説明

装飾部品付き止着具、およびその装飾部品の取付方法

【課題】本発明は装飾部品付き止着具、およびその装飾部品の取付方法に関し、衣料品、バッグ等の身回品、履き物に使用され、製作、組付を容易にし、装飾性を発揮する。
【解決手段】筒体部1aを突設して金属で構成された一方のリング1と、該筒体部を嵌入する孔2aを設けた他方のリングと、筒体部を嵌入してリング1,2間に挟持されて合成樹脂等の弾性材で構成される保持板材4とを有する止着具であって、リング1に装飾部品3を臨ませる窓孔1bを設け、保持板材に装飾部品の下方部を収容する収容孔4aを設けた。リング1に設けた窓孔1bから装飾部品3を臨ませ、保持板材4の孔4b内にリング1の筒体部1aを嵌入して保持板材をリング1の裏面に嵌着し、収容孔4a内に装飾部品3を収容させ、リング2の孔2a内に筒体部1aを嵌入してリング1,2により保持板材を挟着して装飾部品3を弾性支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装飾部品付き止着具、および装飾部品の取付方法に関し、例えばジャケット、シャツ、ズボン等の衣料品、またバッグ、帽子等の身回品、スニーカ、ブーツ、登山靴等の履き物に最適に使用され、製作、組付が容易であり、優れた装飾性を発揮するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばジャケット、シャツ、ズボン、下着等の衣料品、またバッグ、帽子等の身回品、スニーカ、ブーツ、登山靴等の履き物、さらにはテント等に装着され、紐を引き締め可能に挿通させることにより止着部を形成するための備品としてはとめが使用されている。
【0003】
このはとめは、従来、金属材により形成される一方のリングに筒体部を設け、他方のリングには前記筒体部を嵌入してかしめ固定する孔を設けたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−24014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1に記載のはとめは、金属材により形成される2つのリングの一方のリングに設けた筒体部を他方のリングに設けた孔内に嵌入してかしめ固定することにより製作、および組付けを比較的容易に行えるものであるが、デザイン的に単純であって変化がなく、装飾性に欠けるものであった。例えば装飾性を向上するのに、人造宝石やビーズ等の装飾部品をリングの表面に取付ける方策があるが、この装飾部品をリングに取付けるのには、例えば接着剤を用いて接着することが考えられる。
【0005】
また、接着剤を用いて装飾部品をリングに取付けるには、接着剤が固化して接着効能を発揮するまでに多くの時間がかかる。また、手作業により装飾部品を1個づつリングに接着しなければならず、多くの労力がかかるので、製作能率が低いものであった。しかも、リングに対して取付けられる装飾部品の取付位置が不揃いであり、取付精度が悪かった。そのうえ、装飾部品の取付後においても、装飾部品が引っかかったり、接着剤が劣化すると、装飾部品に脱落を生ずることがあった。また、異物感を生ずることがあった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされ、装飾部品のリングに対する取付が短時間に容易であり、製作、組付けが製作能率良く行え、また、装飾部品の取付精度が高く、しかも、取付後において装飾部品の脱落がなく、構造堅牢にして取付が異物感を生ずることなく行え、量産可能であり、製作コストが安価な止着具、およびその装飾部品の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、裏面略中央に筒体部を突設して金属で構成された一方のリングと、前記筒体部を嵌入する孔を設けて金属で構成された他方のリングと、前記筒体部を嵌入して2個の前記リング間に挟持され合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材とを有する止着具であって、一方の前記リングに装飾部品を臨ませる所望個数の窓孔が設けられ、前記保持板材には前記窓孔に対応する位置に前記装飾部品の下方部を収容する収容孔が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、金属で構成された一方のリングと、裏面中央に筒体部を突設して金属で構成された他方のリングと、裏面に設けた突出部を前記筒体部に嵌入して2個の前記リング間に挟持され合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材とを有する止着具であり、一方の前記リングに装飾部品を臨ませる所望個数の窓孔が設けられ、そして前記保持板材には前記窓孔に対応する位置に前記装飾部品の下方部を収容する収容孔が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、所望個数の前記窓孔が、一方の前記リングに同心円的に設けられているか、或いは不規則的に、または規則的に設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項において、前記保持板材と他方の前記リングとの間に介装する被取付物に係止可能な滑り防止手段が、前記保持板材の下面に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記滑り防止手段が、同心円的に突設される多数の係止突起または凹凸面であるか、或いは連続した断面山形の凸状であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1〜5において、前記装飾部品が、宝石、貴石、人造宝石及び、ビーズから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項ににおいて、前記止着具が、はとめであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項において、前記止着具が、雌スナップ釦であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項9に記載の発明は、請求項2〜6の何れかにおいて、前記止着具が、装飾釦とされることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項10に記載の発明は、請求項2〜6の何れか1において、前記止着具が、金属釦とされることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項11に記載の発明は、請求項8において、前記雌スナップ釦が、前記筒体部内に嵌入された内筒をリングにかしめ固定されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項12に記載の発明は、請求項1〜8の何れか1項において、前記止着具が、雌スナップ釦に設けられた取付孔内に嵌脱可能となる突出部を有した雄スナップ釦とされることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項13に記載の発明は、請求項10において、前記リングの筒体部が、外周の対向位置に糸通し孔を開設した取付環部を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項14に記載の発明は、請求項10または13において、前記保持板材の前記突出部が、取付環部に対向して設けられた糸通し孔を跨ぐように取付環部内に嵌入され二股の脚体部を有していることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項15に記載の発明は、裏面略中央に筒体部を突設して金属で構成された一方のリングと、前記筒体部を嵌入する孔を設けて金属で構成された他方のリングと、前記筒体部を嵌入して2個の前記リング間に挟持されて合成樹脂等の弾性材で構成される保持板材とを有する止着具に装飾部品を取付ける方法であって、一方の前記リングに設けた所望個数の窓孔の裏面から装飾部品を臨ませる工程と、前記保持板材に設ける孔内に前記筒体部を嵌入して該保持板材を前記リングの裏面に嵌着し、該保持板材に設けた収容孔内に前記装飾部品を弾性的に収容させる工程と、他方の前記リングの前記孔内に前記筒体部を嵌入して2つの前記リングにより前記保持板材を挟着、固定するとともに該保持板材にて前記装飾部品を裏面から弾性支持する工程と、を順次有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項16に記載の発明は、金属で構成される一方のリングと、裏面中央に筒体部を突設して金属で構成された他方のリングと、裏面に設けた突出部を前記筒体部に嵌入して2個の前記リング間に挟持されて合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材とを有する止着具に装飾部品を取付ける方法であって、前記保持板材に設けた収容孔内に前記装飾部品を弾性的に収容させて一方の前記リングに設けられた所望個数の窓孔の裏面から装飾部品を臨ませる工程と、他方の前記リングの前記筒体部内に前記保持板材の突出部を嵌入して2つの前記リングにより前記保持板材を挟着、固定するとともに該保持板材にて前記装飾部品を裏面から弾性支持する工程と、を順次有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の装飾部品付き止着具、および装飾部品の取付方法は、装飾部品のリングに対する取付が短時間に容易になり、製作、組付けが製作能率良く行え、また、装飾部品の取付精度が高く、しかも、取付後において装飾部品の脱落がなく、構造堅牢な取付が異物感を生ずることなく行え、量産可能であり、製作コストが安価になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に従って詳細を説明する。
【0025】
図1は本発明の装飾部品付き止着具をはとめに適用した場合の完成品の実施形態1を示す断面図、図2は同じく表面側の一方のリングの裏面に装飾部品および保持板材を組込む状態の工程を示す断面図、図3は同じく表面側の一方のリングの裏面に装飾部品、保持板材、被取付物、さらに他方のリングを組込む状態の工程を示す断面図、図4は同じく本実施形態1の装飾部品付き止着具を構成する一方のリングを示す平面図、図5は同じく該リングの断面図、図6は同じく本実施形態1の装飾部品付き止着具を構成する他方のリングを示す平面図、図7は同じく該リングの断面図、図8は同じく本実施形態1の装飾部品付き止着具を構成する保持板材を示す平面図、図9は同じく断面図、図10は同じく前記保持板材の裏面図である。
【0026】
本実施形態1の装飾部品付き止着具としてのめはとめは、裏面略中央に筒体部1aを突設して金属で構成された一方のリング1と、前記筒体部1aを嵌入してかしめ固定する孔2aを設けて金属で構成された他方のリング2と、前記筒体部1aを嵌入して2個の前記リング1,2間に挟持され合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材4とを有する止着け具であって、一方の前記リング1に装飾部品3を臨ませる所望個数の窓孔1bが設けられ、前記保持板材4には前記窓孔1bに対応する位置に前記装飾部品3の下方部を収容する収容孔4aが設けられていることを特徴とする。
【0027】
本実施形態1の装飾部品付き止着具としてのはとめでは、前記リング1に設けられる所望個数の前記窓孔1b,1b・・・1bが、図4では8分周位置に8個が同心円的に設けられているが、これに限らず図には示さないが不規則的に、または規則的に設けられてもよい。また、この窓孔1bは、図示では平面正円形に形成されているが、図示は代表的な例示であり、図示するものに限ることなく、窓孔1bの形状は例えば平面八角形、平面六角形、平面正方形、平面菱形等があげられる。また、窓孔1bの大きさは、例えば装飾部品3を考慮する等して自由に決定される。
【0028】
また、前記リング1は、直径D1の大きさであり、また、前記リング2は、直径D2の大きさであり、リング1,2は略同径の大きさに形成される。2bは後記保持板材4の係止突起5aが挿入されるようにリング2に設けた環状凹部である。
【0029】
前記装飾部品3には、例えば宝石、または貴石、人造宝石、ビーズがあり、これ等から選ばれる少なくとも1つが使用される。
【0030】
4は合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材であり、この保持板材4に設けた孔4b内に前記筒体部1aを嵌入することにより該保持板材4は前記リング1,2間に挟持される。本実施形態1では、この保持板材4の直径D3は前記リング1,2よりも僅かに小径に形成され、しかも、この保持板材4に設けた前記孔4bの内径φ2は、前記リング1の筒体部1aの外径φ1よりも僅かに小径に設けられることにより筒体部1aを孔4b内に弾性力に抗して圧入して保持板材4をリング1の裏面に弛みがなく、嵌着するようになっている(図2参照)。
【0031】
また、この保持板材4には、表面に装飾部品3の下部に適合する内形状の収容孔4a,4a・・・4aを設けられ、該収容孔4a,4a・・・4a内に装飾部品3は弾性的に収容される。そして、装飾部品3は裏面から保持板材4に弾性的に支持されることにより前記窓孔1b,1b・・・1bから臨まれる。図示する実施形態1では、装飾部品3が宝石、人造宝石として描かれているので、この装飾部品3の下方のカット形状に適合するように収容孔4a,4a・・・4aの内面形状は錐状に設けられている。
【0032】
前記合成樹脂としては、例えばポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂等があげられ、弾性を発揮される。
【0033】
5は前記保持板材4の下面に設けられた滑り防止手段であり、この滑り防止手段5は、該保持板材4と他方の前記リング2との間に介装して本実施形態1の装飾部品付きはとめを取付けるための被取付物6に係止可能に設けられる。
【0034】
この滑り防止手段5は、本実施形態1では図10に示すように、保持板材4の下面に同心円的に突設される多数、例えば図示では16個の先鋭な係止突起であるが、この滑り防止手段5はこれに限ることなく、例えば図には示さないが、例えば凹凸面、連続した断面山形の凸状の何れかでもよい。
【0035】
前記被取付物6としては、例えばジャケット、シャツ、ズボン、下着等の衣料品を構成する布帛、或いはバッグ、帽子等の身回品を構成する布帛や皮革、合成樹脂シート、または、スニーカ、ブーツ、登山靴等の履き物を構成する布帛や生地、さらにはテント等の生地が挙げられ、紐が引き締め可能に挿通されることにより止着部を形成するためのものである。
【0036】
本発明の装飾部品付きはとめの実施形態1は以上の構成からなり、以下本願他の発明としての装飾部品の取付方法を被取付物6にはとめを取付ける場合につき工程順に作用とともに説明する。
【0037】
本発明の装飾部品付きはとめの装飾部品の取付方法は、裏面略中央に筒体部1aを突設して金属で構成された一方のリング1と、前記筒体部1aを嵌入してかしめ固定する孔2aを設けて金属で構成された他方のリング2と、前記筒体部1aを嵌入して2個の前記リング1,2間に挟持され合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材4とを有するはとめに装飾部品3を取付ける方法である。
【0038】
そして、先ず第1工程として、一方の前記リング1に設けられた所望個数の窓孔1b,1b・・・1bの裏面から装飾部品3を臨ませる。
【0039】
次いで、第2工程として、合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材4の略中央に設けた孔4b内に前記リング1に突設している前記筒体部1aを嵌入することにより該保持板材4を前記リング1の裏面に嵌着する。そして、保持板材4に設けられた収容孔4a,4a・・・4a内に前記装飾部品3を弾性的に収容させる(図2参照)。
【0040】
この際、窓孔1b,1b・・・1bは、本実施形態1では所望個数、例えば図4に示すように8分周位置に8個が同心円的に設けられているが、窓孔1bの設置個数、および設置位置は図示するものに限らず、図には示さないが不規則的に、または規則的に所望個数が設けられてもよい。また、この窓孔1bは、図示では平面正円形に形成されているが、図示は代表的な例示であり、これに限ることなく、窓孔1bの形状は例えば平面八角形、平面六角形、平面正方形、平面菱形等があげられる。また、窓孔1bの大きさは、例えば装飾部品3を考慮する等して自由に決定されるが、装飾部品3に対して窓孔1bが大き過ぎて装飾部品3が不用意に移動したり、ガタツキを生ずることなく、窓孔1bと装飾部品3との間に余計な間隙ができてゴミが侵入しないようにする。
【0041】
また、保持板材4に設けられる収容孔4a,4a・・・4aは、装飾部品3の下部に適合する内形状に設けられるので、装飾部品3は裏面から保持板材4が押当てられることにより収容孔4a,4a・・・4a内に弾性的に収容され、そして、前記窓孔1b,1b・・・1bから臨まれる。また、図示する実施形態1では、装飾部品3が宝石、人造宝石であるので、この装飾部品3の下方のカット形状に適合するように収容孔4a,4a・・・4aの内面形状は錐状に設けられ、装飾部品3が収容孔4a,4a・・・4a内に収容された時に、ずれやガタツキがなく装飾部品3は収容される。
【0042】
その後、第3工程として、前記リング1に突設した前記筒体部1aをはとめが取付けられる被取付物6に設けられている孔6a内に嵌入することによりリング1の裏面に組み込まれた保持板材4の裏面に被取付物6を重合させる。この被取付物6としては、例えばジャケット、シャツ、ズボン、下着等の衣料品を構成する布帛、或いはバッグ、帽子等の身回品を構成する布帛や皮革、合成樹脂シート、また、スニーカ、ブーツ、登山靴等の履き物を構成する布帛や生地、さらにはテント等の生地が挙げられ、紐が引き締め可能に挿通されることにより止着部を形成するためのものである。
【0043】
さらに、第4工程として、他方のリング2に設けられた孔2a内に前記リング1の筒体部1aを嵌入することにより該筒体部1aの下端部1a1をリング2に対してかしめ固定Kすることにより2つの前記リング1,2により前記保持板材4を該保持板材4の下面に配した被取付物6を介して挟着、固定する。こうして、該保持板材4により前記装飾部品3を裏面から弾性支持する(図1参照)。
【0044】
この際、保持板材4の下面には滑り防止手段5が設けられているので、この滑り防止手段5が保持板材4と前記リング2との間に介装する被取付物6に上面から係止可能になるとともにこの滑り防止手段5の設置個所における被取付物6がリング2に設けられた環状凹部2b内に嵌入されるため、はとめは被取付物6に対して周方向へ不用意に移動したりすることなく所定位置に確実にかつ構造堅牢に取付けられ、しかも外力が加っても滑落することがない。
【0045】
また、本実施形態1では、滑り防止手段5は図示のように、保持板材4の下面に同心円的に突設された多数、例えば図示では16個の先鋭な係止突起5aが採用されているが、滑り防止手段5はこれに限ることなく、例えば図には示さないが、凹凸面、或いは連続した断面山形の凸状の何れかでもよい。
【0046】
上述のように、本実施形態1の装飾部品付きはとめでは、装飾部品3をリング1,2に取付けるのに、接着剤を用いて行うという従来の取付方法とは異なり、金属で構成される2個のリング1,2のうち一方のリング1に設けられた所望個数の窓孔1b,1b・・・1bの裏面から装飾部品3は臨まれる(図1参照)。
【0047】
次いで、例えばポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂等よりなる合成樹脂等の弾性材により構成された保持板材4の孔4b内に、前記リング1に突設した筒体部1aを嵌入することにより該保持板材4を前記リング1の裏面に嵌着して保持板材4に設けられた収容孔4a内に装飾部品3を弾性的に収容させる。
【0048】
それから、他方のリング2に設けた孔2a内に前記筒体部1aを嵌入することにより下端部1a1をかしめ固定Kして金属で構成された2つのリング1,2により、合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材4を挟着、固定するとともに該保持板材4にて装飾部品3は裏面から弾性支持されるので、装飾部品3は取付後においても保持板材4が弾性力を発揮することにより装飾部品3に加わる衝撃を緩衝して収容孔4a内に確実に保持される。
【0049】
しかも、本実施形態1の装飾部品付きはとめの取付方法では、簡単な手順、所作によりリング1,2に装飾部品3を短時間に多くの労力を要することなく、容易に取付けることができる。また製作、組付けが能率高く行え、量産可能であり、製作コストが安価になる。
【0050】
そして、例えば宝石、または貴石、人造宝石、ビーズ等の装飾部品3は、表面側は一方のリング2に設けられた窓孔1b,1b・・・1bから臨まれ、裏面側は前記窓孔1b,1b・・・1bに対応して前述のように合成樹脂等の弾性材で形成される保持板材4に設けられた収容孔4a,4a・・・4a内に収容されて弾性支持されるので、接着剤を用いて装飾部品をリングに取付けるという従来の取付方法とは異なり、装飾部品3は高い取付精度により取付けられる。また、装飾部品3は取付後において、本実施形態では2つのリング1,2により表裏から覆われ、しかも装飾部品3は裏面から保持板材4により弾性的に支持されるので、装飾部品3が引っ掛かって脱落することがなく構造堅牢に取付けることができ、しかも異物感を生じない。
【0051】
図11および図12は本発明の実施形態2であり、この実施形態2では、止着具としてめスナップ釦に適用したものである。
【0052】
そして、この実施形態2では、雌スナップ釦S1が、裏面略中央に筒体部1aを突設して金属で構成された一方のリング1と、前記筒体部1aを嵌入する孔2aを設けて金属で構成された他方のリング2と、前記筒体部1aを嵌入することにより2個の前記リング1,2間に挟持され合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材4とにより構成され、一方の前記リング1に装飾部品3を臨ませる所望個数の窓孔1bが設けられ、前記保持板材4には前記窓孔1bに対応する位置に前記装飾部品3の下方部を収容する収容孔4aが設けられている点は、図1ないし図10に示す実施形態1の前記はとめと同様の構成であり、同様の作用、同様手順で組付けられ、製作が行われる。
【0053】
しかし、この実施形態2では、前記雌スナップ釦S1は、2つの前記リング1と前記リング2との間に合成樹脂の前記保持板材4が挟持され、さらにリング1の前記筒体部1a内に内筒20を嵌入し、かしめ固定20aされて一体的に組付けられる。このように、雌スナップ釦S1は、筒体部1a内に内筒20が嵌入されるので、構造堅牢に前記リング1と前記リング2と前記保持板材4とを組み付けることができるとともに内筒20内に、後記雄スナップ釦S2の嵌脱操作が円滑かつ確実に行われるようにしている。
【0054】
また、S2は前記雌スナップ釦S1と対合して止着具を構成する雄スナップ釦S2であり、この雄スナップ釦S2は、前記雌スナップ釦S1に設ける取付孔21内に嵌脱可能になる突出部22を有しているほかは、前記実施形態1と同様の構成、作用である。6′は雄スナップ釦S2が取付けられる被取付物である。
【0055】
図13ないし図16は本発明の実施形態3であり、この実施形態3では、止着具として装飾釦を適用した場合である。
【0056】
そして、この実施形態3では、金属で構成された一方のリング1と、金属で構成された他方のリング2との2個の前記リング1,2間に合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材4を挟持することにより構成される止着具であり、一方の前記リング1に装飾部品3を臨ませる所望個数の窓孔1bが設けられ、前記保持板材4には前記窓孔1bに対応する位置に前記装飾部品3の下方部を収容する収容孔4aが設けられた点は前記実施形態1と同様の構成、作用である。
【0057】
しかしながら、本実施形態3では、リング1とリング2とを組み付けるとともに2個の前記リング1,2間に保持板材4が挟持されて組み付けるのに、先ず、合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材4に設けた収容孔4a内に装飾部品3を弾性的に収容させて一方の前記リング1に設けた所望個数の窓孔1bの裏面から装飾部品3を臨ませる。次いで、リング2の裏面中央に突設された筒体部2cに保持板材4の裏面、中央に設けられた筒状の突出部4cを嵌入することにより2個の前記リング1,2間に保持板材4を挟着、固定するとともに、リング1の外周に設ける折曲部1cをリング2の外周にかしめ固定することによりリング1とリング2とを組み付けるようにしている。そして、前記保持板材4にて前記装飾部品3を裏面から弾性支持し、取付後は装飾部品3は違和感を生ぜずに、脱落することなく構造堅牢に取付けるようにしている。
【0058】
30はリング2の筒体部2cの外部下方から突出部4c内に軸長方向に圧入される鋲体であり、この鋲体30は扁平な頭部30aと、該頭部30aに突設される柱状部30bとよりなり、該柱状部30bの外周には前記突出部4cの内周面に係止されて抜けが防止される鋸刃状の係止部30cが複数条形成されている。このように、鋲体30をリング2の筒体部2cの外部から保持板材4の突出部4c内に圧入するのは、リング2の筒体部2cの下面と鋲体30の頭部30aとにより被取付物6を挟持することにより本実施形態の装飾釦を被取付物6に簡単な取扱い操作により取付けるとともにリング2に対する保持板材4の取付を鋲体30により確実になすためである。
【0059】
なお、図14において31は前記リング1の表面に形成された適宜形状の模様であり、この模様31は前記装飾部品3と調和して装飾釦の装飾性を有効に発揮させるためのものである。
【0060】
図17ないし図21は本発明の実施形態4であり、この実施形態4では、止着具として金属釦に適用した場合を示す。
【0061】
そして、この実施形態4では、金属で構成された一方のリング1と、金属で構成された他方のリング2との2個の前記リング1,2間に合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材4を挟持することにより構成される止着具であり、一方の前記リング1に装飾部品3を臨ませる所望個数の窓孔1bを設け、前記保持板材4には前記窓孔1bに対応する位置に前記装飾部品3の下方部を収容する収容孔4aが設けられた点は前記実施形態1と同様の構成、作用である。
【0062】
しかしながら、本実施形態3では、リング1とリング2とを組み付けるとともにこの2個の前記リング1,2間に保持板材4を挟持して組み付けるのに、先ず、合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材4に設けた収容孔4a内に装飾部品3の下方部を弾性的に収容させて一方の前記リング1に設けた所望個数の窓孔1bの裏面から装飾部品3を臨ませる。次いで、リング2の裏面中央に突設した筒体部2cに前記保持板材4の裏面、中央に図20に示すように対向して設けた突出部4c,4cを嵌入することにより2個の前記リング1,2間に保持板材4が挟着、固定されるとともに、リング1の外周に設ける折曲部1cをリング2の外周にかしめ固定することによりリング1とリング2とは組み付けられ、保持板材4にて前記装飾部品3を裏面から弾性支持するようにしている(図17参照)。
【0063】
前記リング2の筒体部2cが、本実施形態4では、図19に示すように外周の対向位置に糸通し孔2d,2dを開設した取付環部2eを有している。そして、本実施形態4の金属釦を被取付物6に取付けるのには、リング2の裏面中央に突設した筒体部2cの外周の対向位置に開設した糸通し孔2d,2d内に通し糸40を挿通して被取付物6に結着することにより本実施形態4の金属釦は被取付物6に取付けられる。
【0064】
また、前記保持板材4の前記突出部4cが、取付環部2eに対向して設けられた糸通し孔2d,2dを跨ぐように取付環部2e内に嵌入され二股の脚体部4d,4dを有している。このように、保持板材4の前記突出部4cは、保持板材4の下面に対向して設けた脚体部4d,4dが糸通し孔2d,2dを跨ぐように取付環部2e内に嵌入されるので、糸通し孔2d,2d内に通し糸40を挿通する場合に、脚体部4d,4dが邪魔になることなく、通し糸40を糸通し孔2d,2d内に迅速かつ確実に挿通することができる。
【0065】
なお、41はリング1の表面に形成される適宜形状の模様であり、そのほかは、前記各実施形態と同様の構成、作用である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、装飾部品のリングに対する取付が短時間に容易に製作、組付けが能率良く行え、また、装飾部品の取付精度が高く、しかも、取付後において装飾部品の脱落や異物感を生ずることなく構造堅牢な取付が行え、量産可能であり、製作コストが安価になるという用途・機能に適する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は本発明の装飾部品付き止着具をはとめに適用した場合の完成品を示す実施形態1の断面図である。
【図2】図2は同じく表面側の一方のリングの裏面に装飾部品および保持板材を組込む状態の工程を示す断面図である。
【図3】図3は同じく表面側の一方のリングの裏面に装飾部品、保持板材、被取付物、さらに他方のリングを組込む状態の工程を示す断面図である。
【図4】図4は同じく本実施形態1の装飾部品付き止着具を構成する一方のリングを示す平面図である。
【図5】図5は同じく該リングの断面図である。
【図6】図6は同じく本実施形態1の装飾部品付き止着具を構成する他方のリングを示す平面図である。
【図7】図7は同じく該リングの断面図である。
【図8】図8は同じく本実施形態1の装飾部品付き止着具を構成する保持板材を示す平面図である。
【図9】図9は同じく断面図である。
【図10】図10は同じく前記保持板材の裏面図である。
【図11】図11本発明の実施形態2を示し、止着具をスナップ釦に適用した場合の雌スナップ釦と、雌スナップ釦とを係合した状態の断面図である。
【図12】図12は同じく雌スナップ釦と、雄スナップ釦とを脱係した状態の断面図である。
【図13】図13は本発明を装飾釦に適用した場合の完成品を示す実施形態3の組立断面図である。
【図14】図14は同じく本実施形態3の装飾釦を示す平面図である。
【図15】図15は同じく本実施形態3の装飾釦を示す裏面図である。
【図16】図16は同じく本実施形態3の装飾釦を示す分解断面図である。
【図17】図17は本発明を金属釦に適用した場合の完成品を示す実施形態4の組立断面図である。
【図18】図18は同じく本実施形態4の金属釦を示す平面図である。
【図19】図19は同じく本実施形態4の金属釦を示す裏面図である。
【図20】図20は同じく本実施形態4を構成する保持板材を示す裏面図である。
【図21】図21は本実施形態4の金属釦を示すの分解断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 リング
1a 筒体部
1b 窓孔
1c 折曲部
2 リング
2a 孔
2b 環状凹部
2c 筒体部
2d 糸通し孔
3 装飾部品
4 保持板材
4a 収容孔
4b 孔
4c 突出部
5 滑り防止手段
5a 係止突起
6 被取付物
30 鋲体
40 通し糸
D1 直径
D2 直径
D3 直径
φ1 外径
φ2 内径
S1 雌スナップ釦
S2 雄スナップ釦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面略中央に筒体部を突設して金属で構成された一方のリングと、前記筒体部を嵌入する孔を設けて金属で構成された他方のリングと、前記筒体部を嵌入して2個の前記リング間に挟持され合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材とを有する止着具であって、一方の前記リングに装飾部品を臨ませる所望個数の窓孔が設けられ、前記保持板材には前記窓孔に対応する位置に前記装飾部品の下方部を収容する収容孔が設けられていることを特徴とする装飾部品付き止着具。
【請求項2】
金属で構成された一方のリングと、裏面中央に筒体部を突設して金属で構成された他方のリングと、裏面に設けた突出部を前記筒体部に嵌入して2個の前記リング間に挟持され合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材とを有する止着具であり、一方の前記リングに装飾部品を臨ませる所望個数の窓孔が設けられ、そして前記保持板材には前記窓孔に対応する位置に前記装飾部品の下方部を収容する収容孔が設けられていることを特徴とする装飾部品付き止着具。
【請求項3】
所望個数の前記窓孔が、一方の前記リングに同心円的に設けられているか、或いは不規則的に、または規則的に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の装飾部品付き止着具。
【請求項4】
前記保持板材と他方の前記リングとの間に介装する被取付物に係止可能な滑り防止手段が、前記保持板材の下面に設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の装飾部品付き止着具。
【請求項5】
前記滑り防止手段が、同心円的に突設される多数の係止突起または凹凸面であるか、或いは連続した断面山形の凸状であることを特徴とする請求項4に記載の装飾部品付き止着具。
【請求項6】
前記装飾部品が、宝石、貴石、人造宝石及び、ビーズから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の装飾部品付き止着具。
【請求項7】
前記止着具が、はとめであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の装飾部品付き止着具。
【請求項8】
前記止着具が、雌スナップ釦であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の装飾部品付き止着具。
【請求項9】
前記止着具が、装飾釦とされることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の装飾部品付き止着具。
【請求項10】
前記止着具が、金属釦とされることを特徴とする請求項2〜6の何れか1に記載の装飾部品付き止着具。
【請求項11】
前記雌スナップ釦が、前記筒体部内に嵌入された内筒をリングにかしめ固定されていることを特徴とする請求項8に記載の装飾部品付き止着具。
【請求項12】
前記止着具が、雌スナップ釦に設けられた取付孔内に嵌脱可能となる突出部を有した雄スナップ釦とされることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の装飾部品付き止着具。
【請求項13】
前記リングの筒体部が、外周の対向位置に糸通し孔を開設した取付環部を有することを特徴とする請求項10に記載の装飾部品付き止着具。
【請求項14】
前記保持板材の前記突出部が、取付環部に対向して設けられた糸通し孔を跨ぐように取付環部内に嵌入され二股の脚体部を有していることを特徴とする請求項10または13に記載の装飾部品付き止着具。
【請求項15】
裏面略中央に筒体部を突設して金属で構成された一方のリングと、前記筒体部を嵌入する孔を設けて金属で構成された他方のリングと、前記筒体部を嵌入して2個の前記リング間に挟持されて合成樹脂等の弾性材で構成される保持板材とを有する止着具に装飾部品を取付ける方法であって、一方の前記リングに設けた所望個数の窓孔の裏面から装飾部品を臨ませる工程と、前記保持板材に設ける孔内に前記筒体部を嵌入して該保持板材を前記リングの裏面に嵌着し、該保持板材に設けた収容孔内に前記装飾部品を弾性的に収容させる工程と、他方の前記リングの前記孔内に前記筒体部を嵌入して2つの前記リングにより前記保持板材を挟着、固定するとともに該保持板材にて前記装飾部品を裏面から弾性支持する工程と、を順次有することを特徴とする装飾部品付き止着具の装飾部品の取付方法。
【請求項16】
金属で構成される一方のリングと、裏面中央に筒体部を突設して金属で構成された他方のリングと、裏面に設けた突出部を前記筒体部に嵌入して2個の前記リング間に挟持されて合成樹脂等の弾性材で構成された保持板材とを有する止着具に装飾部品を取付ける方法であって、前記保持板材に設けた収容孔内に前記装飾部品を弾性的に収容させて一方の前記リングに設けられた所望個数の窓孔の裏面から装飾部品を臨ませる工程と、他方の前記リングの前記筒体部内に前記保持板材の突出部を嵌入して2つの前記リングにより前記保持板材を挟着、固定するとともに該保持板材にて前記装飾部品を裏面から弾性支持する工程と、を順次有することを特徴とする装飾部品付き止着具の装飾部品の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−204883(P2006−204883A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146479(P2005−146479)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000195188)清原株式会社 (9)
【Fターム(参考)】