表面処理鋼板の腐食部の観察装置、亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置及び観察方法
【課題】腐食試験片の腐食部又は白錆部をコントラストよく、かつ試験片上のあらゆる点で同一のコントラストで観察することを可能にする。
【解決手段】腐食試験片1に対して一方向又は複数の方向から所定の入射角度で光を照射する照明装置2と、腐食試験片1を所定の方向に移動するリニアステージ4、腐食試験片1の表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを撮像するリニアアレイカメラ3と、リニアアレイカメラ3により撮像された反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像メモリ5と、その画像を表示する表示装置6とを備えたものである。
【解決手段】腐食試験片1に対して一方向又は複数の方向から所定の入射角度で光を照射する照明装置2と、腐食試験片1を所定の方向に移動するリニアステージ4、腐食試験片1の表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを撮像するリニアアレイカメラ3と、リニアアレイカメラ3により撮像された反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像メモリ5と、その画像を表示する表示装置6とを備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板腐食試験片の腐食部、特に亜鉛めっき鋼板腐食試験片の白錆部を、健全部に対してコントラストよく、且つ試験片全面に亘って均一な感度で観察する観察装置及び観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電機・自動車・建材など防錆性が強く要求される鋼板の耐食性の評価は、鋼板試験片を用いた暴露試験・促進試験(例:塩水噴霧試験,サイクル腐食試験など)により行われ、試験結果は、試験片表面の腐食部を検査員が目視で観察し、その面積率を評価して求める。しかしながら、一目で腐食と判るサンプルは兎も角、亜鉛めっき鋼板の白錆のように目視では極めて観察しづらい腐食については、検査員の認識の個人差による評価のばらつきが大きく、素人でも認識できるような、より客観性ある観察方式が求められていた。
【0003】
白錆の観察方法としては、例えばカラーテレビカメラを用いて対象サンプル表面を撮像し「明るく」「色相がない」部分を白錆と認識する方式が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−77499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に提案されている方式は、赤錆が出るほどまで腐食の進んだ試験片については有効ではあるが、腐食レベルの低い試験片については、健全部・白錆部の何れも「色相がなく」かつこれらの間の「明るさの差が小さい」ことから、十分な識別能を発揮することは難しい。
【0005】
腐食レベルの低い試験片において、腐食部を健全部と区別してコントラストよく観察するためには、以下の2つの条件を満足する光学系を用いることが不可欠である。
(1)腐食部を健全部と区別して最もコントラストよく観察できるよう、照明入射角度と撮像角度とが自由に選択できること。
(2)試験片表面のあらゆる点が、同一の照明入射角度・撮像角度で観察が可能であること。
【0006】
上記の特許文献1において提案されている測定方法を含めて、試験片の表面をスチルカメラやテレビカメラで「面」の画像としていきなり撮像する方式は、以下の理由により、上記の必要条件を満足することは難しい。
(1)撮像角度の選定:発生し始めの腐食は極めて小さいので、撮像にあたってピント合わせが重要な調整要素である。スチルカメラやテレビカメラのような「面領域」の撮像装置の場合には、試験片全体をピントを合わせて撮影する必要があるため、カメラは対象に対して正対して設置せざるを得ず、撮像角度は0度(法線方向)以外の選択肢はない。
(2)入射・撮像角度の均一性:スチルカメラやテレビカメラのような「面領域」観察系を用いて試験片表面を有限の距離から撮影する場合には、パースペクティブ(遠近効果)の影響により、試験片上の場所によって入射角度と撮像角度が変化する。たとえば、図13に示されるように、対象試験片を、斜め45゜方向から照明し法線方向から撮像する場合には、画面中央部では入射角度45゜、撮像角度0゜となるが、照明に近い側では入射角度はより浅くなり、また撮像角度も斜めに傾く。一方、照明と反対側では入射角度はより深く、また撮像角度は逆方向に斜めに傾く。このような光学系では、健全部と極めて微妙なコントラスト差の腐食部を、試験片の全面に亘って安定して観察・識別することは難しい。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、腐食試験片の腐食部又は白錆部をコントラストよく、かつ試験片上のあらゆる点で同一のコントラストで観察することを可能にした表面処理鋼板の腐食部の観察装置、亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置及び亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表面処理鋼板の腐食部の観察装置は、鋼板に対して一方向又は複数の方向から所定の入射角度で光を照射する投光手段と、前記鋼板を所定の方向に移動する移動手段と、前記鋼板表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化手段と、前記画像化手段により得られた画像を表示する表示手段とを備えたものである。
【0009】
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置は、鋼板に対して一方向又は複数の方向から所定の入射角度で光を照射する投光手段と、前記鋼板を所定の方向に移動する移動手段と、前記鋼板表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化手段と、前記画像化手段により得られた画像を表示する表示手段とを備えたものである。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置において、前記投光手段は、直線状の光源から構成される。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置において、前記移動手段は、前記画像化手段により得られる画像の縦横の分解能が略1:1となるよう設定された一定速度の移動機構から構成される。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置において、前記撮像手段は、リニアアレイカメラから構成される。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置において、前記投光手段は、照射される光の波長λに対する前記入射角度θの余弦の値の比cosθ/λが、前記鋼板の表面粗さに対応して決定される所定の値以下となるように、前記波長と前記入射角の関係が選定されて、前記鋼板を片側又は両側から照射し、且つ、前記撮像手段は、前記鋼板の概略法線方向から撮像する。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置において、前記投光手段は、入射角度を鋼板表面法線方向に対して80度以上とし、前記鋼板を片側又は両側から照射し、且つ、前記撮像手段は、前記鋼板の概略法線方向から撮像する。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置において、前記投光手段は、撮像方向と同じ方向から鋼板表面法線方向に対して撮像角度以上の入射角度をもって前記鋼板を照射し、且つ、前記撮像手段は、前記鋼板を斜め上方から撮像する。
【0010】
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察方法は、鋼板に対して入射角度が鋼板表面法線方向に対して80度以上で、片側又は両側から光を照射する投光工程と、前記投光工程の鋼板を所定の方向に移動させる移動工程と、前記鋼板表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを前記鋼板の概略法線方向から撮像する撮像工程と、前記反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化工程と、前記画像化工程で得られた画像を表示する工程とを備えたものである。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察方法は、鋼板に対して撮像方向と同じ方向から、入射角度が鋼板表面法線方向に対して撮像角度以上の角度をもって光を照射する投光工程と、前記投光工程の鋼板を所定の方向に移動する移動工程と、前記鋼板表面の反射輝度パタンを斜め上方から撮像する撮像工程と、前記反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化工程と、前記画像化工程で得られた画像を表示する工程とを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表面処理鋼板の腐食部、特に亜鉛めっき鋼板腐食試験片の白錆部を、健全部に対してコントラストよく、かつ試験片全面に亘って均一な感度で観察することが可能となっており、その結果、熟練した検査員でなくとも容易に腐食部を識別できるようになり、腐食試験結果の評価の標準化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施形態1.
本発明の基本構成を実施形態1として以下説明する。図1は本発明の基本構成例を示した図である。図1の亜鉛めっき鋼板など表面処理鋼板の鋼板腐食試験片の腐食部(又は白錆部)の観察装置(以下、観察装置という)は、腐食試験片1を照明する(光を照射する)照明装置2、腐食試験片1の反射輝度パタンを撮像するリニアアレイカメラ3、腐食試験片1を移動するリニアステージ4、リニアアレイカメラ3により撮像された反射輝度パタンを取り込んで蓄積して画像を化する画像メモリ5、及び画像メモリ5により画像化された画像(2次元画像)を表示する表示装置6を備えている。なお、上記の照明装置2は本発明の投光手段を構成し、また、リニアアレイカメラ3は本発明の撮像手段を、画像メモリ5は画像化手段をそれぞれ構成している。
【0013】
本発明に係る観察装置は、腐食試験片1の腐食部の観察方式として、スチルカメラ乃至テレビカメラでいきなり全領域を撮像するかわりに、リニアアレイカメラ3を用いて試験片1の線状撮像領域Lを照明装置2の照明の下に撮像し、試験片1をリニアステージ4を用いて線状撮像領域Lと直交する方向に移動させながら反射輝度パタンを順次画像メモリ5に読み込んで蓄積し、反射輝度パタンの1次元画像を2次元画像にし、その画像(2次元画像)を表示装置6により表示する。照明装置2の照明の入射角度とリニアアレイカメラ3の撮像角度とは、腐食部が周辺の健全部と最もコントラストよく観察されるよう、腐食部及び健全部の光学的な表面性状(鏡面性/拡散性,ミクロな凹凸形状,反射率etc.)の差に基づいて決定する。
【0014】
この方式によれば、「面領域」観察光学系の代わり「線領域」観察光学系を用いているため、以下の問題点が解決されて入射角度・撮像角度の任意の選択が可能になり、極めて微妙なコントラストの腐食部の観察が容易となる。
(1)リニアアレイカメラ3の線状視野と直交する方向に撮像角度を如何様に変化させても、線状視野内の全ての点でピントを合わせることが可能となり、撮像角度の最適設定にあたっての角度選定の制約がなくなる。
(2)リニアアレイカメラ3の線状視野内の各点で、照明装置2の入射角度とリニアアレイカメラ3の撮像角度が均一になり、視野内のコントラストの「ムラ」が小さくなる。
ここで、リニアアレイカメラ3については、その代わりに例えばファクシミリなどで使われている密着型イメージセンサ(セルフォックレンズアレイ付)のような線状の撮像手段であれば、その種類は問わない。また、照明装置2として点状光源を使用した場合には、線状視野の幅方向に入射角度が変化して「ムラ」が出やすいので、照明装置2としては、蛍光灯や光ファイバライン照明など線状光源を用いることが望ましい。したがって、以下の説明においては、照明装置2を線状照明装置2と称するものとする。
【0015】
なお、腐食部の観察において、一般的には、得られる画像のアスペクト比(縦横比)が1:1であるほうが好ましい。この条件を満足するには、リニアアレイカメラ3の電子走査周期T秒,線状視野サイズWmm,リニアアレイカメラ素子数N,試験片移動速度Vmm/秒として、これらを以下の関係が成り立つよう設定すればよい。
W=NVT … (1)
【0016】
次に、本方式の適用対象として、腐食試験片の中でも、腐食部と健全部との識別が極めて難しいとされる亜鉛めっき鋼板腐食試験片の白錆観察への適用を考える。白錆観察への適用にあたっては、照明装置2の入射角度とリニアアレイカメラ3の撮像角度の選定が特に重要である。
「溶融」亜鉛めっき鋼板の場合には、所謂「スパングル」と称する亜鉛の結晶が表面処理工程で成長し、健全部において大きさが数mmから数十mmの「うろこ状」の模様が観察される。「スパングル」の影響を受けず白錆だけを観察しうる光学系を確立するべく、図1の光学系を用いて照明撮像角度を検討した。検討結果を図2〜図5に示す。なお、これらの図並びに後述の図6及び図7の画像の1辺は実物の30mmに相当する。
【0017】
図2は、所謂「拡散光観察光学系」を用いて、腐食試験片表面の散乱光パタンを画像化した例である。主には下地のスパングルのみが見え、白錆は殆ど観察されない。
図3は、所謂「正反射光観察光学系」を用いて、同じ試験片表面の鏡面反射光のパタンを画像化した例である。スパングルがうっすら見えている上に白錆部が黒く観察される。
図4は、所謂「低角入射光観察光学系」を用いて、同じ試験片表面の微妙な凸部を明るく強調して画像化した例である。スパングルは殆ど見えず、白錆部のみが白く観察される。
図5は、所謂「後方散乱光観察光学系」を用いて、同じ試験片表面の粗度の高い部分からの散乱光のパタンを画像化した例である。「低角入射光観察光学系」同様に、スパングルは殆ど見えず、白錆部のみが白く観察される。
【0018】
以上の検討の結果、白錆部の特徴として、反射率が高いのみならず、表面粗度が高く、また成長が進むにつれて一種の「フクレ(凸)形状」をしていることが想像される。この表面性状の特徴に着目すれば、白錆をコントラストよく観察するための条件として「低角入射光観察光学系」あるいは「後方散乱光観察光学系」が適していることが判る。
【0019】
ここで、「低角入射光観察光学系」及び「後方散乱光観察光学系」が適していることを以下に説明する。図6は亜鉛めっき鋼板の経年変化の概念を示した概念図である。亜鉛めっき鋼板11は、図6中に示されるように、鋼板11aの上に亜鉛めっき層11bが形成されたものである。亜鉛めっき層11bが腐食すると白錆11cが発生し、亜鉛めっき層11bの表面に発生した白錆11cの部分に凸部が形成される。
【0020】
図7は腐食前と白錆発生後の亜鉛めっき鋼板に、図4に示される低角入射光観察光学系を適用した場合の概念図である。図7(a)に示す腐食前の亜鉛めっき鋼板11では、鏡面状態に近いので、線状照明装置2から照射された光はその平滑な表面では散乱光成分が少なくなる。その結果、拡散光を受光する位置に設置されたリニアアレイカメラ3では、表面で反射した光は受光されにくく、暗い画像が得られる状態となる。一方、図7(b)に示す白錆発生後の亜鉛めっき鋼板11では、線状照明装置2から発せられた光のうち、白錆11cが発生した凸のある部位で反射した光が、リニアアレイカメラ3の方向に反射することになる。その結果として、微小な凸部が明るく強調されて、白錆11cが明るくなった画像が得られると考えられる。
【0021】
一方、図8は腐食前と白錆発生後の亜鉛めっき鋼板に、図5に示される後方散乱光観察光学系を適用した図である。図8(a)に示した腐食前の亜鉛めっき鋼板11では、低角入射光観察光学系と同様に、鏡面状態に近いので、線状照明装置2から照射された光は、その平滑な表面では散乱光成分が少なく、リニアアレイカメラ3の方向に反射する光はほとんどなく、暗い画像が得られる状態となる。一方、図8(b)に示す白錆発生後の亜鉛めっき鋼板11では、線状照明装置2から照射された光のうち、白錆11cが発生した凸のある部位で反射した光が、リニアアレイカメラの方向に反射することになる。この場合には、線状照明装置2から照射される光の光軸に対し、リニアレイカメラ3の光軸が近いので、低角入射光観察系に比べて、白錆11cがある部位である凸部と白錆11cが無い部位との表面粗度の違いに、より大きく影響されると考えられる。
なお、「低角入射光観察光学系」と「後方散乱光観察光学系」とは、何れも、白錆部を周辺の健全部と識別してコントラストよく観察しうる方法であるという点では共通しているが、異なるのは、「低角入射光観察光学系」の場合には、得られる画像が表面の凹凸の影響が支配的で白錆部の反射率は殆ど反映されないのに対して、「後方散乱光観察光学系」の場合には、得られる画像は白錆部の反射率の影響も強く受けるという点である。
【0022】
図9は、腐食度の高い白錆試験片を「低角入射光観察光学系」を用いて観察した例であり、図10は、同じサンプルを「後方散乱光観察光学系」を用いて観察した例である。観察画像における反射率の影響の違いが判る。どちらの光学系を使うかは、その特徴に照らして目的に応じて使い分ければよい。これらの「低角入射光観察光学系」及び「後方散乱光観察光学系」を用いた観察装置を、実施形態2(図11)及び実施形態3(図12)として次に説明する。
【0023】
実施形態2.
図11は本発明の実施形態2に係る観察装置の構成を示した図であり、ここでは光学系として「低角入射光観察光学系」が用いられている。腐食試験片1を線状照明装置2を用いて極めて浅い角度で照明し、試験片1の撮像線状領域Lをリニアアレイカメラ3を用いて撮像する。試験片1をリニアステージ4を用いて撮像線状領域Lと直交する方向に移動させながら反射輝度パタン(1次元画像)を順次画像メモリ5に読み込んで蓄積し画像化し、その画像(2次元画像)を表示装置6に表示させる。照明装置2は片側からだと凸面の照明照射側のみ明るく見え、逆側は影となって暗くなり白錆と認識されづらくなるため、両側照明とすることが好ましい。
【0024】
低角入射光観察の照明入射角度については、以下のように選定する。
Beckmannの散乱理論(Petr BECKMANN「TheScattering of Electromagnetic Waves fromRough Surfaces」pp.80-97,Pergamon Press(1963))によれば、表面の鏡面性は、表面粗さ・入射角及び光の波長の関数として次式で表される鏡面性指数gによって決まる。g≪1のとき鏡面として、またg≫1のとき拡散面と見なすことができる。
g=(4πσcosθ/λ)2 … (1)
σ:rms表面粗さ(2乗平均粗さ)
θ:入射角(垂直入射が0゜)
λ:波長(可視光400〜700nm)
低角入射光観察光学系は表面が鏡面に近いのが好ましく、入射角度は鏡面性指数gが、g≪1となるよう設定する。例えば試験片として亜鉛めっき鋼板を観察する場合には、鋼板表面粗さσ=200nm,波長λ=500nmとして、g<1を満足する条件を求めると、以下のガイドラインが得られる。
θ>80゜ … (2)
また、λ=700nmであれば、g<1を満足する条件は、θ>73.8°となるので、73°以上が適用範囲であり、80°以上がより好ましい範囲とすることができる。
【0025】
一方、上述の例では、波長λを可視光としたが、設備制約などの理由で、線状照明装置2の入射角度を大きくできない制約がある場合は、線状照明装置2の波長を長くしてもよい。例えば、θ=75°が角度を最大にすることができる限界である場合には、式(1)において、鋼板表面粗さσ=200nmのとき、g<1となる条件が、λ=650nmであるので、それ以上の波長となる光、例えば波長が800nmや1μm程度、更にはそれ以上の波長成分を有する赤外線の線状照明装置2を使ってもよい。つまり、線状照明装置2から照射される光の波長λに対する前記入射角度θの余弦の値の比cosθ/λが、前記鋼板の表面粗さσ(rms表面粗さ(2乗平均粗さ=1.25Ra)や凹凸の標準偏差)に対応して、式(1)から決定される所定の値以下となるように、前記波長と前記入射角の関係が選定するようにしてもよい。そうすれば、可視光より波長が長い光を用いれば、可視光のときの入射角度より小さくてもすむ。
【0026】
上述の説明では、g<1を基準としたが、もう一つの指標の考え方としては、例えば、鋼板表面粗さσ=200nmの粗面を有する鋼板の鏡面性gを、σ=25nm程度の鏡面が、可視光の波長λ=500nm、入射角θ=0°に対して有するのと同程度の鏡面性gと同じ程度になるように考えても良い。すなわち、(1)式にσ=25nm、λ=500nm、θ=0°を代入して、
g=(4π・25・cos0/500)2 =0.395
なる値を基準にして、θを決定してもよい。この場合、鋼板の表面粗さσ=200nm、波長λ=500nmの条件であれば、θ=82.8°以下とすればよい。上述したのと同様に、設備制約などの理由で、線状照明装置2の入射角度を大きくできない制約がある場合には、例えば波長が800nmや1μm程度、更にはそれ以上の波長成分を有する線状照明装置2の波長を長くしてもよい。
【0027】
このように、線状照明装置2の波長λに対する入射角θの余弦の値の比cosθ/λが、検査対象となる鋼板の表面粗さに対応して決定される所定の値以下となるように、前記波長と前記入射角の関係を選定し、撮像装置であるリニアアレイカメラ3の位置も含めて、白錆が白錆以外の背景に対して、コントラストよく検出できるように設定すればよい。
なお、入射角度の上限は、原理上では90°であるが、照明装置の大きさなど設備制約上、90°にできない場合があるので、その場合は、それが上限と考えればよい。また、上述のσは、rms表面粗さとしたが、凹凸量の正規分布の標準偏差でもよい。
また、リニアアレイカメラ3の角度は、両側照明からの反射光を両側から同じ条件(均等)で受光するために、鋼板表面法線方向にほぼ一致させるのがよい。法線方向に対して0゜〜±45゜までが適当範囲であるが、好ましくは0゜〜±30゜、さらに好ましくは0゜〜±10゜の範囲がよい。
【0028】
実施形態3.
図12は本発明の実施形態3に係る観察装置の構成を示した図であり、ここでは光学系として「後方散乱光観察光学系」が用いられている。腐食試験片1の撮像線状領域Lを、リニアアレイカメラ3を用いて斜め上方から撮像する。後方散乱光を観察するため、線状照明装置2はリニアアレイカメラ3の撮像角度よりも浅い角度で照明する。この光学系の下に、試験片1をリニアステージ4を用いて撮像線状領域Lと直交する方向に移動させながら反射輝度パタンを順次画像メモリ5に読み込んで蓄積し画像化し、その画像を表示装置6に表示させる。
なお、リニアアレイカメラ3の撮像角度は、鋼板表面法線方向に対して30゜以上で、照明から投光角度(入射角度)より小さい角度が適当範囲である。30゜よりも小さい場合には、白錆の凸形状により、反対側に影が形成されて、白錆の発生量が少なく撮像されるからである。また、好ましくは45゜以上、さらに好ましくは60゜以上がよく、投光角度に対しては、照明装置と撮像装置との配置の干渉がある場合には、5゜〜10゜程度離してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の基本構成を示した図である。
【図2】拡散光観察光学系及びその画像化パタンの図である。
【図3】正反射光観察光学系及びその画像化パタンの図である。
【図4】低角入射光観察光学系及びその画像化パタンの図である。
【図5】後方散乱光観察光学系及びその画像化パタンの図である。
【図6】亜鉛めっき鋼板の経年変化を示した図((a)腐食前、(b)腐食後)である。
【図7】亜鉛めっき鋼板に低角入射光観察光学系を適応した図である。
【図8】亜鉛めっき鋼板に後方散乱光観察光学系を適応した図である。
【図9】腐食度の高い白錆試験片の低角入射光観察光学系による画像化パタン例の図である。
【図10】腐食度の高い白錆試験片の後方散乱光観察光学系による画像化パタン例の図である。
【図11】本発明の実施形態2に係る観察装置(低角入射光観察光学系)の構成を示した図である。
【図12】本発明の実施形態2に係る観察装置(後方散乱光観察光学系)の構成を示した図である。
【図13】面領域観察時の照明・撮像ムラの発生メカニズムの説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 腐食試験片、2 線状照明装置、3 リニアアレイカメラ、4 リニアステージ、5 画像メモリ、6 表示装置、11 亜鉛めっき鋼板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板腐食試験片の腐食部、特に亜鉛めっき鋼板腐食試験片の白錆部を、健全部に対してコントラストよく、且つ試験片全面に亘って均一な感度で観察する観察装置及び観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電機・自動車・建材など防錆性が強く要求される鋼板の耐食性の評価は、鋼板試験片を用いた暴露試験・促進試験(例:塩水噴霧試験,サイクル腐食試験など)により行われ、試験結果は、試験片表面の腐食部を検査員が目視で観察し、その面積率を評価して求める。しかしながら、一目で腐食と判るサンプルは兎も角、亜鉛めっき鋼板の白錆のように目視では極めて観察しづらい腐食については、検査員の認識の個人差による評価のばらつきが大きく、素人でも認識できるような、より客観性ある観察方式が求められていた。
【0003】
白錆の観察方法としては、例えばカラーテレビカメラを用いて対象サンプル表面を撮像し「明るく」「色相がない」部分を白錆と認識する方式が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−77499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に提案されている方式は、赤錆が出るほどまで腐食の進んだ試験片については有効ではあるが、腐食レベルの低い試験片については、健全部・白錆部の何れも「色相がなく」かつこれらの間の「明るさの差が小さい」ことから、十分な識別能を発揮することは難しい。
【0005】
腐食レベルの低い試験片において、腐食部を健全部と区別してコントラストよく観察するためには、以下の2つの条件を満足する光学系を用いることが不可欠である。
(1)腐食部を健全部と区別して最もコントラストよく観察できるよう、照明入射角度と撮像角度とが自由に選択できること。
(2)試験片表面のあらゆる点が、同一の照明入射角度・撮像角度で観察が可能であること。
【0006】
上記の特許文献1において提案されている測定方法を含めて、試験片の表面をスチルカメラやテレビカメラで「面」の画像としていきなり撮像する方式は、以下の理由により、上記の必要条件を満足することは難しい。
(1)撮像角度の選定:発生し始めの腐食は極めて小さいので、撮像にあたってピント合わせが重要な調整要素である。スチルカメラやテレビカメラのような「面領域」の撮像装置の場合には、試験片全体をピントを合わせて撮影する必要があるため、カメラは対象に対して正対して設置せざるを得ず、撮像角度は0度(法線方向)以外の選択肢はない。
(2)入射・撮像角度の均一性:スチルカメラやテレビカメラのような「面領域」観察系を用いて試験片表面を有限の距離から撮影する場合には、パースペクティブ(遠近効果)の影響により、試験片上の場所によって入射角度と撮像角度が変化する。たとえば、図13に示されるように、対象試験片を、斜め45゜方向から照明し法線方向から撮像する場合には、画面中央部では入射角度45゜、撮像角度0゜となるが、照明に近い側では入射角度はより浅くなり、また撮像角度も斜めに傾く。一方、照明と反対側では入射角度はより深く、また撮像角度は逆方向に斜めに傾く。このような光学系では、健全部と極めて微妙なコントラスト差の腐食部を、試験片の全面に亘って安定して観察・識別することは難しい。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、腐食試験片の腐食部又は白錆部をコントラストよく、かつ試験片上のあらゆる点で同一のコントラストで観察することを可能にした表面処理鋼板の腐食部の観察装置、亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置及び亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表面処理鋼板の腐食部の観察装置は、鋼板に対して一方向又は複数の方向から所定の入射角度で光を照射する投光手段と、前記鋼板を所定の方向に移動する移動手段と、前記鋼板表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化手段と、前記画像化手段により得られた画像を表示する表示手段とを備えたものである。
【0009】
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置は、鋼板に対して一方向又は複数の方向から所定の入射角度で光を照射する投光手段と、前記鋼板を所定の方向に移動する移動手段と、前記鋼板表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化手段と、前記画像化手段により得られた画像を表示する表示手段とを備えたものである。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置において、前記投光手段は、直線状の光源から構成される。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置において、前記移動手段は、前記画像化手段により得られる画像の縦横の分解能が略1:1となるよう設定された一定速度の移動機構から構成される。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置において、前記撮像手段は、リニアアレイカメラから構成される。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置において、前記投光手段は、照射される光の波長λに対する前記入射角度θの余弦の値の比cosθ/λが、前記鋼板の表面粗さに対応して決定される所定の値以下となるように、前記波長と前記入射角の関係が選定されて、前記鋼板を片側又は両側から照射し、且つ、前記撮像手段は、前記鋼板の概略法線方向から撮像する。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置において、前記投光手段は、入射角度を鋼板表面法線方向に対して80度以上とし、前記鋼板を片側又は両側から照射し、且つ、前記撮像手段は、前記鋼板の概略法線方向から撮像する。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置において、前記投光手段は、撮像方向と同じ方向から鋼板表面法線方向に対して撮像角度以上の入射角度をもって前記鋼板を照射し、且つ、前記撮像手段は、前記鋼板を斜め上方から撮像する。
【0010】
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察方法は、鋼板に対して入射角度が鋼板表面法線方向に対して80度以上で、片側又は両側から光を照射する投光工程と、前記投光工程の鋼板を所定の方向に移動させる移動工程と、前記鋼板表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを前記鋼板の概略法線方向から撮像する撮像工程と、前記反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化工程と、前記画像化工程で得られた画像を表示する工程とを備えたものである。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察方法は、鋼板に対して撮像方向と同じ方向から、入射角度が鋼板表面法線方向に対して撮像角度以上の角度をもって光を照射する投光工程と、前記投光工程の鋼板を所定の方向に移動する移動工程と、前記鋼板表面の反射輝度パタンを斜め上方から撮像する撮像工程と、前記反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化工程と、前記画像化工程で得られた画像を表示する工程とを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表面処理鋼板の腐食部、特に亜鉛めっき鋼板腐食試験片の白錆部を、健全部に対してコントラストよく、かつ試験片全面に亘って均一な感度で観察することが可能となっており、その結果、熟練した検査員でなくとも容易に腐食部を識別できるようになり、腐食試験結果の評価の標準化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施形態1.
本発明の基本構成を実施形態1として以下説明する。図1は本発明の基本構成例を示した図である。図1の亜鉛めっき鋼板など表面処理鋼板の鋼板腐食試験片の腐食部(又は白錆部)の観察装置(以下、観察装置という)は、腐食試験片1を照明する(光を照射する)照明装置2、腐食試験片1の反射輝度パタンを撮像するリニアアレイカメラ3、腐食試験片1を移動するリニアステージ4、リニアアレイカメラ3により撮像された反射輝度パタンを取り込んで蓄積して画像を化する画像メモリ5、及び画像メモリ5により画像化された画像(2次元画像)を表示する表示装置6を備えている。なお、上記の照明装置2は本発明の投光手段を構成し、また、リニアアレイカメラ3は本発明の撮像手段を、画像メモリ5は画像化手段をそれぞれ構成している。
【0013】
本発明に係る観察装置は、腐食試験片1の腐食部の観察方式として、スチルカメラ乃至テレビカメラでいきなり全領域を撮像するかわりに、リニアアレイカメラ3を用いて試験片1の線状撮像領域Lを照明装置2の照明の下に撮像し、試験片1をリニアステージ4を用いて線状撮像領域Lと直交する方向に移動させながら反射輝度パタンを順次画像メモリ5に読み込んで蓄積し、反射輝度パタンの1次元画像を2次元画像にし、その画像(2次元画像)を表示装置6により表示する。照明装置2の照明の入射角度とリニアアレイカメラ3の撮像角度とは、腐食部が周辺の健全部と最もコントラストよく観察されるよう、腐食部及び健全部の光学的な表面性状(鏡面性/拡散性,ミクロな凹凸形状,反射率etc.)の差に基づいて決定する。
【0014】
この方式によれば、「面領域」観察光学系の代わり「線領域」観察光学系を用いているため、以下の問題点が解決されて入射角度・撮像角度の任意の選択が可能になり、極めて微妙なコントラストの腐食部の観察が容易となる。
(1)リニアアレイカメラ3の線状視野と直交する方向に撮像角度を如何様に変化させても、線状視野内の全ての点でピントを合わせることが可能となり、撮像角度の最適設定にあたっての角度選定の制約がなくなる。
(2)リニアアレイカメラ3の線状視野内の各点で、照明装置2の入射角度とリニアアレイカメラ3の撮像角度が均一になり、視野内のコントラストの「ムラ」が小さくなる。
ここで、リニアアレイカメラ3については、その代わりに例えばファクシミリなどで使われている密着型イメージセンサ(セルフォックレンズアレイ付)のような線状の撮像手段であれば、その種類は問わない。また、照明装置2として点状光源を使用した場合には、線状視野の幅方向に入射角度が変化して「ムラ」が出やすいので、照明装置2としては、蛍光灯や光ファイバライン照明など線状光源を用いることが望ましい。したがって、以下の説明においては、照明装置2を線状照明装置2と称するものとする。
【0015】
なお、腐食部の観察において、一般的には、得られる画像のアスペクト比(縦横比)が1:1であるほうが好ましい。この条件を満足するには、リニアアレイカメラ3の電子走査周期T秒,線状視野サイズWmm,リニアアレイカメラ素子数N,試験片移動速度Vmm/秒として、これらを以下の関係が成り立つよう設定すればよい。
W=NVT … (1)
【0016】
次に、本方式の適用対象として、腐食試験片の中でも、腐食部と健全部との識別が極めて難しいとされる亜鉛めっき鋼板腐食試験片の白錆観察への適用を考える。白錆観察への適用にあたっては、照明装置2の入射角度とリニアアレイカメラ3の撮像角度の選定が特に重要である。
「溶融」亜鉛めっき鋼板の場合には、所謂「スパングル」と称する亜鉛の結晶が表面処理工程で成長し、健全部において大きさが数mmから数十mmの「うろこ状」の模様が観察される。「スパングル」の影響を受けず白錆だけを観察しうる光学系を確立するべく、図1の光学系を用いて照明撮像角度を検討した。検討結果を図2〜図5に示す。なお、これらの図並びに後述の図6及び図7の画像の1辺は実物の30mmに相当する。
【0017】
図2は、所謂「拡散光観察光学系」を用いて、腐食試験片表面の散乱光パタンを画像化した例である。主には下地のスパングルのみが見え、白錆は殆ど観察されない。
図3は、所謂「正反射光観察光学系」を用いて、同じ試験片表面の鏡面反射光のパタンを画像化した例である。スパングルがうっすら見えている上に白錆部が黒く観察される。
図4は、所謂「低角入射光観察光学系」を用いて、同じ試験片表面の微妙な凸部を明るく強調して画像化した例である。スパングルは殆ど見えず、白錆部のみが白く観察される。
図5は、所謂「後方散乱光観察光学系」を用いて、同じ試験片表面の粗度の高い部分からの散乱光のパタンを画像化した例である。「低角入射光観察光学系」同様に、スパングルは殆ど見えず、白錆部のみが白く観察される。
【0018】
以上の検討の結果、白錆部の特徴として、反射率が高いのみならず、表面粗度が高く、また成長が進むにつれて一種の「フクレ(凸)形状」をしていることが想像される。この表面性状の特徴に着目すれば、白錆をコントラストよく観察するための条件として「低角入射光観察光学系」あるいは「後方散乱光観察光学系」が適していることが判る。
【0019】
ここで、「低角入射光観察光学系」及び「後方散乱光観察光学系」が適していることを以下に説明する。図6は亜鉛めっき鋼板の経年変化の概念を示した概念図である。亜鉛めっき鋼板11は、図6中に示されるように、鋼板11aの上に亜鉛めっき層11bが形成されたものである。亜鉛めっき層11bが腐食すると白錆11cが発生し、亜鉛めっき層11bの表面に発生した白錆11cの部分に凸部が形成される。
【0020】
図7は腐食前と白錆発生後の亜鉛めっき鋼板に、図4に示される低角入射光観察光学系を適用した場合の概念図である。図7(a)に示す腐食前の亜鉛めっき鋼板11では、鏡面状態に近いので、線状照明装置2から照射された光はその平滑な表面では散乱光成分が少なくなる。その結果、拡散光を受光する位置に設置されたリニアアレイカメラ3では、表面で反射した光は受光されにくく、暗い画像が得られる状態となる。一方、図7(b)に示す白錆発生後の亜鉛めっき鋼板11では、線状照明装置2から発せられた光のうち、白錆11cが発生した凸のある部位で反射した光が、リニアアレイカメラ3の方向に反射することになる。その結果として、微小な凸部が明るく強調されて、白錆11cが明るくなった画像が得られると考えられる。
【0021】
一方、図8は腐食前と白錆発生後の亜鉛めっき鋼板に、図5に示される後方散乱光観察光学系を適用した図である。図8(a)に示した腐食前の亜鉛めっき鋼板11では、低角入射光観察光学系と同様に、鏡面状態に近いので、線状照明装置2から照射された光は、その平滑な表面では散乱光成分が少なく、リニアアレイカメラ3の方向に反射する光はほとんどなく、暗い画像が得られる状態となる。一方、図8(b)に示す白錆発生後の亜鉛めっき鋼板11では、線状照明装置2から照射された光のうち、白錆11cが発生した凸のある部位で反射した光が、リニアアレイカメラの方向に反射することになる。この場合には、線状照明装置2から照射される光の光軸に対し、リニアレイカメラ3の光軸が近いので、低角入射光観察系に比べて、白錆11cがある部位である凸部と白錆11cが無い部位との表面粗度の違いに、より大きく影響されると考えられる。
なお、「低角入射光観察光学系」と「後方散乱光観察光学系」とは、何れも、白錆部を周辺の健全部と識別してコントラストよく観察しうる方法であるという点では共通しているが、異なるのは、「低角入射光観察光学系」の場合には、得られる画像が表面の凹凸の影響が支配的で白錆部の反射率は殆ど反映されないのに対して、「後方散乱光観察光学系」の場合には、得られる画像は白錆部の反射率の影響も強く受けるという点である。
【0022】
図9は、腐食度の高い白錆試験片を「低角入射光観察光学系」を用いて観察した例であり、図10は、同じサンプルを「後方散乱光観察光学系」を用いて観察した例である。観察画像における反射率の影響の違いが判る。どちらの光学系を使うかは、その特徴に照らして目的に応じて使い分ければよい。これらの「低角入射光観察光学系」及び「後方散乱光観察光学系」を用いた観察装置を、実施形態2(図11)及び実施形態3(図12)として次に説明する。
【0023】
実施形態2.
図11は本発明の実施形態2に係る観察装置の構成を示した図であり、ここでは光学系として「低角入射光観察光学系」が用いられている。腐食試験片1を線状照明装置2を用いて極めて浅い角度で照明し、試験片1の撮像線状領域Lをリニアアレイカメラ3を用いて撮像する。試験片1をリニアステージ4を用いて撮像線状領域Lと直交する方向に移動させながら反射輝度パタン(1次元画像)を順次画像メモリ5に読み込んで蓄積し画像化し、その画像(2次元画像)を表示装置6に表示させる。照明装置2は片側からだと凸面の照明照射側のみ明るく見え、逆側は影となって暗くなり白錆と認識されづらくなるため、両側照明とすることが好ましい。
【0024】
低角入射光観察の照明入射角度については、以下のように選定する。
Beckmannの散乱理論(Petr BECKMANN「TheScattering of Electromagnetic Waves fromRough Surfaces」pp.80-97,Pergamon Press(1963))によれば、表面の鏡面性は、表面粗さ・入射角及び光の波長の関数として次式で表される鏡面性指数gによって決まる。g≪1のとき鏡面として、またg≫1のとき拡散面と見なすことができる。
g=(4πσcosθ/λ)2 … (1)
σ:rms表面粗さ(2乗平均粗さ)
θ:入射角(垂直入射が0゜)
λ:波長(可視光400〜700nm)
低角入射光観察光学系は表面が鏡面に近いのが好ましく、入射角度は鏡面性指数gが、g≪1となるよう設定する。例えば試験片として亜鉛めっき鋼板を観察する場合には、鋼板表面粗さσ=200nm,波長λ=500nmとして、g<1を満足する条件を求めると、以下のガイドラインが得られる。
θ>80゜ … (2)
また、λ=700nmであれば、g<1を満足する条件は、θ>73.8°となるので、73°以上が適用範囲であり、80°以上がより好ましい範囲とすることができる。
【0025】
一方、上述の例では、波長λを可視光としたが、設備制約などの理由で、線状照明装置2の入射角度を大きくできない制約がある場合は、線状照明装置2の波長を長くしてもよい。例えば、θ=75°が角度を最大にすることができる限界である場合には、式(1)において、鋼板表面粗さσ=200nmのとき、g<1となる条件が、λ=650nmであるので、それ以上の波長となる光、例えば波長が800nmや1μm程度、更にはそれ以上の波長成分を有する赤外線の線状照明装置2を使ってもよい。つまり、線状照明装置2から照射される光の波長λに対する前記入射角度θの余弦の値の比cosθ/λが、前記鋼板の表面粗さσ(rms表面粗さ(2乗平均粗さ=1.25Ra)や凹凸の標準偏差)に対応して、式(1)から決定される所定の値以下となるように、前記波長と前記入射角の関係が選定するようにしてもよい。そうすれば、可視光より波長が長い光を用いれば、可視光のときの入射角度より小さくてもすむ。
【0026】
上述の説明では、g<1を基準としたが、もう一つの指標の考え方としては、例えば、鋼板表面粗さσ=200nmの粗面を有する鋼板の鏡面性gを、σ=25nm程度の鏡面が、可視光の波長λ=500nm、入射角θ=0°に対して有するのと同程度の鏡面性gと同じ程度になるように考えても良い。すなわち、(1)式にσ=25nm、λ=500nm、θ=0°を代入して、
g=(4π・25・cos0/500)2 =0.395
なる値を基準にして、θを決定してもよい。この場合、鋼板の表面粗さσ=200nm、波長λ=500nmの条件であれば、θ=82.8°以下とすればよい。上述したのと同様に、設備制約などの理由で、線状照明装置2の入射角度を大きくできない制約がある場合には、例えば波長が800nmや1μm程度、更にはそれ以上の波長成分を有する線状照明装置2の波長を長くしてもよい。
【0027】
このように、線状照明装置2の波長λに対する入射角θの余弦の値の比cosθ/λが、検査対象となる鋼板の表面粗さに対応して決定される所定の値以下となるように、前記波長と前記入射角の関係を選定し、撮像装置であるリニアアレイカメラ3の位置も含めて、白錆が白錆以外の背景に対して、コントラストよく検出できるように設定すればよい。
なお、入射角度の上限は、原理上では90°であるが、照明装置の大きさなど設備制約上、90°にできない場合があるので、その場合は、それが上限と考えればよい。また、上述のσは、rms表面粗さとしたが、凹凸量の正規分布の標準偏差でもよい。
また、リニアアレイカメラ3の角度は、両側照明からの反射光を両側から同じ条件(均等)で受光するために、鋼板表面法線方向にほぼ一致させるのがよい。法線方向に対して0゜〜±45゜までが適当範囲であるが、好ましくは0゜〜±30゜、さらに好ましくは0゜〜±10゜の範囲がよい。
【0028】
実施形態3.
図12は本発明の実施形態3に係る観察装置の構成を示した図であり、ここでは光学系として「後方散乱光観察光学系」が用いられている。腐食試験片1の撮像線状領域Lを、リニアアレイカメラ3を用いて斜め上方から撮像する。後方散乱光を観察するため、線状照明装置2はリニアアレイカメラ3の撮像角度よりも浅い角度で照明する。この光学系の下に、試験片1をリニアステージ4を用いて撮像線状領域Lと直交する方向に移動させながら反射輝度パタンを順次画像メモリ5に読み込んで蓄積し画像化し、その画像を表示装置6に表示させる。
なお、リニアアレイカメラ3の撮像角度は、鋼板表面法線方向に対して30゜以上で、照明から投光角度(入射角度)より小さい角度が適当範囲である。30゜よりも小さい場合には、白錆の凸形状により、反対側に影が形成されて、白錆の発生量が少なく撮像されるからである。また、好ましくは45゜以上、さらに好ましくは60゜以上がよく、投光角度に対しては、照明装置と撮像装置との配置の干渉がある場合には、5゜〜10゜程度離してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の基本構成を示した図である。
【図2】拡散光観察光学系及びその画像化パタンの図である。
【図3】正反射光観察光学系及びその画像化パタンの図である。
【図4】低角入射光観察光学系及びその画像化パタンの図である。
【図5】後方散乱光観察光学系及びその画像化パタンの図である。
【図6】亜鉛めっき鋼板の経年変化を示した図((a)腐食前、(b)腐食後)である。
【図7】亜鉛めっき鋼板に低角入射光観察光学系を適応した図である。
【図8】亜鉛めっき鋼板に後方散乱光観察光学系を適応した図である。
【図9】腐食度の高い白錆試験片の低角入射光観察光学系による画像化パタン例の図である。
【図10】腐食度の高い白錆試験片の後方散乱光観察光学系による画像化パタン例の図である。
【図11】本発明の実施形態2に係る観察装置(低角入射光観察光学系)の構成を示した図である。
【図12】本発明の実施形態2に係る観察装置(後方散乱光観察光学系)の構成を示した図である。
【図13】面領域観察時の照明・撮像ムラの発生メカニズムの説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 腐食試験片、2 線状照明装置、3 リニアアレイカメラ、4 リニアステージ、5 画像メモリ、6 表示装置、11 亜鉛めっき鋼板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板に対して一方向又は複数の方向から所定の入射角度で光を照射する投光手段と、
前記鋼板を所定の方向に移動する移動手段と、
前記鋼板表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化手段と、
前記画像化手段により得られた画像を表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする表面処理鋼板の腐食部の観察装置。
【請求項2】
鋼板に対して一方向又は複数の方向から所定の入射角度で光を照射する投光手段と、
前記鋼板を所定の方向に移動する移動手段と、
前記鋼板表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化手段と、
前記画像化手段により得られた画像を表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項3】
前記投光手段は、直線状の光源から構成されることを特徴とする請求項2記載の亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項4】
前記移動手段は、前記画像化手段により得られる画像の縦横の分解能が略1:1となるよう設定された一定速度の移動機構から構成されることを特徴とする請求項2又は3記載の亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、リニアアレイカメラから構成されることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項6】
前記投光手段は、照射される光の波長λに対する前記入射角度θの余弦の値の比cosθ/λが、前記鋼板の表面粗さに対応して決定される所定の値以下となるように、前記波長と前記入射角の関係が選定されて、前記鋼板を片側又は両側から照射し、且つ、前記撮像手段は、前記鋼板の概略法線方向から撮像することを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項7】
前記投光手段は、入射角度を鋼板表面法線方向に対して80度以上とし、前記鋼板を片側又は両側から照射し、且つ、前記撮像手段は、前記鋼板の概略法線方向から撮像することを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項8】
前記投光手段は、撮像方向と同じ方向から鋼板表面法線方向に対して撮像角度以上の入射角度をもって前記鋼板を照射し、且つ、前記撮像手段は、前記鋼板を斜め上方から撮像することを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項9】
鋼板に対して、入射角度が鋼板表面法線方向に対して80度以上で、片側又は両側から光を照射する投光工程と、
前記投光工程の鋼板を所定の方向に移動する移動工程と、
前記鋼板表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを前記鋼板の概略法線方向から撮像する撮像工程と、
前記反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化工程と、
前記画像化工程で得られた画像を表示する工程と
を備えたことを特徴とする亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察方法。
【請求項10】
鋼板に対して撮像方向と同じ方向から、入射角度が鋼板表面法線方向に対して撮像角度以上の角度をもって光を照射する投光工程と、
前記投光工程の鋼板を所定の方向に移動する移動工程と、
前記鋼板表面の反射輝度パタンを斜め上方から撮像する撮像工程と、
前記反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化工程と、
前記画像化工程で得られた画像を表示する工程と
を備えたことを特徴とする亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察方法。
【請求項1】
鋼板に対して一方向又は複数の方向から所定の入射角度で光を照射する投光手段と、
前記鋼板を所定の方向に移動する移動手段と、
前記鋼板表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化手段と、
前記画像化手段により得られた画像を表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする表面処理鋼板の腐食部の観察装置。
【請求項2】
鋼板に対して一方向又は複数の方向から所定の入射角度で光を照射する投光手段と、
前記鋼板を所定の方向に移動する移動手段と、
前記鋼板表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化手段と、
前記画像化手段により得られた画像を表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項3】
前記投光手段は、直線状の光源から構成されることを特徴とする請求項2記載の亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項4】
前記移動手段は、前記画像化手段により得られる画像の縦横の分解能が略1:1となるよう設定された一定速度の移動機構から構成されることを特徴とする請求項2又は3記載の亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、リニアアレイカメラから構成されることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項6】
前記投光手段は、照射される光の波長λに対する前記入射角度θの余弦の値の比cosθ/λが、前記鋼板の表面粗さに対応して決定される所定の値以下となるように、前記波長と前記入射角の関係が選定されて、前記鋼板を片側又は両側から照射し、且つ、前記撮像手段は、前記鋼板の概略法線方向から撮像することを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項7】
前記投光手段は、入射角度を鋼板表面法線方向に対して80度以上とし、前記鋼板を片側又は両側から照射し、且つ、前記撮像手段は、前記鋼板の概略法線方向から撮像することを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項8】
前記投光手段は、撮像方向と同じ方向から鋼板表面法線方向に対して撮像角度以上の入射角度をもって前記鋼板を照射し、且つ、前記撮像手段は、前記鋼板を斜め上方から撮像することを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察装置。
【請求項9】
鋼板に対して、入射角度が鋼板表面法線方向に対して80度以上で、片側又は両側から光を照射する投光工程と、
前記投光工程の鋼板を所定の方向に移動する移動工程と、
前記鋼板表面の前記移動方向と直交する方向の反射輝度パタンを前記鋼板の概略法線方向から撮像する撮像工程と、
前記反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化工程と、
前記画像化工程で得られた画像を表示する工程と
を備えたことを特徴とする亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察方法。
【請求項10】
鋼板に対して撮像方向と同じ方向から、入射角度が鋼板表面法線方向に対して撮像角度以上の角度をもって光を照射する投光工程と、
前記投光工程の鋼板を所定の方向に移動する移動工程と、
前記鋼板表面の反射輝度パタンを斜め上方から撮像する撮像工程と、
前記反射輝度パタンを順次読み込んで蓄積し画像化する画像化工程と、
前記画像化工程で得られた画像を表示する工程と
を備えたことを特徴とする亜鉛めっき鋼板の白錆部の観察方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−96428(P2008−96428A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231780(P2007−231780)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】
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