表示装置
【課題】生体リズム調整に役立つディスプレイを提供する。
【解決手段】
表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置において、上記複数の発光体は、生体リズムに影響を与える波長の光を発する第1発光体を含み、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替えることにより、上記第1発光体の光量の増減の割合を、他の発光体と比較して大きくするように構成する。上記生体リズムに影響を与える波長の光は、445nmから480nmまでの間に主波長を有する光であることが望ましい。
【解決手段】
表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置において、上記複数の発光体は、生体リズムに影響を与える波長の光を発する第1発光体を含み、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替えることにより、上記第1発光体の光量の増減の割合を、他の発光体と比較して大きくするように構成する。上記生体リズムに影響を与える波長の光は、445nmから480nmまでの間に主波長を有する光であることが望ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光が生体リズムに与える影響を考慮した表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体は体内に計時機構を持ち、生体機能に関する周期現象を制御していることが知られている。そのような周期現象の一つとして、サーカディアンリズムと呼ばれる24から25時間周期のリズムがある(非特許文献1)。サーカディアンリズムを示す代表的なものとしては睡眠、覚醒、体温変化などがあり、これらのリズムを1日の周期である24時間周期に同調させる主要因子として、社会的要因や光環境を挙げることができる。
【0003】
現代社会においては、室内で過ごす時間が増加しているだけでなく、照明の発達により生活の夜型化が進んでおり、昼夜であまり明暗変化のない光環境となっている。このため、生体リズムが24時間周期へ上手く同調されず、睡眠障害など健康を害する結果につながることが危惧される。健康で快適な生活を送るためには、この生体リズムの位相が周囲の時間的な流れと一致し、振幅が大きく確保されることが必要とされており、生体リズムを整えるために様々な方法が提案されている。
【0004】
たとえば、特許文献1に記載の「生体リズム調整装置」は、被験者の直腸温などの深部体温をもとに生体リズムを測定、評価し、結果に応じて光などの刺激を与えてリズムの調整を行うものである。その具体的な構成は、図22に示すように、生体リズムを生体リズム曲線測定手段により測定し、生体リズム曲線評価手段により理想となる生体リズムとの評価を行い、生体リズム調整装置により生体リズムの調整を行う構成である。
【0005】
また、特許文献2に記載の「照明制御方法および照明システム」は、色温度の低い照明と色温度の高い照明とを備え、これを朝や夜などの時間帯に応じて切り替え、あるいは同時点灯を行うものである。その他にも、低照度、中照度、高照度の少なくとも3つの光発生手段を持ち、起床時間に向けて徐々に照度を上げていく、特許文献3に記載の「目覚まし装置」などが提案されている。
【0006】
また、睡眠と覚醒とのリズムにおいては、メラトニンの分泌量が深く関係しており、覚醒時には分泌量は抑えられている。さらに、このメラトニンの分泌量には光が影響している。すなわち、波長440nmから600nmの光に対するメラトニンの抑制度について調査したところ、特に波長470nm近傍の光がメラトニンの抑制効果が最も高いという実験結果が得られている(非特許文献2)。このことを利用した技術として、特許文献4に記載の「光治療器」がある。
【0007】
このように、様々な生体リズム調整装置が提案されているが、従来の提案は室内における照明装置に関するものであり、ディスプレイなどの表示装置については考慮されていなかった。しかしながら、人間の光に関する情報はそのほとんどを視覚から得ているため、表示装置が発する光も生体リズムに影響をおよぼす。
【0008】
特に昨今では、コンピュータの普及により、ディスプレイを用いた作業時間が多くなっている。そして、このようなVDT(Video Display Terminal)作業中には、使用者からディスプレイまでの距離が近いために、使用者の目が多くの光を受けることになり、照明の光以上にディスプレイの光の方が生体リズムに与える影響が強い。
【0009】
また、テレビを含めた表示装置全般の光源から発せられる光は、照明光のような間接光とは異なり、使用者に直接視認される光であるので、生体リズムに与える影響が間接光よりも大きい。
【0010】
このように、ディスプレイが生体リズムに与える影響を考慮すると、ディスプレイの光を調整する必要がある。
【特許文献1】特開平5−3920号公報
【特許文献2】特開2000−294387号公報
【特許文献3】特開平7−318670号公報
【特許文献4】特開平2−302276号公報
【非特許文献1】小山恵美、「モデリングを通じた生体系特徴の時間生物学的理解」、計測と制御 第41巻 第10号、2002年10月
【非特許文献2】「Action Spectrum for Melatonin Regulation in Humans:Evide-nce for a Novel Circadian Photoreceptor」、The Journal of Neuroscience、August 15、2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、生体リズムを調整可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、画像を表示する画像表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置であって、上記複数の発光体は、生体リズムに影響を与える波長の光を発する第1発光体を含み、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替えることにより、上記第1発光体の光量の増減の割合を、他の発光体と比較して大きくする構成とした。
【0013】
具体的に、上記生体リズムに影響を与える波長の光は、445nmから480nmまでの間に主波長を有する光であることが好ましい。
【0014】
また、上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、時間情報に基づき切り替えたり、使用者により設定された情報である使用者指示情報に基づき切り替えたり、表示する画像がどのような内容の番組であるかを示す情報であるコンテンツ情報に基づき切り替えたり、上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、周囲の明るさに基づき切り替えたりするとよい。
【0015】
さらに具体的には、上記複数の発光体は、赤色光を発光する第2発光体と、緑色光を発光する第3発光体とを含んでいる構成であることが考えられる。
【0016】
そして、上記複数の発光体は、上記第1発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する補色発光体を含んでいれば、色度を略一定に保つことができ有利である。
【0017】
具体的には、上記第1発光体の発光強度に応じて、上記補色発光体の発光強度を制御すればよい。
【0018】
上記補色発光体は、上記第1発光体と隣り合うように配置されていれば、より好ましい。
【0019】
上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、例えば発光ダイオードであったり、エレクトロルミネッセンスであることが考えられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、生体リズムを調整可能な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
〔実施の形態1〕
以下、図1を参照して、本発明の表示装置に係る実施形態の1つを説明する。図1(a)に示すように、本実施の形態の表示装置1は、画像などの情報を表示する有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネル2(画像表示部)と、有機ELパネル2における各画素に付与する電流を制御する制御手段3と、現在の時刻を示す時刻情報を制御手段3に出力する時刻出力手段4から構成される。
【0022】
有機ELパネル2は多数のセルで構成されるものである。各セルは、図1(b)に示すように、ガラス基板5と、陽極6と、赤色に発光する有機層(第2発光体)7と、緑色に発光する有機層(第3発光体)8と、主波長が464nm近傍となる光を発する有機層(第1発光体)9と、陰極10とで構成される。
【0023】
ここで、「主波長」の意味について説明する。図2に示すように、XYZ表色系におけるx、y座標が(x、y)=(1/3、1/3)の白色点Wと、発光体から発せられる光の色度点Fとを結んだ直線が、スペクトル軌跡と点Dにおいて交わるとする。色度点Fで表される発光体の主波長とは、点Dにより表される光の単色光刺激の波長を意味している。 なお、図2において、太線で表された曲線はスペクトル軌跡を表しており、スペクトル軌跡上の点はそれぞれ単色光刺激の波長を示す。また、ここで示した白色点Wは光源色に対する基準となる。
【0024】
上記構成により、表示装置1は、有機ELパネル2における各セルを1画素として構成し、有機層7・8・9からそれぞれ発せられる光を混色することでカラー表示を行う。
【0025】
特に、有機層9を発光させると、主波長464nm近傍の光が発生するので、表示装置1の使用者のメラトニン分泌量が抑制され、使用者を覚醒する作用がもたらされる。このメラトニン分泌量の抑制効果について、以下に詳細に説明する。
【0026】
図3は、発光波長とメラトニンの抑制効果との関係を示すグラフである。なお、図3のグラフにおいて、横軸は発光波長、縦軸はメラトニン抑制の強度を示している。
【0027】
図3に示すように、青色にあたる波長域でメラトニン抑制効果が強いことがわかる。より具体的には、波長が445nmから480nmの範囲においてメラトニンの抑制効果が大きいので、有機層9をこの範囲の主波長を持つ発光体として用いることにより、使用者を覚醒する効果を容易に得ることができる。
【0028】
特に、図3に示すように、波長464nmの光は最もメラトニンの抑制効果が強いので、有機層9を、主波長の値が464nmである光を発する発光体として用いることにより、使用者を覚醒する効果を最も効率的に得ることができる。もちろん、有機層9により発光される光の波長が、445nmから480nmの範囲にある場合でも、十分に使用者を覚醒する効果を得ることができる。
【0029】
この覚醒作用をもたらすため、図1(a)に示した制御手段3は、時刻出力手段4から得た時刻情報に基づき現在時刻が日中であると判断される場合、図1(b)に示す有機層9に付与する電流を上げることにより、有機層9が入力画像信号に基づき発光する光の強度を強める。これにより、有機層7〜9により発せられる光のうち、464nmの波長成分における光量の割合が増加するので、使用者を覚醒させることが可能となる。
【0030】
また、制御手段3は、時刻出力手段4から得た時刻情報に基づき現在時刻が夜間であると判断される場合、有機層9に付与する電流の上限を下げることにより、有機層9が入力画像信号に基づき発光する光の強度を下げる。これにより、有機層7〜9により発せられる光のうち、464nmの波長成分における光量の割合が低減されるので、有機ELパネル2により発せられる光が生体リズムに与える影響を低減することができる。
【0031】
このように、現在時刻が日中であるか夜間であるかに応じて、制御手段3が有機層9の発光強度を制御する処理について、図4を用いてより具体的に説明する。なお、図4は、入力画像信号に対する有機層9の発光特性を表したものであり、横軸が青色の映像信号値、縦軸は発光強度を示している。
【0032】
図4において、実線Aで示すグラフが、生体リズムへの影響を考慮しない発光を有機層9にて行う場合の、映像信号値と発光強度との関係を示しているとする。
【0033】
たとえば日中など、使用者を覚醒させるべき時間においては、図4中点線Bにより示すように、映像信号値が最大となる場合および最小となる場合の発光強度が実線Aにて示される発光強度と変わらないよう、制御手段3を用いて有機層9の発光強度を調整する。さらに、図4中点線Bにて示すように、映像信号値が中間調を示す範囲において、実線Aにて示される発光強度よりも強い発光強度にて有機層9が発光するように、制御手段3を用いて有機層9の発光強度を調整する。
【0034】
このように制御手段3を用いて有機層9の発光強度を調整すれば、有機層7〜9により発せられる光のうち、464nmの波長成分における光量の割合が増加するので、使用者を覚醒させることが可能となる。
【0035】
一方、たとえば夜間など、使用者を覚醒させるべきではない時間においては、図4中点線Cにて示すように、映像信号値が中間調を示す範囲での有機層9の発光強度を、実線Aにて示される発光強度よりも弱くする。これにより、有機層7〜9により発せられる光のうち、464nmの波長成分における光量の割合が低減されるので、有機ELパネル2により発せられる光が生体リズムに与える影響を低減することができる。
【0036】
なお、図4においては、映像信号値が最大値を示す際の有機層9の発光強度は、生体リズムへの影響を考慮した発光を行うか否かに関わらず、常に一定であるように記載しているが、必ずしもこのように発光強度を設定する必要はない。
【0037】
たとえば、生体リズムへの影響を考慮した発光を行うか否かに応じて、映像信号値が最大となる際の有機層9の発光強度を変化させるとともに、映像信号値が中間調および低階調を示す範囲においては、映像信号値と発光強度との関係が比例関係となるように設定してもよい。このように、有機層9の発光強度の特性としては、種々の特性を採用することができる。
【0038】
なお、図1においては、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しているので、各部品の大きさは実際とは異なる。また、図1(b)に示す有機ELパネル2は、異なる3色を有機層7・8・9のそれぞれにより独立して発光するセル構造を採用しているものとして説明したが、有機ELパネル2の構成は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0039】
たとえば、有機ELパネル2は、発光体として用いる有機層が青色光などの単色光を発し、その単色光が呈する色を蛍光体により色変換する構成のものであってもよい。または、有機ELパネル2は、発光体としての有機層が白色光を発し、その白色光により呈される色をフィルタによって赤、緑、青の3色に変換するカラーフィルタ方式のものであってもよい。
【0040】
また、有機ELパネル2は、有機層7・8・9の代わりに無機ELを発光体として用いる構成であってもよい。さらに、有機ELパネル2を、各色を発光する発光体としてLED(発光ダイオード)を用いたLEDディスプレイにより代用しても構わない。
【0041】
また、本実施形態では時刻出力手段4が出力する時刻情報を用いて有機層9の発光強度を変化させる構成について説明したが、表示装置1の使用を開始した時からの現在まで時間を示す経過情報や、映像信号に基づき表示される映像がどのような内容の番組であるかを示すコンテンツ情報に応じて、以下のように有機層9の発光強度を制御してもよい。
【0042】
より具体的に説明すると、経過情報に基づき有機層9の発光強度を調整する場合、制御手段3により、表示装置1の使用を開始した直後は覚醒効果がもたらされるよう有機層9の発光強度を通常よりも高く設定し、時刻の経過に従って有機層9の発光強度を下げていくようにするとよい。
【0043】
これにより、表示装置1を用いた作業、たとえば、表示装置1により表示される文字の編集作業を使用者が開始した直後においては、有機層9の発光強度が高く設定されていることから使用者は覚醒される。よって、使用者が作業にのめりこむことができない傾向がある表示装置1を用いた作業の開始直後において、使用者の作業の効率を向上させることができる。
【0044】
そして、表示装置1を用いた作業を開始してからある程度時間が経過すれば、使用者も自然とその作業に没頭しているので、使用者を覚醒させなくても使用者の作業効率は低下しない。したがって、時刻の経過に従って有機層9の発光強度を下げていくようにすれば、表示装置1の消費電力を低減することができる。
【0045】
また、作業を開始して長時間が経過すると、使用者の集中力が途切れ、眠くなり作業効率が低下することもある。そこで、ある一定の時間が経過した場合は、再度有機層9の発光強度を上げてもよい。このように経過情報の使用方法も様々なパターンがある。
【0046】
また、コンテンツ情報に基づき有機層9の発光強度を調整する場合には、映像信号に基づき表示される映像がたとえば映画であるとコンテンツ情報を用いて判断される場合、制御手段3により、有機層9の発光強度を上げて使用者を覚醒するとよい。これにより、表示装置1により表示される映画を、有機層9の発光強度を上げない場合に比べて、より印象深いものとすることができる。なお、どのような内容の映像で覚醒効果を得たいかを、使用者が予め表示装置1に設定しておくことも可能である。
【0047】
また、表示装置1の周囲の明るさを測定する測定手段(図示せず)を表示装置1に設け、該測定手段により測定される明るさに応じて、制御手段3により有機層9の発光強度を制御してもよい。たとえば、表示装置1の周囲が明るい時は有機層9の発光強度を上げることにより使用者を覚醒する一方、周囲が暗い時は有機層9の発光強度を下げるというように、制御手段3を用いて有機層9の発光強度を調整する。
【0048】
〔実施の形態2〕
次に、図5から9を参照して、本発明の表示装置に係るさらに他の実施形態を説明する。図5に示すように、本実施形態の液晶表示装置(表示装置)11は、画像などの情報を表示する液晶パネル(画像表示部)12と、導光板13と、主波長464nm近傍の光を発するLED(第1発光体)14と、赤色(R)の光を発するLED(第2発光体)15と、緑色(G)の光を発するLED(第3発光体)16とを備えている。
【0049】
なお、LED14・15・16は、導光板13の発光体として機能する。そして、導光板13は、LED14・15・16により発せられる光を液晶パネル12まで伝達する。
【0050】
また、上述の実施の形態と同一の機能を有する部材に関しては、同一の参照番号を付している。また、図5において、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しており、各部品の大きさは実際とは異なる。
【0051】
また、液晶表示装置11は、発光体としてのLED14・15・16の発光強度を制御する制御手段17と、時刻情報を出力する時刻出力手段18と、LED14・15・16の発光強度の制御パターンを複数保持する記憶手段19と、複数の制御パターンの中から使用する制御パターンを選択する選択手段20とを備えている。なお、「制御パターン」とは、ここではLEDの発光強度を時刻と対応づけて格納した情報の意味である。
【0052】
以下、発光体の発光強度を制御する手順について説明する。まず、液晶表示装置11の使用時においては、LED14、LED15、およびLED16のうち少なくとも1つを点灯した状態とする。そして、LED14・15・16のそれぞれの発光強度を調整することにより、LED14・15・16のそれぞれから発せられる光の色を導光板13内で混合して白色とすることができる。
【0053】
そして、LED14・15・16のそれぞれから発せられる光を導光板13内で混合することにより、基準となる白色光が生成されるときの、LED14の発光強度を基準値に設定する。そして、この基準値に設定された発光強度に対して、LED14の発光強度を強くしたり弱くしたりという制御を制御手段17により行う。
【0054】
この時の基準となる白色光としては、テレビやモニタ等で基準色として使用されていることが多い、相関色温度が約6500K(ケルビン)の昼光色を用いることができる。なお、この昼光色は、国際照明委員会(CIE)で定められた標準の光D65と呼ばれるものである。
【0055】
また、基準として用いる白色光としては、相関色温度が6774Kである標準の光Cや、相関色温度が約5000Kである補助標準の光D50など、種々の相関色温度を有する光を用いることができる。
【0056】
本実施形態では、基準となる白色光の色温度を8500Kに設定し、この色温度の白色光が導光板13内で生成されるように、LED14・15・16のそれぞれの発光強度が設定されているとする。
【0057】
さらに、選択手段20により、記憶手段19を参照して発光体の制御パターンを決定する。記憶手段19が保持する発光体の制御パターンとしては、使用者が通常寝起き状態である早朝の時間帯や、眠くなりやすい昼食後の時間帯にLED14から強い光を出しておくパターン、あるいは夜間勤務者を想定した夜間にLED14を強く発光するパターンなど、複数の制御パターンがある。制御手段17は、その選択された制御パターンと、時刻出力手段18からの時刻情報とを基に発光体の発光強度を制御する。
【0058】
ここで、使用者を覚醒する効果を得たい場合には、制御手段17を用いてLED14の発光強度が強くなるよう、その発光強度を制御する。しかしながら、LED14の発光強度が変わると、ホワイトバランスが変動することとなる。しかし、以下に説明するように液晶表示装置11においては用途に応じて様々なホワイトバランスに設定されているので、ホワイトバランスが変動しても、実際に液晶表示装置11を使用する上で問題はない。
【0059】
たとえば、製版並びに印刷用の表示装置では、画像表示の基準となる白色光の相関色温度が5000Kに設定されている。また、一般のテレビやモニタでは、基準の白色光の相関色温度を9300Kといった高い値に設定している場合が多い。さらに、ハイビジョンでは、基準の白色光の相関色温度が6500Kに規定されている。最近では、12000Kという高い相関色温度に基準の白色光が設定されたテレビ製品もある。
【0060】
したがって、基準の白色光の相関色温度が、5000K〜12000Kの範囲にあれば、印刷された色の評価をする時のように正確な色再現性が求められない限り、ホワイトバランスが変動しても液晶表示装置11を使用する上で問題はない。
【0061】
図6は、液晶表示装置11における表示の基準となる白色光の色温度を5000Kから12000Kまで変化させた場合における、色度図上で基準白色光の色度点が変化する様子を示している。なお、図6において、横軸はXYZ表色系におけるxを、縦軸はyの値を示している。
【0062】
また、図7は液晶表示装置11における相関色温度を5000Kに設定した場合における、LED14・15・16の発光強度を示すグラフである。一方、図8は液晶表示装置11における相関色温度を12000Kに設定した場合における、LED14・15・16の発光強度を示すグラフである。
【0063】
なお、図7および図8において、横軸は波長を示しており、縦軸はLEDの発光強度を示している。また、図7と図8とにおいて、縦軸の尺度は同じである。
【0064】
これら2つのグラフを比較すると、青色を呈するLED14の発光強度が、基準白色光の相関色温度を5000Kに設定した場合と12000Kに設定した場合とにおいて大きく異なっていることがわかる。具体的には、相関色温度が12000Kに設定されている場合に比べると、相関色温度が5000Kに設定されている場合のLED14の発光強度は約半分になっている。よって、相関色温度を実使用で用いられる範囲で変えた場合でも、LED14の発光強度は大きく変わる為、メラトニンの抑制を制御することが可能となり、生体リズムの調整が可能となる。
【0065】
赤色を呈するLED15の発光強度も図7と図8で異なっているが、これは相関色温度を黒体放射軌跡上の5000K、12000Kに合わせた場合であり、黒体放射軌跡上に白色点を合わせる必要がない場合は、LED15は調整しなくてもよい。
【0066】
つまり、色温度は、黒体と呼ばれる物質を熱した時の色を、そのときの温度で表したものであり、黒体放射軌跡とは色度図上でこの黒体を熱した時の色度の変化のラインを表したものである。色度図上で黒体放射軌跡からは外れるが、黒体放射軌跡に近い見え方をする場合、その色温度を相関色温度という。相関色温度だけを合わせる場合には、LED14を制御するだけで調整が可能である。
【0067】
使用者を覚醒する効果を得るために、相関色温度が12000K程度になるまでLED14の発光強度を強くした場合、LED14の発光強度を急激に変化させると画面の色合いが急激に変化し液晶表示装置11の使用者に不快感を与える場合がある。そのため、LED14を強く点灯する場合は、徐々にLED14の出力を上げることで、急激に画面の色合いが変化するのを防ぐ。
【0068】
たとえば、LEDの出力をPWM(Pulse Width Modulation)制御を用いて発光時間に応じて制御をしているのであれば、デューティー比を一定時間(たとえば5分)をかけて上げることにより、急激に画面の色合いが変化することを防ぐことができる。また、LED14の出力を上げるのと同時に、LED15・16の出力も同時に上げることにより、画面の色合い変化をより効果的に防ぐことができる。
【0069】
一方、睡眠に悪影響を及ぼさない為に、LED14の強度を弱める場合、基準色の相関色温度が5000K程度になるようにLED14の発光強度を弱めることになる。この時も同様に、PWM制御であれば、デューティー比を一定期間(たとえば5分)かけて下げることで、徐々にLED14の出力を弱めることができ、急激に画面の色合いが変化することを防止することができる。また、LED14の出力を下げるのと同時に、2つのLED15・16の出力も徐々に下げることで、これら3つのLEDにおける発光強度の比を一定に保てるので画面の色合い変化をより効果的に防ぐことができる。
【0070】
LED14の発光強度を変えた際に、表示装置の使用者が受光する光の量と映像信号値との間の関係について説明する。
【0071】
図9は、使用者が受光する光の量と、映像信号値との関係を示すグラフである。同図中においては、通常時の発光強度が実線Aにより示されており、覚醒期の発光強度が点線Bにより示されており、睡眠前など睡眠に悪影響を及ぼしたくない時期である鎮静期の発光強度が点線Cにより示されている。なお、「通常時」とは、使用者を覚醒させてもさせなくてもよい時間帯のことであり、「覚醒期」とは、使用者を覚醒させるべき時間帯を意味している。
【0072】
なお、通常時において基準白色光の色温度が8500Kに設定されている際のLED14の発光強度を100%とした場合、覚醒期に色温度が12000Kに設定された時には、LED14の発光強度は通常時の120%となるように設定されている。また、鎮静期において基準白色光の色温度を5000Kとした時に、LED14の発光強度は通常時の80%になるように設定されている。
【0073】
なお、LED14・15・16は、バックライトとして用いられるものであるので、通常時・覚醒期・鎮静期のそれぞれの状況下においては発光強度が常に一定に設定されている。すなわち、たとえばLED14については、覚醒期において常にLED14の発光強度は120%で一定である。
【0074】
そして、図9に示すように、たとえば覚醒期においては、表示装置の使用者に届く光の光量も、LEDの発光強度と同様に、通常時の受光量に比べて20%上昇している。また、鎮静期においては、表示装置の使用者に届く光の光量も、LEDの発光強度と同様に、通常時の受光量に比べて20%低下している。このように、使用者に届く光の受光量が変わることにより生体リズムの調整が可能となる。
【0075】
なお、発光体の数については、各色のLEDの最大発光強度の違いにあわせて弱い発光強度のLEDの数を増やしてもよく、基準とする白色点に応じて必要となるLEDの数を増やしてもよい。例えば、色温度の高い青みがかった白色点に合わせる場合には、青のLEDを増やす。なお、合わせる色によってLEDの数は異なって構わない。
【0076】
さらに、同一色のLEDを2つ、あるいは複数並べてもよい。LEDの配置についても、全てのLEDを図5に示すように一列に配置する必要はなく、1つおきに場所をずらして配置してもよいし、LEDを各色について分類し、分類された同一色のLEDを一列に配置してもよい。また、図5に示すように、LED14、LED15、およびLED16をこの順番で並べる必要はなく、LEDの配列順は任意に選択することができる。
【0077】
また、ここでは基準白色光の相関色温度を5000Kから12000Kとしたが、この値は一般的な値を示したものであり、より高い色温度に基準白色光の相関色温度が設定される場合もある。したがって、液晶表示装置11の画面における色の見え方を気にせず、使用者の覚醒効果をより顕著にしたい場合には、上述の値より低い色温度または高い色温度の範囲で、基準白色光の設定を行ってもよい。
【0078】
また、LED14の発光強度に関しては、通常時を100%とした場合において覚醒期は120%、鎮静期は80%となるように設定したが、必ずしもこの値に限定されるものではない。LEDの発光強度は、生体リズムの調整効果を顕著にしたい場合には、よりメリハリのある設定にすると良く、またLEDの発光効率や、基準白色光の色温度などに応じて適宜変更することができる。
【0079】
〔実施の形態3〕
以下、図10および図11を参照して、本発明の表示装置に係る他の実施の形態を説明する。本実施の形態の液晶表示装置(表示装置)21は、画像などの情報を表示する液晶パネル12と、液晶パネル12を背面から照射する導光板13と、その発光体である冷陰極管(白色発光体)22と、464nm近傍の主波長を持つLED14と、LED14の発光強度を制御する制御手段17と、現在の時刻情報を出力する時刻出力手段18とで構成される。
【0080】
上記構成の液晶表示装置21における発光強度の制御について説明する。なお、表示装置の使用時には発光体は常に冷陰極管22が点灯している状態とする。冷陰極管22の白色光により、導光板13は白色を呈する。
【0081】
発光強度の制御が開始される際、制御手段17は、時刻出力手段18により現在の時刻情報を得る。発光体の制御を行う制御手段17は、この時刻情報を基に以下のように発光体の制御を行う。
【0082】
すなわち、現在の時刻が日中である場合、制御手段17は、LED14を発光させる。また、現在時刻が夜間であったならば、LEDからの光により睡眠に影響がでることを防ぐために、LED14は消灯させておく。
【0083】
なお、発光波長464nm近傍の発光体としてLEDを使用しているのは、たとえば図7から明らかなように、LEDは急峻なスペクトルを持つため、発光波長域を限定しやすいからである。つまり、LEDを用いることにより、発光体から発せられる光の波長を生体リズムへの影響が強い464nm付近に限定できるので、効果的に生体リズムの調整が可能なためである。
【0084】
上述の発光制御を図11のフローチャートを用いて説明する。ここでは日中を8時から18時と仮定している。図11に示すように、制御手段17は現在の時刻情報を時刻出力手段18より得る(ステップ1、以下単にステップは「S」と略記する)。
【0085】
その後、制御手段17は、現在時刻が8時から18時までの間であるか否かを判断する(S2)。なお、この8時から18時までの時間は、日中の時間帯として設定された時間の一例に過ぎず、他の時間帯であってもよい。
【0086】
S2にて現在時刻が8時から18時までの時間であると判断された場合、LED14を点灯してメラトニンの分泌を抑制する(S3)。一方、S2にて現在時刻が8時から18時までの時間帯外であると判断された場合、LED14を消灯し(S4)、生体リズムへの影響を低減する。
【0087】
なお、図10においては、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しており、各部品の大きさは実際とは異なる。また、発光体の配置や数については、両端に配置されているLED14を中央にしてもよく、数を増やしてもよい。冷陰極管22についても、2つのLED14間の中央でなく外側に配置してもよく、複数設けてもよい。さらに、冷陰極管22の代わりに、白色LEDや有機ELを用いてもよい。
【0088】
さらに、464nmの主波長を持つLED14の代わりに、それとは異なる波長を主波長とする光源からの光を、蛍光体により波長変換して464nmにした発光体を用いてもよい。また、ここでは液晶のバックライトを例に取っているが、フロントライトであってもよく、大型の液晶などで用いられる導光板を用いない直下型であってもよい。
【0089】
〔実施の形態4〕
次に、図12から図14に基づき、本発明の表示装置に係るさらに他の実施形態を説明する。図12に示すように、本実施形態の液晶表示装置(表示装置)31は、液晶パネル12と、液晶パネル12を照射する導光板13と、発光体となる冷陰極管22と、主波長464nm近傍のLED14と、このLED14に対して補色となる主波長を有するLED(補色発光体)32と、各発光体の発光強度を制御する制御手段17と、現在の時刻情報を出力する時刻出力手段18とから構成される。
【0090】
なお、上述の実施の形態と同一の機能を有する部材に関しては、同一の参照番号を付している。また、図12において、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しており、各部品の大きさは実際とは異なる。
【0091】
本実施の形態においては、液晶表示装置31は、実施形態3と同様、使用時に冷陰極管22が点灯状態とされる。そして、制御手段17は、時刻出力手段18から現在時刻の情報を得るとともに、この情報をもとに発光体の発光強度を制御する。
【0092】
たとえば、液晶表示装置31の使用者が夜間勤務であることを想定した発光体の制御パターンが制御手段17に入力されていたとすると、制御手段17は、勤務開始前や勤務時にLED14を点灯してメラトニンの分泌量を抑制して、使用者を覚醒させる。たとえば、使用者が20時以降に勤務をすると仮定すると、その数時間前の18時からLED14を点灯して、使用者を覚醒させるとよい。
【0093】
このとき、LED14が点灯されることにより導光板13上の色合いが変わり、画面の色合いも変わることとなる。そこで、LED14と隣り合って配置された、主波長464nm近傍の光の色に対して補色となる光を発光するLED32を点灯する。LED14の色と、LED32の色とは補色の関係にあるので、これら2つのLEDから発せられる光を混合すると白色光となる。これによって、波長成分が464nmの光を増やしつつ、ホワイトバランスが大きく崩れるのを防ぐことができ、画面上の色合いの変化を低減することが可能となる。
【0094】
具体的には、LED14から発せられる光と、LED32から発せられる光とを混合することにより得られる白色光の相関色温度が、冷陰極管22の発光色の相関色温度とできる限り一致するように、LED32の発光強度を制御する。
【0095】
たとえば、冷陰極管22の発光色の色温度が9000Kであったと仮定すると、LED14からの光とLED32からの光とを混色した光が9000Kになる為には、LED32からの光の主波長は568nmである必要がある。
【0096】
図13は、LED14の主波長、冷陰極管22の白色点、およびLED14に対して補色となるLED32の主波長の関係を示している。横軸はXYZ表色系におけるx、縦軸はyを表している。
【0097】
図13において太線で示された曲線は、スペクトル軌跡であり、曲線上の各点は波長に対応している。LED14の主波長464nmを示す点(図中●印で示す)と、冷陰極管22の色温度を示す点(図中■印でしめす)とを結ぶ直線が、スペクトル軌跡と交わる点(図中▲印で示す)が、464nmの光と混色した際の色温度が冷陰極管の色温度9000Kに一致する場合の、LED32の主波長を示している。
【0098】
このようにして、LED32の主波長は568nmを設定すれば、LED14・32の発光強度を調整することにより、これら2つのLEDから発せられる光を混合した光の色を、冷陰極管22と同じ9000Kとすることが可能である。
【0099】
また、仮眠をとる前や、明け方の勤務終了時ではLED14を消灯し生体リズムを整える、あるいは自動車などで帰宅するのであれば勤務終了時までLED14を点灯しておくなど、制御手段17は種々の制御パターンを用いることができる。このとき、LED14が点灯している際にはLED32も点灯し、LED14が消灯しているときはLED32も消灯することとなる。
【0100】
なお、LED14・32を点灯する際、これらのLEDを瞬時に点灯すると、急激に画面の輝度が変わることとなるので、実施形態3と同様に徐々に出力を変化させて点灯するとよい。
【0101】
図14はLED14とLED32とを点灯させた際の、それぞれの発光強度の変化を表したものである。横軸はLED14の発光強度を表しており、縦軸はLED32の発光強度を表している。
【0102】
図14中、No1の実線にて示すように、LED14の強度の変化に応じて、LED32の強度も変化させていくよう、制御手段17はLED14・32の発光強度を変化させる。また、LED14が消灯するとき、LED32も消灯するよう、制御手段17はLED14・32の発光強度を変化させる。なお、LED14およびLED32の発光強度は、それぞれの最大発光強度に対して同じ比率の強度で発光されている場合に、ホワイトバランスが適正になるものとした。
【0103】
しかし、このようにLED14およびLED32の発光強度を強くすると、画面全体の輝度が上昇してまぶしく感じられる場合がある。これを防ぐ為に、LED14とLED32との発光強度を強める際には、冷陰極管22の発光強度を弱める。これにより、輝度の上昇を抑えることができ、消費電力の低減が可能となる。
【0104】
なお、図14において2つのLED14・32の発光強度の関係は比例関係としているが、放熱特性やその他LEDの性質の違いにより、比例とはならず、2次関数などの曲線になる場合もある。
【0105】
また、ここでは冷陰極管22の発光色を9000Kとしたが、9000Kに限らず様々な相関色温度を冷陰極管22の発光色の色温度として設定してよい。したがって、LED32の主波長も、冷陰極管の色温度やLED14の波長によって様々な波長を設定することができる。
【0106】
また、理想的には、LED32の主波長は、LED14の発光色に対して補色となる波長に設定されていることが好ましいが、上記補色となる波長から多少ずれている波長であっても、冷陰極管22に近い白色光を発光することができるため、そのような波長を発するLEDをLED32の変わりに用いてもよい。
【0107】
また、LED32は急峻な一つのピークを持つスペクトルをもつ単色光であるが、複数のピークをもつ発光スペクトルであらわされる、単色光でない光源であっても、主波長が補色の波長となる光源であれば、LED32の代わりに使用することが可能である。
【0108】
〔実施の形態5〕
以下、図15に基づき、本発明の表示装置に係るさらに他の実施形態を説明する。図15に示すように、本実施の形態の液晶表示装置(表示装置)41は、液晶パネル12と、導光板13と、LED14と、赤色(R)のLED15と、緑色(G)のLED16と、LED32とを備えている。なお、LED14は、主波長が464nm近傍のものであり、LED32は波長が464nmの光に対して補色となる光を発光するものである。また、これらのLED14・15・16・32は、導光板13の発光体として機能する。
【0109】
さらに、液晶表示装置41は、これらの発光体を制御する制御手段17と、時刻情報を出力する時刻出力手段18と、発光体の制御パターンを保持する記憶手段19と、ディスプレイの使用者が任意で制御パターンを入力可能とするパターン入力手段42と、複数の制御パターンの中から使用する制御パターンを選択する選択手段20とを備えている。
【0110】
また、上述の実施の形態と同一の機能を有する部材に関しては、同一の参照番号を付している。また、図15において、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しており、各部品の大きさは実際とは異なる。
【0111】
以下、発光体の発光強度を制御する手順について説明する。まず、液晶表示装置41の使用時においては、白色光を出すべく、LED14と、R色のLED15と、G色のLED16とが点灯した状態とする。この時の白色光は、CIEで定められたD65に設定する。さらに、選択手段20により、記憶手段19を参照して発光体の制御パターンを決定する。
【0112】
ここで、記憶手段19が保持する発光体の制御パターンとしては、上述のように複数あるが、そのすべてをあらかじめ保持しておくことは困難である。しかしながら、液晶表示装置41にパターン入力手段42を設けるとともに、該パターン入力手段42を介して使用者が入力した制御パターンを使用者指示情報として記憶手段19に記憶させておく。これにより、液晶表示装置41の使用者が、自身の生活スタイルに合わせて自由に制御パターンを記憶手段19に記憶させておくことが可能となる。
【0113】
なお、使用者指示情報とは、使用者により設定される、LED14の発光強度を時刻に応じてどのように制御するかに関する情報である。したがって、使用者指示情報には、上述の発光体の制御パターンも含まれる。
【0114】
使用者によって設定された制御パターンを含む、記憶手段19に保持される制御パターンから、使用者は選択手段20を通して制御パターンをひとつ選択する。その選択された制御パターンと、時刻出力手段18からの時刻情報とを基に、制御手段17は発光体の制御を行う。
【0115】
また、使用者の覚醒効果を得るべくLED14の発光強度を徐々に強くすると、画面上の色合いが変化する。このような色合いの変化を防ぐために、LED14に対して補色となるLED32をLED14の発光強度に合わせて点灯させることにより、ホワイトバランスを保つことができる。
【0116】
本実施の形態におけるLED14の発光強度とLED32の発光強度との関係を、図14におけるNo2の点線で示す。なお、LED14の発光強度とLED32の発光強度とは比例関係になるように設定し、基準白色光はD65に設定した。
【0117】
LED14の発光強度がたとえば40%の時点で、LED14、LED15、およびLED16の間でホワイトバランスが取れている、すなわち基準白色光であるD65が発光されているとすると、LED14の強度が所定強度、たとえば40%に達するまではLED32の発光強度を0%としておく。
【0118】
一方、LED14の発光強度が上記所定強度を超えた場合、LED14の発光強度の増加に伴い、LED14と補色の関係にあるLED32の発光強度も増加させるように制御する。これにより、ホワイトバランスを適正に保つことができるので、画面の色合い変化を抑えることができる。
【0119】
また、色合いの変化を抑える方法としては、LED14の発光強度に合わせて、残り2つのLED15・16の出力を調整することでも、ホワイトバランスを調整することができる。これらの色合い変化を抑える方法はそれぞれ単独でも、両方同時に行うことも可能である。ただし、補色のLED32を用いる場合が、制御が最も簡易で精度も高い。
【0120】
また、LED14とLED32とを隣り合わせて配置することで、これらのLEDからの光の混色が効率よく行われ、色むらの低減につながり、ホワイトバランスをより適正に保つことができる。
【0121】
なお、LEDの発光効率や基準となるホワイトバランスの違いによって、グラフの傾き等は変化する。LED14の発光強度に合わせて、LED32の発光強度の変える際の関係の一例を、図14においてNo3の点線に示す。No3の点線は、LED32の発光効率がLED14よりも高く、LED14の発光強度に対して低い発光強度にてLED32を発光させればホワイトバランスが取れる場合における、LED14とLED32との間における発光強度の関係を示すものである。
【0122】
LED14とLED32との間における発光強度の関係に関しては、図14で示した関係以外にも、LED14の発光強度が50%になるまでLED32の発光強度を0%にするなど、種々の関係を用いることができる。
【0123】
なお、LED14とその補色となるLED32とに関しては、これらのLEDからの光を効率良く混合するため、本実施形態では隣り合うように配置されているものとして説明したが、離れて配置されていてもよい。
【0124】
また、本実施形態では、表示装置の実施例としての液晶表示装置41の構成について説明したが、補色を含めた4色で画素を形成する自発光型ディスプレイについても、本実施形態の液晶表示装置41と同様の手法によりホワイトバランスを調整することができる。
【0125】
すなわち、図16に示すように、ガラス基板5と、陽極6と、赤色に発光する有機層7と、緑色に発光する有機層8と、主波長が464nm近傍となる光を発する有機層9と、陰極10とで構成される自発光型ディスプレイにおいて、有機層9の補色となる光を発する有機層(補色発光体)51を設けたものでもよい。
【0126】
また、以下の表1は、上述した各実施形態におけるLED14の発光状態を様々な制御パターンごとに示したものである。
(表1)
【0127】
【表1】
パターン1は実施の形態3で説明した発光体の制御パターンであり、LED14の発光状態を時間とともに示したものである。実施の形態3に係る液晶表示装置21では、発光体として冷陰極管22を用いているため(図10参照)、LED14を常に点灯しなくても白色光を出すことが可能である。したがって、LED14のパターンは点灯と消灯のパターンになっている。
【0128】
また、パターン2およびパターン3は、3色のLEDのみを発光体としている場合における、LED14の制御パターンである。これらのパターンにおいては、白色光を作り出すためにLED14は常時点灯しておかなければならないので、発光状態の強弱を用いて制御パターンを示している。
【0129】
また、パターン2は、通常の生活パターンにあわせたもので、パターン3は、夜間勤務者などの生活パターンにあわせたものである。すなわち、パターン2では、日中の時間帯においてLED14を強く点灯させている。一方、パターン3では、深夜の時間帯においてLED14を強く点灯させている。
【0130】
なお、表1に示した制御パターン以外にも、表示装置の使用者の生活状況に応じて様々な制御パターンを設定可能である。また、表1では2時間毎に発光状態の強弱・点灯非点灯を記載してあるが、発光状態を変更する時間の間隔は任意に設定可能である。
【0131】
〔実施の形態6〕
次に、図17に基づき、本発明の表示装置に係るさらに他の実施形態を説明する。図17に示すように、本実施形態の液晶表示装置(表示装置)61は、液晶パネル12と、導光板13と、主波長464nm近傍のLED14と、冷陰極管22とを備えている。なお、LED14と冷陰極管22とは、導光板13の発光体として機能する。また、本実施の形態の液晶表示装置61は、LED14からの光で励起されLED14の補色となる光を発する蛍光体62を備えている。
【0132】
また、液晶表示装置61は、これらの発光体(LED14・冷陰極管22・蛍光体62)の発光強度を制御する制御手段17と、時刻情報を出力する時刻出力手段18と、発光体としてのLED14の制御パターンを保持する記憶手段19と、複数の制御パターンの中から使用する制御パターンを選択する選択手段20を備えている。
【0133】
なお、上述の実施の形態と同一の機能を有する部材に関しては、同一の参照番号を付している。また、図17において、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しており、各部品の大きさは実際とは異なる。
【0134】
以下、発光体の発光強度を制御する手順について説明する。まず、液晶表示装置61の使用時においては、白色光を出すために、冷陰極管22が点灯した状態とする。なお、冷陰極管22により発せられる光の相関色温度は、ここでは9000Kとする。
【0135】
さらに、選択手段20により、記憶手段19を参照して発光体の制御パターンを決定する。記憶手段19が保持する発光体の制御パターンとしては、使用者が通常寝起き状態であると考えられる早朝の時間帯や、眠くなりやすい昼食後の時間帯にLED14から強い光を出しておくなど、複数の制御パターンがある。
【0136】
使用者は選択手段20を通して、複数の制御パターンの中から一つを選択する。制御手段17は、その選択された制御パターンと、時刻出力手段18からの時刻情報とを基に発光体の発光強度を制御する。たとえば、使用者が8時から18時を日中としてLED14を強く発光するパターンを選択していた場合、LED14の発光強度は図11に示すフローチャートに従って制御される。
【0137】
また、冷陰極管22により発せられる光と、LED14により発せられる光とが単純に混合された混色光の色は、冷陰極管22だけを発光させた光の色に比べ、青みがかった色となる。したがって、本実施の形態の液晶表示装置61において、使用者の覚醒効果を得るためにLED14を単に強く点灯すると、ホワイトバランスが崩れてしまう。
【0138】
そこで、蛍光体62を、LED14と導光板13との間であってLED14からの光の一部があたる位置に配置する。これにより、LED14から発せられる光の一部は、蛍光体62によってLED14の補色の光となる。また、LED14から発せられる光のうち蛍光体62を透過しない光は、波長変換を起こさないので、蛍光体62を透過した光と混ざり合うことにより、白色を呈することとなる。
【0139】
このように蛍光体62を設けることにより、LED14の強度を強めつつ、補色の光源を用いなくてもホワイトバランスを調整することが可能となる。このような蛍光体としては、白色LEDなどで用いられる、青色光によって励起され黄色光を発するYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)などを用いることができる。
【0140】
このように液晶表示装置61を構成することにより、LED32のように補色の発光体を用いる液晶表示装置31(図12参照)に比べ、同じ輝度の光を生成するための光源の数を少なくできる。さらに、蛍光体62を利用した場合には、LED14のきわめて近い部分に蛍光体62が配置されることになるので、液晶パネル12による表示に、色むらや輝度むらが生じにくくなる。
【0141】
また、たとえば液晶表示装置31のように、補色の発光体を用いた場合には、LED14に加え、補色の発光体の発光強度も制御する必要がある。しかしながら本実施形態の液晶表示装置61のように、蛍光体62を使用する場合は、蛍光体62は発光強度を制御する必要が無いので、補色の発光体を用いる場合に比べ発光強度の制御が単純化することができる。
【0142】
なお、本実施形態では、蛍光体62をLED14の真上に配置する構成について説明したが、蛍光体62の配置場所はこれに限定されるものではない。たとえば、LED14を覆うように蛍光体62を設けたり、LED14の横に蛍光体62を設けるというように、LED14からの光が届く範囲内で様々な場所に蛍光体62を配置することができる。
【0143】
また、LED14および蛍光体62の代わりに、波長464nmの光を発するLEDと蛍光体とが一体成型された白色LEDを用いてもよい。
【0144】
また、ここでは白色光源として冷陰極管を用いたが、白色LEDやELを用いてもよい。また、蛍光体は、実施形態2に示すように、それぞれ異なる色を発光するLED14・15・16を発光体として用いる液晶表示装置11についても使用可能である。
【0145】
〔実施の形態7〕
次に、図18に基づき、本発明の表示装置に係るさらに他の実施形態を説明する。図15に示すように、本実施形態の液晶表示装置(表示装置)71は、液晶パネル12と、導光板13と、冷陰極管22とを備えている。なお、冷陰極管22は、導光板13の発光体として機能する。
【0146】
また、液晶表示装置71は、青色波長域の透過率が低い誘電体多層膜フィルタ72と、青色波長域の透過率が高い誘電体多層膜フィルタ73とを備えている。なお、これらの誘電体多層膜フィルタ72・73は、冷陰極管22と、冷陰極管22の光が入射される導光板13の入射端面との間に配置され、冷陰極管22から導光板13に入射される光の透過率を、発光波長ごとに制御するものである。
【0147】
さらに、液晶表示装置71は、フィルタ切替手段74を備えている。フィルタ切替手段74は、誘電体多層膜フィルタ72および誘電体多層膜フィルタ73のうちいずれを使用するか、またはどちらも使用しないかを切り替えるものである。
【0148】
また、液晶表示装置71は、冷陰極管22の発光強度を制御する制御手段17を備えている。
【0149】
なお、上述の実施の形態と同一の機能を有する部材に関しては、同一の参照番号を付している。また、図18において、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しており、各部品の大きさは実際とは異なる。
【0150】
以下、生体リズムに影響を与える、440〜470nmの範囲における波長の光の光量を制御する方法について説明する。
【0151】
図19は冷陰極管22の発光スペクトルであり、横軸は波長、縦軸は発光強度を示している。ここで、図3を用いて説明したように、青色波長域の光にメラトニン抑制の効果がある。図19を参照すると、冷陰極管22から発せられる光は、その波長域の光を含んでいることがわかる。
【0152】
また、図20は青色波長域の透過率の低い誘電体多層膜フィルタ72の透過率特性を示すものであり、図21は青色波長域の透過率の高い誘電体多層膜フィルタ73の透過率特性を示すものである。図20および図21においては、横軸が波長、縦軸が透過率を示している。
【0153】
ここで、誘電体多層膜フィルタとは、光の屈折率が異なる2つの絶縁膜を交互に積み重ねたものであり、酸化ケイ素と酸化チタンなどが絶縁膜として使用される。絶縁膜の物質を変えたり、積層する層の数を変えることで、様々な透過スペクトルを持つ誘電体多層膜フィルタを実現できる。誘電体多層膜の作成方法は公知である。
【0154】
図20に示すように、誘電体多層膜フィルタ72の透過スペクトルは、青色波長域で低く、それ以外の波長域では高い透過率を示している。このため、睡眠前などの覚醒することを避けたい時間帯には、フィルタ切替手段74を用いて、使用するフィルタを誘電体多層膜フィルタ72に切り替えることにより、メラトニン抑制効果のある青色波長域の光の光量を少なくすることが可能となる。
【0155】
また、図21に示すように、誘電体多層膜フィルタ73の透過スペクトルは、青色波長域で高く、その他の波長域で低くなっている。そのため、昼間などの覚醒の効果を得たい時間には、フィルタ切替手段74を用いて、使用するフィルタを誘電体多層膜フィルタ73に切り替える。
【0156】
ただし、この誘電体多層膜フィルタ73を使用しただけでは、青色波長域とそれ以外の波長域で減少の割合は異なるものの、どの波長域でも発光量は下がることになる。そのため、誘電体多層膜フィルタ73を使用する際には、制御手段17を用いて冷陰極管22の発光強度を強くすることが好ましい。これにより、使用者の覚醒の効果を得たい時には、青色波長域の光量を増加させ、メラトニン分泌を抑制することができる。
【0157】
さらに、表示装置の使用者は、誘電体多層膜フィルタの切替、および使用の有無に関する情報を、使用者指示情報としてフィルタ切替手段74を用いて決定することが可能である。
【0158】
たとえば、使用者が睡眠前であり睡眠に悪影響を及ぼしたくない際には、フィルタ切替手段74を用いて、青色波長域の透過率の低い誘電体多層膜フィルタ72を使用するように、使用者指示情報を設定する。これにより、メラトニン分泌が抑制されることを防ぐことができる。
【0159】
また、使用者を覚醒する効果を得たい際には、フィルタ切替手段74を用いて、青色波長域の透過率の高い誘電体多層膜フィルタ73を使用するように、使用者指示情報を設定する。
【0160】
この場合、フィルタ切替手段74は、制御手段17に対して、冷陰極管22の発光強度を強くする旨の制御信号を出力する。これにより、青色波長域の光の光量が増加するので、使用者を覚醒する効果が得られる。
【0161】
また、これらのフィルタを使うと、青の光量が変わることから、液晶表示装置71の表示画面における色合いが変化してしまう場合がある。そのため、表示画像の色合いを重要視する場合は、使用者は、フィルタ切替手段74を用いて、フィルタを使用しないように使用者指示情報を設定することが好ましい。これにより、液晶パネル12により表示される画像の色合いが、青みがかったりすることを防ぐことができる。
【0162】
このように、フィルタ切替手段74を用いて使用者指示情報を設定することにより、使用者が望む状態に設定することが可能となる。
【0163】
ここでは、光の発光量を波長域ごとに制御するために、任意の透過スペクトルに設計することが可能であることから、誘電体多層膜フィルタを用いたが、ゲストホスト液晶を用いて発光量を制御するなど、様々な方法により光の発光量を波長域ごとに制御することができる。
【0164】
なお、ゲストホスト液晶とは、分子の長軸方向と短軸方向とで光の吸収に異方性をもつ2色性色素を液晶に混ぜたものである。ゲストホスト液晶に電圧をかけることで、2色性色素の配向が変化し、液晶透過時の光吸収特性が変化する為、光の透過量を電気的に制御することができる。2色性色素として青色の光を吸収するものが用いられたゲストホスト液晶ならば、青色の光の透過量を制御することができる。
【0165】
また、冷陰極管22に関しても、青色波長域に発光成分を持つ有機ELや無機ELを、冷陰極管22の代わりに用いてもよい。また、冷陰極管22は、単数でも複数でも構わない。
【0166】
また、本実施形態においては、使用フィルタを誘電体多層膜フィルタ72または誘電体多層膜フィルタ73のいずれかに切り替えるための構成として、フィルタ切替手段74を設ける構成について説明した。これと同様に、上記した実施形態において青色の光を発光する有機層9やLED14の発光強度を変更するボタンなどを用意して、使用者が自由に発光強度を切り替えられるようにしてもよい。
【0167】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0168】
以上のように、本発明の表示装置は、発光体の光により画像を表示する表示装置であって、上記発光体は生体リズムに影響を与える波長の光を発し、上記波長の光の強度を制御することによって、生体リズムを調整するとともに上記画像を表示するものである。
【0169】
上記構成によれば、生体リズムに影響を与える波長の光の強度を制御することによって、生体リズムを調整することができる。
【0170】
特に、表示装置は、照明装置に比べて使用者との距離が近い位置で使用されることが多いので、発光体からの光は、使用者に直接的に届き、使用者の生体リズムに与える影響が大きい。また、画像を表示する表示装置は、照明装置に比べて使用頻度が高い。
【0171】
したがって、表示装置においては、発光体の発光強度が使用者の生体リズムに与える影響が照明装置に比べて大きいので、本発明によれば、効果的に使用者の生体リズムを調整することができる。
【0172】
また、上記構成の表示装置は、時間情報に基づき、上記波長の光の強度を制御することが好ましい。なお、時間情報とは、上述した現在の時刻を示す時刻情報や、表示装置の使用を開始した時からの現在まで時間を示す経過情報を含む情報である。
【0173】
上記構成によれば、時間情報に基づき、生体リズムに影響を与える波長の光の強度が自動的に調整されるので、使用者が意識的に表示装置を操作することなく、生体リズムを調整することが可能となる。
【0174】
また、上記構成の表示装置は、使用者により設定された情報である使用者指示情報に基づき、上記波長の光の強度を制御することが好ましい。
【0175】
上記構成によれば、使用者の設定する使用者指示情報に基づいて、生体リズムに影響を与える波長の光の強度が制御される。したがって、使用者の好みに合わせて生体リズムに影響を与える波長の光の強度を制御することができ、所望のリズムに使用者の生体リズムを適合させることできる。
【0176】
また、使用者指示情報として、生体リズムに影響を与える波長の光の強度が時刻と対応付けられた制御パターンを設定し、この使用者指示情報に基づき生体リズムに影響を与える波長の光の強度を制御するようにしてもよい。これにより、本発明の表示装置の使用者が制御パターンを一旦設定すれば、それ以降は使用者の希望に応じた強度で生体リズムに影響を与える波長の光が発せられるので、所望のリズムに使用者の生体リズムを容易に適合させることができる。
【0177】
また、上記構成の表示装置は、表示する画像がどのような内容の番組であるかを示す情報であるコンテンツ情報に基づき、上記波長の光の強度を制御することが好ましい。
【0178】
上記構成によれば、コンテンツ情報に基づき、生体リズムに影響を与える波長の光の強度が制御されるので、表示画像の内容に応じて上記波長の光の強度が制御される。したがって、表示画像の内容に応じて生体リズムを調整することが可能となる。たとえば、表示画像が映画である場合には、上記波長の光の強度を上げて使用者を覚醒させることにより、映画をより印象深いものとすることができる。
【0179】
また、上記構成の表示装置は、上記発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する補色発光体を含んでいることが好ましい。
【0180】
すなわち、生体リズムに影響をあたえる波長の光の強度を強めた際に、画像の表示画面の色合いが崩れてしまう場合がある。しかしながら、上記構成においては補色発光体を備えているので、発光体および補色発光体のそれぞれから発せられる光を混合することにより、白色光を生成して、表示画面の色合いが崩れるのを防止することができる。
【0181】
また、上記構成の表示装置は、上記発光体の発光強度に応じて、上記補色発光体の発光強度を制御することが好ましい。
【0182】
上記構成によれば、発光体の発光強度に応じて補色発光体の発光強度が制御される。ここで、補色発光体は、発光体の発光色に対して補色となる光を発するので、その発光強度を発光体の発光強度に応じて制御すれば、これら2つの発光体からの光が混合されることにより生成される白色光の色合いを適切に制御できる。
【0183】
したがって、発光体の発光強度の高低によって表示画面の色合いが崩れてしまうことを、より適切に防止することができる。
【0184】
また、本発明の表示装置は、画像を表示する画像表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置であって、上記複数の発光体は生体リズムに影響を与える波長の光を発する第1発光体を含み、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替えるものである。
【0185】
上記構成によれば、画素自体が発光体として発光する自発光型の表示装置において、第1発光体の発光強度特性が制御される。これにより、生体リズムに影響を与える波長の光の強度が調整されるので、生体リズムを調整することができる。
【0186】
特に、表示装置は、照明装置に比べて使用者との距離が近い位置で使用されることが多いので、第1発光体からの光は、使用者に直接的に届き、使用者の生体リズムに与える影響が大きい。また、画像を表示する表示装置は、照明装置に比べて使用頻度が高い。
【0187】
したがって、表示装置においては、第1発光体の発光強度が使用者の生体リズムに与える影響が照明装置に比べて大きいので、本発明によれば、効果的に使用者の生体リズムを調整することができる。
【0188】
また、本発明の表示装置は、画像を表示する画像表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置であって、上記複数の発光体は、445nmから480nmまでの間に主波長を有する光を発光する第1発光体を含み、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替えるものであってもよい。
【0189】
上記構成によれば、メラトニンの抑制効果が高い445nmから480nmまでの範囲に、主波長を有する光を発するものを、第1発光体として用いる。したがって、第1発光体から発せられる光をメラトニン抑制効果が高いものとすることができるので、より効果的に生体リズムの調整を行うことが可能となる。
【0190】
さらに、上記構成の表示装置は、上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、時間情報に基づき切り替えることが好ましい。
【0191】
上記構成によれば、時間情報に基づき第1発光体の発光強度特性が自動的に調整されるので、使用者が意識的に表示装置を操作することなく、生体リズムを調整することが可能となる。
【0192】
さらに、上記構成の表示装置は、上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、使用者により設定された情報である使用者指示情報に基づき切り替えることが好ましい。
【0193】
上記構成によれば、使用者の設定する使用者指示情報に基づいて、生体リズムに影響を与える波長の光の発光強度特性が制御される。したがって、使用者の好みに合わせて第1発光体の発光強度特性を制御することができ、所望のリズムに使用者の生体リズムを適合させることできる。
【0194】
また、使用者指示情報として、第1発光体の発光強度特性が時刻と対応付けられた制御パターンを設定し、この使用者指示情報に基づき第1発光体の発光強度特性を制御するようにしてもよい。これにより、本発明の表示装置の使用者が制御パターンを一旦設定すれば、それ以降は使用者の希望に応じた発光強度で第1発光体は発光するので、所望のリズムに使用者の生体リズムを容易に適合させることができる。
【0195】
さらに、上記構成の表示装置は、上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、表示する画像がどのような内容の番組であるかを示す情報であるコンテンツ情報に基づき切り替えることが好ましい。
【0196】
上記構成によれば、コンテンツ情報に基づき第1発光体の発光強度特性が制御されるので、表示画像の内容に応じて第1発光体の発光強度特性が制御される。したがって、表示画像の内容に応じて生体リズムを調整することが可能となる。たとえば、表示画像が映画である場合には、第1発光体の発光強度を上げて使用者を覚醒させることにより、映画をより印象深いものとすることができる。
【0197】
さらに、上記複数の発光体は、赤色光を発光する第2発光体と、緑色光を発光する第3発光体とを含んでいることが好ましい。
【0198】
すなわち、第1発光体により発光される生体リズムに影響を与える光は、ほぼ青色を呈する。したがって、上記構成のように第2発光体および第3発光体を設ければ、第1発光体により発せられるほぼ青色の光、第2発光体により発せられる赤色の光、および第3発光体により発せられる緑色の光により、自発光型の表示装置においてカラー表示を行うことできる。
【0199】
さらに、上記複数の発光体は、上記第1発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する補色発光体を含んでいることが好ましい。
【0200】
すなわち、生体リズムに影響をあたえる波長の光の強度を強めた際に、画像の表示画面の色合いが崩れてしまう場合がある。しかしながら、上記構成においては補色発光体を備えているので、第1発光体および補色発光体のそれぞれから発せられる光を混合することにより、白色光を生成して、表示画面の色合いが崩れるのを防止することができる。
【0201】
さらに、上記構成の表示装置は、上記第1発光体の発光強度に応じて、上記補色発光体の発光強度を制御することが好ましい。
【0202】
上記構成によれば、第1発光体の発光強度に応じて補色発光体の発光強度が制御される。ここで、補色発光体は、第1発光体の発光色に対して補色となる光を発するので、その発光強度を第1発光体の発光強度に応じて制御すれば、これら2つの発光体からの光が混合されることにより生成される白色光の色合いを適切に制御できる。
【0203】
したがって、第1発光体の発光強度の高低によって表示画面の色合いが崩れてしまうことを、より適切に防止することができる。
【0204】
さらに、上記補色発光体は、上記第1発光体と隣り合うように配置されていることが好ましい。
【0205】
上記構成によれば、第1発光体と補色発光体が隣り合うことにより、それぞれの発光体から発せられる光を効率良く混合し、白色光を効率良く生成することができる。したがって、第1発光体の発光強度の高低によって表示画面の色合いが崩れてしまうことを、より適切に防止することができる。
【0206】
さらに、上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、発光ダイオードであってもよい。
【0207】
上記構成によれば、画素がLEDにより構成された自発光型のLEDディスプレイにおいて、生体リズムの調整が可能となる。
【0208】
さらに、上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、エレクトロルミネッセンスであってもよい。
【0209】
上記構成によれば、画素がエレクトロルミネッセンスにより構成された自発光型の有機ELディスプレイにおいて、生体リズムの調整が可能となる。
【0210】
また、本発明の表示装置は、画像を表示する画像表示部に対して、光源からの光を照射することにより画像を表示する表示装置であって、上記複数の発光体は生体リズムに影響を与える波長の光を発光する第1発光体を含み、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度を切り替えるものである。
【0211】
上記構成によれば、画像表示部に対して光源からの光を照射する構成の表示装置において、第1発光体の発光強度が制御される。これにより、生体リズムに影響を与える波長の光の強度が調整されるので、生体リズムを調整することができる。
【0212】
特に、表示装置は、照明装置に比べて使用者との距離が近い位置で使用されることが多いので、第1発光体からの光は使用者に直接的に届く。また、画像を表示する表示装置は、照明装置に比べて使用頻度が高い。
【0213】
したがって、表示装置においては、第1発光体の発光強度が使用者の生体リズムに与える影響が照明装置に比べて大きいので、本発明によれば、効果的に使用者の生体リズムを調整することができる。
【0214】
また、本発明の表示装置は、画像を表示する画像表示部に対して、光源からの光を照射することにより画像を表示する表示装置であって、上記複数の発光体は445nmから480nmまでの間に主波長を有する光を発光する第1発光体を含み、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度を切り替えるものであってもよい。
【0215】
上記構成によれば、メラトニンの抑制効果が高い445nmから480nmまでの範囲に、主波長を有する光を発するものを、第1発光体として用いる。したがって、第1発光体から発せられる光をメラトニン抑制効果が高いものとすることができるので、より効果的に生体リズムの調整を行うことが可能となる。
【0216】
さらに、上記構成の表示装置において、上記第1発光体の発光強度を、時間情報に基づき制御することが好ましい。
【0217】
上記構成によれば、時間情報に基づき第1発光体の発光強度が自動的に調整されるので、使用者が意識的に表示装置を操作することなく、生体リズムを調整することが可能となる。
【0218】
さらに、上記構成の表示装置において、上記第1発光体の発光強度を、使用者により設定された情報である使用者指示情報に基づき制御することが好ましい。
【0219】
上記構成によれば、使用者の設定する使用者指示情報に基づいて、生体リズムに影響を与える波長の光の発光強度が制御される。したがって、使用者の好みに合わせて第1発光体の発光強度を制御することができ、所望のリズムに使用者の生体リズムを適合させることできる。
【0220】
また、使用者指示情報として、第1発光体の発光強度が時刻と対応付けられた制御パターンを設定し、この使用者指示情報に基づき第1発光体の発光強度を制御するようにしてもよい。これにより、本発明の表示装置の使用者が制御パターンを一旦設定すれば、それ以降は使用者の希望に応じた発光強度で第1発光体は発光するので、所望のリズムに使用者の生体リズムを容易に適合させることができる。
【0221】
さらに、上記構成の表示装置において、上記第1発光体の発光強度の特性を、表示する画像がどのような内容の番組であるかを示す情報であるコンテンツ情報に基づき切り替えることが好ましい。
【0222】
上記構成によれば、コンテンツ情報に基づき第1発光体の発光強度が制御されるので、表示画像の内容に応じて第1発光体の発光強度が制御される。したがって、表示画像の内容に応じて生体リズムを調整することが可能となる。たとえば、表示画像が映画である場合には、第1発光体の発光強度を上げて使用者を覚醒させることにより、映画をより印象深いものとすることができる。
【0223】
さらに、上記光源は、赤色光を発光する第2発光体と、緑色光を発光する第3発光体とを含んでいることが好ましい。
【0224】
すなわち、第1発光体により発光される生体リズムに影響を与える光は、ほぼ青色を呈する。したがって、上記構成のように第2発光体および第3発光体を設ければ、第1発光体により発せられるほぼ青色の光、第2発光体により発せられる赤色の光、および第3発光体により発せられる緑色の光を混合することにより、白色光を生成することができる。
【0225】
そして、白色光は、一般的な表示装置において用いられる光源の光である。したがって、上記のように第1発光体、第2発光体、および第3発光体を設けるという簡易な構成により、一般的な表示装置の光源としてこれらの発光体を機能させることができる。
【0226】
さらに、上記光源は、白色光を発光する白色発光体を含んでいるものであってもよい。
【0227】
すなわち、白色光は、一般的な表示装置で用いられている光源により発せられる光である。したがって、上記構成によれば、一般的な光源として利用される白色発光体を含んでいる表示装置に、第1発光体を設けるという簡易な構成で、生体リズムを調整することが可能となる。
【0228】
さらに、上記光源は、上記第1発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する補色発光体を含んでいることが好ましい。
【0229】
すなわち、生体リズムに影響をあたえる波長の光の強度を強めた際に、画像の表示画面の色合いが崩れてしまう場合がある。しかしながら、上記構成においては補色発光体を備えているので、第1発光体および補色発光体のそれぞれから発せられる光を混合することにより、白色光を生成して、表示画面の色合いが崩れるのを防止することができる。
【0230】
さらに、上記構成の表示装置において、上記第1発光体の発光強度に応じて、上記補色発光体の発光強度を制御することが好ましい。
【0231】
上記構成によれば、第1発光体の発光強度に応じて補色発光体の発光強度が制御される。ここで、補色発光体は、発光体の発光色に対して補色となる光を発するので、その発光強度を第1発光体の発光強度に応じて制御すれば、これら2つの発光体からの光が混合されることにより生成される白色光の色合いを適切に制御できる。
【0232】
したがって、第1発光体の発光強度の高低によって表示画面の色合いが崩れてしまうことを、より適切に防止することができる。
【0233】
さらに、上記補色発光体は、上記第1発光体と隣り合うように配置されていることが好ましい。
【0234】
上記構成によれば、第1発光体と補色発光体が隣り合うことにより、それぞれの発光体から発せられる光を効率良く混合し、白色光を効率良く生成することができる。したがって、第1発光体の発光強度の高低によって表示画面の色合いが崩れてしまうことを、より適切に防止することができる。
【0235】
さらに、本発明の表示装置は、上記第1発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する蛍光体を含んでいることが好ましい。
【0236】
上記構成によれば、蛍光体により第1発光体の発光色に対して略補色となる光が発光されるので、上述したような補色発光体を設けた場合と同様の効果を得ることができる。また、蛍光体は発光強度を制御する必要がないので、表示装置の構成を簡略化することができる。
【0237】
さらに、上記光源を構成する発光体のうち少なくとも1つは、発光ダイオードまたはエレクトロルミネッセンスであってもよい。
【0238】
上記構成によれば、発光ダイオードまたは面発光するエレクトロルミネッセンスを光源として用いた表示装置において、液晶パネル等の画像表示部に対して該光源から光を照射することにより、生体リズムを調整することが可能となる。
【0239】
なお、本発明の表示装置は、生体に影響を与える波長の光を発する第1発光体と、時刻出力手段からの時刻情報に基づいて上記第1発光体の発光強度を制御する制御手段とを備えているものであってもよい。
【0240】
上記構成によれば、時刻出力手段によって得られる時刻情報に基づき、生体に影響を与える波長の光の強度を制御することが可能となる。
【0241】
したがって、時刻に応じて生体に影響を与える光の発光強度を調整することにより、生体リズムを調整することが可能となる。
【0242】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記第1発光体から発せられる光は、445nmから480nmまでの間にピーク波長を有することを特徴としている。
【0243】
445nmから480nm近傍のピーク波長を有する光を強く発光すると、メラトニンの分泌量が抑制されることが知られている。上記構成によれば、第1発光体により上記範囲のピーク波長を有する光が発せられるので、メラトニン分泌を調整し、生体リズムをより効果的に調整することができる。
【0244】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、赤色光を発光する第2発光体と、緑色光を発光する第3発光体とを備えているものであってもよい。
【0245】
上記構成によれば、第1発光体、第2発光体、および第3発光体により、鮮やかなカラー表示を行うことができる。
【0246】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記第1発光体の発光色に対する補色を発光する第4発光体を備えているものであってもよい。
【0247】
上記構成によれば、第4発光体により、第1発光体から発せられる光の色に対して補色となる光が発せられる。よって、第1発光体を強く発光したときでも、第4発光体を第1発光体の発光強度に対応した強い強度にて発光することで、画面上の色合いの変化を抑えることが可能となる。
【0248】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記第4発光体が、上記第1発光体と隣り合うように配置されていてもよい。
【0249】
上記構成によれば、第1発光体と、第4発光体とが隣り合って配置されるので、これら2つの発光体から発光される光の混色を効率よく行うことができ、画面上の色むらを防ぐことが可能となる。
【0250】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記制御手段が、上記第1発光体の発光強度に対応させて、上記第4発光体の発光強度を制御するものであってもよい。
【0251】
上記構成によれば、第1発光体の発光強度に対応させて、第4発光体の発光強度を制御することにより、第1発光体と第4発光体との混色の割合を調整することができ、画面上の色合いをより理想的にすることができる。
【0252】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記第1発光体が、画像を表示する画像表示手段を照明する照明手段に含まれているものであってもよい。
【0253】
上記構成によれば、一般的に画像表示手段として広く用いられている液晶ディスプレイ等に、照明手段として用いられるバックライトの光源として第1発光体を設けることにより、生体リズムの調整を実現する表示装置を容易に提供することができる。
【0254】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記第1発光体、上記第2発光体、および上記第3発光体の少なくとも3つにより、画像を表示する画像表示手段の画素が形成されているものであってもよい。
【0255】
上記構成によれば、第1発光体、第2発光体、および第3発光体により、赤色光、緑色光、青色光を発光させることができるので、画像表示手段を自発光型ディスプレイとすることができる。よって、生体リズムの調整が可能な自発光型ディスプレイを提供することができる。
【0256】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記制御手段が、記憶手段に記憶された複数の制御パターンから、選択手段により選択された制御パターンにしたがい、上記第1発光体の発光強度を変化させるものであってもよい。
【0257】
上記構成によれば、記憶手段に、種々の発光強度の制御パターンを記憶しておくとともに、使用者の生活リズムに最適な制御パターンを選択手段に選択せしめ、選択された制御パターンにしたがって第1発光体の発光強度を変化させることができる。
【0258】
よって、表示装置の使用者毎に制御パターンを設定し、生体リズムをより効果的に調整することができる。
【0259】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記制御手段が、利用者の起床時および日中において上記第1発光体の発光強度を強め、夜間において上記第1発光体の発光強度を弱めるように制御するものであってもよい。
【0260】
上記構成によれば、利用者の起床時および日中には利用者をより効果的に覚醒させることができ、睡眠前には発光強度が弱められるので、生体リズムへの影響を低減できる。よって、生体リズムをより効果的に調整することができる。
【0261】
なお、上述の第1発光体、第2発光体、第3発光体、および第4発光体は、LEDであることが好ましい。発光体がLEDであれば、発光波長を絞ることができるので、生体に影響を与える波長を的確に選択する選択することが可能となる。
【0262】
また、第1発光体、第2発光体、第3発光体および第4発光体は、エレクトロルミネッセンスでも構わない。発光体をエレクトロルミネッセンスにて形成することにより、生体リズムの調整が可能な有機ELディスプレイを提供することができる。
【0263】
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施形態は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0264】
本発明は、モニタやテレビといった用途の他、モバイル機器向けのディスプレイや、大画面のディスプレイなど様々な表示装置において適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0265】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す図であり、(b)は、(a)に示す表示装置の各セル内における構成を示す断面図である。
【図2】光源の主波長とスペクトル軌跡との関係を示す図である。
【図3】生体リズムに関する波長とメラトニン抑制強度との関係を示す図である。
【図4】図1の表示装置における、有機層9の入力映像信号値と発光強度との関係を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図6】図5の液晶表示装置の色合いを変えた場合の色度図上の変化を示す図である。
【図7】図5の液晶表示装置における基準白色光の色温度を5000Kに設定した場合のLEDの発光強度を示す図である。
【図8】図5の液晶表示装置における基準白色光の色温度を12000Kに設定した場合のLEDの発光強度を示す図である。
【図9】図5の液晶表示装置における、入力画像信号に対するLED14の光量の関係を示す図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図11】図10の液晶表示装置においてLEDの発光強度を制御する手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図13】図12の液晶表示装置におけるLED14の補色の波長を説明するための図である。
【図14】図12および図15の液晶表示装置における、LED14とLED32の発光強度の関係を示すグラフである。
【図15】本発明のさらに他の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図16】図15の液晶表示装置の変形例である自発光型表示装置の画素の構成を示す断面図である。
【図17】本発明のさらに他の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図18】本発明のさらに他の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図19】図18の液晶表示装置における冷陰極管22の発光スペクトルを示す図である。
【図20】図18の液晶表示装置における誘電体多層膜フィルタ72の透過特性を示す図である。
【図21】図18の液晶表示装置における誘電体多層膜フィルタ73の透過特性を示す図である。
【図22】従来の生体リズム調整装置を説明するための図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光が生体リズムに与える影響を考慮した表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体は体内に計時機構を持ち、生体機能に関する周期現象を制御していることが知られている。そのような周期現象の一つとして、サーカディアンリズムと呼ばれる24から25時間周期のリズムがある(非特許文献1)。サーカディアンリズムを示す代表的なものとしては睡眠、覚醒、体温変化などがあり、これらのリズムを1日の周期である24時間周期に同調させる主要因子として、社会的要因や光環境を挙げることができる。
【0003】
現代社会においては、室内で過ごす時間が増加しているだけでなく、照明の発達により生活の夜型化が進んでおり、昼夜であまり明暗変化のない光環境となっている。このため、生体リズムが24時間周期へ上手く同調されず、睡眠障害など健康を害する結果につながることが危惧される。健康で快適な生活を送るためには、この生体リズムの位相が周囲の時間的な流れと一致し、振幅が大きく確保されることが必要とされており、生体リズムを整えるために様々な方法が提案されている。
【0004】
たとえば、特許文献1に記載の「生体リズム調整装置」は、被験者の直腸温などの深部体温をもとに生体リズムを測定、評価し、結果に応じて光などの刺激を与えてリズムの調整を行うものである。その具体的な構成は、図22に示すように、生体リズムを生体リズム曲線測定手段により測定し、生体リズム曲線評価手段により理想となる生体リズムとの評価を行い、生体リズム調整装置により生体リズムの調整を行う構成である。
【0005】
また、特許文献2に記載の「照明制御方法および照明システム」は、色温度の低い照明と色温度の高い照明とを備え、これを朝や夜などの時間帯に応じて切り替え、あるいは同時点灯を行うものである。その他にも、低照度、中照度、高照度の少なくとも3つの光発生手段を持ち、起床時間に向けて徐々に照度を上げていく、特許文献3に記載の「目覚まし装置」などが提案されている。
【0006】
また、睡眠と覚醒とのリズムにおいては、メラトニンの分泌量が深く関係しており、覚醒時には分泌量は抑えられている。さらに、このメラトニンの分泌量には光が影響している。すなわち、波長440nmから600nmの光に対するメラトニンの抑制度について調査したところ、特に波長470nm近傍の光がメラトニンの抑制効果が最も高いという実験結果が得られている(非特許文献2)。このことを利用した技術として、特許文献4に記載の「光治療器」がある。
【0007】
このように、様々な生体リズム調整装置が提案されているが、従来の提案は室内における照明装置に関するものであり、ディスプレイなどの表示装置については考慮されていなかった。しかしながら、人間の光に関する情報はそのほとんどを視覚から得ているため、表示装置が発する光も生体リズムに影響をおよぼす。
【0008】
特に昨今では、コンピュータの普及により、ディスプレイを用いた作業時間が多くなっている。そして、このようなVDT(Video Display Terminal)作業中には、使用者からディスプレイまでの距離が近いために、使用者の目が多くの光を受けることになり、照明の光以上にディスプレイの光の方が生体リズムに与える影響が強い。
【0009】
また、テレビを含めた表示装置全般の光源から発せられる光は、照明光のような間接光とは異なり、使用者に直接視認される光であるので、生体リズムに与える影響が間接光よりも大きい。
【0010】
このように、ディスプレイが生体リズムに与える影響を考慮すると、ディスプレイの光を調整する必要がある。
【特許文献1】特開平5−3920号公報
【特許文献2】特開2000−294387号公報
【特許文献3】特開平7−318670号公報
【特許文献4】特開平2−302276号公報
【非特許文献1】小山恵美、「モデリングを通じた生体系特徴の時間生物学的理解」、計測と制御 第41巻 第10号、2002年10月
【非特許文献2】「Action Spectrum for Melatonin Regulation in Humans:Evide-nce for a Novel Circadian Photoreceptor」、The Journal of Neuroscience、August 15、2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、生体リズムを調整可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、画像を表示する画像表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置であって、上記複数の発光体は、生体リズムに影響を与える波長の光を発する第1発光体を含み、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替えることにより、上記第1発光体の光量の増減の割合を、他の発光体と比較して大きくする構成とした。
【0013】
具体的に、上記生体リズムに影響を与える波長の光は、445nmから480nmまでの間に主波長を有する光であることが好ましい。
【0014】
また、上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、時間情報に基づき切り替えたり、使用者により設定された情報である使用者指示情報に基づき切り替えたり、表示する画像がどのような内容の番組であるかを示す情報であるコンテンツ情報に基づき切り替えたり、上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、周囲の明るさに基づき切り替えたりするとよい。
【0015】
さらに具体的には、上記複数の発光体は、赤色光を発光する第2発光体と、緑色光を発光する第3発光体とを含んでいる構成であることが考えられる。
【0016】
そして、上記複数の発光体は、上記第1発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する補色発光体を含んでいれば、色度を略一定に保つことができ有利である。
【0017】
具体的には、上記第1発光体の発光強度に応じて、上記補色発光体の発光強度を制御すればよい。
【0018】
上記補色発光体は、上記第1発光体と隣り合うように配置されていれば、より好ましい。
【0019】
上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、例えば発光ダイオードであったり、エレクトロルミネッセンスであることが考えられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、生体リズムを調整可能な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
〔実施の形態1〕
以下、図1を参照して、本発明の表示装置に係る実施形態の1つを説明する。図1(a)に示すように、本実施の形態の表示装置1は、画像などの情報を表示する有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネル2(画像表示部)と、有機ELパネル2における各画素に付与する電流を制御する制御手段3と、現在の時刻を示す時刻情報を制御手段3に出力する時刻出力手段4から構成される。
【0022】
有機ELパネル2は多数のセルで構成されるものである。各セルは、図1(b)に示すように、ガラス基板5と、陽極6と、赤色に発光する有機層(第2発光体)7と、緑色に発光する有機層(第3発光体)8と、主波長が464nm近傍となる光を発する有機層(第1発光体)9と、陰極10とで構成される。
【0023】
ここで、「主波長」の意味について説明する。図2に示すように、XYZ表色系におけるx、y座標が(x、y)=(1/3、1/3)の白色点Wと、発光体から発せられる光の色度点Fとを結んだ直線が、スペクトル軌跡と点Dにおいて交わるとする。色度点Fで表される発光体の主波長とは、点Dにより表される光の単色光刺激の波長を意味している。 なお、図2において、太線で表された曲線はスペクトル軌跡を表しており、スペクトル軌跡上の点はそれぞれ単色光刺激の波長を示す。また、ここで示した白色点Wは光源色に対する基準となる。
【0024】
上記構成により、表示装置1は、有機ELパネル2における各セルを1画素として構成し、有機層7・8・9からそれぞれ発せられる光を混色することでカラー表示を行う。
【0025】
特に、有機層9を発光させると、主波長464nm近傍の光が発生するので、表示装置1の使用者のメラトニン分泌量が抑制され、使用者を覚醒する作用がもたらされる。このメラトニン分泌量の抑制効果について、以下に詳細に説明する。
【0026】
図3は、発光波長とメラトニンの抑制効果との関係を示すグラフである。なお、図3のグラフにおいて、横軸は発光波長、縦軸はメラトニン抑制の強度を示している。
【0027】
図3に示すように、青色にあたる波長域でメラトニン抑制効果が強いことがわかる。より具体的には、波長が445nmから480nmの範囲においてメラトニンの抑制効果が大きいので、有機層9をこの範囲の主波長を持つ発光体として用いることにより、使用者を覚醒する効果を容易に得ることができる。
【0028】
特に、図3に示すように、波長464nmの光は最もメラトニンの抑制効果が強いので、有機層9を、主波長の値が464nmである光を発する発光体として用いることにより、使用者を覚醒する効果を最も効率的に得ることができる。もちろん、有機層9により発光される光の波長が、445nmから480nmの範囲にある場合でも、十分に使用者を覚醒する効果を得ることができる。
【0029】
この覚醒作用をもたらすため、図1(a)に示した制御手段3は、時刻出力手段4から得た時刻情報に基づき現在時刻が日中であると判断される場合、図1(b)に示す有機層9に付与する電流を上げることにより、有機層9が入力画像信号に基づき発光する光の強度を強める。これにより、有機層7〜9により発せられる光のうち、464nmの波長成分における光量の割合が増加するので、使用者を覚醒させることが可能となる。
【0030】
また、制御手段3は、時刻出力手段4から得た時刻情報に基づき現在時刻が夜間であると判断される場合、有機層9に付与する電流の上限を下げることにより、有機層9が入力画像信号に基づき発光する光の強度を下げる。これにより、有機層7〜9により発せられる光のうち、464nmの波長成分における光量の割合が低減されるので、有機ELパネル2により発せられる光が生体リズムに与える影響を低減することができる。
【0031】
このように、現在時刻が日中であるか夜間であるかに応じて、制御手段3が有機層9の発光強度を制御する処理について、図4を用いてより具体的に説明する。なお、図4は、入力画像信号に対する有機層9の発光特性を表したものであり、横軸が青色の映像信号値、縦軸は発光強度を示している。
【0032】
図4において、実線Aで示すグラフが、生体リズムへの影響を考慮しない発光を有機層9にて行う場合の、映像信号値と発光強度との関係を示しているとする。
【0033】
たとえば日中など、使用者を覚醒させるべき時間においては、図4中点線Bにより示すように、映像信号値が最大となる場合および最小となる場合の発光強度が実線Aにて示される発光強度と変わらないよう、制御手段3を用いて有機層9の発光強度を調整する。さらに、図4中点線Bにて示すように、映像信号値が中間調を示す範囲において、実線Aにて示される発光強度よりも強い発光強度にて有機層9が発光するように、制御手段3を用いて有機層9の発光強度を調整する。
【0034】
このように制御手段3を用いて有機層9の発光強度を調整すれば、有機層7〜9により発せられる光のうち、464nmの波長成分における光量の割合が増加するので、使用者を覚醒させることが可能となる。
【0035】
一方、たとえば夜間など、使用者を覚醒させるべきではない時間においては、図4中点線Cにて示すように、映像信号値が中間調を示す範囲での有機層9の発光強度を、実線Aにて示される発光強度よりも弱くする。これにより、有機層7〜9により発せられる光のうち、464nmの波長成分における光量の割合が低減されるので、有機ELパネル2により発せられる光が生体リズムに与える影響を低減することができる。
【0036】
なお、図4においては、映像信号値が最大値を示す際の有機層9の発光強度は、生体リズムへの影響を考慮した発光を行うか否かに関わらず、常に一定であるように記載しているが、必ずしもこのように発光強度を設定する必要はない。
【0037】
たとえば、生体リズムへの影響を考慮した発光を行うか否かに応じて、映像信号値が最大となる際の有機層9の発光強度を変化させるとともに、映像信号値が中間調および低階調を示す範囲においては、映像信号値と発光強度との関係が比例関係となるように設定してもよい。このように、有機層9の発光強度の特性としては、種々の特性を採用することができる。
【0038】
なお、図1においては、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しているので、各部品の大きさは実際とは異なる。また、図1(b)に示す有機ELパネル2は、異なる3色を有機層7・8・9のそれぞれにより独立して発光するセル構造を採用しているものとして説明したが、有機ELパネル2の構成は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0039】
たとえば、有機ELパネル2は、発光体として用いる有機層が青色光などの単色光を発し、その単色光が呈する色を蛍光体により色変換する構成のものであってもよい。または、有機ELパネル2は、発光体としての有機層が白色光を発し、その白色光により呈される色をフィルタによって赤、緑、青の3色に変換するカラーフィルタ方式のものであってもよい。
【0040】
また、有機ELパネル2は、有機層7・8・9の代わりに無機ELを発光体として用いる構成であってもよい。さらに、有機ELパネル2を、各色を発光する発光体としてLED(発光ダイオード)を用いたLEDディスプレイにより代用しても構わない。
【0041】
また、本実施形態では時刻出力手段4が出力する時刻情報を用いて有機層9の発光強度を変化させる構成について説明したが、表示装置1の使用を開始した時からの現在まで時間を示す経過情報や、映像信号に基づき表示される映像がどのような内容の番組であるかを示すコンテンツ情報に応じて、以下のように有機層9の発光強度を制御してもよい。
【0042】
より具体的に説明すると、経過情報に基づき有機層9の発光強度を調整する場合、制御手段3により、表示装置1の使用を開始した直後は覚醒効果がもたらされるよう有機層9の発光強度を通常よりも高く設定し、時刻の経過に従って有機層9の発光強度を下げていくようにするとよい。
【0043】
これにより、表示装置1を用いた作業、たとえば、表示装置1により表示される文字の編集作業を使用者が開始した直後においては、有機層9の発光強度が高く設定されていることから使用者は覚醒される。よって、使用者が作業にのめりこむことができない傾向がある表示装置1を用いた作業の開始直後において、使用者の作業の効率を向上させることができる。
【0044】
そして、表示装置1を用いた作業を開始してからある程度時間が経過すれば、使用者も自然とその作業に没頭しているので、使用者を覚醒させなくても使用者の作業効率は低下しない。したがって、時刻の経過に従って有機層9の発光強度を下げていくようにすれば、表示装置1の消費電力を低減することができる。
【0045】
また、作業を開始して長時間が経過すると、使用者の集中力が途切れ、眠くなり作業効率が低下することもある。そこで、ある一定の時間が経過した場合は、再度有機層9の発光強度を上げてもよい。このように経過情報の使用方法も様々なパターンがある。
【0046】
また、コンテンツ情報に基づき有機層9の発光強度を調整する場合には、映像信号に基づき表示される映像がたとえば映画であるとコンテンツ情報を用いて判断される場合、制御手段3により、有機層9の発光強度を上げて使用者を覚醒するとよい。これにより、表示装置1により表示される映画を、有機層9の発光強度を上げない場合に比べて、より印象深いものとすることができる。なお、どのような内容の映像で覚醒効果を得たいかを、使用者が予め表示装置1に設定しておくことも可能である。
【0047】
また、表示装置1の周囲の明るさを測定する測定手段(図示せず)を表示装置1に設け、該測定手段により測定される明るさに応じて、制御手段3により有機層9の発光強度を制御してもよい。たとえば、表示装置1の周囲が明るい時は有機層9の発光強度を上げることにより使用者を覚醒する一方、周囲が暗い時は有機層9の発光強度を下げるというように、制御手段3を用いて有機層9の発光強度を調整する。
【0048】
〔実施の形態2〕
次に、図5から9を参照して、本発明の表示装置に係るさらに他の実施形態を説明する。図5に示すように、本実施形態の液晶表示装置(表示装置)11は、画像などの情報を表示する液晶パネル(画像表示部)12と、導光板13と、主波長464nm近傍の光を発するLED(第1発光体)14と、赤色(R)の光を発するLED(第2発光体)15と、緑色(G)の光を発するLED(第3発光体)16とを備えている。
【0049】
なお、LED14・15・16は、導光板13の発光体として機能する。そして、導光板13は、LED14・15・16により発せられる光を液晶パネル12まで伝達する。
【0050】
また、上述の実施の形態と同一の機能を有する部材に関しては、同一の参照番号を付している。また、図5において、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しており、各部品の大きさは実際とは異なる。
【0051】
また、液晶表示装置11は、発光体としてのLED14・15・16の発光強度を制御する制御手段17と、時刻情報を出力する時刻出力手段18と、LED14・15・16の発光強度の制御パターンを複数保持する記憶手段19と、複数の制御パターンの中から使用する制御パターンを選択する選択手段20とを備えている。なお、「制御パターン」とは、ここではLEDの発光強度を時刻と対応づけて格納した情報の意味である。
【0052】
以下、発光体の発光強度を制御する手順について説明する。まず、液晶表示装置11の使用時においては、LED14、LED15、およびLED16のうち少なくとも1つを点灯した状態とする。そして、LED14・15・16のそれぞれの発光強度を調整することにより、LED14・15・16のそれぞれから発せられる光の色を導光板13内で混合して白色とすることができる。
【0053】
そして、LED14・15・16のそれぞれから発せられる光を導光板13内で混合することにより、基準となる白色光が生成されるときの、LED14の発光強度を基準値に設定する。そして、この基準値に設定された発光強度に対して、LED14の発光強度を強くしたり弱くしたりという制御を制御手段17により行う。
【0054】
この時の基準となる白色光としては、テレビやモニタ等で基準色として使用されていることが多い、相関色温度が約6500K(ケルビン)の昼光色を用いることができる。なお、この昼光色は、国際照明委員会(CIE)で定められた標準の光D65と呼ばれるものである。
【0055】
また、基準として用いる白色光としては、相関色温度が6774Kである標準の光Cや、相関色温度が約5000Kである補助標準の光D50など、種々の相関色温度を有する光を用いることができる。
【0056】
本実施形態では、基準となる白色光の色温度を8500Kに設定し、この色温度の白色光が導光板13内で生成されるように、LED14・15・16のそれぞれの発光強度が設定されているとする。
【0057】
さらに、選択手段20により、記憶手段19を参照して発光体の制御パターンを決定する。記憶手段19が保持する発光体の制御パターンとしては、使用者が通常寝起き状態である早朝の時間帯や、眠くなりやすい昼食後の時間帯にLED14から強い光を出しておくパターン、あるいは夜間勤務者を想定した夜間にLED14を強く発光するパターンなど、複数の制御パターンがある。制御手段17は、その選択された制御パターンと、時刻出力手段18からの時刻情報とを基に発光体の発光強度を制御する。
【0058】
ここで、使用者を覚醒する効果を得たい場合には、制御手段17を用いてLED14の発光強度が強くなるよう、その発光強度を制御する。しかしながら、LED14の発光強度が変わると、ホワイトバランスが変動することとなる。しかし、以下に説明するように液晶表示装置11においては用途に応じて様々なホワイトバランスに設定されているので、ホワイトバランスが変動しても、実際に液晶表示装置11を使用する上で問題はない。
【0059】
たとえば、製版並びに印刷用の表示装置では、画像表示の基準となる白色光の相関色温度が5000Kに設定されている。また、一般のテレビやモニタでは、基準の白色光の相関色温度を9300Kといった高い値に設定している場合が多い。さらに、ハイビジョンでは、基準の白色光の相関色温度が6500Kに規定されている。最近では、12000Kという高い相関色温度に基準の白色光が設定されたテレビ製品もある。
【0060】
したがって、基準の白色光の相関色温度が、5000K〜12000Kの範囲にあれば、印刷された色の評価をする時のように正確な色再現性が求められない限り、ホワイトバランスが変動しても液晶表示装置11を使用する上で問題はない。
【0061】
図6は、液晶表示装置11における表示の基準となる白色光の色温度を5000Kから12000Kまで変化させた場合における、色度図上で基準白色光の色度点が変化する様子を示している。なお、図6において、横軸はXYZ表色系におけるxを、縦軸はyの値を示している。
【0062】
また、図7は液晶表示装置11における相関色温度を5000Kに設定した場合における、LED14・15・16の発光強度を示すグラフである。一方、図8は液晶表示装置11における相関色温度を12000Kに設定した場合における、LED14・15・16の発光強度を示すグラフである。
【0063】
なお、図7および図8において、横軸は波長を示しており、縦軸はLEDの発光強度を示している。また、図7と図8とにおいて、縦軸の尺度は同じである。
【0064】
これら2つのグラフを比較すると、青色を呈するLED14の発光強度が、基準白色光の相関色温度を5000Kに設定した場合と12000Kに設定した場合とにおいて大きく異なっていることがわかる。具体的には、相関色温度が12000Kに設定されている場合に比べると、相関色温度が5000Kに設定されている場合のLED14の発光強度は約半分になっている。よって、相関色温度を実使用で用いられる範囲で変えた場合でも、LED14の発光強度は大きく変わる為、メラトニンの抑制を制御することが可能となり、生体リズムの調整が可能となる。
【0065】
赤色を呈するLED15の発光強度も図7と図8で異なっているが、これは相関色温度を黒体放射軌跡上の5000K、12000Kに合わせた場合であり、黒体放射軌跡上に白色点を合わせる必要がない場合は、LED15は調整しなくてもよい。
【0066】
つまり、色温度は、黒体と呼ばれる物質を熱した時の色を、そのときの温度で表したものであり、黒体放射軌跡とは色度図上でこの黒体を熱した時の色度の変化のラインを表したものである。色度図上で黒体放射軌跡からは外れるが、黒体放射軌跡に近い見え方をする場合、その色温度を相関色温度という。相関色温度だけを合わせる場合には、LED14を制御するだけで調整が可能である。
【0067】
使用者を覚醒する効果を得るために、相関色温度が12000K程度になるまでLED14の発光強度を強くした場合、LED14の発光強度を急激に変化させると画面の色合いが急激に変化し液晶表示装置11の使用者に不快感を与える場合がある。そのため、LED14を強く点灯する場合は、徐々にLED14の出力を上げることで、急激に画面の色合いが変化するのを防ぐ。
【0068】
たとえば、LEDの出力をPWM(Pulse Width Modulation)制御を用いて発光時間に応じて制御をしているのであれば、デューティー比を一定時間(たとえば5分)をかけて上げることにより、急激に画面の色合いが変化することを防ぐことができる。また、LED14の出力を上げるのと同時に、LED15・16の出力も同時に上げることにより、画面の色合い変化をより効果的に防ぐことができる。
【0069】
一方、睡眠に悪影響を及ぼさない為に、LED14の強度を弱める場合、基準色の相関色温度が5000K程度になるようにLED14の発光強度を弱めることになる。この時も同様に、PWM制御であれば、デューティー比を一定期間(たとえば5分)かけて下げることで、徐々にLED14の出力を弱めることができ、急激に画面の色合いが変化することを防止することができる。また、LED14の出力を下げるのと同時に、2つのLED15・16の出力も徐々に下げることで、これら3つのLEDにおける発光強度の比を一定に保てるので画面の色合い変化をより効果的に防ぐことができる。
【0070】
LED14の発光強度を変えた際に、表示装置の使用者が受光する光の量と映像信号値との間の関係について説明する。
【0071】
図9は、使用者が受光する光の量と、映像信号値との関係を示すグラフである。同図中においては、通常時の発光強度が実線Aにより示されており、覚醒期の発光強度が点線Bにより示されており、睡眠前など睡眠に悪影響を及ぼしたくない時期である鎮静期の発光強度が点線Cにより示されている。なお、「通常時」とは、使用者を覚醒させてもさせなくてもよい時間帯のことであり、「覚醒期」とは、使用者を覚醒させるべき時間帯を意味している。
【0072】
なお、通常時において基準白色光の色温度が8500Kに設定されている際のLED14の発光強度を100%とした場合、覚醒期に色温度が12000Kに設定された時には、LED14の発光強度は通常時の120%となるように設定されている。また、鎮静期において基準白色光の色温度を5000Kとした時に、LED14の発光強度は通常時の80%になるように設定されている。
【0073】
なお、LED14・15・16は、バックライトとして用いられるものであるので、通常時・覚醒期・鎮静期のそれぞれの状況下においては発光強度が常に一定に設定されている。すなわち、たとえばLED14については、覚醒期において常にLED14の発光強度は120%で一定である。
【0074】
そして、図9に示すように、たとえば覚醒期においては、表示装置の使用者に届く光の光量も、LEDの発光強度と同様に、通常時の受光量に比べて20%上昇している。また、鎮静期においては、表示装置の使用者に届く光の光量も、LEDの発光強度と同様に、通常時の受光量に比べて20%低下している。このように、使用者に届く光の受光量が変わることにより生体リズムの調整が可能となる。
【0075】
なお、発光体の数については、各色のLEDの最大発光強度の違いにあわせて弱い発光強度のLEDの数を増やしてもよく、基準とする白色点に応じて必要となるLEDの数を増やしてもよい。例えば、色温度の高い青みがかった白色点に合わせる場合には、青のLEDを増やす。なお、合わせる色によってLEDの数は異なって構わない。
【0076】
さらに、同一色のLEDを2つ、あるいは複数並べてもよい。LEDの配置についても、全てのLEDを図5に示すように一列に配置する必要はなく、1つおきに場所をずらして配置してもよいし、LEDを各色について分類し、分類された同一色のLEDを一列に配置してもよい。また、図5に示すように、LED14、LED15、およびLED16をこの順番で並べる必要はなく、LEDの配列順は任意に選択することができる。
【0077】
また、ここでは基準白色光の相関色温度を5000Kから12000Kとしたが、この値は一般的な値を示したものであり、より高い色温度に基準白色光の相関色温度が設定される場合もある。したがって、液晶表示装置11の画面における色の見え方を気にせず、使用者の覚醒効果をより顕著にしたい場合には、上述の値より低い色温度または高い色温度の範囲で、基準白色光の設定を行ってもよい。
【0078】
また、LED14の発光強度に関しては、通常時を100%とした場合において覚醒期は120%、鎮静期は80%となるように設定したが、必ずしもこの値に限定されるものではない。LEDの発光強度は、生体リズムの調整効果を顕著にしたい場合には、よりメリハリのある設定にすると良く、またLEDの発光効率や、基準白色光の色温度などに応じて適宜変更することができる。
【0079】
〔実施の形態3〕
以下、図10および図11を参照して、本発明の表示装置に係る他の実施の形態を説明する。本実施の形態の液晶表示装置(表示装置)21は、画像などの情報を表示する液晶パネル12と、液晶パネル12を背面から照射する導光板13と、その発光体である冷陰極管(白色発光体)22と、464nm近傍の主波長を持つLED14と、LED14の発光強度を制御する制御手段17と、現在の時刻情報を出力する時刻出力手段18とで構成される。
【0080】
上記構成の液晶表示装置21における発光強度の制御について説明する。なお、表示装置の使用時には発光体は常に冷陰極管22が点灯している状態とする。冷陰極管22の白色光により、導光板13は白色を呈する。
【0081】
発光強度の制御が開始される際、制御手段17は、時刻出力手段18により現在の時刻情報を得る。発光体の制御を行う制御手段17は、この時刻情報を基に以下のように発光体の制御を行う。
【0082】
すなわち、現在の時刻が日中である場合、制御手段17は、LED14を発光させる。また、現在時刻が夜間であったならば、LEDからの光により睡眠に影響がでることを防ぐために、LED14は消灯させておく。
【0083】
なお、発光波長464nm近傍の発光体としてLEDを使用しているのは、たとえば図7から明らかなように、LEDは急峻なスペクトルを持つため、発光波長域を限定しやすいからである。つまり、LEDを用いることにより、発光体から発せられる光の波長を生体リズムへの影響が強い464nm付近に限定できるので、効果的に生体リズムの調整が可能なためである。
【0084】
上述の発光制御を図11のフローチャートを用いて説明する。ここでは日中を8時から18時と仮定している。図11に示すように、制御手段17は現在の時刻情報を時刻出力手段18より得る(ステップ1、以下単にステップは「S」と略記する)。
【0085】
その後、制御手段17は、現在時刻が8時から18時までの間であるか否かを判断する(S2)。なお、この8時から18時までの時間は、日中の時間帯として設定された時間の一例に過ぎず、他の時間帯であってもよい。
【0086】
S2にて現在時刻が8時から18時までの時間であると判断された場合、LED14を点灯してメラトニンの分泌を抑制する(S3)。一方、S2にて現在時刻が8時から18時までの時間帯外であると判断された場合、LED14を消灯し(S4)、生体リズムへの影響を低減する。
【0087】
なお、図10においては、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しており、各部品の大きさは実際とは異なる。また、発光体の配置や数については、両端に配置されているLED14を中央にしてもよく、数を増やしてもよい。冷陰極管22についても、2つのLED14間の中央でなく外側に配置してもよく、複数設けてもよい。さらに、冷陰極管22の代わりに、白色LEDや有機ELを用いてもよい。
【0088】
さらに、464nmの主波長を持つLED14の代わりに、それとは異なる波長を主波長とする光源からの光を、蛍光体により波長変換して464nmにした発光体を用いてもよい。また、ここでは液晶のバックライトを例に取っているが、フロントライトであってもよく、大型の液晶などで用いられる導光板を用いない直下型であってもよい。
【0089】
〔実施の形態4〕
次に、図12から図14に基づき、本発明の表示装置に係るさらに他の実施形態を説明する。図12に示すように、本実施形態の液晶表示装置(表示装置)31は、液晶パネル12と、液晶パネル12を照射する導光板13と、発光体となる冷陰極管22と、主波長464nm近傍のLED14と、このLED14に対して補色となる主波長を有するLED(補色発光体)32と、各発光体の発光強度を制御する制御手段17と、現在の時刻情報を出力する時刻出力手段18とから構成される。
【0090】
なお、上述の実施の形態と同一の機能を有する部材に関しては、同一の参照番号を付している。また、図12において、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しており、各部品の大きさは実際とは異なる。
【0091】
本実施の形態においては、液晶表示装置31は、実施形態3と同様、使用時に冷陰極管22が点灯状態とされる。そして、制御手段17は、時刻出力手段18から現在時刻の情報を得るとともに、この情報をもとに発光体の発光強度を制御する。
【0092】
たとえば、液晶表示装置31の使用者が夜間勤務であることを想定した発光体の制御パターンが制御手段17に入力されていたとすると、制御手段17は、勤務開始前や勤務時にLED14を点灯してメラトニンの分泌量を抑制して、使用者を覚醒させる。たとえば、使用者が20時以降に勤務をすると仮定すると、その数時間前の18時からLED14を点灯して、使用者を覚醒させるとよい。
【0093】
このとき、LED14が点灯されることにより導光板13上の色合いが変わり、画面の色合いも変わることとなる。そこで、LED14と隣り合って配置された、主波長464nm近傍の光の色に対して補色となる光を発光するLED32を点灯する。LED14の色と、LED32の色とは補色の関係にあるので、これら2つのLEDから発せられる光を混合すると白色光となる。これによって、波長成分が464nmの光を増やしつつ、ホワイトバランスが大きく崩れるのを防ぐことができ、画面上の色合いの変化を低減することが可能となる。
【0094】
具体的には、LED14から発せられる光と、LED32から発せられる光とを混合することにより得られる白色光の相関色温度が、冷陰極管22の発光色の相関色温度とできる限り一致するように、LED32の発光強度を制御する。
【0095】
たとえば、冷陰極管22の発光色の色温度が9000Kであったと仮定すると、LED14からの光とLED32からの光とを混色した光が9000Kになる為には、LED32からの光の主波長は568nmである必要がある。
【0096】
図13は、LED14の主波長、冷陰極管22の白色点、およびLED14に対して補色となるLED32の主波長の関係を示している。横軸はXYZ表色系におけるx、縦軸はyを表している。
【0097】
図13において太線で示された曲線は、スペクトル軌跡であり、曲線上の各点は波長に対応している。LED14の主波長464nmを示す点(図中●印で示す)と、冷陰極管22の色温度を示す点(図中■印でしめす)とを結ぶ直線が、スペクトル軌跡と交わる点(図中▲印で示す)が、464nmの光と混色した際の色温度が冷陰極管の色温度9000Kに一致する場合の、LED32の主波長を示している。
【0098】
このようにして、LED32の主波長は568nmを設定すれば、LED14・32の発光強度を調整することにより、これら2つのLEDから発せられる光を混合した光の色を、冷陰極管22と同じ9000Kとすることが可能である。
【0099】
また、仮眠をとる前や、明け方の勤務終了時ではLED14を消灯し生体リズムを整える、あるいは自動車などで帰宅するのであれば勤務終了時までLED14を点灯しておくなど、制御手段17は種々の制御パターンを用いることができる。このとき、LED14が点灯している際にはLED32も点灯し、LED14が消灯しているときはLED32も消灯することとなる。
【0100】
なお、LED14・32を点灯する際、これらのLEDを瞬時に点灯すると、急激に画面の輝度が変わることとなるので、実施形態3と同様に徐々に出力を変化させて点灯するとよい。
【0101】
図14はLED14とLED32とを点灯させた際の、それぞれの発光強度の変化を表したものである。横軸はLED14の発光強度を表しており、縦軸はLED32の発光強度を表している。
【0102】
図14中、No1の実線にて示すように、LED14の強度の変化に応じて、LED32の強度も変化させていくよう、制御手段17はLED14・32の発光強度を変化させる。また、LED14が消灯するとき、LED32も消灯するよう、制御手段17はLED14・32の発光強度を変化させる。なお、LED14およびLED32の発光強度は、それぞれの最大発光強度に対して同じ比率の強度で発光されている場合に、ホワイトバランスが適正になるものとした。
【0103】
しかし、このようにLED14およびLED32の発光強度を強くすると、画面全体の輝度が上昇してまぶしく感じられる場合がある。これを防ぐ為に、LED14とLED32との発光強度を強める際には、冷陰極管22の発光強度を弱める。これにより、輝度の上昇を抑えることができ、消費電力の低減が可能となる。
【0104】
なお、図14において2つのLED14・32の発光強度の関係は比例関係としているが、放熱特性やその他LEDの性質の違いにより、比例とはならず、2次関数などの曲線になる場合もある。
【0105】
また、ここでは冷陰極管22の発光色を9000Kとしたが、9000Kに限らず様々な相関色温度を冷陰極管22の発光色の色温度として設定してよい。したがって、LED32の主波長も、冷陰極管の色温度やLED14の波長によって様々な波長を設定することができる。
【0106】
また、理想的には、LED32の主波長は、LED14の発光色に対して補色となる波長に設定されていることが好ましいが、上記補色となる波長から多少ずれている波長であっても、冷陰極管22に近い白色光を発光することができるため、そのような波長を発するLEDをLED32の変わりに用いてもよい。
【0107】
また、LED32は急峻な一つのピークを持つスペクトルをもつ単色光であるが、複数のピークをもつ発光スペクトルであらわされる、単色光でない光源であっても、主波長が補色の波長となる光源であれば、LED32の代わりに使用することが可能である。
【0108】
〔実施の形態5〕
以下、図15に基づき、本発明の表示装置に係るさらに他の実施形態を説明する。図15に示すように、本実施の形態の液晶表示装置(表示装置)41は、液晶パネル12と、導光板13と、LED14と、赤色(R)のLED15と、緑色(G)のLED16と、LED32とを備えている。なお、LED14は、主波長が464nm近傍のものであり、LED32は波長が464nmの光に対して補色となる光を発光するものである。また、これらのLED14・15・16・32は、導光板13の発光体として機能する。
【0109】
さらに、液晶表示装置41は、これらの発光体を制御する制御手段17と、時刻情報を出力する時刻出力手段18と、発光体の制御パターンを保持する記憶手段19と、ディスプレイの使用者が任意で制御パターンを入力可能とするパターン入力手段42と、複数の制御パターンの中から使用する制御パターンを選択する選択手段20とを備えている。
【0110】
また、上述の実施の形態と同一の機能を有する部材に関しては、同一の参照番号を付している。また、図15において、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しており、各部品の大きさは実際とは異なる。
【0111】
以下、発光体の発光強度を制御する手順について説明する。まず、液晶表示装置41の使用時においては、白色光を出すべく、LED14と、R色のLED15と、G色のLED16とが点灯した状態とする。この時の白色光は、CIEで定められたD65に設定する。さらに、選択手段20により、記憶手段19を参照して発光体の制御パターンを決定する。
【0112】
ここで、記憶手段19が保持する発光体の制御パターンとしては、上述のように複数あるが、そのすべてをあらかじめ保持しておくことは困難である。しかしながら、液晶表示装置41にパターン入力手段42を設けるとともに、該パターン入力手段42を介して使用者が入力した制御パターンを使用者指示情報として記憶手段19に記憶させておく。これにより、液晶表示装置41の使用者が、自身の生活スタイルに合わせて自由に制御パターンを記憶手段19に記憶させておくことが可能となる。
【0113】
なお、使用者指示情報とは、使用者により設定される、LED14の発光強度を時刻に応じてどのように制御するかに関する情報である。したがって、使用者指示情報には、上述の発光体の制御パターンも含まれる。
【0114】
使用者によって設定された制御パターンを含む、記憶手段19に保持される制御パターンから、使用者は選択手段20を通して制御パターンをひとつ選択する。その選択された制御パターンと、時刻出力手段18からの時刻情報とを基に、制御手段17は発光体の制御を行う。
【0115】
また、使用者の覚醒効果を得るべくLED14の発光強度を徐々に強くすると、画面上の色合いが変化する。このような色合いの変化を防ぐために、LED14に対して補色となるLED32をLED14の発光強度に合わせて点灯させることにより、ホワイトバランスを保つことができる。
【0116】
本実施の形態におけるLED14の発光強度とLED32の発光強度との関係を、図14におけるNo2の点線で示す。なお、LED14の発光強度とLED32の発光強度とは比例関係になるように設定し、基準白色光はD65に設定した。
【0117】
LED14の発光強度がたとえば40%の時点で、LED14、LED15、およびLED16の間でホワイトバランスが取れている、すなわち基準白色光であるD65が発光されているとすると、LED14の強度が所定強度、たとえば40%に達するまではLED32の発光強度を0%としておく。
【0118】
一方、LED14の発光強度が上記所定強度を超えた場合、LED14の発光強度の増加に伴い、LED14と補色の関係にあるLED32の発光強度も増加させるように制御する。これにより、ホワイトバランスを適正に保つことができるので、画面の色合い変化を抑えることができる。
【0119】
また、色合いの変化を抑える方法としては、LED14の発光強度に合わせて、残り2つのLED15・16の出力を調整することでも、ホワイトバランスを調整することができる。これらの色合い変化を抑える方法はそれぞれ単独でも、両方同時に行うことも可能である。ただし、補色のLED32を用いる場合が、制御が最も簡易で精度も高い。
【0120】
また、LED14とLED32とを隣り合わせて配置することで、これらのLEDからの光の混色が効率よく行われ、色むらの低減につながり、ホワイトバランスをより適正に保つことができる。
【0121】
なお、LEDの発光効率や基準となるホワイトバランスの違いによって、グラフの傾き等は変化する。LED14の発光強度に合わせて、LED32の発光強度の変える際の関係の一例を、図14においてNo3の点線に示す。No3の点線は、LED32の発光効率がLED14よりも高く、LED14の発光強度に対して低い発光強度にてLED32を発光させればホワイトバランスが取れる場合における、LED14とLED32との間における発光強度の関係を示すものである。
【0122】
LED14とLED32との間における発光強度の関係に関しては、図14で示した関係以外にも、LED14の発光強度が50%になるまでLED32の発光強度を0%にするなど、種々の関係を用いることができる。
【0123】
なお、LED14とその補色となるLED32とに関しては、これらのLEDからの光を効率良く混合するため、本実施形態では隣り合うように配置されているものとして説明したが、離れて配置されていてもよい。
【0124】
また、本実施形態では、表示装置の実施例としての液晶表示装置41の構成について説明したが、補色を含めた4色で画素を形成する自発光型ディスプレイについても、本実施形態の液晶表示装置41と同様の手法によりホワイトバランスを調整することができる。
【0125】
すなわち、図16に示すように、ガラス基板5と、陽極6と、赤色に発光する有機層7と、緑色に発光する有機層8と、主波長が464nm近傍となる光を発する有機層9と、陰極10とで構成される自発光型ディスプレイにおいて、有機層9の補色となる光を発する有機層(補色発光体)51を設けたものでもよい。
【0126】
また、以下の表1は、上述した各実施形態におけるLED14の発光状態を様々な制御パターンごとに示したものである。
(表1)
【0127】
【表1】
パターン1は実施の形態3で説明した発光体の制御パターンであり、LED14の発光状態を時間とともに示したものである。実施の形態3に係る液晶表示装置21では、発光体として冷陰極管22を用いているため(図10参照)、LED14を常に点灯しなくても白色光を出すことが可能である。したがって、LED14のパターンは点灯と消灯のパターンになっている。
【0128】
また、パターン2およびパターン3は、3色のLEDのみを発光体としている場合における、LED14の制御パターンである。これらのパターンにおいては、白色光を作り出すためにLED14は常時点灯しておかなければならないので、発光状態の強弱を用いて制御パターンを示している。
【0129】
また、パターン2は、通常の生活パターンにあわせたもので、パターン3は、夜間勤務者などの生活パターンにあわせたものである。すなわち、パターン2では、日中の時間帯においてLED14を強く点灯させている。一方、パターン3では、深夜の時間帯においてLED14を強く点灯させている。
【0130】
なお、表1に示した制御パターン以外にも、表示装置の使用者の生活状況に応じて様々な制御パターンを設定可能である。また、表1では2時間毎に発光状態の強弱・点灯非点灯を記載してあるが、発光状態を変更する時間の間隔は任意に設定可能である。
【0131】
〔実施の形態6〕
次に、図17に基づき、本発明の表示装置に係るさらに他の実施形態を説明する。図17に示すように、本実施形態の液晶表示装置(表示装置)61は、液晶パネル12と、導光板13と、主波長464nm近傍のLED14と、冷陰極管22とを備えている。なお、LED14と冷陰極管22とは、導光板13の発光体として機能する。また、本実施の形態の液晶表示装置61は、LED14からの光で励起されLED14の補色となる光を発する蛍光体62を備えている。
【0132】
また、液晶表示装置61は、これらの発光体(LED14・冷陰極管22・蛍光体62)の発光強度を制御する制御手段17と、時刻情報を出力する時刻出力手段18と、発光体としてのLED14の制御パターンを保持する記憶手段19と、複数の制御パターンの中から使用する制御パターンを選択する選択手段20を備えている。
【0133】
なお、上述の実施の形態と同一の機能を有する部材に関しては、同一の参照番号を付している。また、図17において、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しており、各部品の大きさは実際とは異なる。
【0134】
以下、発光体の発光強度を制御する手順について説明する。まず、液晶表示装置61の使用時においては、白色光を出すために、冷陰極管22が点灯した状態とする。なお、冷陰極管22により発せられる光の相関色温度は、ここでは9000Kとする。
【0135】
さらに、選択手段20により、記憶手段19を参照して発光体の制御パターンを決定する。記憶手段19が保持する発光体の制御パターンとしては、使用者が通常寝起き状態であると考えられる早朝の時間帯や、眠くなりやすい昼食後の時間帯にLED14から強い光を出しておくなど、複数の制御パターンがある。
【0136】
使用者は選択手段20を通して、複数の制御パターンの中から一つを選択する。制御手段17は、その選択された制御パターンと、時刻出力手段18からの時刻情報とを基に発光体の発光強度を制御する。たとえば、使用者が8時から18時を日中としてLED14を強く発光するパターンを選択していた場合、LED14の発光強度は図11に示すフローチャートに従って制御される。
【0137】
また、冷陰極管22により発せられる光と、LED14により発せられる光とが単純に混合された混色光の色は、冷陰極管22だけを発光させた光の色に比べ、青みがかった色となる。したがって、本実施の形態の液晶表示装置61において、使用者の覚醒効果を得るためにLED14を単に強く点灯すると、ホワイトバランスが崩れてしまう。
【0138】
そこで、蛍光体62を、LED14と導光板13との間であってLED14からの光の一部があたる位置に配置する。これにより、LED14から発せられる光の一部は、蛍光体62によってLED14の補色の光となる。また、LED14から発せられる光のうち蛍光体62を透過しない光は、波長変換を起こさないので、蛍光体62を透過した光と混ざり合うことにより、白色を呈することとなる。
【0139】
このように蛍光体62を設けることにより、LED14の強度を強めつつ、補色の光源を用いなくてもホワイトバランスを調整することが可能となる。このような蛍光体としては、白色LEDなどで用いられる、青色光によって励起され黄色光を発するYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)などを用いることができる。
【0140】
このように液晶表示装置61を構成することにより、LED32のように補色の発光体を用いる液晶表示装置31(図12参照)に比べ、同じ輝度の光を生成するための光源の数を少なくできる。さらに、蛍光体62を利用した場合には、LED14のきわめて近い部分に蛍光体62が配置されることになるので、液晶パネル12による表示に、色むらや輝度むらが生じにくくなる。
【0141】
また、たとえば液晶表示装置31のように、補色の発光体を用いた場合には、LED14に加え、補色の発光体の発光強度も制御する必要がある。しかしながら本実施形態の液晶表示装置61のように、蛍光体62を使用する場合は、蛍光体62は発光強度を制御する必要が無いので、補色の発光体を用いる場合に比べ発光強度の制御が単純化することができる。
【0142】
なお、本実施形態では、蛍光体62をLED14の真上に配置する構成について説明したが、蛍光体62の配置場所はこれに限定されるものではない。たとえば、LED14を覆うように蛍光体62を設けたり、LED14の横に蛍光体62を設けるというように、LED14からの光が届く範囲内で様々な場所に蛍光体62を配置することができる。
【0143】
また、LED14および蛍光体62の代わりに、波長464nmの光を発するLEDと蛍光体とが一体成型された白色LEDを用いてもよい。
【0144】
また、ここでは白色光源として冷陰極管を用いたが、白色LEDやELを用いてもよい。また、蛍光体は、実施形態2に示すように、それぞれ異なる色を発光するLED14・15・16を発光体として用いる液晶表示装置11についても使用可能である。
【0145】
〔実施の形態7〕
次に、図18に基づき、本発明の表示装置に係るさらに他の実施形態を説明する。図15に示すように、本実施形態の液晶表示装置(表示装置)71は、液晶パネル12と、導光板13と、冷陰極管22とを備えている。なお、冷陰極管22は、導光板13の発光体として機能する。
【0146】
また、液晶表示装置71は、青色波長域の透過率が低い誘電体多層膜フィルタ72と、青色波長域の透過率が高い誘電体多層膜フィルタ73とを備えている。なお、これらの誘電体多層膜フィルタ72・73は、冷陰極管22と、冷陰極管22の光が入射される導光板13の入射端面との間に配置され、冷陰極管22から導光板13に入射される光の透過率を、発光波長ごとに制御するものである。
【0147】
さらに、液晶表示装置71は、フィルタ切替手段74を備えている。フィルタ切替手段74は、誘電体多層膜フィルタ72および誘電体多層膜フィルタ73のうちいずれを使用するか、またはどちらも使用しないかを切り替えるものである。
【0148】
また、液晶表示装置71は、冷陰極管22の発光強度を制御する制御手段17を備えている。
【0149】
なお、上述の実施の形態と同一の機能を有する部材に関しては、同一の参照番号を付している。また、図18において、理解を容易にするために各部品の大小関係を誇張して記載しており、各部品の大きさは実際とは異なる。
【0150】
以下、生体リズムに影響を与える、440〜470nmの範囲における波長の光の光量を制御する方法について説明する。
【0151】
図19は冷陰極管22の発光スペクトルであり、横軸は波長、縦軸は発光強度を示している。ここで、図3を用いて説明したように、青色波長域の光にメラトニン抑制の効果がある。図19を参照すると、冷陰極管22から発せられる光は、その波長域の光を含んでいることがわかる。
【0152】
また、図20は青色波長域の透過率の低い誘電体多層膜フィルタ72の透過率特性を示すものであり、図21は青色波長域の透過率の高い誘電体多層膜フィルタ73の透過率特性を示すものである。図20および図21においては、横軸が波長、縦軸が透過率を示している。
【0153】
ここで、誘電体多層膜フィルタとは、光の屈折率が異なる2つの絶縁膜を交互に積み重ねたものであり、酸化ケイ素と酸化チタンなどが絶縁膜として使用される。絶縁膜の物質を変えたり、積層する層の数を変えることで、様々な透過スペクトルを持つ誘電体多層膜フィルタを実現できる。誘電体多層膜の作成方法は公知である。
【0154】
図20に示すように、誘電体多層膜フィルタ72の透過スペクトルは、青色波長域で低く、それ以外の波長域では高い透過率を示している。このため、睡眠前などの覚醒することを避けたい時間帯には、フィルタ切替手段74を用いて、使用するフィルタを誘電体多層膜フィルタ72に切り替えることにより、メラトニン抑制効果のある青色波長域の光の光量を少なくすることが可能となる。
【0155】
また、図21に示すように、誘電体多層膜フィルタ73の透過スペクトルは、青色波長域で高く、その他の波長域で低くなっている。そのため、昼間などの覚醒の効果を得たい時間には、フィルタ切替手段74を用いて、使用するフィルタを誘電体多層膜フィルタ73に切り替える。
【0156】
ただし、この誘電体多層膜フィルタ73を使用しただけでは、青色波長域とそれ以外の波長域で減少の割合は異なるものの、どの波長域でも発光量は下がることになる。そのため、誘電体多層膜フィルタ73を使用する際には、制御手段17を用いて冷陰極管22の発光強度を強くすることが好ましい。これにより、使用者の覚醒の効果を得たい時には、青色波長域の光量を増加させ、メラトニン分泌を抑制することができる。
【0157】
さらに、表示装置の使用者は、誘電体多層膜フィルタの切替、および使用の有無に関する情報を、使用者指示情報としてフィルタ切替手段74を用いて決定することが可能である。
【0158】
たとえば、使用者が睡眠前であり睡眠に悪影響を及ぼしたくない際には、フィルタ切替手段74を用いて、青色波長域の透過率の低い誘電体多層膜フィルタ72を使用するように、使用者指示情報を設定する。これにより、メラトニン分泌が抑制されることを防ぐことができる。
【0159】
また、使用者を覚醒する効果を得たい際には、フィルタ切替手段74を用いて、青色波長域の透過率の高い誘電体多層膜フィルタ73を使用するように、使用者指示情報を設定する。
【0160】
この場合、フィルタ切替手段74は、制御手段17に対して、冷陰極管22の発光強度を強くする旨の制御信号を出力する。これにより、青色波長域の光の光量が増加するので、使用者を覚醒する効果が得られる。
【0161】
また、これらのフィルタを使うと、青の光量が変わることから、液晶表示装置71の表示画面における色合いが変化してしまう場合がある。そのため、表示画像の色合いを重要視する場合は、使用者は、フィルタ切替手段74を用いて、フィルタを使用しないように使用者指示情報を設定することが好ましい。これにより、液晶パネル12により表示される画像の色合いが、青みがかったりすることを防ぐことができる。
【0162】
このように、フィルタ切替手段74を用いて使用者指示情報を設定することにより、使用者が望む状態に設定することが可能となる。
【0163】
ここでは、光の発光量を波長域ごとに制御するために、任意の透過スペクトルに設計することが可能であることから、誘電体多層膜フィルタを用いたが、ゲストホスト液晶を用いて発光量を制御するなど、様々な方法により光の発光量を波長域ごとに制御することができる。
【0164】
なお、ゲストホスト液晶とは、分子の長軸方向と短軸方向とで光の吸収に異方性をもつ2色性色素を液晶に混ぜたものである。ゲストホスト液晶に電圧をかけることで、2色性色素の配向が変化し、液晶透過時の光吸収特性が変化する為、光の透過量を電気的に制御することができる。2色性色素として青色の光を吸収するものが用いられたゲストホスト液晶ならば、青色の光の透過量を制御することができる。
【0165】
また、冷陰極管22に関しても、青色波長域に発光成分を持つ有機ELや無機ELを、冷陰極管22の代わりに用いてもよい。また、冷陰極管22は、単数でも複数でも構わない。
【0166】
また、本実施形態においては、使用フィルタを誘電体多層膜フィルタ72または誘電体多層膜フィルタ73のいずれかに切り替えるための構成として、フィルタ切替手段74を設ける構成について説明した。これと同様に、上記した実施形態において青色の光を発光する有機層9やLED14の発光強度を変更するボタンなどを用意して、使用者が自由に発光強度を切り替えられるようにしてもよい。
【0167】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0168】
以上のように、本発明の表示装置は、発光体の光により画像を表示する表示装置であって、上記発光体は生体リズムに影響を与える波長の光を発し、上記波長の光の強度を制御することによって、生体リズムを調整するとともに上記画像を表示するものである。
【0169】
上記構成によれば、生体リズムに影響を与える波長の光の強度を制御することによって、生体リズムを調整することができる。
【0170】
特に、表示装置は、照明装置に比べて使用者との距離が近い位置で使用されることが多いので、発光体からの光は、使用者に直接的に届き、使用者の生体リズムに与える影響が大きい。また、画像を表示する表示装置は、照明装置に比べて使用頻度が高い。
【0171】
したがって、表示装置においては、発光体の発光強度が使用者の生体リズムに与える影響が照明装置に比べて大きいので、本発明によれば、効果的に使用者の生体リズムを調整することができる。
【0172】
また、上記構成の表示装置は、時間情報に基づき、上記波長の光の強度を制御することが好ましい。なお、時間情報とは、上述した現在の時刻を示す時刻情報や、表示装置の使用を開始した時からの現在まで時間を示す経過情報を含む情報である。
【0173】
上記構成によれば、時間情報に基づき、生体リズムに影響を与える波長の光の強度が自動的に調整されるので、使用者が意識的に表示装置を操作することなく、生体リズムを調整することが可能となる。
【0174】
また、上記構成の表示装置は、使用者により設定された情報である使用者指示情報に基づき、上記波長の光の強度を制御することが好ましい。
【0175】
上記構成によれば、使用者の設定する使用者指示情報に基づいて、生体リズムに影響を与える波長の光の強度が制御される。したがって、使用者の好みに合わせて生体リズムに影響を与える波長の光の強度を制御することができ、所望のリズムに使用者の生体リズムを適合させることできる。
【0176】
また、使用者指示情報として、生体リズムに影響を与える波長の光の強度が時刻と対応付けられた制御パターンを設定し、この使用者指示情報に基づき生体リズムに影響を与える波長の光の強度を制御するようにしてもよい。これにより、本発明の表示装置の使用者が制御パターンを一旦設定すれば、それ以降は使用者の希望に応じた強度で生体リズムに影響を与える波長の光が発せられるので、所望のリズムに使用者の生体リズムを容易に適合させることができる。
【0177】
また、上記構成の表示装置は、表示する画像がどのような内容の番組であるかを示す情報であるコンテンツ情報に基づき、上記波長の光の強度を制御することが好ましい。
【0178】
上記構成によれば、コンテンツ情報に基づき、生体リズムに影響を与える波長の光の強度が制御されるので、表示画像の内容に応じて上記波長の光の強度が制御される。したがって、表示画像の内容に応じて生体リズムを調整することが可能となる。たとえば、表示画像が映画である場合には、上記波長の光の強度を上げて使用者を覚醒させることにより、映画をより印象深いものとすることができる。
【0179】
また、上記構成の表示装置は、上記発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する補色発光体を含んでいることが好ましい。
【0180】
すなわち、生体リズムに影響をあたえる波長の光の強度を強めた際に、画像の表示画面の色合いが崩れてしまう場合がある。しかしながら、上記構成においては補色発光体を備えているので、発光体および補色発光体のそれぞれから発せられる光を混合することにより、白色光を生成して、表示画面の色合いが崩れるのを防止することができる。
【0181】
また、上記構成の表示装置は、上記発光体の発光強度に応じて、上記補色発光体の発光強度を制御することが好ましい。
【0182】
上記構成によれば、発光体の発光強度に応じて補色発光体の発光強度が制御される。ここで、補色発光体は、発光体の発光色に対して補色となる光を発するので、その発光強度を発光体の発光強度に応じて制御すれば、これら2つの発光体からの光が混合されることにより生成される白色光の色合いを適切に制御できる。
【0183】
したがって、発光体の発光強度の高低によって表示画面の色合いが崩れてしまうことを、より適切に防止することができる。
【0184】
また、本発明の表示装置は、画像を表示する画像表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置であって、上記複数の発光体は生体リズムに影響を与える波長の光を発する第1発光体を含み、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替えるものである。
【0185】
上記構成によれば、画素自体が発光体として発光する自発光型の表示装置において、第1発光体の発光強度特性が制御される。これにより、生体リズムに影響を与える波長の光の強度が調整されるので、生体リズムを調整することができる。
【0186】
特に、表示装置は、照明装置に比べて使用者との距離が近い位置で使用されることが多いので、第1発光体からの光は、使用者に直接的に届き、使用者の生体リズムに与える影響が大きい。また、画像を表示する表示装置は、照明装置に比べて使用頻度が高い。
【0187】
したがって、表示装置においては、第1発光体の発光強度が使用者の生体リズムに与える影響が照明装置に比べて大きいので、本発明によれば、効果的に使用者の生体リズムを調整することができる。
【0188】
また、本発明の表示装置は、画像を表示する画像表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置であって、上記複数の発光体は、445nmから480nmまでの間に主波長を有する光を発光する第1発光体を含み、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替えるものであってもよい。
【0189】
上記構成によれば、メラトニンの抑制効果が高い445nmから480nmまでの範囲に、主波長を有する光を発するものを、第1発光体として用いる。したがって、第1発光体から発せられる光をメラトニン抑制効果が高いものとすることができるので、より効果的に生体リズムの調整を行うことが可能となる。
【0190】
さらに、上記構成の表示装置は、上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、時間情報に基づき切り替えることが好ましい。
【0191】
上記構成によれば、時間情報に基づき第1発光体の発光強度特性が自動的に調整されるので、使用者が意識的に表示装置を操作することなく、生体リズムを調整することが可能となる。
【0192】
さらに、上記構成の表示装置は、上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、使用者により設定された情報である使用者指示情報に基づき切り替えることが好ましい。
【0193】
上記構成によれば、使用者の設定する使用者指示情報に基づいて、生体リズムに影響を与える波長の光の発光強度特性が制御される。したがって、使用者の好みに合わせて第1発光体の発光強度特性を制御することができ、所望のリズムに使用者の生体リズムを適合させることできる。
【0194】
また、使用者指示情報として、第1発光体の発光強度特性が時刻と対応付けられた制御パターンを設定し、この使用者指示情報に基づき第1発光体の発光強度特性を制御するようにしてもよい。これにより、本発明の表示装置の使用者が制御パターンを一旦設定すれば、それ以降は使用者の希望に応じた発光強度で第1発光体は発光するので、所望のリズムに使用者の生体リズムを容易に適合させることができる。
【0195】
さらに、上記構成の表示装置は、上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、表示する画像がどのような内容の番組であるかを示す情報であるコンテンツ情報に基づき切り替えることが好ましい。
【0196】
上記構成によれば、コンテンツ情報に基づき第1発光体の発光強度特性が制御されるので、表示画像の内容に応じて第1発光体の発光強度特性が制御される。したがって、表示画像の内容に応じて生体リズムを調整することが可能となる。たとえば、表示画像が映画である場合には、第1発光体の発光強度を上げて使用者を覚醒させることにより、映画をより印象深いものとすることができる。
【0197】
さらに、上記複数の発光体は、赤色光を発光する第2発光体と、緑色光を発光する第3発光体とを含んでいることが好ましい。
【0198】
すなわち、第1発光体により発光される生体リズムに影響を与える光は、ほぼ青色を呈する。したがって、上記構成のように第2発光体および第3発光体を設ければ、第1発光体により発せられるほぼ青色の光、第2発光体により発せられる赤色の光、および第3発光体により発せられる緑色の光により、自発光型の表示装置においてカラー表示を行うことできる。
【0199】
さらに、上記複数の発光体は、上記第1発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する補色発光体を含んでいることが好ましい。
【0200】
すなわち、生体リズムに影響をあたえる波長の光の強度を強めた際に、画像の表示画面の色合いが崩れてしまう場合がある。しかしながら、上記構成においては補色発光体を備えているので、第1発光体および補色発光体のそれぞれから発せられる光を混合することにより、白色光を生成して、表示画面の色合いが崩れるのを防止することができる。
【0201】
さらに、上記構成の表示装置は、上記第1発光体の発光強度に応じて、上記補色発光体の発光強度を制御することが好ましい。
【0202】
上記構成によれば、第1発光体の発光強度に応じて補色発光体の発光強度が制御される。ここで、補色発光体は、第1発光体の発光色に対して補色となる光を発するので、その発光強度を第1発光体の発光強度に応じて制御すれば、これら2つの発光体からの光が混合されることにより生成される白色光の色合いを適切に制御できる。
【0203】
したがって、第1発光体の発光強度の高低によって表示画面の色合いが崩れてしまうことを、より適切に防止することができる。
【0204】
さらに、上記補色発光体は、上記第1発光体と隣り合うように配置されていることが好ましい。
【0205】
上記構成によれば、第1発光体と補色発光体が隣り合うことにより、それぞれの発光体から発せられる光を効率良く混合し、白色光を効率良く生成することができる。したがって、第1発光体の発光強度の高低によって表示画面の色合いが崩れてしまうことを、より適切に防止することができる。
【0206】
さらに、上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、発光ダイオードであってもよい。
【0207】
上記構成によれば、画素がLEDにより構成された自発光型のLEDディスプレイにおいて、生体リズムの調整が可能となる。
【0208】
さらに、上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、エレクトロルミネッセンスであってもよい。
【0209】
上記構成によれば、画素がエレクトロルミネッセンスにより構成された自発光型の有機ELディスプレイにおいて、生体リズムの調整が可能となる。
【0210】
また、本発明の表示装置は、画像を表示する画像表示部に対して、光源からの光を照射することにより画像を表示する表示装置であって、上記複数の発光体は生体リズムに影響を与える波長の光を発光する第1発光体を含み、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度を切り替えるものである。
【0211】
上記構成によれば、画像表示部に対して光源からの光を照射する構成の表示装置において、第1発光体の発光強度が制御される。これにより、生体リズムに影響を与える波長の光の強度が調整されるので、生体リズムを調整することができる。
【0212】
特に、表示装置は、照明装置に比べて使用者との距離が近い位置で使用されることが多いので、第1発光体からの光は使用者に直接的に届く。また、画像を表示する表示装置は、照明装置に比べて使用頻度が高い。
【0213】
したがって、表示装置においては、第1発光体の発光強度が使用者の生体リズムに与える影響が照明装置に比べて大きいので、本発明によれば、効果的に使用者の生体リズムを調整することができる。
【0214】
また、本発明の表示装置は、画像を表示する画像表示部に対して、光源からの光を照射することにより画像を表示する表示装置であって、上記複数の発光体は445nmから480nmまでの間に主波長を有する光を発光する第1発光体を含み、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度を切り替えるものであってもよい。
【0215】
上記構成によれば、メラトニンの抑制効果が高い445nmから480nmまでの範囲に、主波長を有する光を発するものを、第1発光体として用いる。したがって、第1発光体から発せられる光をメラトニン抑制効果が高いものとすることができるので、より効果的に生体リズムの調整を行うことが可能となる。
【0216】
さらに、上記構成の表示装置において、上記第1発光体の発光強度を、時間情報に基づき制御することが好ましい。
【0217】
上記構成によれば、時間情報に基づき第1発光体の発光強度が自動的に調整されるので、使用者が意識的に表示装置を操作することなく、生体リズムを調整することが可能となる。
【0218】
さらに、上記構成の表示装置において、上記第1発光体の発光強度を、使用者により設定された情報である使用者指示情報に基づき制御することが好ましい。
【0219】
上記構成によれば、使用者の設定する使用者指示情報に基づいて、生体リズムに影響を与える波長の光の発光強度が制御される。したがって、使用者の好みに合わせて第1発光体の発光強度を制御することができ、所望のリズムに使用者の生体リズムを適合させることできる。
【0220】
また、使用者指示情報として、第1発光体の発光強度が時刻と対応付けられた制御パターンを設定し、この使用者指示情報に基づき第1発光体の発光強度を制御するようにしてもよい。これにより、本発明の表示装置の使用者が制御パターンを一旦設定すれば、それ以降は使用者の希望に応じた発光強度で第1発光体は発光するので、所望のリズムに使用者の生体リズムを容易に適合させることができる。
【0221】
さらに、上記構成の表示装置において、上記第1発光体の発光強度の特性を、表示する画像がどのような内容の番組であるかを示す情報であるコンテンツ情報に基づき切り替えることが好ましい。
【0222】
上記構成によれば、コンテンツ情報に基づき第1発光体の発光強度が制御されるので、表示画像の内容に応じて第1発光体の発光強度が制御される。したがって、表示画像の内容に応じて生体リズムを調整することが可能となる。たとえば、表示画像が映画である場合には、第1発光体の発光強度を上げて使用者を覚醒させることにより、映画をより印象深いものとすることができる。
【0223】
さらに、上記光源は、赤色光を発光する第2発光体と、緑色光を発光する第3発光体とを含んでいることが好ましい。
【0224】
すなわち、第1発光体により発光される生体リズムに影響を与える光は、ほぼ青色を呈する。したがって、上記構成のように第2発光体および第3発光体を設ければ、第1発光体により発せられるほぼ青色の光、第2発光体により発せられる赤色の光、および第3発光体により発せられる緑色の光を混合することにより、白色光を生成することができる。
【0225】
そして、白色光は、一般的な表示装置において用いられる光源の光である。したがって、上記のように第1発光体、第2発光体、および第3発光体を設けるという簡易な構成により、一般的な表示装置の光源としてこれらの発光体を機能させることができる。
【0226】
さらに、上記光源は、白色光を発光する白色発光体を含んでいるものであってもよい。
【0227】
すなわち、白色光は、一般的な表示装置で用いられている光源により発せられる光である。したがって、上記構成によれば、一般的な光源として利用される白色発光体を含んでいる表示装置に、第1発光体を設けるという簡易な構成で、生体リズムを調整することが可能となる。
【0228】
さらに、上記光源は、上記第1発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する補色発光体を含んでいることが好ましい。
【0229】
すなわち、生体リズムに影響をあたえる波長の光の強度を強めた際に、画像の表示画面の色合いが崩れてしまう場合がある。しかしながら、上記構成においては補色発光体を備えているので、第1発光体および補色発光体のそれぞれから発せられる光を混合することにより、白色光を生成して、表示画面の色合いが崩れるのを防止することができる。
【0230】
さらに、上記構成の表示装置において、上記第1発光体の発光強度に応じて、上記補色発光体の発光強度を制御することが好ましい。
【0231】
上記構成によれば、第1発光体の発光強度に応じて補色発光体の発光強度が制御される。ここで、補色発光体は、発光体の発光色に対して補色となる光を発するので、その発光強度を第1発光体の発光強度に応じて制御すれば、これら2つの発光体からの光が混合されることにより生成される白色光の色合いを適切に制御できる。
【0232】
したがって、第1発光体の発光強度の高低によって表示画面の色合いが崩れてしまうことを、より適切に防止することができる。
【0233】
さらに、上記補色発光体は、上記第1発光体と隣り合うように配置されていることが好ましい。
【0234】
上記構成によれば、第1発光体と補色発光体が隣り合うことにより、それぞれの発光体から発せられる光を効率良く混合し、白色光を効率良く生成することができる。したがって、第1発光体の発光強度の高低によって表示画面の色合いが崩れてしまうことを、より適切に防止することができる。
【0235】
さらに、本発明の表示装置は、上記第1発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する蛍光体を含んでいることが好ましい。
【0236】
上記構成によれば、蛍光体により第1発光体の発光色に対して略補色となる光が発光されるので、上述したような補色発光体を設けた場合と同様の効果を得ることができる。また、蛍光体は発光強度を制御する必要がないので、表示装置の構成を簡略化することができる。
【0237】
さらに、上記光源を構成する発光体のうち少なくとも1つは、発光ダイオードまたはエレクトロルミネッセンスであってもよい。
【0238】
上記構成によれば、発光ダイオードまたは面発光するエレクトロルミネッセンスを光源として用いた表示装置において、液晶パネル等の画像表示部に対して該光源から光を照射することにより、生体リズムを調整することが可能となる。
【0239】
なお、本発明の表示装置は、生体に影響を与える波長の光を発する第1発光体と、時刻出力手段からの時刻情報に基づいて上記第1発光体の発光強度を制御する制御手段とを備えているものであってもよい。
【0240】
上記構成によれば、時刻出力手段によって得られる時刻情報に基づき、生体に影響を与える波長の光の強度を制御することが可能となる。
【0241】
したがって、時刻に応じて生体に影響を与える光の発光強度を調整することにより、生体リズムを調整することが可能となる。
【0242】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記第1発光体から発せられる光は、445nmから480nmまでの間にピーク波長を有することを特徴としている。
【0243】
445nmから480nm近傍のピーク波長を有する光を強く発光すると、メラトニンの分泌量が抑制されることが知られている。上記構成によれば、第1発光体により上記範囲のピーク波長を有する光が発せられるので、メラトニン分泌を調整し、生体リズムをより効果的に調整することができる。
【0244】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、赤色光を発光する第2発光体と、緑色光を発光する第3発光体とを備えているものであってもよい。
【0245】
上記構成によれば、第1発光体、第2発光体、および第3発光体により、鮮やかなカラー表示を行うことができる。
【0246】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記第1発光体の発光色に対する補色を発光する第4発光体を備えているものであってもよい。
【0247】
上記構成によれば、第4発光体により、第1発光体から発せられる光の色に対して補色となる光が発せられる。よって、第1発光体を強く発光したときでも、第4発光体を第1発光体の発光強度に対応した強い強度にて発光することで、画面上の色合いの変化を抑えることが可能となる。
【0248】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記第4発光体が、上記第1発光体と隣り合うように配置されていてもよい。
【0249】
上記構成によれば、第1発光体と、第4発光体とが隣り合って配置されるので、これら2つの発光体から発光される光の混色を効率よく行うことができ、画面上の色むらを防ぐことが可能となる。
【0250】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記制御手段が、上記第1発光体の発光強度に対応させて、上記第4発光体の発光強度を制御するものであってもよい。
【0251】
上記構成によれば、第1発光体の発光強度に対応させて、第4発光体の発光強度を制御することにより、第1発光体と第4発光体との混色の割合を調整することができ、画面上の色合いをより理想的にすることができる。
【0252】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記第1発光体が、画像を表示する画像表示手段を照明する照明手段に含まれているものであってもよい。
【0253】
上記構成によれば、一般的に画像表示手段として広く用いられている液晶ディスプレイ等に、照明手段として用いられるバックライトの光源として第1発光体を設けることにより、生体リズムの調整を実現する表示装置を容易に提供することができる。
【0254】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記第1発光体、上記第2発光体、および上記第3発光体の少なくとも3つにより、画像を表示する画像表示手段の画素が形成されているものであってもよい。
【0255】
上記構成によれば、第1発光体、第2発光体、および第3発光体により、赤色光、緑色光、青色光を発光させることができるので、画像表示手段を自発光型ディスプレイとすることができる。よって、生体リズムの調整が可能な自発光型ディスプレイを提供することができる。
【0256】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記制御手段が、記憶手段に記憶された複数の制御パターンから、選択手段により選択された制御パターンにしたがい、上記第1発光体の発光強度を変化させるものであってもよい。
【0257】
上記構成によれば、記憶手段に、種々の発光強度の制御パターンを記憶しておくとともに、使用者の生活リズムに最適な制御パターンを選択手段に選択せしめ、選択された制御パターンにしたがって第1発光体の発光強度を変化させることができる。
【0258】
よって、表示装置の使用者毎に制御パターンを設定し、生体リズムをより効果的に調整することができる。
【0259】
さらに、本発明の表示装置は、上記構成の表示装置において、上記制御手段が、利用者の起床時および日中において上記第1発光体の発光強度を強め、夜間において上記第1発光体の発光強度を弱めるように制御するものであってもよい。
【0260】
上記構成によれば、利用者の起床時および日中には利用者をより効果的に覚醒させることができ、睡眠前には発光強度が弱められるので、生体リズムへの影響を低減できる。よって、生体リズムをより効果的に調整することができる。
【0261】
なお、上述の第1発光体、第2発光体、第3発光体、および第4発光体は、LEDであることが好ましい。発光体がLEDであれば、発光波長を絞ることができるので、生体に影響を与える波長を的確に選択する選択することが可能となる。
【0262】
また、第1発光体、第2発光体、第3発光体および第4発光体は、エレクトロルミネッセンスでも構わない。発光体をエレクトロルミネッセンスにて形成することにより、生体リズムの調整が可能な有機ELディスプレイを提供することができる。
【0263】
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施形態は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0264】
本発明は、モニタやテレビといった用途の他、モバイル機器向けのディスプレイや、大画面のディスプレイなど様々な表示装置において適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0265】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す図であり、(b)は、(a)に示す表示装置の各セル内における構成を示す断面図である。
【図2】光源の主波長とスペクトル軌跡との関係を示す図である。
【図3】生体リズムに関する波長とメラトニン抑制強度との関係を示す図である。
【図4】図1の表示装置における、有機層9の入力映像信号値と発光強度との関係を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図6】図5の液晶表示装置の色合いを変えた場合の色度図上の変化を示す図である。
【図7】図5の液晶表示装置における基準白色光の色温度を5000Kに設定した場合のLEDの発光強度を示す図である。
【図8】図5の液晶表示装置における基準白色光の色温度を12000Kに設定した場合のLEDの発光強度を示す図である。
【図9】図5の液晶表示装置における、入力画像信号に対するLED14の光量の関係を示す図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図11】図10の液晶表示装置においてLEDの発光強度を制御する手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図13】図12の液晶表示装置におけるLED14の補色の波長を説明するための図である。
【図14】図12および図15の液晶表示装置における、LED14とLED32の発光強度の関係を示すグラフである。
【図15】本発明のさらに他の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図16】図15の液晶表示装置の変形例である自発光型表示装置の画素の構成を示す断面図である。
【図17】本発明のさらに他の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図18】本発明のさらに他の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図19】図18の液晶表示装置における冷陰極管22の発光スペクトルを示す図である。
【図20】図18の液晶表示装置における誘電体多層膜フィルタ72の透過特性を示す図である。
【図21】図18の液晶表示装置における誘電体多層膜フィルタ73の透過特性を示す図である。
【図22】従来の生体リズム調整装置を説明するための図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置であって、
上記複数の発光体は、生体リズムに影響を与える波長の光を発する第1発光体を含み、
上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替えることにより、上記第1発光体の光量の増減の割合を、他の発光体と比較して大きくすることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記生体リズムに影響を与える波長の光は、445nmから480nmまでの間に主波長を有する光であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、時間情報に基づき切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、使用者により設定された情報である使用者指示情報に基づき切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、表示する画像がどのような内容の番組であるかを示す情報であるコンテンツ情報に基づき切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項6】
上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、周囲の明るさに基づき切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項7】
上記複数の発光体は、赤色光を発光する第2発光体と、緑色光を発光する第3発光体とを含んでいることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
上記複数の発光体は、上記第1発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する補色発光体を含んでいることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
上記第1発光体の発光強度に応じて、上記補色発光体の発光強度を制御することを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
上記補色発光体は、上記第1発光体と隣り合うように配置されていることを特徴とする請求項8または9に記載の表示装置。
【請求項11】
上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項12】
上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、エレクトロルミネッセンスであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置であって、
上記複数の発光体は、445nmから480nmまでの間に主波長を有する光を発する第1発光体を含み、
使用者を覚醒させる時間を任意に設定するための入力手段と、
上記使用者を覚醒させる時間には、上記第1発光体の光量が大きくなるように、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替える制御手段とを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記第1発光体の発光状態を制御する複数の制御パターンを保持する記憶手段を備え、
上記入力手段は、上記複数の制御パターンの中から一つを選択することで上記使用者を覚醒させる時間を設定するものであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
画像を表示する画像表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置であって、
上記複数の発光体は、445nmから480nmまでの間に主波長を有する光を発する第1発光体を含み、
使用者を鎮静させる時間を任意に設定するための入力手段と、
上記使用者を鎮静させる時間には、上記第1発光体の光量が小さくなるように、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替える制御手段とを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
上記第1発光体の発光状態を制御する複数の制御パターンを保持する記憶手段を備え、
上記入力手段は、上記複数の制御パターンの中から一つを選択することで上記使用者を鎮静させる時間を設定するものであることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
上記複数の発光体は、赤色光を発光する第2発光体と、緑色光を発光する第3発光体とを含んでいることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
上記複数の発光体は、上記第1発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する補色発光体を含んでいることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
上記第1発光体の発光強度に応じて、上記補色発光体の発光強度を制御することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
上記補色発光体は、上記第1発光体と隣り合うように配置されていることを特徴とする請求項6または7に記載の表示装置。
【請求項9】
上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、エレクトロルミネッセンスであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項1】
画像を表示する画像表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置であって、
上記複数の発光体は、生体リズムに影響を与える波長の光を発する第1発光体を含み、
上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替えることにより、上記第1発光体の光量の増減の割合を、他の発光体と比較して大きくすることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記生体リズムに影響を与える波長の光は、445nmから480nmまでの間に主波長を有する光であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、時間情報に基づき切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、使用者により設定された情報である使用者指示情報に基づき切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項5】
上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、表示する画像がどのような内容の番組であるかを示す情報であるコンテンツ情報に基づき切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項6】
上記映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を、周囲の明るさに基づき切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項7】
上記複数の発光体は、赤色光を発光する第2発光体と、緑色光を発光する第3発光体とを含んでいることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
上記複数の発光体は、上記第1発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する補色発光体を含んでいることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
上記第1発光体の発光強度に応じて、上記補色発光体の発光強度を制御することを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
上記補色発光体は、上記第1発光体と隣り合うように配置されていることを特徴とする請求項8または9に記載の表示装置。
【請求項11】
上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項12】
上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、エレクトロルミネッセンスであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置であって、
上記複数の発光体は、445nmから480nmまでの間に主波長を有する光を発する第1発光体を含み、
使用者を覚醒させる時間を任意に設定するための入力手段と、
上記使用者を覚醒させる時間には、上記第1発光体の光量が大きくなるように、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替える制御手段とを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記第1発光体の発光状態を制御する複数の制御パターンを保持する記憶手段を備え、
上記入力手段は、上記複数の制御パターンの中から一つを選択することで上記使用者を覚醒させる時間を設定するものであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
画像を表示する画像表示部の画素が、複数の発光体で構成される表示装置であって、
上記複数の発光体は、445nmから480nmまでの間に主波長を有する光を発する第1発光体を含み、
使用者を鎮静させる時間を任意に設定するための入力手段と、
上記使用者を鎮静させる時間には、上記第1発光体の光量が小さくなるように、上記画像表示部に入力される映像信号に対する上記第1発光体の発光強度の特性を切り替える制御手段とを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
上記第1発光体の発光状態を制御する複数の制御パターンを保持する記憶手段を備え、
上記入力手段は、上記複数の制御パターンの中から一つを選択することで上記使用者を鎮静させる時間を設定するものであることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
上記複数の発光体は、赤色光を発光する第2発光体と、緑色光を発光する第3発光体とを含んでいることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
上記複数の発光体は、上記第1発光体の発光色に対して略補色となる光を発光する補色発光体を含んでいることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
上記第1発光体の発光強度に応じて、上記補色発光体の発光強度を制御することを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
上記補色発光体は、上記第1発光体と隣り合うように配置されていることを特徴とする請求項6または7に記載の表示装置。
【請求項9】
上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
上記複数の発光体のうち少なくとも1つの発光体は、エレクトロルミネッセンスであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−204928(P2006−204928A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43936(P2006−43936)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【分割の表示】特願2005−504213(P2005−504213)の分割
【原出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【分割の表示】特願2005−504213(P2005−504213)の分割
【原出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
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