説明

表面処理機器

【課題】操作性が向上した表面処理機器を提供する。
【解決手段】真空掃除機などの表面処理機器(200)は、本体(210)と、表面処理ヘッド(230)と、支持体組立品(220)とを備える。支持体組立品は、本体(210)を表面に沿って転動させることを可能にするために本体(210)に回転可能に装着される。支持体組立品(220)は、また、表面攪拌装置を駆動するモータなどの、機器の構成部材を収容する。それに代えて、あるいは付加的に、支持体組立品は、流体の流れを受け入れる流体導入口(531)と、流体を排出する流体排出口(535)と、フィルタあるいは吸気装置など、入口が受け入れた流体の流れに作用する手段とを収容することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空掃除機などの表面処理機器に関する。
【背景技術】
【0002】
真空掃除機および床研磨機などの表面処理機器はよく知られている。真空掃除機の主流は、「直立」型や、国によってはキャニスタまたはバレルクリーナと呼ばれている「筒」型のものである。DC04(DC04はダイソンリミテッドの商標)の名称でダイソンリミテッドが製造する直立型真空掃除機を図1 に示す。該真空掃除機は、真空掃除機の主要構成部材を収容する本体102を備える。本体の下部106は、汚染空気を掃除機に引き込むためのモータおよびファンを収容し、本体は、また、ファンによって汚染空気流からゴミ、ホコリおよび他の屑を分離するための何らかの形式の分離装置104を収容する。本体102は、また、浄化された空気流の微粒子を捕捉するためのフィルタを収容する。本体102の下端には、クリーナヘッド108が点Aを中心に回転可能となるように装着されている。クリーナヘッドが回転する中心となる軸は、水平に向けられている。本体の下部106の各々の側部には、支持車輪107が本体102と固定関係で装着されている。使用に際して、ユーザは、真空掃除機の本体102を傾け、次いで掃除機の本体に固定されたハンドル116を押したり引いたりする。真空掃除機は、支持車輪107で床の表面に沿って転動する。
【0003】
汚染空気導入口112が、クリーナヘッド108の下側に配置されている。汚染空気は、モータ駆動ファンにより、汚染空気導入口112を介してホコリ分離装置104に引き込まれる。汚染空気は、第1の通風ダクトによってホコリ分離装置104に誘導される。空気中に含まれるゴミおよびホコリが分離装置104で空気流から分離されると、空気は、第2の通風ダクトにより、1つまたは複数のフィルタを介して清浄空気排出口に誘導され、大気中に放出される。
【0004】
従来の直立真空掃除機は、それを使用する領域周りでの操作が困難になり得るという欠点を有する。押したり引いたりすることは楽にできるが、掃除機を新たな方向に向けるのはより困難である。静止状態から、または掃除機を前方または後方に移動させながら、側方向きの力をハンドルに加えることによって掃除機を新たな方向に向けることができる。これによって、クリーナヘッドは、新たな方向を向くように床表面を引きずられる。本体102とクリーナヘッド108との間の唯一の結合は、床表面と平行を維持する水平に向けられた軸Aを中心に生じる。いくつかの直立真空掃除機では、支持車輪107は、本体ではなくクリーナヘッドに装着されている。しかし、先述したように、本体は、水平に向けられた軸を中心に回転可能にクリーナヘッドに装着される。
【0005】
直立真空掃除機の操作性を高めるための試みがなされてきた。操作性が向上した直立真空掃除機のいくつかの例が、特許文献1および特許文献2に示されている。これらの文献のいずれにおいても、真空掃除機は、モータ筐体と一対の車輪とを含む基部を有し、基部と本体との間の接続部に自在継手が組み込まれていることにより、車輪の回転軸に垂直に向けられるとともに水平方向に対して傾斜した軸を中心とした、基部に対する本体の回転移動が可能となっている。
【0006】
さほど一般的でない他のタイプの真空掃除機は、非常に細いスティック状の本体を有するために「スティック掃除機」と呼ばれるものである。その一例が特許文献3に示されている。掃除機の基部にクリーナヘッドのみが存在し、掃除機の他のすべての構成部材が本体に組み込まれていることが多い。スティック掃除機は、従来の直立掃除機より軽量で容易に操作できるが、ホコリ分離器が小さく、モータ動力が低く、フィルタがあったとしても小さいため、その操作性の向上には性能低下という欠点が伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,323,510号明細書
【特許文献2】米国特許第5,584,095号明細書
【特許文献3】欧州特許第1,136,029号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、操作性が向上した表面処理機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、本体と、該本体に取り付けられ、該機器を表面に沿って転動させることを可能にするために前記本体に対して転動するように構成された支持体組立品と、を備え、前記支持体組立品は、該機器の少なくとも1つの構成部材を収容していることを特徴とする表面処理機器を提供する。
【0010】
転動する支持体組立品を設けることによって機器の操作性が向上し、機器の構成部材を支持体組立品内に配置することによって支持体組立品内のスペースが有効に使用される。また、それによって機器の安定性も増す。
【0011】
構成部材は、表面攪拌装置を駆動するモータとするか、あるいは流体の流れに作用する手段とすることができ、その場合は流体導入口および排出口を支持体組立品内に設けることができる。流体の流れに作用する手段は、モータ駆動のインペラ、フィルタもしくは何らかの形式の分離装置などの吸気を生成する手段とすることができる。
【0012】
好ましくは、この構成部材は、その質量中心が支持体組立品の中心に位置合わせされるように支持体組立品内に収容され、それによって操作性がさらに向上する。モータを支持体内に配置することによって、機器全体の質量中心が床面近くに維持される。
【0013】
好ましくは、回転可能な支持体組立品に支持を与える特徴部と空気を組立品内へおよび/または組立品外へ導く特徴部とを、中空の内部収集部を設けることによって組み合わせる。
【0014】
「表面処理機器」という用語は、広い意味を持つように意図され、表面を移動して何らかの形式で表面を洗浄または処理するためのヘッドを有する広範囲な機械を含む。それは、とりわけ、真空掃除機( 乾式、湿式および乾/湿式)のような表面から物質を引き込むように表面に吸引作用を加える機械、ならびに、研磨/ワックス処理機、圧力洗浄機、地面マーキング機および敷物等洗浄機のような表面に物質を作用させる機械を含む。また、芝刈り機および他の切断機も含む。
【0015】
次に、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】知られているタイプの真空掃除機を示す図である。
【図2】知られているタイプの真空掃除機を示す図である。
【図3】本発明の実施形態による真空掃除機を示す図である。
【図4】使用時における図3の真空掃除機を示す図である。
【図5】使用時における図3の真空掃除機を示す図である。
【図6】図3〜5の真空掃除機のクリーナヘッドと本体との間の接続を示す図である。
【図7】図3〜5の真空掃除機のクリーナヘッドと本体との間の接続を示す図である。
【図8】真空掃除機のローラ組立品を示す図である。
【図9】真空掃除機のローラ組立品を示す図である。
【図10】真空掃除機のローラ組立品を示す図である。
【図11】使用時におけるローラ組立品を示す図である。
【図12】使用時におけるローラ組立品を示す図である。
【図13】真空掃除機のローラ組立品の断面図を示す図である。
【図14】ローラ組立品内にフィルタを収容する方法を示す図である。
【図15】ローラ組立品内にフィルタを収容する方法を示す図である。
【図16】ローラ組立品内にフィルタを収容する方法を示す図である。
【図17】ローラ組立品内にモータおよびフィルタを収容する代替的な方法を示す図である。
【図18】ローラ組立品の代替的な形を示す図である。
【図19】ローラ組立品の代替的な形を示す図である。
【図20】ローラ組立品の代替的な形を示す図である。
【図21】ローラ組立品の代替的な形を示す図である。
【図22】2つの回転部材を備えたローラ組立品を示す図である。
【図23】2つの回転部材を備えたローラ組立品を示す図である。
【図24】2つの回転部材を備えたローラ組立品を示す図である。
【図25】2つの回転部材を備えた代替的なローラ組立品を示す図である。
【図26】より多数の回転部材を備えた代替的なローラ組立品を示す図である。
【図27】本体をクリーナヘッドに接続する代替的な方法を示す図である。
【図28】本体をクリーナヘッドに接続する代替的な方法を示す図である。
【図29a】第1の(固定)位置で本体をクリーナヘッドに接続するための機構の一部の正面斜視図である。
【図29b】第2の(非固定)位置における図29aの機構の側面図である。
【図29c】線I−I’に沿う図29aの機構の一部の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図3〜13は、本体210と、ローラ組立品220と、クリーナヘッド230とを備えた真空掃除機200の第1の実施形態を示す。
【0018】
クリーナヘッド230は、従来の直立真空掃除機と同様に、床表面を処理する働きをする。本実施形態において、クリーナヘッドは、ブラシ棒232を支持するためのチャンバを有する筐体を備える(図6)。チャンバの下方の床に直面する側は、空気導入口233を有し、ブラシ棒232は、ブラシ棒232の剛毛が導入口233を通して突出してクリーナヘッド230が通過する床表面を攪拌できるようにチャンバに回転可能に取り付けられる。ブラシ棒232は、クリーナヘッド230に配置された専用モータ242によって回転可能に駆動される。駆動ベルトは、モータ242をブラシ棒232に接続する。これによって、吸引ファンとブラシ棒との間に駆動接続部を設ける必要性が回避される。しかし、流入または排出空気流や、あるいは吸引ファンを駆動するのにも使用されるモータへの連結によって駆動されるタービンなど、他の手段でブラシ棒を駆動することもできることが理解されるであろう。あるいは、モータとブラシ棒との連結は、歯車連結によるものとすることができる。代替的な実施形態において、機械が全面的に吸引に依存するか、または他の形式の表面攪拌に依存するように、ブラシ棒をそっくり取り除くことができる。他のタイプの表面処理機については、クリーナヘッド230は、研磨部品パッド、液体またはワックス分配ノズル等の適切な床表面処理手段を含むことができる。クリーナヘッド2 3 0 の下面は、表面の移動を容易にするための小さなローラを含むことができる。
【0019】
クリーナヘッド230は、広範囲な動作位置を介して本体を操作する場合に、例えば横方向に移動させるときや、本体210をその長手軸211を中心に旋回させるとき、クリーナヘッド230が床表面と接触を維持するようにして、真空掃除機の本体210に接続される。ヨーク235は、以下により詳細に説明する方式で、本体210をクリーナヘッド230に接続する。
【0020】
本体210は、本体210の基部に位置するローラ組立品220に回転可能に接続される。ローラ組立品220は、装置を表面に沿って容易に押したり引いたりすることを可能にする。ローラ組立品220の形状と、本体210及びローラ組立品220の接続と、ローラ組立品220及びクリーナヘッド230の接続とによって、従来の真空掃除機よりも装置を容易に操作することが可能になる。左側において、本体210とローラ組立品220との間の機械的接続は、本体210の基部から下方に延びるアーム540によるものである。図13により詳細に示されるように、アーム540は、ローラシェル510が回転可能に装着されたシャフト519を受けるためのスリーブ541を含む。機械の右側において、図13に最も良く示されるように、本体210とローラ組立品220との間の接続はフローダクト531、535によるものである。
【0021】
本体210は、本体210の上部から上方に延びるハンドル212を有する。ハンドルは、ユーザがハンドルを快適に把持し、装置を操作できるようにする把持部213を有する。把持部は、それを把持することを容易にするために特別に成形または処理(ゴム引き)されたハンドルの一部であるか、または図3〜6に示されるように、ハンドルの長手軸に対して所定の角度でハンドルに接続された追加的な部分でありうる。
【0022】
ローラ組立品220の外装シェル510は、図8〜10により詳細に示されている。便利には、外装シェル510は、その一方が図9に示されている2つの半体から構成され、穴586に位置する取付具によってそれらを互いに固定することができる。本実施形態において、ローラ220の全体的形状は、樽に似ている。長手軸の方向に沿って外面の形状を見ると、全体的に平坦な中央領域580と、シェル510の直径または幅が小さくなる各末端に位置する弧状領域585とが存在する。中央の平坦領域580は、一定の直径を有し、ローラ組立品の全長の約25%に及んでいる。機械は自然と真っ直ぐに移動し、後方移動時に揺動する可能性が小さいため、平坦な中央領域は、ユーザが機械を直線移動させるのを補助することを確認した。本発明の有益性を確保しながら、中央領域の幅を要望に応じて増減することができる。ユーザが機械を異なる方向に向けたいときは、弧状の外側領域585は、本体が片側に転動することを可能にする。表面に対する把持力を向上させるために、ローラシェル510の外面に隆条511が設けられる。硬い床、つるつるした床または濡れた床のような滑りやすい表面に対する把持を補助するために、ローラシェル510の最外面に滑り止め構造または被膜を設けることも有益である。ローラ組立品の長さは、真空掃除機の本体210の幅に実質的に等しい。機械の幅全体に亘って連続的な支持面を提供することで、広範囲な動作位置を介して機械を操作するときに、ユーザに確実な支持感を与える。このローラ組立品の形状の代替態様については後に説明する。
【0023】
図11を参照すれば、ローラ表面の形状は、ローラ組立品の質量中心590が、機械を立て直す位置に常に留まるように選択される。これを証明するために、図12は、ローラをその最外縁に転向させても、質量中心590が、表面に垂直に引かれた線592の右に位置し、ローラ組立品は安定位置に戻る傾向があることを示す。
【0024】
ローラ表面の弧状領域585は、また、弧状の表面に沿って中央領域580から離れるに従って、ローラ組立品の質量中心590とローラシェルの表面上の点との間の距離が大きくなるように選択される。この形状の効果は、ローラが通常の直進位置からさらに転向されるに従って、ローラを転向するのにますます大きな力を必要とすることである。ローラシェル510の長手軸の各末端における直径は、本体が片側に転動できる範囲を定める。これは、本体、特にダクト531,535がローラ組立品に入る点と床表面との間に、この最も極端な位置において十分な間隔ができるように選択される。
【0025】
本体210とクリーナヘッド230との間の機械的接続部を図6および7に示す。本実施形態において、本体210とクリーナヘッド230との間の接続部は、ローラ組立品220の回転軸221の各末端に装着されたヨーク235の形をとる。その接続部を図13にさらに詳細に示す。ヨーク235は、本体210と無関係に回転できる。ヨーク235の前方中央部には、中間アーム243を備えた継手237が存在する。中間アーム243は、ヨーク235をクリーナヘッド230に接続する。中間アーム243の他端は、ピボット241を中心に旋回可能にクリーナヘッド230に装着される。継手237は、それぞれのチューブが互いに摺動できるタイプのものである。この継手接続部237の平面が、線238で示されている。継手の平面238は、中間アーム243の長手軸に対して非直角に形成される。(機械が前進位置にあるときの)床表面に対して実質的に垂直である角度、またはこの位置から図6に示される位置までさらに傾斜した角度が効果的である。中間アーム243もクリーナヘッド230からの空気流を運ぶため、継手237は、中間アーム243がヨーク235に対して移動する際に気密シールを維持する。
【0026】
ヨーク235および継手237の旋回装着部241のこの構成により、クリーナヘッド230が床表面との接触を維持している間、本体210をローラ組立品220とともにその長手軸211を中心に螺旋状に回転させることが可能になる。また、この構成により、本体がその長手軸211を中心として回転するのに伴ってクリーナヘッド230が新たな方向を向く。図3は、前後の直線移動に対する位置を示すのに対し、図4および5は、2つの異なる転向位置における真空掃除機を示す。図3において、本体210は、傾斜して動作位置になる。ローラ組立品220の長手軸221は、床およびクリーナヘッド230の長手軸231と平行である。したがって、掃除機は直線移動する。本体は、該本体の長手軸211が床表面と垂直になる完全直立位置と、該本体の長手軸211が床表面と実質的に平行になる完全傾斜位置との間をどこでも移動できる。
【0027】
図4は、左方に転向する真空掃除機を示す。本体210は、その長手軸211を中心として反時計回りに回転される。これによって、ローラ組立品220の長手軸221が床に対して傾斜し、始動直進位置に比べて左方を向く位置に起き上がる。本体210とクリーナヘッド230との間の傾斜継手237により、クリーナヘッド230が左方を向く。ヨーク235と本体210との間、および、中間アーム243とクリーナヘッド230との間の旋回可能接続は、本体が回転されるに従ってヨーク235の高さが変化しても、クリーナヘッドが床との接触を維持することを可能にする。ローラの弧状領域585は、本体210に対して支持を提供しながら、本体をこの位置まで転動させることを可能にする。本体210を反時計回りに転動させる範囲によって、クリーナヘッド230が、その前方向き位置から左方へ移動する範囲が決まる。ローラ組立品の小径部585は、本体が片側に転動するのを可能にするばかりでなく、真空掃除機の転向サークルを引き締める。
【0028】
図5は、右方に転向する真空掃除機を示す。これは、左方の転向について先述したものと反対である。本体210は、その長手軸211を中心に時計回りに回転される。これによって、ローラ組立品220の長手軸221が床に対して傾斜し、始動直進位置に比べて右方を向く位置に起き上がる。本体210とクリーナヘッド230との間の継手237により、クリーナヘッド230は、床との接触を維持しながら右方を向く。ローラの弧状領域585は、本体210に対して支持を提供しながら、本体をこの位置に転動させることを可能にする。本体210を時計回りに転動させる範囲によって、クリーナヘッド230が、その前方向き位置から右方へ移動する範囲が決まる。
【0029】
本体210は、機械のファンおよびモータによって引き込まれる汚染空気流からゴミ、ホコリおよび/または他の屑を除去する働きをする分離装置240、245を収容する。分離装置は多くの形をとることができる。例えば欧州特許第0,042,723号明細書により詳細に記載されているタイプの、ゴミおよびホコリを空気流からスピンさせるサイクロン分離装置が好ましい。
【0030】
サイクロン分離装置は、互いに直列に配置された2つのサイクロン分離ステージを含むことができる。第1のステージ240の円筒壁チャンバで、第2のステージ245は、先細りの実質的に円錐形のチャンバ、または互いに平行に配列されたこれら先細りのチャンバの集合体である。図3において、空気流は、ダクト236によって第1のサイクロンチャンバ240の上部へと接線方向に誘導される。より大きい屑および粒子は、第1のサイクロンチャンバで除去、回収される。次いで、空気流は、シュラウドを通って、より小さい円錐形サイクロンチャンバの集合体に達する。より細かいホコリは、これらのチャンバによって分離され、分離されたホコリは共通の回収領域に回収される。分離器の第2の集合体は直立型で、上部に流体導入口および排出口を、下部にゴミ排出口を備え、またはその逆に、下部に流体導入口および排出口を、上部にゴミ排出口を備えることができる。しかし、ゴミ分離装置の性質は、本発明の本質ではなく、従来の袋型フィルタ、多孔箱型フィルタ、静電分離器、または他の形の分離装置のような他の手段を使用して、空気流からのゴミの分離を同等に行うことが可能である。真空掃除機でない装置の実施形態では、本体は、機械によって実施される作業に適した装置を収容することができる。例えば、床研磨機では、本体は、液体ワックスを貯蔵するためのタンクを収容することができる。
【0031】
併用されることによって空気を装置に引き込むための吸気を発生させるファンと該ファンを駆動するためのモータとは、ローラ組立品220の内部に装着されたチャンバに収容される。
【0032】
いくつかの空気流ダクトは、機械の各部に空気流を運ぶ。第1に、空気流ダクトは、クリーナヘッド230を真空掃除機の本体に接続する。この空気流ダクトは、ヨーク235の左側アーム(図3)内に配置される。他のダクト236は、汚染空気流をヨーク235から本体の分離装置240に運ぶ。ヨーク235からの空気流、または機械の分離ホースからの空気流を分離装置240に運ぶかどうかを選択するために切換機構が設けられる。このタイプの好適な機構は、本出願による国際公開第00/21425号パンフレットにより詳細に記載されている。
【0033】
他の空気流ダクト531は、分離装置245の排出口をローラ組立品220内のファンおよびモータに接続し、さらなる空気流ダクト535は、ファンおよびモータの排出口を本体210のモータ後置フィルタに接続する。
【0034】
分離装置240、245の空気流路下流に1つまたは複数のフィルタが設けられる。これらのフィルタは、分離装置240、24 によって空気流からまだ除去されていないあらゆるホコリの微粒子を除去する。モータおよびファン520の前にモータ前置フィルタと呼ばれる第1のフィルタを設け、モータおよびファン52 の後にモータ後置フィルタと呼ばれる第2のフィルタ550を設けるのが好ましい。吸引ファンを駆動するためのモータがカーボンブラシを有する場合には、モータ後置フィルタ520は、ブラシによって放出されるあらゆるカーボン粒子を捕捉する働きもする。
【0035】
フィルタ組立品は、一般には、フィルタ筐体に配置された少なくとも1つのフィルタを備える。一般に、フィルタ組立品によって捕獲されるホコリの量を最大にするために、2つまたは3つのフィルタがフィルタ組立品に直列に配置される。1つの知られているタイプのフィルタは、空気流内に直に配置され、大きなホコリ保持能力を有する泡沫フィルタを備える。次いで、泡沫フィルタから流出するあらゆるホコリを保持するために、1ミクロン未満の粒子のような微小ホコリ粒子を捕捉することが可能である静電またはHEPAグレードフィルタが、泡沫フィルタの下流に設けられる。このような知られている配置においてフィルタ組立品から出ることのできるホコリは非常にわずかか、またはゼロである。好適なフィルタの例が、本出願人による国際公開第99/30602号パンフレットおよび国際公開第01/45545号パンフレットに示されている。
【0036】
本実施形態において、1つまたは複数のフィルタがいずれも本体210に装着される。
【0037】
図13は、ローラ組立品220の詳細断面図である。既に図8〜10に示した外装シェル510は、本体210に対して回転できるように装着される。ローラシェル510内の主要構成部材は、モータバケット515と、ファンおよびモータユニット520とされる。左側には、支持アーム540が、ローラシェルの端面に沿って本体210から下方に延びている。シャフト519は、ローラシェル510の端面の中心部の穴を通る。シャフト5 19は、アーム540のスリーブ部品541によって支持される。ローラシェル510は、ベアリング518によってシャフト519に回転可能に支持される。シャフト519は、ローラシェル510の長手軸(および回転軸)に沿って延びて、モータバケット515 の端面のポケット525内に位置する。機械の右側において、ローラシェル510は、導入口531および排出口535のダクトを収容するために、その側面にはるかに大きい開口部を有する。導入および排出ダクト531、535は、いくつかの目的を果たす。それらは、ローラシェル510およびモータバケット515の両方に対して支持を提供し、モータバケット515に空気を送入またはモータバケット515から空気を送出する。ローラシェル510は、ベアリング516によってモータバケット515に回転可能に支持される。モータバケット515は、本体210に固定関係で装着され、ダクトを支持する。すなわち、機械が表面に沿って移動すると、モータバケット515は、本体および支持ダクトとともに移動し、ローラシェル510はモータバケット515の周りを回転することができる。モータバケット515は、部品526によってダクト531、535に固定されている。ダクト531および535は、モータバケット515の内部に連通する。ダクト531は、空気流を本体210の分離装置240、245からモータバケット515の内部へ直接送り込む。ファンおよびモータユニットをモータバケット515内に装着すると、モータバケット515およびローラシェル510は、層510と層515との間に空隙を有する、ファンおよびモータユニット520に対する二層筐体を形成するため、ノイズが低減される。
【0038】
ファンおよびモータユニット520は、モータバケット515およびローラシェル510の長手軸に対して所定の角度でモータバケット515内に装着される。これは2つの目的を果たす。第1に、モータ520の重量をローラシェルの中心の周りに均一に分配し、すなわちファンおよびモータユニットの重心をローラ組立品全体の重心に合わせ、第2に、導入ダクト531からファンおよびモータユニット520への空気流路を改善する。ファンおよびモータユニット520は、長手軸の各末端における留め具によって、モータバケット515内に支持される。左側において、外方向に延びるリブ521の間の空洞にモータの部品522を受ける。右側において、外方向に向かって先細になる通気筒532が、導入ダクト531をファンおよびモータユニット520の導入口に接続する。通気筒53 2の下流末端はフランジ532を有し、該フランジが、ファンおよびモータユニット52 0に嵌合して、ファンおよびモータユニット520を支持する。さらに、ファンおよびモータユニット520を囲み、フランジ523とモータバケット515の内面との間に嵌合するウェブ524によってさらなる支持が提供される。通気筒532は、また、モータバケットからの流入および流出空気流を互いに分離させる。
【0039】
空気は、導入ダクト531および通気筒532によって、ローラ組立品内のファンおよびモータユニット520に運ばれる。空気流は、ファンおよびモータユニット520を通過すると、モータバケット515によって収集されて排出ダクト535の方へ誘導される。排出ダクト535は、空気流を本体210に運ぶ。
【0040】
排出ダクト535は、本体210の下部に接続される。本体の部品552は、モータ後置フィルタ550に対するフィルタ筐体である。ダクト535からの空気は、フィルタ筐体の下面に運ばれ、自らフィルタ550を通過し、次いでフィルタ筐体552の通気孔を通して大気中に排出される。通気孔は、フィルタ筐体552の周りに配分されている。
【0041】
機械が直立位置にあるときに支持を提供するために、機械にスタンド組立品260、262が設けられる。スタンド組立品は、本体210を完全直立位置にすると自動的に配備され、本体210を完全直立位置から傾斜させると引っ込められるように配置される。
【0042】
上述した構成に対する広範囲な代替構成が存在し、そのうちのいくつかを次に説明する。
【0043】
上述した実施形態では、空気流は、ローラシェルの片側から、ローラシェル510に送入、かつローラシェル510から送出され、ローラシェル510の内部の空間は、モータバケット515とファンおよびモータユニット520とを収容するのに利用される。ローラシェル510の内部の空間を他の用途に利用することができ、図14から16は、これら代替用途のいくつかを示す。図14〜16の各々において、フィルタはローラシェル600内に収容される。図14において、円筒状フィルタ組立品605が、その長手軸をローラシェルの長手軸の位置に合わせて、ローラシェル600内に収容される。空気流導入ダクト601は、真空掃除機の本体210の分離装置240、245の排出口からの空気をローラシェル600の内部に運ぶ。空気流排出ダクト602は、ローラシェル600の内部からの空気流を運ぶ。ローラシェルは、ベアリング603によってダクト601、602を中心に回転可能に取り付けられる。フィルタ605は、ダクト601、602によって支持される。使用に際して、空気は、導入ダクト601から流れ、フィルタ605の外側をまわって放射状に内方向に流れ、フィルタ媒体を通って、フィルタ605の中心コアに達する。次いで、空気は、コアに沿って流れ、排出ダクト602を介してローラシェル600から出る。
【0044】
図15において、フィルタ610は、ローラシェル600を横切って横方向に装着される。ローラシェル610の内面には、フィルタ610を所定の位置に固定するための好適な留め具を設けることができる。図15における空気流ははるかに単純である。空気は、導入ダクト611から、ローラシェル600の内部を通り、フィルタ媒体610を通った後に、排出ダクト612を介してローラシェルを出る。フィルタ材料は、泡沫や、平坦なフィルタ紙、あるいは、空気流に触れさせるフィルタ媒体の表面積を大きくするためにひだ状になったフィルタ紙を含むことができる。
【0045】
図16は、フィルタ625が、その長手軸をローラシェル600の長手軸の位置に合わせて装着されているという点において図14と類似している。顕著な差は、空気が、ローラシェル600の孔を介して直接大気中に排出されうることである。ダクト622は、ローラシェルに対する機械的支持を提供し、空気流を運ばない。
【0046】
フィルタにアクセスするために、ローラシェル600にハッチを設けることができる。しかし、今や多くのフィルタは、機械の正規の耐用期間中に交換する必要のない長寿命フィルタであるため、アクセスしにくい形態で、ローラシェルにフィルタを嵌合させることが受け入れられる。
【0047】
これらの実施形態の各々において、図13でモータバケット515を設けたのと同様にして、ローラシェル600内に内側シェルを設けることが可能である。内側シェルは、導入および排出ダクトに対して密封されるため、ローラシェルの密封要件を緩和する。
【0048】
図14および15において、ローラ組立品の導入ダクトと同じ側に排出ダクトを装着することができる。図13に既に示したように、これら2つのダクトを並列関係に装着することもできるし、図18に示すように、一方のダクトが他方のダクトを取り囲むようにすることもできる。
【0049】
図17は、ローラ組立品の内側にファンおよびモータユニットを装着するための代替的な配置を示す。図13に示す配置と同様に、内側にモータバケット715を装着したローラシェル700が存在し、ローラシェル700は、モータバケット715の周りを回転することができる。空気流導入ダクトは、空気をファンおよびモータユニット520に運ぶ。しかし、本実施形態において、フィルタ710は、ファンおよびモータの下流、モータバケット715の内側に配置される。空気は、排出口705を介して、ローラ組立品から直接排出される。排出口705は、ローラ700のハブ上の支持アーム702の隣に配置される。これは、ローラ700が回転しているときに空気導入口705が静止状態を維持することを意味する。さらなる代替形態として、フィルタ710を完全に省略することも可能である。モータが、切換リラクタンスモータのようなブラシレスモータの場合には、モータからのカーボンの放出がないため、モータ後置フィルタを必要とすることはほとんどない。したがって、空気がローラ組立品から直接排出されるときは、(空気流を運ばない)第2の支持アーム702を設けるという選択肢もあるし、または単に第2の支持アーム702を省略し、ローラ組立品に対する支持のすべてを第1の支持アームによって提供することもできる。
【0050】
代替的に、または付加的に、ローラ組立品は、表面攪拌器を駆動するためのモータおよび/または機器が表面に沿って自己推進するように車輪を駆動するためのモータのような他の能動的構成部材を収容することができる。他の代替的な実施形態において、先述したサイクロン分離装置のような分離装置をローラ組立品の内部に収容することができる。
【0051】
ローラの形状
図3〜13に示される実施形態は、平坦な中央領域および先細の末端領域を有する樽状ローラを有する。図18〜21は、代替的なローラ形状の範囲を示す。このリストは、網羅的であることを意図するものではなく、例示されていない他の形状も本発明の範囲内に含まれるものとする。ローラ、または転動部材の集合体は、図18に示されるような実質的に球形を有することもできるし、図19に示されるような切り落とし面811、812を備えた球形を有することもできる。真球体は、質量中心と表面との距離が一定に保たれるため、本体が直進位置から転向されるときにローラを転向するのに必要な力が一定に保たれるという利点を有する。また、ローラ組立品の幾何学的中心と外面との距離が一定に保たれるため、本体が長手軸211を中心に回転されるときにヨーク235とクリーナヘッド230との間の継手237の高さが一定に保たれる。これによって、本体とクリーナヘッド230との接続要件が簡素化される。
【0052】
球体の端面を切り落とすことには、ローラの幅を小さくし、使用される可能性のない表面部分を取り除くという有益性がある。また、機械が表面の最外部に転動することが可能であれば、ローラに出入りするダクトが床に接触する可能性が高い。図20は、中央の平坦領域813を備えた球体を示し、図21は、各末端に半球体815、816を有し、径が一定の中央リング814を示す。
【0053】
上記実施形態は、単一の転動部材を有するローラ組立品を提供する。より多数の部品を設けることができる。図22〜24は、ローラ組立品が一対のシェル状部品731、732を備える実施形態を示す。各部品は独立して回転可能である。部品731は、一体化した支持アームおよびダクト735、736を中心に回転可能であり、部品732は、一体化したダクトおよび支持アーム740を中心に回転可能である。モータバケット742は、回転可能部品731、732内に嵌合し、ファンおよびモータユニット743を支持する。2つのシェル状部品731、732を設ける利点は、部品731、732の回転軸に沿う方向における部品731と部品732の間の空間を、空気をクリーナヘッド230からローラ組立品の内部に運ぶダクト745、クリーナヘッドとローラ組立品との間の機械的接続部、またはこれらの両方の特徴部を収容するのに利用できることである。図23および24において、一体化した機械的接続部および空気ダクト741は、部品731と732 の間の空間においてモータバケット742の前面に接続され、モータバケット742の内部を通り、次いで部品732の回転軸に一致した方向に延びる。排出ダクト740は、部品732に対する機械的支持を提供するとともに、空気流を真空掃除機の本体に運ぶ。ダクト745と本体との必要な連結接合を達成できる2つの方法がある。第1に、ダクト7 45をモータバケット742に旋回可能に装着できる。第2に、ダクト745をモータバケット742に固定して装着し、モータバケット742を支持アーム735、736および740に回転可能に装着できる。
【0054】
2つの回転可能部品731と732の間の空間を、モータバケット742内部のモータとクリーナヘッド230上のブラシ棒との間の駆動接続部を収容するのに使用できる。その駆動接続は、ベルトおよび/または歯車で達成されうる。
【0055】
図25に示されるように、各転動部材の回転軸の位置を合わせる必要はない。ここで、転動部材823、824の回転軸821、822は、それぞれ垂直から内方向に傾斜している。
【0056】
3つ以上の回転部品を設けることも可能である。実際、装置が表面に沿って移動される際にそれぞれ軸を中心に自由に回転するはるかに多数の隣接部品が存在しうる。回転部品の集合体を、軸の中央領域からの距離にしたがって各部品の直径が小さくなるように、すべて直線軸を中心に装着することができる。あるいは、図26に示されるように、回転部品825は、すべて同一または同様の大きさを有することができ、ローラ組立品の下面から必要な形状を有する軸826を中心として装着される。回転部品825は、軸を中心に回転可能に装着される小さい中実部品、または長手軸が非線形である筐体を中心に回転可能に装着される大きい中空環状部品でありうる。
【0057】
各実施形態において、ローラ組立品または回転部品の集合体の形状は、本体が容易に転動することを可能にするために、回転軸の各末端に向かって直径が小さくなる支持面を定める。上述の実施形態と同様に、装置が直線駆動されるときの装置の安定性が増すことがわかっているので、回転部品または部品の集合体の中央領域が実質的に平坦であることが好ましい。
【0058】
本体とクリーナヘッドの接続
再び図6および7を参照すると、本体210とクリーナヘッド230との間の接続は、中間アーム243の長手軸に対して傾斜した平面に形成された継手237を有するヨーク235を介してなされる。継手が配置される平面238の角度を、ここに示される角度から変えることができる。継手の平面238が中間アーム243の長手軸に垂直になるように継手237を形成することは許容できるが、ヨークを回転させても中間アーム243(およびクリーナヘッド230)が転向しないため、本発明の十分な利点を提供しない。平面238が、中間アーム243の長手軸に対して傾斜し、(機械を前進位置にして)床表面に対して実質的に垂直になるように継手237を形成すると、良好な結果が提供される。平面238を図6に示される位置まで傾斜させ、またはさらに傾斜させると、本体が長手軸を中心に回転するときにクリーナヘッド230が移動する範囲が大きくなる。
【0059】
中間アーム243とクリーナヘッド230との間の接続が、軸を有する真のピボットとして図6および7に示されている。この位置ではある程度の旋回運動が必要であるが、この運動をより緩やかな形態の継手接続によって達成できることを確認した。
【0060】
図27は、本体210とクリーナヘッド230との間の代替的な接続形態を示す。先述したように、各末端がローラ組立品の回転軸221を中心に本体に接続されるヨーク235が存在する。また、クリーナヘッド230に旋回可能に接続された短形中間アーム243が存在する。その違いは、ヨーク235の前面にある。中間アーム243の長手軸に対してある角度で傾斜する回転継手の代わりに、中間アーム243の長手軸に垂直な角度で形成された回転継手が存在し、継手852で中間アーム243を接続するヨーク235の部分はエルボ形状851を有する。エルボ形状と直角の継手とを組み合わせることは、傾斜角の継手を設けることと同等であることが確認された。この代替的な方式は、クリーナヘッド230とローラ組立品220との間により大きな空間を必要とするため、実装するのがより面倒であるといえる。
【0061】
本体とクリーナヘッドとの間のさらなる代替的な接続部の一部を図29a、29bおよび29cに示す。先述したように、該接続部は、各末端部902、903がローラ組立品の回転軸を中心として本体に接続可能とされたヨーク901を備える。ヨークの中央部は、クリーナヘッド(不図示)に対して直接または図7および27に示されるような中間アームを介して接続可能である継手904を備える。該接続部は、末端部902、903でヨーク901に旋回可能に取り付けられ、それに沿って延びる固定アーム905をさらに備える。固定アーム905は中央延出部906を有し、該中央延出部は、アームに対して固定されていてもよいし、アームに旋回可能に取り付けられてもよい。継手を「固定」し、例えば機器が起立位置にあるときに継手が回転するのを防止するために、中央部906を継手904における相補的ノッチ機構907によって受けることができる。固定位置にあるリンク機構を図29aに示す。したがって、クリーナヘッドそのものが、起立位置にある機器に追加的な安定性を提供する。継手を自動的に固定するように、機器が起立位置にあるときに固定アーム905の中央部906を継手の方へ付勢するために弾性手段(不図示)を設けることができる。
【0062】
機器を使用したいときに、ユーザは、機器の本体を傾斜させる。接続部は、本体が後方に傾斜されると、固定アーム905がヨーク901に対して回転し、固定アームの中央部906がノッチ907から引き上げられるまで上昇することによって、継手904がロック解除されて回転するように構成される。ロック解除位置のリンク機構を図29aおよび29cに示す。固定アーム905の上昇を助けるために弾性手段を設けることができる。固定アーム905の運動は、機器の傾斜および直立時のスタンド組立品260、262の運動に影響されうる。
【0063】
継手904におけるそれぞれのノッチ909a、b、cによって受けられる下方に延びるタイン908a、b、cを、固定アーム905の中央部906に設けることができる。タイン908は、ユーザが所定の限度を超えて固定継手に回転力を加えようとすると、タインの少なくとも1つが変形するように可撓性を有して構成される。次いで、加えられた力によって、タイン908がノッチ909から飛び出すことにより、継手904を解放して回転させる。この特徴は、機器が起立位置にある間に継手に過度な力が加わった場合に、接続部が損傷を受けるのを防止する。機器が起立位置に戻ると、固定アーム905の中央部906が、弾性手段の力によって継手内の固定位置に戻される。
【0064】
本体とクリーナヘッドとの間の支持体は、硬質でなくてもよい。図28は、ローラ組立品830をクリーナヘッド833に接続する一対の可撓支持チューブ831、832を示す。可撓チューブを使用する場合には、本体が横方向に転動するか、またはその長手軸を中心に捻転する際に、クリーナヘッドが床表面と接触自在とされる。このように可撓チューブを使用することで、本体とクリーナヘッドとの間により複雑な構成の機械的継手を設ける必要性が回避される。
【0065】
勿論、接続機構の組合せを採用することもできる。
【0066】
上述した実施形態の各々では、機械の部品間、例えば本体210とローラ組立品220との間や、ヨークを介するクリーナヘッド230と本体210との間に機械的支持を提供するために、可能な限り空気流ダクトを使用した。これにより、ダクトを適切に密封することが必要になる。フローダクトと機械的支持体との特徴を組み合わせた各実施形態において、その代わりに個別的な支持体およびフローダクトを使用することができる。フローダクトは、機械的支持体に沿って配置された可撓性を有するかあるいは硬質のチューブでありうる。
【0067】
ローラ組立品の内部にモータを収容することに利点はあるが、代替的な実施形態において、ファンおよびモータを本体に収容することができる。これにより、クリーナヘッドから本体までしかダクトが必要でなくなるため、機械のダクト設置要件が簡素化される。本体とローラ組立品との間や、本体とクリーナヘッドとの間には支持アームが必要である。
【0068】
例示の実施形態は、ダクトが空気流を運ぶ真空掃除機を示しているが、水および洗剤のような他の流体を運ぶ真空掃除機にも本発明を適用できることが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0069】
200 真空掃除機
210 本体
211 長手軸
212 ハンドル
213 把持部
220 ローラ組立品
221 回転軸
230 クリーナヘッド
232 ブラシ棒
233 空気導入口
242 専用モータ
235 ヨーク
237 継手
238 平面
241 ピボット
243 中間アーム
260、262 スタンド組立品
510 ローラシェル
511 隆条
515 モータバケット
516、518 ベアリング
519 シャフト
520 モータおよびファン
521 リブ
523 フランジ
525 ポケット
531 導入口
535 排出口
540 アーム
541 スリーブ
531、535 フローダクト
532 通気筒
550 第2のフィルタ(モータ後置フィルタ)
552 フィルタ筐体
580 平坦中央領域
585 弧状領域
586 穴
600 ローラシェル
601 空気流導入ダクト
602 空気流排出ダクト
603 ベアリング
605 円筒状フィルタ組立品
610 フィルタ
611 導入ダクト
612 排出ダクト
622 ダクト
625 フィルタ
700 ローラシェル
702 支持アーム
705 排出口
710 フィルタ
715 モータバケット
731、732 シェル状部品
735、736 一体化した支持アームおよびダクト
740 一体化したダクトおよび支持アーム
741 空気ダクト
742 モータバケット
743 ファンおよびモータユニット
745 ダクト
811、812 切り落とし面
813 平坦領域
814 中央リング
815、816 半球体
821、822 回転軸
823、824 回転部材
825 回転部品
826 軸
831、832 可撓支持チューブ
851 エルボ形状
901 ヨーク
902、903 末端部
904 継手
905 固定アーム
906 中央部
907 相補的ノッチ機構
908a、908b、908c タイン
909a、909b、909c ノッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流から汚れ及びゴミを分離するための分離装置と、掃除される所定の表面に亘って掃除機を操縦するためのローラ組立品と、を備える前記掃除機であって、
前記ローラ組立品は、一対の外殻状の回転可能部品を備え、該回転可能部品間の空間は、前記分離装置を通じる空気流を引き込むためのファン及びモータユニットを収容していることを特徴とする掃除機。
【請求項2】
前記回転可能部品は、種々の回転軸の周りに回転することを特徴とする請求項1に記載の掃除機。
【請求項3】
前記回転可能部品それぞれは、掃除される前記表面に対して傾斜した軸の周りに回転することを特徴とする請求項1又は2に記載の掃除機。
【請求項4】
前記回転可能部品間の空間は、前記分離装置への空気流、又は前記分離装置からの空気流を搬送するためのダクトを収容していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の掃除機。
【請求項5】
前記回転可能部品のうちの1つは複数の孔を備え、該孔を通じて前記空気流が掃除機から排気されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29a】
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【図29b】
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【図29c】
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【公開番号】特開2012−40440(P2012−40440A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263455(P2011−263455)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【分割の表示】特願2008−1461(P2008−1461)の分割
【原出願日】平成15年7月18日(2003.7.18)
【出願人】(500024469)ダイソン・テクノロジー・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】