説明

表示装置

【課題】より確実かつ効率的に放熱することができ、しかも、簡便な構成で表示装置の小型化に寄与することができる放熱機構を備えた表示装置を提供すること。
【解決手段】ケース3内に液晶パネル4、導光板7および前記導光板7の入射面7aに対向配置される光源10を有するバックライトユニット5を備えた表示装置であって、板状のヒートパイプ構造を有する長尺な放熱部材本体9aと、放熱部材本体9aに一体形成された複数個の係合突起部9bとを有する板状放熱部材9を備え、光源10は放熱部材本体9aにおける一面側に配設されており、下ケース3は少なくとも一部が高熱伝導性材料からなる放熱部によって構成され、放熱部には、係合突起部9bを係合させる係合孔3cが形成されており、板状放熱部材9は、係合突起部9bを係合孔3cに係合させ、係合孔3cから突出させた係合突起部9bの先端部を塑性変形させることにより、光源10を導光板7の入射面7aに対向させるようにして下ケース3に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバックライトユニットの放熱機構の配設方法に特徴を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のコンソールに配設された各種計器やナビゲーションシステム等の表示部として、液晶パネルの背面側にバックライトユニットが配設された液晶表示装置が利用されている。前記バックライトユニットは、前記液晶パネルの背面に導光板を配設するとともに前記導光板の側端面に光源としての複数個のLED(Light Emitting Diode)を配設してなり、このLEDの出射光を導光板内に導いて前記導光板の表面から照明光として液晶パネルヘ出射させるように構成されている。このようなバックライトユニットを備えた液晶表示装置の場合、液晶パネルの動作環境が高温になると、その表示性能や寿命が低下するため、バックライトユニットの蓄熱を放熱するための機構(以下、放熱機構という。)を備える必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図10には、従来の放熱機構を備えた液晶表示装置の一例を示す。
【0004】
この液晶表示装置は、TFT液晶等の公知の液晶パネル24と、前記液晶パネル24を照明するバックライトユニット25と、回路基板28と、これらの液晶パネル24、バックライトユニット25および回路基板28を収納する上ケース22および下ケース23とから構成されており、前記バックライトユニット25には、光源としてのLED30の点灯照明時に発生する熱を放熱する放熱機構が配設されている。
【0005】
前記上ケース22は、ステンレス鋼等の金属で形成された矩形状の天板22aとその周辺に垂設された壁部22bとからなり、前記天板22aの中央部には前記液晶パネル24の表示領域を露出させる開口22cが形成されている。また、前記下ケース23は、アルミニウム等の金属で形成された矩形状の底板部23aとその周辺に立設された壁部23bとを備えている。
【0006】
前記バックライトユニット25は、液晶パネル24の配設方向となる上面を開口させた、ケース補強用の中間ケース26を備えている。
【0007】
前記中間ケース26の略矩形状の底板26a上には、放熱機構としての放熱板31、反射シート(図示せず)、導光板27および光学シート(図示せず)が順に積層されて収納されており、前記底板26aの中央部には、最下層に積層される放熱板31の下面を露出させる開口26cが形成されている。
【0008】
前記放熱板31はアルミニウム製の基板からなり、その一辺側は、前記導光板27の入射面となる一側端面と適当な空隙、すなわち、LEDを実装した回路基板32を配設可能な空隙を挟んで対向するように、液晶パネル24の配設側へ折り曲げることで、前記反射シートや導光板27等が載置される床板部31aから立設させた壁部31bとして形成されている。そして、その壁部31bの内面、すなわち、前記導光板27の入射面となる側端面と対向する面には、複数個のLED30を実装した回路基板32としてのFPC(Flexible printed circuits)が貼設され、上層に積層された前記導光板27の入射面の長手方向に前記LED30が配列するように構成されている。
【0009】
また、本実施形態においては、前記放熱板31の床板部31aの下面には、下ケース23との固定のためのねじ止め部(図示せず)と、下ケース23と伝熱シート(図示せず)を介して面接触する面接触部(図示せず)が形成されている。
【0010】
そして、前記導光板27の上面に光学シートを介して液晶パネル24を重ねた状態で、前記液晶パネル24側から上ケース22を被着し、前記下ケース23と係合させることで、各部材をケース21内に収納し、液晶表示装置として形成されている。
【0011】
そして、このように構成された液晶表示装置は、LED30の発熱は、そのLED30が実装された回路基板32を介して前記放熱板31へ伝達され、この放熱板31から放熱されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−235179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、近年、表示部の高輝度化の要請に応じて、前記光源として150mAに対応するいわゆる高電流タイプのLEDが用いられている。しかしながら、この高電流タイプのLEDはその発熱量が多いため、この発熱を効率よく放熱しないと、液晶パネルの動作環境が高温となり、結果として、高輝度の表示も得られず、表示性能が低下してしまうことがある。
【0014】
そこで、本発明は、より確実かつ効率的に放熱することができ、しかも、簡便な構成で表示装置の小型化に寄与することができる放熱機構を備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の課題を解決するために、本発明の表示装置は、ケース内に液晶パネル、導光板および前記導光板の入射面に対向配置される光源を有するバックライトユニットとを備えた表示装置であって、板状のヒートパイプ構造を有する長尺な放熱部材本体と、前記放熱部材本体に一体形成された複数個の係合突起部とを有する板状放熱部材を備え、前記光源は前記放熱部材本体における一面側に配設されており、前記ケースは少なくとも一部が金属製の放熱部によって構成され、前記放熱部には、前記係合突起部を係合させる係合孔が形成されており、前記板状放熱部材は、前記係合突起部を前記係合孔に係合させ、前記係合孔から突出させた係合突起部の先端部を組成変形させることにより、前記光源を前記導光板の入射面に対向させるようにして前記ケースに固定されていることを特徴とする。
【0016】
このように構成された表示装置は、板状放熱部材のヒートパイプ構造によって光源の発熱を効率的に放熱するとともに、板状放熱部材の蓄熱を前記係合突起部を介してケースの放熱部へ伝達させることにより、バックライトユニットの発熱を放熱する。そして、係合突起部の先端部を回転、屈曲、あるいは、カシメ等により塑性変形させることにより、ケースに対し前記板状放熱部材を強固かつ確実に配設することができ、しかも、熱的な接触面積を大きく取ることができるので、放熱効率を向上させることが可能となる。
【0017】
また、本発明の他の表示装置は、ケース内に液晶パネル、導光板および前記導光板の入射面に対向配置される光源を有するバックライトユニットとを備えた表示装置であって、板状のヒートパイプ構造を有する長尺な放熱部材本体と、前記放熱部材本体に一体形成された複数個の係合突起部とを有する板状放熱部材を備え、前記光源は前記放熱部材本体における一面側に配設されており、前記ケースは少なくとも一部が高熱伝導性材料からなる放熱部によって構成され、前記放熱部には、前記係合突起部を軟合させる係合孔が形成されており、前記板状放熱部材は、前記係合突起部を前記係合孔に軟合させることにより、前記光源を前記導光板の入射面となる側端面に対向させるようにして前記ケース内に固定されていることを特徴とする。
【0018】
このように構成された表示装置においても、板状放熱部材のヒートパイプ構造によって光源の発熱を効率的に放熱するとともに、板状放熱部材の蓄熱を前記係合突起部を介してケースの放熱部へ伝達させることにより、バックライトユニットの発熱を放熱する。そして、係合突起部の先端部を係合孔に蕨合させることで、ケースに対し前記板状放熱部材を簡単かつ確実に配設することができ、しかも、従来の放熱機構に比べて熱的な接触面積を大きく取ることができるので、放熱効率を向上させることが可能となる。
【0019】
そして、本発明の別の表示装置は、ケース内に、液晶パネル、導光板および前記導光板の入射面となる側端面に対向配置される光源を有するバックライトユニットとを備えた表示装置であって、板状のヒートパイプ構造を有する長尺な放熱部材本体が形成された板状放熱部材を備え、前記光源は前記放熱部材本体における一面側に配設されており、前記ケースは少なくとも一部が高熱伝導性材料からなる放熱部によって構成され、前記放熱部には、ケース内へ一方側から対向する他方側へ延出させて前記板状放熱部材に当接させる当接部が形成され、前記板状放熱部材は、前記当接部の付勢により前記ケースの前記他方側に押圧されて前記ケース内に固定されていることを特徴とする。
【0020】
このように構成された表示装置においては、板状放熱部材のヒートパイプ構造によって光源の発熱を効率的に放熱するとともに、板状放熱部材の蓄熱を前記当接部を介してケースの放熱部へ伝達させることにより、バックライトユニットの発熱を放熱することが可能となる。
【0021】
このように、ケースの放熱部を構成する高熱伝導性材料からなる当接部を、前記板状放熱部材に当接させることにより、従来の放熱機構に比べて熱的な接触面積を大きく取ることができるので、放熱効率を向上させることが可能となる。
【0022】
そして、さらに、前記当接部は板ばね状に形成されており、前記当接部を前記板状放熱部材の前記光源を配設した一面側の反対側に当接させて、前記光源を前記導光板の入射面となる側端面に対向させることを特徴とする。
【0023】
このように構成された表示装置は、板ばね状の前記当接部により、ケース内に前記板状放熱部材を簡単かつ確実に配設することができる。
【発明の効果】
【0024】
このように、本発明の表示装置によれば、より確実かつ効率的に放熱することができるので、液晶パネルの動作環境の過度な高温化を防止して、高輝度な表示を実現することが可能となる。
【0025】
また、主たる放熱機構として作用する前記板状放熱部材のケースへの固定方法は「係合(軟合)」あるいは「押圧・扶持」であるので、極めて簡便である。
【0026】
しかも、その放熱機構として、導光板の入射面となる側端面に対向する大きさの板状放熱部材と、その板状放熱部材と熱的に接続された表示装置のケースとを利用することで、放熱機構としては極めてコンパクトな設計となり、表示装置の小型化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態の表示装置の要部分解斜視図
【図2】第1実施形態における放熱部としての下ケースと板状放熱部材との構造的固定および熱的接続の方法を説明するための仰視斜視図
【図3】第1実施形態における放熱部としての下ケースと板状放熱部材との構造的固定および熱的接続の方法を説明するための仰視拡大斜視図
【図4】第2実施形態における放熱部としての下ケースと板状放熱部材との構造的固定および熱的接続の方法を説明するための仰視斜視図
【図5】第2実施形態における放熱部としての下ケースと板状放熱部材との構造的固定および熱的接続の方法を説明するための仰視拡大斜視図
【図6】第3実施形態における放熱部としての下ケースの仰視斜視図
【図7】第3実施形態における放熱部としての下ケースと板状放熱部材との構造的固定および熱的接続の方法を説明するための斜視図
【図8】第3実施形態における放熱部としての下ケースと板状放熱部材との構造的固定および熱的接続の方法を説明する要部平面図
【図9】本発明の表示装置の高輝度化に関する効果を説明するためのグラフであり、(a)は比較対象となる従来の表示装置におけるディレーティングの電流と温度との関係を示すグラフ、(b)は本発明の表示装置における電流と温度との関係を示すグラフ、(c)は本発明の表示装置において、従来と同様のディレーティングを行なう場合の電流と温度との関係を示すグラフである。
【図10】従来の表示装置の要部分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1実施形態の表示装置における要部分解斜視図である。
【0030】
本実施形態の表示装置1は、上ケース2と下ケース3を有し、下ケース3内に、液晶パネル4と、この液晶パネル4の背面側に配設されるバックライトユニット5とを備えている。
【0031】
本実施形態において、上ケース2はステンレス鋼等の金属で形成された、矩形状の天板2aとこの天板2aの周辺に垂設された壁部2bとからなり、前記天板2aの中央部には前記液晶パネル4の表示領域を露出させる開口2cが形成されている。
【0032】
また、前記下ケース3は全体が熱伝導性の良好なアルミニウム金属で形成され、該液晶表示パネルにおける放熱部として機能するように構成されており、矩形状の底板部3aとその周辺に立設された壁部3bとを備えている。そして、本実施形態において、前記底板部3aには、後述する板状放熱部材9に形成された係合突起部9bを係合させる複数個の係合孔3cが配列形成されている。
【0033】
前記液晶パネル4としては、例えばTFT型液晶パネル4のような公知の構成の液晶パネル4を用いる。
【0034】
また、前記バックライトユニット5は、略矩形状の底板部6aと、その底板部6aの周辺に立設された壁部6bとからなる中間ケース6を備えており、前記底板部6a上に、反射シート(図示せず。なお、前記底板部6aを反射板として機能させる場合等には不要)、導光板7および光学シート(図示せず)等が積層されて収納されるように構成されている。そして、本実施形態においては、光源としてのLED10の出射光を導光板7の一側端面である入射面7aに入光させるべく、LED10の配列長さに合わせて、光源側側となる中間ケース6の壁部6bの中央部を切欠いて壁面開口部6cが形成されているとともに、後述する板状放熱部材9に形成された係合突起部9bを位置させるべく、前記壁面開口部6cに連続させて前記底板部6aをコ字状に切欠いて底板部開口部6dが形成されている。
【0035】
また、前記中間ケース6の底板部6aの下面には、ねじ孔が螺設されたボス(図示せず)が一体に突出形成されている。そして、前記下ケース3の底板部3aとの間に、液晶パネル4等を駆動するための回路基板8やガスケット(図示せず)等を適宜配置し、前記下ケース3に形成されたねじ孔(図示せず)と位置を合わせた状態でねじ(図示せず)を用いて、螺着されている。
【0036】
そして、本実施形態においては、板状にヒートパイプ構造を有する長尺な板状放熱部材9が、前記中間ケース6の底板部6aに積層された前記導光板7の入射面7aとなる側端面と対向させて配設されている。本実施形態において、板状放熱部材9は、中間ケース6の前記壁面開孔部6cが形成された壁部6bに、長手方向の両端をそれぞれ沿わせるようにして前記中間ケース6内に立設されている。
【0037】
前記板状放熱部材9の前記導光板7に対向する面には、光源としての複数個のLED10が導光板7の側端面の長手方向に配列させるようにして実装されるとともに、前記LED10の点灯を制御するための制御回路が形成されている。すなわち、本実施形態において、前記板状放熱部材9は、LED10の回路基板としての役割をも果たすように形成されている。
【0038】
ここで、前記板状放熱部材9は、高熱伝導性材料により形成され、ヒートパイプ構造(例えば、毛細管構造)を板状としたヒートスプレツダであり、熱源となるLED10が配設された一面側において、前記ヒートパイプ内に封入した揮発性の液体(作動液)を蒸発させ熱吸収を行い、他面側においてその作動液を凝縮させ熱放出を行なうことで熱を移動可能とされた放熱部材本体9aと、この放熱部材本体9aを前記下ケース3に対して構造的に固定すると共に、熱的に接続させる複数個の係合突起部9bが一体に形成されている。
【0039】
前記係合突起部9bは、具体的には図2および図3に示すように、板状放熱部材9の配設時に前記下ケース3側となる、放熱部材本体9aの長手方向の一側面に、等間隔で複数個(図1および図2においては4個)形成されている。この係合突起部9bの形成位置および個数は、前記下ケース3に形成した係合孔3cの形成位置および個数に対応するものとする。
【0040】
また、各係合突起部9bは、前記放熱部材本体9aから延出させた軸部9baと、その軸部9baの先端に長手方向の中間部が接続された係止頭部9bbとからなり、全体形状が略T字状に形成されている。さらに詳しくは、前記軸部9baは、前記板状放熱部材9を壁面開孔部6cが形成された壁部に長手方向の両端をそれぞれ沿わせるようにして中間ケース6内に立設させた状態において、前記係合頭部9bbが前記中間ケース6の底板部6aに開口する底板部開口部6dを通って、前記下ケース3に形成された係合孔3cから該下ケース3外へ突出する長さに形成されている(図3参照)。また、前記係合頭部9bbは、前記係合孔3aに係合させる前の状態において、板状放熱部材9の放熱部本体9aの長手方向に延在する小片部として形成されている。そして、前記係合突起部9bの先端部である前記係止頭部9bbを前記係合孔3cから突出させ、前記軸部9baとの連結部を前記下ケース3の底板部3cと平行に約90°回転させて前記係止頭部9bbを前記下ケース3に係止させ(ロック状態)、前記板状放熱部材9を筐体1に固定する。これにより、前記放熱部材本体9aから係合突起部9bの軸部9baおよび係止頭部9bbを介し、アルミニウムからなる下ケース3に至るまでの熱の伝達経路が形成されることとなる。
【0041】
そして、さらに、前記導光板7の上面に光学シート類を介して液晶パネル4を重ねた状態で、前記液晶パネル4側から前記上ケース2を被着し、下ケース3と軟着させることで、各部材は一体化され、液晶表示装置1として形成されている。
【0042】
このように構成された液晶表示装置1は、LED10の発熱を、前記放熱部材本体9aの板状のヒートパイプ構造により、そのLED10が配設された一面側から裏面の他面側へ伝達し、前記壁部開口部6cの方へ放熱するとともに、前記放熱部材本体9aから係合突起部9bの軸部9baおよび係止頭部9bbを介して下ケース3へ伝達し、この下ケース3から外部へ放熱する。よって、いわゆる高電流タイプのLED10を用いた場合であっても、従来の放熱機構を備えた液晶表示装置に比して、より確実かつ効率的に放熱し、板状放熱部材9のLED10の配設側が過熱状態となることを防止することができる。よって、液晶パネル4の動作環境の過熱を原因とする表示性能の低下を未然に防止し、高輝度の表示を実現することが可能となる。また、この構成の表示装置は、前述した従来の表示装置の構成における放熱板が不要となる。さらには、前記板状放熱部材9の固定方法が極めて簡便であるので、仮に、LED10の不点灯などの問題が発生した場合には、この板状放熱部材9の交換作業も簡便にできるという利点もある。
【0043】
なお、本実施形態においては、前記係合突起部9bを軸部9baと係止頭部9bbとからなるT字状に形成し、前記軸部9ba部分を回転により塑性変形させ、前記係止頭部9bbを係合孔3cに係止させ、ロック状態とする構成としたが、例えば、前記係合突起部9bを小片状に形成し、前記係合孔3cから突出する部分を屈曲させたり、カシメたりすることでロック状態とする構成としてもよい。さらに、本実施形態においては中間ケース6を配設したが、この中間ケース6は本願発明の必須の構成ではなく、省略も可能である。
【0044】
また、LED10が配設された前記板状放熱部材9は、液晶表示装置1内において、前記導光板7の入射面7aに前記LED10を対向対置させることができればよく、本実施形態のように,中間ケース6を有する場合においても、その中間ケース6の内側に配設することに限らず、前記開口壁部6cの外側に配設してもよい。
【0045】
さらには、本実施形態においては、回路基板を兼ねて形成された前記板状放熱部材9の放熱部材本体9aにLED10を直接に配設する構成としたが、FPC等の回路基板を別に設けてこれに所望の数のLED10を配設し、このFPCを前記放熱部材本体9aの導光板7と対向する面に貼設してもよい。
【0046】
また、本実施形態においては、液晶表示装置1の下ケース3自体を熱伝導性の良好なアルミニウムで形成することで放熱部として構成し、この下ケース3自体に熱を伝達させたが、少なくとも、前記板状放熱部材9の係合係止部9bを熱的に接続させる部分、すなわち、前記係合孔3cが形成される領域が、他の金属や高熱伝導性材料から形成され、放熱可能な放熱部とされていればよい。例えば、中間ケース6や上ケース22に放熱部を設けてもよい。
【0047】
図4および図5は、本発明の第2実施形態の液晶表示装置における板状放熱部材9を液晶表示装置1の下ケース3に固定する機構の斜視説明図である。以下、前記第1実施形態と異なる、本発明の要部を説明し、前述の実施形態と同一の構成部分については説明を省略する。
【0048】
第2実施形態の液晶表示装置1においては、LED10が配設された前記板状放熱部材9を中間ケース6の外方に配設するべく、前記下ケース3の底板部3aは、前記係合孔3cを形成する領域となる底板部3aaを該下ケース3の前記中間ケース6を収容する領域の底板部3abから一段高く位置させた、段状に形成されている。そして、前記下ケース3の底板部3aの前記係合孔3cを形成する領域には、本実施形態における係合突起部9bを骸挿させる係合孔3cが、前記板状放熱部材9の長手方向,すなわち、前記LED10の配列方向に複数配列させて形成されている。
【0049】
本実施形態において、前記各係合突起部9bは小片のピン状に形成されており、複数個の係合突起部9が、前記板状放熱部材9の配設時に前記下ケース3側となる放熱部材本体9aの長手方向の一側面に等間隔で櫛歯状に形成されている。そして、各係合突起部9bは、前記板状放熱部材9を下フレーム3に立設させるようにして前記係合孔3cに骸挿させた時に、その先端部が該下ケース3外へ突出し、かつ、前記底板部3aaの下方空隙内に収納されて、前記底板部3abの下面から突出しないする寸法とされている。
【0050】
そして、本実施形態においては、ピン状の前記係合突起部9bをそれぞれ対応する前記係合孔3cに軟挿させる。これにより、前記板状放熱部材9を下ケース3に対し立設させ、固定するとともに、前記放熱部材本体9aからピン状の係合突起部9bを介し、アルミニウム製の下ケース3に至るまでの熱の伝達経路が形成される。なお、係合突起部9bの形成位置および個数は、前記下ケース3に形成した係合孔3cの形成位置および個数に対応するものとする。また、前記ピン状の係合突起部9bの具体的な形状は、図3および図4に示すような形状に限ることなく、係合孔3cとの関係において熱的に接続されるように軟着可能な形状であれば、例えば、円柱状のような他の形状であってもよい。
【0051】
このように構成された液晶表示装置は、LED10の発熱を、前記放熱部材本体9aの板状のヒートパイプ構造により、そのLED10を配設した一面側からその裏面となる他面側へ伝達し、前記壁部開口部6cへ放熱するとともに、前記放熱部材本体9aから係合突起部9bを介して、該係合突起部9bが横着されている下ケース3へ伝達し、この下ケース3から外部へ放熱することができ、前述の第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0052】
さらに、図6乃至図8は、本発明の第3実施形態の液晶表示装置における、前記板状放熱部材9を液晶表示装置1内に固定するための機構を示す斜視説明図である。以下、前記第1実施形態と異なる本発明の要部を説明し、前述の実施形態と同一の構成部分については説明を省略する。
【0053】
第3実施形態の液晶表示装置1においては、下ケース3の光源側に位置する壁部3bには、コ字状の切欠きにより形成された舌片3eを、下ケ.ス3の内方へ折曲させて当接部として作用させるとともに、該舌片3eに当接する部材を下ケース3の内側へ押圧する付勢部材として作用させる、板ばね部3dが複数形成されている。また、前述の2つの実施形態における前記下ケース3の底板部3aに形成していた係合孔3cおよび板状放熱部材9の係合突起部9bの形成は任意であり、本実施形態においては、前記係合孔3cおよび前記係合突起部9bは形成しない。
【0054】
つまり、本実施形態において、前記板状放熱部材9は、前記放熱部材本体9aのみから構成されており、前記板状放熱部材9の前記導光板7に対向する面には、前記LED10を導光板7の側端面の長手方向に配列させるようにして複数個のLED10が実装されるとともに、前記LED10の点灯を制御するための制御回路が形成されている。
【0055】
そして、本実施形態においては、前記筐体1の下フレーム3内において、前記中間ケース6の壁部開口部6cが形成された壁部6bの外側に、板状放熱部材9を前記中間ケース6内に積層された導光板7の入射面7aに前記LED10を対向させるようにして配置するとともに、前記下フレーム3の壁部3bに形成された前記板ばね部3dの舌片3eを前記板状放熱部材9のLED10が配設された面の裏面となる他端面へ当接させ、前記板状放熱部材9を前記中間ケース6の開口壁部3bへ押圧して、中間ケース6との間で固定狭持する。
【0056】
このように構成された液晶表示装置は、LED10の発熱を、前記放熱部材本体9a の板状のと.トパイプ構造により、そのLED10が配設された一面側から裏面となる他面側へ伝達し、前記壁部開口部6cから放熱するとともに、前記放熱部材本体9aからなる板状放熱部材9の前記他面に当接する板ばね部3dを介して下ケース3へ伝達し、この下ケース3から放熱することができ、前述の第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0057】
なお、図6には、下ケース3の底板部3aにおける下面に、放熱を促すための金属製の放熱フィン11が形成された場合を示している。この放熱フィン11は、第1、第2実施形態において放熱機構として作用する下ケース3にも同様に形成することができる。
【0058】
なお、いずれの実施形態においても、反射シート、導光板7および光学シートを積層して収納する中間ケース6を省略することができる。その場合、例えば、前述の第3実施形態においては、前記板状放熱部材9は、前記下ケース3に該板状放熱部材9を押し当てる当接壁を形成することで、導光板7の光入射面7aと光源としてのLED10との距離を所定に保った状態で、下ケース3に固定配置させることが可能となる。
【0059】
また、図9は、本発明の第1実施形態における液晶表示装置の高輝度化に関する効果を説明するためのグラフであり、(a)は、本発明の比較対象となる従来の表示装置において高電流(150mA)のLED10を用いた場合に、チップ表面における耐熱温度(以下、チップ許容温度という:120℃)を維持するために行っていたディレーティング(負荷軽減)の電流と温度との関係を示している。なお、(a)乃至(c)の各グラフの縦軸はLEDチップに投入される電流、横軸は該LEDチップの周辺温度(サーモセンサ配設箇所温度)である。
【0060】
(a)においては、LED周辺温度の60℃を検出するまでは150mAの電流を流して高輝度な表示を行い、LED周辺温度の60℃を検出した段階から85℃を検出するまでディレーティング(温度の上昇に合わせて電流を減少させる)を行い、チップ許容温度(120℃)を維持するとともに、規格にあった輝度の表示を実現していた。
【0061】
これに対し、本発明の第1実施形態lこおける液晶表示装置においては、(b)に示すように、放熱効果により熱抵抗が減少することにより、LED電流増による発熱ロスを抑え、LED周辺温度の85℃を検出するまで、ディレーティングをせずに、高輝度な表示を実現することができた。
【0062】
また、本発明の第1実施形態における液晶表示装置において、(a)に示す、60℃を検出した段階から85℃を検出するまでの従来のディレーティングを実行する場合、(c)に示すように、LED周辺温度の60℃を検出するまでは200mAの電流を流し、LED周辺温度の60℃を検出した段階から85℃を検出するまでは150mAの電流を流すことができることがわかった。よって、さらに高輝度な表示を実現したり、あるいは、LEDの配設個数を削減させることができることがわかった。
【0063】
このように、本発明の放熱機構を有する表示装置においては、前記放熱部材本体9a自体の放熱効果と、前記放熱部材本体9aから係合突起部9bの軸部および係止頭部を介して下ケース3へ伝達し、この下ケース3から外部へ放熱する放熱効果とが相俟って、表示装置の高輝度な表示を実現することが可能となった。
【符号の説明】
【0064】
1 液晶表示装置
2 上ケース
3 下ケース
3c 係合孔
4 液晶パネル
5 バックライトユニット
6 中間ケース
7 導光板
8 回路基板
9 板状放熱部材
9a 放熱部材本体
9b 係合突起部
9ba 軸部
9bb 係止頭部
10 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に液晶パネル、導光板および前記導光板の入射面となる側端面に対向配置される光源を有するバックライトユニットを備えた表示装置であって、
板状のヒートパイプ構造を有する長尺な放熱部材本体と、前記放熱部材本体に一体形成された複数個の係合突起部とを有する板状放熱部材を備え、
前記光源は前記放熱部材本体における一面側に配設されており、
前記ケースは少なくとも一部が高熱伝導性材料からなる放熱部によって構成され、前記放熱部には、前記係合突起部を係合させる係合孔が形成されており、
前記板状放熱部材は、前記係合突起部を前記係合孔に係合させ、前記係合孔から突出させた係合突起部の先端部を塑性変形させることにより、前記光源を前記導光板の入射面となる側端面に対向させるようにして前記ケースに固定されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
ケース内に液晶パネル、導光板および前記導光板の入射面となる側端面に対向配置される光源を有するバックライトユニットを備えた表示装置であって、
板状のヒートパイプ構造を有する長尺な放熱部材本体と、前記放熱部材本体に一体形成された複数個の係合突起部とを有する板状放熱部材を備え、
前記光源は前記放熱部材本体における一面側に配設されており、
前記ケースは少なくとも一部が高熱伝導性材料からなる放熱部によって構成され、前記放熱部には、前記係合突起部を嵌合させる係合孔が形成されており、前記板状放熱部材は、前記係合突起部を前記係合孔に軟合させることにより、前記光源を前記導光板の入射面となる側端面に対向させるようにして、前記ケース内に固定されていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
ケース内に、液晶パネル、導光板および前記導光板の入射面となる側端面に対向配置される光源を有するバックライトユニットとを備えた表示装置であって、
板状のヒートパイプ構造を有する長尺な放熱部材本体が形成された板状放熱部材を備え、
前記光源は前記放熱部材本体における一面側に配設されており、
前記ケースは少なくとも一部が高熱伝導性材料からなる放熱部によって構成され、前記放熱部には、ケース内へ一方側から対向する他方側へ延出させて前記板状放熱部材に当接させる当接部が形成され、前記板状放熱部材は、前記当接部の付勢により前記ケースの前記他方側へ押圧されて前記ケース内に固定されていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
前記当接部は板ばね状に形成されており、前記当接部を前記板状放熱部材の前記光源を配設した一面側の反対面側に当接させて、前記光源を前記導光板の入射面となる側端面に対向させることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−212055(P2010−212055A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56293(P2009−56293)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】