説明

表示機器

【課題】表示部を視認した際に奥目感が生じるのを防止または抑制することができる表示機器を提供すること。
【解決手段】時計1は、透明性を有するカバーガラス4と、カバーガラス4の外周方向に沿った枠状をなし、カバーガラス4を支持するケース本体3と、カバーガラス4の裏面側に配置され、時刻を表示し、表示された時刻がカバーガラス4を介して視認される時刻表示部9とを備え、カバーガラス4と時刻表示部9とは、互いに当接しているか、または、互いに離間しており、その離間距離hが0.2mm以下となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、文字板と文字板に付された数字を指す長針および短針とを有する時刻表示部を備える、いわゆるアナログ式の腕時計が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の腕時計は、内部の気密性を維持する等の理由により、カバーガラスが設置されている。このカバーガラスと時刻表示部との間には、比較的大きな間隙が形成されている。特許文献1に記載の腕時計では、カバーガラスの裏面(下面)と文字板の表面(上面)との距離は、カバーガラスの厚さの約2倍もの大きさとなっている。このような間隙が形成されていると、その間隙が大きくなればなるほど、カバーガラスを介して時刻表示部を視認した際に、奥目感を感じ、当該奥目感が気になる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−105654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、表示部を視認した際に奥目感が生じるのを防止または抑制することができる表示機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の表示機器は、透明性を有する透明基板と、
前記透明基板の外周方向に沿った枠状をなし、該透明基板を支持する枠体と、
前記透明基板の裏面側に配置され、数字、文字、記号および図形のうちの少なくとも1つの情報を表示し、該表示された情報が前記透明基板を介して視認される表示部とを備え、
前記透明基板と前記表示部とは、互いに当接しているか、または、互いに離間しており、その離間距離が0.2mm以下となっていることを特徴とする。
これにより、表示部を視認した際に奥目感が生じるのを防止または抑制することができる。
【0006】
本発明の表示機器では、前記枠体は、その内周部に突出形成された枠体側突出部を有し、
前記表示部が前記枠体側突出部に当接することにより、離間距離が規制されることが好ましい。
これにより、表示部を視認した際に奥目感が生じるのを防止または抑制することができる。
【0007】
本発明の表示機器では、前記透明基板は、その裏面に突出形成された基板側突出部を有し、
前記基板側突出部が前記枠体側突出部に当接していることが好ましい。
これにより、透明基板に対し、その面方向に力が作用したとしても、当該力によって透明基板が枠体から外れるのを防止することができる。
【0008】
本発明の表示機器では、前記透明基板と前記枠体とは、接着剤を介して互いの接着面で接着されるものであり、
前記透明基板と前記枠体とのうちの少なくとも一方は、前記透明基板と前記枠体とを前記接着剤で接着した際に、該接着剤が前記各接着面から前記透明基板と前記表示部との間に流入するのを阻止する流入阻止部を有することが好ましい。
これにより、接着剤が透明基板と表示部との間に流入するのが確実に防止され、よって、接着剤で情報が隠されてしまうのを確実に防止することができる。
【0009】
本発明の表示機器では、前記透明基板と前記枠体とのうちの少なくとも一方は、前記透明基板と前記枠体とを前記接着剤で接着した際に、該接着剤が前記各接着面から外方に向かって流出するのを阻止する流出阻止部を有することが好ましい。
これにより、接着剤が枠体からはみ出してしまうのが確実に防止され、よって、表示機器の審美性が向上する。
【0010】
本発明の表示機器では、前記流入阻止部および前記流出阻止部は、それぞれ、前記透明基板の外周方向に沿って形成された溝で構成されており、
前記流入阻止部の深さは、前記流出阻止部の深さよりも深いことが好ましい。
これにより、接着剤の体積によらず、当該接着剤が透明基板と表示部との間に流入するのがより確実に防止され、よって、接着剤で情報が隠されてしまうのをより確実に防止することができる。
【0011】
本発明の表示機器では、前記流入阻止部および前記流出阻止部には、それぞれ、微小な凹凸が形成されていることが好ましい。
これにより、例えば、接着剤が形成する層に、その厚さが大となる部分が生じ、よって、接着強度が増加する。
本発明の表示機器では、前記情報は、数字であり、
前記表示部は、前記数字により時刻を表示するものであることが好ましい。
これにより、奥目感が防止または抑制された状態で、時刻を視認することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示部を視認した際に奥目感が生じるのを防止または抑制することができる表示機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す腕時計の分解斜視図である。
【図3】図1に示す腕時計の部分断面図である。
【図4】図1に示す腕時計を製造する際の、カバーガラスと枠体とを接合する過程を順に示す断面図である。
【図5】本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第2実施形態を示す部分断面図である。
【図6】本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第3実施形態を示す部分断面図である。
【図7】本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第4実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第5実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第6実施形態を示す断面図である。
【図10】本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第7実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の表示機器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す腕時計の分解斜視図、図3は、図1に示す腕時計の部分断面図、図4は、図1に示す腕時計を製造する際の、カバーガラスと枠体とを接合する過程を順に示す断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1および図2中の紙面手前側を「表」、「上」または「上方」、紙面奥側を「裏」、「下」または「下方」と言い、図3および図4中(図5〜図10についても同様)の上側を「表」、「上」または「上方」、下側を「裏」、「下」または「下方」と言う。
【0015】
図1〜図3に示すように、腕時計(以下単に「時計」と言う)1は、ケース2と、ケース2内に収納される時刻表示部(表示部)9と、バンド10とを備えている。以下、各部の構成について説明する。
ケース2は、ケース本体(枠体)3と、カバーガラス(透明基板)4と、中枠5と、裏蓋6とを備えている。
【0016】
カバーガラス4は、例えば可視光の透過度が85%以上程度の透明性を有するものである。この「透明」には、無色透明の他、有色(着色)透明も含まれる。
また、カバーガラス4は、平面視での形状が長方形をなす板部材で構成されている。
図3に示すように、カバーガラス4の表面41の縁部には、面取り411が施されている。
【0017】
カバーガラス4の裏面42の縁部は、接着剤11を介してケース本体3と接着される接着面421となる。そして、接着面421には、平面視で接着剤11を覆うマスク層423が形成されている。このマスク層423により、表側からは接着剤11の視認が防止または抑制されるように、当該接着剤11が隠れ、よって、時計1の審美性が向上する。なお、マスク層423の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、印刷による方法、蒸着による方法等が挙げられる。また、マスク層423の色としては、有彩色、無彩色のいずれでもよい。
また、カバーガラス4の裏面42の接着面421以外の部分、すなわち、中心部付近は、下方向かって突出しており、突出部(基板側突出部)422を構成している。この突出部422は、平面視で時刻表示部9のほぼ全体を覆うことができる。
【0018】
カバーガラス4の構成材料としては、例えば、ガラス、プラスチックまたはそれらの複合材料が挙げられ、特に、ガラスが好ましい。このガラスの具体例としては、無アルカリガラス、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウ珪酸ガラス等が挙げられる。また、この他に、カバーガラス4の構成材料として、ウレックサイトを用いることができる。この場合、時刻がカバーガラス4の表側に向かって浮かび上がるように視認される。
このようなカバーガラス4は、ケース本体3に支持されている。
【0019】
ケース本体3は、カバーガラス4の外周方向に沿った枠状、すなわち、リング状をなす部材である。
図2に示すように、ケース本体3の上面には、凹部で構成されたカバーガラス設置部31が設けられ、当該カバーガラス設置部31にカバーガラス4が嵌り込んでいる。これにより、カバーガラス4は、その表面41全体が露出して、視認可能となり、よって、見栄えが良いものとなる。なお、カバーガラス4の表面41の縁部の一部または全部を例えば別部材で囲ってもよい。
カバーガラス設置部31の底面は、接着剤11を介してカバーガラス4と接着される接着面311となる。
【0020】
図3、図4に示すように、接着面311には、そのケース本体3の内周側の部分に第1の阻止部(流入阻止部)312が形成され、外周側の部分に第2の阻止部(流出阻止部)313が形成されている。第1の阻止部312は、接着剤11が、接着面311および421からカバーガラス4と時刻表示部9との間に形成された間隙12に流入するのを阻止する部分である。また、第2の阻止部313は、接着剤11が、接着面311および421から外方に向かって流出するのを阻止する部分である。そして、第1の阻止部312および第2の阻止部313は、それぞれ、ケース本体3(カバーガラス4)の周方向に沿って形成された溝で構成されている。
【0021】
ここで、カバーガラス4とケース本体3とが接着剤11で接着されるまでの過程について図4を参照しつつ説明する。
図4(a)に示すように、カバーガラス4とケース本体3とが離間した状態で、ケース本体3の接着面311の第1の阻止部312および第2の阻止部313を以外の部分に接着剤11が付与されている。
【0022】
次に、図4(b)に示すように、カバーガラス4をケース本体3に対して押し付けていくと、カバーガラス4の接着面421とケース本体3の接着面311との距離が減少する。このとき、接着剤11は、押し潰されて、図中の矢印A方向に向かっていくものと、矢印B方向に向かっていくものとが生じる。
そして、図4(c)に示すように、前記矢印A方向に向かっていくものは、間隙12に向かって流入しようとするが、第1の阻止部312で確実に堰止められ、それ以上の移動が阻止される。これにより、接着剤11が間隙12に流入するのが確実に防止され、よって、接着剤11で時刻が隠されてしまうのを確実に防止することができる。また、これと同様に、前記矢印B方向に向かっていくものも、外方に向かって流出しようとするが、第2の阻止部313で確実に堰止められ、それ以上の移動が阻止される。これにより、接着剤11がケース2からはみ出してしまうのが確実に防止され、よって、時計1の審美性が向上する。
【0023】
図4に示すように、第1の阻止部312の深さは、第2の阻止部313の深さよりも深い。
仮に接着剤11の前記矢印A方向に向かっていくものの体積よりも前記矢印B方向に向かっていくものの体積の方が多い場合、当該矢印B方向に向かっていくものが第2の阻止部313を越えてケース2からはみ出してしまっても、そのはみ出した部分を除去することができる。また、第2の阻止部313が浅いのもとなるため、時計1の見栄えがよくなる。また、第1の阻止部312は、前述したようにマスク層423に覆われるため、外部からは視認し難いものとなる。従って、接着剤11の間隙への流入を阻止するために、第1の阻止部312の深さを十分に深くすることができ、また、これによって、時計1の見栄えにはあまり影響を与えることがない。
【0024】
また、第1の阻止部312および第2の阻止部313には、それぞれ、粗面加工が施され、微小な凹凸が形成されている。この凹となる部分で、接着剤11が形成する層に、その厚さが大となる箇所が生じ、よって、接着強度が増加する。また、凹凸が形成された分、接着剤11がより確実に堰止められる。
なお、粗面加工としては、特に限定されず、例えば、型押しによる方法、ホーニングによる方法、サンドブラストによる方法等が挙げられる。
【0025】
図3に示すように、ケース本体3の内周部には、突出部(枠体側突出部)32が突出している。この突出部32は、ケース本体3の内周部に沿って形成されている。
カバーガラス4をケース本体3のカバーガラス設置部31に設置した際、カバーガラス4の突出部422の外周部424は、ケース本体3の突出部32の内周部(頂部)321に当接する。これにより、カバーガラス4に対し、その面方向に力が作用したとしても、当該力によってカバーガラス4がケース本体3から外れるのを防止することができる。
ケース本体3には、その裏側から裏蓋6が装着される。この裏蓋6は、平板状をなす部材である。
【0026】
図3に示すように、裏蓋6の上面61には、ケース本体3の内周部と嵌合する嵌合部62が突出形成されている。この嵌合部62は、裏蓋6の外周部に沿ったリング状をなす部分である。嵌合部62がケース本体3に嵌合することにより、裏蓋6をケース本体3に装着することができる。これにより、カバーガラス4とともに、ケース2内の気密性や液密性を保持することができる。
【0027】
また、裏蓋6の上面61には、嵌合部62よりも内側に中枠5が例えば係合により固定されている。この中枠5は、時刻表示部9を支持するものである。
中枠5は、ケース本体3よりも小さいリング状をなす部材で構成されている。中枠5に時刻表示部9が嵌合することにより、時刻表示部9がケース2に対して位置決めがなされるとともに固定される。
なお、ケース本体3、中枠5および裏蓋6の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。
【0028】
また、ケース本体3とカバーガラス4とを接着する接着剤11としては、特に限定されず、例えば、油性アクリル樹脂、エポキシ系樹脂(エポキシ系接着剤含む)、ポリエチレン系樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーン樹脂、シランカップリング剤、天然ゴム系接着剤等を用いることができる。接着剤11の付与方法としては、例えば、スプレー法、ディッピング法、刷毛塗り、スクリーン印刷法、ディスペンサーを用いた定量塗布法等が挙げられる。
【0029】
図3に示すように、このような構成のケース2内には、時刻表示部9が収納されている。この時刻表示部9は、カバーガラス4の裏面42側に配置され、当該カバーガラス4を介して視認される。
時刻表示部9は、液晶表示素子91と、制御部92とを有している。この時刻表示部9は、制御部92の上方に、全体形状が板状をなす液晶表示素子91が載置されたものとなっている。
【0030】
図1に示すように、液晶表示素子91は、液晶により4つの数字をデジタル表示することができ、これらの数字によって時刻を表示することができる。そして、この表示された時刻をカバーガラス4を介して視認することができ、現在の時刻を確認することができる。
制御部92は、液晶表示素子91と電気的に接続された回路基板やボタン電池等が内蔵され、液晶表示素子91の作動を制御するものである。
【0031】
図3に示すように、時計1では、カバーガラス4と時刻表示部9とが離間している。また、液晶表示素子91の上面911がケース本体3の突出部32の下面322に当接している。これにより、カバーガラス4の突出部422の下面425(裏面42)と液晶表示素子91の上面911と離間距離hが確実に規制される。離間距離hは、0.2mm以下である。これは、カバーガラス4の厚さtを例えば1mmとしたとき、離間距離hが厚さtの20%以下に相当する。また、離間距離hは、好ましくは0.01〜0.1mmである。これは、カバーガラス4の厚さtを例えば1mmとしたとき、離間距離hが厚さtの1〜10%に相当する。
離間距離hをこのような微小な数値範囲に規定することにより、カバーガラス4と時刻表示部9とができる限り接近した状態となる。これにより、カバーガラス4を介して時刻表示部9の液晶表示素子91で表示された時刻を視認した際に、奥目感が生じるのを防止する(または抑制する)ことができる。
【0032】
ところで、前述したように、ケース本体3とカバーガラス4とは、接着剤11を介して接着される。ここで仮に第1の阻止部312が省略されていた場合、接着剤11は、離間距離hが微小な間隙12に流入し、毛管現象によって間隙12内に広がってしまう。しかしながら、第1の阻止部312が形成されているため、接着剤11が間隙12に流入する以前に第1の阻止部312で堰止められ、よって、このような不具合を確実に防止することができる。
【0033】
バンド10は、可撓性を有する帯状をなすものである。このバンド10は、例えば、金属製の多数の小片(チップ)を互いに回動可能に連結する(鎖状に連結する)ことにより構成されている。また、バンド10は、その両端部がそれぞれケース本体3の外周部に設けられた連結部39に連結されている。このようなバンド10により、時計1を手首に容易に装着することができる。
【0034】
<第2実施形態>
図5は、本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第2実施形態を示す部分断面図である。
以下、この図を参照して本発明の表示機器の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、カバーガラスと時刻表示部との離間の程度が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0035】
図5に示す時計1Aでは、カバーガラス4Aの下面425と時刻表示部9の上面911とが互いに当接している。この場合、「離間距離hが零である」と言うこともできる。
カバーガラス4Aと時刻表示部9とがこのような配置関係となっていることにより、カバーガラス4Aを介して時刻を視認した際に、奥目感が生じるのを確実に防止することができる。
また、カバーガラス4Aには、接着面421に段差部426が形成されている。これにより、接着面421の面積が増大し、よって、接着強度が向上する。
【0036】
<第3実施形態>
図6は、本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第3実施形態を示す部分断面図である。
以下、この図を参照して本発明の表示機器の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、時刻表示部の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0037】
図6に示す時計1Bは、アナログ式の腕時計である。すなわち、時計1Bは、時刻表示部9Bとして、1〜12の数字(図示せず)が付された文字板93と、文字板93の各数字を指す長針941、短針942および秒針943を駆動するムーブメント94とを有している。
この時計1Bでは、カバーガラス4Bには、その裏面42に、周方向に沿った、すなわち、長針941、短針942および秒針943を囲むリング状をなす突出部422Bが形成されている。そして、カバーガラス4Bの突出部422Bの下面425と文字板93の上面931とが離間しており、その離間距離hが前記数値範囲に規定されている。これにより、カバーガラス4Bと時刻表示部9Bのインデックス(数字)とができる限り接近した状態となり、よって、時刻を視認した際の奥目感が生じるのを防止することができる。
【0038】
また、カバーガラス4Bの突出部422Bの外周部424は、ケース本体3の突出部32の内周部321に当接している。これにより、カバーガラス4Bに対し、その面方向に力が作用したとしても、当該力によってカバーガラス4Bがケース本体3から外れるのを防止することができる。
また、突出部422Bとケース本体3の突出部32およびカバーガラス4Bの裏面42との境界部が強調され、その強調がデザインとして認識され、よって、カバーガラス4Bの審美性が高まる。
【0039】
<第4実施形態>
図7は、本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第4実施形態を示す断面図である。
以下、この図を参照して本発明の表示機器の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、カバーガラスの構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0040】
図7に示すカバーガラス4Cは、上板部材43aと下板部材44aとで構成されている。上板部材43aは、その外径が下板部材44aの外径よりも大きい部材である。
カバーガラス4Cは、上板部材43aと下板部材44aとを同心的に配置した状態で、上板部材43aの下面431と下板部材44aの上面441とを接着剤45を介して接着することにより製造される。この製造されたカバーガラス4Cは、下板部材44aが突出部422として機能する。
このように突出部422を有するカバーガラス4Cを製造する場合、例えば、1枚の母材から切削により突出部422を加工するよりも、前述したように2枚の板部材を接着して、一方の板部材を突出部422とした方が、製造が容易となる。
【0041】
<第5実施形態>
図8は、本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第5実施形態を示す断面図である。
以下、この図を参照して本発明の表示機器の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、カバーガラスの構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0042】
図8に示すカバーガラス4Dは、内板部材46aと外板部材47aとで構成されている。内板部材46aは、その厚さが外板部材47aの厚さよりも大きい部材である。また、外板部材47aは、内板部材46aの外周面462に嵌合するリング状をなす部材である。
カバーガラス4Dは、内板部材46aに外板部材47aを嵌合させ、上面461、471同士を同一平面上に配置した状態で、内板部材46aの外周面462と外板部材47aの内周面472とを接着剤45を介して接着することにより製造される。この製造されたカバーガラス4Dは、内板部材46aの外板部材47aよりも突出した部分が突出部422として機能する。
このように突出部422を有するカバーガラス4Dを製造する場合、例えば、1枚の母材から切削により突出部422を加工するよりも、前述したように2枚の板部材を接着して、一方の板部材を突出部422とした方が、製造が容易となる。
【0043】
<第6実施形態>
図9は、本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第6実施形態を示す断面図である。
以下、この図を参照して本発明の表示機器の第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、上板部材の形状が異なること以外は前記第4実施形態と同様である。
図9に示すカバーガラス4Eでは、上板部材43bの下面431に、下板部材44aの上部が嵌合する凹部432が形成されている。これにより、上板部材43bと下板部材44aとを同心的に配置する際、上板部材43bの凹部432に下板部材44aを嵌合することにより、その位置決めが容易となる。
【0044】
<第7実施形態>
図10は、本発明の表示機器を腕時計に適用した場合の第7実施形態を示す断面図である。
以下、この図を参照して本発明の表示機器の第7実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、内板部材および外板部材のそれぞれの形状が異なること以外は前記第5実施形態と同様である。
【0045】
図10に示すカバーガラス4Fでは、内板部材46bの外周面462と、外板部材47bの内周面472とに、互いに噛み合う段差部463、473が形成されている。これにより、内板部材46bの上面461と外板部材47bの上面471とを同一平面上に配置する際、内板部材46bの段差部463と外板部材47bの段差部473とが噛み合うことにより、その位置決めが容易となる。
【0046】
以上、本発明の表示機器を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、表示機器を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の表示機器は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0047】
本発明の表示機器を適用することができるものとしては、腕時計の他に、携帯電話機、音楽プレーヤー、携帯テレビ等の電子機器が挙げられる。例えば、携帯電話機に適用した場合、表示される情報としては、時間(数字)の他に、文字、記号、図形またはそれらを組み合わせたものが挙げられる。
また、本発明の表示機器を腕時計に適用した場合、その腕時計の平面視での形状は、各実施形態では全体として角形状であるが、これに限定されず、例えば、丸形状であってもよい。
【0048】
また、ケース本体に第1の阻止部および第2の阻止部が形成されているが、これに限定されず、例えば、カバーガラスに第1の阻止部および第2の阻止部が形成されていてもよいし、ケース本体に第1の阻止部が形成され、カバーガラスに第2の阻止部が形成されていてもよいし、ケース本体に第2の阻止部が形成され、カバーガラスに第1の阻止部が形成されていていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1、1A、1B……腕時計(時計) 2……ケース 3……ケース本体(枠体) 31……カバーガラス設置部 311……接着面 312……第1の阻止部(流入阻止部) 313……第2の阻止部(流出阻止部) 32……突出部(枠体側突出部) 321……内周部(頂部) 322……下面 39……連結部 4、4A、4B、4C、4D、4E、4F……カバーガラス(透明基板) 41……表面 411……面取り 42……裏面 421……接着面 422、422B……突出部(基板側突出部) 423……マスク層 424……外周部 425……下面 426……段差部 43a、43b……上板部材 431……下面 432……凹部 44a……下板部材 441……上面 45……接着剤 46a、46b……内板部材 461……上面 462……外周面 463……段差部 47a、47b……外板部材 471……上面 472……内周面 473……段差部 5……中枠 6……裏蓋 61……上面 62……嵌合部 9、9B……時刻表示部(表示部) 91……液晶表示素子 911……上面 92……制御部 93……文字板 931……上面 94……ムーブメント 941……長針 942……短針 943……秒針 10……バンド 11……接着剤 12……間隙 h……離間距離 t……厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明性を有する透明基板と、
前記透明基板の外周方向に沿った枠状をなし、該透明基板を支持する枠体と、
前記透明基板の裏面側に配置され、数字、文字、記号および図形のうちの少なくとも1つの情報を表示し、該表示された情報が前記透明基板を介して視認される表示部とを備え、
前記透明基板と前記表示部とは、互いに当接しているか、または、互いに離間しており、その離間距離が0.2mm以下となっていることを特徴とする表示機器。
【請求項2】
前記枠体は、その内周部に突出形成された枠体側突出部を有し、
前記表示部が前記枠体側突出部に当接することにより、離間距離が規制される請求項1に記載の表示機器。
【請求項3】
前記透明基板は、その裏面に突出形成された基板側突出部を有し、
前記基板側突出部が前記枠体側突出部に当接している請求項2に記載の表示機器。
【請求項4】
前記透明基板と前記枠体とは、接着剤を介して互いの接着面で接着されるものであり、
前記透明基板と前記枠体とのうちの少なくとも一方は、前記透明基板と前記枠体とを前記接着剤で接着した際に、該接着剤が前記各接着面から前記透明基板と前記表示部との間に流入するのを阻止する流入阻止部を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の表示機器。
【請求項5】
前記透明基板と前記枠体とのうちの少なくとも一方は、前記透明基板と前記枠体とを前記接着剤で接着した際に、該接着剤が前記各接着面から外方に向かって流出するのを阻止する流出阻止部を有する請求項4に記載の表示機器。
【請求項6】
前記流入阻止部および前記流出阻止部は、それぞれ、前記透明基板の外周方向に沿って形成された溝で構成されており、
前記流入阻止部の深さは、前記流出阻止部の深さよりも深い請求項5に記載の表示機器。
【請求項7】
前記流入阻止部および前記流出阻止部には、それぞれ、微小な凹凸が形成されている請求項5または6に記載の表示機器。
【請求項8】
前記情報は、数字であり、
前記表示部は、前記数字により時刻を表示するものである請求項1ないし7のいずれかに記載の表示機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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