説明

表示装置および表示方法

【課題】遅延時間を短くすることができる表示装置を得る。
【解決手段】フレームレート変換部と、フレームレート変換された映像を表示する液晶表示部と、間欠的に発光するバックライトと、バックライトの発光タイミングが互いに異なる複数の動作モードを有するバックライト制御部とを備えて、前記フレームレート変換部は、一の動作モードにおいて、フレーム画像と同じ複数のサブフレーム画像を生成することによりフレームレート変換を行い、前記バックライト制御部は、前記一の動作モードにおいて、前記バックライトの一の発光期間の中心を、前記液晶表示部が前記複数のサブフレーム画像を表示する表示期間の中心よりも前に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示素子を用いた表示装置、およびその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置においては、CRT(Cathode Ray Tube)表示装置から液晶表示装置への置き換えが進んでいる。液晶表示装置は、CRT表示装置に比べて薄くできるため省スペースを実現しやすく、また、消費電力が低いためエコロジーの観点からもメリットがある。
【0003】
液晶表示装置は、画素の状態が1フレームの間保持し続ける、いわゆるホールド型の表示デバイスである。よって、観察者は、このような表示装置に表示された動体を観察する場合、いわゆるホールドぼけが生じ、画質が劣化したように感じてしまう。このホールドぼけを改善するために、バックライトを間欠点灯させる方法(バックライトブリンキング)がしばしば用いられる(例えば、特許文献1など)。具体的には、例えば、バックライトを消灯した状態で液晶表示素子に画素信号を書き込み、フレーム期間の後半において、液晶がほぼ応答した後にバックライトを点灯する。これにより、その液晶表示装置は、CRTのようなインパルス型の表示を行うこととなり、ホールドぼけを低減することができる。
【0004】
ところで、表示装置における画質向上のための映像信号処理の一つに、フレーム補間を用いたフレームレート変換がある。このフレームレート変換は、入力された映像における互いに隣接するフレームを補間した補間フレームを生成し、入力された映像にその補間フレームを追加するものである(例えば、特許文献1など)。これにより、表示された映像は、より滑らかな映像になるとともに、例えば液晶表示装置を用いた場合には上述したホールドぼけが低減され、その画質が向上するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−13558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般に表示装置には、映像信号が供給されてから、実際に映像が表示されるまでの遅延時間を短くすることが望まれている。この場合、例えば、一般に処理に時間を要するフレーム補間処理によりフレームレート変換を行う代わりに、同じフレーム画像を繰り返すことによりフレームレート変換を行うことが考えられる。しかしながら、例えば表示物が高速で移動するようなゲーム用途などのいくつかの用途では、遅延時間のさらなる低下が望まれている。
【0007】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、映像信号が供給されてから、実際に映像が表示されるまでの遅延時間を短くすることができる表示装置および表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の表示装置は、フレームレート変換部と、液晶表示部と、バックライトと、バックライト制御部とを備えている。液晶表示部は、フレームレート変換された映像を表示するものである。バックライトは、間欠的に発光するものである。バックライト制御部は、バックライトの発光タイミングが互いに異なる複数の動作モードを有するものである。
【0009】
本開示の第2の表示装置は、フレームレート変換部と、液晶表示部と、バックライトと、バックライト制御部とを備えている。フレームレート変換部は、フレーム画像と同じ複数のサブフレーム画像を生成することによりフレームレート変換を行うものである。液晶表示部は、フレームレート変換された映像信号を表示するものである。バックライトは、間欠的に発光するものである。バックライト制御部は、一の動作モードにおいて、バックライトの一の発光期間の中心を、液晶表示部が複数のサブフレーム画像を表示する表示期間の中心よりも前になるように、バックライトを制御するものである。
【0010】
本開示の表示方法は、発光タイミングを変更可能なバックライトが間欠的に発光し、フレームレート変換された映像を液晶表示部において表示するものである。
【0011】
本開示の第1の表示装置および表示方法では、間欠的にバックライトが発光し、フレームレート変換により生成されたサブフレーム画像が、液晶表示部に複数回ずつ繰り返して表示される。このバックライトの発光タイミングは変更可能に構成されている。
【0012】
本開示の第2の表示装置では、間欠的にバックライトが発光し、フレームレート変換により生成されたサブフレーム画像が、液晶表示部に複数回ずつ繰り返して表示される。このバックライトの発光期間の中心は、所定の動作モードにおいて、表示期間の中心よりも前になるように制御される。
【発明の効果】
【0013】
本開示の第1の表示装置および表示方法によれば、バックライトの発光タイミングを変更可能にしたので、映像信号が供給されてから、実際に映像が表示されるまでの遅延時間を短くすることができる。
【0014】
本開示の第2の表示装置によれば、バックライトの発光期間の中心を、表示期間の中心よりも前になるようしたので、映像信号が供給されてから、実際に映像が表示されるまでの遅延時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図2】図1に示した表示駆動部の一構成例を表すブロック図である。
【図3】図2に示した画素の一構成例を表す回路図である。
【図4】図1に示したバックライトの一構成例を表す平面図である。
【図5】図1に示した表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図6】図1に示した表示装置の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図7】図1に示した表示装置の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図8】第1の実施の形態の変形例に係る表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図9】第1の実施の形態の他の変形例に係る表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図10】第1の実施の形態の他の変形例に係る表示装置の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図11】第1の実施の形態の他の変形例に係るバックライトの一構成例を表す平面図である。
【図12】第1の実施の形態の他の変形例に係る表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図13】第1の実施の形態の他の変形例に係る表示装置の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図14】第1の実施の形態の他の変形例に係る表示装置の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図15】第2の実施の形態に係る表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図16】図15に示した明るさヒストグラム信号を説明するヒストグラムである。
【図17】図15に示した表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図18】図15に示した表示装置の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図19】図15に示したバックライト駆動部の一動作例を表す流れ図である。
【図20】図15に示したバックライト駆動部の他の動作例を表すタイミング波形図である。
【図21】第2の実施の形態の変形例に係る表示装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
【0017】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図1は、第1の実施の形態に係る表示装置1の一構成例を表すものである。表示装置1は、液晶表示素子により構成された液晶表示装置である。なお、本開示の実施の形態に係る表示方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。
【0018】
表示装置1は、映像信号処理部11と、フレームレート変換部12と、表示駆動部20と、液晶表示部30と、ボード設定部13と、バックライト駆動部14と、バックライト40とを備えている。
【0019】
映像信号処理部11は、映像信号Sdispに対して、コントラスト強調、エッジ強調、インターレース/プログレッシブ変換、スケーリング(画サイズ変換)などの映像信号処理を施し、映像信号Sdisp1として出力するものである。
【0020】
フレームレート変換部12は、映像信号処理部11から供給された映像信号Sdisp1に基づいて、フレームレート変換を行い、映像信号Sdisp2として出力するものである。このフレームレート変換は、この例では、毎秒60フレームから毎秒240フレームへ、フレームレートを4倍に変換するものである。その際、フレームレート変換部12は、フレーム補間処理を行わず、同じフレーム画像を繰り返すことによりフレームレート変換するようになっている。すなわち、フレームレート変換部12では、時間を要するフレーム補間処理を行わないため、短い処理時間でフレームレート変換を実現できるようになっている。また、フレームレート変換部12は、バックライト駆動部14に対して、同期信号Ssyncを供給する機能も有している。
【0021】
表示駆動部20は、フレームレート変換部12から供給される映像信号Sdisp2に基づいて、液晶表示部30を駆動するものである。液晶表示部30は、液晶表示素子により構成された表示部であり、バックライト40から射出した光を変調することにより表示を行うようになっている。この例では、液晶表示部30は、いわゆる4倍速駆動に対応した液晶表示パネルである。
【0022】
図2は、表示駆動部20および液晶表示部30のブロック図の一例を表すものである。 表示駆動部20は、タイミング制御部21と、ゲートドライバ22と、データドライバ23とを備えている。タイミング制御部21は、ゲートドライバ22およびデータドライバ23の駆動タイミングを制御するとともに、フレームレート変換部12から供給された映像信号Sdisp2を映像信号Sdisp3としてデータドライバ23へ供給するものである。ゲートドライバ22は、タイミング制御部21によるタイミング制御に従って、液晶表示部30内の画素Pixを行ごとに順次選択して、線順次走査するものである。データドライバ23は、液晶表示部30の各画素Pixへ、映像信号Sdisp3に基づく画素信号を供給するものである。具体的には、データドライバ23は、映像信号Sdisp3に基づいてD/A(デジタル/アナログ)変換を行うことにより、アナログ信号である画素信号を生成し、各画素Pixへ供給するようになっている。
【0023】
液晶表示部30は、例えばガラスなどから構成される2枚の透明基板の間に液晶材料を封入したものである。これらの透明基板の液晶材料に面した部分には、例えばITO(Indium Tin Oxide)などから構成される透明電極が形成され、液晶材料とともに画素Pixを構成している。液晶表示部30には、図2に示したように、画素Pixがマトリックス状に配置されている。
【0024】
図3は、画素Pixの回路図の一例を表すものである。画素Pixは、TFT(Thin Film Transistor)素子Trと、液晶素子LCと、保持容量素子Csとを備えている。TFT素子Trは、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)により構成されるものであり、ゲートがゲート線GCLに接続され、ソースがデータ線SGLに接続され、ドレインが液晶素子LCの一端と保持容量素子Csの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は接地されている。保持容量素子Csは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端は保持容量線CSLに接続されている。ゲート線GCLはゲートドライバ22に接続され、データ線SGLはデータドライバ23に接続されている。
【0025】
モード設定部13は、ユーザが、表示装置1の動作モードを設定するものである。具体的には、モード設定部13は、例えば、OSD(On Screen Display)などを用いたユーザインタフェース(UI)により、動作モードの一覧を表示し、ユーザがその一覧から動作モードを選択するようになっている。動作モードとしては、この例では、画質優先モードM1および遅延時間優先モードM2が準備されている。画質優先モードM1および遅延時間優先モードM2は、後述するように、バックライトの発光タイミングが互いに異なるものである。そして、モード設定部13は、ユーザが選択した動作モードを示す動作モード信号Smodeをバックライト駆動部14に供給するようになっている。
【0026】
バックライト駆動部14は、フレームレート変換部12から供給される同期信号Ssync、およびモード設定部13から供給される動作モード信号Smodeに基づいて、バックライト40を駆動するものである。
【0027】
バックライト40は、バックライト駆動部14から供給される駆動信号に基づいて間欠的に発光(ブリンキング)し、液晶表示部30に対してその光を射出するものである。
【0028】
図4は、バックライト40の一構成例を表すものである。バックライト40は、いわゆるラインスキャン型バックライトであり、液晶表示部30の線順次走査方向に並設された複数(この例では8つ)の発光部BL1〜BL8を有している。各発光部BL1〜BL8には、それぞれ、複数のLED(Light Emitting Diode)42が並設されている。なお、発光部BL1〜BL8はこの構成に限定されるものではなく、例えばCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)により構成してもよい。
【0029】
この構成により、バックライト駆動部14は、バックライト40を、各発光部BL1〜BL8に対応する領域Z1〜Z8ごとに独立して発光制御することができる。これにより、表示装置1では、液晶表示部30の表示面における、対応する領域Z1〜Z8ごとに、独立したタイミングで表示が行われるようになっている。
【0030】
ここで、遅延時間優先モードM2は、本開示における「一の動作モード」の一具体例に対応する。画質優先モードM1は、本開示における「他の動作モード」の一具体例に対応する。
【0031】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の表示装置1の動作および作用について説明する。
【0032】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、表示装置1の全体動作概要を説明する。映像信号処理部11は、映像信号Sdispに対して、所定の映像信号処理を行い、その結果を映像信号Sdisp1として出力する。フレームレート変換部12は、映像信号Sdisp1に対してフレームレート変換を行い、映像信号Sdisp2として出力するとともに、その映像信号Sdisp2に同期した同期信号Ssyncを生成する。表示駆動部20は、映像信号Sdisp2に基づいて、液晶表示部30を駆動する。モード設定部13は、ユーザからの指示に基づき、表示装置1の動作モードを設定し、動作モード信号Smodeを生成する。バックライト駆動部14は、同期信号Ssyncと動作モード信号Smodeに基づいて、バックライト40を駆動する。バックライト40は、バックライト駆動部14から供給される駆動信号に基づいて発光し、液晶表示部30に対してその光を射出する。液晶表示部30は、バックライト40から射出した光を変調することにより表示を行う。
【0033】
(詳細動作)
次に、画質優先モードM1および遅延時間優先モードM2における、表示装置1の詳細動作を以下に説明する。
【0034】
図5は、画質優先モードM1における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)はバックライト40の動作を示す。図5(A)の縦軸は、液晶表示部30の線順次走査方向の走査位置を示している。図5(A)において、例えば、“F(n)”は液晶表示部30がn番目のフレーム画像F(n)の表示を行っている状態を示し、“F(n+1)”は液晶表示部30がn+1番目のフレーム画像F(n+1)の表示を行っている状態を示している。また、図5(B)において、“ON”はバックライト40の各発光部BL1〜BL8が点灯している状態を示し、“OFF”はバックライト40の各発光部BL1〜BL8が消灯している状態を示している。
【0035】
表示装置1では、例えば16.7[msec](=1/60[Hz])の周期T0でフレーム画像が供給され、フレームレート変換部12が、フレームレートを4倍に変換し、4.2[msec](=1/60[Hz]/4)の周期T1で、フレームレート変換した各フレーム画像(サブフレーム画像)を出力する。そして、液晶表示部30は、このフレームレート変換された各フレーム画像を表示するとともに、バックライト40がこの表示に同期して発光する。以下に、その詳細を説明する。
【0036】
まず、タイミングt0〜t1の期間において、液晶表示部30は、表示駆動部20から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を行う(図5(A))。そして、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、この線順次走査に同期して消灯する(図5(B))。
【0037】
同様に、液晶表示部30は、タイミングt1〜t2の期間、タイミングt2〜t3の期間、タイミングt3〜t4の期間において、表示駆動部20から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を繰り返し行う(図5(A))。すなわち、この例では、タイミングt0〜t4の期間において、フレーム画像F(n)の表示が4回繰り返される。そして、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、この4回目の線順次走査に同期して点灯する(図5(B))。具体的には、例えば、発光部BL1は、液晶表示部30の表示面における対応する領域Z1が走査されたタイミングから所定時間td1を経過したタイミングにおいて点灯を開始し、領域Z1において次の線順次走査が行われるまでの時間(点灯時間ton)、点灯を続ける(図5(B))。同様に、発光部BL2は、液晶表示部30の表示面における対応する領域Z2が走査されたタイミングから所定時間td1を経過したタイミングにおいて点灯を開始し、領域Z2において次の線順次走査が行われるまでの時間(点灯時間ton)、点灯を続ける(図5(B))。発光部BL3〜BL8についても同様である。
【0038】
その後、液晶表示部30は、同様にして、タイミングt4以降において、線順次走査により次のフレーム画像F(n+1)の表示を開始し(図5(A))、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、1回目の線順次走査に同期して消灯する(図5(B))。
【0039】
画質優先モードM1では、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、4回目の線順次走査に同期して、それぞれ点灯する。すなわち、液晶表示部30の液晶は、1回目の線順次走査により応答を開始するため、4回目の線順次走査の頃には、十分に応答した状態になっており、各発光部BL1〜BL8は、液晶表示部30における対応する領域Z1〜Z8の液晶が十分に応答した後に点灯する。これにより、観察者は、液晶表示部30の過渡的な表示を見ることがないため、画質劣化を低減することができる。
【0040】
図6は、遅延時間優先モードM2における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)はバックライト40の動作を示す。
【0041】
まず、タイミングt10〜t11の期間において、液晶表示部30は、表示駆動部20から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を行う(図6(A))。そして、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、この線順次走査に同期して点灯する(図6(B))。具体的には、例えば、発光部BL1は、液晶表示部30の表示面における対応する領域Z1が走査されたタイミングから所定時間td2を経過したタイミングt18において点灯を開始し、点灯時間tonの間、点灯を続け、その後タイミングt19において消灯する(図6(B))。同様に、発光部BL2は、液晶表示部30の表示面における対応する領域Z2が走査されたタイミングから所定時間td2を経過したタイミングにおいて点灯を開始し、点灯時間tonの間、点灯を続け、その後消灯する(図6(B))。発光部BL3〜BL8についても同様である。このとき、各発光部BL1〜BL8の発光量A(点灯時間tonと輝度Iとの積)は、画質優先モードM1と遅延時間優先モードM2とで互いに等しくなるように設定される。これにより、例えば観察者が、映像を観察している最中に動作モードを変更した場合でも、観察者が不自然に感じるおそれを低減することができる。
【0042】
そして、液晶表示部30は、タイミングt11〜t12の期間、タイミングt12〜t13の期間、タイミングt13〜t14の期間において、表示駆動部20から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を繰り返し行う(図6(A))。
【0043】
その後、液晶表示部30は、同様にして、タイミングt14以降において、線順次走査により次のフレーム画像F(n+1)の表示を開始する(図6(A))。
【0044】
遅延時間優先モードM2では、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、1回目の線順次走査に同期して、それぞれ点灯する。すなわち、例えば、各発光部BL1〜BL8は、液晶表示部30の対応する領域Z1〜Z8における液晶が応答途中であるタイミングt18(タイミングt10から時間td2を経過したタイミング)から、液晶がほぼ応答したタイミングt19(タイミングt11の直前)までの期間に点灯する。このように、画質優先モードM1よりも早いタイミングで、バックライト40が点灯するため、表示装置1に映像信号が供給されてから実際に表示が行われるまでの時間(遅延時間)を短くすることができる。
【0045】
図7は、遅延時間優先モードM2における、各発光部BL1〜BL8の発光タイミングを、より詳細に表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)はバックライト40の動作を示し、(C)は各発光部BL1〜BL8の動作を示す。ここで、図7(B),(C)における斜めの破線は、各発光部BL1〜BL8に対応する液晶表示部30の領域Z1〜Z8における、線順次走査を表している。
【0046】
図7に示したように、遅延時間優先モードM2では、各発光部BL1〜BL8は、各発光期間の中心tc1〜tc8が、液晶表示部30の対応する領域Z1〜Z8の表示期間P1〜P8のうちの前半の期間P1A〜P8Aに設定されている。より具体的には、この例では、各発光期間の中心tc1〜tc8を、前半の期間P1A〜P8Aのさらに前半に設定している。ここで、表示期間P1〜P8は、液晶表示部30の各領域Z1〜Z8における、あるフレーム画像(例えばフレーム画像F(n))の1回目の走査から、次のフレーム画像(例えばフレーム画像F(n+1))の1回目の走査までの期間である。具体的には、例えば、表示期間P1は、フレーム画像F(n)についての1回目の線順次走査が、液晶表示部30の領域Z1の垂直方向の中央に達したタイミングts1から始まり、次のフレーム画像F(n+1)についての1回目の線順次走査が、液晶表示部30の領域Z1の垂直方向の中央に達したタイミングte1で終わるものである。
【0047】
このように、表示装置1では、遅延時間優先モードM2において、発各発光部BL1〜BL8の発光期間の中心tc1〜tc8を、表示期間P1〜P8のうちの前半の期間P1A〜P8Aに設定したので、表示の遅延時間を短くすることができる。これにより、例えば、表示物が高速で移動するようなゲーム用途において、ユーザはタイムリーなゲーム操作を行うことができる。
【0048】
[効果]
以上のように本実施の形態では、バックライトの点灯タイミングを可変にしたので、自由度のある表示動作を行うことができる。
【0049】
また、本実施の形態では、遅延時間優先モードM2において、発光期間の中心を、表示期間の前半の期間内に設定したので、表示の遅延時間を短くすることができる。
【0050】
[変形例1−1]
上記実施の形態では、遅延時間優先モードM2において、発光期間の中心tc1〜tc8が期間P1〜P8のうちの前半の期間P1A〜P8Aのうちのさらに前半になるように時間td2を設定したが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示したように、期間P1A〜P8Aのうちの後半になるように時間td2を設定してもよい。例えば図6に示した遅延時間優先モードM2では、液晶が応答途中である期間においてもバックライト40が点灯するため、観察者は、液晶表示部30の過渡的な表示を見ることとなり、画質優先モードM1に比べて画質が低下するおそれがある。このような場合には、図8に示したように、その用途で問題が無い程度に時間td2を調整してもよい。
【0051】
[変形例1−2]
上記実施の形態では、フレームレート変換部12は、フレームレートを4倍に変換したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、フレームレートを2倍に変換してもよい。以下にその詳細を説明する。
【0052】
図10は、本変形例に係る表示装置1Bの、画質優先モードM1における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)はバックライト40の動作を示す。なお、この例では、液晶表示部30として、いわゆる2倍速駆動に対応した液晶表示パネルを使用することができる。
【0053】
表示装置1Bでは、例えば16.7[msec](=1/60[Hz])の周期T0でフレーム画像が供給され、本変形例に係るフレームレート変換部12Bが、フレームレートを2倍に変換し、8.3[msec](=1/60[Hz]/2)の周期T2で、フレームレート変換した各フレーム画像を出力する。そして、液晶表示部30は、このフレームレート変換された各フレーム画像を表示するとともに、バックライト40がこの表示に同期して発光する。
【0054】
まず、タイミングt20〜t21の期間において、液晶表示部30は、最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を行う(図9(A))。そして、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、この線順次走査に同期して消灯する(図9(B))。
【0055】
同様に、液晶表示部30は、タイミングt21〜t22の期間において線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を再度行う(図9(A))。すなわち、この例では、タイミングt20〜t22の期間において、フレーム画像F(n)の表示が2回行われる。そして、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、この2回目の線順次走査に同期して点灯する(図9(B))。
【0056】
その後、液晶表示部30は、同様にして、タイミングt22以降において、線順次走査により次のフレーム画像F(n+1)の表示を開始し(図9(A))、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、1回目の線順次走査に同期して消灯する(図9(B))。
【0057】
図10は、遅延時間優先モードM2における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)はバックライト40の動作を示す。
【0058】
まず、タイミングt30〜t31の期間において、液晶表示部30は、最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を行う(図10(A))。そして、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、この線順次走査に同期して点灯し、点灯時間tonの後消灯する(図10(B))。
【0059】
そして、液晶表示部30は、タイミングt31〜t32の期間において線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を再度行う(図6(A))。
【0060】
その後、液晶表示部30は、同様にして、タイミングt32以降において、線順次走査により次のフレーム画像F(n+1)の表示を開始する(図6(A))。
【0061】
このように、本変形例の場合でも、上記実施の形態の場合と同様に、表示の遅延時間を短くすることができる。
【0062】
[変形例1−3]
上記実施の形態では、バックライト40は、8つの発光部BL1〜BL8を有するものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば7つ以下や、9つ以上の発光部を用いて構成してもよい。
【0063】
[変形例1−4]
上記実施の形態では、バックライト40は、独立して発光可能な複数(この例では8つ)の発光部BL1〜BL8を有するものとしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、一面が同時に発光するバックライトを用いてもよい。以下に、その詳細を説明する。
【0064】
図11は、本変形例に係るバックライト40Cの一構成例を表すものである。バックライト40Cは、いわゆるエッジ型バックライトであり、この例では、図の上下にそれぞれ発光部BLT,BLBを有している。これらの発光部BLT,BLBは、同時に発光するように制御される。そして、これらの発光部BLT,BLBから射出した光は、図示しない導光板などにより導かれ、領域Z0から液晶表示部30に対して面発光するようになっている。
【0065】
図12は、本変形例に係る表示装置1Cの、画質優先モードM1における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)はバックライト40の動作を示す。
【0066】
まず、タイミングt40〜t41の期間において、液晶表示部30は、最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を行う(図12(A))。同様に、液晶表示部30は、タイミングt41〜t42の期間、タイミングt42〜t43の期間、タイミングt43〜t44の期間において、線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を繰り返し行う。そして、その4回目の線順次走査の途中において、バックライト40Cが発光を開始する。
【0067】
その後、液晶表示部30は、同様にして、タイミングt44以降において、線順次走査により次のフレーム画像F(n+1)の表示を開始する(図12(A))。そして、バックライト40Cは、この例では、この1回目の線順次走査が、液晶表示部30の表示面の垂直方向の中央付近に達したとき消灯する。
【0068】
図13は、表示装置1Cの、遅延時間優先モードM2における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)はバックライト40の動作を示す。
【0069】
まず、タイミングt50〜t51の期間において、液晶表示部30は、最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を行う(図13(A))。そして、バックライト40Cは、この線順次走査の途中において発光を開始する。
【0070】
そして、液晶表示部30は、タイミングt51〜t52の期間、タイミングt52〜t53の期間、タイミングt53〜t54の期間において線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を繰り返し行う(図13(A))。そして、バックライト40Cは、タイミングt51〜t52の期間における2回目の線順次走査の途中において消灯する。
【0071】
その後、液晶表示部30は、同様にして、タイミングt54以降において、線順次走査により次のフレーム画像F(n+1)の表示を開始する(図13(A))。
【0072】
図14は、表示装置1Cの、遅延時間優先モードM2におけるバックライト40Cの発光タイミングを、より詳細に表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B)はバックライト40Cの動作を示す。
【0073】
図14に示したように、バックライト40Cは、発光期間の中心tc0が、液晶表示部30の表示期間P0のうちの前半の期間P0Aに設定されている。ここで、表示期間P0は、フレーム画像F(n)についての1回目の線順次走査が、液晶表示部30の表示面における垂直方向の中央に達したタイミングts0から始まり、次のフレーム画像F(n+1)についての1回目の線順次走査が、液晶表示部30の表示面における垂直方向の中央に達したタイミングte0で終わるものである。
【0074】
このように、表示装置1Cでは、遅延時間優先モードM2において、バックライト40Cの発光期間の中心tc0を、表示期間P0のうちの前半の期間P0A内に設定したので、上記実施の形態の場合と同様に、表示の遅延時間を短くすることができる。
【0075】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る表示装置について説明する。本実施の形態は、上記実施の形態1におけるバックライト40を、さらに他のタイミングでも発光できるように構成したものである。なお、上記第1の実施の形態に係る表示装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0076】
図15は、本実施の形態に係る表示装置2の一構成例を表すものである。表示装置2は、映像信号処理部51と、フレームレート変換部52と、バックライト駆動部54とを備えている。
【0077】
映像信号処理部51は、映像信号Sdispに対して映像信号処理を施して、映像信号Sdisp1として出力するとともに、その映像信号Sdispに基づいて画素信号レベルLVに関するヒストグラムHLVを生成し、明るさヒストグラム信号Shとして出力する機能をも有している。
【0078】
図16は、ヒストグラムHLVの一例を表すものである。図16において、横軸は各画素の画素信号レベルLVを示し、縦軸は画素数を示す。すなわち、ヒストグラムHLVは、画素信号レベルLVごとに、その画素信号レベルLVが供給される画素の数を表すものである。なお、この例では画素を単位としてヒストグラムを生成したが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の画素により構成される画素ブロックを単位としてヒストグラムを生成してもよい。
【0079】
フレームレート変換部52は、映像信号Sdisp1に基づいてフレームレート変換を行い、その変換結果を映像信号Sdisp2として出力し、その映像信号Sdisp2に同期した同期信号Ssyncを出力するともに、動きベクトル信号Svを生成して出力するものである。
【0080】
フレームレート変換部52は、動きベクトル検出部55を有している。動きベクトル検出部55は、映像信号Sdisp1により供給される一連のフレーム画像に基づいて、画像の変化を示す動きベクトルを検出するものである。具体的には、動きベクトル検出部55は、供給された一連のフレーム画像のうちの時間的に隣接する2つのフレーム画像の画像情報に基づいて、例えば画素単位で、表示内容の水平方向および垂直方向の動きを検出し、動きベクトルを求める。そして、動きベクトル検出部55は、画素単位で求めた一連の動きベクトルを、動きベクトル信号Svとして出力するようになっている。なお、この例では画素単位で動きベクトルを求めたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、複数の画素からなる画素ブロック単位で表示内容の動きを検出して動きベクトルを求めるようにしてもよい。
【0081】
バックライト駆動部54は、同期信号Ssync、動作モード信号Smode、明るさヒストグラム信号Sh、および動きベクトル信号Svに基づいて、バックライト40を駆動するものである。このバックライト駆動部54は、上記第1の実施の形態におけるバックライト40の発光期間に加え、さらに他の期間でもバックライト40が発光するように制御するものである。具体的には、バックライト駆動部54は、上記第1の実施の形態における互いに隣接する発光期間(メイン発光期間)の間に、さらに他の発光期間(サブ発光期間)を設けるように制御するものである。その際、バックライト駆動部54は、後述するように、明るさヒストグラム信号Shおよび動きベクトル信号Svに基づいて、各発光期間における発光量を求め、その発光量に基づいてバックライト40を駆動するようになっている。具体的には、バックライト駆動部54は、後述するように、画素信号レベルLVが高い場合(表示画面が明るい場合)や、動きベクトルが小さい場合(表示内容の動きが小さい場合)(以下、ケースC1と呼ぶ)には、例えば、メイン発光期間における発光量Amとサブ発光期間における発光量Asとをほぼ同じ量に設定する。また、バックライト駆動部54は、後述するように、画素信号レベルLVが低い場合(表示画面が暗い場合)や、動きベクトルが大きい場合(表示内容の動きが大きい場合)(以下、ケースC2と呼ぶ)には、例えば、メイン発光期間における発光量Amを、サブ発光期間における発光量Asよりも大きい量に設定するようになっている。
【0082】
図17は、画質優先モードM1における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B),(C)はケースC1におけるバックライト40の動作および発光部BL1〜BL8の輝度を示し、(D),(E)はケースC2におけるバックライト40の動作および発光部BL1〜BL8の輝度を示す。
【0083】
表示装置2では、画質優先モードM1において、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、上記第1の実施の形態に係る表示装置1の場合(図5)と同様に、4回目の線順次走査に同期して、発光量Amで点灯する(メイン発光期間)。そして、このバックライト40の各発光部BL1〜BL8は、表示装置1の場合とは異なり、2回目の線順次走査に同期して、発光量Asでさらに点灯する(サブ発光期間)。このメイン発光期間の終了タイミングと、サブ発光期間の終了タイミングとは、互いにT0/2の時間離れて設定される。以下にその詳細を説明する。
【0084】
まず、液晶表示部30は、タイミングt60〜t61の期間において、表示駆動部20から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を行う(図17(A))。
【0085】
次に、液晶表示部30は、タイミングt61〜t62の期間において2回目の線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を繰り返し行う(図17(A))。そして、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、この2回目の線順次走査に同期したサブ発光期間(点灯時間tons)において、発光量Asで発光する(図17(B)〜(E))。
【0086】
次に、液晶表示部30は、タイミングt62〜t63の期間において3回目の線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を繰り返し行う(図17(A))。
【0087】
次に、液晶表示部30は、タイミングt63〜t64の期間において4回目の線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を繰り返し行う(図17(A))。そして、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、この4回目の線順次走査に同期したメイン発光期間(点灯時間Tonm)において、発光量Amで発光する(図17(B)〜(E))。
【0088】
その後、液晶表示部30は、同様にして、タイミングt64以降において、線順次走査により次のフレーム画像F(n+1)の表示を開始する(図17(A))。
【0089】
このように、画質優先モードM1では、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、4回目の線順次走査に同期したメイン発光期間において発光量Amで発光するとともに、2回目の線順次走査に同期したサブ発光期間においても発光量Asで発光する。その際、後述するように、バックライト駆動部54は、発光量Amを、発光量Asと同等またはそれ以上の値(発光量Am≧発光量As)に設定する。これにより、観察者は、液晶が十分に応答した4回目の線順次走査による表示を主に見るため、上記第1の実施の形態の場合(図5)と同様に、画質劣化を低減することができる。
【0090】
また、表示装置2では、発光量Am,Asを、発光時間Tonm,Tomsの長さにより制御する。その際、画質優先モードM1では、バックライト駆動部54は、各発光部BL1〜BL8が発光する際の輝度Ionを一定にし、各発光期間の終了タイミングを維持したまま、発光時間Tonm,Tomsをそれぞれ変更することにより、発光量Am,Asを制御する。このように、各発光期間の終了タイミングを維持したまま発光量Am,Asを制御することにより、観察者が画質の劣化を感じるおそれを低減することができる。
【0091】
次に、この発光量Amと発光量Asとの間の大小関係について説明する。発光量Amと発光量Asとの間の大小関係は、図17に示したように、ケースC1とケースC2とで異なるように制御される。
【0092】
ケースC1では、図17(C)に示したように、発光量Amおよび発光量Asは、互いにほぼ等しくなっている。この場合には、発光部BL1〜BL8は、時間T0の間で2回、ほぼ等しい発光量で発光するため、上記第1の実施の形態に係る表示装置1の場合(図5)と比べて、短い周期(高い周波数)で点滅することとなり、観察者は、高い周波数で表示映像を観察するようになる。
【0093】
一方、ケースC2では、図17(E)に示したように、発光量Amが発光量Asよりも大きい量に設定されている。この場合には、観察者は、主に、発光量Amに基づく表示を観察するようになる。
【0094】
一般に、人は、映像の点滅の周波数が、ある周波数(例えば100[Hz]程度)以下になると、その映像を観察したときにフリッカを感じる。このフリッカは、例えば、表示画面が明るい場合や、表示内容の動きが小さい場合に感じやすい。そこで、表示装置2では、表示画面が明るい場合や、表示内容の動きが小さい場合(ケースC1)には、図17(C)に示したように、発光量Amと発光量Asとをほぼ等しくすることにより、点滅の周波数を高くして、観察者がフリッカを感じるおそれを低減することができる。
【0095】
一方、このフリッカは、表示画面が暗い場合や、表示内容の動きが大きい場合には、目立たなくなる。しかしながら、この場合には、発光量Amに係る4回目の線順次走査による表示と、発光量Asに係る2回目の線順次走査による表示の表示内容が同じであるため、いわゆるホールドぼけにより画質が劣化するおそれがある。そこで、表示装置2では、表示画面が暗い場合や、表示内容の動きが大きい場合(ケースC2)には、図17(E)に示したように、発光量Amを発光量Asよりも大きい量に設定することにより、観察者が、主に発光量Amに係る4回目の線順次走査による表示を見るようになるため、ホールドぼけによる画質の低下を抑えることができる。
【0096】
なお、表示画面の明るさが中程度であり、表示内容の動きが中程度である場合(ケースC1とケースC2の中間の状態)では、発光量Amと発光量Asとの差は、ケースC1の場合(図17(C))とケースC2の場合(図17(E))の中間程度に設定される。これにより、点滅の周波数が高くなるために、観察者がフリッカを感じにくくなるとともに、発光量Amに係る4回目の線順次走査による表示が、発光量Asに係る2回目の線順次走査による表示よりも強く表示されるため、ホールドぼけによる画質の低下を抑えることができる。
【0097】
図18は、遅延時間優先モードM2における表示動作のタイミング図を表すものであり、(A)は液晶表示部30の動作を示し、(B),(C)はケースC1におけるバックライト40の動作および発光部BL1〜BL8の輝度を示し、(D),(E)はケースC2におけるバックライト40の動作および発光部BL1〜BL8の輝度を示す。
【0098】
表示装置2では、遅延時間優先モードM2において、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、上記第1の実施の形態に係る表示装置1の場合(図6)と同様に、1回目の線順次走査に同期して、発光量Amで点灯する(メイン発光期間)。そして、このバックライト40の各発光部BL1〜BL8は、表示装置1の場合とは異なり、3回目の線順次走査に同期して、発光量Asでさらに点灯する(サブ発光期間)。このメイン発光期間の開始タイミングと、サブ発光期間の開始タイミングとは、互いにT0/2の時間離れて設定される。
【0099】
まず、液晶表示部30は、タイミングt70〜t71の期間において、表示駆動部20から供給される駆動信号に基づき、最上部から最下部に向かって線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を行う(図18(A))。そして、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、この線順次走査に同期したメイン発光期間(点灯時間Tonm)において、発光量Amで発光する(図18(B)〜(E))。
【0100】
次に、液晶表示部30は、タイミングt71〜t72の期間において2回目の線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を繰り返し行う(図18(A))。
【0101】
次に、液晶表示部30は、タイミングt72〜t73の期間において3回目の線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を繰り返し行う(図18(A))。そして、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、この3回目の線順次走査に同期したサブ発光期間(点灯時間Tons)において、発光量Asで発光する(図18(B)〜(E))。
【0102】
次に、液晶表示部30は、タイミングt73〜t74の期間において4回目の線順次走査を行い、フレーム画像F(n)の表示を繰り返し行う(図18(A))。
【0103】
その後、液晶表示部30は、同様にして、タイミングt74以降において、線順次走査により次のフレーム画像F(n+1)の表示を開始する(図18(A))。
【0104】
このように、遅延時間優先モードM2では、バックライト40の各発光部BL1〜BL8は、2回目の線順次走査に同期したメイン発光期間において発光量Amで発光するとともに、4回目の線順次走査に同期したサブ発光期間においても発光量Asで発光する。その際、後述するように、バックライト駆動部54は、発光量Amを、発光量Asと同等またはそれ以上の値(発光量Am≧発光量As)に設定する。これにより、観察者は、2回目の線順次走査による表示を主に見るため、上記第1の実施の形態の場合(図6)と同様に、表示装置2に映像信号が供給されてから実際に表示が行われるまでの時間(遅延時間)を短くすることができる。
【0105】
また、遅延時間優先モードM2では、バックライト駆動部54は、各発光期間の開始タイミングを維持したまま、発光時間Tonm,Tomsをそれぞれ変更することにより、発光量Am,Asを制御する。このように、発光期間の開始タイミングを維持したまま発光量Am,Asを制御することにより、短い遅延時間を維持することができる。
【0106】
また、発光量Am,Asは、上述した画質優先モードM1の場合と同様に設定される。これにより、表示装置2では、遅延時間優先モードM2においても、表示画面が明るい場合や、表示内容の動きが小さい場合(ケースC1)には、観察者がフリッカを感じるおそれを低減することができ、表示画面が暗い場合や、表示内容の動きが大きい場合(ケースC2)には、ホールドぼけによる画質の低下を抑えることができる。また、表示画面の明るさが中程度であり、表示内容の動きが中程度である場合(ケースC1とケースC2の中間の状態)では、観察者がフリッカを感じにくくなるとともに、ホールドぼけによる画質の低下を抑えることができる。
【0107】
バックライト駆動部54は、明るさヒストグラム信号Shおよび動きベクトル信号Svに基づいて、メイン発光期間における発光量Am、およびサブ発光期間における発光量Asを求める。以下に、バックライト駆動部54の動作を説明する。
【0108】
図19は、バックライト駆動部54における動作の流れ図を表すものである。バックライト駆動部54は、まず、動きベクトル処理フローFvと明るさヒストグラム処理フローFhを並行して行い、それらの処理結果に基づいて、発光量Am,Asを求める。以下に、その詳細を説明する。
【0109】
最初に、動きベクトル処理フローFvについて説明する。
【0110】
まず、バックライト駆動部54は、動きベクトル処理フローFvにおいて、スクロール判定を行う(ステップS11)。具体的には、バックライト駆動部54は、動きベクトル信号Svに基づいて、各画素の動きベクトルがほぼ同じ大きさで、ほぼ同じ方向を向いている場合には、画面がスクロールしていると判定する。スクロールしていると判定した場合には、ステップS15に進み、スクロールしていないと判定した場合には、ステップS12に進む。
【0111】
ステップS11においてスクロールしていないと判定した場合には、次に、バックライト駆動部54は、動きベクトル信号Svに基づいて、各画素の動きベクトルの大きさを、画面全体にわたって積分することにより動き量Nを求める(ステップS12)。すなわち、動き量Nは、一連のフレーム画像における表示内容の動きが大きいほど大きな値になるものである。
【0112】
次に、バックライト駆動部54は、ステップS12において求めた動き量Nが、所定のしきい値Vthより大きいかどうかを確認する(ステップS13)。すなわち、このフローでは、フレーム画像の表示内容が所定の量以上動いているかどうかを判定するものである。動き量Nが所定のしきい値Vthより大きい場合には、ステップS15に進み、動き量Nが所定のしきい値Vth以下である場合には、ステップS14に進む。
【0113】
ステップS13において、動き量Nが所定のしきい値Vth以下であると判定された場合には、次に、バックライト駆動部54は、動き量Nを所定の関数fvに代入することにより、変数Avを求める(ステップS14)。関数fv(N)は、動き量Nが小さいほど、大きな値を出力する関数である。変数Avは、0以上の値を有するものであり、後述するように、その変数Avの値が大きいほど、サブ発光期間における発光量Asが大きく設定されるものである。その後、フローは、ステップS31に進む。
【0114】
ステップS11においてスクロールしていると判定した場合や、ステップS13において、動き量Nが所定のしきい値Vthより大きいと判定した場合には、バックライト駆動部54は、変数Avを0に設定する(ステップS15)。その後、フローは、ステップS31に進む。
【0115】
次に、明るさヒストグラム処理フローFhについて説明する。
【0116】
まず、バックライト駆動部54は、明るさヒストグラム処理フローFhにおいて、明るさヒストグラム信号Shに基づいて、画素信号レベルLVが所定のしきい値LVthより高い画素数の全体画素数における比率Yを求める(ステップS21)。具体的には、バックライト駆動部54は、ヒストグラムHLV(図16)のうち、画素信号レベルLVがしきい値LVthよりも大きい部分(斜線部)の画素数を求め、その画素数を全体画素数により除算することにより比率Yを求める。
【0117】
次に、バックライト駆動部54は、比率Yを所定の関数fhに代入することにより、変数Ahを求める(ステップS22)。関数fh(Y)は、比率Yが大きいほど、大きな値を出力する関数である。変数Ahは、0以上の値を有するものであり、後述するように、その変数Ahの値が大きいほど、サブ発光期間における発光量Ahが大きい値に設定されるものである。その後、フローは、ステップS31に進む。
【0118】
その後、動きベクトル処理フローFvにより求めた変数Avと、明るさヒストグラム処理フローFhにより求めた変数Ahに基づいて、以下に示すように、発光量Am,Asを求める。
【0119】
まず、バックライト駆動部54は、ステップS14またはステップS15により求めた変数Avと、ステップS22により求めた変数Ahとを加算することにより、サブ発光期間の発光量Asを求める(ステップS31)。
【0120】
次に、バックライト駆動部54は、前ステップで求めた発光量Asを、予め設定された全発光量Atotalで除算した結果(As/Atotal)が、1/2より大きいかどうかを確認する(ステップS32)。なお、この全発光量Atotalは、例えば、ユーザがユーザインタフェース(UI)を介して、表示画面の明るさのパラメータとして設定したものである。As/Atotalが1/2よりも大きい場合にはステップS33に進み、As/Atotalが1/2以下である場合にはステップS34に進む。
【0121】
ステップS32において、As/Atotalが1/2よりも大きい場合には、次に、バックライト駆動部54は、発光量Asを全発光量Atotalの半分の値(Atotal/2)に設定する(ステップS33)。
【0122】
次に、バックライト駆動部54は、全発光量Atotalから発光量Asを減算することにより、メイン発光期間における発光量Amを求める(ステップS34)。
【0123】
以上で、このフローは終了する。
【0124】
このように、表示装置2では、動きベクトル処理フローFvおよび明るさヒストグラム処理フローFhにより変数Av,Ahを求め、その変数Ah,Avに基づいてサブ発光期間における発光量Asを求め、その発光量Asに基づいて、全発光量Atotalが一定になるように、発光量Amを求める。
【0125】
動きベクトル処理フローFvにより求められる変数Avは、一連のフレーム画像における表示内容の動きが大きいほど小さな値になるものである。具体的には、例えば、表示画面がスクロールしていると判定した場合(ステップS11)や、動き量Nが所定のしきい値Vthより大きい場合(ステップS13)には、バックライト駆動部54は、表示内容の動きが大きいと判断し、変数Avを0に設定する。また、動き量Nが所定のしきい値Vth以下である場合(ステップS13)には、バックライト駆動部54は、ステップS14において、変数Avを正の値に設定する。サブ発光期間における発光量Asは、変数Avと変数Ahとの加算により求められるため(ステップS31)、変数Avが小さいほど、サブ発光期間における発光量Asは小さくなる。このように、バックライト駆動部54は、一連のフレーム画像における表示内容の動きが大きいほど、サブ発光期間における発光量Asを小さい値に設定し、表示内容の動きが小さいほど、サブ発光期間における発光量Asを、発光量Amとほぼ同じレベルにまで大きくする。これにより、表示装置2では、上述したように、表示内容の動きが大きい場合には、ホールドぼけによる画質の低下を抑えることができ、表示内容の動きが小さい場合には、観察者がフリッカを感じるおそれを低減することができる。
【0126】
また、明るさヒストグラム処理フローFhにより求められる変数Ahは、表示画面が明るいほど大きな値になるものである。サブ発光期間における発光量Asは、変数Avと変数Ahとの加算により求められるため(ステップS31)、変数Ahが大きいほど、サブ発光期間における発光量Asは大きくなる。このように、バックライト駆動部54は、表示画面が暗いほど、サブ発光期間における発光量Asを小さい値に設定し、表示画面が明るいほど、サブ発光期間における発光量Asを、発光量Amとほぼ同じレベルにまで大きくする。これにより、表示装置2では、上述したように、表示画面が暗い場合には、ホールドぼけによる画質の低下を抑えることができ、表示画面が明るい場合には、観察者がフリッカを感じるおそれを低減することができる。
【0127】
また、バックライト駆動部54は、サブ発光期間における発光量Asを設定する際、ステップS32,S33に示したように、発光量Asが全発光量Atotalの半分を超えないように設定する。言い換えれば、バックライト駆動部54は、発光量Amが発光量As以上になるように(発光量Am≧発光量As)、発光量Am,Asを設定する。これにより、例えば、画質優先モードM1では、観察者は、図17に示したように、発光量Amに係る4回目の線順次走査による表示を、発光量Asに係る2回目の線順次走査による表示に比べて、同等か、あるいはより強く観察することとなる。つまり、観察者は、液晶表示部30における液晶が十分に応答した後の映像を強く観察することとなり、液晶表示部30の過渡的な表示を強く観察することが無いため、画質劣化を低減することができる。また、例えば、遅延時間優先モードM2では、観察者は、図18に示したように、発光量Amに係る1回目の線順次走査による表示を、発光量Asに係る3回目の線順次走査による表示に比べて、同等か、あるいはより強く観察することとなる。つまり、観察者は、早いタイミングで行われる1回目の線順次走査による表示を強く観察するため、表示装置2に映像信号が供給されてから実際に表示が行われるまでの時間(遅延時間)を短くすることができる。
【0128】
また、表示装置2では、バックライト駆動部54は、ステップS34に示したように、発光量Amと発光量Asの和が一定になるように、発光量Am,Asを求める。これにより、メイン発光期間における発光量とサブ発光期間における発光量の和を一定にしたので、動作モードによらず、表示画面の明るさをほぼ一定にすることができる。
【0129】
次に、バックライト駆動部54が、バックライト40の発光量Am,Asを変更する際の動作について説明する。
【0130】
バックライト駆動部54は、例えばヒストグラム信号Shおよび動きベクトル信号Svの情報が変化し、発光量Am,Asが変化すると、その変化した発光量Am,Asに基づいてバックライト40を駆動制御する。その際、バックライト駆動部54は、発光量Am,Asが徐々に変化するようにバックライト40を制御する。
【0131】
図20は、発光量Am,Asの変化を表すものであり、(A)は発光部BL1の輝度Iを示し、(B)は発光部BL1の発光量Am,Asを示す。なお、この例では、発光部BL1〜BL8のうちの発光部BL1を例として示したが、その他の発光部BL2〜BL8についても同様である。
【0132】
この例は、発光量Amが発光量Asよりも大きい状態(例えばケースC2)から、発光量Amと発光量Asとが互いに等しい状態(例えばケースC1)へ変化する場合を示している。タイミングt100において、バックライト駆動部54が、ヒストグラム信号Shおよび動きベクトル信号Svに基づいて、発光量Amと発光量Asとを互いに等しくすべきと判断した場合、バックライト駆動部54は、発光量Amと発光量Asが徐々に変化するように、バックライト40を駆動する。すなわち、バックライト駆動部54は、発光量Am,Asが急激に変化しないように制御する。この、発光量Am,Asが最終値になるまでの時間(時定数)は、例えば1秒程度に設定することが可能である。これにより、例えば表示映像が変化しても発光量Am,Asが急激に変化することがないため、観察者が表示映像を不自然に感じるおそれを低減することができる。
【0133】
また、この時定数は、固定値に限定されるものではなく、状況に応じて変化するようにしてもよい。具体的には、例えば、図19のステップS11に示したスクロール判定において、画面がスクロールしていると判定した場合には、この時定数を短く設定することにより瞬時に応答するようにしてもよい。また、例えば、明るさヒストグラムHLVがより高い画素信号レベルLVの方向に短時間で変化し、輝度が急激に上昇した場合において、この時定数を短く設定することにより瞬時に応答するようにしてもよい。
【0134】
また、表示装置2では、バックライト駆動部54は、発光量Amと発光量Asの和が一定になるように駆動するようにしたので、図20に示したように、発光量Am,Asが変化する場合でも、観察者が表示映像を不自然に感じるおそれを低減することができる。
【0135】
[効果]
以上のように本実施の形態では、メイン発光期間とサブ発光期間の両方を設けたので、フリッカを低減することができる。
【0136】
また、本実施の形態では、メイン発光期間における発光量とサブ発光期間における発光量を変化させるようにしたので、ホールドぼけによる画質の低下を抑えることができるとともに、フリッカを低減することができる。
【0137】
また、本実施の形態では、画質優先モードにおいて、各発光期間の終了タイミングを維持したまま、発光量を制御したので、画質の低下を抑えることができる。
【0138】
また、本実施の形態では、遅延時間優先モードにおいて、各発光期間の開始タイミングを維持したまま発光量を制御したので、短い遅延時間を維持することができる。
【0139】
また、本実施の形態では、メイン発光期間における発光量とサブ発光期間における発光量の和を一定にしたので、動作モードによらず、表示画面の明るさをほぼ一定にすることができる。
【0140】
また、本実施の形態では、メイン発光期間における発光量とサブ発光期間における発光量が徐々に変化するようにしたので、観察者が表示映像を不自然に感じるおそれを低減することができる。
【0141】
その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0142】
[変形例2−1]
上記実施の形態に対しても、上記第1の実施の形態の変形例1−1〜1−4のうちのいずれか、あるいは2つ以上を適用してもよい。
【0143】
[変形例2−2]
上記実施の形態では、バックライト駆動部54の動作フローにおいて、動きベクトル処理フローFvと明るさヒストグラム処理フローFhとを並行して実行したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、動きベクトル処理フローFvの後に明るさヒストグラム処理フローFhを実行してもよいし、明るさヒストグラム処理フローFhの後に動きベクトル処理フローを実行してもよい。
【0144】
[変形例2−3]
上記実施の形態では、発光時間Tonm,Tomsにより発光量Am,Asを制御したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図21に示したように、発光輝度Im,Isにより発光量Am,Asを制御してもよい。また、発光時間Tonm,Tomsおよび発光輝度Im,Isの両方により、発光量Am,Asを制御してもよい。
【0145】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0146】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0147】
(1)フレームレート変換部と、
フレームレート変換された映像を表示する液晶表示部と、
間欠的に発光するバックライトと、
前記バックライトの発光タイミングが互いに異なる複数の動作モードを有するバックライト制御部と
を備えた
表示装置。
【0148】
(2)前記フレームレート変換部は、一の動作モードにおいて、フレーム画像と同じ複数のサブフレーム画像を生成することによりフレームレート変換を行い、
前記バックライト制御部は、前記一の動作モードにおいて、前記バックライトの一の発光期間の中心を、前記液晶表示部が前記複数のサブフレーム画像を表示する表示期間の中心よりも前に設定する
前記(1)に記載の表示装置。
【0149】
(3)前記一の発光期間の中心は、前記表示期間における、前記液晶表示部が前記複数のサブフレーム画像のうちの先頭のサブフレーム画像を表示する先頭表示期間内にある
前記(2)に記載の表示装置。
【0150】
(4)前記バックライト制御部は、前記一の動作モードにおいて、前記一の発光期間におけるメイン発光量以下のサブ発光量で発光する、前記一の発光期間とは異なるサブ発光期間をも設定する
前記(2)または(3)に記載の表示装置。
【0151】
(5)前記サブ発光期間の開始タイミングは、前記一の動作モードにおいて、前記一の発光期間の開始タイミングと、前記表示期間の半分の時間ずれている
前記(4)に記載の表示装置。
【0152】
(6)一連のフレーム画像における動きベクトルを検出する動きベクトル検出部を備え、
前記バックライト制御部は、前記動きベクトルに基づいて、前記メイン発光量および前記サブ発光量をそれぞれ制御する
前記(4)または(5)に記載の表示装置。
【0153】
(7)前記バックライト制御部は、前記フレーム画像の輝度情報に基づいて、前記メイン発光量および前記サブ発光量をそれぞれ制御する
前記(4)から(6)のいずれかに記載の表示装置。
【0154】
(8)前記バックライト制御部は、前記一の動作モードにおいて、前記一の発光期間の開始タイミングおよび前記サブ発光期間の開始タイミングをそれぞれ維持するように制御する
前記(6)または(7)に記載の表示装置。
【0155】
(9)前記バックライト制御部は、複数の前記表示期間にわたり、徐々に前記メイン発光量および前記サブ発光量をそれぞれ変化させるように制御する
前記(6)から(8)のいずれかに記載の表示装置。
【0156】
(10)前記バックライト制御部は、前記メイン発光量および前記サブ発光量の和を一定に制御する
前記(6)から(9)のいずれかに記載の表示装置。
【0157】
(11)前記バックライト制御部は、前記メイン発光量および前記サブ発光量を、前記発光期間の長さおよび前記サブ発光期間の長さによりそれぞれ制御する
前記(6)から(10)のいずれか記載の表示装置。
【0158】
(12)前記バックライト制御部は、前記メイン発光量および前記サブ発光量を、前記バックライトの発光輝度により制御する
前記(6)から(11)のいずれかに記載の表示装置。
【0159】
(13)前記フレームレート変換部は、前記一の動作モードとは異なる他の動作モードにおいて、フレーム画像と同じ複数のサブフレーム画像を生成することによりフレームレート変換を行い、
前記バックライト制御部は、前記他の動作モードにおいて、前記バックライトの他の発光期間の中心を、前記液晶表示部が前記複数のサブフレーム画像を表示する表示期間の中心よりも後に設定する
前記(2)から(12)のいずれかに記載の表示装置。
【0160】
(14)前記バックライト制御部は、前記他の動作モードにおいて、前記他の発光期間における他のメイン発光量以下の他のサブ発光量で発光する、前記他の発光期間とは異なる他のサブ発光期間をも設定し、前記他の発光期間の終了タイミングおよび前記他のサブ発光期間の終了タイミングをそれぞれ維持するように制御する
前記(13)記載の表示装置。
【0161】
(15)前記液晶表示部は線順次走査により表示を行い、
前記バックライトは、その線順次走査方向に分割された複数のサブ発光部を有し、
前記バックライト制御部は、前記サブ発光部ごとに前記一の発光期間の中心を設定し、
前記表示期間は、フレーム画像から生成された最初のサブフレーム画像に係る走査が、前記液晶表示部の各サブ発光部に対応する表示領域における線順次走査方向の中心である中心位置に達したタイミングからそれぞれ開始し、次のフレーム画像から生成された最初のサブフレーム画像に係る走査が、前記中心位置に達したタイミングにおいてそれぞれ終了する
前記(2)から(14)のいずれかに記載の表示装置。
【0162】
(16)前記液晶表示部は線順次走査により表示を行い、
前記表示期間は、フレーム画像から生成された最初のサブフレーム画像に係る走査が、前記液晶表示部における線順次走査方向の中心である中心位置に達したタイミングから開始し、次のフレーム画像から生成された最初のサブフレーム画像に係る走査が、前記中心位置に達したタイミングにおいて終了する
前記(2)から(14)のいずれかに記載の表示装置。
【0163】
(17)フレーム画像と同じ複数のサブフレーム画像を生成することによりフレームレート変換を行うフレームレート変換部と、
フレームレート変換された映像を表示する液晶表示部と、
間欠的に発光するバックライトと、
一の動作モードにおいて、前記バックライトの一の発光期間の中心を、前記液晶表示部が前記複数のサブフレーム画像を表示する表示期間の中心よりも前になるように、前記バックライトを制御するバックライト制御部と
を備えた
表示装置。
【0164】
(18)前記一の発光期間の中心は、前記液晶表示部が、前記複数のサブフレーム画像のうちの先頭のサブフレーム画像を表示する先頭表示期間内にある
前記(17)に記載の表示装置。
【0165】
(19)発光タイミングを変更可能なバックライトが間欠的に発光し、フレームレート変換された映像を液晶表示部において表示する
表示方法。
【符号の説明】
【0166】
1,2…表示装置、11,51…映像信号処理部、12,52…フレームレート変換部、13…モード設定部、14,54…バックライト駆動部、20…表示駆動部、21…タイミング制御部、22…ゲートドライバ、23…データドライバ、30…液晶表示部、40,40C…バックライト、42…LED、55…動きベクトル検出部55、Ah,Av…変数、Am,As…発光量、Atotal…全発光量、BLB,BLT,BL1〜BL8…発光部、Cs…保持容量素子、CSL…保持容量線、C1,C2…ケース、GCL…ゲート線、Fh…明るさヒストグラム処理フロー、Fv…動きベクトル処理フロー、Ion,Im,Is…輝度、LC…液晶素子、LV…画素信号レベル、LVth…しきい値、N…動き量、Pix…画素、P1〜P8…表示期間、P1A〜P8A…期間、Sdisp,Sdisp1,Sdisp2,Sdisp3…映像信号、SGL…データ線、Sh…明るさヒストグラム信号、Smode…動作モード信号、Sv…動きベクトル信号、Ssync…同期信号、td1,td2…時間、ton,tonm,tons…発光時間、Tr…TFT素子、T0,T1…周期(時間)、Vth…しきい値、Y…比率、Z1〜Z8…領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームレート変換部と、
フレームレート変換された映像を表示する液晶表示部と、
間欠的に発光するバックライトと、
前記バックライトの発光タイミングが互いに異なる複数の動作モードを有するバックライト制御部と
を備えた
表示装置。
【請求項2】
前記フレームレート変換部は、一の動作モードにおいて、フレーム画像と同じ複数のサブフレーム画像を生成することによりフレームレート変換を行い、
前記バックライト制御部は、前記一の動作モードにおいて、前記バックライトの一の発光期間の中心を、前記液晶表示部が前記複数のサブフレーム画像を表示する表示期間の中心よりも前に設定する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記一の発光期間の中心は、前記表示期間における、前記液晶表示部が前記複数のサブフレーム画像のうちの先頭のサブフレーム画像を表示する先頭表示期間内にある
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記バックライト制御部は、前記一の動作モードにおいて、前記一の発光期間におけるメイン発光量以下のサブ発光量で発光する、前記一の発光期間とは異なるサブ発光期間をも設定する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記サブ発光期間の開始タイミングは、前記一の動作モードにおいて、前記一の発光期間の開始タイミングと、前記表示期間の半分の時間ずれている
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
一連のフレーム画像における動きベクトルを検出する動きベクトル検出部を備え、
前記バックライト制御部は、前記動きベクトルに基づいて、前記メイン発光量および前記サブ発光量をそれぞれ制御する
請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記バックライト制御部は、前記フレーム画像の輝度情報に基づいて、前記メイン発光量および前記サブ発光量をそれぞれ制御する
請求項4に記載の表示装置。
【請求項8】
前記バックライト制御部は、前記一の動作モードにおいて、前記一の発光期間の開始タイミングおよび前記サブ発光期間の開始タイミングをそれぞれ維持するように制御する
請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記バックライト制御部は、複数の前記表示期間にわたり、徐々に前記メイン発光量および前記サブ発光量をそれぞれ変化させるように制御する
請求項6に記載の表示装置。
【請求項10】
前記バックライト制御部は、前記メイン発光量および前記サブ発光量の和を一定に制御する
請求項6に記載の表示装置。
【請求項11】
前記バックライト制御部は、前記メイン発光量および前記サブ発光量を、前記発光期間の長さおよび前記サブ発光期間の長さによりそれぞれ制御する
請求項6に記載の表示装置。
【請求項12】
前記バックライト制御部は、前記メイン発光量および前記サブ発光量を、前記バックライトの発光輝度により制御する
請求項6に記載の表示装置。
【請求項13】
前記フレームレート変換部は、前記一の動作モードとは異なる他の動作モードにおいて、フレーム画像と同じ複数のサブフレーム画像を生成することによりフレームレート変換を行い、
前記バックライト制御部は、前記他の動作モードにおいて、前記バックライトの他の発光期間の中心を、前記液晶表示部が前記複数のサブフレーム画像を表示する表示期間の中心よりも後に設定する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項14】
前記バックライト制御部は、前記他の動作モードにおいて、前記他の発光期間における他のメイン発光量以下の他のサブ発光量で発光する、前記他の発光期間とは異なる他のサブ発光期間をも設定し、前記他の発光期間の終了タイミングおよび前記他のサブ発光期間の終了タイミングをそれぞれ維持するように制御する
請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記液晶表示部は線順次走査により表示を行い、
前記バックライトは、その線順次走査方向に分割された複数のサブ発光部を有し、
前記バックライト制御部は、前記サブ発光部ごとに前記一の発光期間の中心を設定し、
前記表示期間は、フレーム画像から生成された最初のサブフレーム画像に係る走査が、前記液晶表示部の各サブ発光部に対応する表示領域における線順次走査方向の中心である中心位置に達したタイミングからそれぞれ開始し、次のフレーム画像から生成された最初のサブフレーム画像に係る走査が、前記中心位置に達したタイミングにおいてそれぞれ終了する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項16】
前記液晶表示部は線順次走査により表示を行い、
前記表示期間は、フレーム画像から生成された最初のサブフレーム画像に係る走査が、前記液晶表示部における線順次走査方向の中心である中心位置に達したタイミングから開始し、次のフレーム画像から生成された最初のサブフレーム画像に係る走査が、前記中心位置に達したタイミングにおいて終了する
請求項2に記載の表示装置。
【請求項17】
フレーム画像と同じ複数のサブフレーム画像を生成することによりフレームレート変換を行うフレームレート変換部と、
フレームレート変換された映像を表示する液晶表示部と、
間欠的に発光するバックライトと、
一の動作モードにおいて、前記バックライトの一の発光期間の中心を、前記液晶表示部が前記複数のサブフレーム画像を表示する表示期間の中心よりも前になるように、前記バックライトを制御するバックライト制御部と
を備えた
表示装置。
【請求項18】
前記一の発光期間の中心は、前記液晶表示部が、前記複数のサブフレーム画像のうちの先頭のサブフレーム画像を表示する先頭表示期間内にある
請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
発光タイミングを変更可能なバックライトが間欠的に発光し、フレームレート変換された映像を液晶表示部において表示する
表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2013−29563(P2013−29563A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163923(P2011−163923)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】