説明

袋体

【課題】内容物が光に曝されることを防止するため、全体としては遮光性を有しつつ、内容物を目視するため、任意のタイミングで簡単に窓部を形成することができるともに、形成された窓部表面に接着剤などが残存することなく、きれいな窓部を形成可能な袋体を提供すること。
【解決手段】窓部を形成する窓部用透明フィルムを、前記遮光性フィルムの内面に具備し、前記窓部用透明フィルムは、接着部で囲まれた未接着部を有し、当該接着部において前記遮光性フィルムの内面と接着されており、前記窓部用透明フィルムの未接着部と重なっている遮光性フィルムを除去することにより、内容物を視認し得る窓部が形成されることを特徴とする袋体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋体に関する。より具体的には、その全体が遮光性フィルムによって形成されつつ、内容物を視認するための窓部を任意のタイミングで形成可能な袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、薬剤や電子部品などの光によって変質する物質を収容する袋体を形成するにあたっては遮光性フィルムが用いられていた。しかしながら、遮光性フィルムのみによって袋体を形成した場合、内容物の種類やその残量を目視して確認することができなかった。
【0003】
そこで、遮光性を担保しつつ内容物を目視可能な袋体の開発がなされており、このような袋体として、たとえば特許文献1〜3を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−111053号公報
【特許文献2】特開昭59−051860号公報
【特許文献3】実開平05−095883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、目盛りが印刷された透明プラスチックフィルムの全面に金属薄膜を剥離可能に接着し、使用時に金属薄膜をその全面において剥離させることが可能な医療用容器が開示されている。しかしながら、当該容器は、透明プラスチックフィルムの全面に接着剤が塗布されていることで直接金属薄膜が接着されているため、金属薄膜を剥離した後に接着剤が透明プラスチックフィルム表面に残存する可能性があり、残存した場合には意匠性を損うばかりでなく、印刷された目盛りが読み取れない場合もある。また、金属薄膜をその全面において剥離した後は、容器の全面において透明プラスチックフィルムが露出するため、露出する面積が大きく、長時間をかけて投与する薬剤が内容物の場合には、病室の蛍光灯などの光によって薬剤が変質(劣化)してしまう場合もある。
【0006】
また、特許文献2には、内容物を視認可能とするための内部透視部が設けられた輸液用バッグが開示されている。しかしながら、当該バッグでは、常に内部透視部から光が侵入するため、内容物は当該バッグに充填された直後から光を浴び続けることとなり、長時間保存された場合には内容物の劣化を免れない。
【0007】
一方で、特許文献3には、任意のタイミングで部分的に、金属箔層を含む層を剥がすことができる電子部品保護用包装体が開示されている。しかしながら、当該包装体にあっても、前記特許文献1と同様、内容物を視認するための透明な合成樹脂の表面に接着剤によって金属箔層を含む層を接着しているため、金属箔層を含む層を剥離した後に接着剤が残存する可能性があり、意匠性に問題が生じるとともに、内容物を正確に目視することができない場合がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、内容物が光に曝されることを防止するため、全体としては遮光性を有しつつ、内容物を目視するため、任意のタイミングで簡単に窓部を形成することができるともに、形成された窓部表面に接着剤などが残存することなく、きれいな窓部を形成可能な袋体を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、内容物を視認するための窓部を形成可能な、遮光性フィルムからなる袋体であって、当該袋体は、窓部を形成する窓部用透明フィルムを、前記遮光性フィルムの内面に具備し、前記窓部用透明フィルムは、接着部で囲まれた未接着部を有し、当該接着部において前記遮光性フィルムの内面と接着されており、前記窓部用透明フィルムの未接着部と重なっている遮光性フィルムを除去することにより、内容物を視認し得る窓部が形成されることを特徴とする。
【0010】
また、上記袋体にあっては、前記窓部用透明フィルムの未接着部と重なっている遮光性フィルムの内面には、この部分における遮光性フィルムを破断し除去可能な破断用テープが設けられていてもよい。
【0011】
また、上記袋体にあっては、前記破断用テープの長手方向端部に摘み部を有し、当該摘み部は、前記遮光性フィルムがヒートシールされている部分に位置し、摘み部を摘み上げた後に当該部分に孔が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる袋体によれば、第一に、その全体が遮光性フィルムにより形成されているので、内容物が光に曝されることを防止することできる。また第二に、袋体の遮光性フィルムの内面に窓部用透明フィルムが設けられている。そして、窓部用透明フィルムは、接着部で囲まれた未接着部を有しており、かつ、接着部おいて遮光性フィルムの内面に接着されており、前記窓部用透明フィルムの未接着部と重なっている遮光性フィルムを除去させることにより窓部用透明フィルムを露出させて窓部とすることができる。つまり、窓部用透明フィルムの未接着部が実際に窓部となり内容物を目視可能な部分となる。よって当該窓部に接着剤などの接着の跡が残存している虞はなく、意匠性を損ねたり、内容物の目視に支障が生じることがない。また、内容物が薬剤の場合でも、使用時にのみ窓部を形成することができるため、内容物の充填時からの光による内容物の劣化を防止できる。また、内容物を視認できる程度の部分的な窓部を形成可能なため、内容物が長時間かけて投与する薬剤の場合であっても、病室の蛍光灯などの光による内容物の劣化を防止することができる。さらに、本発明にあっては、窓部の形成にあっては、所定部分の遮光性フィルムを除去することのみなので非常に簡便である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる袋体の正面図である。
【図2】図1に示す袋体のA−A断面図である。
【図3】図1に示す袋体の窓部W近傍の拡大正面図である
【図4】本発明の袋体の第2実施形態を説明するための断面図である。
【図5】図4に示す袋体の、破断用テープと平行な方向の断面図である
【図6】本発明の袋体の第3実施形態を示す、図5と同様、破断用テープと平行な方向の断面図である。
【図7】本発明の袋体の第4実施形態であり、窓部形成前の摘み部及び窓部近傍の拡大正面図である。
【図8】本発明の袋体の第4実施形態であり、図7におけるB−B断面図である。
【図9】本発明の袋体の第4実施形態であり、窓部を形成した後の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本発明にかかる袋体の正面図である。
【0015】
図2は、図1に示す袋体のA−A断面図である。
【0016】
図1、2に示すように、本発明の袋体10は、対向する一対の遮光性フィルム11a、11bが、その周縁部14に位置するヒートシール部12においてヒートシールされることにより形成されている。そして、袋体10の窓部Wを形成すべき位置において、前記遮光性フィルム11aの内面に窓部Wより大きい窓部用透明フィルム13が設けられている。窓部用透明フィルムは、接着部13aで囲まれた未接着部13bを有しており、接着部13aにおいて遮光性フィルム11aの内面に接着されている。
【0017】
袋体10をこのような構成とすることにより、任意のタイミングで前記窓部用透明フィルム13の未接着部13bと重なっている遮光性フィルム11'を除去させることで、窓部用透明フィルム13を露出させて窓部Wとし、当該窓部Wより内容物の視認をすることができる。加えて、図2をみれば明らかなように、窓部用透明フィルム13と遮光性フィルム11aとは窓部用透明フィルム13の接着部13aのみで接着されている。つまり、窓部用透明フィルム13の未接着部13bが実際に窓部Wとなり内容物を目視可能な部分となる。窓部用透明フィルム13の接着部13aにおける遮光性フィルム11aとの接着形態は特に限定されず、ヒートシールによる接着でも接着剤による接着でもよい。したがって、窓部W形成後において当該窓部Wに接着剤などの接着の跡が残存する虞はなく、意匠性を損ねたり、内容物の目視に支障が生じることがない。
【0018】
ここで、本発明の袋体10を構成する遮光性フィルム11a、11bは、内容物が光に曝されることを防止することができる「遮光性」を有するフィルムであれば特に限定されることはない。しかしながら取扱性能などを考慮すると、可とう性を有しているフィルムであることが好ましい。
【0019】
また、当該遮光性フィルム11a、11bは、単層構造であっても積層構造であってもよい。単層構造の場合には、アルミニウム箔などの金属箔や、各種合成樹脂フィルムの表面にアルミニウムなどの金属蒸着膜が形成されている蒸着フィルム、さらには、各種合成樹脂フィルムの表面に遮光性を有する印刷がされた印刷フィルムなどを用いることができる。
【0020】
一方で、積層構造とする場合にあっては、例えば外面層/中間層/内面層からなる3層以上の構造としてもよい。外面層としては、印刷適性、耐ピンホール性、および耐衝撃性などに優れた層であることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、さらにはエチレンビニルアルコール共重合体等の一軸または二軸延伸フィルム、などを挙げることができる。また、袋体10の用途に応じて、当該外面層にアルミニウムなどの金属や、酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機酸化物が蒸着された蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデンやポリアクリル酸系樹脂などがコーティングされ酸素バリア性や水蒸気バリア性が付与されているコートフィルムでもよい。また、紙やセロファンを用いることもできる。中間層は、酸素バリア性、水蒸気バリア性、および引き裂き性等の機能を有する層であることが好ましい。中間層の材質としては、袋の用途として、酸素バリア性、および水蒸気バリア性が要求される場合には、例えば、アルミニウム箔などの金属箔;各種合成樹脂フィルムの表面にアルミニウム等の金属、並びに酸化アルミニウム、および酸化珪素等の無機酸化物が蒸着された蒸着フィルム;ポリ塩化ビニリデン、およびポリアクリル酸系樹脂等がコーティング(バリアコート)されたコートフィルム;等が挙げられる。内面層としては、図1、2に示すように、袋体10をヒートシールによって形成する場合には、ヒートシール性に優れた層であることが好ましい。具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、等の各種ポリエチレン樹脂、さらにはポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、およびアイオノマー樹脂からなる未延伸フィルム、またはこれらの樹脂を層状に押し出したものを挙げることができる。
【0021】
なお、各層(外面層、中間層、内面層)のそれぞれは、一層ずつである必要はなく、複数の層から構成されていてもよい。また、積層構造の場合には、少なくともいずれかの層が遮光性を有しており、例えば上述した金属箔、金属蒸着フィルム、遮光性を有する印刷の施されたフィルムなどを用いることができ、それぞれ、外面層または中間層に用いられることが好ましい。これらの層を積層して積層構造を形成する方法は、一般に積層構造の形成に用いられる積層方法であれば特に限定されず、例えば、接着剤を用いてドライラミネート法により積層構造を形成する方法であってもよく、熱接着樹脂を用いて押し出しラミネート法により積層構造を形成する方法であってもよい。また、その他のラミネート法により積層構造を形成する方法であってもよい。
【0022】
次に、本発明の袋体10を構成する前記窓部用透明フィルム13について説明する。
【0023】
当該窓部用透明フィルム13は、当該フィルム13越しに内容物が目視可能な程度に透明であればよく、その材質などは特に限定されない。したがって、前記遮光性フィルムと同様、単層構造であっても積層構造であってもよい。ただし、前述したように、当該窓部用透明フィルム13は、その接着部13aにおいて遮光性フィルム11aと接着されることから、当該接着の態様に応じて材質等を選択することが好ましい。例えば、当該部分の接着としてヒートシールを採用する場合には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、等の各種ポリエチレン樹脂などヒートシール性に優れた材質を用いることが好ましい。より好ましくは、少なくとも、遮光性フィルム11aと対向する層は、遮光性フィルム11aの内面層と同種同材料のものを用いる。
【0024】
なお、窓部用透明フィルム13の形状や大きさについては、窓部Wよりも大きければ特に限定されることはなく、最終的に形成される窓部Wの形状や大きさを考慮して適宜設計すればよい。
【0025】
本発明の袋体10は、前記窓部用透明フィルム13における未接着部13bと遮光性フィルム11aとが重なっている部分の、遮光性フィルム11'を任意のタイミングで除去させることにより、窓部用透明フィルム13を露出させて窓部Wとするが、当該遮光性フィルム11'を除去させる手段については特に限定されることはない。
【0026】
図3は、図1に示した本発明の袋体10の窓部W近傍の拡大正面図である。
【0027】
例えば、図3に示すように、窓部Wを形成するために除去する遮光性フィルム11a(11')に切り口16が設けられ、その部分から、予め遮光性フィルム11aに設けられたミシン目などの切取線17a、17bに沿って遮光性フィルム11'を除去させてもよい。さらには、遮光性フィルム11a(11')に延伸フィルムが用いられている場合には、切取線17a、17bがなくとも利用者が手で引き裂くことにより除去させることができる。
【0028】
(第2実施形態)
図4は、本発明の袋体の別の態様を説明するための断面図である。
【0029】
図4に示すように、本発明の袋体10にあっては、窓部用透明フィルム13の未接着部13bと重なっている部分の遮光性フィルム11'の内面に、破断用テープ20が接着され、当該破断用テープ20を図中の矢印方向に摘みあげて、破断用テープ20の長手方向へ引っ張ることにより、破断用テープ20に沿って遮光性フィルム11'を破断して除去せしめ、窓部Wを形成するようにしてもよい。なお、図4は断面図なので図示はできないが、破断用テープ20の長手方向の先端は、袋体10の表面側から摘める形状であり、利用者が摘み上げることが可能となっている。
【0030】
このように、窓部Wとなるべき部分の窓部用透明フィルム13と重なっている遮光性フィルム11'を破断・除去するにあたり、破断用テープ20を利用することにより、当該破断用テープ20の側端をガイドとして遮光性フィルム11'が引き裂かれ、簡便かつ短時間で窓部Wを形成することができるとともに、破断・除去された部分の形状をきれいにすることができ、窓部W形成後の袋体の意匠性を向上することができる。
【0031】
ここで、破断用テープ20の材質については特に限定されることはなく、本発明における役割、つまり窓部Wとなるべき部分の窓部用透明フィルム13と重なっている遮光性フィルム11'を破断することができる材質であればよい。破断用テープ20と遮光性フィルム11'との接着方法についても、特に限定されることはないが、ヒートシールにより接着するのが簡便であり、この接着方法を用いる場合には、破断用テープ20はヒートシール性を有する樹脂からなることが好ましく、遮光性フィルム11'の内面層と同種同材料からなることが特に好ましい。また、遮光性フィルム11'を破断する関係上、破断用テープ20の硬度は、遮光性フィルム11の硬度に比べて高いことが好ましい。
【0032】
図4に示す袋体10にあっては、破断用テープ20は1本しか存在しないが、本発明は破断用テープ20の本数について限定することはなく、窓部Wの形状によっては、複数本の破断用テープ20が設けられていてもよい。例えば、窓部Wの両側にそって、窓部の幅よりも細い破断用テープを2本設けることも可能である。
【0033】
図5は、図4に示す袋体の、破断用テープと平行な方向の断面図である。
【0034】
図4に示すように、本発明の袋体10を構成する破断用テープ20の長手方向の端部は、袋体10の周縁部14に位置し、当該周縁部14に位置する破断用テープ20と遮光性フィルム11'を利用者が摘めるように、破断用テープ20と窓部用透明フィルム13との間が未接着とされている。この場合、袋体10の周縁部14は、人の手により摘める程度の幅においては未接着であり、この部分が摘み部21として機能する。その内側の少なくとも一部においては、破断用テープ20と窓部用フィルム13とは接着されている。この接着は、袋体10のその他の部分における周縁部14のヒートシール部12とともにヒートシールされたものであってもよく、接着剤などによる接着であってもよいが、容易に剥離することができる弱接着であることが好ましい。また、上記において未接着の部分も、容易に剥離することができる弱接着とされていてもよい。このような摘み部21が設けられていることにより、利用者は破断用テープ20と遮光性フィルム11'の端部における摘み部21を摘み上げ、図5中の太線で示される破断用テープ20と窓部用透明フィルム13との間を境界とし、破断用テープ20と遮光性フィルム11'を図5中の矢印方向で示される破断用テープ20の長手方向に引っ張るのみで、破断用テープ20の側端に沿って遮光性フィルム11'が引き裂かれることで除去されて、窓部Wを形成することができる。
【0035】
ここで、摘み部21において、破断用テープ20と窓部用透明フィルム13との間が弱接着の場合における剥離形式については特に限定されることはなく、界面剥離、凝集剥離、さらには層間剥離など、種々の剥離形式をシール条件やフィルムの材質等に応じて適宜選択すればよい。より具体的には、例えば界面剥離形式による場合には、破断用テープ20として、ポリエチレンフィルムからなる支持層とエチレン酢酸ビニルコポリマーおよび粘着剤を含む接着層とを積層した構造を有するものを用いることができ、凝集剥離形式による場合の破断用テープ20としては、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムからなる支持層と、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび必要に応じてその他の材料を含む凝集剥離層とを積層した構造を有するものを用いることができる。
【0036】
破断用テープ20と窓部用透明フィルム13との接着を弱接着とすることで、破断用テープ20と窓部用透明フィルム13とを容易に剥離することができるため、窓部用透明フィルム13を破壊することなく遮光性フィルム11aを破断して除去させて窓部Wを形成することができる。
【0037】
(第3実施形態)
図6は、図5とは別の態様の本発明の袋体を示す、図5と同様、破断用テープと平行な方向の断面図である。
【0038】
図6に示すように、本発明の袋体10を構成する破断用テープ20の長手方向の端部が、袋体10の周縁部14からはみ出して位置しており、当該はみ出した部分が摘み部21とされてもよい。このような態様としても、利用者は破断用テープ20の端部を容易に摘み上げることができ、図6中の太線で示される破断用テープ20と窓部用透明フィルム13との間を境界とし、破断用テープ20と遮光性フィルム11'を図6中の矢印方向に引っ張るのみで、破断用テープ20の側端に沿って遮光フィルム11'を引き裂き、除去して、窓部Wを任意のタイミングで形成することができる。なお、この場合においても、前記と同様、破断用テープ20と窓部用透明フィルム13との間が弱接着とされていることが好ましい。
【0039】
(第4実施形態)
図7〜9は、図6とはさらに別の態様の本発明の袋体を示している。
【0040】
具体的には、図7は、窓部形成前の摘み部および窓部近傍の拡大正面図であり、図8は、図7におけるB−B断面図であり、図9は、窓部を形成した後の使用状態を示す図である。
【0041】
図7や図8に示すように、本発明の袋体10を構成する破断用テープ20の長手方向端部が、袋体10のヒートシール部12に位置しているとともに、図7や図8の点線に沿って切り込み22を設けておき、当該切り込み22で囲まれた部分を摘み部21としてもよい。切り込み22のうちヒートシール部12と平行に伸びている切り込みを切り込み22a、22bとし、より袋体の周縁部14側に位置しているものを切り込み22aとする。
【0042】
なお、図8に示す切り込み22aは、遮光性フィルム11aから遮光性フィルム11bを貫通する切り込みであり、切り込み22bは、破断用テープ20が設けられていない側の遮光フィルム11bと窓部用透明フィルム13とを貫通する切り込みである。また、摘み部21を形成する切り込み22のうち、ヒートシール部12と垂直方向に伸び、かつ切り込み22aと切り込み22bとの間の切り込み22cは、破断用テープ20の幅方向端縁に沿って設けられており、切り込み22aと同様に遮光性フィルム11aから遮光性フィルム11bまでを貫通する切り込みである。切り込み22cの延長線上に位置し、切り込み22bよりも内容物側に位置する部分においては、切り込みは設けられていなくてもよく、切り込み22bと同様に遮光性フィルム11bと窓部用透明フィルム13とを貫通する切り込みが設けられていてもよい。これにより、切り込み22に沿って、切り込み22a、22b、22cに囲まれた部分を破断して摘み部21が形成され、これを摘みあげることで、図8中の太線で示される破断用テープ20と窓部用透明フィルム13との間を境界とし、破断用テープ20と遮光性フィルム11'を図8中の矢印方向に引っ張るのみで、窓部Wを任意のタイミングで形成させることができる。また、この場合においても破断用テープ20と窓部用透明フィルム13との間が弱接着されていることが好ましい。
【0043】
このように、ヒートシール部12において破断用テープ20およびこれが接着されている遮光性フィルム11aのみならず、破断用テープ20が接着されている側とは反対側の遮光性フィルム11bまで一体として摘み部21とし、これを図中の矢印の方向へ摘み上げることにより、図9に示すように、摘み部21が存在した部分に孔23が形成されることとなる。当該孔23は、例えば、内容物が流動食や点滴用の薬剤である本発明の袋体を吊り下げて用いる場合に利用でき便利である。
【0044】
ここで、図9に示すように窓部Wを形成する窓部用透明フィルム13には、内容物の残量が把握できるように目盛り24が付されていてもよい。当該目盛り24を付す方法については特に限定されることはなく、印刷、ラベル貼布、手書きなど種々の方法を採用することができる。
【0045】
また、除去された後の遮光性フィルム11'および当該フィルムに接着された破断用テープ20にあっては、図9に示すように、そのまま袋体10に残存しておいてもよいし、これが邪魔になる場合には、窓部Wの端部に位置し、かつ引き裂きによる破断の最終位置となる部分に、遮光性フィルム11aから破断用テープ20までを貫通している、または半貫通しているミシン目状などの切り込みや、粗面などが設けられていてもよく、その切り込みや粗面を利用して袋体10から切り離すように除去してもよい。また、窓部Wが袋体10の一端から一端にかけて設けられる場合、摘み部21付近と同様に、摘み部21に対向している袋体の周縁部14のヒートシール部12において破断用テープ20と窓部用透明フィルム13との間が弱接着とされていることで、破断用テープ20と窓部用透明フィルム13とを容易に剥離することができるため、容易に遮光性フィルム11'および破断用テープ20を取り去ることができる。
【0046】
また、本発明の袋体10にあっては、図1や図9に示すように、内容物を注出するための注出口15が設けられていてもよい。注出口15の形状は特に限定されず、用途に応じて変更できる。また、注出口15が設けられている位置も限定されず、用途や内容物を充填する位置に応じて変更することができる。
【0047】
また、本発明の袋体にあっては、形成される窓部Wの場所、大きさ、数などが限定されることはなく、使用形態などを考慮して任意に設計可能である。例えば図9に示すように、吊り下げて用いられる場合には、使用される状態において内容物である液体の液面と垂直となるように窓部を形成してもよい。つまり、使用前にあっては、袋体の側辺に対して斜めに窓部Wが形成されることとなってもよい。
【0048】
また、図8に示すように、遮光性フィルム11aの内面と破断用テープ20との間に別途ベースフィルム25が設けられていてもよい。別途ベースフィルム25が設けられていることで遮光性フィルム11aと破断用テープ20との間の接着が強固となり得る。詳しくは、接着がヒートシールにより行われる場合、ベースフィルム25として、遮光性フィルム11aと対向する面を形成する層を遮光性フィルム11aの対向する面を形成している層とヒートシール可能な層とし、破断用テープ20と対向する面を形成する層を破断用テープ20の対向する面を形成している層とヒートシール可能な層とする積層構造を用いることで、それぞれ遮光性フィルム11aと破断用テープ20との間の接着が強固となる。また、遮光性フィルム11aと破断用テープ20がヒートシールにより接着できない材質で形成されている場合でも、それぞれと対向する面を形成する層を、それぞれとヒートシール可能な層とする積層構造とすることで、遮光性フィルム11aと破断用テープ20とが接着可能となる。したがって、ベースフィルム25に用いられる材質としては、遮光性フィルム11aの内面層や、破断用テープ20と同様の材質が挙げられる。接着が強固となることで、破断用テープ20に沿った遮光性フィルム11aの切り裂きが容易となる。なお、破断用テープ20が複数用いられている場合、破断用テープ20一本につきベースフィルム25が一枚であってもよく、破断用テープ20複数本につきベースフィルム25が一枚であってもよい。
【0049】
以上、袋体の形状について、遮光性フィルム11a、11bからなる平袋を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、側面部や底面部を有する袋体であってもよく、背貼り部を有するピロー袋や筒状フィルムから形成される袋体であってもよい。また、外周縁をヒートシールにより接着されるものに限定されず、また、接着剤などを用いて接着するものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 袋体
11a 遮光性フィルム
11b 遮光性フィルム
12 袋体のヒートシール部
13 窓部用透明フィルム
13' 窓部用透明フィルムの外周縁
13a 窓部用透明フィルムの接着部
13b 窓部用透明フィルムの未接着部
14 袋体の周縁部
15 注出口
16 切り口
17a 切取線
17b 切取線
20 破断用テープ
21 摘み部
22 切り込み
22a 切り込み
22b 切り込み
22c 切り込み
23 孔
24 目盛り
25 ベースフィルム
W 窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を視認するための窓部を形成可能な、遮光性フィルムからなる袋体であって、
当該袋体は、窓部を形成する窓部用透明フィルムを、前記遮光性フィルムの内面に具備し、
前記窓部用透明フィルムは、接着部で囲まれた未接着部を有し、当該接着部において前記遮光性フィルムの内面と接着されており、
前記窓部用透明フィルムの未接着部と重なっている遮光性フィルムを除去することにより、
内容物を視認し得る窓部が形成されることを特徴とする袋体。
【請求項2】
前記窓部用透明フィルムの未接着部と重なっている遮光性フィルムの内面には、この部分における遮光性フィルムを破断し除去可能な破断用テープが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の袋体。
【請求項3】
前記破断用テープの長手方向端部に摘み部を有し、
当該摘み部は、前記遮光性フィルムがヒートシールされている部分に位置し、
摘み部を摘み上げた後に当該部分に孔が形成されることを特徴とする請求項2に記載の袋体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−76802(P2012−76802A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224292(P2010−224292)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】