説明

袖口水濡れ防止具

【課題】水仕事の際に、袖が濡れるのを不快に感じることが多かった。その不快の原因は、袖口及び袖口からの浸水による袖内部の濡れを冷たく不快に感じていること、洗顔時などに肘まで伝わった水が床を濡らすことが不快であることが分かった。
【解決手段】合成樹脂などで形成され、一箇所を開放した、帯状で概ね手首の形状に倣う漏斗状バネ性ループ1を設け、指先方向に拡開するように手首に装着する。また、その漏斗状バネ性ループ1の手首に着接する部位4に、柔軟な発泡ウレタンなどの可塑性素材2を着設させ、手首と密着して袖内部への浸水を防止する。漏斗状に開いた本願発明は手首から肘に向けて伝い流れる水を遮断し、袖口から袖の内部への浸入を防止するものである。 また、バネ性ループ6をコアとして柔軟な発泡ゴム、発泡エラストマーなどを肉厚に周着させた概ねブレスレット様の防水器具を設けて浸入を防止するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は水仕事で袖口が濡れるのを防止するため、バネ性を有する、合成樹脂、熱可塑性エラストマー、合成ゴム、または、金属により形成される、概貌ブレスレット様の、漏斗状バネ性ループ1を手首に装着することとする袖口水濡れ防止具、および、漏斗状バネ性ループ1またはバネ性ループ6の周部に軟質の可塑性素材2を着設させ、手首と器具を密着させて袖口への浸入を防止する袖口水濡れ防止具の形状及び構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水仕事時に袖口を濡らさないためには、ゴム及びゴム引等の手袋が用いられた。さらに、袖を覆う布帛及びビニールのカバーが用いられた。
また、手首に装着する「袖口水濡れ防止リストバンド」が出願されているので以下に記す。
【特許文献1】特開2000−314019
上記、特許文献1のクレームによれば、腕固定部7を設け、腕固定部7に接続してつば部8を設けている。また、腕固定部7は面で腕に接し、面ファスナー9により密着固定の調整をするものである(図6)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ゴム手袋を装着しての水仕事は袖口の防水には有効であるが、指先の感覚をなくしてしまうので、食器を洗う等、指先に微妙な感覚を保持したい作業には向かなかった。また、暑い季節など、手袋の中が蒸れることが多く使い辛かった。
【0004】
また、布帛のカバーは滲水、ゴムによる締め付け、また、着脱が面倒、汚れ易い、ファッション性に欠ける等により、袖口の防水具としては余り使用されなかった。ビニール製のカバーも蒸れる、お洒落でない等の理由で使用されなかった。
【0005】
袖及び袖口の濡れについて考察するに、そもそも水の飛沫による袖表面の濡れが大いに不快なのではなく、手首を伝い袖口から浸入する水が、袖口及び袖の内面を濡らすことが非常に不快であったことに気付く。
また、半袖着用時においても、洗顔の際などに、手首から肘に伝わった水が床を濡らすことが、大いに不快であった。
【0006】
ゆえに、本発明は、水仕事時に手首から肘へ伝う水を防止し、袖口内面へ水が浸入するのを防止する、袖口水濡れ防止具を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その課題を解決するために、第一発明は、バネ性を有する、合成樹脂、熱可塑性エラストマー、合成ゴム、または、金属により形成され、一箇所に装着のための開放部3を設けた、概ブレスレット様の漏斗状バネ性ループ1において、手首への装着時に、漏斗状バネ性ループ1の短辺部4を手首に着接させ、長辺部6を指先方向に向けて拡開することを特徴とする袖口水濡れ防止具である。
【0008】
また、第二発明は、前記袖口水濡れ防止具の、漏斗状バネ性ループ1の手首に接する短辺4の部位、または、漏斗状バネ性ループ1をコアとする周部に、軟質で弾性を具有する合成ゴム、天然ゴム、合成樹脂、エラストマー、合成繊維、また、それらのうちの発泡素材などの可塑性素材2を着設させることを特徴とする請求項1記載の袖口水濡れ防止具である。
【0009】
また、第三発明は、手首に装着する概ブレスレット様の袖口水濡れ防止具において、合成樹脂、熱可塑性エラストマー、または、金属により形成されるバネ性ループ6の一箇所に装着のための開放部3を設け、バネ性ループ6の一部または片面、または、バネ性ループ6をコアとする周部に、軟質で弾性を具有する合成樹脂、熱可塑性エラストマー、合成ゴム、天然ゴム、または、それらの発泡素材からなる可塑性素材2を着設することを特徴とする袖口水濡れ防止具である。
【発明の効果】
【0010】
第一発明による、指先方向に拡開した漏斗状バネ性ループ1が、手首から肘方向に伝う水を遮断することで、袖口および袖内部への浸入を防止することができる。また、漏斗状バネ性ループ1が、着衣の袖が漏斗状バネ性ループ1より前方へ出ることを阻み、袖を濡らすことが少ない。
【0011】
第二発明による、手首と着接する部位の可塑性素材2により、器具が手首の形状に倣い密着するため、器具と手首のすき間から水が滲入して、袖口および袖の内部が濡れることを防止する。
【0012】
第三発明により、可塑性素材の形状を変化させることによるデザイン面、機能面の発展が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の一実施形態を、図1に示す。
この袖口防水具は第一発明において、合成樹脂により構成される形状弾性を有する漏斗状バネ性ループ1の一箇所を切断して開放部3を設け、その切断した開放部3を交差させてループを縮小させた状態を形状記憶した漏斗状バネ性ループ1に手首を挿入すると、弾性により漏斗状バネ性ループ1が手首に巻着される。また、指先方向に拡開した漏斗状バネ性ループ1が受けた水を下方へ落とし袖口への浸水を防止する。
【0014】
第二発明においては、図3、図4、図5で示すように、手首と着接する短辺部位4に発泡ウレタン、発泡ゴム等の柔軟な可塑性と弾性を持つ素材2を着設することで、手首と器具を密着させて漏斗状バネ性ループ1で受けた水が袖口に滲入するのを防止する。
【0015】
第三発明においては、バネ性ループ6をコアとして、バネ性ループ6の周部に発泡ウレタン、発泡SBR、発泡EPDM、発泡CR、発泡NBR、発泡NR、発泡IR等々の可塑性素材2を周着させることで手首と器具を密着させて水が袖口に滲入するのを防止する。その際、可塑性素材2の形状を肉厚、または、漏斗状などにデザインすることでより効率的に水濡れを防止できる。
【0016】
「実施形態の効果」
この実施形態で、手首から下腕を伝って袖口および袖の内部への浸入を防止できるので、不快を感じることなく水仕事が出来るようになる。
食器を洗う際など、当該発明品の手首への装着で、袖口からの浸入を簡単に防ぐことができる。
また、洗顔時に手首から肘に伝わった水が床面を濡らすことが多く、不快であったが、本発明を着けることによって解決することができる。
また、最近多く行われる朝シャンなど着衣の状態で洗髪する際、当該発明品の手首への装着で、袖を捲くらなくても洗髪ができ、また、半袖着用時など手首から肘へ伝わる水が床面を濡らすのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の線X−X’に沿う断面図である。
【図3】本発明の請求項2の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3の線Y−Y’に沿う断面図である。
【図5】本発明の請求項2の使用説明図である。
【図6】本発明の請求項3のバネ性ループ6の片面に可塑性素材2を着設した実施形態を示す斜視図である。
【図7】図6の線Z−Z’に沿う断面図である。
【図8】本発明の請求項3のバネ性ループ6をコアとして周部に可塑性素材2を着設した実施形態を示す概略斜視図である。
【図9】図6の線Z−Z’に沿う断面図である。
【図10】従来技術の使用説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1漏斗状バネ性ループ
2可塑性素材
3開放部
4短辺部
5長辺部
6バネ性ループ
7腕固定部
8つば部
9面ファスナー
10つば返し

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バネ性を有する、合成樹脂、熱可塑性エラストマー、合成ゴム、または、金属により形成され、一箇所に装着のための開放部3を設けた、概ブレスレット様の漏斗状バネ性ループ1において、手首への装着時に、漏斗状バネ性ループ1の短辺部4を手首に着接させ、長辺部6を指先方向に向けて拡開することを特徴とする袖口水濡れ防止具。
【請求項2】
前記袖口水濡れ防止具の、漏斗状バネ性ループ1の手首に接する短辺4の部位、または、漏斗状バネ性ループ1をコアとする周部に、軟質で弾性を具有する合成ゴム、天然ゴム、合成樹脂、エラストマー、合成繊維、また、それらのうちの発泡素材などの可塑性素材2を着設させることを特徴とする請求項1記載の袖口水濡れ防止具。
【請求項3】
手首に装着する概ブレスレット様の袖口水濡れ防止具において、合成樹脂、熱可塑性エラストマー、または、金属により形成されるバネ性ループ6の一箇所に装着のための開放部3を設け、バネ性ループ6の一部または片面、または、バネ性ループ6をコアとする周部に、軟質で弾性を具有する合成樹脂、熱可塑性エラストマー、合成ゴム、天然ゴム、または、それらの発泡素材からなる可塑性素材2を着設することを特徴とする袖口水濡れ防止具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−283262(P2006−283262A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132996(P2005−132996)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(595146471)
【Fターム(参考)】