説明

装飾具

【課題】装飾用の石が土台から外れ難い所定の対象物に取り付けられる装飾具に関する技術を提供する。
【解決手段】所定の対象物に取り付けられる装飾具(1)であって、薄板状のベース部材(2)と、ベース部材(2)の上面に接続される複数の装飾用の石(3)と、ベース部材(2)の上面に接続された複数の装飾用の石(3)の表面と、該ベース部材(2)の上面のうち該複数の装飾用の石(3)が接続されていないことで露出している露出部分(7)と、を一体的に被覆する被覆部(4)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の対象物に取り付ける装飾具に関する。
【背景技術】
【0002】
身の回りの持ち物(例えば、携帯電話機等の携帯端末)等に独自の装飾を施すことが行われている。独自の装飾を施すことで、自らの持ち物と他人との持ち物との間の識別性と装飾性とを高めることができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】国際公開第2006/022306号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
対象物(例えば、携帯電話機等の携帯端末)に装飾具を取り付けることで、対象物の装飾性を高めることが行われている。このような装飾具の一つとして、ガラスやアクリル製の大小様々な石を土台シートの表面にちりばめたものが知られている。このような石をちりばめた装飾具では、石が土台シートの表面に対して接着剤によって取り付けられている。しかし、石が小さく接着面積が小さいような場合には、特に石が土台シートから外れやすいという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、装飾用の石が土台から外れ難い、所定の対象物に取り付けられる装飾具に関する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、上記の課題を解決するために、装飾用の石がベース部(土台)に接続された状態で装飾具の上面全体を被覆することとした。これにより、装飾用の石が被覆部によって押さえつけられるので、従来に比べて装飾用の石を外れ難くすることができる。
【0006】
詳細には、本発明は、所定の対象物に取り付けられる装飾具であって、薄板状のベース部と、前記ベース部の上面に接続される複数の装飾用の石と、前記ベース部の上面に接続された前記複数の装飾用の石の表面と、該ベース部の上面のうち該複数の装飾用の石が接続されていないことで露出している露出部分と、を一体的に被覆する被覆部と、を備える。
【0007】
本発明は、所定の対象物に取り付けられる装飾具に関するものである。所定の対象物には、携帯電話機や携帯ゲーム機等の携帯端末が例示されるが、これに限定されるものではない。所定の対象物は、ユーザが装飾を施したいものであればよい。なお、装飾具の所定の対象物への取り付けは、例えば粘着テープ等によって貼り付けることができる。
【0008】
本発明の装飾具は、ベース部の上面に装飾用の石が複数配置されることで、所定の対象物の装飾性を高める。ベース部は、薄板によって形成することができる。また、ベース部の材質は、特に限定されないが、所定の対象物の形状に合わせて変形可能であること、換言すると可撓性を有することが好ましい。なお、ベース部の下面に、所定の対象物に取り付けるための粘着部を形成してもよく、これにより、装飾具の所定の対象物への取り付けが容易となる。また、ベース部の上面には、装飾用の石の一部を埋め込むための凹部を形成してもよく、これによりベース部の上面と装飾用の石との接続状態をより安定的に維持することが可能となる。
【0009】
装飾用の石は、ベース部の上面に接続される。装飾用の石とベース部との接続は、例え
ば、装飾用の石の一部とベース部の上面とを既存の接着剤等によって接着すればよい。装飾用の石は、同じ大きさの石を規則的に複数配置してもよく、また、異なる大きさの石を例えばデザイン的に配置してもよい。装飾用の石の形状は、特に限定されるものではない。装飾用の石は、例えば、球形状とすることができ、また、ダイヤモンドのように複数のカット面を有する形状とすることができる。なお、装飾用の石の素材は、例えばガラスやアクリルとすることができる。
【0010】
ここで、本発明の装飾具は、その上面全体が被覆部によって被覆されていることを特徴とする。より具体的には、本発明の装飾具は、複数の石の表面とベース部の上面のうちの露出部分とが一体的に接続されている。換言すると、被覆部は、連続した一つの膜からなり、このような被覆部が上面のうちの露出部分と装飾用の石の表面とに密着して装飾具の上面全体を被覆している。つまり、ベース部の上面に接続された石が被覆部によって押さえつけられているので、本発明によれば、ベース部の上面から装飾用の石を従来よりも外れ難くすることができる。
【0011】
なお、本発明において、前記被覆部は、紫外線硬化塗料からなる薄膜によって形成することができる。紫外線硬化塗料とは、分子量の比較的小さい重合体を反応性希釈剤に溶解させたものである。このような紫外線硬化塗料は、所定の紫外線を照射することで、塗料中に配合された光開始剤の働きにより、ラジカル重合反応を起こし、硬化塗膜を形成する。紫外線の波長は特に限定されないが、例えば200〜400nmの波長域とすることが好ましく、これにより、紫外線硬化膜は、秒単位で硬化塗膜を形成することができる。
【0012】
また、本発明において、前記薄板状のベース部は、該ベース部の上面にプライマー層を有し、前記複数の装飾用の石は、前記プライマー層の上面に所定の接着剤を介して接続されるようにしてもよい。
【0013】
プライマー層とは、装飾用の石を接続するための下地層である。ベース部材の上面にプライマー層が形成されることで、ベース部材と装飾用の石との固着力をより高めることができる。プライマー層は、微細な凹凸や微細な傷を有する構成とすることができる。従って、これらの微細な凹凸によって、装飾用の石とプライマー層の表面との間の摩擦抵抗が増すので、ベース部材の上面において装飾用の石が滑り難くなる。また、微細な凹部や傷に接着剤が入り込むので、ベース部材と装飾用の石との固着力を効果的に高めることができる。なお、接着剤は、所定の熱を加えることで接着性能を発揮するものを用いることが好ましい。
【0014】
また、本発明において、前記ベース部の上面に接続される前記複数の装飾用の石は、無色透明の素材の石本体と、該石本体の表面に形成される透過性の所定の色からなる着色部分と、を有するようにしてもよい。
【0015】
装飾用の石の種類等は、特に限定されるものではない。従って、装飾用の石としては、予め着色された有色の石を用いてもよく、また、無色透明の石の表面を着色した石を用いてもよい。なお、無色透明の石は、有色の石に比べて単価が安いものの、表面に着色された色が落ち易いといった問題があった。従って、従来から、無色透明の石を用いることでコストダウンを可能とすると共に、無色透明の石を着色した場合に懸念される色落ちを抑制できる技術の開発が望まれていた。本発明によれば、被覆部によって装飾用の石が被覆されるので、該石がベース部から外れ難くすると共に、該石の色落ちを防止することができる。従って、本発明は、無色透明の素材の石本体と、石本体の表面に形成される着色部分とを有する装飾用の石にも好適に用いることができる。
【0016】
また、本発明において、前記ベース部の上面は、所定の色を有し、前記複数の装飾用の
石は、無色透明の素材によって形成してもよい。装飾用の石として無色透明の素材を用いることで、有色の石を用いる場合に比べてコストの削減を図ることが可能となる。そして、無色透明の素材からなる石本体の表面を着色することで装飾性を高めることができる。一方、石本体の表面を着色することなく、有色の石を用いた場合や無色透明の素材からなる石本体の表面を着色した場合と同様の装飾性を持たせることができれば、更なるコストダウンを図ることが可能となる。そこで、本発明では、装飾用の石として無色透明の素材をそのまま用いた場合、ベース部の上面が透過されることに着目し、ベース部の上面に所定の色を施すことで、装飾用の石として無色透明の石を用いた場合であっても、優れた装飾性を付与することができるようにした。なお、所定の色は、特に限定されるものではない。
【0017】
また、本発明において、前記ベース部の上面は、ホログラムとグリッタとのうち少なくともいずれか一つを有し、前記複数の装飾用の石は、無色透明の素材によって形成してもよい。本発明も、上記と同じく、装飾用の石として無色透明の素材をそのまま用いた場合、ベースの上面が透過されることに着目したものである。そして、本発明では、ベース部の上面にホログラムやグリッタを有する構成とすることで、より装飾性を高めることを可能としている。すなわち、ホログラムを有することで、ベース部の上面は、見る方向によって異なる絵柄や輝きを放つことができる。また、グリッタを有することで、ベース部の上面は、きらきらと輝きを放つことができる。なお、ホログラムは、従来の印刷技術によってベース部に施すことができる。また、グリッタを有するベース部は、ベース部の素材として従来からあるグリッタ素材を用いることで実現できる。
【0018】
ここで、本発明において、前記被覆部は、該被覆部の表面に所定の色の着色膜を有するようにしてもよい。装飾具の色付けは、上述したように装飾用の石を着色してもよいし、また、ベース部の上面に所定の色を施してもよい。本発明では、装飾具の最も外側に所定の色の着色膜を設けることで、装飾具の装飾性を高めることができる。なお、装飾用の石は、該石の表面に被覆部が形成されることで光沢が高められる。例えば装飾用の石の表面を直接着色する場合、装飾用の石の品質によって着色後の光沢にばらつきが出ることが想定される。しかし、本発明によれば、装飾用の石の表面が被覆部で覆われることで光沢が高められた上に着色膜が形成されているので、装飾用の石の品質に関わらず装飾具の表面の光沢(輝き)を均一にすることができる。
【0019】
また、本発明において、前記所定の対象物は、角部を有し、前記薄板状のベース部は、該ベース部を前記所定の対象物の角部に合わせて折るための折り部を有するようにしてもよい。
【0020】
所定の対象物には、上述したように携帯端末等が例示され、このような携帯端末等には、上面と側面との接続部分等に角部が存在する。所定の対象物を装飾するに際しては、このような角部も含めて装飾することで装飾性をより高めることができる。しかし、一枚のベース部からなる装飾具によって所定の対象物を装飾する場合、ベース部の素材が反発することから、角部に合わせて折り込んでも、折り込んだ部分が所定の対象物から剥がれるといったことが懸念される。一方、例えば、装飾具を所定の対象物の上面と側面との夫々に合わせて切断し、貼り付けてもよい。これにより、反発による剥離を防止することができる。しかし、対象物の面に合わせて夫々切断するとなると作業が煩雑となる。また、角部の見栄えが悪いといった問題も懸念される。そこで、本発明では、ベース部に対象物の角部に合わせて折るための折り部を設けることとした。折り部は、角部に合わせた直線状の切り込み線や直線状の薄肉部によって形成することができる。本発明では、このような折り部が所定の対象物の形状に合わせて予め設けられている。なお、折り部だけでなく、装飾具の外形も所定の対象物に合わせて予め切断しておくことで、本発明の装飾具を用いた装飾におけるユーザの作業負担をより軽減することができる。
【0021】
また、本発明は、上述した装飾具を製造する方法とすることができる。詳細には、本発明は、所定の対象物に取り付けられる装飾具の製造方法であって、薄板状のベース部の上面に複数の装飾用の石を接続する工程と、前記ベース部の上面に接続された前記複数の装飾用の石の表面と、該ベース部の上面のうち該複数の装飾用の石が接続されていないことで露出している露出部分とを一体的に被覆する工程とを備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、装飾用の石が土台から外れ難い、所定の対象物に取り付けられる装飾具に関する技術を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の装飾具の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0024】
<構成>
図1は、本実施形態の装飾具1の上面図を示す。同図に示すように、本発明の装飾具1は、シート状のベース部材2と、ベース部材2の上面に規則的に配置された複数の装飾用の石3と、によって形成されている。ここで、図2は、図1におけるAA断面の拡大図を示す。同図に示すように、装飾具1は、ベース部材2の上面に装飾用の石3が接続されており、更にベース部材2と装飾用の石3の全体を覆うように被覆部4が形成されている。また、ベース部材2の下面には、粘着部5が形成されている。なお、本実施形態では、同じ大きさの装飾用の石3が規則的に配置されているが、これに限定されるものではない。例えば、キャラクターを模って装飾用の石3を配置してもよく、また、異なる大きさの石を用いるようにしてもよい。
【0025】
本実施形態のベース部材2は、例えば、不織布やアクリル系素材といった可撓性の素材により形成することができる。従って、所定の対象物の形状に合わせて自由に取り付けることができる。その結果、例えば携帯端末の表面のように平面的な部分に限られず、角部や筒状の対象物の表面など、様々な形状に容易に取り付けることができる。ここで、図3Aは、所定の対象物の一例としての携帯電話機10の上面図を示す。また、図3Bは、図3Aに示す携帯電話機10の上面に装飾具1を取り付けた上面図を示す。このように、装飾具1を取り付けることで、携帯電話機10の装飾性を高めることができる。なお、本実施形態のベース部材2の下面には、粘着部5が形成されているので、対象物への取り付けを容易に行うことができる。
【0026】
また、本実施形態のベース部材2の上面には、図2に示すように装飾用の石3を接続するための凹部6が複数形成されている。この凹部6は、装飾用の石3の下部の外径よりもやや大きい径を有することで、装飾用の石3の下部を収容することができる。その結果、装飾用の石3の水平方向への移動が制限され、また、平面的なベース部材2の上面に単に載置して接着する場合に比べて接着面積が増すので、装飾用の石3とベース部材2との固着力を高めることができる。
【0027】
ベース部材2の上面に接続される装飾用の石3は、本実施形態ではダイヤモンド形状を模った複数のカット面を有する形状である。但し、これに限定されるわけではなく、球形状としてもよく、また例えば星型といったように所定のデザインを模った形状としてもよい。なお、本実施形態の装飾用の石3は、無色透明のガラス素材によって形成されている。但し、これに限定されるわけではない。装飾用の石3は、有色であってもよく、また、アクリル素材等、ガラス以外の素材で形成してもよい。なお、ベース部材2の凹部6と装飾用の石3との接続は、接続部分に接着剤を塗付することで接続することができる。
【0028】
ここで、本実施形態の装飾具1は、図2に示すようにその上面全体が被覆部4によって被覆されていることを特徴とする。本実施形態の被覆部4は、紫外線硬化塗料からなる薄膜(トップコート膜)によって形成されている。紫外線硬化塗料とは、分子量の比較的小さい重合体を反応性希釈剤に溶解させたものである。このような紫外線硬化塗料は、所定の紫外線を照射することで、塗料中に配合された光開始剤の働きにより、ラジカル重合反応を起こし、硬化塗膜を形成する。紫外線の波長は特に限定されないが、例えば200〜400nmの波長域とすることが好ましく、これにより、紫外線硬化膜は、秒単位で硬化塗膜を形成することができる。例えば、紫外線硬化塗料としては、中国塗料株式会社製のオーレックスを用いることができる。
【0029】
本実施形態の被覆部4は、図2に示すように装飾用の石3の表面とベース部材2の上面のうちの露出部分7とが一体的に接続されている。換言すると、被覆部4は、連続した一つの膜からなり、このような被覆部4が上面のうちの露出部分7と装飾用の石3の表面とに密着して装飾具1の上面全体を被覆している。つまり、ベース部材2の上面に接続された装飾用の石3が被覆部4によって押さえつけられている。その結果、本実施形態の装飾具1によれば、ベース部材2の上面から装飾用の石3が外れることを抑制することができる。また、このように装飾具1の上面全体を被覆することで、装飾用の石の表面の損傷を防止することができる。
【0030】
<製造方法>
次に上述した装飾具1の製造方法について説明する。ここで、図4は、装飾具1の製造工程を示す。まず、ステップS01では、ベース部材2が加工される。例えば、レーザ加工機によってベース部材2の上面にレーザを照射することで、ベース部材2の上面に装飾用の石3を接続するための凹部6を形成することができる。凹部6の径や深さ等は、装飾用の石3に合わせて形成すればよい。また、レーザの照射量を適宜調整することで、所定の径・深さの凹部6を形成することができる。ステップS01の工程が完了すると次のステップへ進む。なお、ベース部材2の切断作業、すなわち本実施形態に関して言えば所定の大きさの長方形に切断する作業は、この時点で行ってもよい。
【0031】
ステップS02では、ベース部材2の上面に装飾用の石3が接続される。例えば、装飾用の石3の裏面(ベース部材2との接続面)に、所定の熱を加えることで接着性能を発揮する接着剤を予め塗付しておき、ベース部材2の上面に形成された凹部6に装飾用の石3を配置し、熱圧着機などを用いて所定の熱を加えながらプレスすればよい。これにより、装飾用の石3とベース部材2との接続が完了する。装飾用の石3とベース部材2との接続が完了したら次のステップへ進む。
【0032】
ステップS03では、装飾用の石3が接続されたベース部材2の上面全体に被覆部4が形成される。すなわち、装飾用の石3が接続されたベース部材2の上方から紫外線硬化塗料が塗付される。紫外線硬化塗料の塗付の方法は、特に限定されるものではないが、平板の薄厚塗装に適しているカーテンフローコーターと呼ばれる塗装機を用いて塗付してもよい。カーテンフローコーターとは、塗料をカーテン状に上方から落下させ、その下を塗装対象物を所定の速度で通過させることで塗装対象物の表面を均一に塗装するものである。なお、紫外線硬化塗料に装飾用の石3の表面を着色するためのカラーインクを混ぜ、着色と被覆部4の形成を同時に行ってもよい。被覆部4の形成が完了したら、装飾具1の製造が完了する。なお、紫外線硬化塗料の塗付後、必要に応じてUV照射機を用いて紫外線を照射することで紫外線硬化塗料によって形成される被覆部4の硬化をより早めることができ、その結果作業効率を向上させることができる。紫外線の照射時間や照射量は、紫外線硬化塗料の成分や塗付量に応じて適宜変更すればよい。
【0033】
以上説明した本実施形態の装飾具1は、紫外線硬化塗料からなる被覆部4によって装飾
具1の上面全体が被覆されているので、装飾用の石3とベース部材2との固定状態をより安定的に維持することができる。つまり、装飾用の石3をベース部材2から外れ難くすることができる。また、装飾用の石3の表面が被覆部4によって被覆されることで、装飾用の石3の表面の損傷を防止することができる。
【0034】
<変形例1>
なお、上述した装飾具1において、ベース部材2の上面にプライマー層8を形成してもよい。ベース部材2の上面にプライマー層8が形成されることで、ベース部材2と装飾用の石3との固着力をより高めることができる。ここで、図5は、プライマー層8が形成された装飾具1の断面拡大図を示す。同図に示すように、ベース部材2の上面にプライマー層8が形成されている。なお、符号9は接着部を示す。この接着部9は、所定の熱を加えることで接着性能を発揮する接着剤によって形成することができる。
【0035】
プライマー層8は、微細な凹凸や微細な傷(図示せず)を有する。従って、これらの微細な凹凸によって、装飾用の石3とプライマー層8の表面との間の摩擦抵抗が増すので、ベース部材2の上面において装飾用の石3が滑り難くなる。また、微細な凹部や傷に接着剤が入り込むので、ベース部材2と装飾用の石3との固着力を効果的に高めることができる。
【0036】
プライマー層8の形成は、例えば上述したステップS01においてベース部材2の上面に凹部6を形成した後、プライマー剤を塗布することで実現できる(プライマー処理)。なお、プライマー剤には公知のものを用いることができる。ベース部材2や接着部9に用いる接着剤の種類に応じて適宜選択すればよい。
【0037】
<変形例2>
上述した装飾具1では、装飾用の石3として無色透明のガラス素材を用いたが、この無色透明の装飾用の石3の表面を所定の色で着色してもよい。これにより、装飾具1の装飾性をより高めることができる。なお、無色透明の装飾用の石3は、有色の石よりも単価が安いため、無色透明の装飾用の石3を用いることでコストの削減を図ることが可能となる。更に、装飾用の石3の表面に後から着色する場合には、色落ちがし易いといったことが従来懸念されていたが、本実施形態の装飾具1は、その上面が被覆部4によって被覆されていることから色落ちも防止することができる。すなわち、本実施形態の装飾具1は、被覆部4を有することで、装飾用の石3をベース部材2から外れ難くすることができ、かつ、無色透明の装飾用の石を用いることでコストの削減を可能とし、更に、色落ちを防止することができる。
【0038】
なお、無色透明の装飾用の石3の表面への着色は、例えば、装飾用の石3をベース部材2の上面に接続した後、いわゆるシルクスクリーン印刷技術を用いて行うことができる。これにより、様々なデザインを装飾具1の上面に施すことができる。そして、着色完了後に被覆部4を形成することで、このように着色されたデザインが落ちることを防止することが可能となる。
【0039】
<変形例3>
上記変形例2に示す実施形態では、無色透明の装飾用の石3の表面を着色することでより装飾性を高めることとしたが、無色透明の装飾用の石3は着色せず、ベース部材2の上面を着色するようにしてもよい。また、着色に替えて、ホログラム加工を施してもよく、更に、ベース部材2の素材自体をグリッタ素材としてもよい。無色透明の装飾用の石3を用いることで有色の石を用いる場合に比べてコストの削減を図ることができ、更に装飾用の石3を着色せずに装飾用の石3が接続されるベース部材2を着色したり、ホログラム加工することで装飾具1のデザイン性を高めることができる。なお、ホログラム加工を施す
ことで、ベース部材2の上面は、見る方向によって異なる絵柄や輝きを放つことができる。また、グリッタ素材を用いることで、ベース部材2の上面は、きらきらと輝きを放つことができる。このように、本実施形態の装飾具1によれば、着色とは異なる装飾効果を出すことができる。なお、ホログラムは、従来の印刷技術によってベース部材2に施すことができる。また、グリッタを有するベース部材2は、ベース部材2の素材として従来からあるグリッタ素材を用いることで実現できる。
【0040】
<変形例4>
上述した実施形態や変形例では、被覆部4によって被覆される装飾用の石3やベース部材2の上面を装飾したが、装飾具1は、被覆部4の外側を着色するようにしてもよい。すなわち、装飾具1は、被覆部4の表面に着色膜31を有する構成としてもよい。ここで、図6は、着色膜31を有する装飾具1の断面図を示す。図6に示すように、着色膜31を有する装飾具1は、その構成が基本的には上述した実施形態の装飾具1と同様であるが、最も外側に着色膜31を有している点で異なる。着色膜31は、被覆部4を形成した後、被覆部4の表面に従来の塗装機等によって塗料を塗付することで形成することができる。なお、符号32は、粘着部9を被覆する剥離フィルムを示す。
【0041】
本変形例の装飾具1によれば、被覆部4の表面に所定の色の塗料が塗付されることで装飾具1の装飾性が高められる。また、装飾用の石3の表面を直接着色する場合には、装飾用の石3の品質によって着色後の光沢にばらつきが出ることが想定される。しかし、本変形例の装飾具1によれば、装飾用の石3の表面が被覆部4で覆われることで光沢が高められた上に着色膜31が形成されているので、装飾用の石3の品質に関わらず装飾具1の表面の光沢(輝き)を均一にすることができる。また、被覆部4の表面は滑らかであることから、被覆部4表面には細かい色づけが可能であり、キャラクターが模られた着色膜31を容易に形成することができる。
【0042】
<変形例5>
本変形例の装飾具1は、折り部11を有する。図7は、折り部11を有する装飾具1の平面図を示す。図8は、折り部11を有する装飾具1を所定の携帯端末としての携帯ゲーム機21に取り付けた状態を示す。これらの図に示すように、本変形例の装飾具1は、携帯ゲーム機21用に予め外形が形成されている。より具体的には、本変形例の装飾具1は、携帯ゲーム機21の蓋部22を装飾するためのものであり、携帯ゲーム機21の蓋部22のうち上面22aだけでなく、前面22c及び両側面22bも装飾できるように予め外形が形成されている。また、本変形例の装飾具1は、携帯ゲーム機21の角部23に対応する部分に予め直線状の切り込み線11が形成されている。より具体的には、角部23は、蓋部22の上面22aと両側面22bが接する部分と、上面22aと背面22dとの接続部分、上面22aと前面22cとの接続部分の合計4箇所に存在するが、折り部11は、このうち上面22aと背面22dとの接続部分を除く3箇所の角部23に対応する部分に形成されている。切り込み線11は、ベース部材2、粘着部5、被覆部4を貫通する線状の貫通部11aが折り部11に沿って交互に配置されることで形成されている。
【0043】
一枚の装飾具1で携帯ゲーム機などを装飾する場合、ベース部材2が反発することで、角部23に合わせて折り込んでも、折り込んだ部分が携帯ゲーム21から剥がれるといったことが懸念される。本変形例の装飾具1によれば、折り部11を有することでベース部材2の反発を抑制することができるので、反発による剥がれを防止することができる。また、装飾具1を携帯ゲーム機21の上面22aと両側面22bとの夫々に合わせて切断し、貼り付けてもよいが、対象物の面に合わせて夫々切断するとなると作業が煩雑となる。これに対し、本変形例では、このような煩雑さを解消することができる。また、本変形例では、装飾具1を貼り付けた際、角部23に切れ目が発生しないので、見栄えがよく、より装飾性を高めることができる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の装飾具はこれに限らず可能な限りこれらの組み合わせを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】装飾具の上面図を示す。
【図2】図1におけるAA断面の拡大図を示す。
【図3A】所定の対象物の一例としての携帯電話機の上面図を示す。
【図3B】図3Aに示す携帯電話機の上面に装飾具を取り付けた上面図を示す。
【図4】装飾具の製造工程を示す。
【図5】プライマー層が形成された装飾具の断面拡大図を示す。
【図6】着色膜を有する装飾具の断面図を示す。
【図7】折り部を有する装飾具の平面図を示す。
【図8】折り部を有する装飾具を携帯ゲーム機に取り付けた状態を示す。
【符号の説明】
【0046】
1・・・装飾具
2・・・ベース部材
3・・・装飾用の石
4・・・被覆部
5・・・粘着部
6・・・凹部
7・・・露出部分
8・・・プライマー層
9・・・接着部
10・・・携帯電話機
11・・・折り部
20・・・携帯ゲーム機
31・・・着色膜
32・・・剥離フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の対象物に取り付けられる装飾具であって、
薄板状のベース部と、
前記ベース部の上面に接続される複数の装飾用の石と、
前記ベース部の上面に接続された前記複数の装飾用の石の表面と、該ベース部の上面のうち該複数の装飾用の石が接続されていないことで露出している露出部分と、を一体的に被覆する被覆部と、
を備える装飾具。
【請求項2】
前記被覆部は、紫外線硬化塗料からなる薄膜によって形成されている、請求項1に記載の装飾具。
【請求項3】
前記薄板状のベース部は、該ベース部の上面にプライマー層を有し、
前記複数の装飾用の石は、前記プライマー層の上面に所定の接着剤を介して接続される、請求項1又は請求項2に記載の装飾具。
【請求項4】
前記ベース部の上面に接続される前記複数の装飾用の石は、無色透明の素材の石本体と、該石本体の表面に形成される透過性の所定の色からなる着色部分と、を有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の装飾具。
【請求項5】
前記ベース部の上面は、所定の色を有し、
前記複数の装飾用の石は、無色透明の素材によって形成されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の装飾具。
【請求項6】
前記ベース部の上面は、ホログラムとグリッタとのうち少なくともいずれか一つを有し、
前記複数の装飾用の石は、無色透明の素材によって形成されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の装飾具。
【請求項7】
前記被覆部は、該被覆部の表面に所定の色の着色膜を有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の装飾具。
【請求項8】
前記所定の対象物は、角部を有し、
前記薄板状のベース部は、該ベース部を前記所定の対象物の角部に合わせて折るための折り部を有する、請求項1から請求項7のいずれかに記載の装飾具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−6690(P2009−6690A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207744(P2007−207744)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(592045821)株式会社サンクレスト (8)