説明

装身具用ペンダント

【課題】複数の装飾体を真っ直ぐかつ強固に連結でき、必要な場合には装飾体の一部を取り外すことができ装身具用ペンダントを提供すること。
【解決手段】均一な肉厚で異なる直径からなる複数の枠体からなる装身具用ペンダントにおいて、側面方向から見た場合には略コの字形状であって、枠体の前面及び後面とほぼ平行をなす前板及び後板からなり、枠体を挟み込むように開閉する連結部を各枠体の頂部に取り付け、各枠体を同一面上に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の枠体を上下方向に連結して形成する装身具用ペンダントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から装身具用ペンダント10の中で複数の装飾体11を上下方向に連結して吊り下げるタイプには多数のデザインがあり、種々の異なる宝石や異なるデザインの装飾体を使用できるため人気が高いものである。
【0003】
このような装身具用ペンダント10は、例えば、図1に示すようなもので、通常は一般的な輪環12を連結部として使用し、複数の装飾体11を連ねる構造であるから、真っ直ぐなディスプレイ台に吊り下げた静止状態であればそれぞれの装飾体11はおよそ直列するが、そのような状態でもそれぞれの装飾体11を直列させることは困難で、連結状態が左右方向にまばらになり易い。
【0004】
特に、装身具用ペンダント10をネックレスチェーン15により首から吊り下げた状態では、胸元16の傾斜に応じてそれぞれの装飾体11の連結部分は下方に従って段差状に折れ曲がり、身体の動きがあれば連結状態はさらに左右前後にまばらになる等、装身具用ペンダント10の全体的な見栄えは極めて悪くなる。
【0005】
しかし、このような複数の装飾体11を連結して形成する装身具用ペンダント10について、従来は、各装飾体自体のデザインや使用される宝石を種々変更することはあっても、連結部自体の構造について特別の工夫がされることはなく、複数の装飾体の美しい連結状態が提案されることはなかったといえる。
【0006】
仮に、連結状態を真っ直ぐに見栄え良くするには、従来の装身具用ペンダントにおいては、連続する装飾体を始めから一体的に形成するか、各連結部分をロー付け等により固着してしまう必要があり、その場合には、それぞれの装飾体を取り外して別のデザインによる装身具用ペンダントを形成したり、他の宝石を連結することはできないという不都合が生じていた。
【特許文献1】特開2009−165544
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来技術の課題を解決し、複数の装飾体を連結する装身具用ペンダントにおいて、各装飾体を真っ直ぐかつ強固に連結できるため極めて見栄えが良く、また、必要な場合には複数の装飾体を取り外すことも可能な美しい装身具用ペンダントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、均一な肉厚で異なる直径からなる複数の枠体において、側面方向から見た場合には略コの字形状であって、該枠体の前面及び後面とほぼ平行をなす前板及び後板からなり、該枠体を挟み込むように開閉する連結部を各枠体の頂部に取り付け、各枠体を同一面上に連結するようにした装身具用ペンダントであることを特徴とする。また、本発明においては、前記連結部は、前記前板の下方は前記枠体の前面に固定すると共に上方角部には兆番を設け、前記後板の上方に折曲部を形成して該折曲部の先端を前記兆番に取り付けると共に下方裏面に留め部を形成し、前記枠体に当該留め部を着脱可能な留め穴を形成したものである装身具用ペンダントであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
このような装身具用ペンダントによれば、複数の装飾体を連結する装身具用ペンダントにおいて、各装飾体を真っ直ぐかつ強固に連結でき、一体的に美しく輝く装身具用ペンダントを提供することを目的とする。また、必要な場合には、別の装飾体を追加したり、異なるデザインの装飾体を取り付けて、多彩なデザインバリエーションを楽しむことができる装身具用ペンダントを提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照にして、本発明の好ましい実施形態を説明する。図2において、(a)は本発明に係る第1装身具用ペンダントを示す正面図、(b)はその連結状態を示す側面図である。また、図3は、第1装身具用ペンダントにおいて枠体の連結部を開いた状態を示す側面図、図4は、その使用状態を示す側面図である。
【0011】
第1装身具用ペンダント20は、例えば、金、プラチナ、シルバー、真鍮等の金属を素材として、ロストワックスキャスティングやプレス切断加工により製造されるもので、異なる直径の第1枠体22及び第2枠体24、各々の枠体には開閉自在の連結部40、50が形成され、第1枠体22の中央には宝石(中石)28が取り付けられ、各々の枠体の周囲には宝石(脇石)30が散りばめられている。
【0012】
第1枠体22は、例えば、正面方向から見た場合には略円形で、側面方向から見た場合には略長方形となるような均一な肉厚で形成される。第1枠体22の中央は開口され、例えば、ラウンドブリリアントカットダイアモンドからなる宝石(中石)28が石座29に石留され、第1枠体22の内側にロー付け等されて固定されている。なお、第1枠体22の平面形状は示された略円形に限定されるわけではなく、略四角形等の多角形やマーキース、ハート等の装飾的な形状をデザインに応じて採用できる。
【0013】
また、第1枠体22において、後記する前板34の裏側には留め穴32が形成される。
【0014】
そして、第1枠体22の頂部には、側面方向から見た場合には、偏平な前板34と上方が約90度に折れ曲がることで折り曲げ部36を有する後板38により、全体として略コの字形状をなす連結部40が、第1枠体22を挟み込むように取り付けられる。
【0015】
前板34は、第1枠体22の前面とほぼ平行であるように、その下方が第1枠体22の頂部に、例えば、ロー付け等により固定される。
【0016】
後板38は、折曲部36の先端が兆番35に取り付けられ、前板34に対して開閉自在となる。また、後板38の下方の表面は、先端でやや後ろ側に湾曲して指掛け部37が形成され、裏面には斜め上方向に突起する留め部39が形成される。すなわち、後板38を手指等で内側に強く押せば留め部39が留め穴32に嵌合し、また、指掛け部37を後ろ側に強く押せば両者の嵌合を外すことができるので、連結部40は第1枠体22の後方で開閉自在となる
【0017】
なお、留め部39が留め穴32に嵌合された状態において、後板38が第1枠体22の裏面とほぼ平行となるように、その表面は平坦に形成される。
【0018】
第2枠体24は、第1枠体22より小さな直径からなり、その形状は、例えば、正面方向見た場合には略円形で、側面方向から見た場合には略長方形の均一な肉厚であり、第1枠体22と略同様である。また、第2枠体24の中央は第1枠体22と略同様に開口されるが、その中央に宝石は固定されず、いわゆるドーナツ形状をなしている。
【0019】
第2枠体24にも連結部50が取り付けられるが、その形状及び構造は、第1枠体22の連結部40と略同様であるから、ここでは説明を省略する。
【0020】
第1装身具用ペンダント20の使用方法を説明すると、第1枠体22の後板38を指掛け部37により開いて第2枠体24を挿入し、第2枠体24の下部略中央を挟みこむような状態で後板38を閉じる。さらに、後板38を強く押圧し、留め部39を留め穴32に嵌合して、第1枠体22と第2枠体24を連結する。また、第2枠体24の連結部50を開いて、同様にネックレスチェーン52を挿通する。
【0021】
このような第1装身具用ペンダント20を首からぶら下げると、第1枠体22と第2枠体24は真っ直ぐな状態でかつ強固に連結され、従来の複数の装飾体を上下方向に連結して吊り下げる装身具用ペンダントとは明らかに異なり、胸元54でまばらになることがならない一体的に美しく輝く装身具用ペンダントとして使用できる。
【0022】
一方、第1装身具用ペンダント20においては、第1枠体22と第2枠体24を分離して使用することも可能であるから、1の第1装身具用ペンダント20を別人がそれぞれを分けて使用することもできる。その場合には、例えば、遠く離れて暮らす母親と娘や、父親と戦場に赴いた兵士等、装身具として重要な意味をなすメモリアグッズとしての使用も可能である。
【0023】
図5は、本発明に係る第2装身具用ペンダントを示す正面図である。
【0024】
第2装身具用ペンダント60は、第1装身具用ペンダント20と同様の素材及び方法により製造され、異なる直径で少しずつ小さくなる第1枠体62、第2枠体64及び第3枠体66からなり、各々の枠体には開閉自在の連結部70、74及び76が形成される。
【0025】
第1枠体62は、正面方向から見た場合には略ハート形で、側面方向から見た場合には略長方形となるような均一な肉厚で形成される。第1枠体62の中央には、石座69に石留されたハートシェイプカットダイアモンドによる宝石68が固定されている。
【0026】
第1枠体62における連結部等の構造は、第1装身具用ペンダント20の第1枠体22と同様の構造であるので、ここでは説明を省略する。また、第2枠体64、第3枠体66の形状及び構造も略同様である。
【0027】
第2装身具用ペンダント60の使用方法についても、第1装身具用ペンダント20と同様であり、ネックレスチェーン78により首からぶら下げると、第1枠体62、第2枠体64及び第3枠体66は真っ直ぐな状態でかつ強固に連結され、従来の複数の装飾体を上下方向に連結して吊り下げる装身具用ペンダントとは明らかに異なり、一体的に美しく輝く装身具用ペンダントとして使用できる。
【0028】
以上、本発明による装身具用ペンダントの好ましい実施形態を図面により説明したが、本発明は特にこれに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、その日の気分に応じて異なるデザインの枠体(例:第1装身具用ペンダントの第1枠体22と第2装身具用ペンダントの第2枠体64と第1装身具用ペンダントの第2枠体24)を連結することも可能で、装身具用ペンダントの様々なバリエーションを楽しむことができる。
【0029】
くわえて、正面方向から見た場合に、枠体における連結部の形状については、図示された長方形に限られるわけではなく、涙形やマーキース形等の装飾的形状を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)は複数の装飾体を連結した従来の装身具用ペンダントを示す正面図、(b)はその使用状態を示す側面図である。
【図2】(a)は第1装身具用ペンダントを示す正面図、(b)はその連結状態を示す側面図である。
【図3】第1装身具用ペンダントにおいて枠体の連結部を開いた状態を示す側面図である。
【図4】第1装身具用ペンダントの使用状態を示す側面図である。
【図5】本発明に係る第2装身具用ペンダントを示す正面図である。
【図6】異なるデザインの枠体を連結した装身具用ペンダントを示す正面図である。
【符号の説明】
【0031】
10 装身具用ペンダント
11 装飾体
12 輪環
15 ネックレスチェーン
16 胸元

20 第1装身具用ペンダント
22 第1枠体
24 第2枠体
28 宝石(中石)
29 石座

30 宝石(脇石)
32 留め穴
34 前板
35 兆番
36 折り曲げ部
37 指掛け部
38 後板
39 留め部

40 連結部

50 連結部
52 ネックレスチェーン
60 第2装身具用ペンダント
62 第1枠体
64 第2枠体
66 3枠体
68 宝石
69 石座

70 連結部
74 連結部
76 連結部
78 ネックレスチェーン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
均一な肉厚で異なる直径からなる複数の枠体において、側面方向から見た場合には略コの字形状であって、該枠体の前面及び後面とほぼ平行をなす前板及び後板からなり、該枠体を挟み込むように開閉する連結部を各枠体の頂部に取り付け、各枠体を同一面上に連結するようにしたことを特徴とする装身具用ペンダント。
【請求項2】
前記連結部は、前記前板の下方は前記枠体の前面に固定すると共に上方角部には兆番を設け、前記後板の上方に折曲部を形成して該折曲部の先端を前記兆番に取り付けると共に下方裏面に留め部を形成し、前記枠体に当該留め部を着脱可能な留め穴を形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の装身具用ペンダント。






【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−147670(P2011−147670A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12479(P2010−12479)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(510021018)株式会社あおき (2)
【Fターム(参考)】