説明

表示材

【課題】2色以上の異なる粒子と無色透明溶媒がマイクロカプセル壁に封じられたマイクロカプセルにおいて、表示画像の残像及び、色の違う粒子同士の凝集を効果的に防止した表示材を提供する。
【解決手段】電気泳動粒子を分散媒中に分散させて封入したマイクロカプセルであって、マイクロカプセル壁にケイ素化合物若しくはフッ素化合物が含まれていることを特徴とする。このため、マイクロカプセル中の粒子が、電圧を印加され、所望の色の表示がなされた後、数十分以上経過しても、粒子と壁の間のファンデルワールス力に対する反発力が生じ、粒子のカプセル壁への食い込みを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画像の残像を防止したマイクロカプセル型電気泳動式表示材に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル表示装置として、現在、液晶表示装置(LCD)が、厚さが薄く、小型化が可能であることから、様々な用途において広範に使用されている。このようなLCDよりも更に薄型化、低消費電力化を目指す他の表示方式として、電気泳動現象を利用した表示装置が開発されている。
【0003】
電気泳動現象を利用した表示装置の一つとして、マイクロカプセル型電気泳動方式が実用化されている。この方式の表示装置は、透明溶媒が満たされたマイクロカプセル中に正、負に帯電した白色粒子と黒色粒子を入れ、外部電圧の印加によってそれぞれの粒子を表示面に引き上げて画像を形成するものである。マイクロカプセルのサイズは径数十μm〜数百μmと小さいので、このマイクロカプセルを透明なバインダに分散させると、インクのようにコーティングすることができる。このインクは、外部から電圧を印加することで画像を描くことができるので、電子インクと呼ばれる。
【0004】
透明電極を形成した透明樹脂膜にこの電子インクをコーティングし、アクティブマトリクス駆動用の電極回路を形成した基板に貼り合わせると、例えば、特許文献1に示すような、アクティブマトリクスディスプレイパネルを得ることができる。通常、透明電極を形成した透明樹脂膜に電子インクをコーティングした部品を「前面板」と呼び、アクティブマトリクス駆動用の電極回路を形成した基板を「背面板」と呼んでいる。
【0005】
以上のように構成されるマイクロカプセル型電気泳動式表示装置では、マイクロカプセル中の粒子が、電圧を印加され、所望の色の表示がなされた後、数十分以上経過すると、粒子とマイクロカプセル壁の間のファンデルワールス力により、徐々に粒子がカプセル壁に食い込み、反対色の表示を行うと残像が生じてしまうという問題がある。
【0006】
特に、2色以上の異なる粒子と無色透明溶媒がマイクロカプセル壁に封じられたマイクロカプセルの場合、各色の粒子の色をはっきりと表示することが出来るためコントラストが高いが、内封された溶媒が無色透明であるため、反対の色が残ってしまう残像現象はより顕著である。
【0007】
また、多粒子系において、ある色の粒子が壁に食い込んだ状態で、色の表示を変更すると、色の違う粒子同士の距離が近くなり、静電引力もしくは、ファンデルワールス引力が働き、色の異なる粒子同士の凝集が形成してしまう。このため、駆動波形等を工夫し、食い込んだ粒子を壁から取り除いても、凝集してしまった粒子同士が元に戻ることはなく、混色の凝集体となってしまい、元のコントラストを出すことができなくなる。
【特許文献1】特開2000−221546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情の下になされ、表示画像の残像及び、色の違う粒子同士の凝集を効果的に防止した表示材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の本発明は、透明基板に第一電極を備えた前面板と基材に第二電極を備えた背面板との間にマイクロカプセル層を有し、前記マイクロカプセル層は、少なくとも2色以上の異なる粒子と無色透明溶媒がマイクロカプセル壁に封じられたマイクロカプセルによって形成された表示材であって、前記マイクロカプセル壁にケイ素化合物が含まれていることを特徴とする表示材。
【0010】
請求項2に記載の本発明は、透明基板に第一電極を備えた前面板と基材に第二電極を備えた背面板との間にマイクロカプセル層を有し、前記マイクロカプセル層は、少なくとも2色以上の異なる粒子と無色透明溶媒がマイクロカプセル壁に封じられたマイクロカプセルによって形成された表示材であって、前記マイクロカプセル壁にフッ素化合物が含まれていることを特徴とする表示材。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、マイクロカプセル壁にケイ素化合物若しくはフッ素化合物が含まれているため、マイクロカプセル中の粒子が、電圧を印加され、所望の色の表示がなされた後、数十分以上経過しても、粒子と壁の間のファンデルワールス力に対する反発力が生じている。これにより、粒子のカプセル壁への食い込みを防止できる。
【0012】
このため、少なくとも2色以上の異なる粒子と無色透明溶媒がマイクロカプセル壁に封じられたマイクロカプセルの場合でも、効果的に反対色の表示を行うときの残像を防止することができる。
【0013】
また、色の異なる粒子同士の凝集を阻止することになり、色の異なる粒子同士の凝集を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の表示材は、マイクロカプセル壁にケイ素化合物若しくはフッ素化合物が含まれていることを特徴とする。
【0015】
図1に、白色と黒色の電気泳動粒子を分散媒中に分散させて封入したマイクロカプセルの断面図を示す。
【0016】
マイクロカプセル壁形成方法としては、相分離法、液中乾燥法、融解分散冷却法、スプレイ‐ドライング法、パンコーティング法、界面重合法、in situ重合法、液中硬化被膜法、界面反応法等、好適な方法を用いることができる。
【0017】
本実施の形態においては、芯物質である電気泳動分散液中から、リアクタント(モノマー、オリゴマー)を供給し、芯物質の周囲にマイクロカプセル壁を形成するin situ重合法により、ケイ素化合物若しくはフッ素化合物をこのマイクロカプセル壁中に含ませる方法を例示することにより、本発明を説明する。
【0018】
まず、芯物質である電気泳動分散液としては、例えば、2色の粒子で、白黒表示させる場合、負に帯電した酸化チタンからなる白色粒子と正に帯電したカーボンブラックからなる黒色粒子をテトラクロロエチレン等の分散媒に分散したものを使用することができる。
【0019】
芯物質内部から供給されるマイクロカプセル壁材料としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン−ジビニルベンゼン等の単官能若しくは多官能のモノマーを使用し、ラジカル重合してマイクロカプセル壁を形成することができる。
【0020】
また、ポリイソシアナート、ポリイソチオシアナート、ポリアミン、ポリカルボン酸、多塩基酸クロライド、酸無水物、エポキシ化合物、ポリオール、アクリレート化合物、ポリサルファイド等の化合物を使用し、重付加、重縮合反応でもマイクロカプセル壁を形成することができる。
【0021】
必要に応じ、これらマイクロカプセル壁材料を硬化させるため、触媒を配合してもよい。
【0022】
そして、これら壁材料の一部として、反応基を有するケイ素化合物若しくはフッ素化合物を使用することで、ケイ素化合物若しくはフッ素化合物が含まれているマイクロカプセル壁を形成することが出来る。
【0023】
このとき、一つのマイクロカプセル壁にケイ素化合物、フッ素化合物両方を含んでいても良い。
【0024】
ケイ素化合物としては、例えば、両末端がビニル基やメタクリロキシ基、イソシアナート基といった反応活性基で変成された末端変成ジメチルシリコーンオイルの重合体、もしくは片末端及び両末端がそれぞれ前述のような反応活性基で変成されたものとの共重合体を使用してもよい。
【0025】
フッ素化合物としては、例えば、片末端をパーフルオロアルキル基に変性し、他方の片末端をビニル基やメタクリロキシ基、イソシアナート基といった反応活性基で変成されたモノマー若しくはオリゴマーの重合体、もしくは片末端及び両末端がそれぞれ前述のような反応活性基で変成されたものとの共重合体を使用してもよい。
【0026】
芯物質である電気泳動分散液に、マイクロカプセル壁材料を混合した後、この混合液を水中で乳化する。
【0027】
この時、必要に応じ、乳化剤を使用してもよい。
【0028】
そして、マイクロカプセル壁材料の重合反応を進める為に、この乳化液温度を昇温することにより、ケイ素化合物若しくはフッ素化合物が含まれるマイクロカプセル壁を形成することができる。
【0029】
また、透明基板については、ガラス基板の他、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ナイロン−6、ナイロン−66、ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテルスルフォン等の透明プラスチックフィルムを用いてもよい。
【実施例1】
【0030】
[マイクロカプセルの作成]
まず、テトラクロロエチレン溶媒100部に、マイクロカプセル壁を形成させる為に、ジフェニルメタンジイソシアナート20部、ポリオキシプロピレンエーテル15部、片末端にイソシアナート基を有するイソシアナート変成ジメチルシリコーンオイル2部を混合した混合溶液を作製した。
【0031】
次に、この混合溶液に、白色粒子として、溶液中で負に帯電するポリエチレン樹脂で表面被覆した平均粒径3μmの酸化チタン30部と、黒色粒子として、溶液中で正に帯電する平均粒径3.5μmのカーボンブラック10部を分散した分散液を作成した。
【0032】
この分散液を10℃に調整された水300部に乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.2部を配合した水溶液と混合し、液温を10℃に保ちながら、ホモジナイザーを用いて攪拌、O/Wエマルションを得た。
【0033】
次いで、撹拌しながら液温を95℃に昇温し、マイクロカプセル壁を形成させ、白色及び黒色粒子が分散した分散液を封入したマイクロカプセルを作成した。
【0034】
このように作成したマイクロカプセルの径をふるい分けによりそれぞれ40μmに揃えた。
【0035】
[マイクロカプセル塗工液の作製]
得られたマイクロカプセル150部と、ポリウレタン樹脂溶液(ニッポラン5037,日本ポリウレタン工業社製)100部と硬化剤(コロネートHL,日本ポリウレタン工業社製)5部とを混合して、マイクロカプセル塗工液を作成した。
【0036】
[表示パネルの作製]
このマイクロカプセル塗工液を、全面に酸化インジウム錫(以下ITOと略す)第一電極(12)が設けられた透明基板(11)上にアプリケーターを用いて塗布し、70℃で30分間乾燥し、膜厚45μmのマイクロカプセル層(13)を得た。
【0037】
そして、基材(14)上にITOによる縦40μm×横40μmのパターンが繰り返し形成されている第二電極(15)及びマトリクス電極(図示せず)、スイッチング素子(図示せず)が形成されている背面板と、80℃の熱プレスにより貼り合わせ、図2に示す表示パネル(20)を得た。
【0038】
[残像の評価]
評価結果を表1に示す。
【0039】
<白色表示後の残像>
上記の表示パネルに対して、まず、初期状態の白色表示及び黒色表示の反射率を以下の様に測定した。
【0040】
前面側(表示側)が正極、背面側が負極となるように30Vの電圧を500ms印加し、図2に示す如く、前面側に各マイクロカプセル中の白色粒子を、背面側に黒色粒子を移動させ、この時の白の反射率を測定した。測定条件を次に示す。
測定条件
入射光 :0°
受光 :45°
光源 :D65
視野角 :10°
【0041】
続けて、前面側が負極、背面側が正極となるように30Vの電圧を500ms印加し、図3に示す如く、前面側に各マイクロカプセル中の黒色粒子を、背面側に白色粒子を移動させ各色を表示させ、この時の黒の反射率を先の測定条件で測定した。
【0042】
続けて、残像の影響を確認する為、前面側が正極、背面側が負極となるように30Vの電圧を500ms印加し、白色表示した後、電圧を、30分保持した。
【0043】
そして、前面側が負極、背面側が正極となるように30Vの電圧を500ms印加し、この時の黒の反射率を先の測定条件で測定した。
【0044】
その結果、初期状態の黒色表示と残像評価時の黒色表示の反射率に違いは認められず、図4に示す如く、白色表示後、30分たった後、黒表示しても、前面側(表示側)に白色粒子は残らず、残像は生じていないことが確認された。
【0045】
<黒色表示後の残像>
前面側(表示側)が負極、背面側が正極となるように30Vの電圧を500ms印加し、図6に示す如く、前面側に各マイクロカプセル中の黒色粒子を、背面側に白色粒子を移動させ、この時の黒の反射率を測定した。
【0046】
続けて、前面側が正極、背面側が負極となるように30Vの電圧を500ms印加し、図7に示す如く、前面側に各マイクロカプセル中の白色粒子を、背面側に黒色粒子を移動させ、この時の白の反射率を先の測定条件で測定した。
【0047】
続けて、残像の影響を確認する為、前面側が負極、背面側が正極となるように30Vの電圧を500ms印加し、黒色表示した後、電圧を切り、30分保持した。
【0048】
そして、前面側が正極、背面側が負極となるように30Vの電圧を500ms印加し、この時の白の反射率を先の測定条件で測定した。
【0049】
その結果、初期状態の白色表示と残像評価時の白色表示の反射率に違いは認められず、図8に示す如く、黒色表示後、30分たった後、白表示しても、前面側(表示側)に黒色粒子は残らず、残像は生じていないことが確認された。
【0050】
(比較例1)
[マイクロカプセルの作製]
テトラクロロエチレン溶媒100部に、マイクロカプセル壁を形成させる為に、ジフェニルメタンジイソシアナート20部、ポリオキシプロピレンエーテル15部を混合した混合溶液を作製した。
【0051】
次に、この混合溶液に、白色粒子として、溶液中で負に帯電するポリエチレン樹脂で表面被覆した平均粒径3μmの酸化チタン30部と、黒色粒子として、溶液中で正に帯電する平均粒径3.5μmのカーボンブラック10部を分散した分散液を作成した。
【0052】
この分散液を10℃に調整された水300部に乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.2部を配合した水溶液と混合し、液温を10℃に保ちながら、ホモジナイザーを用いて攪拌、O/Wエマルションを得た。
【0053】
次いで、撹拌しながら液温を95℃に昇温し、マイクロカプセル壁を形成させ、白色及び黒色粒子が分散した分散液を封入したマイクロカプセルを作成した。
【0054】
このように作成したマイクロカプセルの径をふるい分けによりそれぞれ40μmに揃えた。
【0055】
[マイクロカプセル塗工液の作製]
実施例1と同様に作製した。
【0056】
[表示パネルの作製]
実施例1と同様に作製した。
【0057】
[残像の評価]
実施例1と同様に評価した。
評価結果を表1に示す。
【0058】
<白色表示後の残像>
残像評価時の黒色表示の反射率は初期状態のよりも大きい値を示し、白色表示後、30分たった後、黒表示すると、残像が生じていることが確認された。これは、図5の如く、前面側(表示側)に白色粒子が残ったためと推察された。
【0059】
<黒色表示後の残像>
残像評価時の白色表示の反射率は初期状態のよりも小さい値を示し、黒色表示後、30分たった後、白表示すると、残像が生じていることが確認された。これは、図9の如く、前面側(表示側)に黒色粒子が残ったためと推察された。
【実施例2】
【0060】
[マイクロカプセルの作成]
まず、テトラクロロエチレン溶媒100部に、マイクロカプセル壁を形成させる為に、アクリル酸エステル5部、メタクリル酸エステル10部、片末端にエステル基を有するパーフルオロアルキル基含有オリゴマーを1部、重合開始剤である過酸化ベンゾイル1部を混合した混合溶液を作製した。
【0061】
次に、この混合溶液に、白色粒子として、溶液中で負に帯電するポリエチレン樹脂で表面被覆した平均粒径3μmの酸化チタン30部と、黒色粒子として、溶液中で正に帯電する平均粒径3.5μmのカーボンブラック10部を分散した分散液を作成した。
【0062】
10℃に調整された水200部に乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.2部を配合した水溶液と混合し、液温を10℃に保ちながら、ホモジナイザーを用いて攪拌、O/Wエマルションを得た。
【0063】
次いで、撹拌しながら液温を70℃に昇温し、マイクロカプセル壁を形成させ、白色及び黒色粒子が分散した分散液を封入したマイクロカプセルを作成した。
【0064】
このように作成したマイクロカプセルの径をふるい分けによりそれぞれ40μmに揃えた。
【0065】
[マイクロカプセル塗工液の作製]
実施例1と同様に作製した。
【0066】
[残像の評価]
実施例1と同様に評価した。
評価結果を表1に示す。
【0067】
<白色表示後の残像>
初期状態の黒色表示と残像評価後の黒色表示の反射率に違いは認められず、白色表示後、30分たった後、黒色表示しても、前面側(表示側)に白色粒子は残らず、残像は生じていないことが確認された。
【0068】
<黒色表示後の残像>
初期状態の白色表示と残像評価後の白色表示の反射率に違いは認められず、黒色表示後、30分たった後、白色表示しても、前面側(表示側)に黒色粒子は残らず、残像は生じていないことが確認された。
【0069】
(比較例2)
[マイクロカプセルの作製]
まず、テトラクロロエチレン溶媒100部に、マイクロカプセル壁を形成させる為に、アクリル酸エステル5部、メタクリル酸エステル10部、重合開始剤である過酸化ベンゾイル1部を混合した混合溶液を作製した。
【0070】
次に、この混合溶液に、白色粒子として、溶液中で負に帯電するポリエチレン樹脂で表面被覆した平均粒径3μmの酸化チタン30部と、黒色粒子として、溶液中で正に帯電する平均粒径3.5μmのカーボンブラック10部を分散した分散液を作成した。
【0071】
10℃に調整された水200部に乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウム0.2部を配合した水溶液と混合し、液温を10℃に保ちながら、ホモジナイザーを用いて攪拌、O/Wエマルションを得た。
【0072】
次いで、撹拌しながら液温を70℃に昇温し、マイクロカプセル壁を形成させ、白色及び黒色粒子が分散した分散液を封入したマイクロカプセルを作成した。
【0073】
このように作成したマイクロカプセルの径をふるい分けによりそれぞれ40μmに揃えた。
【0074】
[マイクロカプセル塗工液の作製]
実施例1と同様に作製した。
【0075】
[表示パネルの作製]
実施例1と同様に作製した。
【0076】
[残像の評価]
実施例1と同様に評価した。
評価結果を表1に示す。
【0077】
<白色表示後の残像>
残像評価時の黒色表示の反射率は初期状態のよりも大きい値を示し、白色表示後、30分たった後、黒表示すると、前面側(表示側)に白色粒子が残り、残像が生じていることが確認された。
【0078】
<黒色表示後の残像>
残像評価時の白色表示の反射率は初期状態のよりも小さい値を示し、黒色表示後、30分たった後、白表示すると、前面側(表示側)に黒色粒子が残り、残像が生じていることが確認された。
【0079】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の表示材は、マイクロカプセル壁にケイ素化合物若しくはフッ素化合物が含まれているので、表示画像の残像を効果的に防止することが出来、そのため、様々なセグメント表示及びアクティブマトリックス表示用途に、広範に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】白色と黒色の電気泳動粒子を分散媒中に分散させて封入したマイクロカプセルの説明図である。
【図2】実施例1の初期状態の白色表示を示す説明図である。
【図3】実施例1の初期状態の黒色表示を示す説明図である。
【図4】実施例1の白色表示後の残像が残っていない黒色表示を示す説明図である。
【図5】比較例1の白色表示後の残像が残っている黒色表示を示す説明図である。
【図6】実施例1の初期状態の黒色表示を示す説明図である。
【図7】実施例1の初期状態の白色表示を示す説明図である。
【図8】実施例1の黒色表示後の残像が残っていない白色表示を示す説明図である。
【図9】比較例1の黒色表示後の残像が残っている白色表示を示す説明図である。
【符号の説明】
【0082】
1…白色粒子
2…黒色粒子
3…分散媒
4…マイクロカプセル壁
11…透明基板
12…第一電極
13…マイクロカプセル層
14…基材
15…第二電極
20…表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板に第一電極を備えた前面板と基材に第二電極を備えた背面板との間にマイクロカプセル層を有し、前記マイクロカプセル層は、少なくとも2色以上の異なる粒子と無色透明溶媒がマイクロカプセル壁に封じられたマイクロカプセルによって形成された表示材であって、前記マイクロカプセル壁にケイ素化合物が含まれていることを特徴とする表示材。
【請求項2】
透明基板に第一電極を備えた前面板と基材に第二電極を備えた背面板との間にマイクロカプセル層を有し、前記マイクロカプセル層は、少なくとも2色以上の異なる粒子と無色透明溶媒がマイクロカプセル壁に封じられたマイクロカプセルによって形成された表示材であって、前記マイクロカプセル壁にフッ素化合物が含まれていることを特徴とする表示材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−140029(P2007−140029A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332588(P2005−332588)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)