説明

表示装置

【課題】本発明は、防湿性を確保するとともに表示エリアの配置位置の自由度を高め、信頼性を向上させた表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の電気泳動表示装置は、電気泳動表示パネル2と、電気泳動表示パネル2の表示面側に配置される第1フレーム51と、電気泳動表示パネル2の第1フレーム51とは反対側に配置される第2フレーム52と、を有する保護フレーム5と、少なくとも第1フレーム51および第2フレーム52の電気泳動表示パネル2側の内面にそれぞれ設けられる防湿層55,56と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気泳動表示機能を有するICカードの構造としては、一般的に、防湿シートで電気泳動デバイスを覆った電気泳動表示モジュールをカードフレーム(保護ケース)の中に入れたものや、カードフレーム内の空間に敷居を設けて防湿性を有した樹脂でモールドした構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−301795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気泳動表示モジュールにはフレキシブル基板を介して集積回路基板が接続されている。このため、カードフレーム内に表示デバイス以外の周辺回路を搭載する場合、周辺回路それぞれのデバイスが信頼性を有した形態で構成しなくてはならず、周辺回路が大きくなる。また、信頼性がこの部品やデバイスより異なり、製品寿命がばらつくといった問題があった。
【0005】
さらに、図6(a)に示すように、上下の防湿層91,92の周辺部からの水分進入を防止するために十分な封止幅が必要になる。図6(b)に示すように、防湿層91,92の封止部分は非表示エリア8になるため、防湿性を十分に確保するために封止幅Wが大きくなってしまうと、カードにおける表示部(電気泳動表示モジュール90)の配置位置の制限や表示エリア7が小さくなるといった問題があった。
【0006】
また、電気泳動表示モジュールを樹脂でモールドする構造の場合、耐湿性が高く柔軟性があり信頼性を有する防湿樹脂がなく、実際は、曲げ試験等をクリアさせるために防湿性に不十分な樹脂を使っているという現状がある。さらに、電気泳動表示モジュールの下面側(表示面とは反対側)からの水分進入をモールド樹脂で防止するしかないため信頼性を高めることができなかった。
また、図6(c)に示すように、カードフレーム99内に収容された電気泳動表示モジュール90は樹脂95でモールドされているが駆動回路基板94はむき出しのままなので、駆動回路基板94に対する防湿対策は弱く、信頼性が弱いという問題がある。
【0007】
さらに、耐湿性を向上する目的でフレームや保護パネルに耐震度や水分進入を防止する材料を使う場合も、材料制限により望みの特性が出ないという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、防湿性を確保するとともに表示エリアの配置位置の自由度を高め、信頼性を向上させた表示装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表示装置は、上記課題を解決するために、表示パネルと、前記表示パネルの表示面側に配置される第1フレームと、前記表示パネルの前記第1フレームとは反対側に配置される第2フレームと、を有する保護ケースと、少なくとも前記第1フレームおよび前記第2フレームの前記表示パネル側の内面にそれぞれ設けられる防湿層と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、第1フレームおよび第2フレームの表示パネル側の内面に防湿層をそれぞれ設けたことから、保護ケース内に収容された表示パネルに対する防湿性を確保するとともに表示エリアの配置位置の自由度が高められ、信頼性を向上させた表示装置を得ることができる。
【0011】
また、前記防湿層が、前記第1フレームおよび前記第2フレームの外面にそれぞれ設けられていることが好ましい。
本発明によれば、防湿層が第1フレームおよび第2フレームの外面にもそれぞれ設けられていることから、保護ケースの内外に設けられた防湿層によって表示パネルを二重に封止することができ防湿性が向上する。
【0012】
また、前記防湿層が蒸着膜からなることが好ましい。
本発明によれば、防湿層が蒸着膜からなることから隙間のない緻密な薄膜となり、高い防湿特性が得られる。
【0013】
また、前記防湿層が、前記保護ケースの封止空間内に配置される前記表示パネルおよび当該表示パネルに接続される駆動回路基板の全体を覆うようにして形成されていることが好ましい。
本発明によれば、保護ケースの封止空間内に、表示パネルと駆動回路基板とが配置されていることから、表示パネルだけでなく駆動回路基板に対する防湿性も確保することが可能となり、動作不良などが生じにくくなり信頼性が向上する。
【0014】
また、前記保護ケースの外面全体に前記防湿層が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、保護ケースの内外の防湿層によって二重の防湿構造とすることができるので、防湿効果がより一層高められて電気泳動表示装置の長期的な信頼性を得ることができる。
【0015】
また、前記防湿層の水分透過レベルを0.1g/m・24H(40℃/90%)以下とすることが好ましい。
本発明によれば、防湿層の水分透過レベルを上記数値以下とすることでより一層防湿効果が高められ、信頼性が向上する。
【0016】
また、前記表示パネルが一対の基板間に電気泳動層を挟持してなる電気泳動表示パネルであることが好ましい。
本発明によれば、表示パネルが電気泳動表示パネルであることから、落球試験や曲げ試験等において電気泳動層の破損が防止されるので高信頼性の表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の電気泳動表示装置の全体構成を示す断面図。
【図2】(a)第1実施形態の電気泳動表示パネルの概略構成を示す部分拡大断面図、(b)マイクロカプセルの概略構成を示す断面図、(c)保護ケースの構成を示す断面図。
【図3】第2実施形態の電気泳動表示装置の概略構成を示す断面図。
【図4】第3実施形態の電気泳動表示装置の概略構成を示す断面図。
【図5】第4実施形態の電気泳動表示装置の概略構成を示す断面図。
【図6】従来の電気泳動表示装置の概略構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本発明の表示装置の一実施形態である電気泳動表示装置の全体構成を示している。図2(a)は電気泳動表示パネル2の概略構成を示す部分拡大断面図、(b)はマイクロカプセルの概略構成を示す断面図、(c)保護ケースの構成を示す断面図である。
【0020】
電気泳動表示装置(表示装置)100は、図1に示すように、電気泳動表示パネル2(表示パネル)と、フレキシブル基板3と、駆動回路基板4と、が保護ケース5内に収容された構成となっている。電気泳動表示パネル2にはフレキシブル基板3を介して駆動回路基板4が接続されている。
【0021】
電気泳動表示パネル2は、図2(a)に示すように、透明基板14(第1基板)と素子基板15(第2基板)との間に複数のマイクロカプセル20を配列してなる電気泳動層32が挟持されて構成されている。
【0022】
素子基板15は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示面とは反対側に配置されるため透明なものでなくてもよい。素子基板15の表面上には、不図示の選択トランジスタ、走査線、データ線などが形成された回路層34が形成されており、この回路層34の最表層に画素電極35が配列形成されている。画素電極35は、MgAg、ITO、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)などから形成された透明電極である。
本実施形態では、素子基板15として、厚さ100μmの無アルカリガラスAN100(旭硝子社製)を用いている。
【0023】
一方、透明基板14は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示側に配置されるため透明基板とされる。透明基板14の電気泳動層32側には複数の画素電極35と対向する共通電極(図示略)が形成されており、共通電極上に電気泳動層32が設けられている。共通電極は、画素電極35とともに電気泳動層32に電圧を印加する電極であり、MgAg(マグネシウム銀)、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)などから形成された透明電極である。
【0024】
電気泳動層32は、透明基板14と、透明基板14上に固定された複数のマイクロカプセル20とにより電気泳動シートとして取り扱われるのが一般的である。製造工程において、電気泳動シートは接着層33の表面に保護用の離型シートが貼り付けられた状態で取り扱われる。そして、別途製造された素子基板15(画素電極35や各種回路などが形成されている)に対して離型シートを剥がした電気泳動シートを貼り付けることによって表示部が形成される。本実施形態における電気泳動層32の厚さは約230μmである。
【0025】
マイクロカプセル20は、図2(b)に示すように、例えば50μm程度の粒径を有しており、内部に分散媒21と、複数の白色粒子(電気泳動粒子)27と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)26とを封入した球状体である。マイクロカプセル20は、共通電極と画素電極35とで挟持され、1つの画素40内に1つ又は複数のマイクロカプセル20が配置される。
【0026】
マイクロカプセル20の外殻部(壁膜)は、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアゴムなどの透光性を持つ高分子樹脂などを用いて形成される。
分散媒21は、白色粒子27と黒色粒子26とをマイクロカプセル20内に分散させる液体である。分散媒21としては、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、カルボン酸塩などを例示することができ、その他の油類であってもよい。これらの物質は単独又は混合物として用いることができ、さらに界面活性剤などを配合してもよい。
【0027】
白色粒子27は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば負に帯電されて用いられる。黒色粒子26は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば正に帯電されて用いられる。
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンドなどの粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤などを添加することができる。
また、黒色粒子26および白色粒子27に代えて、例えば赤色、緑色、青色などの顔料を用いてもよい。かかる構成によれば、表示部に赤色、緑色、青色などを表示することができる。
【0028】
このような構成の電気泳動表示パネル2は、図1に示すような保護ケース5内に収容されてその全体が封止されている。
【0029】
保護ケース5は、図1に示したように、板状の第1フレーム51と有底箱型を呈する第2フレーム52とからなり、第1フレーム51と第2フレーム52とによって形成される封止空間K内にフレキシブル基板3を介して接続された電気泳動表示パネル2と駆動回路基板4とが収容されている。
【0030】
第1フレーム51および第2フレーム52は電気泳動表示パネル2を挟み込むようにして配置されて保護ケース5を構成するものであって、ポリカーボネイト(PC)、塩化ビニル(PVC)あるいはPET等のシート材からなる。ここで、第1フレーム51は電気泳動表示パネル2の表示面側に配置され、第2フレーム52は電気泳動表示パネル2の表示面とは反対側の裏面側に配置され、各々の周縁部どうしが熱融着によって接合されている。
【0031】
第2フレーム52には、上記電気泳動表示パネル2等を配置させるための凹部52Aが形成されており、電気泳動表示パネル2や駆動回路基板4の大きさ、当該駆動回路基板4の数などに応じて適宜変更が可能である。第1フレーム51は、上記第2フレーム52の凹部52Aの開口側を塞ぐようにして当該第2フレーム52上に載置される。これら第1フレーム51および第2フレーム52には防湿層55,56が設けられている。
【0032】
防湿層55は、図2(c)に示すように、少なくとも第1フレーム51の内面51a(電気泳動表示パネル2側の面)であって周縁部を除いた中央部分に貼り付けられている。具体的にこの防湿層55は第2フレーム52の凹部52Aの開口面積に対応した大きさを有している。
【0033】
防湿層56は、第2フレーム52の内面全体、つまり、凹部52Aの底面52cから側面52bにかけてこれらを覆うようにして貼り付けられている。凹部52Aの開口側の防湿層56の端部は、図1に示したように保護ケース5が完成された状態において第1フレーム51側の防湿層55と繋がっている。これにより、第1フレーム51および第2フレーム52によって形成される封止空間K全体が防湿層55,56で囲われた防湿構造とされている。つまり、封止空間K内に配置される電気泳動表示パネル2およびこれに接続される駆動回路基板4の全体を覆うようにして防湿層55,56が形成されている。
【0034】
防湿層55,56は、無機膜が形成された複数のフィルムが接着剤を介して積層されてなる多層フィルムタイプの防湿層からなり、例えば、シリカやアルミナ等の透明で且つ防湿性を有する無機膜をポリカーボネートやPETのような有機フィルムに形成することによって防湿性能を付加したフィルム製のものである。
【0035】
具体的に防湿層55,56は、厚さ15〜25μmのPET基材にSiOなどをスパッタした蒸着シート(蒸着膜)を3〜5層に積層してなるもので、水分の透水率が0.05g/m・24H(40℃/90%)以下とされている。
【0036】
[製造方法]
以下、本実施形態の電気泳動表示装置の製造方法について説明する。
まず、PC(ポリカ−ボネイト)、PVC(塩化ビニル)或いはPET等のシ−ト材料で作った第2フレーム52の凹部52Aの底面52cと側面52bに、15〜25μmのPET基材にSiO等をスパッタしそれらシートを3〜5層に積層した透水率0.05グラム/m2・24H(40度/90%)以下の防湿層56(防湿フィルム)を貼る。
次に、各フレーム52と同じ材料で出来た厚み約200μmの平板からなる第1フレーム51の内面51aに印刷等デザインした化粧パネルのカード内側面に前述の防湿層55(防湿フィルム)を貼り合せる。
次に、電気泳動層32を、画素回路を形成した素子基板15とPETからなる基板にITOを蒸着した透明基板14で挟み込み、素子基板15上に設けられた入出力端子をフレキシブル基板3で表示をコントロールする駆動回路基板4と接続する。
この電気泳動表示パネル2を前述の保護ケース5に投げ込み固定し、第1フレーム51を第2フレーム52に被せ、第1フレーム51および第2フレーム52の周縁部どうしを150〜180℃の熱を加えて溶着させて接合させる。第1フレーム51と第2フレーム52とが熱溶着により接合されていることから、接合部分からの水分の浸入が阻止されて高い防湿効果が得られる。
このようにして得られる電気泳動表示装置100においては、防湿層55,56により電気泳動表示パネル2及び駆動回路基板4、電池を保護することで、耐湿性が高く、表示エリアも広く、且製品寿命の長い電気泳動表示装置100となり、ICカードに好適に用いることができる。
【0037】
本実施形態の電気泳動表示装置100は、保護ケース5の内側に防湿層55,56を設けることによって、電気泳動表示パネル2だけでなくフレキシブル基板3や駆動回路基板4の防湿性も確保できる。
また、従来のように電気泳動表示パネル2の外周を覆っていた防湿層が不要になるのでフィルムの封止部分がなくなる。これにより、非表示エリアを狭くして表示エリアを広く確保することが可能になるだけでなく、表示部の配置位置の制限も緩和されて設計自由度が増すという効果が得られる。
【0038】
また、保護ケース5自体に防湿性を付与するのは材料を選定する上で困難であるが、本実施形態の構成によれば、保護ケース5やその他の部材に防湿性を付与する必要がないため、材料の選択幅が広がるとともにコストも削減できる。
【0039】
また、本実施形態の防湿層55,56の水分透過レベルは、0.05g/m・24H(40℃/90%)以下とされている。これにより、防湿効果がより一層高められて信頼性が向上する。
【0040】
したがって、本実施形態の構成によれば、耐湿性が高く、表示エリアも広く、かつ、製品寿命の長い高信頼性の電気泳動表示装置100が得られる。このような電気泳動表示装置100はICカードとして好適に用いることが可能である。
【0041】
[第2実施形態]
図3は、本発明の表示装置にかかる第2実施形態の電気泳動表示装置200の概略構成を示す断面図である。
図3に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置200は、少なくとも第1フレーム51の内面51aと第2フレーム52の底面52cのみに防湿層55,56が設けられた構成となっている。
先の実施形態では、第2フレーム52の凹部52Aの内壁面全体(底面52cおよび側面52b)に防湿層56が設けられていたが、凹部52Aの底面52cのみに設けられていてもよい。
【0042】
保護ケース5の側方における防湿性は、第2フレーム52の側壁部分の樹脂厚によって確保することが可能である。第2フレーム52の側壁部52Bは底部52Cや第1フレーム51の樹脂厚(板厚)に比べて倍以上、本実施形態では3倍程度の厚みを有している。このため、第1フレーム51や第2フレーム52の底部52Cと比較すると防湿性が高い。よって、少なくとも第1フレーム51の内面51aおよび第2フレーム52の凹部52A内の底面52cに防湿層55,56を設けることで電気泳動表示パネル2等に対する防湿性を確保した構成となっている。
【0043】
このような本実施形態の電気泳動表示装置200を製造する際には、まず、防湿層56を第2フレーム52の凹部52Aの底面52cのみに貼り、また、第1フレーム51の内面51aに防湿層55を貼り、前述の電気泳動表示パネル2を第2フレーム52の凹部52A内の底面52c上(防湿層56上)に載置させて固定し、この凹部52Aの開口を塞ぐようにして第1フレーム51を被せて第2フレーム52と熱溶着させて保護ケース5を製造する。このようにして本実施形態の電気泳動表示装置200を得る。
【0044】
本実施形態の構成によれば、少なくとも保護ケース5の防湿性が低い部分に防湿層55,56を設けるようにすることで電気泳動表示パネル2等に対する防湿性が確保される。また、第2フレーム52の側面52bに防湿層56がないことで、表示エリアをより広くとることができる。
【0045】
[第3実施形態]
図4は第3実施形態の電気泳動表示装置の概略構成を示す断面図である。
図4に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置300は、保護ケース5の外面全体に防湿層57が貼り付けられている。先の実施形態では、保護ケース5の内側に防湿層が貼り付けられていたが、本実施形態では保護ケース5の内面には防湿層を設けず、保護ケース5の外面全体を覆うようにして防湿層57が貼り付けられている。
【0046】
防湿層57は、第1フレーム51と第2フレーム52とが熱融着によって接合されて保護ケース5が構成された後に貼り付けられる。防湿層57は、複数の防湿層からなっていてもいいし、1枚の防湿層からなっていてもよく、各端部同士が確実に繋がっていて隙間がない状態(一体)となっている。
【0047】
本実施形態の電気泳動表示装置300を製造する際には、第2フレーム52の凹部52A内に電気泳動表示パネル2を配置して固定し、第1フレーム51と第2フレーム52とを熱溶着させて完成させた保護ケース5の周囲全体を覆うようにして前述の防湿層57を貼り付ける。このようにして本実施形態の電気泳動表示装置300を得る。
【0048】
本実施形態の構成によれば、保護ケース5の外周面全体を覆うようにして防湿層57が設けられているので、内側に防湿層を形成する場合よりも製造が容易になるとともに、外側から視認することができるので、防湿層57の欠陥を早期に発見して改善することができる。また、保護ケース5を解体することなく防湿層57の劣化状態などを随時確認することができるため、メンテナンスが容易となり、電気泳動表示パネル2に対する防湿性を長期的に確保することができる。
したがって、本実施形態の構成によれば、表示エリアを拡大化し、かつ、製品寿命を高めることができる。
【0049】
[第4実施形態]
図5は、第4実施形態の電気泳動表示装置の概略構成を示す断面図である。
図5に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置400は、保護ケース5の表裏面側のみに防湿層58,59が設けられている。先に記載した第3実施形態では保護ケース5の周囲全体を覆うようにして防湿層が設けられていたが、本実施形態では保護ケース5の第1フレーム51の外面51d全体と第2フレーム52の外面52d全体に防湿層58,59が設けられている。保護ケース5の側方における防湿性は、第2実施形態で述べたように、第1フレーム51および第2フレーム52の底部に比べて第2フレーム52の側壁部52Bの樹脂厚が厚くなっているため、上記第1フレーム51および第2フレーム52の底部52Cよりも防湿性が高い。
【0050】
よって、少なくとも保護ケース5のうち防湿性が低くなりやすい部分(第1フレーム51の外面51dおよび第2フレーム52の外面52d)に防湿層58,59を設けることによって、内部に収容された電気泳動表示パネル2等に対する防湿性は確保される。
【0051】
本実施形態の電気泳動表示装置400を製造する場合には、第2フレーム52の凹部52A内に電気泳動表示パネル2を配置して固定し、第1フレーム51と第2フレーム52とを熱溶着させることによって保護ケース5を形成し、保護ケース5の表裏面のみに防湿層58,59を貼り付けることによって本実施形態の電気泳動表示装置400を製造する。
【0052】
本実施形態の構成によれば、保護ケース5の外側の側周面における防湿層を省くことで先に記載の第3実施形態の電気泳動表示装置に比べて容易に製造することが可能となる。また、材料にかかるコストも低減することができる。
したがって、本実施形態の構成によれば、表示エリアを拡大化し、かつ、製品寿命を高めることができる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0054】
先の実施形態では、保護ケースの内側か保護ケースの外側のいずれかに防湿層を設けた構成についてそれぞれ述べたが、保護ケースの内側と外側の両方に防湿層を設けて二重封止構造としてもよい。
【0055】
また、保護ケース5の構成は上述したものに限られることなく、例えば、一対の第1フレーム51と、これら第1フレーム51の間に配置され電気泳動表示パネル2を収容するための貫通孔が形成された第3フレームと、を有して保護ケースが構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100,200,300,400 電気泳動表示装置(表示装置)、2 電気泳動表示パネル(表示パネル)、5 保護ケース、7 表示エリア、8 非表示エリア、 K 封止空間、32 電気泳動層、51 第1フレーム、51a 内面、51d 外面、52 フレーム、52 第2フレーム、52A 凹部、52B 側壁部、52C 底部、52b 側面、52c 底面、52d 外面、55,56,57,58 防湿層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルの表示面側に配置される第1フレームと、前記表示パネルの前記第1フレームとは反対側に配置される第2フレームと、を有する保護ケースと、
少なくとも前記第1フレームおよび前記第2フレームの前記表示パネル側の内面にそれぞれ設けられる防湿層と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記防湿層が、前記第1フレームおよび前記第2フレームの外面にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記防湿層が蒸着膜からなることを特徴とする請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
前記防湿層が、前記保護ケースの封止空間内に配置される前記表示パネルおよび当該表示パネルに接続される駆動回路基板の全体を覆うようにして形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記保護ケースの外面全体に前記防湿層が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記防湿層の水分透過レベルを0.1g/m・24H(40℃/90%)以下とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示パネルが一対の基板間に電気泳動層を挟持してなる電気泳動表示パネルであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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