装飾部材及びその装飾部材を設けた表示板とその製造方法
【課題】 金属感と立体感のある装飾部材を安いコストで製造する。
【解決手段】 表示基板31上に樹脂でもって光沢面を有する肉盛り層33を設け、その肉盛り層33の表面に金属被膜34を設け、更に金属被膜34上に光沢面を有する透過性樹脂膜35を設けて、肉盛り層33と金属被膜34と透過性樹脂膜35とで装飾部材を構成する。また、肉盛り層33の厚みを7〜50μmの範囲に、金属被膜34を50〜1500Åの厚みに形成する。また、金属被膜34に透過性を有する場合は肉盛り層33に反射機能を持たせる。
【解決手段】 表示基板31上に樹脂でもって光沢面を有する肉盛り層33を設け、その肉盛り層33の表面に金属被膜34を設け、更に金属被膜34上に光沢面を有する透過性樹脂膜35を設けて、肉盛り層33と金属被膜34と透過性樹脂膜35とで装飾部材を構成する。また、肉盛り層33の厚みを7〜50μmの範囲に、金属被膜34を50〜1500Åの厚みに形成する。また、金属被膜34に透過性を有する場合は肉盛り層33に反射機能を持たせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指標やマーク、凹凸模様などの装飾部材、並びにその装飾部材を用いた時計用の表示板や各種計器類の表示板、各種の銘板類などに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯時計などは、古くから、時を表示する機能のみならず身飾品の一つとしての装飾機能を持ったものとして利用されてきている。そして、その携帯時計の構成部品の中にあっては、時の表示を行う表示板に特にその装飾性が強く求められてきて、色々な表示デザインが生まれてきている。これは、携帯時計に限らず各種の電子機器に用いられる銘板類や車載などの各種計器類の表示板においても同じ様な経過を辿ってきている。
【0003】
以下背景技術を説明するに当たり、携帯時計の表示板を例に取って背景技術を説明する。従来から、携帯時計の表示板に金属感と立体感を出現させることが高級感を生み出すと共に装飾的価値を非常に高めるものとして強く求められて来ていた。このため、表示板の表面に設ける時字などの指標やマークに金属感と立体感を持たせることが行われて来ている。そして、指標やマークに金属感と立体感を持たせる従来技術の一つとして、下記の特許文献1に開示された技術を挙げることができる。
【0004】
【特許文献1】特開平8−27597号公報
【0005】
上記特許文献1に開示されたところの指標及び表示板の概要を図10〜図15を用いて説明する。ここで、図10は上記特許文献1に示されたところの中間製品Aの要部平面図を示しており、図11は図10における導電性基材の要部断面図を示している。また、図12は図10に示された中間製品Aの形成方法を示した製造工程図で、図13は中間製品Aを用いて中間製品Bを形成する方法を示した製造工程図、図14は中間製品Bを用いて表示板との貼付方法を示した製造工程図である。そして、図15は図12〜図14に示す製造工程を経て得られた表示板の斜視図を示している。
【0006】
上記の特許文献1に示されたところの指標の製造方法は、最初に図10に示されたところの中間製品Aを製造する。図10より、中間製品Aは導電性基材1の表面に電着画像2と、この電着画像2を囲む線状電着3と、これらの周囲を囲撓してガイド孔4が設けられたガイド用電着5とが形成されたものからなる。ここでの電着画像2は3、6、9、12の数字から構成されており、携帯用時計の表示板に取付けられる時字を示す指標になっている。また、導電性基材1は、図11に示すように、ステンレス鋼などの金属板1aの表面に導電性皮膜1bを設けたものからなっている。ここでの導電性皮膜1bは導電性を有する可撓性のある薄膜で、電解メッキなどによって形成された導電性金属薄膜になっている。また、この中間製品Aは表示板複数個分のものが帯状に繋がって形成されているものである。
【0007】
この中間製品Aは図12に示される製造工程によって形成される。最初に、図12の(a)で、ステンレス鋼などの金属板1aの表面にNiメッキなどを施してNi金属などの導電性皮膜1bを設けた導電性基材1の表面に印刷方法などでフォトレジスト膜11を形成する。次に、図12の(b)で、フォトレジスト膜11上にフォトマスクフィルム6を乗せ、露光機を用いて紫外線照射を行い露光する。次に、図12の(c)で、露光されなかった部分のフォトレジスト膜11を溶解液で除去する。これによって、フォトレジスト膜11を除去した部分11bが形成される。次に、図12の(d)で、フォトレジスト膜11を除去した部分11bに離型処理を施し、電鋳メッキ方法で電着画像2、線状電着3を形成する。尚、図12の(d)には示していないが、この時にガイド用電着5も同時に形成する。次に、図12の(e)で、エッチング液を用いて残っているフォトレジスト膜11を除去する。これによって、導電性基材1の表面に電着画像2と線状電着3とガイド用電着5とが形成された中間製品Aが形成される。
【0008】
次に、中間製品Aを用いて図13に示される製造工程によって中間製品Bを形成する。図13より、図13の(f)で、感圧接着剤14を設けた支持基材13を電着画像2、線状電着3、ガイド用電着5の上面に貼付けて、導電性基材1の金属板1aと導電性皮膜1bとを剥離する。次に、図13の(g)で、導電性皮膜1bを電着画像2、線状電着3、ガイド用電着5とから剥離する。次に、図13の(h)で、電着画像2、線状電着3の裏面側全面に固着用接着剤15を印刷などの方法で形成する。次に、図13の(i)で、固着用接着剤15上に離型紙16を貼付け、その後、図13の(j)で、支持基材13側から紫外線を照射して感圧接着剤14の接着力を低下させる。この感圧接着剤14の接着力を低下させる目的は、後工程で行われる固着用接着剤15による電着画像2と表示基板17との接着力よりも弱めて、支持基材13を電着画像2から剥離し易いようにするためである。これによって、電着画像2、線状電着3、ガイド用電着5が支持基材13と離型紙16とで挟持された中間製品Bが得られる。
【0009】
次に、この様にして形成した電着画像と表示板との貼付け方法を図14を用いて説明する。図14の(k)で、離型紙16を剥がす。これによって、固着用接着剤15付の電着画像2、線状電着3とガイド用電着とが感圧接着剤14の付いた支持基材13側に残る。次に、図14の(l)で、線状電着3を剥離する。これによって、固着用接着剤15付の電着画像2とガイド用電着5とが感圧接着剤14の付いた支持基材13側に残る。次に、図示はしていないが、帯状に形成されたものを1個1個に切断する。次に、図14の(m)で、保持板18上に位置決め固定した表示基板17上に、支持基材13に感圧接着剤14を介して貼付いた固着用接着剤15付の電着画像2を載置し、電着画像2を指圧によって加圧し、固着用接着剤15を介して電着画像2を表示基板17に貼付ける。このとき、保持板18に設けてあるガイドピン19に支持基材13に貼付いているガイド用電着5のガイド孔4が係合して表示基板17と電着画像2との位置決めがなされる。次に、図14の(n)で、感圧接着剤14付の支持基材13を電着画像2から剥がし、表示基板17を保持板18から外す。これによって、表示基板17に固着用接着剤15を介して電着画像2が貼付いた表示板が得られる。この表示板は、図15に示すように、表示基板17に電着画像2が貼付いた表示板となる。図15に示す表示板は時計用表示板を示していて、表示基板17に電着画像2でもって表される3、6、9、12の数字の指標を設けた表示板となっている。
【0010】
ここで、上記の製造方法を取った3、6、9、12の時字を示す指標は、電鋳メッキ方法で形成することから、厚みは最大100μm位まで形成することができるが、厚くなるほど形状が崩れてくるので50μm位するのが実用的である。また、表面が甲丸状になることから丸味があって立体感のある指標が得られる。メッキ金属はNi、Cu、Cr、Ag、Au、Pt、Pdなどの各種の金属を選択できることから色々な金属色を持った金属感を得ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の製造方法で形成した指標は製造工程数が多いために製造コストは非常に高くなってしまう。また、大きさにも制限があり、非常に小さい指標などは表示基板への固着接着能力と貼付け面積に制限があり製作することができない。
【0012】
図16は、携帯時計の他のモデルの表示板の平面図を示したものである。図16より、ここでの表示版20に設けられた指標は、表示基板27上に設けられ時間の目盛を示す時字22と外周部一周に渡って設けられた分の目盛を示す切分目盛23とからなっている。時字22は幅や長さが大きいことから上述した電鋳画像の形成方法でもって形成して貼付けることができる。しかしながら、切分目盛23は幅や長さが小さいことから上記した電鋳画像の形成方法でもって形成することができない。このため、切分目盛23は印刷などの手法を用いて形成する方法を取っている。
【0013】
印刷方法で形成した切分目盛は安い製造コストで製作することができるが、反面、平面的であって立体感が現れず、また、金属感も出ない。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、小さい指標などの装飾部材であっても金属感と立体感を持った装飾部材を安いコストで製作することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の装飾部材の特徴は、非金属からなって厚く肉を盛り上げたごとくに形成した光沢面を有する肉盛り層と、該肉盛り層の表面に設けた金属被膜と、該金属被膜上に設けた光沢面を有する透過性樹脂膜とから構成されることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の装飾部材の特徴は、非金属からなって厚く肉を盛り上げたごとくに形成した光沢面を有する肉盛り層と、該肉盛り層の表面に設けた金属被膜とから構成されることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の装飾部材の特徴は、前記金属被膜の厚みは50〜1500Åであることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の装飾部材の特徴は、前記金属被膜が透過性金属薄膜であることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の装飾部材の特徴は、前記金属被膜は少なくとも1種の金属でもって少なくとも1層の被膜からなることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の装飾部材の特徴は、前記肉盛り層は7〜50μmの厚みであることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の装飾部材の特徴は、前記肉盛り層に反射機能を有することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の装飾部材の特徴は、前記透過性樹脂膜に艶消し剤が分散していることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の表示板の特徴は、装飾部材が指標、マーク、凹凸模様などからなり、該指標、マーク、凹凸模様などからなる装飾部材を表示基板上に設けたことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の表示板の特徴は、前記表示基板は非金属からなることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明の表示板の特徴は、前記表示基板は表面に第2の透過性樹脂膜が設けられた金属からなることを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明の表示板の特徴は、前記表示基板には微小な凹凸模様が設けられていることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明の表示板の製造方法の特徴は、表示基板上の一部分に樹脂のインクを用いて印刷方法で肉を盛り上げたごとく厚みのある肉盛り層を形成する工程と、該肉盛り層を含む表示基板上に乾式メッキ方法で金属被膜を形成する工程と、前記肉盛り層の上に形成された前記金属被膜上に透過性樹脂のインクを用いて印刷方法で透過性樹脂膜を形成する工程と、該透過性樹脂膜が形成されていない部分の前記金属被膜をエッチング方法で剥離する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0028】
また、本発明の表示板の製造方法の特徴は、表示基板上の一部分に樹脂のインクを用いて印刷方法で肉を盛り上げたごとく厚みのある肉盛り層を形成する工程と、該肉盛り層を含む表示基板上に乾式メッキ方法で金属被膜を形成する工程と、前記肉盛り層の上に形成された前記金属被膜上にレジストインクを用いて印刷方法でレジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜が形成されていない部分の前記金属被膜をエッチング方法で剥離する工程と、前記レジスト膜を溶解液で剥離する工程と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0029】
発明の効果として、本発明の装飾部材を光沢面を有する肉盛り層と、肉盛り層の表面に設けた金属被膜と、該金属皮膜上に設けた光沢面を有する透過性樹脂膜とから構成する。あるいはまた、装飾部材を光沢面を有する肉盛り層と、肉盛り層の表面に設けた金属被膜とから構成する。光沢のある肉盛り層によって金属被膜に光沢が現れて立体感が出現し、金属被膜の金属色による金属感と立体感が得られる。また、光沢のある透過性樹脂膜によってその光沢のある金属色が失われずに視認される。また、透過性樹脂膜により金属被膜の保護をなして耐蝕性の向上の効果を生む。また、透過性被膜によって装飾部材の厚みもその分増えて立体感を増大させる効果も生む。また、本発明の肉盛り層は印刷などの方法で形成する。印刷方法を用いると100〜150μm近くの小さい装飾部材であっても立体感を持たせて形成することができ、また、その装飾部材の形状も自由に選択することができる。また、装飾部材の構成や形成方法が簡単であることから安い製造コストで形成することができる。
【0030】
また、本発明では肉盛り層の厚みを7〜50μmの厚みに制限する。肉盛り層が薄くとも7μmの厚みを持って光沢面を有していると金属被膜も光沢が現れて目に立体感が視認されてくる。厚みが7μmより薄くなってくると平面的なものとなって立体感が現れてこなくなる。また、肉盛り層の厚みが50μmより厚くなってくると、細かい小さい所の形状がくずれてきたり、書体などのシャープさが損なわれてくる。
【0031】
また、本発明では金属被膜の厚みを50〜1500Åの厚みに制限する。50Åの厚みは透過性を持つが金属色の色付きが現れる厚みで、これよりも薄くなると金属被膜の色付きが現れない。一方、1500Åの厚みは殆ど透過性がなくなって金属色の色付きが十分に現れる厚みで、これ以上厚くしても効果は良く成らず、材料費や作業コストの増大をきたす。また、金属被膜を透過性金属薄膜で構成すると、肉盛り層に反射機能を持たせることにより、肉盛り層の反射色と金属被膜の反射色との混色で金属色を変えることが可能となり、色調のバリエーションを増すことができる。
【0032】
また、本発明では、金属被膜は少なくとも1種の金属でもって少なくとも1層の被膜を形成する。1種類の金属を用いて1層の被膜を形成した場合は、用いた金属の色調が現れる。また、色調の異なる金属を2種類あるいは3種類と用いて、薄い厚みでもって2層、3層と積層した場合は混色した金属色が出現する。これによって、金属色調のバリエーションを増やすことができる。
【0033】
また、本発明では透過性樹脂膜に艶消し剤を分散させることもできる。艶消し剤を透過性樹脂膜に分散させると金属被膜の光沢性が消え、光沢のない落ち着きのある金属色が得られる。
【0034】
また、指標やマーク、凹凸模様などを上述した装飾部材で構成して、その指標やマーク、凹凸模様などの装飾部材を表示基板に設けて表示板を構成すると、表示板に金属感と立体感が現れて、装飾性に富んだ高級感のする表示板が得られる。
【0035】
また、表示板を構成する表示基板をプラスチックやセラミックなどの非金属でもって形成すると、その表面に直接装飾部材を設けることができる。製作工程数が少なくなって製造コストが安くできる。また、非金属に透過性を持たせるとソーラーセルの付いた携帯時計にも利用することができる。
【0036】
また、表示基板を第2の透過性樹脂膜を設けた金属板で構成すると、表示板全体に金属感を出すことができる。また、表示基板に微小な凹凸模様を設けると、表示板の装飾性を高めることができる。
【0037】
また、本発明の製造方法の下では、作業工程数も少なく、何れも簡単な作業工程であるので安いコストで金属感と立体感を持った表示板を製作することができる。また、小さい指標なども容易に設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1、図2、図3を用いて説明する。ここで、図1は本発明の実施形態に係る携帯時計用の表示板の平面図と断面図を示しており、図1の(a)は平面図、図1の(b)は図1の(a)のD−D断面図である。また、図2は図1における時字なる指標の要部拡大断面図を示している。また、図3は図1における時字なる指標及び切分目盛なる指標の製造方法を説明する工程図を示している。
【0039】
図1において、この携帯時計用の表示板30はプラスチックから形成された表示基板31の上面の1時、2時、・・・、12時を示す位置に時字なる指標32と外周一周に渡って分を示す切分目盛なる指標36とが設けられたものから構成されている。時字なる指標32は幅が0.4〜0.5mm、長さが3.5〜4.0mmの棒状の形状をなしており、また、切分目盛なる指標36は非常に小さい指標で、幅が0.1〜0.15mm、長さが0.4〜0.5mmの棒状の形状をなしている。また、この表示板30はその中心部に指針取付け用の小孔30bが設けられている。
【0040】
ここで、時字なる指標32と切分目盛なる指標36は、時刻を指示する機能を持つと共に時計の表示装飾を高めるための働きもなしており、装飾部材としての役割も果たしている。
【0041】
時字なる指標32は、図2に示すように、肉盛り層33と、肉盛り層33の表面に設けた金属被膜34と、この金属被膜34上に設けた透過性樹脂膜35とで構成している。肉盛り層33は、厚く肉を盛り上げたごとくに形成した層で、一定の厚みにして立体感を出現させるために設ける。本実施形態においては、透明な樹脂を用いて印刷方法で30〜40μmの厚みに形成したものである。また、この肉盛り層33の表面は光沢面をなしている。用いる樹脂としてはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を用いることができ、アセトンやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶かしてインク化し、スクリーン印刷などの印刷方法で形成する。スクリーン印刷では表面を光沢面に仕上げるために3〜4回の重ね印刷を行って30〜40μmの厚みを得る。この肉盛り層33の厚みは、本実施形態においては30〜40μmの厚みに形成したが、本発明においては7〜50μmの範囲が好適な範囲と設定する。表面を光沢面に仕上げると7μmの厚みで立体感が視認されてくる。7μmより薄いと平面的なものとなって立体感に乏しさが生じる。また、厚みは最大50μmあれば十分で、十分な立体感が得られる。50μmより厚くしても印刷回数が増えるばかりでコストアップ招く。
【0042】
金属被膜34は、金属色を出して金属感を出現するために設けるもので、本実施形態においては、真空蒸着法によってAu金属被膜を800〜1000Åの厚みで形成したものからなっている。金属被膜の形成方法は真空蒸着法に限らず、スパッタリング法やイオンプレーティング法などの乾式メッキ法があるので適宜に選択すると良い。また、金属被膜の種類としては金属色調仕様に応じて適宜に金属を選択すると良い。1種類の金属に限らず2種類以上の金属を用いても良く、また、2種類以上の合金金属を用いても構わない。この金属被膜34の厚みは、本実施形態においては800〜1000Åの厚みに形成したが、本発明においては50〜1500Åの範囲が好適な範囲と設定する。50Åの厚みは透過性を持つが金属色の色付きが現れる厚みで、これよりも薄くなると金属被膜の色付きが現れない。一方、1500Åの厚みは殆ど透過性がなくなって金属色の色付きが十分に現れる厚みで、これ以上厚くしても効果は良く成らず、材料費や作業コストの増大をきたす。
【0043】
透過性樹脂膜35は、レジスト目的と金属被膜34の保護目的などで設ける。本実施形態においては、透明な樹脂を用いてスクリーン印刷方法で5〜10μmの厚みに形成した膜で、その表面は光沢面をなしている。ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を用いてアセトンやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶かしてインク化し、スクリーン印刷などの印刷方法で形成する。この透過性樹脂膜35を設けることによって指標32の厚みはその分厚くなり、結果として立体感を増す効果も生む。
【0044】
切分目盛である指標36は、本実施形態においては、大きさは異なるが時字なる指標32と全く同じ構成を持って形成している。即ち、指標32の肉盛り層33と同一材料からなる肉盛り層と、金属被膜34と同一厚み、同一材料からなる金属被膜と、透過性樹脂膜35と同一厚み、同一材料からなる透過性樹脂膜とから構成している。そして、時字なる指標32と切分目盛なる指標36は同一工程の下で形成している。
【0045】
表示基板31は、本実施形態においては、透過性を有する白色のポリカーボネイト樹脂でもって形成している。本実施形態の表示板30はソーラーセルの上面側に配設して用いられる表示板で、ソーラーセル用の表示板になっている。従って、透過性を有する白色のポリカーボネイト樹脂でもって形成した表示基板31を介して光を採光している。
【0046】
以上の構成を取った時字なる指標32と切分目盛なる指標36は、光沢面を有する肉盛り層によってその上に形成した金属被膜34に金属光沢が現れと共に立体感が現れる。そして更に、金属被膜34の上に設けた光沢面を有する透明な透過性樹脂膜によって光沢のある金属色調を持って、更なる厚み増で立体感を増して視認されるようになる。特に、肉盛り層、透過性樹脂膜を印刷で形成することからその表面に滑らかな丸味が現れて比較的薄い厚みにも拘わらず光の反射作用によって立体感が現れてくるようになる。そして、白色色調を持った表示板30に貴金属感と立体感の現れた指標32、指標36が視認されて高級感が現れる。
【0047】
次に、上記の構成を取る表示板30の製造方法を図3を用いて説明する。図3は表示板30の製造工程図を示しており、時字なる指標32と切分目盛なる指標36は分かり易くするために拡大して描いてある。表示板30の製造方法は、最初に、図3の(a)において、白色のポリカーボネイト樹脂で形成した表示基板31の所定の位置にスクリーン印刷方法で時字なる指標32の肉盛り層33と切分目盛なる指標36の肉盛り層37を印刷する。用いるインクは透明なウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を用い、アセトンやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶かしてインク化したものを用いる。スクリーン印刷方法で3〜4回の重ね印刷を行って30〜40μmの厚みに形成する。尚、本実施形態の製造方法においては30〜40μmの厚みに形成したが、本発明の製造方法においては7〜50μmの範囲が好適な範囲と設定する。印刷後の表面は光沢面をなす。印刷方法はスクリーン印刷方法に限るものではなく、パッド印刷方法でも形成可能である。パッド印刷は1回の印刷厚みが薄いので重ね合わせの印刷回数を増す必要がある。
【0048】
次に、図3の(b)において、肉盛り層33、37を含む表示基板31の上面全面に真空蒸着法などの乾式メッキ方法で金属被膜34を形成する。本実施形態においてはAu金属被膜を800〜1000Åの厚みで形成している。この金属被膜34は仕様に応じて使用する金属を選択すれば良いもので、Al、Cu、Ni、Cr、Ag、Pd、Ptなどの他の金属を用いることができる。これら1種類の金属で構成しても良く、また、2種類以上の金属を用いて積層しても構わない。また、これらの金属の2元合金や3元合金などを用いても良い。また、仕様によっては酸化金属などを用いても構わない。例えば、Crの蒸着膜の上にCr2O3の蒸着膜を設けると青色なるカラー色が得られる。このように、酸化金属などを用いて要望する色調を出すことができる。尚、本実施形態においては、この金属被膜34を800〜1000Åの厚みに形成したが、本発明においては50〜1500Åの範囲が好適な範囲と設定する。真空蒸着法はチャンバー内の載品台上に表示基板31に設けた肉盛り層33、37を上面にして載せ、チャンバー内の蒸着時の圧力を1×10−6〜5×10−5torr(1.33×10−4〜6.65×10−3Pa)で行い、蒸着時間のコントロールによって厚みを設定する。蒸着膜厚は蒸着時間をコントロールすることによって自由に設定できる。金属被膜34は、本実施形態においては、真空蒸着法で形成したが、スパッタリング法やイオンプレーティング法などの乾式メッキ方法で形成することもできる。
【0049】
次に、図3の(c)において、時字なる指標32及び切分目盛なる指標36の位置に、即ち、肉盛り層33、37を設けた位置の金属被膜34上に、肉盛り層33、37と同一形状でもってスクリーン印刷方法でもって透過性樹脂膜35と39とを印刷形成する。本実施形態における透過性樹脂膜35、39は透明なウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂をアセトンやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶かしてインク化したものを用いてスクリーン印刷を行い、1回の印刷工程で同時に透過性樹脂膜35、39を10μm前後の厚みに形成している。透明で表面は光沢面をなしている。この透過性樹脂膜35は肉盛り層33と同一形状、同一大きさを取り、透過性樹脂膜39も肉盛り層37と同一形状、同一大きさを取っている。肉盛り層33、37を形成するときのスクリーン印刷版を用いて行うと同一形状、同一大きさのものが得られる。これによって、金属被膜34は透過性樹脂膜35、39とで被覆された部分と露出した部分とに分かれる。時字なる指標32と切分目盛なる指標36の部分は透過性樹脂膜35と39とで被覆され、それ以外の部分は金属被膜34が露出した状態になる。
【0050】
次に、図3の(d)において、露出している金属被膜34をエッチング液に浸漬して剥離除去する。透過性樹脂膜35と39で覆われている部分の金属被膜34は剥離されず、露出している部分の金属被膜34のみが剥離する。本実施形態においては、金属被膜34をAu金属で形成していることからエッチング液は王水を用いてエッチングする。エッチング液は金属被膜34の金属材料の種類に応じて異なるので、用いた金属に応じて適宜にエッチング液を選択すると良い。
【0051】
以上の製造方法を取ることにより、表示基板31上に肉盛り層33と金属被膜34と透過性樹脂膜35とで積層構成された指標32と、肉盛り層37と金属被膜34と透過性樹脂膜39とで積層構成された指標36とが設けられた表示板30が得られる。白色色調を持ったこの表示板30に貴金属感と立体感の現れた指標32、指標36が視認されて高級感が現れる。
【0052】
携帯時計用の表示板において指標32、36は装飾部材としての役割を持って形成されるが、本発明においては、表示板上への肉盛り層の印刷、金属被膜の形成、透過性樹脂膜の印刷、不要な部分の金属被膜の剥離、と云う比較的簡単な作業方法で短い工程数でもって金属感と立体感の現れた装飾部材が得られる。これによって、非常に安い製造コストで装飾部材を得ることができる。
【0053】
尚、本発明の実施形態においては、透過性樹脂膜35、39を透明な樹脂膜で形成したが着色を施した半透過性樹脂膜を用いることも可能である。着色を施した半透過性樹脂膜を用いることにより金属被膜の色調を変えることができ、色調のバリエーションを増やすことができる。また、透過性樹脂膜35、39に艶消し剤を混ぜ合わせて金属の光沢性を調整することも可能である。
【0054】
また、本発明の実施形態においては、時字なる指標32と切分目盛なる指標36とは同一厚みで、同一金属被膜でもって形成したが、双方の厚みをそれぞれ変えることも可能であり、また、金属被膜の種類を変えて異なる金属色を出すことも可能である。例えば、小さい方の指標を先に形成し、次に大きい方の指標を形成する方法を取れば、大きい方の指標の肉盛り層や透過性樹脂膜の印刷作業がし易くなり、厚みの異なる指標や金属色の異なる指標を表示板上に容易に設けることができる。このようにすると、大きい方の指標と小さい方の指標の厚みが変わり、凹凸差を持った立体感が現れる。また、金属被膜の種類を変えて金属色を変えることにより色の異なる金属色が得られるので装飾バリエーションも増える効果を生む。
【0055】
以上、本発明の実施形態を携帯時計の表示板をとって説明したが、本発明の装飾部材及び表示板は携帯時計の表示板に限らず、他の表示板、例えば、各種の計器類の表示板や各種の銘板類の表示板に用いる装飾部材や表示板にも同様に適用できるものである。
【実施例1】
【0056】
以下、実施例を用いて本発明の更なる詳細を説明する。最初に、本発明の実施例1の装飾部材を図4を用いて説明する。図4は本発明の実施例1に係る表示板の要部断面図を示している。
【0057】
本発明の実施例1に係る表示板40は、図4に示すように、表示基板41の上面に装飾部材42を設けた構成を取る。実施例1の装飾部材42は文字などの指標からなっており、樹脂で形成した肉盛り層43と、この肉盛り層43の表面に設けた金属被膜44と、この金属被膜44の表面に設けた着色を施した透過性樹脂膜45とでもって構成されている。
【0058】
表示基板41は白色に着色したアクリル樹脂を用いて形成した光沢面の有するプラスチック板から出来ている。肉盛り層43は透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂から形成した樹脂インクを用いてスクリーン印刷方法で形成し、30〜40μmの厚みを持って表面を光沢面に仕上げている。
【0059】
スクリーン印刷で表面を光沢面に仕上げるために3〜4回の重ね印刷を行って30〜40μmの厚みにしている。印刷方法で肉盛り層43を光沢面を持たせて形成すると表面に滑らかな丸味が現れて光を反射する作用が現れる。このため、肉盛り層に立体感が視認されるようになる。この肉盛り層43は15〜50μmの厚み中で光沢面を持たせて設けるのが好ましい。表面を光沢面に仕上げると15μmの厚みで立体感が視認されてくる。15μmより薄いと平面的なものとなって立体感に乏しさが生じる。また、厚みは最大50μmあれば十分で、十分な立体感が得られる。50μmより厚くしても印刷回数が増えるばかりでコストアップ招く。また、場合によっては肉盛り層の表面にユズ肌のように凹凸が現れて滑らかで光沢のある綺麗な表面が得られない。
【0060】
金属被膜44はAu金属蒸着膜を800〜1000Åの厚みに形成したもので、金色(ゴールド色)の光沢ある色調をなしている。真空蒸着機を用い、チャンバー内の載品台上に表示基板41に設けた肉盛り層43を上面にして載せ、チャンバー内の蒸着時の圧力を1×10−6〜5×10−5torr(1.33×10−4〜6.65×10−3Pa)で行い、蒸着時間のコントロールによって厚みを設定する。蒸着膜厚は蒸着時間をコントロールすることによって自由に設定できる。金属被膜44は、実施例1では真空蒸着法で形成したが、スパッタリング法やイオンプレーティング法などの他の乾式メッキ方法で形成することもできる。
【0061】
透過性樹脂膜45は黄色に着色した樹脂膜で、黄色の顔料をウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂に1〜3重量%混ぜ合わせて生成したインクを用い、スクリーン印刷方法で7〜10μmの厚みに形成していて、少し黄色味を持って70〜80%の透過率を持っており、表面は光沢面に仕上げられている。この透過性樹脂膜45は肉盛り層43を設けた部分の金属被膜44上にのみ形成する。
【0062】
以上の構成を取った装飾部材42は、Auの金属被膜44からの金色(ゴールド色)色調と少し黄色味を持った透過性樹脂膜44との色調とが混ざり合って黄色味がかった金色色調が光沢性を持って現れる。いわゆる、ゴールド色が薄れて黄色味を帯びた金色が現れる。本実施例1においては、黄色の顔料を少な目の1〜3重量%の配合量を選択した。これは、金色(ゴールド色)の色合いを少し弱め(薄目)にする仕様要求から選択したもので、黄色の顔料を多くすると黄色の色合いが強く現れて金色の色合いが薄くなる。配合量の選択は仕様に応じて適宜に選択すると良い。また、金色には、一般に、赤味のある金色と青味のある金色の2種類があるが、透過性樹脂膜45に青色に着色した樹脂膜を用いることによって青味がかった金色を得ることができる。このように、透過性樹脂膜45を透過性を持った着色樹脂膜で構成することにより金属被膜44の金属色調を変えることができる。そして、色調のバリエーションを増やすことができる。
【0063】
また、以上の構成を取った装飾部材42は、光沢を持って黄色味を帯びた金色色調が現れると共に立体感が現れる。また、装飾部材42を設けた表示板40には光沢のある白色の地に立体感を伴って黄色味を帯びた光沢のある金色色調の装飾部材42が目立って視認される。そして、そこには貴金属感が視認されて高級感が現れてくる。
【0064】
ここで、肉盛り層43の表面に金属被膜44を設ける方法は前述の実施形態での製造方法と同じ製造方法で行う。即ち、必要な部位に肉盛り層43をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、その後に、金属被膜44を肉盛り層43を含めた表示基板41の上面全面に乾式メッキ方法で形成し、その後に、透過性樹脂膜45をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、最後に、エッチング液に浸漬して透過性樹脂膜45が設けられていない部分の金属被膜44が露出した部分を剥離する製造方法を取る。エッチング液は王水を用い、常温で30秒位の浸漬によってAuの金属被膜44は剥離される。
【0065】
以上の製造方法を取ることによって装飾部材42が形成できる。製造方法が比較的簡単な作業方法であり、しかも作業工程数が少ないことから安い製造コストで装飾部材42を形成することができる。
【0066】
尚、実施例1においては、金属被膜44はAu金属膜で形成したが、この金属被膜44は仕様に応じて使用する金属を選択すれば良いもので、Al、Cu、Ni、Cr、Ag、Pd、Ptなどの他の金属を用いることができる。これら1種類の金属で構成しても良く、また、2種類以上の金属を用いて積層しても構わない。また、これらの金属の2元合金や3元合金などを用いても良い。また、仕様によっては酸化金属などを用いても構わない。例えば、Crの蒸着膜の上にCr2O3の蒸着膜を設けると青色なるカラー色が得られる。用いる金属を変えることによって色々な金属色調を得ることができるので金属色調のバリエーションを増すことができる。
【0067】
また、実施例1においては、表示基板41は白色に着色したアクリル樹脂のプラスチック板を用いたが、特にアクリル樹脂板に限るものではなく、他の樹脂の板を用いても構わない。例えば、ポリカーボネイト樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂などの耐熱性、耐光性、耐湿性、耐衝撃性、耐薬品性に優れた樹脂の板などが好適に利用できる。また、プラスチック板に限らずセラミック材料やガラス、石類などの材料のものも利用できる。これらの材料は非金属からなり、エッチング液に侵されない。
【0068】
また、実施例1においては、表示板に設ける文字なる指標を装飾部材42として扱ったが、文字なる指標に限らずマークや模様などを装飾部材として用いても良く、マークや模様などの装飾部材でも同じ効果を奏する。
【実施例2】
【0069】
次に、本発明の実施例2の装飾部材を図5を用いて説明する。図5は本発明の実施例2に係る表示板の要部断面図を示している。
【0070】
本発明の実施例2に係る表示板50は、図5に示すように、表示基板51の上面に装飾部材52を設けた構成を取る。また、実施例2の装飾部材52は文字などの指標からなっており、白色着色の樹脂で形成した肉盛り層53と、この肉盛り層53の表面に設けた透過性を有する金属被膜54と、この金属被膜54の表面に設けた透明な透過性樹脂膜55とでもって構成されている。
【0071】
表示基板51は黒色に着色したアクリル樹脂を用いて形成した光沢面の有するプラスチック板から出来ている。
【0072】
装飾部材52を構成する肉盛り層53は、透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂に白色顔料を樹脂分に対して10〜15重量%配合して生成した樹脂インクを用いてスクリーン印刷方法で40〜50μmの厚みに印刷形成し、表面を光沢面に仕上げている。スクリーン印刷で表面を光沢面に仕上げるために4〜5回の重ね印刷を行って40〜50μmの厚みにしている。肉盛り層53の光透過率は殆ど0の状態で肉盛り層53からは白色色調が視認される。印刷方法で肉盛り層53を光沢面を持たせて40〜50μmの厚みに形成すると、表面に滑らかな丸味が現れて立体感が強く視認される。
【0073】
金属被膜54はAg金属蒸着膜を150〜200Åの厚みに形成したもので、35〜40%の透過率を持った半透過性の金属薄膜になっている。そして、金属被膜54のみを見た限りにおいては、銀金属色(シルバー色)は弱いものではあるがはっきりと視認できる状態にある。この金属薄膜54は真空蒸着方法などの乾式メッキ方法で形成する。
【0074】
透過性樹脂膜55は、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの透明な樹脂を用いてアセトンやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶かしてインク化し、スクリーン印刷方法で5〜10μmの厚みに形成した膜で、その表面は光沢面をなしている。
【0075】
上記の構成を取る装飾部材52は前述の実施形態で説明した製造方法と同じ製造方法を取って形成する。即ち、表示基板51の必要な部位に肉盛り層53をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、その後に、金属被膜54を肉盛り層53を含めた表示基板51の上面全面に乾式メッキ方法で形成し、その後に、透過性樹脂膜55をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、最後に、エッチング液に浸漬して透過性樹脂膜55が設けられていない部分の金属被膜54が露出した部分を剥離する製造方法を取る。エッチング液は純水100ml、硫酸100cc、酸化クロム2gの割合で混合した溶液を用い、常温で30秒位浸漬するとAgの金属被膜54は剥離される。
【0076】
以上の構成を取る文字などの指標からなる装飾部材52は半透過性のAg金属薄膜で形成した金属被膜54の下面に白色の肉盛り層53を設けていることから、金属被膜54からの弱い銀金属色(シルバー色)を呈する反射光と肉盛り層53からの白色を呈する反射光との混ざり合った反射光が得られ、白色味を強く持った光沢のあるシルバー金属色を呈する色調が得られる。そして、表示板50には黒色の表示基板51上に白色味を強く持った光沢のあるシルバー金属色を呈する装飾部材52が立体感を持って視認される。
【0077】
本実施例2においては、肉盛り層53を白色の樹脂インクを用いて形成したが、肉盛り層53の色調を変えることも可能で、例えば、肉盛り層53を青色で形成すると青色味を帯びた金属色が得られる。また、Agの金属被膜54を150〜200Åの厚みに形成して35〜40%の透過率を持った半透過性の金属薄膜で構成したが、金属被膜の厚みを変えて透過率を変えることによって金属色の度合いに強弱を付けることもできる。例えば、金属被膜を薄くして透過率を高めると金属色の色調が薄く金属感が弱くなり、肉盛り層の色調が強く現れてくるようになる。このように、金属被膜の厚みや肉盛り層の色調を変えることによって色々な色調を出現させることができる。そして、装飾のバリエーションを広げることができる。
【0078】
本実施例2においては、金属被膜53を150〜200Åの厚みに形成した。この金属被膜の厚みは、本発明においては、50〜1500Åの範囲が好適な範囲と設定する。50Åの厚みは透過性を持つが金属色の色付きが現れる厚みで、これよりも薄くなると金属被膜の色付きが現れない。一方、1500Åの厚みは殆ど透過性がなくなって金属色の色付きが十分に現れる厚みで、これ以上厚くしても色合いの効果は現れず、材料費や製造コストの増大をもたらす。
【0079】
また、金属被膜53に用いる金属は本実施例2においてはAg金属を用いたが、Ag金属に限らず他の金属を選択しても良い。これは求められる仕様に応じて適宜に選択するのが好ましい。
【実施例3】
【0080】
次に、本発明の実施例3の装飾部材を図6を用いて説明する。図6は本発明の実施例3に係る表示板の要部断面図を示している。
【0081】
本発明の実施例3に係る表示板60は、図6に示すように、微小な凹凸模様61aを設けた表示基板61の上面に装飾部材62を設けた構成を取る。また、実施例3の装飾部材62は文字などの指標からなっており、透明な樹脂で形成した肉盛り層63と、この肉盛り層63の表面に設けた金属被膜64と、この金属被膜64の表面に設けた艶消し剤65bを分散した透過性樹脂膜65とでもって構成されている。
【0082】
実施例3における表示基板61は上面に微小な凹凸模様61aを設けており、白色に着色したアクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂などの樹脂を用いて形成したプラスチック板からなっている。微小な凹凸模様61aは旭光模様を設けており、射出成形金型から射出成形時の転写によって形成している。微小な凹凸模様としては旭光模様の外に梨地模様などのものが選択できるが、模様の凹凸が5μm以下の粗さのものであれば他の模様のものであっても本発明の装飾部材には影響を及ぼさない。
【0083】
装飾部材62を構成する肉盛り層63は、透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂から形成した樹脂インクを用いてスクリーン印刷方法で3〜4回の重ね印刷を行って30〜40μmの厚に形成し、その表面を光沢面に仕上げている。
【0084】
金属被膜64はCr金属を400〜600Åの厚みで真空蒸着した蒸着被膜でもって形成している。従って、金属被膜64は黒色色調を呈している。透明で光沢のある肉盛り層63の表面に形成したCr金属の金属被膜64は光沢のある黒色の金属調色調が現れる。
【0085】
透過性樹脂膜65は透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂65aに艶消し剤65bなどを配合して生成したインクを用い、スクリーン印刷方法で10μm前後の厚みに形成したものからなる。この透過性樹脂膜65は肉盛り層63と同一形状、同一大きさで金属被膜64を被覆する状態で形成する。艶消し剤65bは粒径1.0〜5.0μm、平均粒径2.0μmのシリカ(SiO2)微粒子を用い、樹脂100重量部に対して10〜15重量%配合している。また、艶消し剤65bの均一な分散を助けるために分散剤を1〜5重量%(樹脂100重量部に対して)配合している。
【0086】
分散剤としては脂肪族多価カルボン酸、ポリエステルのアミン塩、ポリエーテル・エステル型アニオン系界面活性剤、ポリカルボン酸の長鎖アミン塩、ポリアミノアマイドと燐酸の塩などがあるのでこれらの中から選択して用いると艶消し剤の分散効果が良く現れる。
【0087】
以上の構成を取った装飾部材62には光沢が艶消しされて光沢の無い黒色の金属調色調が得られる。また、肉盛り層63を30〜40μmと厚く印刷で形成していること、透過性樹脂膜65も10μm前後の厚みで印刷で形成していることから装飾部材62が丸味を持っていて立体感が現れる。また、表示基板61の上面に旭光模様なる微小な凹凸模様61aがあるものの、凹凸の大きさが5μm以下であるならば30〜40μmの厚みに形成した肉盛り層63の表面はその凹凸の影響を殆ど受けずに滑らかな表面が得られる。
【0088】
そして、上記構成の装飾部材62を設けた表示板60には、旭光模様が設けられた白色の表示板上に艶消しされた黒色色調の装飾部材62が立体感をもって視認される。白と黒とのコントラストにより装飾部材62が鮮明に明るく視認されるようになる。また、表示板60自体に旭光模様なる凹凸模様61aが設けられていることにより表示板の装飾性も高められる。
【0089】
本実施例3においては、艶消し剤65bに透明なシリカ(SiO2)微粒子を用いたが、シリカ微粒子に限らず、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)などの微粒子も艶消し剤として用いることができる。尚、このものは僅かに白色色調を帯びているので配合量は少な目にして用いると白色色調は殆ど目立たなくなる。艶消し剤の配合量は10〜30重量%の範囲が好ましく、これより少ないと艶消し効果が余り得られない。また、これより多くしても艶消し効果は余り変わらなく、逆に塗料の粘度が高くなって印刷品質に影響を及ぼす。また、艶消し剤65bの配合量を変えることによって艶消し度合いを調整することができる。仕様などに応じて10〜30重量%の範囲の中で適宜に設定すると良い。
【0090】
また、本実施例3においては、金属被膜64はCr金属の蒸着膜で構成しているが、これは要求仕様に基づいて選択している。金属被膜は表示基板との係わり合いの中で要求仕様に基づいて適宜に選択すると良い。尚、Cr金属の蒸着膜は厚みを600Åより厚くするとひび割れが発生するので600Å以下で管理する必要がある
【0091】
上記の構成を取る表示板60、並びに装飾部材62の形成方法は前述の実施形態で説明した製造方法と同じ製造方法を取る。即ち、表示基板61の微小な凹凸模様61a上の所要の部位に肉盛り層63をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、その後に、肉盛り層63を含めた表示基板61の上面全面に真空蒸着法などの乾式メッキ方法でCr金属の金属被膜64を形成し、その後に、透過性樹脂膜65をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、最後に、エッチング液に浸漬して透過性樹脂膜65が設けられていない部分の金属被膜64が露出した部分を剥離する製造方法を取る。エッチング液は硝酸20ml、塩酸60mlの割合で混合した溶液を用い、常温で30秒位浸漬するとCrの金属被膜64は剥離される。
【0092】
表示板60の製造方法は上記に述べた如くの比較的簡単な製造方法であり、また、製造工程数も少ないことから安いコストで表示板60が形成できる効果を得る。
【実施例4】
【0093】
次に、本発明の実施例4の装飾部材及び表示板を図7を用いて説明する。図7は本発明の実施例4に係る表示板の要部断面図を示している。
【0094】
本発明の実施例4に係る表示板70は、図7に示すように、金属板71aの表面に第2の透過性樹脂膜71bが被覆した表示基板71の上面に装飾部材72を設けた構成を取る。また、実施例4の装飾部材72は文字などの指標からなっており、透明な樹脂で形成した肉盛り層73と、この肉盛り層73の表面に設けた金属被膜74と、この金属被膜74の表面に設けた透過性樹脂膜75とでもって構成されている。
【0095】
ここでの装飾部材72を構成する肉盛り層73は透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂から形成した樹脂インクを用いてスクリーン印刷方法で3〜4回の重ね印刷を行って30〜40μmの厚みに形成したもので、表面を光沢面に仕上げている。
【0096】
また、金属被膜74はAu金属蒸着膜を800〜1000Åの厚みに形成したもので、金色(ゴールド色)の光沢ある色調をなしている。
【0097】
また、透過性樹脂膜75は、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの透明な樹脂を用いてアセトンやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶かしてインク化し、スクリーン印刷方法で5〜10μmの厚みに形成した膜で、その表面は光沢面をなしている。
【0098】
表示基板71は、NiメッキやAgメッキなどの金属メッキを施し、また、必要に応じて凹凸模様などを施した真鍮板や洋白板などの金属板71aを用い、その金属板71aの表面に第2の透過性樹脂膜71bを設けたものからなる。
【0099】
この第2の透過性樹脂膜71bは透明または僅かに着色を施したウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を塗料化して塗装方法により20〜30μmの厚みに透過性を持たせて形成してあり、装飾部材72を設ける側の表面をラッピングにより光沢面に仕上げてある。従って、第2の透過性樹脂膜71bを介して金属板71aの金属色調や凹凸模様が良く視認できる。
【0100】
以上の構成を取った表示板70は、金属色を示す表示基板71の中に光沢のある金色の装飾部材72が立体感を持って視認される。表示板70全体が金属色で纏められて装飾性に富んだ表示板が得られる。表示基板71を第2の透過性樹脂膜71bを被覆した金属板71bで構成すると、表示板70全体に金属色調が得られて強い金属感が得られる。と同時に、金属板71aに各種の凹凸模様や各種の表面処理を施すことができるので装飾性を非常に高めることができる。また更には、第2の透過性樹脂膜71bに着色などの色調を付加することによって色調や模様などの装飾バリエーションを非常に増やすことができる。
【0101】
ここで、装飾部材72の製造方法は、前述の実施形態で説明した製造方法と同じ製造方法を取って形成する。即ち、表示基板71の第2の透過性樹脂膜71b上の所要の部位に肉盛り層73をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、その後に、肉盛り層73を含めた表示基板71の第2の透過性樹脂膜71bの上面全面に真空蒸着法での乾式メッキ方法でAu金属の金属被膜74を形成し、その後に、透過性樹脂膜75をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、最後に、エッチング液に浸漬して透過性樹脂膜75が設けられていない部分の金属被膜74が露出した部分を剥離する製造方法を取る。エッチング液は王水を用い、常温で30秒位浸漬すると露出した部分のAuの金属被膜74は剥離される。尚、表示基板71の金属板71aは第2の透過性樹脂膜71bが被覆して保護されているためにエッチング液からは何らの影響は受けない。
【0102】
本実施例4においては、金属被膜74はAu金属の蒸着膜で形成し、表示基板71に真鍮板や洋白板を用いたが、本発明においてはそれに限るものではなく、仕様に応じて適宜に材料を選択するのが好ましい。
【実施例5】
【0103】
次に、本発明の実施例5に係る装飾部材を図8、図9を用いて説明する。ここで、図8は本発明の実施例5に係る表示板の要部断面図を示している。また、図9は図8における表示板の製造方法を説明する工程図を示している。
【0104】
実施例5に係る表示板80は、図8に示すように、プラスチック板からなる表示基板81上に装飾部材82を設けた構成を取る。実施例5の装飾部材82は文字などの指標からなっており、透明な樹脂で形成した肉盛り層83と、この肉盛り層83の表面に設けたAu金属蒸着膜なる金属被膜84とでもって構成されている。
【0105】
ここで、表示基板81は白色に着色したアクリル樹脂を用いて形成したプラスチック板からなり、透過性は殆ど有しない。装飾部材82を構成する肉盛り層83は、透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂から形成した樹脂インクを用いてスクリーン印刷方法で3〜4回の重ね印刷を行って30〜40μmの厚みに形成したもので、表面は光沢面をなしている。また、装飾部材82を構成する金属被膜84は、Au金属の蒸着膜でもって形成しており、800〜1000Åの厚みをなしている。そして、光沢ある金金属色をなしている。
【0106】
以上の構成を取った装飾部材82は立体感と光沢のある金金属色の貴金属感が強く現れる。特に、Auの金属被膜84が光沢性を持って露出していることから直接目に視認されて貴金属感が強く現れる。そして、その装飾部材82を設けた表示板80は白地の中に立体感と光沢のある貴金属感が強く現れた装飾部材82が明るくはっきりと視認されて高級感が現れる。
【0107】
上記の構成を取る表示板80は図9に示す工程を経て製作される。最初に、図9の(a)において、表示基板81の上面所定の位置にスクリーン印刷方法で肉盛り層83を形成する。次に、図9の(b)において、肉盛り層83を含む表示基板81の上面全面に真空蒸着法でAuの金属被膜84を形成する。次に、図9の(c)において、肉盛り層83の部分の金属被膜84上に、肉盛り層83と同一形状、同一大きさでレジストインクを用いてスクリーン印刷方法でレジスト膜85を形成する。このレジストインクは金属のエッチング液にも影響を受けず、苛性ソーダの5%溶液に溶解するレジストインクで、このようなレジストインクとしては、例えば、帝国インキ製造株式会社製のPC744、PC911、PC922、PC966(商品名)などがある。次に、図9の(d)において、レジスト膜85が被覆されていない露出した部分の金属被膜84を王水なるエッチング液を用いて剥離する。これによって、金属被膜84は肉盛り層83の表面にのみ残る。次に、図9の(e)において、レジスト膜85を苛性ソーダ5%溶液でもって溶解して剥離する。これによって、表示基板81上に肉盛り層83と金属被膜84とで構成された装飾部材82が得られる。
【0108】
上記の製造方法は比較的簡単な作業方法であり、また、作業工程数も少ないことから安い製造コストで表示板を作ることができる。
【0109】
尚、本実施例5においては、金属被膜84はAuの金属蒸着膜でもって形成したが、この金属被膜84の金属材料は要求仕様に基づいて選択する。また、この金属被膜84は露出することから耐蝕性が求められる。従って、耐蝕性に弱い金属を用いた場合は、その上に同色系で耐蝕性の強い金属でもって2層の金属被膜を設けると耐蝕性は向上する。例えば、耐蝕性に弱いAgの金属蒸着膜を用いた場合は、Ag金属蒸着膜の上に同色系のPdの金属被膜を設けると耐蝕性は強くなる。このPdの金属被膜は無電解メッキ方法で形成することができるのでコスト的にも安く上げることができる。
【0110】
以上詳細に本発明の実施例を説明した。本発明の装飾部材は携帯時計の表示板や各種計器類の表示板、各種の電子表示機器の表示板、各種の銘板類などに適用して用いることができる。また、身飾品や置物などの装飾品にも利用できるものである。
【0111】
また、本発明の実施例においては、肉盛り層は何れも樹脂を用いて印刷方法で形成したものから成っているが、非金属である所の樹脂を用いると肉盛り層の形成が非常に簡単で、しかも、製造のイニシアルコストを安いコストで済ますことができる利点がある。しかしながら、本発明の肉盛り層は印刷で形成するものに限らず、予め表示基板の成形時に金型からの転写方法によって表示基板側に肉盛り層を設けた構成のものであっても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯時計用の表示板の平面図と断面図で、図1の(a)は平面図、図1の(b)は図1の(a)のD−D断面図である。
【図2】図1における時字なる指標の要部拡大断面図である。
【図3】図1における時字なる指標及び切分目盛なる指標の製造方法を説明する工程図である。
【図4】本発明の実施例1に係る表示板の要部断面図である。
【図5】本発明の実施例2に係る表示板の要部断面図である。
【図6】本発明の実施例3に係る表示板の要部断面図である。
【図7】本発明の実施例4に係る表示板の要部断面図である。
【図8】本発明の実施例5に係る表示板の要部断面図である。
【図9】図8における表示板の製造方法を説明する工程図である。
【図10】従来技術として、特許文献1に示されたところの中間製品Aの要部平面図である。
【図11】図10における導電性基材の要部断面図である。
【図12】図10に示された中間製品Aの形成方法を示した製造工程図である。
【図13】中間製品Aを用いて中間製品Bを形成する方法を示した製造工程図である。
【図14】中間製品Bを用いて表示板との貼付方法を示した製造工程図である。
【図15】図12〜図14に示す製造工程を経て得られた表示板の斜視図である。
【図16】携帯時計の他のモデルの表示板の平面図である。
【符号の説明】
【0113】
30、40、50、60、70、80 表示板
31、41、51、61、71、81 表示基板
32、36 指標
33、37、43、53、63、73、83 肉盛り層
34、44、54、64、74、84 金属被膜
35、39、45、55、65、75 透過性樹脂膜
42、52、62、72、82 装飾部材
61a 凹凸模様
65a 樹脂
65b 艶消し剤
71a 金属板
71b 第2の透過性樹脂膜
85 レジスト膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、指標やマーク、凹凸模様などの装飾部材、並びにその装飾部材を用いた時計用の表示板や各種計器類の表示板、各種の銘板類などに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯時計などは、古くから、時を表示する機能のみならず身飾品の一つとしての装飾機能を持ったものとして利用されてきている。そして、その携帯時計の構成部品の中にあっては、時の表示を行う表示板に特にその装飾性が強く求められてきて、色々な表示デザインが生まれてきている。これは、携帯時計に限らず各種の電子機器に用いられる銘板類や車載などの各種計器類の表示板においても同じ様な経過を辿ってきている。
【0003】
以下背景技術を説明するに当たり、携帯時計の表示板を例に取って背景技術を説明する。従来から、携帯時計の表示板に金属感と立体感を出現させることが高級感を生み出すと共に装飾的価値を非常に高めるものとして強く求められて来ていた。このため、表示板の表面に設ける時字などの指標やマークに金属感と立体感を持たせることが行われて来ている。そして、指標やマークに金属感と立体感を持たせる従来技術の一つとして、下記の特許文献1に開示された技術を挙げることができる。
【0004】
【特許文献1】特開平8−27597号公報
【0005】
上記特許文献1に開示されたところの指標及び表示板の概要を図10〜図15を用いて説明する。ここで、図10は上記特許文献1に示されたところの中間製品Aの要部平面図を示しており、図11は図10における導電性基材の要部断面図を示している。また、図12は図10に示された中間製品Aの形成方法を示した製造工程図で、図13は中間製品Aを用いて中間製品Bを形成する方法を示した製造工程図、図14は中間製品Bを用いて表示板との貼付方法を示した製造工程図である。そして、図15は図12〜図14に示す製造工程を経て得られた表示板の斜視図を示している。
【0006】
上記の特許文献1に示されたところの指標の製造方法は、最初に図10に示されたところの中間製品Aを製造する。図10より、中間製品Aは導電性基材1の表面に電着画像2と、この電着画像2を囲む線状電着3と、これらの周囲を囲撓してガイド孔4が設けられたガイド用電着5とが形成されたものからなる。ここでの電着画像2は3、6、9、12の数字から構成されており、携帯用時計の表示板に取付けられる時字を示す指標になっている。また、導電性基材1は、図11に示すように、ステンレス鋼などの金属板1aの表面に導電性皮膜1bを設けたものからなっている。ここでの導電性皮膜1bは導電性を有する可撓性のある薄膜で、電解メッキなどによって形成された導電性金属薄膜になっている。また、この中間製品Aは表示板複数個分のものが帯状に繋がって形成されているものである。
【0007】
この中間製品Aは図12に示される製造工程によって形成される。最初に、図12の(a)で、ステンレス鋼などの金属板1aの表面にNiメッキなどを施してNi金属などの導電性皮膜1bを設けた導電性基材1の表面に印刷方法などでフォトレジスト膜11を形成する。次に、図12の(b)で、フォトレジスト膜11上にフォトマスクフィルム6を乗せ、露光機を用いて紫外線照射を行い露光する。次に、図12の(c)で、露光されなかった部分のフォトレジスト膜11を溶解液で除去する。これによって、フォトレジスト膜11を除去した部分11bが形成される。次に、図12の(d)で、フォトレジスト膜11を除去した部分11bに離型処理を施し、電鋳メッキ方法で電着画像2、線状電着3を形成する。尚、図12の(d)には示していないが、この時にガイド用電着5も同時に形成する。次に、図12の(e)で、エッチング液を用いて残っているフォトレジスト膜11を除去する。これによって、導電性基材1の表面に電着画像2と線状電着3とガイド用電着5とが形成された中間製品Aが形成される。
【0008】
次に、中間製品Aを用いて図13に示される製造工程によって中間製品Bを形成する。図13より、図13の(f)で、感圧接着剤14を設けた支持基材13を電着画像2、線状電着3、ガイド用電着5の上面に貼付けて、導電性基材1の金属板1aと導電性皮膜1bとを剥離する。次に、図13の(g)で、導電性皮膜1bを電着画像2、線状電着3、ガイド用電着5とから剥離する。次に、図13の(h)で、電着画像2、線状電着3の裏面側全面に固着用接着剤15を印刷などの方法で形成する。次に、図13の(i)で、固着用接着剤15上に離型紙16を貼付け、その後、図13の(j)で、支持基材13側から紫外線を照射して感圧接着剤14の接着力を低下させる。この感圧接着剤14の接着力を低下させる目的は、後工程で行われる固着用接着剤15による電着画像2と表示基板17との接着力よりも弱めて、支持基材13を電着画像2から剥離し易いようにするためである。これによって、電着画像2、線状電着3、ガイド用電着5が支持基材13と離型紙16とで挟持された中間製品Bが得られる。
【0009】
次に、この様にして形成した電着画像と表示板との貼付け方法を図14を用いて説明する。図14の(k)で、離型紙16を剥がす。これによって、固着用接着剤15付の電着画像2、線状電着3とガイド用電着とが感圧接着剤14の付いた支持基材13側に残る。次に、図14の(l)で、線状電着3を剥離する。これによって、固着用接着剤15付の電着画像2とガイド用電着5とが感圧接着剤14の付いた支持基材13側に残る。次に、図示はしていないが、帯状に形成されたものを1個1個に切断する。次に、図14の(m)で、保持板18上に位置決め固定した表示基板17上に、支持基材13に感圧接着剤14を介して貼付いた固着用接着剤15付の電着画像2を載置し、電着画像2を指圧によって加圧し、固着用接着剤15を介して電着画像2を表示基板17に貼付ける。このとき、保持板18に設けてあるガイドピン19に支持基材13に貼付いているガイド用電着5のガイド孔4が係合して表示基板17と電着画像2との位置決めがなされる。次に、図14の(n)で、感圧接着剤14付の支持基材13を電着画像2から剥がし、表示基板17を保持板18から外す。これによって、表示基板17に固着用接着剤15を介して電着画像2が貼付いた表示板が得られる。この表示板は、図15に示すように、表示基板17に電着画像2が貼付いた表示板となる。図15に示す表示板は時計用表示板を示していて、表示基板17に電着画像2でもって表される3、6、9、12の数字の指標を設けた表示板となっている。
【0010】
ここで、上記の製造方法を取った3、6、9、12の時字を示す指標は、電鋳メッキ方法で形成することから、厚みは最大100μm位まで形成することができるが、厚くなるほど形状が崩れてくるので50μm位するのが実用的である。また、表面が甲丸状になることから丸味があって立体感のある指標が得られる。メッキ金属はNi、Cu、Cr、Ag、Au、Pt、Pdなどの各種の金属を選択できることから色々な金属色を持った金属感を得ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の製造方法で形成した指標は製造工程数が多いために製造コストは非常に高くなってしまう。また、大きさにも制限があり、非常に小さい指標などは表示基板への固着接着能力と貼付け面積に制限があり製作することができない。
【0012】
図16は、携帯時計の他のモデルの表示板の平面図を示したものである。図16より、ここでの表示版20に設けられた指標は、表示基板27上に設けられ時間の目盛を示す時字22と外周部一周に渡って設けられた分の目盛を示す切分目盛23とからなっている。時字22は幅や長さが大きいことから上述した電鋳画像の形成方法でもって形成して貼付けることができる。しかしながら、切分目盛23は幅や長さが小さいことから上記した電鋳画像の形成方法でもって形成することができない。このため、切分目盛23は印刷などの手法を用いて形成する方法を取っている。
【0013】
印刷方法で形成した切分目盛は安い製造コストで製作することができるが、反面、平面的であって立体感が現れず、また、金属感も出ない。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、小さい指標などの装飾部材であっても金属感と立体感を持った装飾部材を安いコストで製作することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の装飾部材の特徴は、非金属からなって厚く肉を盛り上げたごとくに形成した光沢面を有する肉盛り層と、該肉盛り層の表面に設けた金属被膜と、該金属被膜上に設けた光沢面を有する透過性樹脂膜とから構成されることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の装飾部材の特徴は、非金属からなって厚く肉を盛り上げたごとくに形成した光沢面を有する肉盛り層と、該肉盛り層の表面に設けた金属被膜とから構成されることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の装飾部材の特徴は、前記金属被膜の厚みは50〜1500Åであることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の装飾部材の特徴は、前記金属被膜が透過性金属薄膜であることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の装飾部材の特徴は、前記金属被膜は少なくとも1種の金属でもって少なくとも1層の被膜からなることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の装飾部材の特徴は、前記肉盛り層は7〜50μmの厚みであることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の装飾部材の特徴は、前記肉盛り層に反射機能を有することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の装飾部材の特徴は、前記透過性樹脂膜に艶消し剤が分散していることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の表示板の特徴は、装飾部材が指標、マーク、凹凸模様などからなり、該指標、マーク、凹凸模様などからなる装飾部材を表示基板上に設けたことを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明の表示板の特徴は、前記表示基板は非金属からなることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明の表示板の特徴は、前記表示基板は表面に第2の透過性樹脂膜が設けられた金属からなることを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明の表示板の特徴は、前記表示基板には微小な凹凸模様が設けられていることを特徴とするものである。
【0027】
また、本発明の表示板の製造方法の特徴は、表示基板上の一部分に樹脂のインクを用いて印刷方法で肉を盛り上げたごとく厚みのある肉盛り層を形成する工程と、該肉盛り層を含む表示基板上に乾式メッキ方法で金属被膜を形成する工程と、前記肉盛り層の上に形成された前記金属被膜上に透過性樹脂のインクを用いて印刷方法で透過性樹脂膜を形成する工程と、該透過性樹脂膜が形成されていない部分の前記金属被膜をエッチング方法で剥離する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0028】
また、本発明の表示板の製造方法の特徴は、表示基板上の一部分に樹脂のインクを用いて印刷方法で肉を盛り上げたごとく厚みのある肉盛り層を形成する工程と、該肉盛り層を含む表示基板上に乾式メッキ方法で金属被膜を形成する工程と、前記肉盛り層の上に形成された前記金属被膜上にレジストインクを用いて印刷方法でレジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜が形成されていない部分の前記金属被膜をエッチング方法で剥離する工程と、前記レジスト膜を溶解液で剥離する工程と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0029】
発明の効果として、本発明の装飾部材を光沢面を有する肉盛り層と、肉盛り層の表面に設けた金属被膜と、該金属皮膜上に設けた光沢面を有する透過性樹脂膜とから構成する。あるいはまた、装飾部材を光沢面を有する肉盛り層と、肉盛り層の表面に設けた金属被膜とから構成する。光沢のある肉盛り層によって金属被膜に光沢が現れて立体感が出現し、金属被膜の金属色による金属感と立体感が得られる。また、光沢のある透過性樹脂膜によってその光沢のある金属色が失われずに視認される。また、透過性樹脂膜により金属被膜の保護をなして耐蝕性の向上の効果を生む。また、透過性被膜によって装飾部材の厚みもその分増えて立体感を増大させる効果も生む。また、本発明の肉盛り層は印刷などの方法で形成する。印刷方法を用いると100〜150μm近くの小さい装飾部材であっても立体感を持たせて形成することができ、また、その装飾部材の形状も自由に選択することができる。また、装飾部材の構成や形成方法が簡単であることから安い製造コストで形成することができる。
【0030】
また、本発明では肉盛り層の厚みを7〜50μmの厚みに制限する。肉盛り層が薄くとも7μmの厚みを持って光沢面を有していると金属被膜も光沢が現れて目に立体感が視認されてくる。厚みが7μmより薄くなってくると平面的なものとなって立体感が現れてこなくなる。また、肉盛り層の厚みが50μmより厚くなってくると、細かい小さい所の形状がくずれてきたり、書体などのシャープさが損なわれてくる。
【0031】
また、本発明では金属被膜の厚みを50〜1500Åの厚みに制限する。50Åの厚みは透過性を持つが金属色の色付きが現れる厚みで、これよりも薄くなると金属被膜の色付きが現れない。一方、1500Åの厚みは殆ど透過性がなくなって金属色の色付きが十分に現れる厚みで、これ以上厚くしても効果は良く成らず、材料費や作業コストの増大をきたす。また、金属被膜を透過性金属薄膜で構成すると、肉盛り層に反射機能を持たせることにより、肉盛り層の反射色と金属被膜の反射色との混色で金属色を変えることが可能となり、色調のバリエーションを増すことができる。
【0032】
また、本発明では、金属被膜は少なくとも1種の金属でもって少なくとも1層の被膜を形成する。1種類の金属を用いて1層の被膜を形成した場合は、用いた金属の色調が現れる。また、色調の異なる金属を2種類あるいは3種類と用いて、薄い厚みでもって2層、3層と積層した場合は混色した金属色が出現する。これによって、金属色調のバリエーションを増やすことができる。
【0033】
また、本発明では透過性樹脂膜に艶消し剤を分散させることもできる。艶消し剤を透過性樹脂膜に分散させると金属被膜の光沢性が消え、光沢のない落ち着きのある金属色が得られる。
【0034】
また、指標やマーク、凹凸模様などを上述した装飾部材で構成して、その指標やマーク、凹凸模様などの装飾部材を表示基板に設けて表示板を構成すると、表示板に金属感と立体感が現れて、装飾性に富んだ高級感のする表示板が得られる。
【0035】
また、表示板を構成する表示基板をプラスチックやセラミックなどの非金属でもって形成すると、その表面に直接装飾部材を設けることができる。製作工程数が少なくなって製造コストが安くできる。また、非金属に透過性を持たせるとソーラーセルの付いた携帯時計にも利用することができる。
【0036】
また、表示基板を第2の透過性樹脂膜を設けた金属板で構成すると、表示板全体に金属感を出すことができる。また、表示基板に微小な凹凸模様を設けると、表示板の装飾性を高めることができる。
【0037】
また、本発明の製造方法の下では、作業工程数も少なく、何れも簡単な作業工程であるので安いコストで金属感と立体感を持った表示板を製作することができる。また、小さい指標なども容易に設けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1、図2、図3を用いて説明する。ここで、図1は本発明の実施形態に係る携帯時計用の表示板の平面図と断面図を示しており、図1の(a)は平面図、図1の(b)は図1の(a)のD−D断面図である。また、図2は図1における時字なる指標の要部拡大断面図を示している。また、図3は図1における時字なる指標及び切分目盛なる指標の製造方法を説明する工程図を示している。
【0039】
図1において、この携帯時計用の表示板30はプラスチックから形成された表示基板31の上面の1時、2時、・・・、12時を示す位置に時字なる指標32と外周一周に渡って分を示す切分目盛なる指標36とが設けられたものから構成されている。時字なる指標32は幅が0.4〜0.5mm、長さが3.5〜4.0mmの棒状の形状をなしており、また、切分目盛なる指標36は非常に小さい指標で、幅が0.1〜0.15mm、長さが0.4〜0.5mmの棒状の形状をなしている。また、この表示板30はその中心部に指針取付け用の小孔30bが設けられている。
【0040】
ここで、時字なる指標32と切分目盛なる指標36は、時刻を指示する機能を持つと共に時計の表示装飾を高めるための働きもなしており、装飾部材としての役割も果たしている。
【0041】
時字なる指標32は、図2に示すように、肉盛り層33と、肉盛り層33の表面に設けた金属被膜34と、この金属被膜34上に設けた透過性樹脂膜35とで構成している。肉盛り層33は、厚く肉を盛り上げたごとくに形成した層で、一定の厚みにして立体感を出現させるために設ける。本実施形態においては、透明な樹脂を用いて印刷方法で30〜40μmの厚みに形成したものである。また、この肉盛り層33の表面は光沢面をなしている。用いる樹脂としてはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を用いることができ、アセトンやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶かしてインク化し、スクリーン印刷などの印刷方法で形成する。スクリーン印刷では表面を光沢面に仕上げるために3〜4回の重ね印刷を行って30〜40μmの厚みを得る。この肉盛り層33の厚みは、本実施形態においては30〜40μmの厚みに形成したが、本発明においては7〜50μmの範囲が好適な範囲と設定する。表面を光沢面に仕上げると7μmの厚みで立体感が視認されてくる。7μmより薄いと平面的なものとなって立体感に乏しさが生じる。また、厚みは最大50μmあれば十分で、十分な立体感が得られる。50μmより厚くしても印刷回数が増えるばかりでコストアップ招く。
【0042】
金属被膜34は、金属色を出して金属感を出現するために設けるもので、本実施形態においては、真空蒸着法によってAu金属被膜を800〜1000Åの厚みで形成したものからなっている。金属被膜の形成方法は真空蒸着法に限らず、スパッタリング法やイオンプレーティング法などの乾式メッキ法があるので適宜に選択すると良い。また、金属被膜の種類としては金属色調仕様に応じて適宜に金属を選択すると良い。1種類の金属に限らず2種類以上の金属を用いても良く、また、2種類以上の合金金属を用いても構わない。この金属被膜34の厚みは、本実施形態においては800〜1000Åの厚みに形成したが、本発明においては50〜1500Åの範囲が好適な範囲と設定する。50Åの厚みは透過性を持つが金属色の色付きが現れる厚みで、これよりも薄くなると金属被膜の色付きが現れない。一方、1500Åの厚みは殆ど透過性がなくなって金属色の色付きが十分に現れる厚みで、これ以上厚くしても効果は良く成らず、材料費や作業コストの増大をきたす。
【0043】
透過性樹脂膜35は、レジスト目的と金属被膜34の保護目的などで設ける。本実施形態においては、透明な樹脂を用いてスクリーン印刷方法で5〜10μmの厚みに形成した膜で、その表面は光沢面をなしている。ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を用いてアセトンやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶かしてインク化し、スクリーン印刷などの印刷方法で形成する。この透過性樹脂膜35を設けることによって指標32の厚みはその分厚くなり、結果として立体感を増す効果も生む。
【0044】
切分目盛である指標36は、本実施形態においては、大きさは異なるが時字なる指標32と全く同じ構成を持って形成している。即ち、指標32の肉盛り層33と同一材料からなる肉盛り層と、金属被膜34と同一厚み、同一材料からなる金属被膜と、透過性樹脂膜35と同一厚み、同一材料からなる透過性樹脂膜とから構成している。そして、時字なる指標32と切分目盛なる指標36は同一工程の下で形成している。
【0045】
表示基板31は、本実施形態においては、透過性を有する白色のポリカーボネイト樹脂でもって形成している。本実施形態の表示板30はソーラーセルの上面側に配設して用いられる表示板で、ソーラーセル用の表示板になっている。従って、透過性を有する白色のポリカーボネイト樹脂でもって形成した表示基板31を介して光を採光している。
【0046】
以上の構成を取った時字なる指標32と切分目盛なる指標36は、光沢面を有する肉盛り層によってその上に形成した金属被膜34に金属光沢が現れと共に立体感が現れる。そして更に、金属被膜34の上に設けた光沢面を有する透明な透過性樹脂膜によって光沢のある金属色調を持って、更なる厚み増で立体感を増して視認されるようになる。特に、肉盛り層、透過性樹脂膜を印刷で形成することからその表面に滑らかな丸味が現れて比較的薄い厚みにも拘わらず光の反射作用によって立体感が現れてくるようになる。そして、白色色調を持った表示板30に貴金属感と立体感の現れた指標32、指標36が視認されて高級感が現れる。
【0047】
次に、上記の構成を取る表示板30の製造方法を図3を用いて説明する。図3は表示板30の製造工程図を示しており、時字なる指標32と切分目盛なる指標36は分かり易くするために拡大して描いてある。表示板30の製造方法は、最初に、図3の(a)において、白色のポリカーボネイト樹脂で形成した表示基板31の所定の位置にスクリーン印刷方法で時字なる指標32の肉盛り層33と切分目盛なる指標36の肉盛り層37を印刷する。用いるインクは透明なウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を用い、アセトンやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶かしてインク化したものを用いる。スクリーン印刷方法で3〜4回の重ね印刷を行って30〜40μmの厚みに形成する。尚、本実施形態の製造方法においては30〜40μmの厚みに形成したが、本発明の製造方法においては7〜50μmの範囲が好適な範囲と設定する。印刷後の表面は光沢面をなす。印刷方法はスクリーン印刷方法に限るものではなく、パッド印刷方法でも形成可能である。パッド印刷は1回の印刷厚みが薄いので重ね合わせの印刷回数を増す必要がある。
【0048】
次に、図3の(b)において、肉盛り層33、37を含む表示基板31の上面全面に真空蒸着法などの乾式メッキ方法で金属被膜34を形成する。本実施形態においてはAu金属被膜を800〜1000Åの厚みで形成している。この金属被膜34は仕様に応じて使用する金属を選択すれば良いもので、Al、Cu、Ni、Cr、Ag、Pd、Ptなどの他の金属を用いることができる。これら1種類の金属で構成しても良く、また、2種類以上の金属を用いて積層しても構わない。また、これらの金属の2元合金や3元合金などを用いても良い。また、仕様によっては酸化金属などを用いても構わない。例えば、Crの蒸着膜の上にCr2O3の蒸着膜を設けると青色なるカラー色が得られる。このように、酸化金属などを用いて要望する色調を出すことができる。尚、本実施形態においては、この金属被膜34を800〜1000Åの厚みに形成したが、本発明においては50〜1500Åの範囲が好適な範囲と設定する。真空蒸着法はチャンバー内の載品台上に表示基板31に設けた肉盛り層33、37を上面にして載せ、チャンバー内の蒸着時の圧力を1×10−6〜5×10−5torr(1.33×10−4〜6.65×10−3Pa)で行い、蒸着時間のコントロールによって厚みを設定する。蒸着膜厚は蒸着時間をコントロールすることによって自由に設定できる。金属被膜34は、本実施形態においては、真空蒸着法で形成したが、スパッタリング法やイオンプレーティング法などの乾式メッキ方法で形成することもできる。
【0049】
次に、図3の(c)において、時字なる指標32及び切分目盛なる指標36の位置に、即ち、肉盛り層33、37を設けた位置の金属被膜34上に、肉盛り層33、37と同一形状でもってスクリーン印刷方法でもって透過性樹脂膜35と39とを印刷形成する。本実施形態における透過性樹脂膜35、39は透明なウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂をアセトンやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶かしてインク化したものを用いてスクリーン印刷を行い、1回の印刷工程で同時に透過性樹脂膜35、39を10μm前後の厚みに形成している。透明で表面は光沢面をなしている。この透過性樹脂膜35は肉盛り層33と同一形状、同一大きさを取り、透過性樹脂膜39も肉盛り層37と同一形状、同一大きさを取っている。肉盛り層33、37を形成するときのスクリーン印刷版を用いて行うと同一形状、同一大きさのものが得られる。これによって、金属被膜34は透過性樹脂膜35、39とで被覆された部分と露出した部分とに分かれる。時字なる指標32と切分目盛なる指標36の部分は透過性樹脂膜35と39とで被覆され、それ以外の部分は金属被膜34が露出した状態になる。
【0050】
次に、図3の(d)において、露出している金属被膜34をエッチング液に浸漬して剥離除去する。透過性樹脂膜35と39で覆われている部分の金属被膜34は剥離されず、露出している部分の金属被膜34のみが剥離する。本実施形態においては、金属被膜34をAu金属で形成していることからエッチング液は王水を用いてエッチングする。エッチング液は金属被膜34の金属材料の種類に応じて異なるので、用いた金属に応じて適宜にエッチング液を選択すると良い。
【0051】
以上の製造方法を取ることにより、表示基板31上に肉盛り層33と金属被膜34と透過性樹脂膜35とで積層構成された指標32と、肉盛り層37と金属被膜34と透過性樹脂膜39とで積層構成された指標36とが設けられた表示板30が得られる。白色色調を持ったこの表示板30に貴金属感と立体感の現れた指標32、指標36が視認されて高級感が現れる。
【0052】
携帯時計用の表示板において指標32、36は装飾部材としての役割を持って形成されるが、本発明においては、表示板上への肉盛り層の印刷、金属被膜の形成、透過性樹脂膜の印刷、不要な部分の金属被膜の剥離、と云う比較的簡単な作業方法で短い工程数でもって金属感と立体感の現れた装飾部材が得られる。これによって、非常に安い製造コストで装飾部材を得ることができる。
【0053】
尚、本発明の実施形態においては、透過性樹脂膜35、39を透明な樹脂膜で形成したが着色を施した半透過性樹脂膜を用いることも可能である。着色を施した半透過性樹脂膜を用いることにより金属被膜の色調を変えることができ、色調のバリエーションを増やすことができる。また、透過性樹脂膜35、39に艶消し剤を混ぜ合わせて金属の光沢性を調整することも可能である。
【0054】
また、本発明の実施形態においては、時字なる指標32と切分目盛なる指標36とは同一厚みで、同一金属被膜でもって形成したが、双方の厚みをそれぞれ変えることも可能であり、また、金属被膜の種類を変えて異なる金属色を出すことも可能である。例えば、小さい方の指標を先に形成し、次に大きい方の指標を形成する方法を取れば、大きい方の指標の肉盛り層や透過性樹脂膜の印刷作業がし易くなり、厚みの異なる指標や金属色の異なる指標を表示板上に容易に設けることができる。このようにすると、大きい方の指標と小さい方の指標の厚みが変わり、凹凸差を持った立体感が現れる。また、金属被膜の種類を変えて金属色を変えることにより色の異なる金属色が得られるので装飾バリエーションも増える効果を生む。
【0055】
以上、本発明の実施形態を携帯時計の表示板をとって説明したが、本発明の装飾部材及び表示板は携帯時計の表示板に限らず、他の表示板、例えば、各種の計器類の表示板や各種の銘板類の表示板に用いる装飾部材や表示板にも同様に適用できるものである。
【実施例1】
【0056】
以下、実施例を用いて本発明の更なる詳細を説明する。最初に、本発明の実施例1の装飾部材を図4を用いて説明する。図4は本発明の実施例1に係る表示板の要部断面図を示している。
【0057】
本発明の実施例1に係る表示板40は、図4に示すように、表示基板41の上面に装飾部材42を設けた構成を取る。実施例1の装飾部材42は文字などの指標からなっており、樹脂で形成した肉盛り層43と、この肉盛り層43の表面に設けた金属被膜44と、この金属被膜44の表面に設けた着色を施した透過性樹脂膜45とでもって構成されている。
【0058】
表示基板41は白色に着色したアクリル樹脂を用いて形成した光沢面の有するプラスチック板から出来ている。肉盛り層43は透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂から形成した樹脂インクを用いてスクリーン印刷方法で形成し、30〜40μmの厚みを持って表面を光沢面に仕上げている。
【0059】
スクリーン印刷で表面を光沢面に仕上げるために3〜4回の重ね印刷を行って30〜40μmの厚みにしている。印刷方法で肉盛り層43を光沢面を持たせて形成すると表面に滑らかな丸味が現れて光を反射する作用が現れる。このため、肉盛り層に立体感が視認されるようになる。この肉盛り層43は15〜50μmの厚み中で光沢面を持たせて設けるのが好ましい。表面を光沢面に仕上げると15μmの厚みで立体感が視認されてくる。15μmより薄いと平面的なものとなって立体感に乏しさが生じる。また、厚みは最大50μmあれば十分で、十分な立体感が得られる。50μmより厚くしても印刷回数が増えるばかりでコストアップ招く。また、場合によっては肉盛り層の表面にユズ肌のように凹凸が現れて滑らかで光沢のある綺麗な表面が得られない。
【0060】
金属被膜44はAu金属蒸着膜を800〜1000Åの厚みに形成したもので、金色(ゴールド色)の光沢ある色調をなしている。真空蒸着機を用い、チャンバー内の載品台上に表示基板41に設けた肉盛り層43を上面にして載せ、チャンバー内の蒸着時の圧力を1×10−6〜5×10−5torr(1.33×10−4〜6.65×10−3Pa)で行い、蒸着時間のコントロールによって厚みを設定する。蒸着膜厚は蒸着時間をコントロールすることによって自由に設定できる。金属被膜44は、実施例1では真空蒸着法で形成したが、スパッタリング法やイオンプレーティング法などの他の乾式メッキ方法で形成することもできる。
【0061】
透過性樹脂膜45は黄色に着色した樹脂膜で、黄色の顔料をウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂に1〜3重量%混ぜ合わせて生成したインクを用い、スクリーン印刷方法で7〜10μmの厚みに形成していて、少し黄色味を持って70〜80%の透過率を持っており、表面は光沢面に仕上げられている。この透過性樹脂膜45は肉盛り層43を設けた部分の金属被膜44上にのみ形成する。
【0062】
以上の構成を取った装飾部材42は、Auの金属被膜44からの金色(ゴールド色)色調と少し黄色味を持った透過性樹脂膜44との色調とが混ざり合って黄色味がかった金色色調が光沢性を持って現れる。いわゆる、ゴールド色が薄れて黄色味を帯びた金色が現れる。本実施例1においては、黄色の顔料を少な目の1〜3重量%の配合量を選択した。これは、金色(ゴールド色)の色合いを少し弱め(薄目)にする仕様要求から選択したもので、黄色の顔料を多くすると黄色の色合いが強く現れて金色の色合いが薄くなる。配合量の選択は仕様に応じて適宜に選択すると良い。また、金色には、一般に、赤味のある金色と青味のある金色の2種類があるが、透過性樹脂膜45に青色に着色した樹脂膜を用いることによって青味がかった金色を得ることができる。このように、透過性樹脂膜45を透過性を持った着色樹脂膜で構成することにより金属被膜44の金属色調を変えることができる。そして、色調のバリエーションを増やすことができる。
【0063】
また、以上の構成を取った装飾部材42は、光沢を持って黄色味を帯びた金色色調が現れると共に立体感が現れる。また、装飾部材42を設けた表示板40には光沢のある白色の地に立体感を伴って黄色味を帯びた光沢のある金色色調の装飾部材42が目立って視認される。そして、そこには貴金属感が視認されて高級感が現れてくる。
【0064】
ここで、肉盛り層43の表面に金属被膜44を設ける方法は前述の実施形態での製造方法と同じ製造方法で行う。即ち、必要な部位に肉盛り層43をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、その後に、金属被膜44を肉盛り層43を含めた表示基板41の上面全面に乾式メッキ方法で形成し、その後に、透過性樹脂膜45をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、最後に、エッチング液に浸漬して透過性樹脂膜45が設けられていない部分の金属被膜44が露出した部分を剥離する製造方法を取る。エッチング液は王水を用い、常温で30秒位の浸漬によってAuの金属被膜44は剥離される。
【0065】
以上の製造方法を取ることによって装飾部材42が形成できる。製造方法が比較的簡単な作業方法であり、しかも作業工程数が少ないことから安い製造コストで装飾部材42を形成することができる。
【0066】
尚、実施例1においては、金属被膜44はAu金属膜で形成したが、この金属被膜44は仕様に応じて使用する金属を選択すれば良いもので、Al、Cu、Ni、Cr、Ag、Pd、Ptなどの他の金属を用いることができる。これら1種類の金属で構成しても良く、また、2種類以上の金属を用いて積層しても構わない。また、これらの金属の2元合金や3元合金などを用いても良い。また、仕様によっては酸化金属などを用いても構わない。例えば、Crの蒸着膜の上にCr2O3の蒸着膜を設けると青色なるカラー色が得られる。用いる金属を変えることによって色々な金属色調を得ることができるので金属色調のバリエーションを増すことができる。
【0067】
また、実施例1においては、表示基板41は白色に着色したアクリル樹脂のプラスチック板を用いたが、特にアクリル樹脂板に限るものではなく、他の樹脂の板を用いても構わない。例えば、ポリカーボネイト樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂などの耐熱性、耐光性、耐湿性、耐衝撃性、耐薬品性に優れた樹脂の板などが好適に利用できる。また、プラスチック板に限らずセラミック材料やガラス、石類などの材料のものも利用できる。これらの材料は非金属からなり、エッチング液に侵されない。
【0068】
また、実施例1においては、表示板に設ける文字なる指標を装飾部材42として扱ったが、文字なる指標に限らずマークや模様などを装飾部材として用いても良く、マークや模様などの装飾部材でも同じ効果を奏する。
【実施例2】
【0069】
次に、本発明の実施例2の装飾部材を図5を用いて説明する。図5は本発明の実施例2に係る表示板の要部断面図を示している。
【0070】
本発明の実施例2に係る表示板50は、図5に示すように、表示基板51の上面に装飾部材52を設けた構成を取る。また、実施例2の装飾部材52は文字などの指標からなっており、白色着色の樹脂で形成した肉盛り層53と、この肉盛り層53の表面に設けた透過性を有する金属被膜54と、この金属被膜54の表面に設けた透明な透過性樹脂膜55とでもって構成されている。
【0071】
表示基板51は黒色に着色したアクリル樹脂を用いて形成した光沢面の有するプラスチック板から出来ている。
【0072】
装飾部材52を構成する肉盛り層53は、透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂に白色顔料を樹脂分に対して10〜15重量%配合して生成した樹脂インクを用いてスクリーン印刷方法で40〜50μmの厚みに印刷形成し、表面を光沢面に仕上げている。スクリーン印刷で表面を光沢面に仕上げるために4〜5回の重ね印刷を行って40〜50μmの厚みにしている。肉盛り層53の光透過率は殆ど0の状態で肉盛り層53からは白色色調が視認される。印刷方法で肉盛り層53を光沢面を持たせて40〜50μmの厚みに形成すると、表面に滑らかな丸味が現れて立体感が強く視認される。
【0073】
金属被膜54はAg金属蒸着膜を150〜200Åの厚みに形成したもので、35〜40%の透過率を持った半透過性の金属薄膜になっている。そして、金属被膜54のみを見た限りにおいては、銀金属色(シルバー色)は弱いものではあるがはっきりと視認できる状態にある。この金属薄膜54は真空蒸着方法などの乾式メッキ方法で形成する。
【0074】
透過性樹脂膜55は、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの透明な樹脂を用いてアセトンやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶かしてインク化し、スクリーン印刷方法で5〜10μmの厚みに形成した膜で、その表面は光沢面をなしている。
【0075】
上記の構成を取る装飾部材52は前述の実施形態で説明した製造方法と同じ製造方法を取って形成する。即ち、表示基板51の必要な部位に肉盛り層53をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、その後に、金属被膜54を肉盛り層53を含めた表示基板51の上面全面に乾式メッキ方法で形成し、その後に、透過性樹脂膜55をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、最後に、エッチング液に浸漬して透過性樹脂膜55が設けられていない部分の金属被膜54が露出した部分を剥離する製造方法を取る。エッチング液は純水100ml、硫酸100cc、酸化クロム2gの割合で混合した溶液を用い、常温で30秒位浸漬するとAgの金属被膜54は剥離される。
【0076】
以上の構成を取る文字などの指標からなる装飾部材52は半透過性のAg金属薄膜で形成した金属被膜54の下面に白色の肉盛り層53を設けていることから、金属被膜54からの弱い銀金属色(シルバー色)を呈する反射光と肉盛り層53からの白色を呈する反射光との混ざり合った反射光が得られ、白色味を強く持った光沢のあるシルバー金属色を呈する色調が得られる。そして、表示板50には黒色の表示基板51上に白色味を強く持った光沢のあるシルバー金属色を呈する装飾部材52が立体感を持って視認される。
【0077】
本実施例2においては、肉盛り層53を白色の樹脂インクを用いて形成したが、肉盛り層53の色調を変えることも可能で、例えば、肉盛り層53を青色で形成すると青色味を帯びた金属色が得られる。また、Agの金属被膜54を150〜200Åの厚みに形成して35〜40%の透過率を持った半透過性の金属薄膜で構成したが、金属被膜の厚みを変えて透過率を変えることによって金属色の度合いに強弱を付けることもできる。例えば、金属被膜を薄くして透過率を高めると金属色の色調が薄く金属感が弱くなり、肉盛り層の色調が強く現れてくるようになる。このように、金属被膜の厚みや肉盛り層の色調を変えることによって色々な色調を出現させることができる。そして、装飾のバリエーションを広げることができる。
【0078】
本実施例2においては、金属被膜53を150〜200Åの厚みに形成した。この金属被膜の厚みは、本発明においては、50〜1500Åの範囲が好適な範囲と設定する。50Åの厚みは透過性を持つが金属色の色付きが現れる厚みで、これよりも薄くなると金属被膜の色付きが現れない。一方、1500Åの厚みは殆ど透過性がなくなって金属色の色付きが十分に現れる厚みで、これ以上厚くしても色合いの効果は現れず、材料費や製造コストの増大をもたらす。
【0079】
また、金属被膜53に用いる金属は本実施例2においてはAg金属を用いたが、Ag金属に限らず他の金属を選択しても良い。これは求められる仕様に応じて適宜に選択するのが好ましい。
【実施例3】
【0080】
次に、本発明の実施例3の装飾部材を図6を用いて説明する。図6は本発明の実施例3に係る表示板の要部断面図を示している。
【0081】
本発明の実施例3に係る表示板60は、図6に示すように、微小な凹凸模様61aを設けた表示基板61の上面に装飾部材62を設けた構成を取る。また、実施例3の装飾部材62は文字などの指標からなっており、透明な樹脂で形成した肉盛り層63と、この肉盛り層63の表面に設けた金属被膜64と、この金属被膜64の表面に設けた艶消し剤65bを分散した透過性樹脂膜65とでもって構成されている。
【0082】
実施例3における表示基板61は上面に微小な凹凸模様61aを設けており、白色に着色したアクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂などの樹脂を用いて形成したプラスチック板からなっている。微小な凹凸模様61aは旭光模様を設けており、射出成形金型から射出成形時の転写によって形成している。微小な凹凸模様としては旭光模様の外に梨地模様などのものが選択できるが、模様の凹凸が5μm以下の粗さのものであれば他の模様のものであっても本発明の装飾部材には影響を及ぼさない。
【0083】
装飾部材62を構成する肉盛り層63は、透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂から形成した樹脂インクを用いてスクリーン印刷方法で3〜4回の重ね印刷を行って30〜40μmの厚に形成し、その表面を光沢面に仕上げている。
【0084】
金属被膜64はCr金属を400〜600Åの厚みで真空蒸着した蒸着被膜でもって形成している。従って、金属被膜64は黒色色調を呈している。透明で光沢のある肉盛り層63の表面に形成したCr金属の金属被膜64は光沢のある黒色の金属調色調が現れる。
【0085】
透過性樹脂膜65は透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂65aに艶消し剤65bなどを配合して生成したインクを用い、スクリーン印刷方法で10μm前後の厚みに形成したものからなる。この透過性樹脂膜65は肉盛り層63と同一形状、同一大きさで金属被膜64を被覆する状態で形成する。艶消し剤65bは粒径1.0〜5.0μm、平均粒径2.0μmのシリカ(SiO2)微粒子を用い、樹脂100重量部に対して10〜15重量%配合している。また、艶消し剤65bの均一な分散を助けるために分散剤を1〜5重量%(樹脂100重量部に対して)配合している。
【0086】
分散剤としては脂肪族多価カルボン酸、ポリエステルのアミン塩、ポリエーテル・エステル型アニオン系界面活性剤、ポリカルボン酸の長鎖アミン塩、ポリアミノアマイドと燐酸の塩などがあるのでこれらの中から選択して用いると艶消し剤の分散効果が良く現れる。
【0087】
以上の構成を取った装飾部材62には光沢が艶消しされて光沢の無い黒色の金属調色調が得られる。また、肉盛り層63を30〜40μmと厚く印刷で形成していること、透過性樹脂膜65も10μm前後の厚みで印刷で形成していることから装飾部材62が丸味を持っていて立体感が現れる。また、表示基板61の上面に旭光模様なる微小な凹凸模様61aがあるものの、凹凸の大きさが5μm以下であるならば30〜40μmの厚みに形成した肉盛り層63の表面はその凹凸の影響を殆ど受けずに滑らかな表面が得られる。
【0088】
そして、上記構成の装飾部材62を設けた表示板60には、旭光模様が設けられた白色の表示板上に艶消しされた黒色色調の装飾部材62が立体感をもって視認される。白と黒とのコントラストにより装飾部材62が鮮明に明るく視認されるようになる。また、表示板60自体に旭光模様なる凹凸模様61aが設けられていることにより表示板の装飾性も高められる。
【0089】
本実施例3においては、艶消し剤65bに透明なシリカ(SiO2)微粒子を用いたが、シリカ微粒子に限らず、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)などの微粒子も艶消し剤として用いることができる。尚、このものは僅かに白色色調を帯びているので配合量は少な目にして用いると白色色調は殆ど目立たなくなる。艶消し剤の配合量は10〜30重量%の範囲が好ましく、これより少ないと艶消し効果が余り得られない。また、これより多くしても艶消し効果は余り変わらなく、逆に塗料の粘度が高くなって印刷品質に影響を及ぼす。また、艶消し剤65bの配合量を変えることによって艶消し度合いを調整することができる。仕様などに応じて10〜30重量%の範囲の中で適宜に設定すると良い。
【0090】
また、本実施例3においては、金属被膜64はCr金属の蒸着膜で構成しているが、これは要求仕様に基づいて選択している。金属被膜は表示基板との係わり合いの中で要求仕様に基づいて適宜に選択すると良い。尚、Cr金属の蒸着膜は厚みを600Åより厚くするとひび割れが発生するので600Å以下で管理する必要がある
【0091】
上記の構成を取る表示板60、並びに装飾部材62の形成方法は前述の実施形態で説明した製造方法と同じ製造方法を取る。即ち、表示基板61の微小な凹凸模様61a上の所要の部位に肉盛り層63をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、その後に、肉盛り層63を含めた表示基板61の上面全面に真空蒸着法などの乾式メッキ方法でCr金属の金属被膜64を形成し、その後に、透過性樹脂膜65をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、最後に、エッチング液に浸漬して透過性樹脂膜65が設けられていない部分の金属被膜64が露出した部分を剥離する製造方法を取る。エッチング液は硝酸20ml、塩酸60mlの割合で混合した溶液を用い、常温で30秒位浸漬するとCrの金属被膜64は剥離される。
【0092】
表示板60の製造方法は上記に述べた如くの比較的簡単な製造方法であり、また、製造工程数も少ないことから安いコストで表示板60が形成できる効果を得る。
【実施例4】
【0093】
次に、本発明の実施例4の装飾部材及び表示板を図7を用いて説明する。図7は本発明の実施例4に係る表示板の要部断面図を示している。
【0094】
本発明の実施例4に係る表示板70は、図7に示すように、金属板71aの表面に第2の透過性樹脂膜71bが被覆した表示基板71の上面に装飾部材72を設けた構成を取る。また、実施例4の装飾部材72は文字などの指標からなっており、透明な樹脂で形成した肉盛り層73と、この肉盛り層73の表面に設けた金属被膜74と、この金属被膜74の表面に設けた透過性樹脂膜75とでもって構成されている。
【0095】
ここでの装飾部材72を構成する肉盛り層73は透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂から形成した樹脂インクを用いてスクリーン印刷方法で3〜4回の重ね印刷を行って30〜40μmの厚みに形成したもので、表面を光沢面に仕上げている。
【0096】
また、金属被膜74はAu金属蒸着膜を800〜1000Åの厚みに形成したもので、金色(ゴールド色)の光沢ある色調をなしている。
【0097】
また、透過性樹脂膜75は、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの透明な樹脂を用いてアセトンやメチルエチルケトンなどの溶剤に溶かしてインク化し、スクリーン印刷方法で5〜10μmの厚みに形成した膜で、その表面は光沢面をなしている。
【0098】
表示基板71は、NiメッキやAgメッキなどの金属メッキを施し、また、必要に応じて凹凸模様などを施した真鍮板や洋白板などの金属板71aを用い、その金属板71aの表面に第2の透過性樹脂膜71bを設けたものからなる。
【0099】
この第2の透過性樹脂膜71bは透明または僅かに着色を施したウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を塗料化して塗装方法により20〜30μmの厚みに透過性を持たせて形成してあり、装飾部材72を設ける側の表面をラッピングにより光沢面に仕上げてある。従って、第2の透過性樹脂膜71bを介して金属板71aの金属色調や凹凸模様が良く視認できる。
【0100】
以上の構成を取った表示板70は、金属色を示す表示基板71の中に光沢のある金色の装飾部材72が立体感を持って視認される。表示板70全体が金属色で纏められて装飾性に富んだ表示板が得られる。表示基板71を第2の透過性樹脂膜71bを被覆した金属板71bで構成すると、表示板70全体に金属色調が得られて強い金属感が得られる。と同時に、金属板71aに各種の凹凸模様や各種の表面処理を施すことができるので装飾性を非常に高めることができる。また更には、第2の透過性樹脂膜71bに着色などの色調を付加することによって色調や模様などの装飾バリエーションを非常に増やすことができる。
【0101】
ここで、装飾部材72の製造方法は、前述の実施形態で説明した製造方法と同じ製造方法を取って形成する。即ち、表示基板71の第2の透過性樹脂膜71b上の所要の部位に肉盛り層73をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、その後に、肉盛り層73を含めた表示基板71の第2の透過性樹脂膜71bの上面全面に真空蒸着法での乾式メッキ方法でAu金属の金属被膜74を形成し、その後に、透過性樹脂膜75をスクリーン印刷方法などで印刷形成し、最後に、エッチング液に浸漬して透過性樹脂膜75が設けられていない部分の金属被膜74が露出した部分を剥離する製造方法を取る。エッチング液は王水を用い、常温で30秒位浸漬すると露出した部分のAuの金属被膜74は剥離される。尚、表示基板71の金属板71aは第2の透過性樹脂膜71bが被覆して保護されているためにエッチング液からは何らの影響は受けない。
【0102】
本実施例4においては、金属被膜74はAu金属の蒸着膜で形成し、表示基板71に真鍮板や洋白板を用いたが、本発明においてはそれに限るものではなく、仕様に応じて適宜に材料を選択するのが好ましい。
【実施例5】
【0103】
次に、本発明の実施例5に係る装飾部材を図8、図9を用いて説明する。ここで、図8は本発明の実施例5に係る表示板の要部断面図を示している。また、図9は図8における表示板の製造方法を説明する工程図を示している。
【0104】
実施例5に係る表示板80は、図8に示すように、プラスチック板からなる表示基板81上に装飾部材82を設けた構成を取る。実施例5の装飾部材82は文字などの指標からなっており、透明な樹脂で形成した肉盛り層83と、この肉盛り層83の表面に設けたAu金属蒸着膜なる金属被膜84とでもって構成されている。
【0105】
ここで、表示基板81は白色に着色したアクリル樹脂を用いて形成したプラスチック板からなり、透過性は殆ど有しない。装飾部材82を構成する肉盛り層83は、透明なウレタン樹脂やエポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂から形成した樹脂インクを用いてスクリーン印刷方法で3〜4回の重ね印刷を行って30〜40μmの厚みに形成したもので、表面は光沢面をなしている。また、装飾部材82を構成する金属被膜84は、Au金属の蒸着膜でもって形成しており、800〜1000Åの厚みをなしている。そして、光沢ある金金属色をなしている。
【0106】
以上の構成を取った装飾部材82は立体感と光沢のある金金属色の貴金属感が強く現れる。特に、Auの金属被膜84が光沢性を持って露出していることから直接目に視認されて貴金属感が強く現れる。そして、その装飾部材82を設けた表示板80は白地の中に立体感と光沢のある貴金属感が強く現れた装飾部材82が明るくはっきりと視認されて高級感が現れる。
【0107】
上記の構成を取る表示板80は図9に示す工程を経て製作される。最初に、図9の(a)において、表示基板81の上面所定の位置にスクリーン印刷方法で肉盛り層83を形成する。次に、図9の(b)において、肉盛り層83を含む表示基板81の上面全面に真空蒸着法でAuの金属被膜84を形成する。次に、図9の(c)において、肉盛り層83の部分の金属被膜84上に、肉盛り層83と同一形状、同一大きさでレジストインクを用いてスクリーン印刷方法でレジスト膜85を形成する。このレジストインクは金属のエッチング液にも影響を受けず、苛性ソーダの5%溶液に溶解するレジストインクで、このようなレジストインクとしては、例えば、帝国インキ製造株式会社製のPC744、PC911、PC922、PC966(商品名)などがある。次に、図9の(d)において、レジスト膜85が被覆されていない露出した部分の金属被膜84を王水なるエッチング液を用いて剥離する。これによって、金属被膜84は肉盛り層83の表面にのみ残る。次に、図9の(e)において、レジスト膜85を苛性ソーダ5%溶液でもって溶解して剥離する。これによって、表示基板81上に肉盛り層83と金属被膜84とで構成された装飾部材82が得られる。
【0108】
上記の製造方法は比較的簡単な作業方法であり、また、作業工程数も少ないことから安い製造コストで表示板を作ることができる。
【0109】
尚、本実施例5においては、金属被膜84はAuの金属蒸着膜でもって形成したが、この金属被膜84の金属材料は要求仕様に基づいて選択する。また、この金属被膜84は露出することから耐蝕性が求められる。従って、耐蝕性に弱い金属を用いた場合は、その上に同色系で耐蝕性の強い金属でもって2層の金属被膜を設けると耐蝕性は向上する。例えば、耐蝕性に弱いAgの金属蒸着膜を用いた場合は、Ag金属蒸着膜の上に同色系のPdの金属被膜を設けると耐蝕性は強くなる。このPdの金属被膜は無電解メッキ方法で形成することができるのでコスト的にも安く上げることができる。
【0110】
以上詳細に本発明の実施例を説明した。本発明の装飾部材は携帯時計の表示板や各種計器類の表示板、各種の電子表示機器の表示板、各種の銘板類などに適用して用いることができる。また、身飾品や置物などの装飾品にも利用できるものである。
【0111】
また、本発明の実施例においては、肉盛り層は何れも樹脂を用いて印刷方法で形成したものから成っているが、非金属である所の樹脂を用いると肉盛り層の形成が非常に簡単で、しかも、製造のイニシアルコストを安いコストで済ますことができる利点がある。しかしながら、本発明の肉盛り層は印刷で形成するものに限らず、予め表示基板の成形時に金型からの転写方法によって表示基板側に肉盛り層を設けた構成のものであっても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯時計用の表示板の平面図と断面図で、図1の(a)は平面図、図1の(b)は図1の(a)のD−D断面図である。
【図2】図1における時字なる指標の要部拡大断面図である。
【図3】図1における時字なる指標及び切分目盛なる指標の製造方法を説明する工程図である。
【図4】本発明の実施例1に係る表示板の要部断面図である。
【図5】本発明の実施例2に係る表示板の要部断面図である。
【図6】本発明の実施例3に係る表示板の要部断面図である。
【図7】本発明の実施例4に係る表示板の要部断面図である。
【図8】本発明の実施例5に係る表示板の要部断面図である。
【図9】図8における表示板の製造方法を説明する工程図である。
【図10】従来技術として、特許文献1に示されたところの中間製品Aの要部平面図である。
【図11】図10における導電性基材の要部断面図である。
【図12】図10に示された中間製品Aの形成方法を示した製造工程図である。
【図13】中間製品Aを用いて中間製品Bを形成する方法を示した製造工程図である。
【図14】中間製品Bを用いて表示板との貼付方法を示した製造工程図である。
【図15】図12〜図14に示す製造工程を経て得られた表示板の斜視図である。
【図16】携帯時計の他のモデルの表示板の平面図である。
【符号の説明】
【0113】
30、40、50、60、70、80 表示板
31、41、51、61、71、81 表示基板
32、36 指標
33、37、43、53、63、73、83 肉盛り層
34、44、54、64、74、84 金属被膜
35、39、45、55、65、75 透過性樹脂膜
42、52、62、72、82 装飾部材
61a 凹凸模様
65a 樹脂
65b 艶消し剤
71a 金属板
71b 第2の透過性樹脂膜
85 レジスト膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非金属からなって厚く肉を盛り上げたごとくに形成した光沢面を有する肉盛り層と、該肉盛り層の表面に設けた金属被膜と、該金属被膜上に設けた光沢面を有する透過性樹脂膜とから構成されることを特徴とする装飾部材。
【請求項2】
非金属からなって厚く肉を盛り上げたごとくに形成した光沢面を有する肉盛り層と、該肉盛り層の表面に設けた金属被膜とから構成されることを特徴とする装飾部材。
【請求項3】
前記金属被膜の厚みは50〜1500Åであることを特徴とする請求項1又は2に記載の装飾部材。
【請求項4】
前記金属被膜は透過性金属薄膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項5】
前記金属被膜は少なくとも1種の金属でもって少なくとも1層の被膜からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項6】
前記肉盛り層は7〜50μmの厚みであることを特徴とする請求項1又は2に記載の装飾部材。
【請求項7】
前記肉盛り層に反射機能を有することを特徴とする請求項1、2、6のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項8】
前記透過性樹脂膜に艶消し剤が分散していることを特徴とする請求項1に記載の装飾部材。
【請求項9】
前記請求項1乃至8に記載の装飾部材は指標、マーク、凹凸模様などからなり、該指標、マーク、凹凸模様などからなる装飾部材を表示基板上に設けたことを特徴とする表示板。
【請求項10】
前記表示基板は非金属からなることを特徴とする請求項9に記載の表示板。
【請求項11】
前記表示基板は表面に第2の透過性樹脂膜が設けられた金属からなることを特徴とする請求項9に記載の表示板。
【請求項12】
前記表示基板には微小な凹凸模様が設けられていることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項13】
表示基板上の一部分に樹脂のインクを用いて印刷方法で肉を盛り上げたごとく厚みのある肉盛り層を形成する工程と、該肉盛り層を含む表示基板上に乾式メッキ方法で金属被膜を形成する工程と、前記肉盛り層の上に形成された前記金属被膜上に透過性樹脂のインクを用いて印刷方法で透過性樹脂膜を形成する工程と、該透過性樹脂膜が形成されていない部分の前記金属被膜をエッチング方法で剥離する工程と、を有することを特徴とする表示板の製造方法。
【請求項14】
表示基板上の一部分に樹脂のインクを用いて印刷方法で肉を盛り上げたごとく厚みのある肉盛り層を形成する工程と、該肉盛り層を含む表示基板上に乾式メッキ方法で金属被膜を形成する工程と、前記肉盛り層の上に形成された前記金属被膜上にレジストインクを用いて印刷方法でレジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜が形成されていない部分の前記金属被膜をエッチング方法で剥離する工程と、前記レジスト膜を溶解液で剥離する工程と、を有することを特徴とする表示板の製造方法。
【請求項1】
非金属からなって厚く肉を盛り上げたごとくに形成した光沢面を有する肉盛り層と、該肉盛り層の表面に設けた金属被膜と、該金属被膜上に設けた光沢面を有する透過性樹脂膜とから構成されることを特徴とする装飾部材。
【請求項2】
非金属からなって厚く肉を盛り上げたごとくに形成した光沢面を有する肉盛り層と、該肉盛り層の表面に設けた金属被膜とから構成されることを特徴とする装飾部材。
【請求項3】
前記金属被膜の厚みは50〜1500Åであることを特徴とする請求項1又は2に記載の装飾部材。
【請求項4】
前記金属被膜は透過性金属薄膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項5】
前記金属被膜は少なくとも1種の金属でもって少なくとも1層の被膜からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項6】
前記肉盛り層は7〜50μmの厚みであることを特徴とする請求項1又は2に記載の装飾部材。
【請求項7】
前記肉盛り層に反射機能を有することを特徴とする請求項1、2、6のいずれか1項に記載の装飾部材。
【請求項8】
前記透過性樹脂膜に艶消し剤が分散していることを特徴とする請求項1に記載の装飾部材。
【請求項9】
前記請求項1乃至8に記載の装飾部材は指標、マーク、凹凸模様などからなり、該指標、マーク、凹凸模様などからなる装飾部材を表示基板上に設けたことを特徴とする表示板。
【請求項10】
前記表示基板は非金属からなることを特徴とする請求項9に記載の表示板。
【請求項11】
前記表示基板は表面に第2の透過性樹脂膜が設けられた金属からなることを特徴とする請求項9に記載の表示板。
【請求項12】
前記表示基板には微小な凹凸模様が設けられていることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の表示板。
【請求項13】
表示基板上の一部分に樹脂のインクを用いて印刷方法で肉を盛り上げたごとく厚みのある肉盛り層を形成する工程と、該肉盛り層を含む表示基板上に乾式メッキ方法で金属被膜を形成する工程と、前記肉盛り層の上に形成された前記金属被膜上に透過性樹脂のインクを用いて印刷方法で透過性樹脂膜を形成する工程と、該透過性樹脂膜が形成されていない部分の前記金属被膜をエッチング方法で剥離する工程と、を有することを特徴とする表示板の製造方法。
【請求項14】
表示基板上の一部分に樹脂のインクを用いて印刷方法で肉を盛り上げたごとく厚みのある肉盛り層を形成する工程と、該肉盛り層を含む表示基板上に乾式メッキ方法で金属被膜を形成する工程と、前記肉盛り層の上に形成された前記金属被膜上にレジストインクを用いて印刷方法でレジスト膜を形成する工程と、該レジスト膜が形成されていない部分の前記金属被膜をエッチング方法で剥離する工程と、前記レジスト膜を溶解液で剥離する工程と、を有することを特徴とする表示板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−46984(P2007−46984A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230831(P2005−230831)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
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