間隙を保持するための間隙部材5は、表示基板1の透光性を損なわないように形成され、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム、金属等で形成される。
【0047】
間隙部材5は表示基板1及び背面基板2の何れか一方と一体化されてもよい。この場合には、基板に対して、エッチング処理、レーザー加工処理、予め作製した型を使用してプレス加工処理又は印刷処理等を行うことによって間隙部材を作製する。
【0048】
間隙部材5は、表示基板側、背面基板側のいずれか、又は双方に作製する。
【0049】
間隙部材5は有色でも無色でもよいが、表示媒体に表示される表示画像に悪影響を及ぼさないように無色透明であることが望ましく、例えば、ポリスチレンやポリエステルやアクリルなどの透明樹脂等が使用される。
【0050】
また、粒子状又は球状の間隙部材を採用する場合も透明であることが望ましく、ポリスチレン、ポリエステル又はアクリル等の透明樹脂粒子の他、ガラス粒子も使用される。
【0051】
なお、本実施形態において「透明」とは、可視光に対して、透過率60%以上有することを示している。
【0052】
‐分散媒‐
【0053】
泳動粒子が分散される分散媒6としては、絶縁性液体であることが望ましい。本明細書において、「絶縁性」とは、体積固有抵抗が1011Ωcm以上であることを示している。
【0054】
上記絶縁性液体として具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、ジククロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、高純度石油、エチレングリコール、アルコール類、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、イソプロパノール、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタンなどや、それらの混合物が好適に使用される。これらの中でも、シリコーンオイルを適用することがよい。
【0055】
また、下記体積抵抗値となるよう不純物を除去することで、水(所謂、純水)も、分散媒として好適に使用される。該体積抵抗値としては、10Ωcm以上であることが望ましく、10Ωcm以上1019Ωcm以下であることがより好適であり、さらに1010Ωcm以上1019Ωcm以下であることがより良い。
【0056】
なお、絶縁性液体には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよいが、上記で示した特定の体積抵抗値の範囲となるように添加することが望ましい。
【0057】
また、絶縁性液体には、帯電制御剤として、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、金属石鹸、アルキルリン酸エステル類、コハク酸イミド類等を添加して使用してもよい。
【0058】
イオン性及び非イオン性の界面活性剤としては、より具体的には以下があげられる。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸等がある。カチオン界面活性剤としては、第一級ないし第三級のアミン塩、第四級アンモニウム塩等があげられる。
【0059】
これら帯電制御剤は、粒子固形分に対して0.01質量%以上20質量%以下が望ましく、特に0.05質量%以上10質量%以下の範囲が望ましい。
【0060】
分散媒6は、前記絶縁性液体と共に高分子樹脂を併用してもよい。高分子樹脂としては、高分子ゲル、高分子ポリマー等であることも望ましい。
【0061】
具体的な高分子樹脂としては、アガロース、アガロペクチン、アミロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、イソリケナン、インスリン、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カードラン、カゼイン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、カロース、寒天、キチン、キトサン、絹フィブロイン、クアーガム、クインスシード、クラウンゴール多糖、グリコーゲン、グルコマンナン、ケラタン硫酸、ケラチン蛋白質、コラーゲン、酢酸セルロース、ジェランガム、シゾフィラン、ゼラチン、ゾウゲヤシマンナン、ツニシン、デキストラン、デルマタン硫酸、デンプン、トラガカントゴム、ニゲラン、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プスツラン、フノラン、分解キシログルカン、ペクチン、ポルフィラン、メチルセルロース、メチルデンプン、ラミナラン、リケナン、レンチナン、ローカストビーンガム等の天然高分子由来の高分子ゲルが挙げられる他、合成高分子の場合にはほとんどすべての高分子ゲルが挙げられる。
【0062】
更に、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、及びアミドの官能基を繰り返し単位中に含む高分子等が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミドやその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドやこれら高分子を含む共重合体が挙げられる。
【0063】
これらの中でも、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド等が望ましく用いられる。
【0064】
また、この分散媒に着色剤を混合することで、泳動粒子の色とは異なる色を表示させてもよい。
【0065】
分散媒に混合する着色剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤が挙げられる。具体的には、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等が代表的なものとして挙げられる。
【0066】
分散媒はその中で泳動粒子11、12が移動することから、分散媒6の粘度が特定の値以上であると、背面基板2及び表示基板1への力のばらつきが大きく、電界に対する粒子移動の閾値がとれない。従って、分散媒の粘度についても調整することがよい。
【0067】
分散媒6の粘度は、温度20℃の環境下において、0.1mPa・s以上100mPa・s以下であることが望ましく、0.1mPa・s以上50mPa・s以下であることがより望ましく、0.1mPa・s以上20mPa・s以下であることが更に望ましい。
【0068】
分散媒の粘度の調整は、分散媒の分子量、構造、組成等を調整することによって行われる。なお、この粘度の測定には、東京計器製B−8L型粘度計を用いる。
【0069】
‐電気泳動粒子‐
【0070】
本実施形態では、電気泳動粒子として、色及び帯電極性が互いに異なる第1粒子群11及び第2粒子群12を含み、前記一対の電極間に印加された電圧に応じて、第1粒子群11及び第2粒子群12がそれぞれ単独で、又は、第1粒子群11と第2粒子群12とが正又は負に帯電した凝集体を形成して泳動する2種類以上の粒子群を用いる。
【0071】
異種の粒子群間の凝集力は、例えば、これらの粒子群を構成する粒子の表面に凝集性を制御するための高分子分散剤を付着させることで制御される。例えば、分散媒としてシリコーンオイルを用い、該シリコーンオイルに対して相溶性を有する高分子分散剤を粒子の表面に付着させれば、分散媒中で高分子分散剤が広がる、従って、2種類の泳動粒子群11、12がともに前記の高分子分散剤を表面に有していれば、粒子群同士は各粒子の表面の高分子分散剤同士が反発し合って凝集し難くなる。
【0072】
また、異種の粒子群間の凝集力は、例えば、これらの粒子群を構成する粒子の帯電量を調整することで制御してもよい。例えば、2種類の泳動粒子群11、12の帯電量が大きい場合には、粒子群同士は静電力により凝集しやすくなる。
【0073】
泳動粒子の構成、製造方法等については後述する。
【0074】
‐白色粒子‐
【0075】
白色粒子群を構成する粒子としては、例えば、酸化チタンや酸化ケイ素、酸化亜鉛などの白色顔料を、ポリスチレンやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、PMMA、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド縮合物などに分散した粒子が使用される。また、ポリスチレン粒子やポリビニルナフタレン粒子などを使用してもよい。
【0076】
上記表示側電極3を設けた表示基板1及び背面側電極4を設けた背面基板2を、間隙部材5を介して互いに固定する手段は特に限定されず、例えば、ボルトとナットとの組み合わせ、クランプ、クリップ、基板固定用の枠等の固定手段を使用する。また、接着剤、熱溶融、超音波接合等の固定手段も使用してもよい。
【0077】
このように構成される表示媒体は、例えば、画像の保存及び書換えを行う掲示板、回覧版、電子黒板、広告、看板、点滅標識、電子ペーパー、電子新聞、電子書籍、及び複写機・プリンタと共用するドキュメントシート等に使用される。
【0078】
‐電圧印加部及び制御部‐
【0079】
駆動装置20(電圧印加部30及び制御部40)は、表示媒体10の一対の電極3、4間に第1の電位差を付与することにより、粒子群11、12をそれぞれ単独で泳動させ、それぞれの帯電極性に応じて一対の電極11、12のいずれか一方に引き付け、第1の電位差よりも電位差が小さい第2の電位差を付与することにより、これらの粒子群11、12による凝集体を形成して泳動させ、該凝集体の帯電極性に応じて一対の電極11、12のいずれか一方に引き付ける。
【0080】
このような制御によって、各粒子群11、12によるそれぞれの色表示と、これらの異種粒子群同士の凝集体による色表示と、分散媒6中で泳動しない白色粒子群13による色表示の4色の表示が実現される。
【0081】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4にそれぞれ電気的に接続されている。
【0082】
電圧印加部30は、制御部40に信号授受されるように接続されている。
【0083】
制御部40は、図1(B)に示すように、コンピュータ40として構成してもよい。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)40A、ROM(Read Only Memory)40B、RAM(Random Access Memory)40C、不揮発性メモリ40D、及び入出力インターフェース(I/O)40Eがバス40Fを介して各々接続された構成であり、I/O40Eには電圧印加部30が接続されている。この場合、後述する各色の表示に必要な電圧の印加を電圧印加部30に指示する処理をコンピュータ40に実行させるプログラムを、例えば不揮発性メモリ40Dに書き込んでおき、これをCPU40Aが読み込んで実行させる。なお、プログラムは、CD−ROM等の記録媒体により提供するようにしてもよい。
【0084】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部40の制御に応じた電圧を表示側電極3及び背面側電極4にそれぞれ印加して電位差を付与する。
【0085】
図2は、第1実施形態に係る表示媒体において電圧印加に応じた泳動粒子11、12の挙動を概略的に示している。なお、図2〜図6では、白色粒子13、分散媒6、両面の基板(表示基板1及び背面基板2)、間隙部材5等は省略されている。
【0086】
本実施形態では、第1粒子11は、マゼンタの色彩を有する負帯電の電気泳動粒子(マゼンタ粒子M)であり、第2粒子12は、シアンの色彩を有する正帯電の電気泳動粒子(シアン粒子C)であり、凝集体全体としては正帯電である場合について説明するが、これに限定されない。各粒子の色と帯電極性は適宜設定すればよく、凝集体は全体として負帯電であってもよい。また、以下の説明で印加する電圧の値も一例であって、これに限定されず、各粒子の帯電極性、応答性、電極間の距離等に応じて適宜設定すればよい。
【0087】
図3には、本実施形態に係る表示装置100において、シアン粒子C、マゼンダ粒子M、シアン粒子C及びマゼンダ粒子Mの凝集体CMを表示基板1側、背面基板2側に移動させるために必要な印加電圧の特性を示した。図3では、シアン粒子Cの印加電圧特性を特性50C、マゼンダ粒子Mの印加電圧特性を特性50M、凝集体CMの印加電圧特性を特性50CMで表わしている。
【0088】
また、図3は、背面側電極4をグランド(0V)として表面側電極3に印加されたパルス電圧と、各粒子群による表示濃度との関係を示したものである。
【0089】
図3に示すように、背面基板2側のマゼンダ粒子Mが表示基板1側へ移動開始する移動開始電圧(閾値電圧)は+V1(例えば+10V)であり、背面基板2側のマゼンダ粒子Mが表示基板1側へ移動終了する移動終了電圧は+V2(例えば+30V)である。
【0090】
また、表示基板1側のマゼンダ粒子Mが背面基板2側へ移動開始する移動開始電圧は−V1(例えば−10V)であり、表示基板1側のマゼンダ粒子Mが背面基板2側へ移動終了する移動終了電圧は−V2(例えば−30V)である。
【0091】
また、図3に示すように、背面基板2側のシアン粒子Cが表示基板1側へ移動開始する移動開始電圧は−V1であり、背面基板2側のシアン粒子Cが表示基板1側へ移動終了する移動終了電圧は−V2である。
【0092】
また、表示基板1側のシアン粒子Cが背面基板2側へ移動開始する移動開始電圧は+V1であり、表示基板1側のシアン粒子Cが背面基板2側へ移動終了する移動終了電圧は+V2である。なお、|V1|〜|V2|の範囲の電圧は、第1の電位差に相当する電圧である。
【0093】
また、図3に示すように、背面基板2側の凝集体CMが表示基板1側へ移動開始する移動開始電圧は−Vg1(例えば−3V)であり、背面基板2側の凝集体CMが表示基板1側へ移動終了する移動終了電圧は−Vg2(例えば−8V)である。
【0094】
また、表示基板1側の凝集体CMが背面基板2側へ移動開始する移動開始電圧は+Vg1(例えば+3V)であり、表示基板1側の凝集体CMが背面基板2側へ移動終了する移動終了電圧は+Vg2(例えば+8V)である。なお、|Vg1|〜|Vg2|の範囲の電圧は、第2の電位差に相当する電圧である。
【0095】
次に、各色の表示について説明する。なお、背面側電極4はグランド(0V)とする。また、マゼンダ粒子M及びシアン粒子Cは同量ずつ基板間に封入されているものとする。
【0096】
‐マゼンタ色表示‐
【0097】
図2(a)に示されるように、表示側電極3に+V2(例えば+30V)の電圧を印加すると、負帯電のマゼンタ粒子Mは表示側電極3に、正帯電のシアン粒子Cは背面側電極4にそれぞれ単独で泳動して各電極の全面に付着した状態となる。これにより表示側電極3及び表示基板1を通じてマゼンタ粒子群によるマゼンタ色が表示(M表示)される。
【0098】
‐シアン色表示‐
【0099】
一方、図2(b)に示されるように、表示側電極3に−V2(例えば−30V)の電圧を印加すると、正帯電のシアン粒子Cは表示側電極3に、負帯電のマゼンタ粒子Mは背面側電極4にそれぞれ単独で泳動して各電極の全面に付着した状態となる。これにより表示側電極3及び表示基板1を通じてシアン粒子C群によるシアン色が表示(C表示)される。
【0100】
‐白色表示‐
【0101】
各電極3、4に印加する電圧の正負を逆にして、マゼンタ色表示からシアン色表示に切り替わるまでの時間をTmc(第1の時間に相当、例えば1秒)とすると、マゼンタ色表示の状態でTmcよりも短い時間(第2の時間に相当、例えば0.3秒)の短パルスの電圧を印加して電圧をオフ(0V)にすると、図2(c)に示されるように、各粒子群は電極3、4から離れ、対向する電極に向かう泳動途中で凝集体(凝集体CM)を形成する。あるいは、シアン色表示からマゼンタ色表示に切り替わるまでの時間をTcm(例えば1秒)とすると、シアン色表示の状態でTcmよりも短い時間(例えば0.3秒)で電圧を印加して凝集体を形成してもよい。
【0102】
凝集体全体としては、凝集体を構成する各粒子C、Mの帯電量の大きさ、数などによって負帯電又は正帯電となる。本実施形態では凝集体が正帯電として説明するが、負帯電であってもよい。
【0103】
そして、凝集体CMが各粒子群に分離せずに凝集体として移動する程度の低い電圧、例えば、表示側電極3に+Vg2(例えば+8V)の電圧を印加すると、図2(d)に示されるように、正帯電の凝集体は背面側電極4側に泳動して背面側電極4に付着した状態となる。このとき表示側基板側から見ると、分散媒に泳動せずに分散している白色粒子群(図2では不図示)による白色表示(W表示)が得られる。なお、白色粒子を用いずに、白色の分散媒液を用いて白色表示を実現してもよい。
【0104】
なお、白色表示のときに、凝集体CMをそれぞれの粒子群に分かれるより高い電圧、例えば表示側電極3に+V2の電圧を印加することで、マゼンタ色表示(M表示)に変化する。
【0105】
‐青色表示‐
【0106】
一方、前記マゼンタ色表示又はシアン色表示から一端凝集体を形成し、例えば、表示側電極3に−Vg2(例えば−8V)の電圧を印加すると、正帯電の凝集体CMは、図2(e)に示されるように表示側電極側に泳動して表示側電極3に付着した状態となる。これにより、マゼンタ粒子群とシアン粒子群との凝集体による青色表示(B表示)に変化する。
【0107】
また、白色表示において、凝集体CMが粒子の種類ごとに分離する電圧、例えば表示側電極3に+V2の電圧を印加すると、シアン粒子Cは表示側電極3側に、マゼンタ粒子Mは背面側電極側にそれぞれ引き付けられてシアン色表示(C表示)に変化する。
【0108】
上記のように、単独で泳動するだけでなく、予め定めた電圧を印加したときに異種粒子間で凝集体を形成して泳動する2種類の電気泳動粒子群を用い、各電極3、4に印加する電圧の強度及び時間を制御することによって4色の表示が実現される。
【0109】
‐マゼンタ色の階調表示‐
【0110】
図2(c)に示される状態、すなわち、凝集体CMが液中に形成された状態から表示側電極3に+V2の電圧を印加すると、マゼンダ粒子Mが表示側電極3に、シアン粒子Cが背面側電極4側に移動し、マゼンダ色が表示される。
【0111】
図4(A)には、背面側電極4をグランド(0V)にし、表示側電極3に+30V、+20V、+15V、+10Vを印加した場合における表示基板側及び背面基板側へ移動する粒子の量を示した。なお、図4以下の各図面においては、マゼンダ粒子Mの粒子量を60M、シアン粒子Cの移動量を60C、凝集体CMの移動量を60CMで表わしている。
【0112】
図4(A)に示すように、表示側電極3に+V2以上である+30Vの電圧を印加した場合は、凝集体CMが全て解離し、全てのマゼンダ粒子Mが表示基板側に移動すると共に、全てのシアン粒子Cが背面基板側に移動する。
【0113】
表示側電極3に+V1以上で且つ+V2以下である+20Vの電圧を印加した場合は、全マゼンダ粒子Mのうち例えば50%程度のマゼンダ粒子Mが凝集体CMから解離して表示基板側に移動する。また、残りの50%程度のマゼンダ粒子Mと、全シアン粒子Cのうち50%程度のシアン粒子Cと、が凝集した凝集体CMが背面基板側に移動すると共に、残りの50%程度のシアン粒子Cが凝集体CMから解離して背面基板側に移動する。
【0114】
表示側電極3に+V1以上で且つ+V2以下である+15Vの電圧を印加した場合は、全マゼンダ粒子Mのうち例えば30%程度のマゼンダ粒子Mが凝集体CMから解離して表示基板側に移動する。また、残りの70%程度のマゼンダ粒子Mと、全シアン粒子Cのうち70%程度のシアン粒子Cと、が凝集した凝集体CMが背面基板側に移動すると共に、残りの30%程度のシアン粒子Cが凝集体CMから解離して背面基板側に移動する。
【0115】
表示側電極3に+Vg2以上で且つ+V1以下である+10Vの電圧を印加した場合は、凝集体CMは解離せず、全マゼンダ粒子Mと全シアン粒子Cとが凝集した凝集体CMが背面基板側に移動する。
【0116】
従って、マゼンダ色を階調表示する場合は、凝集体CMが液中に形成された状態から、表示側電極3に+V1以上で且つ+V2以下の範囲内の電圧を階調に応じて印加すればよい。
【0117】
‐シアン色の階調表示‐
【0118】
図4(B)には、背面側電極4をグランド(0V)にし、表示側電極3に−30V、−20V、−15V、−10Vを印加した場合における表示基板側及び背面基板側へ移動する粒子の量を示した。
【0119】
図4(B)に示すように、表示側電極3に−V2以下である−30Vの電圧を印加した場合は、凝集体CMが全て解離し、全てのシアン粒子Cが表示基板側に付着すると共に、全てのマゼンダ粒子Mが背面基板側に移動する。
【0120】
表示側電極3に−V2以上で且つ−V1以下である−20Vの電圧を印加した場合は、全シアン粒子Cのうち例えば50%程度のシアン粒子Cが凝集体CMから解離して表示基板側に移動すると共に、残りの50%程度のシアン粒子Cと、全マゼンダ粒子Mのうち50%程度のマゼンダ粒子Mと、が凝集した凝集体CMが表示基板側に移動する。また、残りの50%程度のマゼンダ粒子Mが凝集体CMから解離して背面基板側に移動する。
【0121】
表示側電極3に−V2以上で且つ−V1以下である−15Vの電圧を印加した場合は、全シアン粒子Cのうち例えば30%程度のシアン粒子Cが凝集体CMから解離して表示基板側に移動すると共に、残りの70%程度のシアン粒子Cと、全マゼンダ粒子Mのうち70%程度のマゼンダ粒子Mと、が凝集した凝集体CMが表示基板側に移動する。また、残りの30%程度のマゼンダ粒子Mが凝集体CMから解離して背面基板側に移動する。
【0122】
表示側電極3に−V1以上で且つ−Vg2以下である−10Vの電圧を印加した場合は、凝集体CMは解離せず、全マゼンダ粒子Mと全シアン粒子Cとが凝集した凝集体CMが表示基板側に移動する。
【0123】
このように、−V2以上で且つ−V1以下の電圧を表示側電極3に印加しただけでは、シアン粒子Cと帯電極性が同一の凝集体CMが表示基板側へ移動してしまう。
【0124】
このため、図4(B)の状態で、+Vg2の電圧を表示側電極3に印加する。これにより、図4(C)に示すように、一旦表示基板側に移動した凝集体CMが背面基板側に移動し、シアン粒子Cのみが表示基板側に残る。
【0125】
このように、シアン粒子Cの階調表示を行う場合には、凝集体CMが液中に形成された状態から、表示側電極3に−V2以上で且つ−V1以下の範囲内の電圧を階調に応じて印加し、その後、+Vg2の電圧を表示側電極3に印加することにより、一旦表示基板側に移動した凝集体CMを背面基板側に移動させればよい。
【0126】
‐青色(凝集体CMの色)の階調表示‐
【0127】
図5には、図2(c)に示される状態、すなわち、凝集体CMが液中に形成された状態から表示側電極3に+Vg2の電圧を印加して、全ての凝集体CMが背面基板側に移動した状態から、−Vg2以上で且つ−Vg1以下の電圧である−8V、−6V、−4V、0Vの電圧を表示側電極3に印加した場合における表示基板側及び背面基板側へ移動する凝集体CMの量を示した。
【0128】
なお、凝集体CMは、マゼンダ粒子M及びシアン粒子Cの全てが一つの塊として凝集するわけではなく、ある程度の大きさで凝集して安定する。例えば、数μm程度の凝集体が多数形成されて、各凝集体が基板間を移動する。
【0129】
図5に示すように、表示側電極3に−Vg2である−8Vの電圧を印加した場合は、全ての凝集体CMが表示基板側に移動する。
【0130】
表示側電極3に−6Vの電圧を印加した場合は、全ての凝集体CMのうち例えば70%程度の凝集体CMが表示基板側に移動すると共に、残りの30%程度の凝集体CMが背面基板側に移動する。
【0131】
表示側電極3に−4Vの電圧を印加した場合は、全ての凝集体CMのうち例えば30%程度の凝集体CMが表示基板側に移動すると共に、残りの70%程度の凝集体CMが背面基板側に移動する。
【0132】
表示側電極3に0Vの電圧を印加した場合は、全ての凝集体CMが背面基板側に残ったままである。
【0133】
従って、凝集体CMの色である青色を階調表示する場合は、凝集体CMを液中に形成して背面基板側に全て移動させた状態から、表示側電極3に−Vg2以上で且つ−Vg1以下の範囲内の電圧を階調に応じて印加すればよい。
【0134】
なお、凝集体CMを液中に形成して表示基板側に全て移動させた状態から、表示側電極3に+Vg1以上で且つ+Vg2以下の範囲内の電圧を階調に応じて印加することにより、階調表示するようにしてもよい。
【0135】
‐青色(凝集体CMの色)の色調表示‐
【0136】
図6には、シアン粒子Cの粒子量とマゼンダ粒子Mの粒子量との比が異なる青色の色調表示を行う場合の電圧印加の例を示した。
【0137】
例えば全マゼンダ粒子Mのうち80%のマゼンダ粒子Mと、全シアン粒子Cのうち50%のシアン粒子Cと、によって青色を表示する場合、まず、マゼンダ粒子Mとシアン粒子Cとの差分、すなわち80%−50%=30%のマゼンダ粒子Mを表示基板側へ移動させる。すなわち、必要な粒子量が多い方の粒子を、必要な粒子量が少ない方の粒子量との差分の粒子量だけ表示基板側に移動させる。
【0138】
具体的には、図6に示すように、まずこれまで説明してきたのと同様に凝集体CMを形成したあと、表示側電極3に+V1以上で且つ+V2以下である+15Vの電圧(第3の電位差に相当する電圧)を印加する。これにより、全マゼンダ粒子Mのうち30%のマゼンダ粒子Mが凝集体CMから解離して表示基板側に移動する。また、残りの70%のマゼンダ粒子Mと、全シアン粒子Cのうち70%のシアン粒子Cと、が凝集した凝集体CMが背面基板側に移動すると共に、残りの30%程度のシアン粒子Cが凝集体CMから解離して背面基板側に移動する。
【0139】
次に、70%のマゼンダ粒子Mと70%のシアン粒子Cとが凝集した凝集体CMのうち、50%のマゼンダ粒子Mと50%のシアン粒子Cとが凝集した凝集体CMを表示基板側へ移動させる。
【0140】
具体的には、図6に示すように、−Vg2以上で且つ−Vg1以下の電圧であって、50%の凝集体CMを表示基板側へ移動させるための−数V(例えば−6V)の電圧(第4の電位差に相当する電圧)を表示側電極3に印加する。これにより、50%のマゼンダ粒子Mと50%のシアン粒子Cとが凝集した凝集体CMが表示基板側へ移動するため、先に表示基板側へ移動した30%のマゼンダ粒子Mと併せて、80%のマゼンダ粒子Mと、50%のシアン粒子Cと、による青色が表示される。
【0141】
同様に、例えば全マゼンダ粒子Mのうち99%のマゼンダ粒子Mと、全シアン粒子Cのうち10%のシアン粒子Cと、によって青色を表示する場合、まず、マゼンダ粒子Mとシアン粒子Cとの差分である89%のマゼンダ粒子Mを表示基板側へ移動させ、その後、10%のマゼンダ粒子Mと10%のシアン粒子Cとが凝集した凝集体CMを表示基板側に移動させればよい。
【0142】
次に、例えば全シアン粒子Cのうち80%のシアン粒子Cと、全マゼンダ粒子Mのうち50%のマゼンダ粒子Mと、によって青色を表示する場合について説明する。
【0143】
この場合、まず、シアン粒子Cとマゼンダ粒子Mとの差分、すなわち80%−50%=30%のシアン粒子Cを表示基板側へ移動させる。
【0144】
具体的には、図6に示すように、表示側電極3に−V2以上で且つ−V1以下である−15Vの電圧(第3の電位差に相当する電圧)を印加する。これにより、全シアン粒子Cのうち30%のシアン粒子Cが凝集体CMから解離して表示基板側に移動すると共に、残りの70%のマゼンダ粒子Mと、全シアン粒子Cのうち70%のシアン粒子Cと、が凝集した凝集体CMが表示基板側に移動する。また、残りの30%のマゼンダ粒子Mが凝集体CMから解離して背面基板側に移動する。
【0145】
次に、70%のマゼンダ粒子Mと70%のシアン粒子Cとが凝集した凝集体CMのうち、20%のマゼンダ粒子Mと20%のシアン粒子Cとが凝集した凝集体CMを背面基板側へ移動させる。
【0146】
具体的には、図6に示すように、+Vg1以上で且つ+Vg2以下の電圧であって、20%の凝集体CMを表示基板側へ移動させるための+数V(例えば+4V)の電圧(第5の電位差に相当する電圧)を表示側電極3に印加する。これにより、20%のマゼンダ粒子Mと20%のシアン粒子Cとが凝集した凝集体CMが背面基板側へ移動するため、先に表示基板側へ移動した30%のシアン粒子Cと併せて、80%のシアン粒子Cと50%のマゼンダ粒子Mとによる青色が表示される。
【0147】
同様に、例えば全シアン粒子Cのうち20%のシアン粒子Cと、全マゼンダ粒子Mのうち5%のマゼンダ粒子Mと、によって青色を表示する場合、まず、シアン粒子Cとマゼンダ粒子Mとの差分である15%のシアン粒子Cと、85%のマゼンダ粒子Mと85%のシアン粒子Cとが凝集した凝集体CMと、を表示基板側に移動させ、その後、余分な80%のマゼンダ粒子Mと80%のシアン粒子Cとが凝集した凝集体CMを背面基板側へ移動させればよい。
【0148】
<第2実施形態>
【0149】
次に、3種類の電気泳動粒子を用い、一対の電極間に印加された電圧に応じて、少なくとも単独で泳動し、第1粒子群及び第2粒子群に対する凝集力が、第1粒子群と第2粒子群との凝集体の凝集力とは異なる第3粒子群を有する表示媒体について説明する。
【0150】
本実施形態に係る表示媒体は、分散媒中に、電気泳動粒子として、正帯電のシアン粒子Cと、負帯電のマゼンタ粒子Mと、シアン粒子C及びマゼンタ粒子Mよりも大径であり、負帯電の黄色粒子Yとが分散されている。
【0151】
シアン粒子群Cとマゼンタ粒子群Mは互いに凝集して凝集体を形成する。黄色粒子群Yは異種の粒子群に対する凝集性はないか、シアン粒子群Cとマゼンタ粒子群Mとの凝集力と比べて、シアン粒子群C及びマゼンタ粒子群Mのそれぞれに対する凝集力が極めて小さく、異種の粒子群C、Mと凝集体を形成しない。
【0152】
各粒子の大きさは、シアン粒子Cとマゼンタ粒子Mがそれぞれ黄色粒子群の粒子間を通過可能であればよい。大径の黄色粒子Yは、小径であるシアン粒子C及びマゼンタ粒子Mに比べて帯電量が大きいため、これらよりも電極間に印加される電圧に対する応答性が高い。黄色粒子Yの粒径は、シアン粒子Cとマゼンタ粒子Mに比べて電圧(電位)に対する応答性が高いこと、及び、シアン粒子Cとマゼンタ粒子Mが黄色粒子間をすり抜け易いことなどの観点から、シアン粒子C、マゼンタ粒子Mの各粒径の10倍以上であることが望ましい。
【0153】
なお、本明細書において、粒径とは粒子の体積平均粒子径のことであり、ホリバLA−300(レーザー光散乱・回折式粒度測定装置)によって測定される値である。
【0154】
図7には、本実施形態に係る表示装置100において、シアン粒子C、マゼンダ粒子M、シアン粒子C及びマゼンダ粒子Mの凝集体CM、黄色粒子Yを表示基板1側、背面基板2側に移動させるために必要な印加電圧の特性を示した。図7では、シアン粒子Cの印加電圧特性を特性50C、マゼンダ粒子Mの印加電圧特性を特性50M、凝集体CMの印加電圧特性を特性50CM、黄色粒子Yの印加電圧特性を特性50Yで表わしている。同図に示すように、シアン粒子C、マゼンダ粒子M、及び凝集体CMの印加電圧特性は図3と同一である。
【0155】
また、図7は、背面側電極4をグランド(0V)として表面側電極3に印加されたパルス電圧と、各粒子群による表示濃度との関係を示したものである。
【0156】
図7に示すように、背面基板2側の黄色粒子Yが表示基板1側へ移動開始する移動開始電圧(閾値電圧)は+Vy1であり、背面基板2側の黄色粒子Yが表示基板1側へ移動終了する移動終了電圧は+Vy2である。
【0157】
また、表示基板1側の黄色粒子Yが背面基板2側へ移動開始する移動開始電圧(閾値電圧)は−Vy1であり、表示基板1側の黄色粒子Yが背面基板2側へ移動終了する移動終了電圧は−Vy2である。なお、|Vy1|〜|Vy2|の範囲の電圧は、第6の電位差に相当する電圧である。
【0158】
‐シアン色表示‐
【0159】
シアン色表示を行う場合に印加する電圧は第1実施形態の場合と同様である。すなわち、表示側電極3に−V2の電圧を印加することで、表示基板側にはシアン粒子Cが引き付けられると共にマゼンダ粒子M及び黄色粒子Yが背面基板側に引き付けられて、図8に示すようにシアン色表示となる。
【0160】
‐赤色表示‐
【0161】
シアン色表示から赤色表示に変化させる場合は、シアン色が表示された状態において、表示側電極3に+Vy2の電圧を印加する。これにより、黄色粒子Yのみが表示基板側へ移動し、図8に示すように赤色表示となる。
【0162】
‐マゼンダ色表示‐
【0163】
赤色表示からマゼンダ色表示に変化させる場合は、赤色が表示された状態において、表示側電極3に−Vy2の電圧を印加する。これにより、黄色粒子Yのみが背面基板側へ移動し、図8に示すようにマゼンダ色表示となる。
【0164】
‐緑色表示‐
【0165】
シアン色表示から緑色表示に変化させる場合は、シアン色が表示された状態において、表示側電極3に+Vy2の電圧を印加する。これにより、黄色粒子Yのみが表示基板側へ移動し、図8に示すように緑色表示となる。
【0166】
‐黄色表示‐
【0167】
黄色表示を行う場合には、まず第1実施形態と同様に図2(c)に示すように一端凝集体CMを形成させる。次に、この状態において、表示側電極3に+Vg2の電圧を印加する。これにより、黄色粒子Yが表示基板側へ移動すると共に、凝集体CMが背面基板側へ移動し、図9に示すように黄色表示となる。
【0168】
‐青色表示‐
【0169】
黄色表示から青色表示に変化させる場合には、黄色が表示された状態において、表示側電極3に−Vg2の電圧を印加する。これにより、黄色表示の状態から黄色粒子Yが背面基板側へ移動すると共に、凝集体CMが表示基板側へ移動し、図9に示すように青色表示となる。
【0170】
‐黒色表示‐
【0171】
青色表示から黒色表示に変化させる場合には、青色が表示された状態において、表示側電極3に+Vy2の電圧を印加する。これにより、青色表示の状態から黄色粒子Yが表示基板側へ移動し、図9に示すように黒色表示となる。
【0172】
‐白色表示‐
【0173】
黄色表示から白色表示に変化させる場合には、黄色が表示された状態において、表示側電極3に−Vy2の電圧を印加する。これにより、黄色表示の状態から黄色粒子Yが背面基板側へ移動し、図9に示すように白色表示となる。
【0174】
‐黄色の階調表示‐
【0175】
図10には、凝集体CMが形成された状態から、+Vy1以上で且つ+Vy2以下の電圧である+1V、+2V、+3Vの電圧を通常パルス(例えば1秒)で表示側電極3に印加した場合と、+Vy1以上で且つ+Vy2以下の電圧である+4V、+7V、+10Vの電圧を短パルス(例えば0.1秒)で表示側電極3に印加した場合と、における表示基板側及び背面基板側へ移動する黄色粒子Yの量を示した。
【0176】
図10に示すように、表示側電極3に印加する電圧の大きさに応じて表示基板側へ移動する黄色粒子Yの量が変化する。
【0177】
従って、黄色を階調表示する場合は、白色表示の状態から、表示側電極3に+Vy1以上で且つ+Vy2以下の範囲内の電圧を階調に応じて印加すればよい。
【0178】
また、凝集体CMが黄色粒子Yよりも大きく、黄色粒子Yよりも応答性が高く且つ低閾値の場合もある。この場合、必要な量の黄色粒子Yを先に移動させ、その後凝集体CMを移動させればよい。
【0179】
なお、図11の電圧印加特性70Aで示すように、凝集体CMが形成された状態において+10Vの電圧を通常パルス(例えば1秒)で表示側電極3に印加した場合には、凝集体CMが背面基板側に移動すると共に黄色粒子Yが表示基板側へ移動するため、黄色表示となる。また、凝集体CMが形成された状態において−10Vの電圧を通常パルスで表示側電極3に印加した場合には、凝集体CMが表示基板側に移動すると共に黄色粒子Yが背面基板側へ移動するため、青色表示となる。
【0180】
黄色表示の状態から白色表示を行う場合、前述したように、+Vy2の電圧(例えば+3V)を通常パルスで印加すればよいが、黄色粒子Yは、その他の粒子よりも応答性が高く、閾値電圧が低いため、+Vy2以上の電圧(第7の電位差に相当する電圧、例えば+10Vの電圧)で短パルス(第3の時間、例えば0.1秒)の電圧を印加するようにしてもよい。例えば図11の電圧印加特性70Bで示すように、黄色表示の状態から+10Vの電圧を短パルスで表示側電極3に印加すると、黄色粒子Yのみが表示基板側に移動し、凝集体CMは表示基板側に残ったままで背面基板側に移動しない。すなわち、短パルスの場合は閾値電圧が高くなるが、応答性も高くなる。青色表示の状態から黒色表示する場合も同様である。
【0181】
また、図11の電圧印加特性70Cで示すように、+30Vの電圧を通常パルス(例えば1秒)で表示側電極3に印加した場合には、マゼンダ粒子M及び黄色粒子Yが表示基板側に移動すると共にシアン粒子Cが背面基板側へ移動するため、赤色表示となる。また、−30Vの電圧を通常パルスで表示側電極3に印加した場合には、シアン粒子Cが表示基板側に移動すると共にマゼンダ粒子M及び黄色粒子Yが背面基板側へ移動するため、シアン色表示となる。
【0182】
シアン色表示の状態からマゼンダ色表示を行う場合、前述したように、+Vy2の電圧(例えば+3V)を通常パルスで印加すればよいが、この場合も、−Vy2以上の電圧(例えば+10Vの電圧)で短パルス(例えば0.1秒)の電圧を印加するようにしてもよい。例えば図11の電圧印加特性70Dで示すように、シアン色表示の状態から+10Vの電圧を短パルスで表示側電極3に印加すると、黄色粒子Yのみが表示基板側に移動し、凝集体CMは表示基板側に残ったままで背面基板側に移動しない。赤色表示の状態からマゼンダ色表示する場合も同様である。
【0183】
このように、黄色粒子Yに関しては、低電圧(例えば±3V)の電圧を通常パルスで印加するのではなく、絶対値が低電圧よりも高い高電圧(±10V)の電圧を短パルスで印加することにより、応答性を高めるようにしてもよい。
【0184】
上記のように、3種の電気泳動粒子として、凝集体を形成する2種の小径粒子と、これらの小径粒子よりも応答性が高く、異種粒子とは凝集しない1種の大径粒子を用い、これらの粒子の凝集力の差と応答性の差を利用して、電極間に印加する電圧の強度及び時間を制御することによって、8色の表示が実現される。
【0185】
以下、本実施形態で用いる電気泳動粒子と分散媒についてさらに具体的に説明する。
【0186】
本実施形態で用いる電気泳動粒子(帯電粒子)は、帯電基を有する高分子及び着色剤を含有する着色粒子と、着色粒子の表面に結合又は被覆された、反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子と、を含んで構成される。つまり、本実施形態に係る帯電粒子は、1)着色粒子の表面に反応性シリコーン系高分子が結合又は被覆された帯電粒子、2)着色粒子の表面に反応性長鎖アルキル系高分子が結合又は被覆された帯電粒子である。なお、分散媒は、後述する粒子の製造方法で利用する第1溶媒で説明するものが用いられる。
【0187】
本実施形態に係る帯電粒子は、電界に応じて移動するものであり、分散媒に分散された状態において帯電特性を有し、形成された電界に応じて分散媒内を移動するものである。そして、本実施形態に係る帯電粒子(表示用分散液)は、上記構成とすることで、安定した分散性及び帯電特性を持つ粒子となるものである。帯電特性は、粒子の帯電極性及び帯電量を示しており、本実施形態ではこの帯電極性及び帯電量の変動が抑制され、安定化される。
【0188】
本実施形態に係る帯電粒子は上記特性を有することから、帯電極性の異なる複数種類の帯電粒子が混合された系でも、安定した分散性及び帯電特性が維持される。帯電極性の異なる複数種類の帯電粒子は、例えば、後述する帯電基を有する高分子の当該帯電基を変更することで得られる。
【0189】
着色粒子は、帯電基を有する高分子と、着色剤と、必要に応じてその他の配合材料と、を含んで構成される。
【0190】
帯電基を有する高分子は、帯電基として例えばカチオン性基又はアニオン性基を有する高分子である。帯電基としてのカチオン性基は、例えば、アミノ基、4級アンモニウム基が挙げられ(これら基の塩も含む)、このカチオン基により粒子に正帯電極性が付与される。一方、帯電基としてのアニオン性基としては、例えば、フェノール基、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基及びテトラフェニルボロン基が挙げられ(これら基の塩も含む)、このアニオン性基により粒子に負帯電極性が付与される。
【0191】
帯電基を有する高分子として、具体的には、例えば、帯電基を有する単量体の単独重合体であってもよいし、帯電基を有する単量体と他の単量体(帯電基を持たない単量体)との共重合体が挙げられる。
【0192】
帯電基を有する単量体としては、カチオン性基を有する単量体(以下、カチオン性単量体)、アニオン性基を有する単量体(以下、アニオン性単量体)が挙げられる。
【0193】
カチオン性単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。具体的には、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−オクチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族アミノ基を有する(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジオクチルアミノスチレン等の含窒素基を有する芳香族置換エチレン系単量体類、ビニル−N−エチル−N−フェニルアミノエチルエーテル、ビニル−N−ブチル−N−フェニルアミノエチルエーテル、トリエタノールアミンジビニルエーテル、ビニルジフェニルアミノエチルエーテル、N−ビニルヒドロキシエチルベンズアミド、m−アミノフェニルビニルエーテル等の含窒素ビニルエーテル単量体類、ビニルアミン、N−ビニルピロール等のピロール類、N−ビニル−2−ピロリン、N−ビニル−3−ピロリン等のピロリン類、N−ビニルピロリジン、ビニルピロリジンアミノエーテル、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリジン類、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、N−ビニルイミダゾリン等のイミダゾリン類、N−ビニルインドール等のインドール類、N−ビニルインドリン等のインドリン類、N−ビニルカルバゾール、3、6−ジブロム−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピロジン等のピリジン類、(メタ)アクリルピペリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピペラジン等のピペリジン類、2−ビニルキノリン、4−ビニルキノリン等のキノリン類、N−ビニルピラゾール、N−ビニルピラゾリン等のピラゾール類、2−ビニルオキサゾール等のオキサゾール類、4−ビニルオキサジン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等のオキサジン類などが挙げられる。
【0194】
また、汎用性から特に好ましいカチオン性単量体としては、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの脂肪族アミノ基を有する(メタ)アクリレート類が好ましく、特に重合前あるいは重合後に4級アンモニウム塩とした構造で使用されることが好ましい。4級アンモニウム塩化は、前記化合物をアルキルハライド類やトシル酸エステル類と反応することで得られる。
【0195】
一方、アニオン性単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0196】
具体的には、アニオン性単量体のうち、カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、又はそれらの無水物及びそのモノアルキルエステルやカルボキシエチルビニルエーテル、カルボキシプロピルビニルエーテルの如きカルボキシル基を有するビニルエーテル類等がある。
【0197】
スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリックアシッドエステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコニックアシッドエステル等及びその塩がある。また、その他2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸モノエステル及びその塩がある。
【0198】
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等がある。
【0199】
好ましいアニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸やスルホン酸を持ったものであり、より好ましくは重合前あるいは重合後にアンモニウム塩となった構造のものである。アンモニウム塩は、3級アミン類あるいは4級アンモニウムハイドロオキサイド類と反応させることで作製される。
【0200】
また、他の単量体としては、非イオン性単量体(ノニオン性単量体)が挙げられ、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、スチレン、ビニルカルバゾール、スチレン、スチレン誘導体、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0201】
ここで、帯電基を有する単量体と他の単量体との共重合比は、所望の粒子の帯電量に応じて適宜変更される。通常は帯電基を有する単量体と他の単量体との共重合比がそのモル比で1:100乃至100:0からの範囲で選択される。
【0202】
帯電基を有する高分子の重量平均分子量としては、1000以上100万以下が望ましく、より望ましくは1万以上20万以下である。
【0203】
次に、着色剤について説明する。着色剤としては、有機若しくは無機の顔料や、油溶性染料等が使用され、マグネタイト、フェライト等の磁性紛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤が挙げられる。具体的には、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等を代表的なものとして例示される。
【0204】
着色剤の配合量としては、帯電基を持つ高分子に対し10質量%以上99質量%以下が望ましく、望ましくは30質量%以上99質量%以下である。
【0205】
次にその他の配合材料を説明する。その他の配合材料としては、例えば帯電制御剤、磁性材料が挙げられる。
【0206】
帯電制御剤としては、電子写真用トナー材料に使用される公知のものが使用され、例えば、セチルピリジルクロライド、BONTRON P−51、BONTRON P−53、BONTRON E−84、BONTRON E−81(以上、オリエント化学工業社製)等の第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、酸化金属微粒子、各種カップリング剤により表面処理された酸化金属微粒子が挙げられる。
【0207】
磁性材料としては、必要に応じてカラーコートした無機磁性材料や有機磁性材料を使用する。また、透明な磁性材料、特に、透明有機磁性材料は着色顔料の発色を阻害せず、比重も無機磁性材料に比べて小さく、より望ましい。
【0208】
着色した磁性材料(カラーコートした材料)として、例えば、特開2003−131420公報記載の小径着色磁性粉が用いられる。核となる磁性粒子と該磁性粒子表面上に積層された着色層とを備えたものが用いられる。そして、着色層としては、顔料等により磁性粉を不透過に着色する等適宜選定して差し支えないが、例えば光干渉薄膜を用いるのが好ましい。この光干渉薄膜とは、SiOやTiO等の無彩色材料を光の波長と同等な厚みを有する薄膜にしたものであり、薄膜内の光干渉により光の波長を選択的に反射するものである。
【0209】
次に、着色粒子の表面に結合又は被覆させる反応性シリコーン系高分子及び反応性長鎖アルキル系高分子について説明する。
【0210】
反応性シリコーン系高分子及び反応性長鎖アルキル系高分子は、反応性の分散剤であり、以下のものが挙げられる。
【0211】
反応性シリコーン系高分子の一つとしては以下の各成分(A.シリコーン鎖成分、B.反応性成分、C.その他共重合成分)からなる共重合体が挙げられる。
【0212】
A.シリコーン鎖成分
【0213】
シリコーン鎖成分としては、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマ(例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711、FM−0721、FM−0725等、信越シリコーン(株):X−22−174DX、 X−22−2426、 X−22−2475等)が挙げられる。
【0214】
B.反応性成分
【0215】
反応性成分としては、グリシジル(メタ)アクリレート、イソシアネート系モノマ(昭和電工:カレンズAOI、カレンズMOI)などが使用される。
【0216】
C.その他共重合成分
【0217】
その他共重合成分としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート。エチレンオキシドユニットをもったモノマ、例えばテトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレートなどのアルキルオキシオリゴエチレングリコールの(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの片末端(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、N、N−ジアルキルアミノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0218】
上記のうち成分A、Bは必須成分であり、成分Cは必要に応じて共重合する。
【0219】
なお、異種粒子がそれぞれ単独で泳動したり、凝集体を形成して泳動したりする帯電粒子とする場合は、3成分の共重合比はA.シリコーン鎖成分が80質量%以上、より好ましくは90質量%以上あることが望ましい。非シリコーン鎖成分が20質量%よりも多くなると、界面活性能力が下がり、生成する粒子の粒径が大きくなったり、生成粒子の凝集が発生しやすく、また、異種粒子がそれぞれ単独で泳動し難くなる。また、B.反応性成分が10質量%以上0.1質量%以下の範囲であることが望ましい。10質量%よりも多くなると作製した電気泳動粒子に反応性基が残存し、粒子の凝集を引き起こし易く、0.1質量%よりも少ないと粒子表面への結合が不完全になり易い。
【0220】
また、上記の共重合体以外の反応性シリコーン系化合物としては片末端にエポキシ基をもったシリコーン化合物、例えば、信越シリコーン社製:X−22−173DX等が挙げられる。これらの中でも、優れた反応性と界面活性能を持つという点から、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマ(例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711、FM−0721、FM−0725等、信越シリコーン(株):X−22−174DX、X−22−2426、X−22−2475等)とグリシジル(メタ)アクリレート、あるいはイソシアネート系モノマ(昭和電工:カレンズAOI、カレンズMOI)のとの少なくとも2成分からなる共重合体が好適である。
【0221】
反応性シリコーン系高分子の重量平均分子量としては、1000以上100万以下が望ましく、より望ましくは1万以上100万以下である。
【0222】
反応性長鎖アルキル系高分子としては、例えば上記したシリコーン系共重合体と類似した構成のもので、成分A.シリコーン鎖成分の代わりに長鎖アルキル成分A’として長鎖アルキル(メタ)アクリレートを用いたものが挙げられる。長鎖アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては炭素数4以上のアルキル鎖をもったものが好ましく、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、優れた反応性と界面活性能を持つという点から、長鎖アルキル(メタ)アクリレートとグリシジル(メタ)アクリレート、あるいはイソシアネート系モノマ(昭和電工:カレンズAOI、カレンズMOI)の少なくとも2成分からなる共重合体 が好適である。また、共重合体中の成分A’、B、Cの組成比は前述の反応性シリコーン系高分子と同様な範囲から選択される。
【0223】
なお、反応性長鎖アルキル系高分子の「長鎖」とは、例えば、炭素数4以上30以下程度のアルキル鎖を側鎖に有する高分子を意味する。
【0224】
反応性長鎖アルキル系高分子の重量平均分子量としては、1000以上100万以下が望ましく、より望ましくは1万以上100万以下である。
【0225】
反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子を着色粒子の表面に結合又は被覆させるが、ここで「結合」とは、高分子の反応性基と着色粒子の表面に有する官能基(官能基が前記した帯電基を兼ねていても良い)とを結合させることを示し、「被覆」とは、反応性高分子の反応基が着色粒子表面の官能基や別途、系に添加された化学物質によって重合等の反応を起こして、粒子表面に層と形成して着色粒子表面を覆っている状態を示す。ここで、結合と被覆との選択的に行う手法としては、例えば、結合させる場合、上記のように官能基(帯電基)と積極的に結合する反応性基を持つ反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子を選択する(例えば、粒子上の官能基としてとして酸基、酸塩基、アルコラート基、フェノラート基、反応性基としてエポキシ基やイソシアネート基を選択)、被覆する場合、官能基(帯電基)を触媒として反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子の反応性基同士が結合する当該高分子を選択する(例えば、官能基(帯電基)としてアミノ基、アンモニウム基、反応性基としてエポキシ基を選択)などの手法がある。
【0226】
反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子を着色粒子の表面に結合あるいは被覆する方法としては、加熱等によって実施される。また、結合量及び被覆量としては、粒子の質量に対して2質量%から200質量%の範囲であることが、分散性の上から好ましい。2質量%よりも少ないと粒子の分散剤が劣り、200質量%よりも多いと粒子の帯電量が低下する。
【0227】
この結合量及び被覆量は、次のようにして求められる。一つは作製した粒子を遠心沈降させて、その質量を測定することで粒子材料量に対する増加量分として算出される。その他には粒子の組成分析から算出することも適用される。
【0228】
次に、本実施形態に係る帯電粒子の製造方法について説明する。
【0229】
本実施形態に係る帯電粒子の製造方法は、帯電基を有する高分子と着色剤と反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子と第1溶媒と前記第1溶媒に対して非相溶で前記第1溶媒より沸点が低く且つ帯電基を有する高分子を溶解する第2溶媒とを含む混合溶液を攪拌し、乳化させる工程と、前記乳化させた混合溶液から前記第2溶媒を除去して、前記帯電基を有する高分子及び前記着色剤を含有する着色粒子を生成する工程と、前記反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子を反応させ、着色粒子の表面に結合又は被覆する工程と、を有することが好適である。所謂、液中乾燥法により、帯電粒子を作製すると、特に、安定した分散性及び帯電特性を持つ帯電粒子が得られる。
【0230】
また、本手法は、第1溶媒として表示媒体に利用する分散媒を利用することで、そのまま、帯電粒子と分散媒を含む帯電粒子分散液として利用してもよい。これにより、本実施形態に係る帯電粒子の製造方法では、上記工程を経ることで、第1溶媒を分散媒とした帯電粒子分散液を、洗浄・乾燥工程を経ることなく簡易に作製される。勿論、電気的特性向上のために適宜、粒子の洗浄(イオン性不純物の除去)や分散媒の置換を行ってもよい。
【0231】
なお、本実施形態に係る帯電粒子の製造方法は、上記製法に限られるわけではなく、例えば、周知の手法(コアセルベーション法、分散重合法、懸濁重合法等)などにより着色粒子を形成した後、当該着色粒子を、反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子を含む溶媒中に分散させ、前記反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子を反応させ、着色粒子の表面に結合又は被覆する手法を採用してもよい。
【0232】
以下、上記本実施形態に係る帯電粒子の製造方法の詳細について工程別に説明する。
【0233】
−乳化工程−
【0234】
乳化工程では、例えば、反応性シリコーン系高分子あるいは反応性長鎖アルキル系高分子と第1溶媒とからなる溶液と、帯電基を有する高分子と着色剤と前記第1溶媒に対して非相溶で前記第1溶媒より沸点が低く且つ帯電基を有する高分子を溶解する第2溶媒とからなる溶液、との二つの溶液を混合し攪拌し、乳化させる。また、乳化させる混合溶液中には、必要に応じて、上記材料以外の他の配合材料(帯電制御剤、顔料分散剤等)を配合させてもよい。
【0235】
乳化工程では、上記混合液を攪拌することで、前記高沸点溶液(第1溶媒+反応性高分子)を第1溶媒とした連続相中に、低沸点の第2溶媒が液滴状の分散相を形成して乳化される。なお、第1溶媒の連続相中に反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子が溶解され、第2溶媒中に帯電基を有する高分子及び着色剤が溶解又は分散されることになる。
【0236】
乳化工程では、混合溶液には、各材料を順次混合してもよいが、例えば、まず、帯電基を有する高分子と着色剤と第2溶媒とを混合した第1混合溶液、反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子と第1溶媒とを混合した第2混合溶液を準備する。そして、第1混合溶液を第2混合溶液に分散・混合して、第1混合溶液が第2混合溶液中で粒子状に分散させるように乳化させることがよい。また、第2混合溶液は、反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子を構成する各単量体を第1溶媒に添加した後、重合させて当該反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子を得て作製することも好適な手法である。
【0237】
この乳化させるための攪拌は、例えば、攪拌装置(例えば、ホモジナイザー、ミキサー、超音波破砕機等)を用いて行われる。乳化時の温度上昇を抑制するために、乳化時の混合液の温度は0℃以上50℃以下に保つことが望ましい。例えば、乳化させるためのホモジナイザーやミキサーの攪拌速度、超音波破砕機の出力強度及び乳化時間は、所望の粒子径に応じて設定される。
【0238】
次に、第1溶媒について説明する。
【0239】
第1溶媒としては、混合溶液中で連続相を形成し得る貧溶媒として用いられ、例えば、パラフィン系炭化水素溶媒、シリコーンオイル、フッ素系液体など石油由来高沸点溶媒が挙げられるが、これに限られない。特に、安定した分散性及び帯電特性を持つ帯電粒子が得られる点から、反応性シリコーン系高分子を用いる場合、シリコーンオイルを適用すること、反応性長鎖アルキル系高分子を用いる場合、パラフィン系炭化水素溶媒を適用することがよい。
【0240】
シリコーンオイルとして具体的には、シロキサン結合に炭化水素基が結合したシリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル等)、変性シリコーンオイル(例えば、フッ素変性シリコーンオイル、アミン変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイルなど)が挙げられる。これらの中も、安全性が高く、化学的に安定で長期の信頼性が良く、且つ抵抗率が高いといった観点から、ジメチルシリコーンが特に望ましい。
【0241】
シリコーンオイルの粘度は、温度20℃の環境下において、0.1mPa・s以上20mPa・s以下であることが望ましく、より望ましくは0.1mPa・s以上2mPa・s以下である。粘度を上記範囲とすることで、粒子の移動速度、すなわち、表示速度の向上が図れる。なお、この粘度の測定には、東京計器製B−8L型粘度計を用いる。
【0242】
パラフィン系炭化水素溶媒としては、炭素数20以上(沸点80℃以上)のノルマルパラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素が挙げられるが、安全性、揮発性等の理由から、イソパラフィンを用いることが好ましい。具体的には、シェルゾル71(シェル石油製)、アイソパーO、アイソパーH、アイソパーK、アイソパーL、アイソパーG、アイソパーM(アイソパーはエクソン社の商品名)やアイピーソルベント(出光石油化学製)等が挙げられる。
【0243】
次に、第2溶媒について説明する。
【0244】
第2溶媒は、混合溶液中で分散相を形成し得る良溶媒として用いられる。また、第1溶媒に対して非相溶で、第1溶媒より沸点が低く且つ帯電基を持つ高分子を溶解するものが選択される。ここで、非相溶とは、複数の物質系が混じりあわずにそれぞれ独立した相で存在する状態を示す。また、溶解とは、溶解物の残存が目視にて確認でない状態を示す。
【0245】
第2溶媒として具体的には、例えば、水、炭素数5以下の低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等)、テトラヒドロフラン、アセトン、その他有機溶剤(例えば、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)が挙げられるが、これに限られない。
【0246】
第2溶媒は、例えば加熱減圧により混合溶液の系から除去され得ることから第1溶媒よりも沸点が低いものから選択されるが、当該沸点としては、例えば50℃以上200℃以下であることが望ましく、より望ましくは50℃以上150℃以下である。
【0247】
−第2溶媒除去工程−
【0248】
次に、第2溶媒除去工程では、乳化工程において乳化させた混合溶液から第2溶媒(低沸点溶媒)を除去する。この第2溶媒を除去することで、当該第2溶媒により形成された分散相内で、帯電基を持つ高分子が、他の材料を内包させながら析出されて粒子化され、着色粒子が得られる。また、粒子を形成する高分子には顔料の分散剤や耐候安定剤などの種々の添加剤が含まれていても構わない。例えば、市販の顔料分散液には顔料を分散するための高分子物質や界面活性剤が含まれているが、これを使用する場合には、着色粒子には帯電を制御する樹脂とともに、これらの物質が含まれることとなる。
【0249】
ここで、第2溶媒を除去する方法としては、例えば、混合溶液を加熱する方法、混合溶液を減圧する方法が挙げられ、これら方法を組み合わせて実施してもよい。
【0250】
混合溶液を加熱して第2溶媒をする場合、当該加熱温度としては、例えば30℃以上200℃以下が望ましく、より望ましくは50℃以上180℃以下である。なお、この第2溶媒の除去工程においての加熱によって反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子を粒子表面と反応させても構わない。一方、混合溶液を減圧して第2溶媒を除去する場合、当該減圧圧力としては、0.01mPa以上200mPa以下が望ましく、より望ましくは0.01mPa以上20mPa以下である。
【0251】
−結合又は被覆工程−
【0252】
結合又は被覆工程では、着色粒子が生成した溶液(第1溶媒)において、反応性シリコーン系高分子又は反応性長鎖アルキル系高分子を反応させ、着色粒子の表面に結合又は被覆する。なお、前記した第2溶媒除去工程における加熱処理によって反応が進行している可能性があるが、本工程によってより確実な反応が実現される。
【0253】
ここで、上記高分子を反応させて着色粒子表面に結合又は被覆させる方法としては、当該高分子の種類に応じて、例えば、溶液を加熱する方法が挙げられる。
【0254】
溶液を加熱する場合、当該加熱温度としては、例えば50℃以上200℃以下が望ましく、より望ましくは60℃以上150℃以下である。
【0255】
上記工程を経て、帯電粒子、又はこれを含む帯電粒子分散液が得られる。なお、得られた帯電粒子分散液に対し、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散剤、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよい。
【0256】
得られた帯電粒子分散液に対し、帯電制御剤として、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、シリコーン系カチオン化合物、シリコーン系アニオン化合物、金属石鹸、アルキルリン酸エステル類、コハク酸イミド類等を添加してもよい。
【0257】
帯電制御剤としては、イオン性若しくは非イオン性の界面活性剤、親油性部と親水性部からなるブロック若しくはグラフト共重合体類、環状、星状若しくは樹状高分子(デンドリマー)等の高分子鎖骨格をもった化合物、サリチル酸の金属錯体、カテコールの金属錯体、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、重合性シリコーンマクロマ(チッソ:サイラプレーン)とアニオンモノマあるいはカチオンポリマとの共重合体等が挙げられる。
【0258】
イオン性及び非イオン性の界面活性剤としては、より具体的には以下があげられる。ノニオン活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸等がある。カチオン界面活性剤としては、第一級ないし第三級のアミン塩、第四級アンモニウム塩等があげられる。これら帯電制御剤は、粒子固形分に対して0.01質量%以上、20質量%以下が好ましく、特に0.05質量%以上10質量%以下の範囲が望ましい。
【0259】
また、得られた帯電粒子分散液に対し、必要に応じて、例えば、第1溶媒(必要に応じて分散剤)を含む第1溶媒)で希釈してもよい。
【0260】
本帯電粒子分散液中の帯電粒子の濃度は、表示特性や応答特性あるいはその用途によって種々選択されるが、0.1質量%以上30質量%以下の範囲で選択されることが望ましい。色の異なった多粒子を混合する場合にはその粒子総量がこの範囲であると望ましい。0.1質量%よりも少ないと表示濃度が不十分になり、30質量%よりも多いと、表示速度が遅くなったり、凝集が起こりやすい。
【実施例】
【0261】
以下に実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0262】
‐白色粒子の調整‐
【0263】
還流冷却管を取り付けた100ml三口フラスコに、2−ビニルナフタレン(新日鐵化学社製)を5重量部、シリコーン系モノマーFM−0721(チッソ社製)を5重量部、開始剤として過酸化ラウロイル(和光純薬社製)を0.3重量部、シリコーンオイルKF−96L−1CS(信越化学社製)を20重量部加え、窒素ガスによるバブリングを15分間行った後、窒素雰囲気下にて65℃、24時間の重合を行った。
【0264】
得られた白色粒子をシリコーンオイルにて固形分濃度40質量%に調製し、白色粒子とした。このとき、白色粒子の粒子径は、450nmであった。
【0265】
‐シリコーン系高分子A‐
【0266】
第1シリコーン系モノマー(第1シリコーン鎖成分)としてサイラプレーンFM−0725(チッソ社製、重量平均分子量Mw=10000)12質量部、第2シリコーン系モノマー(第2シリコーン鎖成分)としてサイラプレーンFM−0721(チッソ社製、重量平均分子量Mw=5000)36質量部、フェノキシエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製、AMP−10G)20質量部、及び他のモノマー(他の共重合成分)としてヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬社製)32質量部を、イソプロピルアルコール(IPA)300質量部に混合し、重合開始剤としてAIBN(2、2−アゾビスイソブチルニトリル)1質量部を溶解し、窒素下で70℃、6時間重合を行なった。これによる生成物を、ヘキサンを再沈殿溶媒として精製、乾燥しシリコーン系高分子Aを得た。
【0267】
‐シリコーン系高分子B‐
【0268】
第1シリコーン系モノマー(第1シリコーン鎖成分)としてサイラプレーンFM−0725(チッソ社製、重量平均分子量Mw=10000)19質量部、第2シリコーン系モノマー(第2シリコーン鎖成分)としてサイラプレーンFM−0721(チッソ社製、重量平均分子量Mw=5000)29質量部、メタクリル酸メチル(和光純薬社製)9質量部、メタクリル酸オクタフルオロペンチル(和光純薬社製)5質量部、及び他のモノマー(他の共重合成分)としてヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬社製)38質量部を、イソプロピルアルコール(IPA)300質量部に混合し、重合開始剤としてAIBN(2、2−アゾビスイソブチルニトリル)1質量部を溶解し、窒素下で70℃、6時間重合を行なった。これによる生成物を、ヘキサンを再沈殿溶媒として精製、乾燥しシリコーン系高分子Bを得た。
【0269】
‐シアン泳動粒子Cの合成‐
【0270】
イソプロピルアルコール(IPA)9gに上記シリコーン系高分子A0.5gを加え、溶解させた後、山陽色素製シアン顔料(シアニンブルー4973)0.5gを添加し、0.5mmΦのジルコニアボールを使用し、48時間分散させ、顔料含有高分子溶液を得た。
【0271】
この顔料含有高分子溶液を3g取り出し、これを40℃に加熱させた後、超音波を印加させながら、2CSのシリコーンオイル(信越化学社製:KF96)12gを少量ずつ滴下させたところ、シリコーン系高分子が顔料表面に析出した。その後、溶液を、60℃に加温・減圧乾燥させ、IPAを蒸発させ、シリコーン系高分子が顔料表面に付着したシアン粒子を得た。この後、遠心分離機で、溶液の粒子を沈降させ、上澄み液を除去し、上記シリコーンオイル5gを加え、超音波を与え、洗浄し、遠心分離機で粒子を沈降させ、上澄み液を除去して、さらに上記シリコーンオイル5gを加えシアン粒子分散液を得た。
【0272】
得られたシアン粒子の体積平均粒径は、0.2μmであった。なお、本分散液中の粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価することで求めた結果、正帯電であった。
【0273】
‐マゼンタ泳動粒子Mの合成‐
【0274】
上記シアン泳動粒子Cの合成において、シリコーン系高分子Aの代わりにシリコーン系高分子Bを使用し、シアン顔料の代わりにマゼンタ顔料(Pigment Red 3090)を用いた以外は全て、上記シアン泳動粒子C1の合成と同様にしてマゼンタ粒子分散液を得た。得られたマゼンタ粒子の体積平均粒径は、0.3μmであった。なお、本分散液中の粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価することで求めた結果、負帯電であった。
【0275】
‐黄色粒子Yの合成‐
【0276】
メタクリル酸メチルを53質量部、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルを0.3質量部、黄色顔料(FY7416:山陽色素社製)を1.5質量部の割合で混合し、直径10mmのジルコニアボールにてボールミル粉砕を20時間実施して分散液A−1を調製した。
【0277】
次に、炭酸カルシウムを40質量部、水を60質量部の割合で混合し、上記と同様にボールミルにて微粉砕して炭酸カルシウム分散液A−2を調製した。
【0278】
更に、炭酸カルシウム分散液A−2を60gと20%食塩水を4gと混合し、超音波機で脱気を10分間おこない、ついで乳化機で攪拌して混合液A−3を調製した。
【0279】
分散液A−1:20g、ジメタクリル酸エチレングリコール:0.6g、重合開始剤V601(Dimethyl 2、2’−azobis(2−methylpropionate):和光純薬工業社製):0.2g、をはかりとり、充分混合し、超音波機で脱気を10分間おこなった。これを前記混合液A−3に加え、乳化機で乳化を実施した。次にこの乳化液をフラスコに入れ、シリコーン詮をし、注射針を使用し、減圧脱気を充分行い、窒素ガスで封入した。次に65℃で15時間反応させ粒子を調製した。冷却後、粒子を濾過し、得られた粒子粉をイオン交換水中に分散させ、塩酸水で炭酸カルシウムを分解させ、ろ過を行った。その後充分な蒸留水で洗浄し、目開き:15μm、10μmのナイロン篩にかけ、粒度を揃えた。得られた粒子は、体積平均一次粒径13μmであった。
【0280】
その後、得られた黄色粒子に対して、以下の表面処理を行った。
【0281】
サイラプレーンFM−0711(チッソ社製、重量平均分子量Mw=1000)80質量部、グリシジルメタクリレート(和光純薬社製)2質量部、メタクリル酸メチル(和光純薬社製)18質量部を、イソプロピルアルコール(IPA)300質量部に混合し、重合開始剤としてAIBN(2、2−アゾビスイソブチルニトリル)1質量部を溶解し、窒素下で70℃、6時間重合を行った。その後、2CSのシリコーンオイル(信越化学社製:KF96)を300質量部加えた後、IPAを減圧除去することにより、表面処理剤Bとした。
【0282】
その後、上記で得られた黄色粒子を2質量部、表面処理剤Bを25質量部、トリエチルアミンを0.01質量部の割合で混合し、100℃の温度で5時間撹拌した。その後、遠心沈降により溶媒を除去し、更に減圧乾燥させ、表面処理を施した黄色粒子Yを得た。
【0283】
得られた黄色粒子の体積平均粒径は13μmであり、前記したシアン粒子Cおよびマゼンタ粒子Mと混合したときの帯電極性は負帯電であった。
【0284】
-表示媒体-
【0285】
ITOガラス基板を2枚用意し、第1電極基板及び第2電極基板とした。50μmのテフロン(登録商標)シートをスペーサーとして、第1基板上に第2基板を重ね合わせ、クリップで固定した。
【0286】
上記基板間に、白色粒子分散液10質量部と、シアン粒子5質量部、マゼンタ粒子5質量部を混合した混合液を注入し、評価用セルとした。
【0287】
-2値表示(4色表示)する場合−
【0288】
第2電極基板がプラスとなるように両電極に30Vの電圧を1秒印加した。分散された負帯電のマゼンタ粒子は第2電極基板側へ移動し、正帯電のシアン粒子は第1電極基板側へ移動し、第2電極基板側から観察するとマゼンタ色が観察された。
【0289】
次に、第2電極がマイナスとなるように両電極に30Vの電圧を1秒間印加すると、マゼンタ粒子は第1電極基板側へ移動し、シアン粒子は第2電極基板側へ移動し、第2電極基板側から観察するとシアン色が観察された。
【0290】
次に、第2電極基板がプラスとなるように両電極に30Vの電圧を0.3秒印加した後、第2電極基板がマイナスとなるように両電極に10Vの電圧を1秒印加したところ、マゼンタ粒子とシアン粒子は凝集体として第2電極基板側へ移動し、第2基板側から観察すると青色が観察された。
【0291】
更に、第2電極基板がプラスとなるように両電極に10Vの電圧を1秒間印加すると、マゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体は、第1電極基板側へ移動し、第2基板側から観察すると白色が観察された。
【0292】
-マゼンタの階調を表示する場合−
【0293】
第2電極基板がプラスとなるように両電極に30Vの電圧を1秒印加して、負帯電のマゼンタ粒子を第2電極基板側へ移動し、正帯電のシアン粒子を第1電極基板側へ移動した後、第2電極基板がマイナスとなるように両電極に30Vの電圧を0.3秒印加し、さらに第2電極基板がプラスとなるように両電極に10Vの電圧を1秒印加すると、マゼンタ粒子とシアン粒子は凝集体として第1電極基板側へ移動し、第2電極基板側から観察すると白色が観察された。
【0294】
次に、マゼンタ表示の階調情報に応じて、第2電極基板がプラスとなるように両電極に所望の電圧を1秒印加すると、所望のマゼンタ濃度が表示された。
【0295】
所望の電圧とは、マゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体が分離を開始する10Vより大きい電圧で、かつ凝集体が全て分離する30Vより小さい電圧である。例えば、マゼンタ濃度を最大濃度の半分にしたい場合は、20Vの電圧を1秒印加した(図4、図11参照)。
【0296】
なお、上記実施例では所望の濃度を電圧値で制御したが、電圧印加時間(パルス幅)で制御してもよい。
【0297】
-シアンの階調を表示する場合-
【0298】
第2電極基板がプラスとなるように両電極に30Vの電圧を1秒印加した後、第2電極基板がマイナスとなるように両電極に30Vの電圧を0.3秒印加し、さらに第2電極基板がプラスとなるように両電極に10Vの電圧を1秒印加すると、マゼンタ粒子とシアン粒子は凝集体として第1電極基板側へ移動し、第2電極基板側から観察すると白色が観察された。
【0299】
次に、シアン表示の階調情報に応じて、第2電極基板がプラスとなるように両電極に所望の電圧を1秒印加すると、シアン色が強めの青色が表示された。
【0300】
次に、第2電極基板がマイナスとなるように両電極に8Vの電圧を1秒印加すると、マゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体が第1電極基板側へ移動し、所望のシアン濃度が表示された。
【0301】
所望の電圧とは、マゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体が分離を開始する10Vより大きい電圧で、かつ凝集体が全て分離する30Vより小さい電圧である。例えば、シアン濃度を最大濃度の半分にしたい場合は、20Vの電圧を1秒印加した(図4、図11参照)。また、8Vの電圧は、凝集体が分離せず、かつ凝集体全てを一方の電極基板側に移動できる電圧である。
【0302】
なお、上記実施例では所望の濃度を電圧値で制御したが、電圧印加時間(パルス幅)で制御してもよい。
【0303】
-青の階調を表示する場合-
【0304】
第2電極基板がプラスとなるように両電極に30Vの電圧を1秒印加した後、第2電極基板がマイナスとなるように両電極に30Vの電圧を0.3秒印加し、さらに第2電極基板がプラスとなるように両電極に10Vの電圧を1秒印加すると、マゼンタ粒子とシアン粒子は凝集体として第1電極基板側へ移動し、第2電極基板側から観察すると白色が観察された。
【0305】
次に、青表示の階調情報に応じて、第2電極基板がマイナスとなるように両電極に所望の電圧を1秒印加すると、所望の青濃度が表示された。
【0306】
所望の電圧とは、マゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体が分離を開始する10Vより小さい電圧で、凝集体が移動を開始する3Vよりも大きく、全ての凝集体が移動する8Vより小さい電圧である。例えば、青濃度を最大濃度の半分にしたい場合は、5Vの電圧を1秒印加した(図5、図11参照)
【0307】
なお、上記実施例では所望の濃度を電圧値で制御したが、電圧印加時間(パルス幅)で制御してもよい
【0308】
-マゼンタとシアンの比が異なる階調を表示する場合(マゼンタ濃度がシアン濃度よりも高い場合)-
【0309】
第2電極基板がプラスとなるように両電極に30Vの電圧を1秒印加した後、第2電極基板がマイナスとなるように両電極に30Vの電圧を0.3秒印加し、さらに第2電極基板がプラスとなるように両電極に10Vの電圧を1秒印加すると、マゼンタ粒子とシアン粒子は凝集体として第1電極基板側へ移動し、第2電極基板側から観察すると白色が観察された。
【0310】
次に、マゼンタの必要量からシアンの必要量を差し引いた分だけ凝集体を分離し、かつ分離したマゼンタ粒子を第2電極基板側に移動させるために、第2電極基板がプラスとなるように両電極に所望の電圧を1秒印加した。これにより、薄いマゼンタ色が表示された。
【0311】
ここで、所望の電圧とは、マゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体が分離を開始する10Vより大きい電圧で、かつ凝集体が全て分離する30Vより小さい電圧である。例えば、マゼンタ濃度を最大濃度の80%、シアン濃度を最大濃度の50%にしたい場合は、80−50=30%のマゼンタ粒子を分離して第2電極基板側に移動させるために、第2電極基板がプラスとなるように両電極に15Vの電圧を1秒印加した(図6参照)。
【0312】
次に、第1電極基板側に移動したマゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体の内、表示に必要な残りのマゼンタ粒子とシアン粒子それぞれ50%分の凝集体を、第2電極基板側に移動させるために、第2電極基板がマイナスとなるように両電極に6Vの電圧を1秒印加した。これにより、所望の量のマゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体が第2電極基板側へ移動し、所望のマゼンタ粒子とシアン粒子の比で青が表示された(図6参照)。
【0313】
なお、上記実施例では所望の濃度を電圧値で制御したが、電圧印加時間(パルス幅)で制御してもよい。
【0314】
-マゼンタとシアンの比が異なる階調を表示する場合(シアン濃度がマゼンタ濃度よりも高い場合)-
【0315】
第2電極基板がプラスとなるように両電極に30Vの電圧を1秒印加した後、第2電極基板がマイナスとなるように両電極に30Vの電圧を0.3秒印加し、さらに第2電極基板がプラスとなるように両電極に10Vの電圧を1秒印加すると、マゼンタ粒子とシアン粒子は凝集体として第1電極基板側へ移動し、第2電極基板側から観察すると白色が観察された。
【0316】
次に、シアンの必要量からマゼンタの必要量を差し引いた分だけ凝集体を分離し、かつ分離したシアン粒子を第2電極基板側に移動させるために、第2電極基板がマイナスとなるように両電極に所望の電圧を1秒印加した。これにより、シアン色が強い青色が表示された。
【0317】
ここで、所望の電圧とは、マゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体が分離を開始する10Vより大きい電圧で、かつ凝集体が全て分離する30Vより小さい電圧である。例えば、シアン濃度を最大濃度の80%、マゼンタ濃度を最大濃度の50%にしたい場合は、80−50=30%のシアン粒子を分離して第2電極基板側に移動させるために、第2電極基板がマイナスとなるように両電極に15Vの電圧を1秒印加した(図6参照)。
【0318】
次に、第2電極基板側に移動したマゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体の内、表示に必要な残りのマゼンタ粒子とシアン粒子それぞれ50%分の凝集体を残して、過剰な20%分の凝集体を第1電極基板側に移動させるために、第2電極基板がプラスとなるように両電極に4Vの電圧を1秒印加した。これにより、過剰なマゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体が第1電極基板側へ移動し、所望のマゼンタ粒子とシアン粒子の比で青が表示された(図6参照)。
【0319】
なお、上記実施例では所望の濃度を電圧値で制御したが、電圧印加時間(パルス幅)で制御してもよい。
【0320】
-3粒子系の階調を表示する場合(シアン濃度、マゼンタ濃度、イエロー濃度を所望の比で階調表示する)-
【0321】
黄色粒子は負に帯電している。また、前述したように同極性のマゼンタ粒子とはもちろん、正帯電のシアン粒子との凝集力も小さく、マゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体が移動しない電圧(|V|<|Vg1|)でこれらと分離して移動する。
【0322】
従って、画像情報に応じて、まずマゼンタ粒子とシアン粒子、及びこれらの凝集体を、これまでに説明してきた駆動方法で、所望の基板側に所望の量だけ移動、付着させた後、所望の量の黄色粒子を第2電極基板側に移動させる、あるいは所望の量の黄色粒子を第2電極基板側に残して、過剰の黄色粒子を第1電極基板側に移動すればよい(マゼンタ粒子とシアン粒子、及びこれらの凝集体を、所望の基板側に所望の量だけ移動&付着させた際、最後に印加した電圧が、第2電極基板側がプラスである場合、黄色粒子は第2電極基板側に位置している。逆に、最後に印加した電圧が、第2電極基板側がマイナスである場合、黄色粒子は第2電極基板側に位置している)。
【0323】
例えば、黄色粒子が第1電極基板側に位置している場合、画像情報に応じて第2電極基板がプラスとなるように両電極に所望の電圧を1秒印加する。
【0324】
ここで所望の電圧とは、マゼンタ粒子とシアン粒子の凝集体が移動しない電圧(0<V<3V)であり、例えばイエロー濃度を最大濃度の半分にしたい場合は、1.5Vの電圧を1秒印加する(図10、図11参照)。
【0325】
また、黄色粒子が第2電極基板側に位置している場合、画像情報に応じて第2電極基板がマイナスとなるように両電極に所望の電圧を1秒印加する。例えばイエロー濃度を最大濃度の30%にしたい場合は、2Vの電圧を1秒印加する。(図10、図11参照)
【0326】
なお、大径の黄色粒子は、シアン粒子やマゼンタ粒子及びそれらの凝集体に比べて、閾値が低く、応答性が高いため、電圧印加時間を短くしても駆動可能であるが、他の粒子は応答できなくなって見かけ上閾値特性が高電圧側にシフトする。例えば印加電圧時間を0.1秒とすると、電圧を10Vまで上げても黄色粒子以外は移動できない。
【0327】
これを利用すると、例えば黄色粒子が第1電極基板側に位置していて、イエロー濃度を最大濃度の半分にしたい場合、第2電極基板がプラスとなるように両電極に7Vの電圧を0.1秒印加すればよい。これによれば、表示書換え時間が大幅に短縮される(図10、図11参照)。
【0328】
以上、本実施形態に係る表示装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0329】
例えば、少なくとも2種類の粒子群が互いに凝集して凝集体を形成する4種類以上の電気泳動粒子群を用いてもよい。例えば、4種類の電気泳動粒子群を用いる場合は、2種類の粒子群が互いに凝集し、他の2種類の粒子群は他の粒子群と凝集しない粒子群、あるいは、3種類の粒子群の2種同士がそれぞれ異なる凝集力で凝集し、他の1種類の粒子群は他の粒子群と凝集しない粒子群、あるいは4種類の粒子群の2種同士がそれぞれ異なる凝集力で凝集体を形成する粒子群が用いられる。
【0330】
また、泳動しない粒子群としては、白色粒子群に限らず、例えば黒色の粒子群を用いてもよい。
【符号の説明】
【0331】
1 表示基板
2 背面基板
3 表示側電極
4 背面側電極
5 間隙部材
6 分散媒
10 表示媒体
11 第1泳動粒子(群)
12 第2泳動粒子(群)
13 白色粒子(群)
20 表示媒体
30 電圧印加部
40 制御部
100 表示装置
C シアン粒子(群)
M マゼンタ粒子(群)
Y 黄色粒子(群)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する表示基板と、前記表示基板と間隙を持って対向して配置された背面基板と、前記表示基板に配置され透光性を有する表示側電極と、前記背面基板に配置された背面側電極と、前記表示側電極と前記背面側電極との電極間に配置された分散媒と、前記分散媒中に分散され、色及び帯電極性が異なる第1粒子群及び第2粒子群を含み、前記電極間に第1の電位差を予め定めた第1の時間付与することにより、前記第1粒子群及び前記第2粒子群がそれぞれ単独で泳動し、かつ、前記電極間に前記第1の電位差を前記第1の時間よりも短い第2の時間付与することにより、前記第1粒子群及び前記第2粒子群とが正又は負に帯電した凝集体を形成し、かつ、前記第1の電位差よりも小さい第2の電位差を付与することにより、前記凝集体が泳動する2種類以上の粒子群と、を有する表示媒体に対して、
前記凝集体を形成させる電位差を前記電極間に付与し、
前記第1の粒子群及び前記第2の粒子群のうち前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群を、前記第1の粒子群と前記第2の粒子群との差分の量、前記表示基板側に移動させる第3の電位差を前記電極間に付与し、
前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が前記凝集体と逆極性の場合、前記階調表示に必要な粒子量の前記凝集体を前記表示基板側に移動させる第4の電位差を前記電極間に付与し、前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が前記凝集体と同極性の場合、前記階調表示に不要な粒子量の前記凝集体を前記背面基板側に移動させる第5の電位差を前記電極間に付与する電位差付与手段
を備えた表示媒体の駆動装置。
【請求項2】
前記表示媒体は、前記分散媒中に分散され、前記電極間に第6の電位差を前記第1の時間付与することにより少なくとも単独で泳動し、前記第1粒子群及び前記第2粒子群に対する凝集力が、前記第1粒子群と前記第2粒子群との凝集体の凝集力より弱い第3粒子群を有する請求項1記載の表示媒体の駆動装置。
【請求項3】
前記電位差付与手段は、前記第6の電位差よりも大きい第7の電位差を前記第1の時間より短い予め定めた第3の時間付与することにより、前記第3粒子群を単独で泳動させる
請求項2記載の表示媒体の駆動装置。
【請求項4】
前記第3粒子群の極性が、前記凝集体の極性と反対の極性である請求項2又は請求項3記載の表示媒体の駆動装置。
【請求項5】
前記第1粒子群及び前記第2粒子群は、それぞれ前記第3粒子群の粒子間を通過する粒子で構成されており、
前記第3粒子群は、前記電極間に付与された電位差に対する応答性が前記第1粒子群及び前記第2粒子群よりも高い粒子群である請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の表示媒体の駆動装置。
【請求項6】
前記第3粒子群を構成する粒子の粒径が、前記第1粒子群を構成する粒子の粒径及び前記第2粒子群を構成する粒子の粒径の10倍以上である請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の表示媒体の駆動装置。
【請求項7】
コンピュータを、
透光性を有する表示基板と、前記表示基板と間隙を持って対向して配置された背面基板と、前記表示基板に配置され透光性を有する表示側電極と、前記背面基板に配置された背面側電極と、前記表示側電極と前記背面側電極との電極間に配置された分散媒と、前記分散媒中に分散され、色及び帯電極性が異なる第1粒子群及び第2粒子群を含み、前記電極間に第1の電位差を予め定めた第1の時間付与することにより、前記第1粒子群及び前記第2粒子群がそれぞれ単独で泳動し、かつ、前記電極間に前記第1の電位差を前記第1の時間よりも短い第2の時間付与することにより、前記第1粒子群及び前記第2粒子群とが正又は負に帯電した凝集体を形成し、かつ、前記第1の電位差よりも小さい第2の電位差を付与することにより、前記凝集体が泳動する2種類以上の粒子群と、を有する表示媒体に対して、
前記凝集体を形成させる電位差を前記電極間に付与し、
前記第1の粒子群及び前記第2の粒子群のうち前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群を、前記第1の粒子群と前記第2の粒子群との差分の量、前記表示基板側に移動させる第3の電位差を前記電極間に付与し、
前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が前記凝集体と逆極性の場合、前記階調表示に必要な粒子量の前記凝集体を前記表示基板側に移動させる第4の電位差を前記電極間に付与し、前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が前記凝集体と同極性の場合、前記階調表示に不要な粒子量の前記凝集体を前記背面基板側に移動させる第5の電位差を前記電極間に付与する電位差付与手段
として機能させるための表示媒体の駆動プログラム。
【請求項8】
透光性を有する表示基板と、前記表示基板と間隙を持って対向して配置された背面基板と、前記表示基板に配置され透光性を有する表示側電極と、前記背面基板に配置された背面側電極と、前記表示側電極と前記背面側電極との電極間に配置された分散媒と、前記分散媒中に分散され、色及び帯電極性が異なる第1粒子群及び第2粒子群を含み、前記電極間に第1の電位差を予め定めた第1の時間付与することにより、前記第1粒子群及び前記第2粒子群がそれぞれ単独で泳動し、かつ、前記電極間に前記第1の電位差を前記第1の時間よりも短い第2の時間付与することにより、前記第1粒子群及び前記第2粒子群とが正又は負に帯電した凝集体を形成し、かつ、前記凝集体が泳動する2種類以上の粒子群と、を有する表示媒体と、
前記凝集体を形成させる電位差を前記電極間に付与し、
前記第1の粒子群及び前記第2の粒子群のうち前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群を、前記第1の粒子群と前記第2の粒子群との差分の量、前記表示基板側に移動させる第3の電位差を前記電極間に付与し、前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が前記凝集体と逆極性の場合、前記階調表示に必要な粒子量の前記凝集体を前記表示基板側に移動させる第4の電位差を前記電極間に付与し、前記階調表示に必要な粒子量が多い方の粒子群が前記凝集体と同極性の場合、前記階調表示に不要な粒子量の前記凝集体を前記背面基板側に移動させる第5の電位差を前記電極間に付与する電位差付与手段と、
を備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−257498(P2011−257498A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130318(P2010−130318)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】