説明

表示装置および制御方法

【課題】ユーザの動体検出と顔検出とを組み合わせることで、省電力制御を精度良く、また効果的に実行することが可能な、表示装置および制御方法を提供すること。
【解決手段】画像表示方向に対する所定の範囲の動画像を撮像する撮像部と、画像表示方向に対する所定の範囲の動体の存在の有無を検出する動体検出部と、撮像部が撮像した動画像を解析して顔の存在の有無を検出する画像解析部と、画像解析部が検出した顔の存在の有無と、検出部が検出した動体の存在の有無とを組み合わせることにより設定される複数のモードによってそれぞれ異なるパターンで消費電力を制御する電力制御部と、を備える、表示装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
JEITA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association;社団法人 電子情報技術産業協会)の調査によれば、1日のテレビの平均の視聴時間は4.5時間であるという数字がある。しかし、昨今ではライフスタイルの変化もあり、その4.5時間の間、常にテレビを見続けている訳ではないことが分かっている。
【0003】
例えば、朝に会社や学校へ出かける用意をしながら、または食事をしながらのテレビの視聴などでは、テレビの画面をずっと見たままではなく、天気予報などの音声からの入力で十分な番組が放送されているときには視線を外していたり、人と話をしていたりしていることがある。そして、時事ニュースやスポーツニュース等において流される興味のあるキーワードをきっかけとして、再びテレビの画面を見始めるといった行動があることが多い。
【0004】
つまり、代表的なテレビの視聴形態として、朝は時計代わりにテレビがついているだけの、また最近では、夜にPC(パーソナルコンピュータ)を操作しながらテレビの音を聴いている、いわゆる『ながら視聴』が増加している状況にある。このような『ながら視聴』が行われている場合には、テレビの画面がついた状態では無駄に電力を消費していることになる。そこで、テレビ画面の周辺部に撮像素子を設け、この撮像素子によって顔検出を行うことで、ユーザの視聴状態を解析し視聴状態に最適な省電力制御を実行する表示装置が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、顔検出のみでの省電力制御では、テレビの設置環境によってユーザの顔が検出しにくい場合、もしくは一定時間よそ見している場合など、表示装置を継続利用したいと考えている場合においても、視聴つまりは顔の存在なしとして表示が消されてしまいかねないという問題があった。また、顔検出処理は動体検出と比較して相対的に画像処理時間が長くなるため、計算速度やリソースに制限のある環境においては、ユーザが視聴のために表示装置の前にきてから画像が表示されるまでの反応に遅延が生じてしまうという問題があった。
【0006】
また、撮像素子や焦電式赤外線素子によって動体またはユーザの動作検出を行い、ユーザの視聴状態を解析し、省電力制御をおこなう表示装置もあるが、ユーザが動かずに視聴を継続する場合、誤ってユーザが存在しないと判断されてしまい、画面表示が消されてしまうという問題もあった。このような誤動作を回避するために、結果として省電力制御を開始するまでの時間を伸ばすこととなり、省電力効果が下がってしまっていた。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ユーザの動体検出と顔検出とを組み合わせることで、省電力制御を精度良く、また効果的に実行することが可能な、新規かつ改良された表示装置および制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、画像表示方向に対する所定の範囲の動画像を撮像する撮像部と、画像表示方向に対する所定の範囲の動体の存在の有無を検出する動体検出部と、前記撮像部が撮像した動画像を解析して顔の存在の有無を検出する画像解析部と、前記画像解析部が検出した顔の存在の有無と、前記検出部が検出した動体の存在の有無とを組み合わせることにより設定される複数のモードによってそれぞれ異なるパターンで消費電力を制御する電力制御部と、を備える、表示装置が提供される。
【0009】
前記電力制御部は、前記画像解析部が検出した顔の存在の有無によってのみ表示装置の消費電力を制御し、前記画像解析部が顔の存在を所定の時間検出できなかった場合に消費電力を低下させる第1のモードを有していてもよい。
【0010】
前記電力制御部は、前記画像解析部が検出した顔の存在の有無と、前記動体検出部が検出した動体の存在の有無とを用いて表示装置の消費電力を制御し、前記画像解析部が顔の存在を第1の所定の時間検出できなかった場合に所定のレベルまで消費電力を低下させ、該低下後、前記動体検出部が動体の存在を第2の所定の時間検出できなかった場合にさらに消費電力を低下させる第2のモードを有していてもよい。
【0011】
前記電力制御部は、前記画像解析部が検出した顔の存在の有無と、前記動体検出部が検出した動体の存在の有無とを用いて表示装置の消費電力を制御し、前記画像解析部が顔の存在を所定の時間検出できず、かつ前記動体検出部が動体の存在を前記所定の時間検出できなかった場合に消費電力を低下させる第3のモードを有していてもよい。
【0012】
前記電力制御部は、画像を表示する表示パネルの輝度を上下させることで表示装置の消費電力を制御してもよい。
【0013】
前記電力制御部は、音声を表示するスピーカの音量を上下させることで表示装置の消費電力を制御してもよい。
【0014】
前記電力制御部は、表示画像を高画質化するための回路の動作を制御することで消費電力を制御してもよい。
【0015】
前記電力制御部が表示装置の消費電力の制御を停止する場合に、消費電力の制御を停止していることを通知する通知部をさらに備えていてもよい。
【0016】
前記画像解析部は、前記撮像部が撮像した動画像の解析によって個人を特定し、前記電力制御部は前記画像解析部が特定した個人に応じて前記モードを自動的に選択してもよい。
【0017】
前記電力制御部は、表示されるコンテンツの内容に応じて前記モードを自動的に選択してもよい。
【0018】
前記電力制御部は、電源が投入されてから最初に顔または動体が検出されるまでは、表示装置の消費電力の制御を開始しないようにしてもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画像表示方向に対する所定の範囲の動画像を撮像する撮像ステップと、画像表示方向に対する所定の範囲の動体の存在の有無を検出する動体検出ステップと、前記撮像された動画像を解析して顔の存在の有無を検出する顔検出ステップと、顔の存在の有無と、動体の存在の有無をとを組み合わせることで複数のモードによってそれぞれ異なるパターンで消費電力を制御する電力制御ステップと、を含む、制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、ユーザの動体検出と顔検出とを組み合わせることで、省電力制御を精度良く、また効果的に実行することが可能な、新規かつ改良された表示装置および制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100の外観について説明する説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100の構成について示す説明図である。
【図3】制御部110の構成について説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100による省電力処理の一例について示す流れ図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における各省電力モードでの省電力動作を示す説明図である。
【図6】画像表示装置100での省電力動作を示す流れ図である。
【図7】画像表示装置100での省電力動作を示す流れ図である。
【図8】画像表示装置100での省電力動作を示す流れ図である。
【図9】電力モードを意図的に抑制している場合の画像表示装置100の動作例を示す説明図である。
【図10】電力モードを意図的に抑制している場合の画像表示装置100の動作例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.画像表示装置の構成]
[1−2.制御部の構成]
[1−3.省電力処理]
<2.まとめ>
【0024】
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.画像表示装置の構成]
まず、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100の外観について説明する説明図である。図1は、画像表示装置100を正面から見た場合の正面図である。以下、図1を用いて本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100の外観について説明する。
【0025】
図1に示したように、本発明の一実施形態に係る画像表示装置100は、静止画像または動画像を表示する表示パネル102の上方中央部及び左右中央部に、動画像を撮像する撮像部104が備えられている。撮像部104は、画像表示装置100が表示パネル102で静止画像または動画像を表示する方向に対して、動画像の撮像を行うものである。本実施形態にかかる画像表示装置100は、撮像部104で撮像された画像を解析し、画像に映っているユーザの顔を検出する。そして、撮像部104が撮像した動画像にユーザの顔が含まれているかどうかで、画像表示装置100は内部の動作状態を変化させることを特徴としている。
【0026】
また、本発明の一実施形態に係る画像表示装置100は、表示パネル102の下方中央部にセンサ106を備えている。センサ106は、画像表示装置100の前方の人間の有無を検知するものである。画像表示装置100は、画像表示装置100の前方に人間が存在しているか否かによっても、内部の動作状態を変化させることを特徴としている。
【0027】
また、本発明の一実施形態に係る画像表示装置100は、LED109を備えている。LED109は、点灯状態によって、また発光色によって画像表示装置100の状態をユーザに通知するものである。
【0028】
なお、図1では、画像表示装置100は、画像の表示パネル102の周囲の3箇所に、動画像を撮像する撮像部104を備えていたが、本発明においては動画像を撮影する画像入力の場所はかかる例に限定されないことは言うまでもなく、例えば、画像表示装置100とは別の装置を設け、画像表示装置100に当該装置を接続して、当該装置において動画像を撮影してもよい。また、画像入力部の数も3つに限られないことは言うまでもなく、2つ以下、または4つ以上の画像入力部を設けて撮像してもよい。さらに、センサ106の数も1つに限られないことは言うまでも無く、2つ以上のセンサを設けて人間の有無を検知してもよい。
【0029】
また、図1には図示しないが、画像表示装置100は、リモートコントローラ(図示せず)からの赤外線や無線等による制御信号を受信することができる信号受信部をさらに備えていてもよい。
【0030】
以上、図1を用いて本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100の外観について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100の構成について説明する。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100の構成について示す説明図である。以下、図2を用いて本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100の構成について説明する。
【0032】
図2に示したように、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100は、表示パネル102と、撮像部104と、センサ106と、スピーカ108と、制御部110と、を含んで構成される。
【0033】
そして制御部110は、画像入力部112と、画像処理部114と、視聴状態解析部116と、視聴状態記録部118と、システム最適化処理部120と、システム制御部122と、を含んで構成される。
【0034】
表示パネル102は、パネル駆動信号に基づいて静止画像または動画像を表示するものである。本実施形態においては、表示パネル102は液晶によって静止画像または動画像を表示する。もちろん発明においては、表示パネル102はかかる例に限定されないことは言うまでもない。表示パネル102は、有機EL(エレクトロルミネセンス)のような自発光型の表示デバイスによって静止画像または動画像を表示するものであってもよい。
【0035】
撮像部104は、上述したように、静止画像または動画像を表示する表示パネル102の上方中央部および左右中央部に備えられるものであり、表示パネル102にパネル駆動信号が供給され、表示パネル102において動画像を表示している際に、画像表示装置100が表示パネル102で動画像を表示する方向に対して動画像の撮像を行うものである。撮像部104は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサによって動画像の撮像を行うものであってもよく、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサによって動画像の撮像を行うものであってもよい。撮像部104で撮像された動画像は制御部110に送られる。
【0036】
センサ106は、上述したように、静止画像または動画像を表示する表示パネル102の下方中央部に備えられるものであり、画像表示装置100の前方の人間の有無を検知するものである。また、センサ106は、画像表示装置100の前方に人間が存在している場合には、画像表示装置100とその人間との間の距離を検出することができる。センサ106による検知結果及び距離情報は制御部110に送られる。スピーカ108は、音声出力信号に基づいて音声を出力するものである。
【0037】
制御部110は、画像表示装置100の各部の動作を制御するものである。以下で制御部110の各部について説明する。
【0038】
画像入力部112は、撮像部104で撮像された動画像を受け取るものである。画像入力部112が受け取った動画像は画像処理部114に送られ、画像処理部114での画像処理に用いられる。
【0039】
画像処理部114は、本発明の画像解析部の一例であり、画像入力部112から送られてきた、撮像部104で撮像された動画像に対する各種画像処理を実行するものである。画像処理部114が実行する画像処理には、撮像部104で撮像された動画像に含まれている動体の検出処理、動画像に含まれている人間の人数の検出処理、動画像に含まれている顔および顔の表情の検出処理が含まれる。画像処理部114による各種画像処理の結果は、視聴状態解析部116に送られて、画像表示装置100を視聴している人物の有無や視聴している人物の状態の解析に用いられる。
【0040】
画像処理部114における、画像中に含まれる顔を検出する顔検出処理については、例えば特開2007−65766号公報や、特開2005−44330号公報に掲載されている技術を用いることができる。以下、顔検出処理について簡単に説明する。
【0041】
画像からユーザの顔を検出するには、まず供給された画像における顔の位置、顔の大きさ、顔の方向を、それぞれ検出する。顔の位置と大きさが検出されることにより、顔画像の部分を画像から切り出すことができる。そして切り出した顔画像と、顔の方向の情報とから、顔の特徴的な部分(顔特徴位置)、例えば、眉毛、目、鼻、口といった特徴的な部分を検出する。顔特徴位置の検出には、例えば、AAM(Active Appearance Models)と呼ばれる方法を適用して、特徴位置を検出するようにすることが可能である。
【0042】
顔特徴位置を検出すると、検出した顔特徴位置のそれぞれに対して局所特徴量を算出する。局所特徴量を算出し、算出した局所特徴量を顔画像と併せて記憶しておくことで、撮像部104で撮影された画像から顔の識別が可能となる。顔の識別方法については、例えば特開2007−65766号公報や、特開2005−44330号公報に掲載されている技術を用いることが出来るので、ここでは詳細な説明は省略する。また、顔画像や顔特徴位置によって、供給された画像に写っている顔が男性なのか女性なのか、また大人なのか子供なのかを判別することも可能である。また、予め顔の情報を記録しておくことで、供給された画像に写っている人物を記録された顔の中から探し出して、個人を特定することが可能である。
【0043】
視聴状態解析部116は、画像処理部114による各種画像処理の結果、並びにセンサ106の検知による検知結果及び距離情報を受け取り、画像処理部114による各種画像処理の結果、並びにセンサ106の検知による検知結果及び距離情報を用いて、画像表示装置100が表示している画像を視聴している人物の有無や視聴している人物の状態の解析を実行するものである。視聴状態解析部116が人物の有無や視聴している人物の状態を解析することで、画像表示装置100は、画像表示装置100を視聴している人の有無によって表示パネル102の輝度を低下させたり、表示パネル102の方向を制御したりすることができる。視聴状態解析部116での解析処理による解析結果は、視聴状態記録部118及びシステム最適化処理部120に送られる。
【0044】
なお、視聴状態解析部116は、センサ106の検知による検知結果及び距離情報から、動体は検知できているが、センサ106とその動体との距離が所定の距離以上離れている場合には、その動体は検出の対象外としてもよい。
【0045】
視聴状態記録部118は、視聴状態解析部116の解析処理によって得られる解析結果を記録するものである。視聴状態記録部118が記録した視聴状態解析部116での解析結果は、システム最適化処理部120におけるシステム最適化処理に用いられる。また、視聴状態記録部118が記録した視聴状態解析部116での解析結果は、外部の情報収集サーバ200に送られるようにしてもよい。
【0046】
システム最適化処理部120は、本発明の電力制御部の一例であり、視聴状態解析部116の解析処理によって得られる解析結果を用いて、画像表示装置100の各部に対するシステム最適化処理を実行するためのシステム制御情報を算出するものである。画像表示装置100の各部に対するシステム最適化処理には、画像表示装置100の電源制御、表示パネル102の輝度制御、表示パネル102の方向制御、表示パネル102の表示内容の制御、スピーカ108から出力される音声の音量制御、表示パネル102に表示する動画像を高画質化するための回路(図示せず)の動作制御等がある。
【0047】
表示パネル102に表示する動画像を高画質化するための回路としては、例えばフレームレートを2倍、3倍等に向上させる倍速化回路がある。このような倍速化回路等の動画像を高画質化するための回路については、回路動作の一部または全部を停止することで、画像表示装置100の電力消費を制御してもよい。
【0048】
画像表示装置100は、システム最適化処理部120が算出したシステム制御情報に基づいて、省電力処理を実行することができる。システム最適化処理部120が算出したシステム制御情報はシステム制御部122に送られる。
【0049】
なお、本実施形態にかかる画像表示装置100は、後に説明するように複数の省電力モードによって省電力動作を実行する。そして各省電力モードは、視聴状態解析部116の解析結果に応じてシステム最適化処理部120が異なるパターンで作成するシステム制御情報に基づいて省電力動作を実行するものである。
【0050】
システム制御部122は、システム最適化処理部120が算出したシステム制御情報に基づいて、画像表示装置100の各部に対するシステム最適化処理を実行するものである。具体的には、システム制御部122は、システム最適化処理部120が算出したシステム制御情報に基づいて、表示パネル102の輝度制御、表示パネル102の方向制御、表示パネル102の表示内容の制御、スピーカ108から出力される音声の音量制御等を実行する。
【0051】
以上、図2を用いて本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100の構成について説明した。このように、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100は、撮像部104及びセンサ106によって、ユーザの視聴状態を解析する。従来においては、撮像部104で撮像処理を行い、撮像部104が撮像した画像に顔が含まれているかどうかを判断する顔検出処理によってのみ、ユーザの視聴状態を解析していた。しかし、顔検出処理によってのみユーザの視聴状態を解析すると、ユーザの顔が検出しにくい場合、もしくは一定時間よそ見している場合など、表示装置を継続利用したいと考えている場合においても視聴つまりは存在なしとして表示が消されてしまうという問題が生じていた。また、顔検出処理は、センサ等による動体検出処理と比較して、相対的に画像処理時間が長くなるため、計算速度やリソースに制限のある環境においては、ユーザが視聴のために表示装置の前にきてから画像が表示されるまでの反応に遅延が生じていた。
【0052】
一方、焦電式赤外線素子その他のセンサによって、動体またはユーザの動作検出を行いユーザの視聴状態を解析し、省電力制御をおこなう装置も存在するが、ユーザが動かずに視聴を継続する場合等に、ユーザが存在していないとして表示が消される等の問題があった。誤動作を回避するために、省電力制御を開始するまでの時間を伸ばすこととなり、結果として省電力効果が下がってしまっていた。
【0053】
そこで、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100は、撮像部104が撮像した画像に対する顔検出処理と、センサ106による動体検出処理とを組み合わせることで、より効果的にユーザの視聴状態を解析することを可能としている。
【0054】
次に、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100に含まれる制御部110の構成について、より詳細に説明する。
【0055】
[1−2.制御部の構成]
図3は、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100に含まれる制御部110の構成について説明する説明図である。図3は、制御部110の中でも、制御部110に含まれる視聴状態解析部116と、システム最適化処理部120の構成について説明するものである。以下、図3を用いて、視聴状態解析部116と、システム最適化処理部120の構成について説明する。
【0056】
図3に示したように、視聴状態解析部116は、ユーザ視聴有無解析部132と、ユーザ動作解析部134と、を含んで構成される。そして、システム最適化処理部120は、パネル最適化処理算出部142と、スピーカ最適化処理算出部144と、を含んで構成される。
【0057】
ユーザ視聴有無解析部132は、画像処理部114による各種画像処理の結果、並びにセンサ106の検知による検知結果及び距離情報を受け取り、画像処理部114による各種画像処理の結果、並びにセンサ106の検知による検知結果及び距離情報を用いて、画像表示装置100を視聴している人間の有無、画像表示装置100を視聴している人間の顔の向きや大きさを検出するものである。
【0058】
ユーザ動作解析部134は、画像処理部114による各種画像処理の結果、並びにセンサ106の検知による検知結果及び距離情報を受け取り、画像処理部114による各種画像処理の結果、並びにセンサ106の検知による検知結果及び距離情報を用いて、ユーザの動作の時系列的・空間的な状態・履歴から、画像表示装置100を視聴している人間の有無を解析するものである。
【0059】
ここで、画像処理部114からは、撮像画像と、撮像画像内における、画像表示装置100を利用しているユーザごとの顔検出情報(例えば、中心座標[a1,b1]、顔の大きさ[w1,h1]、顔の向き[i1]等の情報)及び動体検出情報(例えば、中心座標[c1,d1]、顔領域の大きさ[s1]等の情報)とが、視聴状態解析部116に送られる。視聴状態解析部116では、ユーザ視聴有無解析部132及びユーザ動作解析部134において、画像処理部114から送られてくる情報を用いた、画像表示装置100を視聴している人間の有無の解析処理が行われる。
【0060】
パネル最適化処理算出部142は、ユーザ視聴有無解析部132及びユーザ動作解析部134による解析処理の結果を用いて、表示パネル102において最適な省電力化が実現できる処理(省電力化実現処理)を算出するものである。表示パネル102において最適な省電力化が実現できる処理とは、例えば、画像表示装置100を視聴している人間の有無、および画像表示装置100を視聴している人間が存在していない時間に応じた表示パネル102の輝度を上下させて電力消費を制御したり、スピーカ106から出力する音声の音量を上下させて電力消費を制御したりする処理がある。パネル最適化処理算出部142が算出した省電力化実現処理はシステム制御部122に送られ、表示パネル102の省電力処理に用いられる。
【0061】
スピーカ最適化処理算出部144は、ユーザ視聴有無解析部132及びユーザ動作解析部134による解析処理の結果を用いて、スピーカ108において最適な省電力化が実現可能な処理(省電力化実現処理)を算出するものである。スピーカ108において最適な省電力化が実現できる処理とは、例えば、画像表示装置100を視聴している人間の有無、および画像表示装置100を視聴している人間が存在していない時間に応じたスピーカ108の音量を制御する処理がある。スピーカ最適化処理算出部144が算出した省電力化実現処理はシステム制御部122に送られ、スピーカ108の省電力処理に用いられる。
【0062】
なお、システム最適化処理部120における省電力化実現処理の算出に際しては、最適化処理効果算出部152を用いても良い。最適化処理効果算出部152は、視聴状態解析部116での解析結果を用いて、またシステム最適化処理部120での省電力化実現処理の算出結果を用いて、ユーザの視聴状況に応じた最適な省電力処理のための制御情報を算出する。
【0063】
以上、図3を用いて本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100に含まれる制御部110の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100による省電力処理について説明する。
【0064】
[1−3.省電力処理]
図4は、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100による省電力処理の一例について示す流れ図である。以下、図4を用いて本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100による省電力処理について説明する。
【0065】
図4に示した流れ図は、画像表示装置100の消費電力を抑えるモード(省電力モード)への移行処理の一例を示したものである。以下、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100による省電力モードへの移行処理について詳細に説明する。画像表示装置100の電源が投入されると、システム最適化処理部120によって抑制フラグに1がセットされる(ステップS101)。この抑制フラグは、画像表示装置100において省電力モードが実行されるか否かを決めるフラグである。フラグが1の場合は、省電力モードは実行されず、フラグが0の場合は、省電力モードは実行される。そして、視聴状態解析部116によって顔検出処理及び動体検出処理が行われ、画像表示装置100を視聴している人物がいるかどうかを判断する(ステップS102)。
【0066】
上記ステップS102の顔検出処理及び動体検出処理の結果、画像表示装置100を視聴している人物の存在を検出できたかどうかを視聴状態解析部116で判定する(ステップS103)。ステップS103の判定の結果、画像表示装置100を視聴している人物の存在を視聴状態解析部116で検出できた場合には、システム最適化処理部120によって抑制フラグを0にセットする(ステップS104)。一方、ステップS103の判定の結果、画像表示装置100を視聴している人物の存在を視聴状態解析部116で検出できなかった場合には、抑制フラグは1のままとする。
【0067】
続いて、画像表示装置100を操作するためのリモートコントローラによる、画像表示装置100に対する操作がユーザから行われたかどうかを判定する(ステップS105)。かかる操作判定は視聴状態解析部116で実行しても良い。
【0068】
上記ステップS105の判定の結果、リモートコントローラによる画像表示装置100に対する操作がユーザから行われたと判断した場合には、画像表示装置100の内部で保持する最終操作時刻の情報を現在時刻に設定する(ステップS106)。最終操作時刻の情報の現在時刻への設定は、例えば視聴状態解析部116で実行しても良い。
【0069】
上記ステップS106で、画像表示装置100の内部で保持する最終操作時刻の情報を現在時刻に設定すると、続いてシステム最適化処理部120は省電力モードを解除する(ステップS107)。
【0070】
一方、上記ステップS105の判定の結果、リモートコントローラによる画像表示装置100に対する操作がユーザから行われていないと判断した場合には、上記ステップS106及びステップS107はスキップする。
【0071】
続いて、システム最適化処理部120は省電力モード開始条件を満たしているかどうかを判断する(ステップS108)。省電力モード開始条件は、ユーザによって指定された省電力モードによって異なるものである。以下において、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における省電力モード開始条件の一例を示すが、本発明においては、省電力モードの数、及び各省電力モードにおける省電力モード開始条件はかかる例に限定されないことは言うまでも無い。
【0072】
本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100は、省電力モードとして「High」、「Middle」、「Low」の3種類を有している。システム最適化処理部120は、各省電力モードに応じたシステム制御情報を算出して、算出したシステム制御情報に基づいてシステム制御部122が各種制御を実行することで、画像表示装置100の各部の消費電力を異なるパターンでコントロールすることができる。
【0073】
「High」は、一定時間、視聴状態解析部116で顔が認識できなかった場合に消費電力を抑える省電力動作に移行する省電力モードである。
【0074】
「Middle」は、一定時間、視聴状態解析部116で顔が認識できなかった場合に消費電力を抑え、さらに一定時間、視聴状態解析部116で顔及び動体が認識できなかった場合に、さらに消費電力を抑える省電力動作に移行する省電力モードである。
【0075】
「Low」は、一定時間、視聴状態解析部116で顔及び動体が認識できなかった場合に、消費電力を抑える省電力動作に移行する省電力モードである。
【0076】
図5は、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における各省電力モードでの省電力動作を示す説明図である。図5の最上行に示したグラフは、顔検出及び動体検出の様子を時系列で示したものであり、図5のその他の各グラフは、横軸が時間を示しており、縦軸が消費電力を示している。
【0077】
図5に示したように、省電力モードが「High」の場合には、一定時間(例えば3秒〜10秒の間)、視聴状態解析部116で顔が認識できないと、表示パネル102の輝度を落としたり、スピーカ108の音量を下げたりする等して、徐々に消費電力を抑えていく。そして、視聴状態解析部116で顔が認識でき、リモートコントローラによる画像表示装置100に対する操作が行われた場合には、省電力モードを解除する。
【0078】
また、省電力モードが「Middle」の場合には、一定時間(例えば10秒〜30秒の間)、視聴状態解析部116で顔が認識できないと、表示パネル102の輝度を落としたり、スピーカ108の音量を下げたりする等して、半分程度まで徐々に消費電力を抑えていく。そして、さらに一定時間(例えば1分〜3分の間)、視聴状態解析部116で顔及び動体が認識できないと、表示パネル102の輝度をさらに落としたり、スピーカ108の音量をさらに下げたりする等して、さらに消費電力を抑えていく。そして、視聴状態解析部116で顔が認識でき、リモートコントローラによる画像表示装置100に対する操作が行われた場合には、省電力モードを解除する。
【0079】
そして、省電力モードが「Low」の場合には、一定時間(例えば3分〜10分の間)、視聴状態解析部116で顔及び動体が認識できないと、表示パネル102の輝度を落としたり、スピーカ108の音量を下げたりする等して、徐々に消費電力を抑えていく。そして、視聴状態解析部116で顔が認識でき、リモートコントローラによる画像表示装置100に対する操作が行われた場合には、省電力モードを解除する。
【0080】
図5では、2通りの顔検出・動体検出のパターンを用いて、各省電力モードにおける省電力動作を示している。図5の中央の列で示したパターンは、顔が検出されなくなった後に動体が検出されなくなり、その後動体が検出され、該検出の後に顔が検出される場合を示している。このパターンを「パターン1」と称する。また図5の右側の列で示したパターンは、顔が検出されなくなった後に再び顔が検出され、その後再度顔が検出されなくなり、その後に動体が検出されなくなり、さらに、その後にまず顔が検出され、続いて動体が検出される場合を示している。このパターンを「パターン2」と称する。
【0081】
省電力モードが「High」の場合には、顔の有無によってのみ省電力モードに移行するので、パターン1の場合、パターン2の場合のそれぞれについて、図5の上から2段目のグラフに示したような省電力動作が行われる。省電力モードが「Middle」の場合には、まず顔の有無によって省電力モードに移行して消費電力を抑え、続いて動体の有無によってさらに消費電力を抑えているので、パターン1の場合、パターン2の場合のそれぞれについて、図5の上から3段目のグラフに示したような省電力動作が行われる。省電力モードが「Low」の場合には、顔の有無及び動体の有無によって省電力モードに移行して消費電力を抑えているので、パターン1の場合、パターン2の場合のそれぞれについて、図5の上から4段目に示したような省電力動作が行われる。
【0082】
上記ステップS108において、システム最適化処理部120が省電力モード開始条件を満たしていると判断すると、続いてシステム最適化処理部120は、抑制フラグが0にセットされているかどうかを判断する(ステップS109)。
【0083】
上記ステップS109において、システム最適化処理部120が、抑制フラグが0にセットされていると判断すると、続いて現在時刻から、上記ステップS106で設定された最終操作時刻を引いた時間がある一定の時間を上回っているかどうかをシステム最適化処理部120で判断する(ステップS110)。例えば、画像表示装置100の省電力モードが「High」に設定されている場合には、現在時刻から、上記ステップS106で設定された最終操作時刻を引いた時間が10秒を超えているかどうかをシステム最適化処理部120で判断する。
【0084】
上記ステップS110において、現在時刻から最終操作時刻を引いた時間がある一定の時間を上回っているとシステム最適化処理部120が判断した場合には、画像表示装置100は省電力モードを開始する(ステップS111)。例えば、画像表示装置100の省電力モードが「High」に設定されている場合には、現在時刻から、上記ステップS106で設定された最終操作時刻を引いた時間が10秒を超えていた場合には、画像表示装置100は省電力モードを開始して、表示パネル102の輝度を落としたり、スピーカ108の音量を下げたりする等して、徐々に消費電力を抑えていく。
【0085】
上記ステップS111で省電力モードを開始した後に、または、上記ステップS108において、システム最適化処理部120が省電力モード開始条件を満たしていないと判断した場合、上記ステップS109において、抑制フラグが0にセットされていないとシステム最適化処理部120が判断した場合、及び上記ステップS110において、現在時刻から最終操作時刻を引いた時間がある一定の時間を上回っていないとシステム最適化処理部120が判断した場合には、続いて、電源のオフ等により、画像表示装置100の動作が終了したかどうかを判断する(ステップS112)。画像表示装置100の動作が終了していればそのまま処理を終了する。一方、画像表示装置100の動作が終了していなければ、上記ステップS102に戻り、視聴状態解析部116による顔検出処理及び動体検出処理の実行を継続する。
【0086】
以上、図4を用いて本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100による省電力処理について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における各省電力モードでの省電力動作について説明する。
【0087】
図6は、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における省電力モードが「High」の場合における省電力動作を示す流れ図である。以下、図6を用いて、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における省電力モードが「High」の場合における省電力動作について説明する。
【0088】
まず、省電力動作に入る前に予め、画像表示装置100の内部で保持しているタイマーをリセットしておく(ステップS121)。ステップS121でのタイマーのリセットは、例えば視聴状態解析部116が実行しても良い。
【0089】
続いて、視聴状態解析部116で顔検出処理を実行する(ステップS122)。そして、視聴状態解析部116で顔検出処理を実行した結果、画像入力部112に送られてきた画像に人間の顔が含まれているかどうかを視聴状態解析部116で判断する(ステップS123)。
【0090】
上記ステップS123において、画像入力部112に送られてきた画像に人間の顔が含まれていたと視聴状態解析部116が判断した場合には、再び画像表示装置100の内部で保持しているタイマーをリセットする(ステップS124)。このステップS124でのタイマーのリセットは、ステップS121でのタイマーのリセット同様に、例えば視聴状態解析部116が実行しても良い。
【0091】
上記ステップS124でタイマーをリセットすると、続いてシステム最適化処理部120で、表示パネル102の明るさを標準の明るさ(通常使用時の明るさ)に設定する(ステップS125)。
【0092】
一方、上記ステップS123において、画像入力部112に送られてきた画像に人間の顔が含まれていなかったと視聴状態解析部116が判断した場合には、続いて、タイマーがT1秒(例えば、10秒)経過したかどうかをシステム最適化処理部120で判断する(ステップS126)。
【0093】
上記ステップS126で、タイマーがT1秒経過したとシステム最適化処理部120が判断すると、システム最適化処理部120は、表示パネル102の明るさを暗くする、または0となるように設定する(ステップS127)。
【0094】
上記ステップS127でシステム最適化処理部120が表示パネル102の明るさを0、または最も暗くなるように設定すると、または、上記ステップS126で、タイマーがまだT1秒経過していないとシステム最適化処理部120が判断すると、続いて、タイマーがT2秒(ただし、T2>T1)経過したかどうかをシステム最適化処理部120で判断する(ステップS128)。
【0095】
上記ステップS128で、タイマーがT2秒経過したとシステム最適化処理部120が判断すると、システム最適化処理部120は画像表示装置100の主電源を切る処理を実行する(ステップS129)。一方、上記ステップS128で、タイマーがまだT2秒経過していないとシステム最適化処理部120が判断すると、上記ステップS122に戻って視聴状態解析部116での顔検出処理を継続する。
【0096】
以上、図6を用いて、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における省電力モードが「High」の場合における省電力動作について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における省電力モードが「Middle」の場合における省電力動作について説明する。
【0097】
図7は、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における省電力モードが「Middle」の場合における省電力動作について示す流れ図である。以下、図7を用いて、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における省電力モードが「Middle」の場合における省電力動作について説明する。
【0098】
まず、省電力動作に入る前に予め、画像表示装置100の内部で保持している2つのタイマー(以下では、説明の便宜上、2つのタイマーをそれぞれタイマー1、2とする)をそれぞれリセットしておく(ステップS131)。このステップS131でのタイマー1、2のリセットは、例えば視聴状態解析部116が実行しても良い。タイマー1は、視聴状態解析部116が顔を検出できなかった時間を計測するためのものであり、タイマー2は、視聴状態解析部116が動体の存在を検出できなかった時間を計測するためのものである。
【0099】
続いて、視聴状態解析部116で顔検出処理及び動体検出処理を実行する(ステップS132)。そして、視聴状態解析部116で顔検出処理を実行した結果、画像入力部112に送られてきた画像に人間の顔が含まれているかどうかを視聴状態解析部116で判断する(ステップS133)。
【0100】
上記ステップS133において、画像入力部112に送られてきた画像に人間の顔が含まれていたと視聴状態解析部116が判断した場合には、再び画像表示装置100の内部で保持しているタイマー1、2をそれぞれリセットする(ステップS134)。このステップS134でのタイマーのリセットは、ステップS131でのタイマーのリセット同様に、例えば視聴状態解析部116が実行しても良い。
【0101】
上記ステップS134でタイマーをリセットすると、続いてシステム最適化処理部120で、表示パネル102の明るさを標準の明るさ(通常使用時の明るさ)に設定する(ステップS135)。
【0102】
一方、上記ステップS133において、画像入力部112に送られてきた画像に人間の顔が含まれていなかったと視聴状態解析部116が判断した場合には、続いて、センサ106が動体を検出したかどうかを視聴状態解析部116で判断する(ステップS136)。
【0103】
上記ステップS136において、センサ106が動体を検出したと視聴状態解析部116が判断すると、続いてタイマー2をリセットする(ステップS137)。このステップS137でのタイマー2のリセットは、ステップS131、ステップS134でのタイマーのリセット同様に、例えば視聴状態解析部116が実行しても良い。
【0104】
上記ステップS137でタイマー2をリセットすると、続いて表示パネル102の明るさが0であるかどうかを判断する(ステップS138)。この表示パネル102の明るさの判断は、例えばシステム最適化処理部120が実行しても良い。
【0105】
上記ステップS138において、表示パネル102の明るさが0であるとシステム最適化処理部120が判断すると、画像表示装置100の前にユーザはいるが、そのユーザの顔は表示パネルの方向を向いていないものとみなし、システム最適化処理部120は、表示パネル102の明るさを暗くするように制御するためのシステム制御情報を算出し、表示パネル102の明るさを暗くする(ステップS139)。
【0106】
続いて、タイマー1がT3秒(例えば、30秒)を経過し、かつ、タイマー2がT3秒よりも長いT4秒(例えば、180秒)をまだ経過していないかどうかをシステム最適化処理部120で判断する(ステップS140)。
【0107】
上記ステップS140において、タイマー1はT3秒を経過し、かつ、タイマー2がT4秒をまだ経過していないとシステム最適化処理部120が判断すると、画像表示装置100の前にユーザはいるが、そのユーザの顔は表示パネルの方向を向いていないものとみなし、システム最適化処理部120は、表示パネル102の明るさを暗くするように制御するためのシステム制御情報を算出し、表示パネル102の明るさを暗くする(ステップS141)。
【0108】
一方、上記ステップS140において、タイマー1はT3秒をまだ経過していないとシステム最適化処理部120が判断すると、システム最適化処理部120は上記ステップS141をスキップする。
【0109】
続いて、タイマー2がT4秒を経過したかどうかをシステム最適化処理部120で判断する(ステップS142)。ステップS142において、タイマー2がT4秒を経過したとシステム最適化処理部120が判断すると、画像表示装置100の前にユーザがいないものとみなし、システム最適化処理部120は、表示パネル102の明るさを0にするように制御するためのシステム制御情報を算出し、表示パネル102の明るさを0にする(ステップS143)。
【0110】
一方、上記ステップS142において、タイマー2はT4秒をまだ経過していないとシステム最適化処理部120が判断すると、システム最適化処理部120は上記ステップS142をスキップする。
【0111】
続いて、タイマー2がT4秒より長いT5秒を経過したかどうかをシステム最適化処理部120で判断する(ステップS144)。ステップS144において、タイマー2がT5秒を経過したとシステム最適化処理部120が判断すると、画像表示装置100の前にユーザがいないものとみなし、システム最適化処理部120は、画像表示装置100の主電源を切る処理を実行する(ステップS145)。一方、ステップS144において、タイマー2がT5秒を経過していないとシステム最適化処理部120が判断すると、上記ステップS132に戻って、視聴状態解析部116で顔検出処理及び動体検出処理を継続する。
【0112】
以上、図7を用いて、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における省電力モードが「Middle」の場合における省電力動作について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における省電力モードが「Low」の場合における省電力動作について説明する。
【0113】
図8は、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における省電力モードが「Low」の場合における省電力動作について示す流れ図である。以下、図8を用いて、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における省電力モードが「Low」の場合における省電力動作について説明する。
【0114】
まず、省電力動作に入る前に予め、画像表示装置100の内部で保持しているタイマーをリセットしておく(ステップS151)。ステップS151でのタイマーのリセットは、例えば視聴状態解析部116が実行しても良い。
【0115】
続いて、視聴状態解析部116で顔検出処理及び動体検出処理を実行する(ステップS152)。そして、視聴状態解析部116で顔検出処理及び動体検出処理を実行した結果、顔または動体を検出して、画像表示装置100の前方に人間が存在しているかを視聴状態解析部116で判断する(ステップS153)。
【0116】
上記ステップS153において、顔または動体を検出したと視聴状態解析部116が判断した場合には、再び画像表示装置100の内部で保持しているタイマーをリセットする(ステップS154)。このステップS154でのタイマーのリセットは、ステップS151でのタイマーのリセット同様に、例えば視聴状態解析部116が実行しても良い。
【0117】
上記ステップS154で、画像表示装置100の内部で保持しているタイマーをリセットすると、続いてシステム最適化処理部120で、表示パネル102の明るさを標準の明るさ(通常使用時の明るさ)に設定する(ステップS155)。
【0118】
一方、上記ステップS153において、顔及び動体を検出できなかったと視聴状態解析部116が判断した場合には、続いて、タイマーがT6秒(例えば、600秒)経過したかどうかをシステム最適化処理部120で判断する(ステップS156)。
【0119】
上記ステップS156で、タイマーがT6秒経過したとシステム最適化処理部120が判断すると、システム最適化処理部120は、表示パネル102の明るさを暗くする、または0となるように設定する(ステップS157)。
【0120】
上記ステップS157でシステム最適化処理部120が表示パネル102の明るさを0、または最も暗くなるように設定すると、または、上記ステップS156で、タイマーがまだT7秒経過していないとシステム最適化処理部120が判断すると、続いて、タイマーがT8秒(ただし、T8>T7)経過したかどうかをシステム最適化処理部120で判断する(ステップS158)。
【0121】
上記ステップS158で、タイマーがT8秒経過したとシステム最適化処理部120が判断すると、システム最適化処理部120は画像表示装置100の主電源を切る処理を実行する(ステップS159)。一方、上記ステップS158で、タイマーがまだT2秒経過していないとシステム最適化処理部120が判断すると、上記ステップS152に戻って視聴状態解析部116での顔検出処理及び動体検出処理を継続する。
【0122】
以上、図8を用いて、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100における省電力モードが「Low」の場合における省電力動作について説明した。
【0123】
<2.まとめ>
以上説明したように本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100によれば、撮像部104で撮像した画像に人間の顔が含まれていたかによって、及びセンサ106によって動体の存在を検知したかによって、画像表示装置100の前にユーザがいるかどうかを判断する。このように、顔検出処理と動体検出処理とを組み合わせることで、画像表示装置100の前にいるユーザの存在を精度良く検出することができる。
【0124】
そして、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100によれば、顔検出処理と動体検出処理とを組み合わせることで複数の省電力モードを実現することが出来る。すなわち、本発明の一実施形態にかかる画像表示装置100は、顔検出処理のみを用いた省電力モードを実行することもでき、顔検出処理と動体検出処理とを組み合わせた省電力モードを実行することもできる。このように複数の省電力モードを実現可能とすることで、画像表示装置100のユーザの利用状況に適合した省電力モードを実行することができる。
【0125】
なお、上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0126】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0127】
例えば、ユーザの利用状況を画像表示装置100の内部に逐次記録し、記録したユーザの利用状況を学習した結果を用いて、複数の省電力モードの中から自動的に省電力モードをシステム最適化処理部120が選択するようにしてもよい。以下において、省電力モードの自動選択処理の例について説明する。
【0128】
例えば、撮像部104で撮影した画像に対する顔認識処理によってユーザを特定し、特定したユーザごとに省電力モードをステム最適化処理部120が自動選択してもよい。一例を挙げれば、お父さんはあまり消画しないが省電力効果が低い省電力モード、お母さんは頻繁に消画する省電力効果が低い省電力モードを事前に画像表示装置100に設定しておき、撮像部104で撮影した画像に含まれている人物がお父さんなのかお母さんなのかに応じて、省電力モードをステム最適化処理部120が自動選択してもよい。
【0129】
また例えば、特定個人の視聴スタイルを分析し、最適な省電力モードをステム最適化処理部120が自動選択してもよい。一例を挙げれば、長時間テレビをつけっ放しにしてあまりテレビを見ていない傾向が強いユーザの場合消画に移行しやすくする。一方で短時間の番組を注視して視聴する傾向が強いユーザの場合、消画に移行しにくくするなど。視聴スタイルの分析にあたっては、一定期間ユーザの視聴形態を記録する必要があるため使い始めにおいては自動設定が使用できないが、必要なデータが取得され次第、自動設定の選択肢が有効になり使用できるようになる。
【0130】
また例えば、画像表示装置100で視聴されているコンテンツによって自動的にモードを選択する。例えば、画像表示装置100で映画などのコンテンツを視聴する際には、視聴継続を優先して消画までの時間を長くしたり、一定間隔でコマーシャルなどのコンテンツと異なる情報が提示されるような場合には、コンテンツ部分とそれ以外の部分で消画までの時間を長くしたり短くしたりしてもよい。なお、画像表示装置100でどのようなコンテンツを視聴しているかの情報は、例えば、電子番組表(EPG)のデータから取得してもよく、画像表示装置100のユーザが画像表示装置100に対して設定した現在視聴中のコンテンツのジャンルから取得してもよい。
【0131】
また例えば、逆光や遮蔽等によって正常な画像処理ができなかったり、ユーザが画角外から装置を視聴している等の環境において、ユーザが視聴をしているにも関わらず省電力モードが開始してしまい誤作動が発生してしまったりするような状況を考慮して、システム最適化処理部120は、省電力処理を開始してから最初に少なくとも一つの顔が検出されるまでは、顔や動体検出が無くとも省電力モードを開始しないようにしてもよい。
【0132】
そして、顔が少なくとも一度検出され、画像表示装置100が省電力モードを開始してから、ユーザがリモートコントローラなどによって画像表示装置100の電源の投入や、表示パネル102に表示される内容切り替えなどの能動的な操作を実行していると考えられる期間(またはその後一定期間)においては、誤動作を回避するために、システム最適化処理部120は、顔や動体検出が無くとも省電力モードを開始しないようにしてもよい。
【0133】
また、上述のように省電力モードを意図的に抑制している場合においては、画像表示装置100が具備している状態通知手段(例えば、LEDや画面内でのUI表示)によって、省電力モードの抑制状態をユーザに通知するようにしてもよい。図9及び図10は、省電力モードを意図的に抑制している場合の画像表示装置100の動作例を示す説明図である。図9は、省電力モードを意図的に抑制している場合に、省電力モードが抑制されていることを表すインジケータとしてLED109を所定の色で発光させる例を示している。図10は、省電力モードを意図的に抑制している場合に、省電力モードが抑制されていることを表すGUIインジケータ103を表示パネル102に表示する例を示している。
【符号の説明】
【0134】
100 画像表示装置
102 表示パネル
104 撮像部
106 センサ
108 スピーカ
109 LED
110 制御部
112 画像入力部
114 画像処理部
116 視聴状態解析部
118 視聴状態記録部
120 システム最適化処理部
122 システム制御部
132 ユーザ視聴有無解析部
134 ユーザ動作解析部
142 パネル最適化処理算出部
144 スピーカ最適化処理算出部
152 最適化処理効果算出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示方向に対する所定の範囲の動画像を撮像する撮像部と、
画像表示方向に対する所定の範囲の動体の存在の有無を検出する動体検出部と、
前記撮像部が撮像した動画像を解析して顔の存在の有無を検出する画像解析部と、
前記画像解析部が検出した顔の存在の有無と、前記検出部が検出した動体の存在の有無とを組み合わせることにより設定される複数のモードによってそれぞれ異なるパターンで消費電力を制御する電力制御部と、
を備える、表示装置。
【請求項2】
前記電力制御部は、前記画像解析部が検出した顔の存在の有無によってのみ消費電力を制御し、前記画像解析部が顔の存在を所定の時間検出できなかった場合に消費電力を低下させる第1のモードを有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記電力制御部は、前記画像解析部が検出した顔の存在の有無と、前記動体検出部が検出した動体の存在の有無とを用いて消費電力を制御し、前記画像解析部が顔の存在を第1の所定の時間検出できなかった場合に所定のレベルまで消費電力を低下させ、該低下後、前記動体検出部が動体の存在を第2の所定の時間検出できなかった場合にさらに消費電力を低下させる第2のモードを有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記電力制御部は、前記画像解析部が検出した顔の存在の有無と、前記動体検出部が検出した動体の存在の有無とを用いて消費電力を制御し、前記画像解析部が顔の存在を所定の時間検出できず、かつ前記動体検出部が動体の存在を前記所定の時間検出できなかった場合に消費電力を低下させる第3のモードを有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記電力制御部は、画像を表示する表示パネルの輝度を上下させることで消費電力を制御する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記電力制御部は、音声を表示するスピーカの音量を上下させることで消費電力を制御する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記電力制御部は、表示画像を高画質化するための回路の動作を制御することで消費電力を制御する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記電力制御部が消費電力の制御を停止する場合に、消費電力の制御を停止していることを通知する通知部をさらに備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記画像解析部は、前記撮像部が撮像した動画像の解析によって個人を特定し、前記電力制御部は前記画像解析部が特定した個人に応じて前記モードを自動的に選択する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記電力制御部は、表示されるコンテンツの内容に応じて前記モードを自動的に選択する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記電力制御部は、電源が投入されてから最初に顔または動体が検出されるまでは、消費電力の制御を開始しない、請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
画像表示方向に対する所定の範囲の動画像を撮像する撮像ステップと、
画像表示方向に対する所定の範囲の動体の存在の有無を検出する動体検出ステップと、
前記撮像された動画像を解析して顔の存在の有無を検出する顔検出ステップと、
顔の存在の有無と、動体の存在の有無をとを組み合わせることで複数のモードによってそれぞれ異なるパターンで消費電力を制御する電力制御ステップと、
を含む、制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−61300(P2011−61300A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205997(P2009−205997)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】