説明

裏掻式スクリーン装置

【課題】レーキ反転部への粗ごみの噛込を防止することにより、駆動ベルトの交換頻度を大幅に削減し、ベルト費用や交換作業による維持管理面での手間を大きく低減することができる裏掻式スクリーン装置を提供すること。
【解決手段】バースクリーン1の下流側に、循環駆動するレーキ2を配設し、バースクリーン1で捕捉したごみをレーキ2により裏側から掻き揚げるようにした裏掻式スクリーン装置において、レーキ2が反転するバースクリーン底部の前面に、ブラシ毛をレーキ2の駆動方向としてバースクリーン1へのごみの侵入を防止するブラシ3を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理分野の前処理設備等で使用される裏掻式スクリーン装置に関し、特に、レーキ反転部への粗ごみの噛込を防止することにより、駆動ベルトの交換頻度を大幅に削減し、ベルト費用や交換作業による維持管理面での手間を大きく低減することができる裏掻式スクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な裏掻式スクリーン装置は、例えば、図2に示すように、バースクリーン1の下流側に循環駆動するレーキ2を配設し、バースクリーン1で捕捉したごみをレーキ2により裏側から掻き揚げるようにしている。
レーキ2の循環は駆動ベルト4によってなされており、駆動ベルト4にはVベルト又はタイミングベルトが使用されている。
【0003】
ここで、裏掻式スクリーン装置は、バースクリーン1とレーキ2の間に必ずクリアランスCが存在するが、ここに粗ごみ(來雑物)が噛み込んでしまうと、レーキ2がロックされてしまい、Vベルトの場合はスリップが生じ、タイミングベルトの場合は山が損傷してしまう。
そして、どちらの場合の処置方法も、噛込物の除去作業とベルトの交換作業が必要になる。
【0004】
このようなごみの噛込は、特にバースクリーン底部のレーキの反転位置Aで生じることが多く、布きれやペーパー類が多い設置箇所などでは駆動ベルトの交換頻度が高く、維持管理面で問題があったが、今まで特に改善対策が実施されていなかった。
【0005】
これは、裏掻式スクリーン装置は元々モータ容量の小さい(50W〜100W程度)機種が多く、トルクリミッタの設置や電気的保護(瞬時サーマル)による過負荷検知が困難であり、過負荷によるハード保護の手段として、ベルトを破損させてスクリーン全体を保護するという思想が前程にあったためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の裏掻式スクリーン装置が有する問題点に鑑み、レーキ反転部への粗ごみの噛込を防止することにより、駆動ベルトの交換頻度を大幅に削減し、ベルト費用や交換作業による維持管理面での手間を大きく低減することができる裏掻式スクリーン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の裏掻式スクリーン装置は、バースクリーンの下流側に循環駆動するレーキを配設し、バースクリーンで捕捉したごみをレーキにより裏側から掻き揚げるようにした裏掻式スクリーン装置において、レーキが反転するバースクリーン底部の前面に、ブラシ毛をレーキの駆動方向としてバースクリーンへのごみの侵入を防止するブラシを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の裏掻式スクリーン装置によれば、バースクリーンの下流側に循環駆動するレーキを配設し、バースクリーンで捕捉したごみをレーキにより裏側から掻き揚げるようにした裏掻式スクリーン装置において、レーキが反転するバースクリーン底部の前面に、ブラシ毛をレーキの駆動方向としてバースクリーンへのごみの侵入を防止するブラシを設けることから、バースクリーン底部へのごみの侵入を阻止し、反転するレーキとバースクリーンとの間のごみの噛込を防止するとともに、ブラシに捕捉されたごみは、レーキが反転を完了した時点でこれを掻き揚げて排出することができる。
これにより、駆動ベルトの交換頻度が大幅に減るため、ベルト費用や何より交換作業による維持管理面での手間を大きく低減させることができ、また、ベルト破損により生じていたバースクリーンからの汚水オーバーフロー現象もなくなり、水処理系への影響も大きく減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の裏掻式スクリーン装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1〜図2に、本発明の裏掻式スクリーン装置の一実施例を示す。
この裏掻式スクリーン装置は、バースクリーン1の下流側に、循環駆動するレーキ2を配設し、バースクリーン1で捕捉したごみをレーキ2により裏側から掻き揚げるようにしている。
そして、この裏掻式スクリーン装置は、レーキ2が反転するバースクリーン底部の前面に、ブラシ毛をレーキ2の駆動方向としてバースクリーン1へのごみの侵入を防止するブラシ3を配設している。
【0011】
バースクリーン1は、帯状のスクリーンバー11を多数平行に配設した固定式のものからなり、これにより微細目のスクリーンを形成している。
このバースクリーン1は、周囲のフレーム12に支持された状態で、上部が下流側に傾斜するように流路や取水口に設置される。
【0012】
レーキ2は、バースクリーン1の隙間に挿入される多数のレーキ歯を備えた組立体(図示省略)を複数備え、これら複数の組立体を両側の環状の駆動ベルト4に架け渡すようにして等間隔で配設している。
駆動ベルト4は、上下のスプロケット41の間に架設されており、駆動モータ42によって図では時計回りに循環駆動する。
レーキ2は、この駆動ベルト4により循環駆動し、バースクリーン1の底部で反転してスクリーンバー11の隙間に挿入され、バースクリーン1で捕捉されたごみを裏側から掻き揚げた後、バースクリーン1の上方で再び反転し、掻き揚げたごみを排出する。
【0013】
このような裏掻式スクリーン装置においては、スクリーンとレーキ2の間に來雑物が挟まり、その過負荷により駆動ベルト4が損傷するという裏掻式特有の欠点がある。
この噛込現象の大半は、バースクリーン1の底部、特にレーキ2が反転する位置Aで生じることが多い。
言い換えれば、バースクリーン1の底部に布きれ等の粗ごみを侵入させなければ、この噛込現象を激減させることが可能である。
そこで、本実施例では、バースクリーン底部の前面にブラシ3を設置し、バースクリーン底部への布きれ等の侵入を防ぎ、レーキ2が反転完了する部分でこれらを掻き揚げる構造とした。
これによって、レーキ反転部での噛込はほぼゼロとなり、駆動ベルト4の交換頻度を大幅に減らすことができる。
また、ブラシ3の素材は66ナイロン等の一般的なものでよく、取り付けもブラケット31を介してバースクリーン1の外側から容易にできるため、既設の裏掻式スクリーン装置にも追加で容易に設置することができる。
【0014】
ブラシ3は、ブラケット31に固定される基部側がバースクリーン1から離隔するとともに、先端側がバースクリーン1に接するように斜めに配設されており、これにより、ブラシ3に捕捉されたごみをレーキ2が反転完了する位置で掻き揚げやすいようにしている。
【0015】
かくして、本実施例の裏掻式スクリーン装置は、バースクリーン1の下流側に循環駆動するレーキ2を配設し、バースクリーン1で捕捉したごみをレーキ2により裏側から掻き揚げるようにした裏掻式スクリーン装置において、レーキ2が反転するバースクリーン底部の前面に、ブラシ毛をレーキ2の駆動方向としてバースクリーン1へのごみの侵入を防止するブラシ3を設けることから、バースクリーン底部へのごみの侵入を阻止し、反転するレーキ2とバースクリーン1との間のごみの噛込を防止するとともに、ブラシ3に捕捉されたごみは、レーキ2が反転を完了した時点でこれを掻き揚げて排出することができる。
これにより、駆動ベルトの交換頻度が大幅に減るため、ベルト費用や何より交換作業による維持管理面での手間を大きく低減させることができ、また、ベルト破損により生じていたバースクリーン1からの汚水オーバーフロー現象もなくなり、水処理系への影響も大きく減らすことができる。
【0016】
以上、本発明の裏掻式スクリーン装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の裏掻式スクリーン装置は、レーキ反転部への粗ごみの噛込を防止することにより、駆動ベルトの交換頻度を大幅に削減し、ベルト費用や交換作業による維持管理面での手間を大きく低減するという特性を有していることから、例えば、下水分野や食品分野の裏掻式スクリーン装置の用途に広く好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の裏掻式スクリーン装置を示し、(a)はその下部を示す側面図、(b)は同正面図である。
【図2】同裏掻式スクリーン装置を示し、(a)はその概略を示す正面図、(b)は同側面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 バースクリーン
11 スクリーンバー
12 フレーム
2 レーキ
3 ブラシ
31 ブラケット
4 駆動ベルト
41 スプロケット
42 駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バースクリーンの下流側に循環駆動するレーキを配設し、バースクリーンで捕捉したごみをレーキにより裏側から掻き揚げるようにした裏掻式スクリーン装置において、レーキが反転するバースクリーン底部の前面に、ブラシ毛をレーキの駆動方向としてバースクリーンへのごみの侵入を防止するブラシを設けたことを特徴とする裏掻式スクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−57782(P2009−57782A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227451(P2007−227451)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)