説明

装飾鉢

【課題】各種植物が植栽もしくは収容される鉢本体に人形的感覚の装飾が施されて、鉢本体に十分な意匠的効果を持たせることが可能な装飾鉢を提供する。
【解決手段】底面と外周面を有し上面開口部から内部に各種植物が植栽もしくは収容可能な鉢本体と、帯状の固着部及び該固着部の下部に連設されたスカートもしくはドレス等の衣服形状を呈する装飾部を有し、その固着部が鉢本体の外周面上部に接着剤を介して固着されて、装飾部が鉢本体の高さ方向の略全域に亘って該鉢本体の外周面外側を覆って隠蔽する装飾部材と、を備えることを特徴とする。前記装飾部材は、装飾部の内側に配設されて該装飾部の形状を保持可能な形状保持部材や、固着部の外側に配設されて該固着部を外側から覆う目隠し部材を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生花や造花等の各種植物が鉢本体内に植栽もしくは収容されて、結婚式の引き出物や各種祝いの贈答品、各種会場における装飾品、あるいは土産等としても使用可能な装飾鉢に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、花や鑑賞植物等を植栽する植木鉢や、切り花や造花等を収容する花受け、花籠、花瓶等(これらを総称して植栽鉢いう)に装飾を施したものとしては、例えば特許文献1に開示の植栽鉢が提案されている。この植栽鉢は、鉢本体の底面と外周面を包む不織布からなる装飾シートと、この装飾シートを鉢本体に固定するために当該装飾シートにその開口を絞るような状態で装飾される不織布からなる帯環とを備え、帯環にその幅方向所定位置において内径を伸縮させる帯状ゴム等からなる内径伸縮手段を設けると共に、この帯環に造花等の装飾部材を取り付けるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−28914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような植栽鉢にあっては、鉢本体の外周面や底面を所定図柄が印刷等された装飾シートで包むと共に、その装飾シートの上部に造花等の装飾部材を有する帯環を単に取り付けた構造であるため、鉢本体が装飾シートと装飾部材で装飾されるものの、装飾部材は鉢本体の上部の帯環に取り付けられるに過ぎず、植栽鉢があくまで包装された「鉢」としてしか視認されず、植栽鉢の装飾効果(意匠的効果)を十分に高めることが難しい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、各種植物が植栽もしくは収容される鉢本体に人形的感覚の装飾が施されて、鉢本体に十分な意匠的効果を持たせることが可能な装飾鉢を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、底面と外周面を有し上面開口部から内部に各種植物が植栽もしくは収容可能な鉢本体と、帯状の固着部及び該固着部の下部に連設されたスカートもしくはドレス等の衣服形状を呈する装飾部を有し、前記固着部が前記鉢本体の外周面上部に接着剤を介して固着されて、前記装飾部が鉢本体の高さ方向の略全域に亘って該鉢本体の外周面外側を覆って隠蔽する装飾部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記装飾部材が、前記装飾部の内側に配設されて該装飾部の形状を保持可能な形状保持部材と、前記固着部の外側に配設されて該固着部を外側から覆う目隠し部材の少なくとも一方を有することを特徴とする。また、請求項3に記載の発明は、前記接着剤としての水溶性接着剤、油性接着剤及び熱硬化性樹脂接着剤が、前記装飾部材の各固着部位に応じて使用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、装飾部材の固着部が鉢本体の外周面上部に接着剤で固着されて、固着部の下部に連設された装飾部が鉢本体の高さ方向の略全域に亘って該鉢本体の外周面外側を覆って隠蔽するため、スカートやドレス等の衣服形状を呈する装飾部材により、鉢本体に人形的感覚の装飾が施されて、鉢本体を単なる鉢ではなく装飾品として視認させることができる等、各種植物が植栽もしくは収容可能な鉢本体に十分な意匠的効果を持たせることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、装飾部材が装飾部の内側に配設されて該装飾部の形状を保持可能な形状保持部材と、固着部の外側に配設されて該固着部を外側から覆う目隠し部材の少なくとも一方を有するため、形状保持部材が人形の胴体もしくは下着として機能し、装飾部の形状の崩れを防止して、装飾部材が衣服としての形状を良好に維持することができたり、目隠し部材で、例えば固着部等が外部から視認されないように目隠しすることができる等、装飾鉢の意匠的効果を一層高めることができる。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、接着剤としての水溶性接着剤、油性接着剤及び熱硬化性樹脂接着剤が、装飾部材の各固着部位に応じて使用されるため、例えば形状保持部材の固着を安価で取り扱いが容易な水溶性接着剤で行い、装飾部の固着用に接着剤が外側に染み出し難い油性接着剤を使用する等、固着部位に応じて最適な接着剤を使用できて、装飾部材をその意匠的効果を損なうことなく鉢本体に確実に固着すること等ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係わる装飾鉢の一実施形態を示す斜視図
【図2】同その装飾鉢と植栽鉢を分解した斜視図
【図3】同装飾部材の一例を示す一部破断した正面図
【図4】同鉢本体と装飾部材の縦断面図
【図5】同図4のA部の拡大図
【図6】同装飾部材の固着構造の変形例を示す図5と同様の拡大図
【図7】同装飾鉢の変形例を示す図4と同様の縦断面図
【図8】同装飾鉢の他の変形例を示す図4と同様の縦断面図
【図9】同装飾鉢のさらに他の変形例を示す図4と同様の縦断面図
【図10】同装飾鉢のさらに他の変形例を示す図
【図11】同装飾鉢のさらに他の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明に係わる装飾鉢の一実施形態を示している。図1及び図2に示すように、装飾鉢1は、内部に例えば蘭の生花11が植栽された植栽鉢10が出し入れ可能に収容配置される鉢本体2と、この鉢本体2の外周面2a外側を覆うように鉢本体2に取り付けられた装飾部材3を備えている。前記鉢本体2は、有底略円筒状に形成されて、外周面2aと上面に開口部2bを有して底面2cが閉塞されると共に、底面2cの外径が開口部2bの外径に対して小径に形成されている。
【0013】
前記装飾部材3は、図1及び図3に示すように、全体形状が、所定柄で例えば不透明なレース等の柔らかな布の縫製により衣服としてのスカート形状(もしくはドレス形状)に形成され、その上部に設けられた布製の所定幅の帯状の固着部3aと、この固着部3aの下部に連設された布製の装飾部3bと、装飾部3bの内側に配設された形状保持部材3cと、固着部3aの外側に配設された目隠し部材3d等を有している。
【0014】
前記固着部3aと装飾部3bは、縫製等により一体的に結合されており、固着部3aの長さは、鉢本体2の外周面2a上部の円周方向の長さと略同一か若干長くように設定されている。また、前記形状保持部材3cは、例えば柔らかな布に樹脂(例えば酢酸塩ビ樹脂)を含浸・乾燥させた硬質布で形成されると共に、図3に示すように、所定幅位置に複数の折り畳み状の折り目4を設けることで、その全体形状が所定に維持されるようになっている。なお、形状保持部材3cの全体形状は、後述する如く鉢本体2に取り付けた際に、人形の胴体や下着の機能を有するように設定されて、その丈は、例えばその下端部が前記鉢本体2の底面2cより若干上方に位置して設置台5(図4参照)に接触しないように設定されている。
【0015】
また、前記目隠し部材3dは、後述する方法で装飾部材3が鉢本体2に固着された際に、固着部3a部分を外側から覆って目隠しすると共に衣服用のベルトをイメージするもので、その材質は後述する接着剤が表裏面で浸透しない適宜の布等で形成され、その丈は、固着部3aが外部から視認されない寸法に設定されている。なお、装飾部材3の装飾部3bの丈は、鉢本体2の高さより所定寸法大きく設定されて、装飾鉢2を前記設置台5上に設置した際に、その下端が該設置台5上に接触状態で載置されるようになっている。
【0016】
そして、この装飾部材3は、図4及び図5に示すように、接着剤6a、6bと両面テープ6c等によって鉢本体2の外周面2aの上部に巻回状態で固着されている。すなわち、装飾部材3の形状保持部材3cの上部の固着部3c1が、鉢本体2の外周面2aの上部に水溶性の接着剤6aによって固着されている。このとき、形状保持部材3cの固着部3c1は、鉢本体2の外周面2aに両面テープ6cで仮止めされた状態で接着剤6aによって固着されている。
【0017】
また、鉢本体2に固着された形状保持部材3cの固着部3c1の外側(表面側)に、前記固着部3aが水溶性の接着剤6aにより固着され、さらに、この固着部3aの外側に、目隠し部材3dの下部固着部3d2が油性の接着剤6bによって固着されると共に、上部固着部3d1が鉢本体2に油性の接着剤6bによって固着されている。これにより装飾部材3の固着部3aが、形状保持部材3cの固着部3c1と目隠し部材3dの下部固着部3d2が重ね合わせ状態(積層状態)で、鉢本体2の外周面2aの上部に固着されている。このとき、装飾部材3の外部に露出する部材である目隠し部材3dと固着部3aの固着に、油性の接着剤6bが使用されているため、接着剤6bの外部への染み出し等が防止されるようになっている。なお、目隠し部材3dの固着は、上部固着部3d1のみを接着剤6b(もしくは接着剤6a)を使用して固着しても良い。
【0018】
なお、装飾部材3の固着構造は、以上の例に限定されず、例えば図6に示すように固着しても良い。すなわち、図6(a)は、固着部3aと形状保持部材3cの固着部3c1と目隠し部材3dの下部固着部3d2を糸7で縫製して3つの部材を一体化して、形状保持部材3cの固着部3c1を水溶性の接着剤6aで鉢本体2の外周面2aに固着すると共に、目隠し部材3dの上部固着部3d1を油性の接着剤6bで鉢本体2の外周面2aに固着したものである。
【0019】
また、図6(b)は、糸7の縫製で固着部3aと形状保持部材3cの固着部3c1及び目隠し部材3dの下部固着部3d2を一体化し、形状保持部材3cの固着部3c1を鉢本体2の外周面2aに水溶性の接着剤6aで固着すると共に、目隠し部材3dの上端固着部3d1を鉢本体2の外周面2aの外側から内側に掛けて鉢本体2の上端を覆うように油性の接着剤6bで固着したものである。
【0020】
なお、以上の固着構造においては、形状保持部材3cの固着部3c1を、水溶性の接着剤6aで固着したが、例えば後述する熱硬化性樹脂接着剤6dを使用しても良いし、両面テープ6cを用いることなく固着することもできる。また、接着剤6a、6b等と各種テープを併用して固着する等、装飾部材3が鉢本体2から安易に離脱できない接着剤6a、6b、6d等を使用した各種固着構造を採用すれば良い。
【0021】
次に、前記装飾鉢1の使用方法の一例について説明する。先ず、所望の衣服形状を呈する装飾部材3で装飾された装飾鉢1と、該装飾鉢1の大きさに対応した形状の、例えば蘭の生花11が植栽された植栽鉢10を準備する。このとき、植栽鉢10は、図2及び図4に示すように、外周面10aと鍔部10dを有する開口部10b及び底面10cを有し、底面10cには複数の水抜き孔12が形成されている。
【0022】
また、植栽鉢10は、装飾鉢1と同様に、底面10cの外径が開口部10bの外径より小さく設定されると共に、鍔部10dの大きさ(外径)が、植栽鉢10を装飾鉢1に収容配置した際に、図4に示すように、鍔部10dの外周縁が装飾鉢1の鉢本体2の外周面2aの上部内面に当接して、植栽鉢10の底面10cと装飾鉢1の鉢本体2の底面2c間に、所定高さの空間13(水収容部)が形成されるようになっている。
【0023】
そして、設置台5上に設置した装飾鉢1に、図2の矢印イの如く開口部2bから植栽鉢10を嵌挿することにより、図1に示すような植栽鉢10がセットされた装飾鉢1を得ることができる。この装飾鉢1と植栽鉢10の設置状態において、植栽鉢10に給水される水は、植栽鉢10の水抜き孔12から装飾鉢1の鉢本体2の底面2c上の空間13内に排水され、設置台5上等への水漏れが防止される。これにより、植栽鉢10に従来にない人形的感覚の装飾が施された状態となり、例えば結婚式場のパーティ会場やホテルやレストラン等の適宜位置に設置されて使用される。
【0024】
なお、この使用方法は一例であって、例えば装飾鉢1自体を結婚式の引き出物用、出産、入学、卒業、就職、還暦、開店、周年等の各種お祝い用、あるいは各種プレゼント、お土産等として使用することもでき、これらの場合、装飾鉢1は使用人が鉢本体2の内部に所望の植物等を収容して使用することになる。
【0025】
このように、前記装飾鉢1によれば、装飾部材3の固着部3aが鉢本体2の外周面2a上部に接着剤6a、6b等で固着されて、固着部3aの下部に連設された装飾部3bが鉢本体2の高さ方向の略全域に亘って該鉢本体2の外周面2a外側を覆って隠蔽しているため、スカートやドレス等の衣服形状を呈する装飾部材3により、鉢本体2に人形的感覚の装飾が施されて、鉢本体2を単なる鉢ではなく装飾品として視認させることができる等、各種植物等が植栽もしくは収容可能な鉢本体2に十分な意匠的効果を持たせることができる。
【0026】
また、装飾部材3が装飾部3bの内側に配設されて該装飾部3bの形状を保持可能な形状保持部材3cを有するため、形状保持部材3cが人形の胴体もしくは下着として機能し、装飾部3bの形状の崩れを防止して、装飾部材3が衣服としての形状を良好に維持することができる。また、装飾部材3の固着部3aの外側に、固着部3a部分を外側から覆う目隠し部材3cが配設されているため、装飾部材3の鉢本体2への固着部分を目隠し部材3dで、例えば固着部3aから染み出した接着剤6が外部から視認されないように目隠しすることができる。これらにより、装飾部材3の鉢本体2への固着部分に良好な固着状態が得られて、その意匠的効果を一層高めることができる。
【0027】
さらに、接着剤としての水溶性の接着剤6aや油性の接着剤6b等が、装飾部材3の各固着部に応じて使用されるため、例えば形状保持部材3cの固着部3c1の固着を安価で取り扱いが容易な水溶性の接着剤6aで行い、固着部3a、3d1、3d2の固着に接着剤が外側に染み出し難い油性の接着剤6bを使用する等、固着部3a、3c1、3d1、3d2に応じて最適な接着剤6a、6bを使用することができて、装飾部材3を、その意匠的効果を損なうことなく鉢本体2の外周面2aに確実に固着することができる。
【0028】
また、固着部3aと形状保持部材3cの固着部3c1及び目隠し部材3dの下部固着部3d2が、接着剤6a、6b等により一体となって鉢本体2の外周面2aに固着されるため、所定の接着剤6a、6bを使用することにより、3つの部材を鉢本体2に一体的に固着できて、装飾部材3の鉢本体2への固着構造を簡略化させることができる。また、固着部3aと形状保持部材3c及び目隠し部材3dを糸7で縫製して一体化し、例えば目隠し部材3dや形状保持部材3cの上部を鉢本体2に接着剤6a、6b等で固着するようにすれば、3つの部材の一体化を簡単かつ確実に行うことができると共に、接着剤6a、6b等による固着作業が容易となり、装飾鉢1を安価に製造することができる。
【0029】
また、前記装飾鉢1の鉢本体2の大きさに対応し、底面10cに水抜き孔12が設けられた植栽鉢10を装飾鉢1にセットするようにすれば、給水が必要な蘭の生花11が植栽された植栽鉢10を内鉢として装飾鉢1内に簡単に設置することができる等、装飾鉢1を各種植物の植栽鉢として使用できて、その汎用性を向上させることができる。また同時に、植栽鉢10に植栽された生花11の活性化を所定時間維持できて、例えばホテルやレストラン等のロビー等に比較的長い期間設置することが可能となり、従来の生花11が単に植栽された植栽鉢10に比較して、設置場所の雰囲気を和らげる等が効果を得ることが可能となる。
【0030】
図7〜図11は、前記装飾鉢1の変形例を示している。以下、前記装飾鉢1と同一部位には同一符号を付して説明する。先ず、図7に示す装飾鉢1は、前記装飾部材3の形状保持部材3cの丈を、その下端が設置台5の上面に接触するように長くすると共に、鉢本体2内に浅底形状の植栽鉢10を嵌挿したものである。このとき、植栽鉢10は、その鍔部10dが外側に延設されて鉢本体2の開口部2bの上面上に載置されると共に、鍔部10dの先端により装飾部材3の固着部3aや目隠し部材3dの上方が覆われるようになっている。
【0031】
また、植栽鉢10の底面10cには、水が浸透したスポンジや発泡ウレタン等の花差し14(もしくは針状の花差し)が配置されて、この花差し14に複数本の生花11が生けられている。この変形例においても、前記実施形態と同様の作用効果が得られる他に、装飾鉢1を生花用として使用でき、その際、植栽鉢10の鍔部10dにより、植栽鉢10自体の装飾鉢1に対するセットや取り出しが容易に行えると共に、固着部3aや目隠し部材3dの上端が植栽鉢10の鍔部10dで覆われるため、例えば植栽鉢10への水差し時の水の上方からの垂れによる装飾部材3の汚れ等を防止することができる。
【0032】
また、図8に示す装飾鉢1は、植栽鉢10が収納される鉢本体2の下部に、内部に物品22が収納可能な物品収納容器20を接着状態で連設し、この物品収納容器20の外周面20aと鉢本体2の外周面2aの外側を装飾部材3で覆うようにしたものである。すなわち、鉢本体2内に収納される植栽鉢10を浅底形状に形成し、その鍔部10dを鉢本体2の開口部2bの上面上に載置すると共に、物品収納容器20を、蓋20dが着脱可能にねじ込み(もしくは嵌め込み)される開口部20bが下方に位置し、底面20cが上方に位置するように逆さ状態とする。
【0033】
そして、鉢本体2の底面2cに、物品収納容器20の底面20cを熱硬化性の樹脂接着剤6dで接着固定すると共に、鉢本体2と物品収納容器20の接着部の外周面に、テープ6eを油性接着剤6b(もしくは水溶性接着剤6a、あるいは樹脂接着剤6d)により固着する。これにより、鉢本体2と物品収納容器20が一体化された状態となり、例えば蓋20dの物品収納容器20への取り外しや取り付けにより、内部の物品収納部21にお酒の瓶等の物品22が収納可能となっている。
【0034】
なお、浅底形状の植栽鉢10の底面10cには、図7と同様に、水が浸透したスポンジや発泡ウレタン等の花差し14(もしくは針状の花差し)が配置されて、この花差し14に複数本の生花11が生けられるようになっている。この変形例においても、前記実施形態と同様の作用効果が得られる他に、装飾鉢1に物品22を収納できるため、装飾鉢1を比較的小形とすることで、例えば披露宴でのお酒を物品収納部21に収納し、この装飾鉢1全体を紙袋に入れたり風呂敷で包んで参列者が持ち帰ることができ、装飾鉢1の使い勝手等を一層向上させることができる。また、装飾鉢1を生花用として使用できると共に、植栽鉢10の鍔部10dにより、植栽鉢10自体の装飾鉢1に対するセットや取り出しを容易に行うこともできる。
【0035】
また、図9に示す装飾鉢1は、鉢本体2内に擬似土15に造花16が固定された植栽鉢10を嵌挿したものである。また、植栽鉢10は、その鍔部10dが鉢本体2の開口部2bの上面に載置されると共に、目隠し部材3が鍔部10dより上方に所定寸法延設されている。前記擬似土15は、樹脂を再生するために外径数mm程度の大きさに粉砕された樹脂ペレット15aを、接着剤15bで接着固定することにより形成されている。そして、所定の大きさの植栽鉢10内に、樹脂ペレット15aと接着剤15bを所定量充填し、接着剤15bが固化する前に造花16の茎部を擬似土15内に差し込むことにより、接着剤15bの固化で擬似土15と造花16が植栽鉢10内に一体化されている。
【0036】
この図9の変形例においても、前記実施形態と同様の作用効果が得られる他に、使用する樹脂ペレット15aの色を、例えば土や砂の色と同色とすることで、擬似土15を自然の土や砂と認識させることができる。また、植栽鉢10の内部に所定量の樹脂ペレット15aを充填させることにより、接着剤15bで固化した擬似土15に所定の重量を得ることができることから、自然の土と略同様の感覚が得られて植栽鉢10が所定の重量となり、その設置や運搬時の安定性を確保することができる。なお、前記擬似土15は造花16を完全に固定する堅さに設定されるが、例えば接着剤15bの選定により造花16が抜き差し可能な堅さに設定することも勿論可能である。
【0037】
さらに、図10に示す装飾鉢1は、皿状の鉢本体2を有し、この鉢本体2の外周面2aの上部に装飾部材3の固着部3aを形状保持部材3cを介して前記接着剤6a、6b等で固着したものである。この鉢本体2は、薄底であるため、その底面に花差し8(もしくは針状の花差し)等を配置すれば、この花差し8に切り花等を差して使用することができる。
【0038】
また、図11に示す装飾鉢1は、底面2cが閉塞され上面の開口部2bと底面2cの外径が略同一の有底円筒状の鉢本体2を有し、この鉢本体2の外周面2aの上部に装飾部材3の固着部3aを前記接着剤6a、6b等で固着したものである。このとき、装飾部材3の固着部3aが、図6(b)の目隠し部材3dと同様に、鉢本体2の外周面2aの外側から内側に掛けて固着されることにより、鉢本体2の開口部2bが装飾部材3の固着部3a(もしくは目隠し部材3d)で覆われるようになっている。この装飾鉢1の場合は、鉢本体2としてコップや湯飲み等の比較的小型の各種カップ等を使用することができる。
【0039】
この図10及び図11の変形例においては、装飾部材3により各種形状の鉢本体2の外周面2aの外側全域を覆って隠蔽でき、上記実施形態と同様の作用効果が得られる他に、装飾部材3の高さを鉢本体2の高さと略同一に設定すれば良いため、その大きさを小さくできて、安価な装飾鉢1が得られ、例えば一般家庭等でも気軽に使用できるという作用効果を得ることができる。
【0040】
なお、本発明は、前記実施形態や各変形例のそれぞれに限定されるものではなく、例えば各例を適宜に組み合わせることもできる。また、装飾鉢2にセットされる植栽鉢10の形態や該植栽鉢10に植栽されたり収容される植物も、生花11や造花16に限らず、樹木あるいは観葉植物等の全ての各種植物に適用することができる。さらに、前記実施形態においては、装飾部材3の形態をスカート形状もしくはドレス形状としたが、例えば着物や袴等の和服、タキシードやスーツ、各国民族衣装等の形状とすることもできるし、装飾部材3の装飾部3bと形状保持部材3cの形態も、例えば形状保持部材3cを衣服形態とし、装飾部3bを透明もしくは半透明な材質で形成してカバー(もしくは防水)機能を有する構成とすることもできる。
【0041】
また、前記実施形態においては、装飾部材3が形状保持部材3cと目隠し部材3dを共に有する構成としたが、例えば目隠し部材3dや形状保持部材3cの一方を省略することもできるし、目隠し部材3dにリボンやフリル等の装飾品を設けることもできる。またさらに、前記実施形態における、装飾鉢1の鉢本体2の形状や、その設置形態等も一例であって、例えば装飾鉢1をスタンドを使用して設置したり、吊り下げ式に設置する等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、生花、植木、鑑賞植物、あるいはこれらの造花や人工鑑賞植物等の各種植物を植栽もしくは収容可能な全ての容器状の装飾鉢に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1・・・・・・・・・装飾鉢
2・・・・・・・・・鉢本体
2a・・・・・・・・外周面
2b・・・・・・・・開口部
2c・・・・・・・・底面
3・・・・・・・・・装飾部材
3a・・・・・・・・固着部
3b・・・・・・・・装飾部
3c・・・・・・・・形状保持部材
3c1・・・・・・・固着部
3d・・・・・・・・目隠し部材
3d1・・・・・・・上部固着部
3d2・・・・・・・下部固着部
4・・・・・・・・・折り目
5・・・・・・・・・設置台
6a・・・・・・・・水溶性接着剤
6b・・・・・・・・油性接着剤
6c・・・・・・・・両面テープ
6d・・・・・・・・樹脂接着剤
6e・・・・・・・・テープ
7・・・・・・・・・糸
8・・・・・・・・・花差し
10・・・・・・・・植栽鉢
10a・・・・・・・外周面
10b・・・・・・・開口部
10c・・・・・・・底面
11・・・・・・・・生花
12・・・・・・・・水抜き孔
13・・・・・・・・空間
15・・・・・・・・擬似土
15a・・・・・・・樹脂ペレット
15b・・・・・・・接着剤
16・・・・・・・・造花
20・・・・・・・・物品収納容器
20a・・・・・・・外周面
20b・・・・・・・開口部
20c・・・・・・・底面
20d・・・・・・・蓋
21・・・・・・・・物品収納部
22・・・・・・・・物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と外周面を有し上面開口部から内部に各種植物が植栽もしくは収容可能な鉢本体と、帯状の固着部及び該固着部の下部に連設されたスカートもしくはドレス等の衣服形状を呈する装飾部を有し、前記固着部が前記鉢本体の外周面上部に接着剤を介して固着されて、前記装飾部が鉢本体の高さ方向の略全域に亘って該鉢本体の外周面外側を覆って隠蔽する装飾部材と、を備えることを特徴とする装飾鉢。
【請求項2】
前記装飾部材は、前記装飾部の内側に配設されて該装飾部の形状を保持可能な形状保持部材と、前記固着部の外側に配設されて該固着部を外側から覆う目隠し部材の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1に記載の装飾鉢。
【請求項3】
前記接着剤としての水溶性接着剤、油性接着剤及び熱硬化性樹脂接着剤が、前記装飾部材の各固着部位に応じて使用されることを特徴とする請求項1または2に記載の装飾鉢。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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