説明

被追突防止装置

【課題】後続車両の運転者に対して不要な煩わしさを感じさせず、後続車両による自車両への追突を未然に防ぐことができる被追突防止装置、およびその方法を提供する。
【解決手段】後続車両による自車両への追突を防止する被追突防止装置であって、上記自車両が上記後続車両に追突される可能性を判定する被追突可能性判定手段と、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する減速操作可能性判定手段と、上記被追突可能性判定手段によって判定された追突可能性に基いて、後続車両の運転者に注意喚起を行う注意喚起手段とを備え、上記注意喚起手段は、上記減速操作可能性判定手段によって、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いと判定された場合には、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性が低いと判定された場合よりも早いタイミングで注意喚起を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後続車両による自車両への追突を防ぐ被追突防止装置に関し、より特定的には、後続車両に注意喚起を行うことにより、後続車両による自車両への追突を防ぐ被追突防止装置、およびその方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、後続車両に追突された場合に被害を軽減するための装置が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている被追突安全装置(以下、従来技術1と称する)では、自車両の減速度と、後続車両が自車両に追突するまでの予測時間とに基いて、後続車両が自車両に追突する可能性の有無を判定する。そして、上記従来技術1では、後続車両が自車両に追突する可能性があると判定した場合、後続車両による自車両への追突に備えて、自車両に備えられた被追突安全装置を作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−120228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術1では、自車両の減速度等に基いて後続車両が自車両に追突する可能性を判定するため、自車両が減速する前に後続車両が接近してきた場合には、追突を予測するタイミングが遅れてしまうことがあった。追突を予測するタイミングが遅れた場合、自車両に備えられた被追突安全装置を作動させるタイミングが遅れることとなり、その結果、被追突安全装置の効果が十分に得られないおそれがある。
【0006】
そのため、後続車両の運転者に対して早めに注意喚起を行い、後続車両による自車両への追突を未然に防ぐ必要がある。その一方、不必要な注意喚起は後続車両の運転者に対して不要な煩わしさを感じさせることになるため、必要な場合にのみ注意喚起を行うことが求められる。
【0007】
本発明の目的は上記課題を解決するため、自車両の減速を予測し、当該予測に基いて必要な場合にのみ後続車両の運転者に対して早めに注意喚起を行うことによって、後続車両の運転者に対して不要な煩わしさを感じさせず、後続車両による自車両への追突を未然に防ぐことができる被追突防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下に述べる特徴を有する。
第1の発明は、後続車両による自車両への追突を防止する被追突防止装置であって、上記自車両が上記後続車両に追突される可能性を判定する被追突可能性判定手段と、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する減速操作可能性判定手段と、上記被追突可能性判定手段によって判定された追突可能性に基いて、後続車両の運転者に注意喚起を行う注意喚起手段とを備え、上記注意喚起手段は、上記減速操作可能性判定手段によって、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いと判定された場合には、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性が低いと判定された場合よりも早いタイミングで注意喚起を行う。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明に従属する発明であって、上記減速操作可能性判定手段は、上記自車両の進行方向に存在する対象物の情報を取得する対象物情報取得手段を備え、上記対象物の情報に基いて、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定することを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、上記第2の発明に従属する発明であって、上記減速操作可能性判定手段は、上記自車両が、上記対象物に到達するまでの時間を到達余裕時間として算出する到達余裕時間算出手段を備え、上記到達余裕時間に基いて、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定することを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、上記第2または第3の発明に従属する発明であって、上記対象物は、上記自車両に対する障害物であることを特徴とする。
【0012】
第5の発明は、上記第4の発明に従属する発明であって、上記障害物は、上記自車両の進行方向に存在する先行車両であることを特徴とする。
【0013】
第6の発明は、上記第2または第3の発明に従属する発明であって、上記対象物情報取得手段は、上記自車両が走行する道路に関する情報を取得し、上記減速操作可能性判定手段は、上記道路に関する情報に基いて、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定することを特徴とする。
【0014】
第7の発明は、上記第6の発明に従属する発明であって、上記自車両が走行する道路についての情報は、上記自車両が走行する道路の一時停止についての情報、上記自車両が走行する道路のカーブについての情報のうち、少なくとも1つ以上の情報であることを特徴とする。
【0015】
第8の発明は、上記第2、3、6、7のいずれか1つの発明に従属する発明であって、上記対象物情報取得手段は、上記自車両が走行する道路のインフラ情報を取得し、上記減速操作可能性判定手段は、上記インフラ情報に基いて、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定することを特徴とする。
【0016】
第9の発明は、上記第8の発明に従属する発明であって、上記インフラ情報は、上記自車両の進行方向に存在する信号機までの距離、上記信号機の表示、上記信号機の表示が切り替わるタイミングのうち、少なくとも1つ以上の情報であることを特徴とする。
【0017】
第10の発明は、後続車両による自車両への追突を防止する被追突防止方法であって、上記自車両が上記後続車両に追突される可能性を判定する被追突可能性判定ステップと、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する減速操作可能性判定ステップと、上記被追突可能性判定ステップによって判定された追突可能性に基いて、後続車両の運転者に注意喚起を行う注意喚起ステップとを含み、上記注意喚起ステップは、上記減速操作可能性判定ステップによって、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いと判定された場合には、上記自車両の運転者が減速操作を行う可能性が低いと判定された場合よりも早いタイミングで注意喚起を行う。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自車両の減速を予測し、当該予測に基いて必要な場合にのみ後続車両の運転者に対して早めに注意喚起を行うことにより、後続車両の運転者に対して不要な煩わしさを感じさせず、後続車両による自車両への追突を未然に防ぐことができる被追突防止装置、およびその方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る被追突防止装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本実施形態に係る被追突防止装置の処理の流れを示すフローチャート
【図3】本実施形態に係る減速操作可能性判定部の処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る被追突防止装置1の概略構成を示すブロック図である。本実施形態に係る被追突防止装置1は、後続車両検出部11と、減速操作可能性判定部12と、被追突可能性判定ECU13と、注意喚起部14とを備えている。
【0021】
後続車両検出部11は、被追突可能性判定ECU13に接続されている。後続車両検出部11は、典型的にはレーダであって、少なくとも、自車両と後続車両との距離、および相対速度を任意の手法で検出する。上記レーダとしては、例えばレーザレーダ、マイクロ波レーダ、ミリ波レーダ、および超音波レーダ等を用いることができる。後続車両検出部11によって検出された、自車両と後続車両との距離等を示す情報を、以下、後続車両情報と称する。
【0022】
減速操作可能性判定部12は、被追突可能性判定ECU13に接続されている。減速操作可能性判定部12は、前方障害物検出部121と、インフラ情報受信機122と、車速センサ123と、ナビゲーションシステム124と、減速操作可能性判定ECU125とを含む。減速操作可能性判定部12は、自車両の進行方向に存在する対象物の情報に基いて、自車両の運転者が自車両を減速させる可能性を判定する。上記対象物の一例としては、自車両に対する障害物、自車両が走行する道路の停止線等がある。自車両に対する障害物の一例としては、自車両の進行方向に存在する先行車両、対向車が挙げられる。停止線の一例としては、赤信号での停止線、および踏切進入前や交差点前等の一時停止線が挙げられる。また、上記対象物には、上記自車両の運転者が減速操作を行うことが予測される状況を含めても良い。上記自車両の運転者が減速操作を行うことが予測される状況の一例としては、上記先行車両が減速している状況、上記自車両と上記先行車両とが接近している状況、踏切進入や交差点の一時停止線の手前、急カーブの手前等が挙げられる。上記対象物の情報は、前方障害物検出部121と、インフラ情報受信機122と、車速センサ123と、ナビゲーションシステム124によって取得される。減速操作可能性判定部12が上記対象物の情報を取得する手法を以下説明する。
【0023】
前方障害物検出部121は、後続車両検出部11と同様に、典型的にはレーダであって、少なくとも、自車両の進行方向に存在する障害物との距離、および相対速度を任意の手法で検出する。上記レーダとしては、後続車両検出部11と同様に、例えばレーザレーダ、マイクロ波レーダ、ミリ波レーダ、および超音波レーダ等を用いることができる。前方障害物検出部121によって検出された、自車両進行方向に存在する障害物との距離等を示す情報を、以下、前方障害物情報と称する。前方障害物検出部121は、前方障害物情報を、前方障害物検出部121に接続されている減速操作可能性判定ECU125に送る。
【0024】
インフラ情報受信機122は、道路に設置された光ビーコン等の設備から送信される、自車両の進行方向に存在する信号機、および自車両が走行している道路等についての情報を受信する。道路に設置された光ビーコン等の設備から送信される、自車両の進行方向に存在する信号機、および自車両が走行している道路等についての情報を、以下、インフラ情報と称する。インフラ情報は、少なくとも、インフラ情報送信時点における、自車両から自車両の進行方向に存在する信号機までの距離、および当該送信時点における当該信号機の状態(赤信号か青信号か等)についての情報を含む。インフラ情報受信機122は、受信したインフラ情報を、インフラ情報受信機122に接続されている減速操作可能性判定ECU125に送る。
【0025】
車速センサ123は、自車両の車速についての情報(以下、車速情報と称する)を任意の方法で取得する。車速センサ123は、取得した車速情報を、車速センサ123に接続されている減速操作可能性判定ECU125に送る。
【0026】
ナビゲーションシステム124は、地図情報を有する。当該地図情報には、自車両の運転者が減速操作を行うことが予測される状況を示す情報が含まれる。当該地図情報が有している、自車両の運転者が減速操作を行うことが予測される状況を示す情報を、以下、ナビ減速情報と称する。ナビゲーションシステム124は、例えば、GPS(Global Positioning System)と連動して、上記地図情報で示される地図上における自車両の位置を特定する。ナビゲーションシステム124によって特定された、上記地図情報上における自車両の位置を、以下、ナビ位置情報と称する。ナビゲーションシステム124は、ナビ減速情報、およびナビ位置情報を、ナビゲーションシステム124に接続されている減速操作可能性判定ECU125に送る。
【0027】
減速操作可能性判定ECU125は、前方障害物検出部121と、インフラ情報受信機122と、車速センサ123と、ナビゲーションシステム124と、被追突可能性判定ECU13とに接続されている。減速操作可能性判定ECU125は、自車両の進行方向の対象物に基いて自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する。減速操作可能性判定ECU125が、自車両の進行方向の対象物に基いて自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する手法の一例を説明する。
【0028】
減速操作可能性判定ECU125は、前方障害物検出部121から送られた前方障害物情報と、インフラ情報受信機122から送られたインフラ情報と、車速センサ123から送られた車速情報と、ナビゲーションシステム124から送られたナビ減速情報、およびナビ位置情報とをそれぞれ受け取る。減速操作可能性判定ECU125は、前方障害物情報、インフラ情報、およびナビ位置情報の少なくとも1つ以上に基いて自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する。減速操作可能性判定ECU125が、前方障害物情報、インフラ情報、およびナビ位置情報のそれぞれに基いて、自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する手法の一例を説明する。
【0029】
減速操作可能性判定ECU125は、自車両が、自車両の進行方向に存在する障害物に衝突するまでの到達余裕時間Tc1を算出する。到達余裕時間Tc1は、例えば、前方障害物情報で示される自車両と上記障害物との距離を、同じく前方障害物情報で示される自車両と上記障害物との相対速度で除算することによって算出される。そして、減速操作可能性判定ECU125は、到達余裕時間Tc1を予め定められたしきい値th1と比較することによって、自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する。しきい値th1は、自車両の運転者が、通常の運転操作において、自車両が上記障害物に衝突することを回避するために減速操作を行うことを考慮して設定される値である。到達余裕時間Tc1がしきい値th1以下である場合、自車両の運転者が減速操作を行うことが予測されるため、減速操作可能性判定ECU125は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いと判定する。一方、到達余裕時間Tc1がしきい値th1を超えている場合は、自車両が上記障害物に衝突するまでに時間的余裕があるため、自車両の運転者は、近い将来(例えば数秒以内)に、自車両が上記対象物に衝突することを避けるための減速操作を行う可能性は低い。そのため、減速操作可能性判定ECU125は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性は低いと判定する。
【0030】
減速操作可能性判定ECU125は、インフラ情報を受信すると、少なくとも、インフラ情報を受信した時点において、当該インフラ情報で示される自車両の進行方向に存在する信号機の状態が赤信号および黄信号であるか否か判定する。当該インフラ情報で示される自車両の進行方向に存在する信号機の状態が赤信号等である場合、減速操作可能性判定ECU125は、自車両が、自車両の進行方向に存在する信号機の停止線に到達するまでの到達余裕時間Tc2を算出する。到達余裕時間Tc2は、例えば、自車両からインフラ情報で示される上記信号機の停止線までの距離を、車速情報で示される自車両の速度で除算することによって算出される。
【0031】
減速操作可能性判定ECU125は、到達余裕時間Tc2が算出された場合、到達余裕時間Tc2が予め定められたしきい値th2以下か否かを判定する。しきい値th2は、自車両の運転者が、上記停止線で自車両を停止させるために減速操作を行うことを考慮して設定される値である。到達余裕時間Tc2がしきい値th2以下である場合、自車両の運転者が減速操作を行うことが予測されるため、減速操作可能性判定ECU125は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いと判定する。一方、上記信号機の状態が赤信号等ではない場合、すなわち青信号の場合は、自車両の運転者は、上記停止線で自車両を停止させる必要がない。そのため、減速操作可能性判定ECU125は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性は低いと判定する。また、上記信号機の状態が赤信号等であっても、到達余裕時間Tc2がしきい値th2を超えている場合は、自車両が上記停止線に到達するまでに時間的余裕があるため、自車両の運転者が、近い将来(例えば数秒以内)に、上記停止線に自車両を停止させるための減速操作を行う可能性は低い。そのため、減速操作可能性判定ECU125は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性は低いと判定する。
【0032】
減速操作可能性判定ECU125は、自車両が踏切進入前や交差点前等の一時停止線に到達するまでの到達余裕時間Tc3を算出する。到達余裕時間Tc3は、例えば、自車両の位置から踏切進入前や交差点前等の一時停止線までの距離を、上記ナビ減速情報およびナビ位置情報から任意の手法で求め、当該距離を、車速情報で示される自車両の速度で除算することによって算出される。そして、減速操作可能性判定ECU125は、到達余裕時間Tc3を予め定められたしきい値th3と比較することによって、自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する。しきい値th3は、自車両の運転者が、上記一時停止線で自車両を停止させるために減速操作を行うことを考慮して設定される値である。到達余裕時間Tc3がしきい値th3以下である場合、自車両の運転者が減速操作を行うことが予測されるため、減速操作可能性判定ECU125は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いと判定する。一方、到達余裕時間Tc3がしきい値th3を超えている場合は、自車両が上記一時停止線に到達するまでに時間的余裕があるため、自車両の運転者は、近い将来(例えば数秒以内)に、上記一時停止線に自車両を停止させるための減速操作を行う可能性は低い。そのため、減速操作可能性判定ECU125は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性は低いと判定する。
【0033】
以上が、減速操作可能性判定ECU125が自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する手法の一例である。なお、上記の説明では、前方障害物情報に係る到達余裕時間Tc1、インフラ情報に係る到達余裕時間Tc2、およびナビ位置情報に係る到達余裕時間Tc3それぞれに基いて、自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定した。しかしながら、前方障害物情報に係る到達余裕時間Tc1、インフラ情報に係る到達余裕時間Tc2、およびナビ位置情報に係る到達余裕時間Tc3のうち、2つ以上を組み合わせて自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定しても良い。例えば、前方障害物情報に係る到達余裕時間Tc1、インフラ情報に係る到達余裕時間Tc2、およびナビ位置情報に係る到達余裕時間Tc3のうち、いずれか1つでも、それぞれについて予め定められたしきい値以下となった場合は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いと判定し、一方、前方障害物情報に係る到達余裕時間Tc1、インフラ情報に係る到達余裕時間Tc2、およびナビ位置情報に係る到達余裕時間Tc3の全てにおいて、それぞれについて予め定められたしきい値を超えていれば、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が低いと判定する手法が挙げられる。
【0034】
被追突可能性判定ECU13は、後続車両が自車両に追突するまでの追突余裕時間Taを算出する。追突余裕時間Taは、後続車両情報で示される自車両から後続車両までの距離を、同じく後続車両情報で示される自車両と後続車両との相対速度で除算することによって算出される。そして、被追突可能性判定ECU13は、追突余裕時間Taを予め定められたしきい値th4と比較することによって、後続車両に対する注意喚起の要否を判定する。しきい値th4は、後続車両の運転者が、通常の運転操作において、後続車両が自車両に追突することを回避するために減速操作を行うことを考慮して設定される値である。追突余裕時間Taがしきい値th4以下である場合、被追突可能性判定ECU13は、後続車両の運転者に対して減速を促すための注意喚起が必要であると判定する。一方、追突余裕時間Taがしきい値th4を超える場合、後続車両が自車両に追突するまで時間的余裕があることから、後続車両の運転者は、後続車両による自車両への追突を回避するために後続車両を減速させる必要性は低い。そのため、被追突可能性判定ECU13は、後続車両の運転者に対する注意喚起は不要であると判定する。
【0035】
ただし、被追突可能性判定ECU13が、追突余裕時間Taをしきい値th4と比較することによって注意喚起の要否を判定するだけでは、後続車両による自車両への追突を未然に防ぐことができない場合がある。被追突可能性判定ECU13が、追突余裕時間Taをしきい値th4と比較することによって注意喚起の要否を判定するだけでは後続車両による自車両への追突を未然に防ぐことができない場合について説明する。
【0036】
追突余裕時間Taがしきい値th4以下であった場合、後続車両の運転者は、後続車両による自車両への追突を回避するために後続車両を減速させるべき状況である。当該状況において、自車両が減速した場合、後続車両が自車両に追突するまでの時間がさらに、急速に短くなる。そのため、後続車両の運転者が後続車両による自車両への追突を回避するための運転操作を行う時間的余裕がなくなり、後続車両が自車両へ追突する可能性が高くなる。このような事態を回避するために、一案としては、しきい値th4に大きな値を設定することによって、後続車両が自車両に追突するまでに時間的余裕ある状態で後続車両の運転者に対して注意喚起が必要であると判定することが考えられる。
【0037】
しかしながら、追突余裕時間Taを大きな値が設定されたしきい値th4と比較することのみによって後続車両に対する注意喚起の要否を判定した場合、後続車両が自車両に追突するまで時間的余裕が必要以上にある状態で、当該注意喚起が常になされることになる。そのため、当該注意喚起は、後続車両の運転者に対して不要な煩わしさを感じさせることになる。
【0038】
そこで、本実施形態に係る被追突可能性判定ECU13は、被追突可能性判定ECU13は、減速操作可能性判定ECU125によって判定された、自車両の運転者が減速操作を行う可能性の判定結果と、追突余裕時間Taとに基いて、後続車両に対する注意喚起の要否を判定する。本実施形態に係る被追突可能性判定ECU13は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高い場合は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が低い場合よりも後続車両が自車両に追突するまでの時間的余裕がある状態で、すなわち、相対的に早いタイミングで上記注意喚起が必要であると判定する。
【0039】
具体的には、被追突可能性判定ECU13は、まず、追突余裕時間Taが、予め定められたしきい値th5(th4<th5)以下か否かを判定する。しきい値th5は、しきい値th4よりも大きな値であり、例えば、自車両が減速することによって、後続車両が自車両に追突するまでの時間が急に短くなった場合に、後続車両による自車両への追突を回避するための時間的余裕が確保できる値であり、かつ、注意喚起を行っても後続車両の運転者に不要な煩わしさを感じさせない値である。なお、しきい値th4は、後続車両の運転者が、通常の運転操作において、後続車両が自車両に追突することを回避するために減速操作を行うことを考慮して設定される値である。
【0040】
追突余裕時間Taがしきい値th5以下である場合、被追突可能性判定ECU13は、減速操作可能性判定ECU125によって判定された、自車両の運転者が減速操作を行う可能性の判定結果を参照する。そして、減速操作可能性判定ECU125によって判定された結果が自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いことを示す内容であった場合、被追突可能性判定ECU13は、後続車両に対する注意喚起が必要であると判定する。一方、追突余裕時間Taがしきい値th5以下である場合でも、減速操作可能性判定ECU125によって判定された結果が自車両の運転者が減速操作を行う可能性が低いことを示す内容であった場合は、被追突可能性判定ECU13は、後続車両に対する注意喚起は不要であると判定する。すなわち、本実施形態に係る被追突可能性判定ECU13は、自車両の運転者が自車両を減速させる可能性が高い場合にのみ、相対的に早いタイミングで後続車両の運転者に対して注意喚起部14によって注意喚起を行う(後述)ため、後続車両の運転者に不要な煩わしさを感じさせることを防ぎ、かつ、後続車両による自車両への追突を回避するための時間的余裕を確保することができる。
【0041】
被追突可能性判定ECU13が、後続車両の運転者に対して注意喚起を行う必要があると判定した場合、注意喚起部14は、後続車両の運転者に対して注意喚起を行う。注意喚起部14が行う後続車両に対する注意喚起の一例としては、テールランプやハザードランプの点滅が挙げられる。また、注意喚起を行う場合、追突余裕時間Taに応じて、テールランプ等の点滅速度を変えることも考えられる。例えば、追突余裕時間Taがしきい値th5以下であって、減速操作可能性判定ECU125によって判定された結果が自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いことを示す内容であった場合になされる注意喚起は、テールランプ等の点滅を遅く行い、追突余裕時間Taがしきい値th4以下になった場合になされる注意喚起は、テールランプ等の点滅を速く行うことが考えられる。
【0042】
以上が、本実施形態に係る被追突防止装置1の概略構成についての説明である。
【0043】
図2は、本実施形態に係る被追突防止装置1の処理の流れを示すフローチャートである。以下、図2に示すフローチャートを参照しながら、被追突防止装置1の処理の流れを説明する。
【0044】
被追突防止装置1は、後続車両が自車両に到達するまでの追突余裕時間Taを取得する(ステップS201)。追突余裕時間Taを取得する手法の一例は、上述したように、まず、後続車両検出部11が後続車両情報を検出し、当該後続車両情報を被追突可能性判定ECU13に送る。被追突可能性判定ECU13は、後続車両検出部11から送られた後続車両情報を受け取る。被追突可能性判定ECU13は、後続車両情報で示される自車両から後続車両までの距離を、同様に後続車両情報で示される自車両と後続車両との相対速度で除算することによって、追突余裕時間Taを取得する。
【0045】
被追突防止装置1は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する(ステップS202)。自車両の運転者が減速操作を行う可能性は、減速操作可能性判定部12によって判定される。
【0046】
ここで、本実施形態における、減速操作可能性判定部12が自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する処理の流れを説明する。図3は、減速操作可能性判定部12の処理の流れを示すフローチャートである。以下、図3に示すフローチャートを参照しながら、減速操作可能性判定部12が自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する処理の流れを説明する。なお、以下は、前方障害物情報に係る到達余裕時間Tc1、インフラ情報に係る到達余裕時間Tc2、およびナビ位置情報に係る到達余裕時間Tc3のうち、いずれか1つでも、それぞれについて予め定められたしきい値以下となった場合は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いと判定し、前方障害物情報に係る到達余裕時間Tc1、インフラ情報に係る到達余裕時間Tc2、およびナビ位置情報に係る到達余裕時間Tc3の全てにおいて、それぞれについて予め定められたしきい値を超えていれば、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が低いと判定する手法の一例について説明する。しかしながら、自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する手法はこれに限られるわけではなく、例えば、前方障害物情報に係る到達余裕時間Tc1、インフラ情報に係る到達余裕時間Tc2、およびナビ位置情報に係る到達余裕時間Tc3それぞれ、またはいずれか1つに基いて、自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する手法を用いても良い。
【0047】
減速操作可能性判定部12は、前方障害物検出部121から減速操作可能性判定ECU125に送られた前方障害物情報に基き、自車両が自車両の進行方向に存在する対象物に衝突するまでの到達余裕時間Tc1を算出する(ステップS301)。到達余裕時間Tc1は、減速操作可能性判定ECU125によって算出される。
【0048】
減速操作可能性判定部12は、インフラ情報受信機122から減速操作可能性判定ECU125に送られたインフラ情報に基き、当該インフラ情報で示される自車両の進行方向に存在する信号機の状態が赤信号等であるか否か判定する(図示せず)。当該インフラ情報で示される自車両の進行方向に存在する信号機の状態が赤信号等である場合、減速操作可能性判定部12は、インフラ情報、および車速センサ123から減速操作可能性判定ECU125に送られた車速情報に基き、自車両が自車両の進行方向に存在する信号機の停止線に到達するまでの到達余裕時間Tc2を算出する(ステップS302)。
【0049】
減速操作可能性判定部12は、ナビゲーションシステム124から減速操作可能性判定ECU125に送られたナビ減速情報、およびナビ位置情報、ならびに車速情報に基き、自車両が踏切進入前や交差点前等の一時停止線に到達するまでの到達余裕時間Tc3を算出する(ステップS303)。
【0050】
減速操作可能性判定部12は、到達余裕時間Tc1が予め定められたしきい値th1以下か否かを判定する(ステップS304)。減速操作可能性判定部12は、到達余裕時間Tc1がしきい値th1以下と判定した場合(ステップS304でYES)、自車両の運転者は減速操作を行う可能性が高いと判定する(ステップS308)。減速操作可能性判定部12は、到達余裕時間Tc1がしきい値th1を超えていると判定した場合(ステップS304でNO)、処理をステップS305に進める。
【0051】
減速操作可能性判定部12は、到達余裕時間Tc2が予め定められたしきい値th2以下か否かを判定する(ステップS305)。減速操作可能性判定部12は、到達余裕時間Tc2がしきい値th2以下と判定した場合(ステップS305でYES)、自車両の運転者は減速操作を行う可能性が高いと判定する(ステップS308)。減速操作可能性判定部12は、到達余裕時間Tc2がしきい値th2を超えていると判定した場合(ステップS305でNO)、処理をステップS306に進める。
【0052】
減速操作可能性判定部12は、到達余裕時間Tc3が予め定められたしきい値th3以下か否かを判定する(ステップS306)。減速操作可能性判定部12は、到達余裕時間Tc3がしきい値th3以下と判定した場合(ステップS306でYES)、自車両の運転者は減速操作を行う可能性が高いと判定する(ステップS308)。減速操作可能性判定部12は、到達余裕時間Tc3がしきい値th3を超えていると判定した場合(ステップS306でNO)、自車両の運転者は減速操作を行う可能性が低いと判定する(ステップS307)。
【0053】
以上が、本実施形態における減速操作可能性判定部12が自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する処理の流れの説明である。
【0054】
被追突可能性判定ECU13は、追突余裕時間Taが、予め定められたしきい値th5以下か否かを判定する(ステップS203)。被追突防止装置1は、追突余裕時間Taが、しきい値th5以下である場合(ステップS203でYES)、自車両の運転者が減速操作を行う可能性についての判定結果を参照する(ステップS204)。一方、被追突防止装置1は、追突余裕時間Taが、しきい値th5を超えている場合(ステップS203でNO)、処理をステップS201に戻す。
【0055】
被追突可能性判定ECU13は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高い場合(ステップS204でYES)、後続車両の運転者に対する注意喚起が必要であると判定する(ステップS205)。一方、被追突可能性判定ECU13は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が低い場合(ステップS204でNO)、追突余裕時間Taが、予め定められたしきい値th4以下か否かを判定する(ステップS206)。
【0056】
追突余裕時間Taがしきい値th4以下である場合(ステップS206でYES)、被追突防止装置1は、後続車両に対する注意喚起が必要であると判定する(ステップS205)。
【0057】
追突余裕時間Taがしきい値th4を超えている場合(ステップS206でNO)、被追突防止装置1は、後続車両に対する注意喚起は不要であると判定する。
【0058】
以上が、本実施形態に係る被追突防止装置1の処理の詳細な説明である。本実施形態に係る被追突防止装置1によれば、適切なタイミングで後続車両の運転者に対して注意喚起を行うことによって、当該運転者に煩わしさを感じさせず、当該運転者が注意喚起を認識してから追突を回避する操作を行うための時間的余裕を十分に確保し、後続車両による自車両への追突を未然に防ぐことができる。
【0059】
なお、本実施形態における減速操作可能性判定部12は、インフラ情報を送信した時点において、当該インフラ情報で示される自車両の進行方向に存在する信号機の状態が赤信号等であるか否かを判定し、当該判定結果に基いて自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定した。しかしながら、他の一実施形態では、当該送信時点における当該信号機の状態から、次の状態に変わるまでの時間(例えば、赤信号から青信号に変わるまでの時間)を示す情報を考慮して、自車両の運転者の減速操作の可能性を判定しても良い。すなわち、上述したように、インフラ情報受信機122によって取得されるインフラ情報には、インフラ情報送信時点における、自車両から自車両の進行方向に存在する信号機までの距離、および当該送信時点における当該信号機の状態について情報が含まれる。他の一実施形態における当該インフラ情報は、さらに、当該送信時点における当該信号機の状態から次の状態に変わるまでの時間を示す情報を含む。当該送信時点における当該信号機の状態から次の状態に変わるまでの時間は、例えば、赤信号から青信号に変わるまでの時間(以下、時間Tbと称する)、および青信号から黄信号に変わるまでの時間(以下、時間Tyと称する)である。到達余裕時間Tc2が時間Tbよりも短い場合、自車両の進行方向の信号機の状態が青信号に変わる前に(すなわち、赤信号の状態で)、自車両は当該信号機の停止線に到達するため、減速操作可能性判定ECU125は、自車両の運転者は減速操作を行う可能性が高いと判定する。一方、到達余裕時間Tc2が時間Tbよりも長い場合、自車両の進行方向の信号機の状態が青信号に変わってから、自車両は当該信号機の停止線に到達するため、減速操作可能性判定ECU125は、自車両の運転者は減速操作を行う可能性が低いと判定する。到達余裕時間Tc2が時間Tyよりも長い場合、自車両の進行方向の信号機の状態が黄信号(もしくは赤信号)に変わってから、自車両は当該信号機の停止線に到達するため、減速操作可能性判定ECU125は、自車両の運転者は減速操作を行う可能性が高いと判定する。一方、到達余裕時間Tc2が時間Tyよりも短い場合、自車両の進行方向の信号機の状態が黄信号に変わる前に(すなわち、青信号の状態で)、自車両は当該信号機の停止線に到達するため、減速操作可能性判定ECU125は、自車両の運転者は減速操作を行う可能性が低いと判定する。
【0060】
また、本実施形態においては、上記しきい値th5を設け、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いか否かを判定した。そして、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高い場合は、自車両の運転者が減速操作を行う可能性が低い場合よりも、一律に注意喚起がなされるタイミングが早くなるようにした。しかしながら、他の一実施形態では、自車両が減速する必要がある状況に応じて、注意喚起を行うタイミングを変更しても良い。自車両が減速する必要がある状況に応じて注意喚起を行うタイミングを変更する手法の一例としては、自車両の進行方向に存在するのが、先行車等の移動体である場合と、一時停止線等の非移動体である場合とで、後続車両の運転者に対する注意喚起のタイミングを変更することが考えられる。すなわち、自車両の進行方向に存在するのが先行車等の移動体である場合は、当該移動体の動きによっては、自車両の運転者は当該移動体の動きに応じて急な減速操作をせざるを得ない場合が考えられる。したがって、自車両の進行方向に存在するのが先行車等の移動体である場合は、自車両の運転者が急な減速操作をする可能性は高い。一方、自車両の進行方向に存在するのが一時停止線等の非移動体である場合は、自車両の運転者が急な減速操作をする可能性は低い。これらを考慮し、到達余裕時間Tc1に基いて自車両の運転者による減速操作の可能性が高いと判定された場合は、到達余裕時間Tc2またはTc3に基いて自車両の運転者による減速操作の可能性が高いと判定された場合よりも早いタイミングで注意喚起を行うことによって、自車両が減速した場合でも後続車両による自車両への追突を回避するための時間的余裕を確保することができる。
【0061】
また、本実施形態では、レーダ等の前方障害物検出部121によって、自車両と自車両の進行方向に存在する対象物との距離等の前方障害物情報を検出した。しかしながら、他の一実施形態では、さらに自車両のヨーレートを考慮して前方障害物情報を検出しても良い。具体的には、自車両にヨーレートセンサを設けて自車両のヨーレートを測定し、当該測定結果と前方障害物情報に基いて、当該対象物が自車両の進行方向にあるか否かを判定する。当該対象物が、自車両の進行方向に存在しない場合、自車両は当該対象物に到達する可能性はないため、自車両の運転者が当該対象物に対して自車両を減速させる可能性は低い。したがって、後続車両の運転者に対して注意喚起を行うかどうかを、当該対象物と自車両との到達余裕時間Tc1に基いて判定する必要はない。このように、自車両のヨーレートを考慮することによって、後続車両の運転者に対して注意喚起を行うかどうかの判定結果の信頼性をさらに高めることができる。
【0062】
また、本実施形態では、自車両の運転者が減速操作を行う必要がある対象物として、障害物、一時停止線等を挙げて説明した。しかしながら、自車両の運転者が減速操作を行う必要がある対象物としてはこれらに限られるわけではない。他に考えられる自車両の運転者が減速操作を行う必要がある対象物としては、例えば、道路の急カーブが挙げられる。したがって、道路のカーブに関する情報に基いて、自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定しても良い。
【0063】
また、他の一実施形態においては、後続車両の運転者に対して注意喚起がなされているときは、自車両の運転者に対してその旨を知らせるための報知器を設けても良い。すなわち、自車両が後続車両の運転者に対して注意喚起を行っている状況は、換言すれば、自車両が後続車両に追突される可能性が高い状況である。したがって、自車両が後続車両の運転者に対して注意喚起を行っていることを、自車両の運転者に報知器で報知することによって、自車両の運転者が不必要な減速操作を行うことを防ぎ、後続車両が自車両に追突する可能性をより低くすることができる。報知器の例としては、音によって報知するブザーや、点滅等によって報知するランプ等が考えられる。
【0064】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、上述の説明はあらゆる点において本発明の一例にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、自車両の減速を予測し、当該予測に基いて必要な場合にのみ後続車両の運転者に対して早めに注意喚起を行うことにより、後続車両の運転者に対して不要な煩わしさを感じさせず、後続車両による自車両への追突を未然に防ぐことができ、例えば、自動車などの移動体に搭載される被追突防止装置などに利用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 被追突防止装置
11 後続車両検出部
12 減速操作可能性判定部
13 被追突可能性判定ECU
14 注意喚起部
121 前方障害物検出部
122 インフラ情報受信機
123 車速センサ
124 ナビゲーションシステム
125 減速操作可能性判定ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後続車両による自車両への追突を防止する被追突防止装置であって、
前記自車両が前記後続車両に追突される可能性を判定する被追突可能性判定手段と、
前記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する減速操作可能性判定手段と、
前記被追突可能性判定手段によって判定された追突可能性に基いて、後続車両の運転者に注意喚起を行う注意喚起手段とを備え、
前記注意喚起手段は、前記減速操作可能性判定手段によって、前記自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いと判定された場合には、前記自車両の運転者が減速操作を行う可能性が低いと判定された場合よりも早いタイミングで注意喚起を行う、被追突防止装置。
【請求項2】
前記減速操作可能性判定手段は、
前記自車両の進行方向に存在する対象物の情報を取得する対象物情報取得手段を備え、
前記対象物の情報に基いて、前記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定することを特徴とする、請求項1に記載の被追突防止装置。
【請求項3】
前記減速操作可能性判定手段は、
前記自車両が、前記対象物に到達するまでの時間を到達余裕時間として算出する到達余裕時間算出手段を備え、
前記到達余裕時間に基いて、前記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定することを特徴とする、請求項2に記載の被追突防止装置。
【請求項4】
前記対象物は、前記自車両に対する障害物であることを特徴とする、請求項2または3に記載の被追突防止装置。
【請求項5】
前記障害物は、前記自車両の進行方向に存在する先行車両であることを特徴とする、請求項4に記載の被追突防止装置。
【請求項6】
前記対象物情報取得手段は、前記自車両が走行する道路に関する情報を取得し、
前記減速操作可能性判定手段は、前記道路に関する情報に基いて、前記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定することを特徴とする、請求項2または3に記載の被追突防止装置。
【請求項7】
前記自車両が走行する道路についての情報は、前記自車両が走行する道路の一時停止についての情報、前記自車両が走行する道路のカーブについての情報のうち、少なくとも1つ以上の情報であることを特徴とする、請求項6に記載の被追突防止装置。
【請求項8】
前記対象物情報取得手段は、前記自車両が走行する道路のインフラ情報を取得し、
前記減速操作可能性判定手段は、前記インフラ情報に基いて、前記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定することを特徴とする、請求項2、3、6、7いずれか1つに記載の被追突防止装置。
【請求項9】
前記インフラ情報は、前記自車両の進行方向に存在する信号機までの距離、前記信号機の表示、前記信号機の表示が切り替わるタイミングのうち、少なくとも1つ以上の情報であることを特徴とする、請求項8に記載の被追突防止装置。
【請求項10】
後続車両による自車両への追突を防止する被追突防止方法であって、
前記自車両が前記後続車両に追突される可能性を判定する被追突可能性判定ステップと、
前記自車両の運転者が減速操作を行う可能性を判定する減速操作可能性判定ステップと、
前記被追突可能性判定ステップによって判定された追突可能性に基いて、後続車両の運転者に注意喚起を行う注意喚起ステップとを含み、
前記注意喚起ステップは、前記減速操作可能性判定ステップによって、前記自車両の運転者が減速操作を行う可能性が高いと判定された場合には、前記自車両の運転者が減速操作を行う可能性が低いと判定された場合よりも早いタイミングで注意喚起を行う、被追突防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−88964(P2012−88964A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235707(P2010−235707)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】