説明

被支持物を支持するための支柱及びそれを用いた充電スタンド用上屋

【課題】電気自動車に充電するための充電スタンドを安全に利用することができる被支持物を支持するための支柱及び充電スタンド用上屋を提供する。
【解決手段】支柱本体2と、前記支柱本体2の長手方向に沿って被せられるカバー部材3と、前記支柱本体2の上端に被せられて、前記支柱本体2に支持される被支持物が取付けられるキャップ部材5とを備え、前記カバー部材3を上下端が開口されたチューブ状に形成し、支柱本体2に対して上下に移動可能とし、前記キャップ部材5には、支柱本体2の上端に被せる短筒状の脚部51を設け、前記脚部51の内面と支柱本体2の外面との間に、前記カバー部材3の上端を挿入可能としているので、カバー部材3を下方に移動した時も、カバー部材3の上端がキャップ部材5の脚部51により隠蔽されているため、カバー部材3の上端が外部に露出せず、外観上好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気自動車用の充電スタンドが設けられた充電スタンド設置施設としての充電スタンド用上屋において、当該上屋の屋根部を被支持物として上部に支持するための支柱及び前記支柱に上屋の屋根部が支持された充電スタンド用上屋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化に対する懸念や、それに伴うCO2排出削減が求められており、自動車においても、CO2を排出する化石燃料を用いない電気自動車に対する関心が高まっており、一部実用化されている。それに伴い電気自動車に給電するための充電スタンド等の充電スタンド設置施設が設置され、更なる普及が求められている。この充電スタンド設置施設は、ガソリンスタンドのようなガソリン等の化石燃料を貯蓄する比較的大型の貯蔵庫を必要とせず、通電可能な場所であれば、公園、駐車場、駅前広場等に設置可能である。
【0003】
例えば特許文献1には、電力を自動車へ送る充電スタンド設置施設が、駐車場の上方スペース又は下方スペースに設置されている、自動車への給電システムに関する発明が記載されており、図3には、駐車場の駐車スペースの後方に設けられた通行可能箇所に充電スタンドが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−228412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記の給電システムにおいて、充電スタンドから電気自動車に給電するための電流値は比較的大きいため、電気自動車に充電する際、利用者が感電することがないように、充電スタンドに設置されている充電装置には漏電防止装置が組み込まれており、万全が期されているが、例えば、充電装置に雨等がかからないように設置されている支柱の上端に屋根材が取付けられた上屋が設置された充電スタンドにおいては、万が一を想定し、充電スタンドに付帯する上屋等施設側での感電防止対策も望まれている。
【0006】
本発明は、前記の如き要望を満足するために、電気自動車に充電するための充電スタンドを安全に利用することができるようにした、充電スタンド用上屋の屋根部等を被支持物として上部に支持するための支柱及び前記支柱に上屋の屋根部が支持された充電スタンド用上屋を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち、本発明に係る被支持物を支持するための支柱は、支柱本体と、前記支柱本体の長手方向に沿って被せられるカバー部材と、前記支柱本体の上端に被せられて、前記支柱本体に支持される被支持物が取付けられるキャップ部材とを備え、前記カバー部材は上下端が開口されたチューブ状に形成されて、支柱本体に対して上下に移動可能となされ、前記キャップ部材は、支柱本体の上端に被せられる短筒状の脚部が設けられ、前記脚部の内面と支柱本体の外面との間に、前記カバー部材の上端が挿入可能となされていることを特徴とするものである。
【0008】
また本発明に係る被支持物を支持するための支柱は、前記キャップ部材は、その上端に平板状のフランジ部が水平に設けられ、該フランジ部の上面に被支持物が取付けられるようになされていることを特徴とするものである。
【0009】
また本発明に係る被支持物を支持するための支柱の設置方法は、前記した本発明に係る被支持物を支持するための支柱の設置方法であって、設置面に設けた埋設穴に支柱本体の下端部を挿入し、次いで、カバー部材の上端が脚部の内面と支柱本体の外面との間に挿入された状態で、カバー部材を上方に移動させて、該カバー部材の下端を設置面から浮かすと共に、その浮かした状態で、前記埋設穴に支柱本体の下端部を固着する硬化剤を注入し、しかる後、カバー部材の上端が前記脚部の内面と支柱本体の外面との間に挿入された範囲内で、前記カバー部材を下方に移動させることを特徴とするものである。
【0010】
さらに本発明に係る充電スタンド用上屋は、電気自動車用充電装置が設置された充電スタンドに設置される充電スタンド用上屋であって、前記した本発明に係る被支持物を支持するための支柱に、前記上屋の屋根部が支持され、前記カバー部材は、電気絶縁性の合成樹脂材料又はゴム材料からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る被支持物を支持するための支柱によれば、支柱本体と、前記支柱本体の長手方向に沿って被せられるカバー部材と、前記支柱本体の上端に被せられて、前記支柱本体に支持される被支持物が取付けられるキャップ部材とを備え、前記カバー部材を上下端が開口されたチューブ状に形成し、支柱本体に対して上下に移動可能とし、前記キャップ部材には、支柱本体の上端に被せる短筒状の脚部を設け、前記脚部の内面と支柱本体の外面との間に、前記カバー部材の上端を挿入可能としているので、カバー部材を下方に移動した時も、カバー部材の上端がキャップ部材の脚部により隠蔽されているため、カバー部材の上端が外部に露出せず、外観上好ましい。
【0012】
また本発明に係る被支持物を支持するための支柱によれば、前記キャップ部材を、その上端に平板状のフランジ部を水平に設け、該フランジ部の上面に被支持物を取付けるようにしているので、フランジ部の上面に被支持物を確実に固定することができる。
【0013】
また本発明に係る被支持物を支持するための支柱の設置方法によれば、設置面に設けた埋設穴に支柱本体の下端部を挿入し、次いで、カバー部材の上端が脚部の内面と支柱本体の外面との間に挿入された状態で、カバー部材を上方に移動させて、該カバー部材の下端を設置面から浮かすと共に、その浮かした状態で、前記埋設穴に支柱本体の下端部を固着する硬化剤を注入し、しかる後、カバー部材の上端が前記脚部の内面と支柱本体の外面との間に挿入された範囲内で、前記カバー部材を下方に移動させるようにしているので、カバー部材の上端がキャップ部材の脚部により隠蔽されて外部に露出せず、外観上好ましく、また硬化剤が硬化した後、カバー部材を下方に移動させることができ、カバー部材の下端を硬化剤で汚してしまうことがない。
【0014】
さらに本発明に係る充電スタンド用上屋によれば、電気自動車用充電装置が設置された充電スタンドに設置される充電スタンド用上屋であって、前記被支持物を支持するための支柱に、前記上屋の屋根部を支持し、前記カバー部材を、電気絶縁性の合成樹脂材料又はゴム材料からなるようにしているので、万が一、充電装置側で漏電していたとしても、充電スタンド用上屋の支柱は電気絶縁性の材料からなるカバー部材で覆われているため、利用者が感電する恐れが小さい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る充電スタンド用上屋が配置された充電スタンドの一形態を示す説明図である。
【図2】図1に記載の充電スタンド用上屋の一形態を示す概略の説明図である。
【図3】図2に記載のA部分の拡大の説明図である。
【図4】図2に記載の充電スタンド用上屋の支柱を設置する際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
1は設置面Gに立設された充電スタンド用上屋Uを構成する、本発明に係る支柱であり、Yは、この支柱1に支持された被支持物である梁材4及び屋根材41等を備えた屋根部である。前記支柱1は、円柱状の鋼管からなる支柱本体2と、支柱本体2の長手方向に沿って被せられるカバー部材3と、前記支柱本体2の上端に被せられて、前記支柱1に支持される屋根部Yの梁材4がその上に取付けられるキャップ部材5とを備えている。そして、前記梁材4の上に屋根材41が固定されて、前記屋根部Yが形成され、該屋根部Yが設置面Gに立設された充電装置Jを覆うようになされ、充電スタンドが形成されている。
【0017】
前記カバー部材3は上下端が開口されたチューブ状に形成されて、支柱本体2に対して上下に移動可能となされ、前記キャップ部材5は、支柱本体2の上端に被せられる短筒状の脚部51が設けられ、前記脚部51の内面と支柱本体2の外面との間に、前記カバー部材3の上端が挿入可能となされている。
【0018】
前記キャップ部材5は、その上端に平板状のフランジ部52が水平に設けられ、該フランジ部52の上面に梁材4が取付けられ、前記支柱本体2の上端が前記フランジ部52の下面に当接され、かつ脚部51の内部に挿入されている。
【0019】
次に、梁材4を支持する支柱1の設置方法を説明する。
設置面Gに設けた埋設穴6に支柱本体2の下端部を挿入し、次いで、カバー部材3の上端が脚部51の内面と支柱本体2の外面との間の隙間53に挿入された状態で、カバー部材3を上方に移動させて、該カバー部材3の下端を設置面Gから浮かすと共に、その浮かした状態で、前記埋設穴6に支柱本体2の下端部を固着する硬化剤7を注入し、しかる後、カバー部材3の上端が前記脚部51の内面と支柱本体2の外面との間に挿入された範囲内で、前記カバー部材3を下方に移動させ、支柱1の設置が完了する。
【0020】
このように、埋設穴6に硬化剤7を注入する際に、該カバー部材3の下端を設置面Gから浮かしておくことにより、カバー部材3が邪魔にならず、そして硬化剤7の注入が完了したら、カバー部材3の下端と設置面Gとの隙間を無くすように、前記カバー部材3の下端を設置面Gに当接するまで下方に移動させればよい。そしてこの下方に移動させた状態においても、カバー部材3の上端が前記脚部51の内面と支柱本体2の外面との間に挿入されているように、カバー部材3の長さを決めておけば、カバー部材3の上端が外部に露出することもない。
【0021】
前記カバー部材3は電気絶縁性の合成樹脂材料又はゴム材料で形成されており、前記カバー部材3の内形は支柱本体2の外形より大きく、外形は脚部51の内形より小さくなされていればよく、支柱本体2の外面あるいは脚部51の内面に、カバー部材3が当接されていてもよいし、当接されていなくてもよい。なお電気絶縁性とは、人体に影響を及ぼすような電流が人体に流れないと言う意味である。
【0022】
また前記硬化剤7としては、特に限定されるものではないが、上部に屋根部Yが載置された支柱が立設できるように、支柱を設置面に立設するのに一般的に用いられるコンクリートやモルタルが用いられ、埋設穴6と支柱本体2との隙間に注入し固化して、支柱1が設置面Gに立設される。
【0023】
本実施形態において、支柱本体2は外径114.3mm、厚さ4.5mmの断面円形状の鋼管であり、脚部51は外径139.8mm、厚さ4.0mm、内径131.8mmの断面円形状の鋼管であり、脚部51の内面と支柱本体2の外面との間の隙間53を8.75mmとなされ、いずれも防蝕性下地処理に耐候性塗装仕上げがなされたものである。そして、カバー部材3は、外径130mm、厚さ3.5mm、内径123mmの断面円形状のウレタン樹脂製チューブである。そして、該ウレタン樹脂製チューブの電気抵抗率は1010Ω・cm以上であり、電気絶縁性を備えている。
【0024】
なお、支柱本体2とカバー部材3との長さ(高さ)については、支柱本体2を設置面Gに埋設する部分の長さによって、適宜カバー部材3の長さを決定すればよく、要はカバー部材3の上端がキャップ部材5の脚部51の内面と支柱本体2の外面との間に配置されるようになされていればよい。
【0025】
なお、上記形態においては、本発明に係る支柱1を充電スタンド用上屋Uの屋根部Yを支持するものとし、そして金属製からなる支柱本体2からの感電を防止するために、カバー部材3を電気絶縁性を有するものから形成したが、本発明に係る支柱1はこれに限定されるものではなく、例えば、電気絶縁性に加えて、又は電気絶縁性以外のものとして、カバー部材3に装飾や着色を施して、意匠性を付加した支柱としてもよく、そして当該支柱1に支持される被支持物についても特に限定されるものではなく、任意の被支持物が支持される。
【符号の説明】
【0026】
1 支柱
2 支柱本体
3 カバー部材
4 梁材
41 屋根材
5 キャップ部材
51 脚部
52 フランジ部
53 隙間
7 硬化剤
G 設置面
J 充電装置
U 充電スタンド用上屋
Y 屋根部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱本体と、前記支柱本体の長手方向に沿って被せられるカバー部材と、前記支柱本体の上端に被せられて、前記支柱本体に支持される被支持物が取付けられるキャップ部材とを備え、前記カバー部材は上下端が開口されたチューブ状に形成されて、支柱本体に対して上下に移動可能となされ、前記キャップ部材は、支柱本体の上端に被せられる短筒状の脚部が設けられ、前記脚部の内面と支柱本体の外面との間に、前記カバー部材の上端が挿入可能となされていることを特徴とする被支持物を支持するための支柱。
【請求項2】
前記キャップ部材は、その上端に平板状のフランジ部が水平に設けられ、該フランジ部の上面に被支持物が取付けられるようになされていることを特徴とする請求項1に記載の被支持物を支持するための支柱。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の被支持物を支持するための支柱の設置方法であって、設置面に設けた埋設穴に支柱本体の下端部を挿入し、次いで、カバー部材の上端が脚部の内面と支柱本体の外面との間に挿入された状態で、カバー部材を上方に移動させて、該カバー部材の下端を設置面から浮かすと共に、その浮かした状態で、前記埋設穴に支柱本体の下端部を固着する硬化剤を注入し、しかる後、カバー部材の上端が前記脚部の内面と支柱本体の外面との間に挿入された範囲内で、前記カバー部材を下方に移動させることを特徴とする被支柱物を支持するための支柱の設置方法。
【請求項4】
電気自動車用充電装置が設置された充電スタンドに設置される充電スタンド用上屋であって、請求項1又は2に記載の被支持物を支持するための支柱に、前記上屋の屋根部が支持され、前記カバー部材は、電気絶縁性の合成樹脂材料又はゴム材料からなることを特徴とする充電スタンド用上屋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−219547(P2012−219547A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87902(P2011−87902)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)