説明

表示装置

【課題】静止画Pを大きくしたり、透明スリット幅tを狭めたりすることなく、動画を滑らかに表示する。
【解決手段】スリットsが配列されたマスキングシートSと、動画のコマ画pnを合成した静止画Pとを重ねて、両者を相対的に移動させ、スリットを介して順々に見える各コマ画でもって動画を認識する表示装置である。各コマ画pnの各単位画ptmをシートSの移動方向の反対側に所要幅t’延して描き、その各コマ画pnを静止画Pに合成すると、その各コマ画pnの各単位画ptmの延びた部分pt’が前の各コマ画pnの各単位画ptmに重なって描かれる。このため、スリットsを介し順々に見える各コマ画pnは、次のコマ画pn+1の延びた部分pt'が薄く(ぼけているように)表示され、やがて、次のコマ画pn+1が鮮明に表示される。すなわち、画像が粗いものから徐々に詳細に表示するインターレース表示がなされて、滑らかな動画の表示が成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の透明スリットが所定等間隔で配列されたマスキングシートと、動画(アニメーション)のコマ画を合成した静止画とを重ねて、両者を相対的に移動させることによって、前記透明スリットを介して順々に見える各コマ画でもって前記動画を認識し得るようにした表示装置、及びその静止画の製作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このマスキングシートと静止画による表示装置の一例を、図7−1に示す同一画面上F(上下左右方向がXY軸の画面)において、ボールBが床面G上を跳ね返って落下する上下方向の運動を表示する態様に基づいて説明する。
このボールBの動作は、その動画を所要数のコマ画から構成し、その各コマ画を順々に表示すれば、ボールBの上下方向の動きを認識し得る。
【0003】
例えば、その動作(動画)を4つのコマ画で表示する場合、まず、その動画を、図7−2の(a)〜(d)に示すように、ボールBが床面G上(同図の(a))、同最大跳ね返り高さhの半分位置1/2h(同図の(b))、同最大跳ね返り高さ位置h(同図の(c))、同最大跳ね返り高さの半分位置1/2h(同図の(d))の4つのコマ画(原コマ画)pn(n=1〜4)に分割する。
その各コマ画(原コマ画)pnにおいて、図7−3に示すようにそのボールBを後記マキシングシートSの透明スリット幅tで横方向(X軸方向)に分割するとともに(同図では図7−2(a)のみを記載)、図7−4の(a)〜(d)に示すように、その各コマ画pnを、その分割された各単位画ptm(m=1〜32)の内、そのコマ画pnのコマ順と同じ数の並び順位置にある単位画及びそのコマ順にコマ画数(n)の自然数倍を加えた数と同じ並び順位置にある単位画を描いたもの(黒塗り)pn’を製作する。
【0004】
例えば、1コマ画p1’(n=1)であれば、ボールBの左側最端点の上下方向の接線oを基準とした透明スリット幅tで分割した図7−3において、1〜32の単位画ptm(m=1、2、3・・)の内で、pt1(コマ順:1のもの)、pt5(コマ順:1と同じ数の並び順位置にある単位画pt1及びそのコマ順:1にコマ画数:4の自然数の1倍を加えた数と同じ並び順位置にある単位画)、pt9(同コマ順:1にコマ画数:4の2倍を加えたもの)、pt13(同コマ順:1にコマ画数:4の3倍を加えたもの)、pt17(同コマ順:1にコマ画数:4の4倍を加えたもの)、pt21(同コマ順:1にコマ画数:4の5倍を加えたもの)、pt25(同コマ順:1にコマ画数:4の6倍を加えたもの)、pt29(同コマ順:1にコマ画数:4の7倍を加えたもの)を黒塗りし(図7−4(a))、2コマ画p2’であれば、同pt2、pt6、pt10、pt14、pt18、pt22、pt26、pt30を黒塗りし(同図(b))、3コマ画p3’であれば、同pt3、pt7、pt11、pt15、pt19、pt23、pt27、pt31を黒塗りし(同図(c))、4コマ画p4’であれば、同pt4、pt8、pt12、pt16、pt20、pt24、pt28、pt32を黒塗する(同図(d))。
【0005】
つぎに、その各コマ画p1’、p2’、p3’、p4’を、図7−5(a)に示すように、上記同一画面F上に合成した静止画Pを製作する。その同一画面Fは、図7−1、図7−2、図7−4におけるXY軸を基軸とする画面F上のものである。図7−5(a)中、各コマ画p1’、p2’、p3’、p4’の境界線は実際には表れない。以下、同じ。
また、図7−5(b)に示すように、平行な複数の透明スリットsがX軸方向に一定ピッチTで配列されたマスキングシートSを製作する。その一定ピッチTは、各透明スリットsに同一のコマ画(pn)を表示し、他のコマ画を黒塗り部分で隠すために、透明スリット幅tのコマ画数(n=4)倍とする(黒塗り部分はn−1数のコマ画数の幅(3t)とする)。このようにすることによって、上記図7−4の(a)〜(d)に示すように、その各コマ画p1〜4は、その分割された各単位画ptm(m=1〜32)の内、そのコマ画pnのコマ順と同じ数の並び順位置にある単位画及びそのコマ順にコマ画数(n)の自然数倍を加えた数と同じ並び順位置にある単位画を描いたもの(黒塗り)pn’となっているため、各透明スリットsからは同一のコマ画pn(透明スリットsが2つのコマ画pn、pn±1に亘る場合は2つのコマ画が見える)が表示される。
【0006】
このマスキングシートSの上下(Y軸)方向の長さは前記画面F内の静止画Pの上下方向の長さ以上であれば任意であり、また、後述のように、コマ画が4枚の場合、マスキングシートSが「4×(単位画ptm幅)t」の長さ移動すれば、コマ画p1〜p4の一動作が表現されるため、マスキングシートSの左右(X軸)方向の長さは、画面F内の静止画Pの左右方向の長さに少なくともその一動作表現長さ(例えば、4×t)の長さを加えた長さ以上であれば任意である。
【0007】
その静止画PとマスキングシートSを、図7−6に示すように重ねて、両者P、Sを左右方向の基軸Xに沿って相対的に移動させると、例えば、静止画Pを固定し、その上にマスキングシートSを右方向(同図(a)X矢印参照)に移動させると、同図(a)〜(d)に示すように、透明スリットsを介して各コマ画p1、p2、p3、p4が順々に認識(表示)される。このため、マスキングシートSのt×4=1ピッチT移動毎にその動作(p1、p2、p3、p4)が認識されて、ボールBが上下方向の運動を繰り返す動作が表示される。
この様な表示装置として、特許文献1、2に記載のものを挙げることができる。
【0008】
上記スリットsの態様としては、図7−5(b)に示す、真っ直ぐな縦方向に限らず、例えば、図8−2(b)に示す、スリットsが平行を維持した斜め状のもの、図9−2(b)に示すスリットsが平行を維持した千鳥足状に連続したもの、同波状のもの、同三角関数状のもの等と任意である。また、図10−2(b)で示す放射状のもの等も考えられる。その図8−2(b)に示すマスキングシートSの場合、上記と同様にして図8−1(a)〜(d)に示すコマ画pn’(n=1〜4)を作成し、その各コマ画pn’を合成した図8−2(a)に示す静止画Pとする。図9−2(b)に示すマスキングシートSの場合、同様に、図9−1(a)〜(d)に示すコマ画pn’(n=1〜4)を作成し、その各コマ画pn’を合成した図9−2(a)に示す静止画Pとする。図10−2(b)に示すマスキングシートSの場合、同様に、図10−1(a)〜(d)に示すコマ画pn’(n=1〜4)を作成し、その各コマ画pn’を合成した図10−2(a)に示す静止画Pとする。この図10−2に示す静止画PとマキシングシートSの場合は、そのマキシングシートSをその中心o周り(一方向)に回転させることによって各コマ画pnが表示される動画を得ることができる。
【0009】
因みに、この発明に係る、複数の透明スリットsが等間隔で配列されたマスキングシートSと、動画のコマ画pn’を合成した静止画Pとを重ねて、両者S、Pを相対的に移動させることによって、前記透明スリットsを介して順々に見える各コマ画pnでもって前記動画を認識し得る表示装置においては、前記スリットsは、図7−5(b)、図8−2(b)、図9−2(b)に示すように平行である必要も無く、図10−2(b)に示しように、前記相対移動方向が同じ一方向(回転方向)であって、その一方向において移動中心oから同一放射位置で同一幅でなっておれば良い。これらの態様は、スリットsがその一方向において等間隔ということができる。また、その一方向も「直線状」や「円状(回転)」に限らず、一定の周期で規則正しい移動を繰り返す全ての動き方向、例えば、三角関数状、ノコ刃状、波形状等を含むこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7151541号明細書
【特許文献2】特開2001−318639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この従来の表示装置において、動画を滑らかに表示しようとする場合、コマ画(原コマ画)pnの数を増やすことで対応してきた。コマ画数nを増やせば、マスキングシートSの移動速度が同じでも、単位時間当りに表示されるコマ画数が多くなって、時間的な連続性が増すため、動画が滑らかに見えるからである。
しかし、画面Fの大きさを変更することなくコマ画pnの数を増やすと、透明スリット幅tが細くなり、相対的に、マスキングシートSの不透明部(図7−5(b)の黒塗り部分)の割合が増えることとなる。この不透明部が増えることは、透明スリット幅tが細くなることと相まって、その透明スリットsを介して(透明スリット越しに)コマ画Pnが見えにくくなる。
このため、従来では、上記画面Fを大きくしたり、コマ画数nを制限したりしていた。前者は、定形の印刷物に静止画Pを描く場合には不利となり、後者は滑らかな表示を犠牲にしており、改良が望まれていた。
【0012】
この発明は、上記画面Fを大きくしたり、透明スリット幅tを狭めたりすることなく、動画を滑らかに表示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
その課題を達成するために、この発明は、透明スリットを介して表示するコマ画にそのつぎのコマ画の一部を重ねて合成した静止画とすることとしたのである。
このように、コマ画の一部が重なっていると、その静止画とマスキングシートを重ねて、両者を相対的に移動させると、透明スリットを介して順々に見える各コマ画の表示時、つぎのコマ画の重なった部分が表示される。このとき、その重なった部分を、通常、透明スリットを介して見えているコマ画の表示幅に比べて幅を小さくする等によって、視覚的に、後者に比べて薄く(ぼけているように)表示されるようにすれば、やがて、そのぼけた状態のつぎのコマ画が鮮明に表示されるため、視覚的には、動画は滑らかに表示されるものとなる。
【0014】
この発明の一構成としては、動画を構成するコマ画を同一画面上に合成した静止画と、等間隔の複数の透明スリットがその透明スリット幅×コマ画数の一定ピッチで配列されたマスキングシートとからなり、各コマ画は、動画を構成する原コマ画が一方向に向かって透明スリット幅で分割され、その分割された各単位画の内、その原コマ画のコマ順と同じ数の並び順位置にある単位画及びそのコマ順にコマ画数の自然数倍を加えた数と同じ並び順位置にある単位画を描いたものとし、静止画とマスキングシートを重ねて、両者を相対的に前記一方向に移動させることによって、透明スリットを介して順々に見える各コマ画でもって前記動画を認識し得るようにした表示装置において、前記各コマ画の各単位画を、透明スリット幅に至らない範囲において、マスキングシートの移動方向の反対側に所要幅延して描いたものとした構成を採用することができる。
【0015】
すなわち、例えば、図7−4(a)〜(d)で示した各コマ画pn’(p1’、p2’、p3’、p4’)において、その同(b)の例で示す図1−1のように、各単位画ptmを移動方向の反対側(図において左側)に所要幅t’延して描いたもの(延びた部分pt’)とした構成を採用できる。
【0016】
この延び部分pt’を有する各コマ画pn’を静止画Pに合成すると、その各コマ画pn’の各単位画ptmの延びた部分pt’が前の各コマ画pn−1の各単位画ptm−1に重なって描かれることとなる。例えば、図7の例で示せば、図1−2に示すように、その各コマ画pn’の各単位画ptmの延びた部分pt’が、同一時(同図では同一上下方向)において、前の各コマ画pn−1の各単位画ptm−1に重なって描かれることとなる。その重なり部分を符号aで示す。
【0017】
このため、その静止画PとマスキングシートSを、図7−6(a)〜(d)に示すように重ねて、両者P、Sを左右方向の基軸Xに沿って相対的に移動させると、図1−3(a)〜(d)に示すように、透明スリットsを介して順々に見える各コマ画pnでもって、上記ボールBが上下方向の運動を繰り返す動作が表示される際、その各コマ画pnの表示時、つぎのコマ画pn+1のその延びた部分pt’が表示される。このとき、その延びた部分pt’の表示は、コマ画pn(単位画ptm)の表示に比べて幅が小さいため、視覚的に、前者に比べて薄く(ぼけているように)表示され、やがて、つぎのコマ画pn+1が鮮明に表示される(例えば、同図(a)から同図(b))。この表示がマスキングシートSの移動につれて連続的に行われる。すなわち、画像が粗いものから徐々に詳細に表示する「インターレース表示」に近似した表示(以下、単に、「インターレース表示」と言う。)がなされる。なお、図1−3においては、延びた部分pt’の外縁(線)のみを透明スリットs内に示して見やすくしたが、実際には、pt’部分はその外縁内も黒くなってマスキングシートSの黒塗り部と一連に認識される。この点は、以下の図2−3、図3−5においても同様である。
【0018】
この構成において、上記各コマ画の各単位画を、上記マスキングシートの移動方向にも所要幅延して描いたものとし、このコマ画を静止画に合成すれば、その各コマ画の各単位画の延びた部分が後ろの各コマ画の各単位画に重なって描かれることとなる。
すなわち、例えば、図7−4(a)〜(d)で示した各コマ画pn’において、その同(b)の例で示す図2−1のように、移動方向の反対側(図において左側)が所要幅t’延びていると共に、移動方向側(図において右側)も所要幅t’’延びて描いたもの(延びた部分pt’’)となる。
【0019】
この延び部分pt’’を有する各コマ画pn’を静止画Pに合成すると、その各コマ画pn’の各単位画ptmの延びた部分pt’’が、後の各コマ画pn+1’の各単位画ptmに重なって描かれることとなる。例えば、図7の製作例で示せば、同図2−2に示すように、その各コマ画pn’の各単位画ptmの延びた部分pt’’が、同一時において後の各コマ画pn+1’の各単位画ptmに重なって描かれることとなる(同図a部分参照)。
【0020】
このため、その静止画PとマスキングシートSを、図7−6(a)〜(d)に示すように重ねて、両者P、Sを左右方向の基軸Xに沿って相対的に移動させると、図2−3(a)〜(d)に示すように、透明スリットsを介して順々に見える各コマ画pnは、前のコマ画pn−1’のその延びた部分pt’が表示され、やがて、後のコマ画pn+1’のその延びた部分pt’’が表示される。このとき、その延びた部分pt’、pt’’の表示は、薄く(ぼけているよう)に表示され、やがて、前のコマ画pn−1は消え、つぎ(後)のコマ画pn+1が鮮明に表示されるとともに、今鮮明に表示されているコマ画pnは徐々に薄くなる。この表示がマスキングシートSの移動につれて連続的に行われる。すなわち、画像が粗いものから徐々に詳細に表示する「インターレース表示」に加えて、前の画像がつぎの画像に視覚的にも残像として残り、感覚的のみならず視覚的にも残像がある画像となって、違和感がないものとなる。
因みに、上記延びた部分pt’、pt’’は、後のコマ画pn+1側(pt’’)のみとし得る。この場合、「インターレース表示」はなされない。
【0021】
上記各構成において、各コマ画pnの各単位画ptmの所要幅t’、t’’延ばした部分pt’、pt’’を単位画ptmより濃淡において薄く(淡く)すれば、あるコマ画pnの表示において、その前後のコマ画pn−1、pn+1は明確にぼけた画像となって、そのある態様のコマ画pnが前後のコマ画pn−1、pn+1に対してより鮮明に認識されることとなる。さらに、その延ばし部分pt’、pt’’を、その延ばし方向に向かって徐々に薄くなるように、すなわち「グラデーション」とすれば、その延ばし部分pt’、pt’’からなる画像の出没作用もより滑らかとなる。
【0022】
その延ばし部分pt’、pt’’の幅(延し幅)t’、t’’は、透明スリット幅tに至らない範囲であれば何れでも良いが、その幅t’、t’’を適宜に変更して各コマ画Pnの表示態様を前後のコマ画pn−1、pn+1を明瞭に認識することなく明確に確認し得る幅t’、t’’を実験などによって適宜に設定する。例えば、単位画幅t(透明スリット幅t)の半分(2分の1)以下とすることが好ましく、3分の1、4分の1等に設定する。
なお、上記のように、延ばし部分pt’、pt’’を単位画ptmより濃淡において薄く(淡く)すれば、コマ画pnの表示濃度が異なるため、延ばした部分pt’、pt’’の幅t’、t’’と単位画幅t(透明スリット幅t)が同じであっても良いが、この場合も、前者を後者に対して短くすることが好ましい。
【0023】
その表示装置の静止画の製作方法としては、例えば、動画を所要数の原コマ画に分割し、その各原コマ画を、一方向に向かって透明スリット幅で分割し、その分割された各単位画の内、その原コマ画のコマ順と同じ数の並び順位置にある単位画及びそのコマ順にコマ画数の自然数倍を加えた数と同じ並び順位置にある単位画を描くとともに、その各単位画を、前記透明スリット幅に至らない範囲において、マスキングシートの移動方向の反対側に所要幅延して描いた各コマ画を作成し、その各コマ画を同一画面上に合成する構成を採用することができる。
【0024】
この製作方法によれば、各コマ画を静止画Pに合成した際、その各単位画の所要幅t’延して描いた部分pt’が前又は前後の各コマ画pn’の各単位画ptmに重なって描かれることとなる。すなわち、図1−2で示されるような静止画Pが描かれることとなる。
【0025】
このとき、その各単位画ptmを、上記透明スリット幅tに至らない範囲において、マスキングシートSの移動方向側にも所要幅t’’延して描いたものとすれば、各コマ画pn’を静止画Pに合成した際、その各単位画ptmの所要幅t’、 t’’延して描いた部分pt’、pt’’が前後の各コマ画pn−1、pn+1の各単位画ptmに重なって描かれることとなる。すなわち、図2−2で示されるような静止画Pが描かれることとなる。
【0026】
この発明の他の構成としては、動画を構成するコマ画を同一画面上に合成した静止画と、等間隔の複数の透明スリットが一定ピッチで配列されたマスキングシートとからなり、その静止画とマスキングシートを重ねて、両者を一方向に相対的に移動させることによって、透明スリットを介して順々に見える各コマ画でもって前記動画を認識し得るようにした表示装置において、静止画は動画を構成するコマ画を前記一方向に向かって透明スリット幅に至らない範囲内において重ねて同一画面上に合成したものであり、前記透明スリットの一定ピッチはコマ画数×透明スリット幅×(1−前記重ね幅/透明スリット幅)とし、各コマ画の第1番のコマ画は、動画を構成する第1番の原コマ画を一方向に向かって前記一定ピッチで切りとった透明スリット幅の単位画を描き、それ以降のコマ画はその前のコマ画に対して前記重ね幅進んだ点を起点として前記動画を構成する第n番の原コマ画を前記一方向に向かって前記一定ピッチで切りとった透明スリット幅の単位画を描いた構成を採用することができる。
【0027】
この種の表示装置においては、同一コマ画をマスキングシートの各透明スリットで同時に表示する必要があり、上記表示装置の静止画は前後のコマ画が重なるため、コマ画数をnとすると、「透明スリット幅t×コマ画数n×(1−重なり幅tf/透明スリット幅t)」のピッチで透明スリットが配置されている必要がある。このため、上記透明スリットの一定ピッチTはその長さ(t×n×(1−tf/t))に設定している。
【0028】
その構成の表示装置の静止画の製作方法としては、動画を構成する各コマ画の第1番のコマ画は、上記一方向に向かって上記一定ピッチで切りとった透明スリット幅の単位画を描き、それ以降のコマ画はその前のコマ画に対して上記重ね幅進んだ点を起点として前記一方向に向かって前記一定ピッチで切りとった透明スリット幅の単位画を描いた構成を採用することができる。
【0029】
この製作方法を図7に示す例(ボールBの跳ね返り)で説明すると、図7−5(b)で示したマスキングシートSを使用する場合、透明スリット幅t及びピッチT(=4t)は変更されないから、各コマ画p1〜p4にそれぞれコマ画を1/2幅重ねることとなるため、コマ画(原コマ画)pnは4の倍の8枚とする。
因みに、n=8、tf=1/2tを上記「ピッチT=透明スリット幅t×コマ画数n×(1−重なり幅tf/透明スリット幅t)」に代入すると、T=t×8×(1−1/2)=4tとなって、上記図7−5(b)のマスキングシートSを使用し得る。
【0030】
このため、図3−1(a)〜(h)に示すように、上記図7−1、同2の4態様(図7−1(a)〜(d))に加えて、ボールBの最大跳ね返り高さhの1/4hの位置(同図の(b))、同最大跳ね返り高さの3/4hの位置(同図の(d))、同最大跳ね返り高さhの3/4hの位置(同図の(f))及び同最大跳ね返り高さhの1/4hの位置(同図の(h))の4つのコマ画pnを加えた8コマ画(原コマ画)pnに分割する(図3−1においては、図7−2の(a)〜(d)は同(a)、(c)、(e)、(g)に対応する)。
【0031】
この各コマ画p1〜p8において、その第1番のコマ画p1’は、一方向に向かって一定ピッチTで切りとった透明スリット幅sの単位画ptmを描き、それ以降のコマ画p2’〜p8’はその前のコマ画pn−1’に対して上記重ね幅tf(=1/2t)進んだ点を起点として前記一方向に向かって前記一定ピッチTで切りとった透明スリット幅tの単位画ptmを描いたものとする。
すなわち、図7−3と同様に、図3−2aに示すように、基準線oから透明スリット幅tの単位画ptmを順々に描くとすると(単位画ptmで分割すると)、第1番のコマ画p1は、その第1番の単位画pt1(m=1)を描き、その基準線oから前記一方向Xに向かって1ピッチT(4t)目の透明スリット幅tで分割した5番目の単位画pt5(ピッチT=4t)、次に、同9番目の単位画pt5のように、一定ピッチT(4t)で切り取った単位画ptmを描いたものとする。
【0032】
つぎに、その第1番以降の各コマ画pn’は前のコマ画pn−1’に透明スリット幅tの2分の1(1/2t)重ねるため、第2番のコマ画p2’は、図3−2bに示すように、その第1番のコマ画p1’に対して透明スリット幅tの1/2の幅(1/2t=tf)進んだ点を起点とし、前記一方向Xに向かって透明スリット幅tで分割する。第3番のコマ画p3’は、同図cに示すようにその第2番のコマ画p2’に対して1/2t幅進んだ点を起点とし、前記一方向Xに向かって透明スリット幅tで分割する。第4番のコマ画p4’は、同図dに示すようにその第3番のコマ画p3’に対して1/2t幅進んだ点を起点とし、前記一方向Xに向かって透明スリット幅tで分割する。以後、同様にして、第5、第6、第7、第8番の各コマ画p5’〜p8’もその前のコマ画第p4’〜p7’に対して1/2t幅進んだ点を起点とし、一方向Xに向かって透明スリット幅tで分割する。
このように分割した第2番以降のコマ画p2’〜p8’は、第1番のコマ画p1と同様に、その第1番の単位画pt1を描き(該当番の単位画がない場合は描かない)、以後、一定ピッチT(4t)の単位画ptmを描いたものとする。
【0033】
より具体的には、コマ画p1’であれば、図7−3(図3−2a)において、pt1、pt5、pt9、pt13、pt17、pt21、pt25、pt29を黒塗りし(図3−3(a))、コマ画p2’であれば、図3−2bにおいて、pt2、pt6、pt10、pt14、pt18、pt22、pt26、pt30を黒塗りし(図3−3(b))、コマ画p3’であれば、図3−2cにおいて、pt3、pt7、pt11、pt15、pt19、pt23、pt27、pt31を黒塗りし(図3−3(c))、コマ画p4’であれば、図3−2dにおいて、pt4、pt8、pt12、pt16、pt20、pt24、pt28、pt32を黒塗りする(図3−3(d))。
以下同様に、コマ画p5’であれば、図示していないが、pt5、pt9、pt13、pt17、pt21、pt25、pt29、pt33を黒塗りし(図3−3(e))、コマ画p6’であれば、pt6、pt10、pt14、pt18、pt22、pt26、pt30、pt34を黒塗し(図3−3(f))、コマ画p7’であれば、pt7、pt11、pt15、pt19、pt23、pt27、pt31、pt35を黒塗し(図3−3(g))、コマ画p8’であれば、pt8、pt12、pt16、pt20、pt24、pt28、pt32、pt36を黒塗する(図3−3(h))。
【0034】
このようにして製作した8枚のコマ画p1’〜p8’を、上記同一画面(図7−1、図7−2、図7−4におけるXY軸を基軸とする画面)F上に合成した図3−4に示す静止画Pを製作する。
この静止画Pは、各コマ画pn’のその前のコマ画pn−1’に2分の1t(tf)重ねた部分が前後の各コマ画pn−1’、pn+1’の各単位画ptmに重なって描かれることとなる。例えば、コマ画p1’の単位画ptmにコマ画p2’の単位画ptmの前半分(1/2t)が重なって描かれ、そのコマ画p2’の単位画ptmの後半分(1/2t)にコマ画p3’の単位画ptmの前半分(1/2t)が重なって描かれることとなる。
【0035】
このため、その静止画PとマスキングシートSを、同様に重ねて、両者P、Sを左右方向の基軸Xに沿って相対的に移動させると、図3−5(a)〜(h)に示すように、透明スリットsを介して順々に見える各コマ画pnでもって、上記ボールBが上下方向の運動を繰り返す動作を表示される際、その各コマ画pnの表示時、前のコマ画pn−1’の単位画ptmの重なった部分pt’が表示された後、後のコマ画pn+1’の単位画ptmの重なった部分pt’が表示される。この表示がマスキングシートSの移動につれて連続的に行われて、インターレース表示に加えて、前の画像がつぎの画像に視覚的にも残像として残り、感覚的のみならず視覚的にも残像がある画像となって、違和感がない表示が成される。同図においては、あるコマ画pnの全体が表示されている状態において、前後のコマ画pn−1、pn+1が淡く表示されている状態を示している。
【0036】
このとき、上記のように、上記各コマ画pnの各単位画ptmの重なり部分pt’、pt’の幅(大きさ)tfを適宜に選択すれば、上記の例では2分の1t(1/2t)としたため、前後のコマ画pn−1’の単位画ptmとpn’の単位画ptm、pn’の単位画ptmとpn+1’の単位画ptmの重ならない部分はない。しかし、重なる部分aを透明スリット幅tの2分の1未満とすれば、例えば、3分の1t(1/3t)、4分の1t(1/4t)等とすれば、各コマ画pn’の単位画ptmの一部重ならないコマ画pnでの画像が表示(認識)される時が必ず生じて、その画像をより鮮明に認識できるものとなる。例えば、図3−5各図において、p1〜p8の全体が明確に表示されて、その前後のp8、p2、p1、p3、・・がより淡く表示される時点(表示)が存在してその画像p1〜p8を鮮明に認識できる。
【0037】
この図3各図の例においては、図7−5(b)のマスキングシートSを使用したため、単位画ptmのピッチTを4×透明スリット幅tとしたが、そのピッチTが制約されない場合はコマ画数nは任意とし得る。例えば、図7−1の動画を4枚のコマ画p1〜p4でもって表示し、かつ、各コマ画の単位画ptmを1/3t重ねる場合、ピッチTをt×4×(1−1/3)=8/3tとすれば、この発明を実施し得る。
また、コマ画pnの重ね度合は、前後のコマ画(pn、pn+1)が完全に重ならない範囲、すなわち、スリット幅tに至らない範囲において任意であるが、看者が見にくい点を考慮すれば、1/2t以下が好ましく、1/2.5t、1/3t、1/4t等と見え度合を考慮して適宜に設定する。
【発明の効果】
【0038】
この発明は、以上のように、静止画Pを各コマ画pnがその前のコマ画pn−1に部分的に重なるようにしたので、各コマ画pnが表示される際、そのつぎのコマ画pn+1がぼけた状態から、やがて鮮明に表示されるため、動画としては滑らかな表示が成される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1−1】この発明の一説明図であって、一コマ画図
【図1−2】同静止画図
【図1−3】(a)〜(d)は同各コマ画の表示状態図
【図2−1】この発明の他の説明図であって、一コマ画図
【図2−2】同静止画図
【図2−3】(a)〜(d)は同各コマ画の表示状態図
【図3−1】この発明の他の説明図であって、(a)〜(h)は各コマ画図
【図3−2a】同コマ画の分割説明図
【図3−2b】同コマ画の分割説明図
【図3−2c】同コマ画の分割説明図
【図3−2d】同コマ画の分割説明図
【図3−3】(a)〜(h)は同合成用各コマ画図
【図3−4】同静止画図
【図3−5】(a)〜(h)は同各コマ画の表示状態図
【図4−1】(a)〜(d)はこの発明の一実施形態の各コマ画図
【図4−2】(a)〜(d)は同合成用各コマ画図
【図4−3】同静止画図
【図4−4】(a)〜(d)は同各コマ画の表示状態図
【図5−1】(a)〜(d)はこの発明の他の実施形態の合成用各コマ画図
【図5−2】同静止画図
【図5−3】(a)〜(d)は同各コマ画の表示状態図
【図6−1】(a)〜(h)はこの発明の他の実施形態の各コマ画図
【図6−2】(a)〜(h)は同合成用各コマ画図
【図6−3】同静止画図
【図6−4】(a)〜(h)は同各コマ画の表示状態図
【図7−1】ボールの落下・跳ね返り説明図
【図7−2】同ボールの落下・跳ね返り動作のコマ画であり、(a)はボールの床面状態、(b)は同最大跳びはね高さの1/2状態、(c)は同最大跳びはね状態、(d)は同落下時の最大跳びはね高さの1/2状態
【図7−3】コマ画の分割説明図
【図7−4】(a)〜(d)は合成用各コマ画図
【図7−5】(a)は従来の静止画図、(b)はマスキングシートの一部除去正面図
【図7−6】(a)〜(d)は従来例の各コマ画の表示状態図
【図8−1】ボールの落下・跳ね返り動作の他のコマ画の例であり、(a)はボールの床面状態、(b)は同最大跳びはね高さの1/2状態、(c)は同最大跳びはね状態、(d)は同落下時の最大跳びはね高さの1/2状態
【図8−2】(a)は同コマ画の合成後の静止画図、(b)はマスキングシートの一部除去正面図
【図9−1】ボールの落下・跳ね返り動作の他のコマ画の例であり、(a)はボールの床面状態、(b)は同最大跳びはね高さの1/2状態、(c)は同最大跳びはね状態、(d)は同落下時の最大跳びはね高さの1/2状態
【図9−2】(a)は同コマ画の合成後の静止画図、(b)はマスキングシートの一部除去正面図
【図10−1】ボールの落下・跳ね返り動作の他のコマ画の例であり、(a)はボールの床面状態、(b)は同最大跳びはね高さの1/2状態、(c)は同最大跳びはね状態、(d)は同落下時の最大跳びはね高さの1/2状態
【図10−2】(a)は同コマ画の合成後の静止画図、(b)はマスキングシートの正面図
【発明を実施するための形態】
【0040】
この発明の一実施形態を図4−1〜図4−4に示し、この実施形態は、乗馬の動画を繰り返し認識させるものであって、図4−1(a)〜(d)に示すように、その動画を4枚のコマ画(原コマ画)p1〜p4(pn、n=1〜4)に分割し、図7の例と同様に、その各コマ画pnにおいて、図4−2(a)〜(d)に示すように、上記マキシングシートSの透明スリット幅t(例えば1mm)で横方向(X軸方向)に分割し、その分割された各単位画ptmの内、そのコマ画pnのコマ順と同じ数の並び順位置にある単位画ptm及びそのコマ順にコマ画数の自然数倍を加えた数と同じ並び順位置にある単位画ptmを描いたもの(黒塗り)p1’〜p4’を製作する。
このとき、各単位画ptmを前後(図において左右)に透明スリット幅tに対して30%(0.3t、例えば0.3mm)延ばす(延した部分pt’、pt’’図2−1参照)。
【0041】
つぎに、その各コマ画p1’、p2’、p3’、p4’を、図4−3に示すように、上記同一画面F上に合成した静止画Pを製作する。
その静止画PとマスキングシートSを重ねて、両者P、Sを左右方向の基軸Xに沿って相対的に移動させると、例えば、静止画Pを固定し、その上にマスキングシートSを右方向(図4−4(a)X矢印参照)に移動させると、図4−4(a)〜(d)に示すように、透明スリットsを介して各コマ画pnが順々に認識されるとともに、そのコマ画pnに重なった前のコマ画の延し部分pt’’から成る画像が薄く表示され,やがて、後のコマ画pn+1の延し部分pt’から成る画像が薄く表示される。この図4−4各図は、各コマ画pn(n=1〜4)に後(次)のコマ画pn+1が表れている画像である。
【0042】
図5−1には、図4−2の例において、各単位画ptmを前後(図において左右)に透明スリット幅t(例えば1mm)に対して30%(例えば0.3mm)延ばすとともに、その延した部分pt’、pt’’をptの黒塗りに比べて50%薄くしたグレー塗りとしたものp1’である(図2−1参照)。同図では、第1コマ画p1のみを記載するが、p2’〜p4’についても、図4−2(b)〜(d)において、その延した部分pt’、pt’’をグレー塗りとしたものである。この各コマ画p1’、p2’、p3’、p4’を、図5−2に示すように、上記同一画面F上に合成した静止画Pを製作する。
その静止画PとマスキングシートSを重ねて、両者P、Sを左右方向の基軸Xに沿って相対的に移動させると、図5−3に示すように、図4−4に比べて、延し部分pt’、pt’’がグレーであることからその画像がより薄くなったものとなる。すなわち、透明スリットsを通して表示されているコマ画pnの前後のコマ画pn−1、pn+1との区別が明確となって乗馬動作が明確に表示される。この図5−3各図は、各コマ画pn(n=1〜4)に後のコマ画pn+1が表れている画像である。
【0043】
この発明の他の実施形態を図6−1〜図6−4に示し、この実施形態は、同様に、乗馬の動画を繰り返し認識させるものであるが、図7−5(b)のマスキングシートSを使用して、各コマ画pn’を透明スリット幅tの1/2tづつ重ねるため、上記図3各図に基づき説明したように、まず、上記図4−1(a)〜(d)(図7−2参照)で示した動画を上記4分割の2倍のコマ画pn(n=1〜8)に分割する(図6−1〜2、図3−1参照)。
つぎに、その各コマ画p1〜p8において、上記図3−2に基づき説明したように、第1番のコマ画(p1')は、一方向Xに向かって一定ピッチT(4t)で切りとった透明スリット幅tの単位画ptmを描き、それ以降のコマ画p2’〜p8'はその前のコマ画p1’〜p7'に対して重ね幅tf(1/2t)進んだ点を起点として一方向Xに向かって一定ピッチTで切りとった透明スリット幅tの単位画ptmを描いたもの(黒塗り)p1’〜p8’を製作する。
【0044】
この各コマ画p1’〜p8’を同様に同一画面F上に合成すると、図6−3に示すように、各コマ画pn’の単位画ptmがその前のコマ画pn−1の単位画ptmに2分の1幅(1/2t)重なって描かれることとなる。
このため、その静止画PとマスキングシートSを重ねて、両者P、Sを基軸X(左右方向)に沿って相対的に移動させると、図6−4(a)〜(h)に示すように、透明スリットsを介して順々に見える各コマ画pnでもって、図6−1(a)〜(h)の動作が繰り返す動画が表示される。
その際、コマ画pn’の単位画ptmの半分(1/2)重なった部分pt’の表示は、マスキングシートSの動きにつれて(透明スリットsの動きに従い)徐々に表示されるため、透明スリットsを介して各コマ画pnが順々に認識されるとともに、そのコマ画pnに重なった前のコマ画の部分pt’から成る画像が薄く表示され、やがて、その前のコマ画の重なり部分pt’から成る画像が消えて後のコマ画pn+1の重なり部分pt’から成る画像が薄く表示される。すなわち、乗算インターレース表示がなされる。この図6−4各図は、各コマ画pn(n=1〜4)に前後のコマ画pn−1、pn+1が表れている画像である。
【0045】
上記各実施形態において、延し部分(重なり部分)pt’、pt’’はそのどちらか一方でも良いことは勿論である。また、コマ画数nは任意であって、その分割数nが増せば増すほど、動画は滑らかに表示されることとなり、それに対応させて透明スリット幅tも支障がない限りにおいて適宜に変更することができる。
マスキングシート(そのストライプ)Sは黒色に限らず、青色、緑色、グレー等と任意である。
静止画Pには、紙、板、壁面の固定的に表されたもののみならず、電子機器のディスプレイで表示された静止画も含む。また、回転表示板も含む。透明スリットsは無色透明に限らず、画像を表示できる限りにおいて、有色透明を採用することができる。マスキングシートSの色も任意である。
【0046】
さらに、スリットsの態様も、図8−2(b)に示した斜め状のもの、図9−2(b)に示すその斜めスリットを千鳥足状に連続したもの、波状のもの、三角関数状のもの、また、図10−2(b)で示す放射状のものにおいても、この発明を採用できることは明らかであり、それらの場合、図8−1(a)〜(d)に示すコマ画pn’、図9−1(a)〜(d)に示すコマ画pn’(n=1〜4)、図10−1(a)〜(d)に示すコマ画pn’において、同様に、重なり部分(延ばし部分)pt’、pt’’を設けたり、コマ画pn’を重ねたりする。
【符号の説明】
【0047】
B ボール
F 静止画及びコマ画の画面
G 床面
P 静止画
T 透明スリット間隔幅
S マスキングシート
pn、p1〜p8、p1’〜p8’ コマ画
s マスキングシートの透明スリット
t コマ画の分割幅(マスキングシートの透明スリット幅)
tf 重なり幅
ptm、pt1〜pt32 単位画
pt’、pt’’ 延し部分(重なり部分)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画を構成するコマ画(pn')を同一画面(F)上に合成した静止画(P)と、等間隔の複数の透明スリット(s)がその透明スリット幅(t)×コマ画数(n)の一定ピッチ(T)で配列されたマスキングシート(S)とからなり、
上記各コマ画(pn')は、動画を構成する原コマ画(pn)が一方向(X)に向かって上記透明スリット(s)の幅(t)で分割され、その分割された各単位画(ptm)の内、その原コマ画(pn)のコマ順と同じ数の並び順位置にある単位画(ptm)及びそのコマ順にコマ画数(n)の自然数倍を加えた数と同じ並び順位置にある単位画(ptm)を描いたものとし、
上記静止画(P)と上記マスキングシート(S)を重ねて、両者(P、S)を相対的に上記一方向(X)に移動させることによって、上記透明スリット(s)を介して順々に見える各コマ画(pn’)でもって上記動画を認識し得るようにした表示装置において、
上記各コマ画(pn')の各単位画(ptm)を、上記透明スリット幅(t)に至らない範囲において、上記マスキングシート(S)の移動方向の反対側に所要幅(t’)延して描いたものとしたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記各コマ画(pn')の各単位画(ptm)を、上記マスキングシート(S)の移動方向にも所要幅(t’’)延して描いたものとしたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記各単位画(ptm)の所要幅(t’、t'’)延ばした部分(pt’、pt’’)を単位画(ptm)より淡くしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
上記淡く延ばした部分(pt’、pt’’)を、その延ばし方向に向かって徐々に淡くなるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一つに記載の表示装置の静止画(P)の製作方法であって、
上記動画を所要数(n)の原コマ画(pn)に分割し、その各原コマ画(pn)を、上記一方向(X)に向かって上記透明スリット幅(t)で分割し、その分割された各単位画(ptm)の内、その原コマ画(pn)のコマ順と同じ数の並び順位置にある単位画(ptm)及びそのコマ順にコマ画数(n)の自然数倍を加えた数と同じ並び順位置にある単位画(ptm)を描くとともに、その各単位画(ptm)を、前記透明スリット幅(t)に至らない範囲において、上記マスキングシート(S)の移動方向の反対側に、又はその移動方向反対側及び移動方向に所要幅(t’、t’’)延して描いた各コマ画(pn’)を作成し、その各コマ画(pn’)を同一画面(F)上に合成することを特徴とする静止画の製作方法。
【請求項6】
動画を構成するコマ画(pn')を同一画面(F)上に合成した静止画(P)と、等間隔の複数の透明スリット(s)が一定ピッチ(T)で配列されたマスキングシート(S)とからなり、その静止画(P)と前記マスキングシート(S)を重ねて、両者(P、S)を一方向(X)に相対的に移動させることによって、前記透明スリット(s)を介して順々に見える各コマ画(pn’)でもって前記動画を認識し得るようにした表示装置において、
上記静止画(P)は上記動画を構成するコマ画(pn')を上記一方向(X)に向かって前記透明スリット幅(t)に至らない範囲内において重ねて上記同一画面(F)上に合成したものであり、上記透明スリット(s)の一定ピッチ(T)はコマ画数(n)×透明スリット幅(t)×(1−前記重ね幅(tf)/透明スリット幅(t))とし、
上記各コマ画(pn')の第1番のコマ画(p1')は、動画を構成する第1番の原コマ画(pn)を上記一方向(X)に向かって上記一定ピッチ(T)で切りとった上記透明スリット幅(t)の単位画(ptm)を描き、それ以降のコマ画(pn')はその前のコマ画(pn−1’)に対して上記重ね幅(tf)進んだ点を起点として前記動画を構成する第n番の原コマ画(pn)を前記一方向(X)に向かって前記一定ピッチ(T)で切りとった前記透明スリット幅(t)の単位画(ptm)を描いたものとしたことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表示装置の静止画(P)の製作方法であって、上記動画を所要数(n)の原コマ画(pn)に分割し、その分割した各原コマ画(pn)の第1番のコマ画(p1')は、上記一方向(X)に向かって上記一定ピッチ(T)で切りとった上記透明スリット幅(t)の単位画(ptm)を描き、それ以降のコマ画(pn')はその前のコマ画(pn−1’)に対して上記重ね幅(tf)進んだ点を起点として前記一方向(X)に向かって前記一定ピッチ(T)で切りとった前記透明スリット幅(t)の単位画(ptm)を描いたものとしたことを特徴とする静止画の製作方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2a】
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【図3−2b】
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【図3−2c】
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【図3−2d】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図10−1】
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【図1−3】
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【図2−3】
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【図3−5】
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【図4−4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図7−6】
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【図9−2】
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【図10−2】
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