説明

表示媒体用粒子および情報表示用パネル

【課題】粉流体などの表示媒体を構成する粒子として良好な着色性を有する表示媒体用粒子およびそれを用いた情報表示用パネルを提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透明な2枚の基板間に光学的反射率および帯電特性を有する表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する粒子11であって、顔料13を粒子12の表面近傍に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に光学的反射率および帯電特性を有する表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する粒子およびそれを用いた情報表示用パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に光学的反射率および帯電特性を有する表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。この情報表示用パネルでは、駆動していない間、粒子の持つ電荷に起因した相互作用力によって基板面に付着しているため、外部エネルギーを付与せずとも表示状態を維持する事が出来る。
【特許文献1】WO/2005/098525のパンフレット
【0003】
このような情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する粒子では、所定の表示品質を顕示させうために種々の特性を満たす必要があるが、その一つに色味がある。特に、このような情報表示用パネルが液晶などの既存の表示システムに対して特徴的な点として、表示媒体用粒子からなる表示媒体の集積体自体を直接視認する、反射表示システムであるという事が挙げられる。この場合、表示媒体を構成する表示媒体用粒子の一つ一つを反射光で認識しているため、当該粒子がいかに効率的に光りを散乱するかどうかが、明瞭な視認性を実現する上で重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該目的を実現するのに最も単純な方法は、顔料をより沢山充填する事がある。しかしながら、製法上の制約により、顔料を大過剰に粒子に充填し、内在させる事は非常に難しい。また、顔料の使用量が多くなれば製造コストの面でも不利である。さらに、表示媒体用粒子の基本特性として、帯電特性が挙げられる。これは粒子の駆動を電場制御する当該システム上不可欠の因子であるが、顔料自体も表示媒体用粒子の帯電特性に少なからず影響を与えるため、大過剰に含有させる事は帯電特性制御上の制約を与える結果となってしまう。以上より、より少ない顔料コンテントで効率的に目的の色味を顕現するための手法が求められており、顔料の分散性制御により効率を改善する等のアプローチが試みられているが、抜本的な改善手法はまだ無いのが現状である。
【0005】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、粉流体などの表示媒体を構成する粒子として良好な着色性を有する表示媒体用粒子およびそれを用いた情報表示用パネルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示媒体用粒子は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に光学的反射率および帯電特性を有する表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する粒子であって、顔料を粒子の表面近傍に配置したことを特徴とするものである。
【0007】
なお、本発明の表示媒体用粒子の好適例としては、粒子表面に顔料の一部が露出すること、および、粒子の総表面積に対して、露出した顔料または粒子表面近傍に配置された顔料による部分の割合が10%以上であること、がある。
【0008】
また、本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に光学的反射率および帯電特性を有する表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルにおいて、上述した表示媒体用粒子を表示媒体として使用することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、顔料を粒子の表面近傍に配置したことにより、粉流体などの表示媒体を構成する粒子として良好な着色性を有する表示媒体用粒子およびそれを用いた情報表示用パネルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
まず、本発明の情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。本発明の対象となる情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間に封入した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向にそって、帯電した表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電位の切替による電界方向の変化によって移動方向を変えることにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0011】
本発明の対象となる情報表示用パネルの例を、図1(a)、(b)〜図3(a)、(b)に基づき説明する。
【0012】
図1(a)、(b)に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種以上の表示媒体3(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1、2の外部から加えられる電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図1(b)に示す例では、図1(a)に示す例に加えて、基板1、2との間に例えば格子状に隔壁4を設けセルを形成している。また、図1(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0013】
図2(a)、(b)に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種以上の表示媒体3(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1に設けた電極5と基板2に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図2(b)に示す例では、基板1、2との間に例えば格子状に隔壁4を設けセルを形成している。また、図2(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0014】
図3(a)、(b)に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される少なくとも光学的反射率と帯電性を有する表示媒体3(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wを示す)を、基板1に設けた電極5と電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と平行方向に移動させ、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行うか、あるいは、電極6または基板1の色を観察者に視認させて電極6または基板1の色の表示を行っている。なお、図3(b)に示す例では、基板1、2との間に例えば格子状の隔壁4を設けセルを形成している。また、図3(b)において、手前にある隔壁は省略している。
【0015】
以上の説明は、粒子群からなる白色表示媒体3Wを粉流体からなる白色媒体に、粒子群からなる黒色表示媒体3Bを粉流体からなる黒色表示媒体に、それぞれ置き換えた場合も同様に適用することが出来る。粉流体については後述する。
【0016】
上述した構成の情報表示用パネルで使用する表示媒体用粒子について、着色性を種々検討の結果、同程度の顔料コンテントの粒子同士を比較しても、色味として見た目の着色性が異なる場合がある事が判明した。これを詳細に検討した結果、粒子の表面近傍、特に好適には粒子表面に顔料の一部が露出する様な状態になった粒子は着色性が良好である事が明らかになり、本発明を見出すに至った。
【0017】
これは、粒子表面近傍から深い部分に顔料があると、樹脂などのバインダー層の散乱の影響で、顔料自体の着色性が十分に発現しなくなるためと推察される。さらに詳細な検討の結果、粒子総表面積に対して、露出した顔料または粒子表面近傍に配置された顔料に依る部分の割合が10%未満であると、特に着色効率が低減する事が判明した。なお、ここで言う、粒子総表面積に対する、露出乃至表面近傍に配置された顔料による部分の割合の判断には、簡易的に反射型電子顕微鏡写真の2次元画像を用いる事とした。当該画像評価にて、顔料が確認出来る場合、表面近傍に存在乃至露出しているものと判断出来る。
【0018】
上述の構成を実現する為の具体的な手法は以下の事例に限定されないが、例えば、樹脂と顔料を混練した後に粉砕分級によって所望の粒子を作製する場合、分散方法の制御や顔料の表面性によって顔料の分散性を制御して、過度な分散斑が生じない条件下で大過剰に分散力を与えない様な条件を設定する事で、顔料分散の粗密周期が目的となる粒子径に近い状態にすると、粉砕時に顔料が密となる部分から選択的に粉砕が生じ、結果として粒子表面近傍に顔料割合が多くなる。また、粒子を作製した後にメカノケミカル法を用いて粒子表面に顔料を直接固定化する方法も有効である。
【0019】
図4は本発明の表示媒体用粒子の一例を示す図である。図4に示す例において、本発明の表示媒体用粒子11の特徴は、粒子12の表面近傍に顔料13を配置する点、ここでは、粒子12の表面に顔料13の一部が露出するよう配置する点にある。なお、粒子12の表面における顔料13の露出量または粒子表面近傍に配置された顔料の量は特に限定しないが、上述したように着色効率の点で、粒子12の総表面積に対して、露出した顔料または粒子表面近傍に配置された顔料に依る部分の割合が10%以上であることが好ましい。
【0020】
以下、本発明の情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
【0021】
基板については、少なくとも一方の基板は情報表示用パネル外側から表示媒体の色が確認できる透明な基板2であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。基板1は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可とう性のあるもの、および、ガラス、石英などの可とう性のない無機シートが挙げられる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
【0022】
必要に応じて情報表示用パネルに電極を設ける場合の電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類やITO、酸化インジウム、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。視認側であり透明である必要のある表示面側基板2に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板1に設ける電極は透明である必要はない。いずれの場合もパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。背面側基板1に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0023】
必要に応じて基板に設ける隔壁4については、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類や、配置する電極の形状、配置により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜100μm、好ましくは10〜50μmに調整される。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板1、2の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図5に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法もこの発明の情報表示用パネルに好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
【0024】
次に、本発明の表示媒体用粒子から構成される表示媒体として用いる粉流体について説明する。なお、本発明の情報表示用パネルで用いる粉流体の名称については、本出願人が「電子粉流体(登録商標):登録番号4636931」の権利を得ている。
【0025】
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
【0026】
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の情報表示用パネルで固体状物質を分散質とするものである。
【0027】
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、例えば気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、小さな電界の力でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
本発明に表示媒体として例えば用いる粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の情報表示用パネルでは、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で表示媒体として用いられる。
【0028】
次に、本発明の情報表示用パネルにおいて表示媒体を構成する表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)について説明する。表示媒体用粒子は、そのまま該表示媒体用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたり、粉流体となるように調整、構成して表示媒体としたりして用いられる。
粒子は、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0029】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0030】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0031】
着色剤としては、以下に例示するような各色顔料に加えて、有機または無機の各種、各色の微粒子や染料が使用可能である。
【0032】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0033】
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0034】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0035】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
【0036】
また、本発明の表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)は平均粒子径d(0.5)が、0.1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
【0037】
更に本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
【0038】
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0039】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0040】
表示媒体用粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示用パネルにおける表示媒体用粒子の帯電量はほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に表示媒体用粒子の帯電挙動の飽和値が支配因子となっているということが分かった。
【0041】
本発明者らは鋭意検討の結果、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、表示媒体に用いる粒子の帯電量測定を行うことにより、表示媒体用粒子の適正な帯電特性値の範囲を評価できることを見出した。
【0042】
更に、表示媒体用粒子で構成する粒子群や粉流体等の表示媒体を乾式の情報表示用パネルに適用する場合には、基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1(a)、(b)〜図3(a)、(b)において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体3の占有部分、隔壁4の占有部分(隔壁を設けた場合)、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0043】
本発明の対象となる情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【実施例】
【0044】
以下のようにして本発明の表示媒体用粒子からなる表示媒体を準備し、準備した表示媒体を使用して情報表示用パネルを作製し、色味の評価を行った。
【0045】
<表示媒体の作製>
表示媒体として、以下の通り調整したものを作製した。今回はチタニア(TiO)を用いた白色表示媒体用粒子を事例としたが、顔料種や目的とする色味の相違に制限されない事は自明である。
【0046】
着色顔料として顔料用チタニアを100重量部含有する、シクロオレフィン樹脂コンパウンドを作製し、これを気流式粉砕分級機を用いて平均粒子径9.0μmになるよう分級した。これの比重は1.5であった。ここで、コンパウンディング時の分散条件を以下の表1に示す通り変化させた粒子を容易した。得られた粒子を日立製作所製走査型電子顕微鏡S−2700にて撮影し、得られた画像を画像解析ソフトウェアMac-View(MOUNTECH Co.,Ltd製)を用いて、投影粒子面積とその中の顔料露出部総面積を求め、その比から露出顔料依存割合S(%)を算出した。この粒子100重量部に対し、日本アエロジル製の疎水性ヒュームドシリカRX300を2.2重量部、カーボンミキサーHFM−001C((株)SMT製)にて3000rpmで30分間混合撹拌し、白色表示媒体用粒子からなる白色の表示媒体を得た。
【0047】
<色味の評価用試料の作製と色味の評価>
評価試料として、白色表示媒体を準備した。当該表示媒体は、ステンレス管中をN気流搬送する事で、摩擦帯電させた。さらに、40μmのスペーサー(隔壁となる)が配させた、内側表面がITOコーティング処理された厚さ700μmのガラス基板(A)を用意し、上記ステンレス管と上記ガラス基板のITO面との間にバイアス電圧を重畳し、気流の安定した22.5℃、5%RHの乾燥空気雰囲気下で、当該試料をITO表面にスプレーする事で評価試料を積層した。上述した工程を実行した後に、スペーサー表面に付着した表示媒体のみを除去した。
【0048】
さらに、片面がITOコーティング処理されたガラス基板(B)を用意し、上記の試料となる表示媒体を積層したガラス基板(A)に対して、ITO面が内側に向かい合うように貼り合わせた。この時、接着には紫外線(UV)硬化型の一液エポキシ系接着剤を用いた。表示媒体の積層厚みを画一化するため、ガラス基板重量変化で制御し、表示媒体の色味の評価は、上記の評価用試料の示す反射濃度を反射画像濃度計(RD918、Macbeth社製)を用いて測定して求めた。評価は全てガラス基板(A)側から行い、黒色板の上で評価した。結果を以下の表1に示す。以下の表1に示す通り、Sが20%以上となっているものは、それ以下のものに比べて高い反射率を示している事が判る。
【0049】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の情報表示用パネルは、本発明の表示媒体用粒子を用いることで広視野角の反射画像を得ることができ、紙面印刷物の様な高い視認性を有するもので、ノートパソコン、PDA、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、情報ボード、電子POP(Point Of Presence, Point Of Purchase advertising)、電子値札、電子棚札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの一例を示す図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルの他の例を示す図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ本発明の情報表示用パネルのさらに他の例を示す図である。
【図4】本発明の表示媒体用粒子の一例を示す図である。
【図5】本発明の情報表示用パネルにおける隔壁の形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1、2 基板
3 表示媒体(粒子群、粉流体)
3W 白色表示媒体
3Wa 白色表示媒体用粒子
3B 黒色表示媒体
3Ba 黒色表示媒体用粒子
4 隔壁
5、6 電極
11 表示媒体用粒子
12 粒子
13 顔料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な2枚の基板間に光学的反射率および帯電性を有する表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する粒子であって、顔料を粒子の表面近傍に配置したことを特徴とする表示媒体用粒子。
【請求項2】
粒子表面に顔料の一部が露出することを特徴とする請求項1に記載の表示媒体用粒子。
【請求項3】
粒子の総表面積に対して、露出した顔料または粒子表面近傍に配置された顔料による部分の割合が10%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示媒体用粒子。
【請求項4】
少なくとも一方が透明な2枚の基板間に光学的反射率および帯電性を有する表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルにおいて、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示媒体用粒子を表示媒体として使用することを特徴とする情報表示用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−171479(P2007−171479A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368026(P2005−368026)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)