説明

補助眼鏡

【課題】ボルトやばねを利用することなく、簡単な構成でレンズを任意の跳ね上げ位置に停止させることのできる補助眼鏡を得る。
【解決手段】 左右のレンズ11の各々に設けられ、眼鏡のフロント部分の上端縁と係合する第一の係合部材131と、この第一の係合部材131をレンズ11に対して回動自在に取り付ける取付部材130と、左右の第一の係合部材131を連結するとともに、第一の係合部材131を弾発する連結部材132,135と、この連結部材と一体に設けられ、前記フロント部分の外周縁に沿って延びる少なくとも一つの弾性脚132と、この弾性脚132に設けられ、前記フロント部分の外周縁と係合する少なくとも一つの第二の係合部材132aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡のフロント部分に着脱自在かつ跳ね上げ自在に取り付けられる補助眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡のフロント部分に着脱自在かつ跳ね上げ自在に取り付けられる補助眼鏡が知られている。なお、この明細書において「跳ね上げ」には、フロント部分の上端縁に回転軸を有し、補助眼鏡のレンズを上方に跳ね上げる「跳ね上げ」の他、下端縁に回転軸を有し、補助眼鏡のレンズを下方に跳ね下げる「跳ね下げ」の概念も含むものとする。
このような補助眼鏡は、着用した眼鏡に偏光機能や防眩機能等の他の機能を簡単に追加することができることから、多くの利用者に愛用されている。また、このような跳ね上げ式の補助眼鏡については、従来より多数の提案がなされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
ところで、跳ね上げ機構を有する補助眼鏡においては、上部にヒンジを取りつける必要があることから、従来の補助眼鏡は上部に左右のレンズを連結するバーが設けられている(例えば、特許文献1の符号2,特許文献2の符号1,特許文献3の符号4参照)。
しかし、眼鏡のファッション化が進んだ近年では、補助眼鏡を眼鏡に装着した際に、前記バーが目立って外観上好ましくないという問題がある。
【0004】
また、跳ね上げ機構は、蝶番の摩擦を利用して任意の跳ね上げ位置で補助眼鏡のレンズを停止させることができるようにしているが、前記の摩擦はヒンジとレンズとを連結するボルトの締結力によって調整している。
しかし、跳ね上げ動作を繰り返すうちに蝶番の前記ボルトが緩んで摩擦が小さくなり、補助眼鏡のレンズを所望の跳ね上げ位置で停止させることができなくなるという問題がある。また、ボルトの代わりに、ばねの付勢力によって摩擦力を生じさせるものも提案されているが(例えば、特許文献3,4参照)、ばねを用いる分だけ部品点数が多くなって構成が複雑になり、価格も高くなるという問題がある。
【特許文献1】特開平9−281451号公報
【特許文献2】特開2003−241149号公報
【特許文献3】実用新案登録第3116294号公報
【特許文献4】特開2005−345880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、第一に、左右のレンズを連結するためのバーが正面に現れず、一本ブリッジですっきりした外観の補助眼鏡の提供、第二に、ボルトの締結力やばねを利用することなく、簡単な構成でレンズを任意の跳ね上げ位置で停止させることができ、かつ、跳ね上げ動作を繰り返しても緩みが生じにくい補助眼鏡の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、眼鏡のフロント部分に着脱自在かつ跳ね上げ自在に取り付けられ、左右一対のレンズを有する補助眼鏡において、前記左右のレンズの各々に設けられ、前記眼鏡のフロント部分の上端縁又は下端縁と係合する第一の係合部材と、この第一の係合部材を前記レンズに対して回動自在に取り付ける取付部材と、左右の前記第一の係合部材を連結する連結部材と、前記フロント部分の外周縁に沿って延びる少なくとも一つの弾性脚と、この弾性脚に設けられ、前記フロント部分の外周縁と係合する少なくとも一つの第二の係合部材と、左右の前記レンズを連結するブリッジとを有し、前記ブリッジを前記眼鏡のブリッジに対応する部分に設け、前記連結部材を、前記眼鏡のブリッジ又は補助眼鏡のブリッジに対応する位置に配置した構成としてある。
この場合、補助眼鏡のブリッジは、眼鏡のブリッジよりも幅広に形成するとよい。
このようにすることで、眼鏡に補助眼鏡を装着した際に、補助眼鏡のブリッジで連結部材及び眼鏡のブリッジを隠すことができ、補助眼鏡を装着した際の眼鏡のデザインをすっきりしたものとすることができる。
【0007】
本発明の第二の目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、眼鏡のフロント部分に着脱自在かつ跳ね上げ自在に取り付けられ、左右一対のレンズを有する補助眼鏡において、前記左右のレンズの各々に設けられ、前記眼鏡のフロント部分の上端縁又は下端縁と係合する第一の係合部材と、この第一の係合部材を前記レンズに対して回動自在に取り付ける取付部材と、左右の前記第一の係合部材を連結するとともに、前記第一の係合部材を弾発する連結部材と、この連結部材と一体に設けられ、前記フロント部分の外周縁に沿って延びる少なくとも一つの弾性脚と、この弾性脚に設けられ、前記フロント部分の外周縁と係合する少なくとも一つの第二の係合部材とを有する構成としてある。
この場合、請求項3に記載するように、前記第一の係合部材が前記連結部材を介して前記取付部材に常時弾発されている構成とするとよい。例えば、前記連結部材を湾曲又は屈曲させたり、第一の係合部材間の距離より若干大きい又は若干小さい寸法の連結部材を用いることで、第一の係合部材を取付部材に常時付勢することが可能になる。
なお、請求項4に記載するように、前記第一の係合部材を、前記取付部材に回動自在に支持される基部と、前記フロント部分に係合する爪部とから構成してもよい。このようにすることで、第一の係合部材のうち基部のみを取付部材に押し付けるようにして摩擦抵抗を発生させ、爪部を取付部材の外部、例えば連結部材や、第一の係合部材と一体になって回転する回転軸に設けることができる。
【0008】
本発明の補助眼鏡は、第一の係合部が眼鏡のフロント部分の上端縁又は下端縁に係合し、第二の係合部が眼鏡の外周縁と係合することで、眼鏡に装着される。第一の係合部はレンズに対して回動自在であり、第二の係合部材も連結部材及び弾性脚とともにレンズに対して回動自在であるから、補助眼鏡は、眼鏡に装着した状態で左右のレンズを跳ね上げることができる。また、補助眼鏡を眼鏡に装着した際及び補助眼鏡のレンズを跳ね上げる際には、補助眼鏡には左右のレンズを遠ざけようとする力(又はこの逆の力)が作用し、結果として連結部材を介して、第一の係合部が取付部材に弾発され、回転抵抗を生じさせる。そのため、レンズを任意の跳ね上げ位置で停止させることができるようになる。このように、本発明では、ボルト等の締結手段やばね等の付勢手段を用いずに、左右の第一の係合部材を連結する連結部材によって跳ね上げの際の摩擦抵抗を与えているので、補助眼鏡を長期に亘って使用しても緩みが生じることがない。
【0009】
請求項5に記載するように、前記連結部材は、前記眼鏡のブリッジに対応する位置に配置してもよい。
このようにすることで、補助眼鏡を眼鏡に装着した際に、連結部材を補助眼鏡のブリッジで隠すことができ、補助眼鏡を装着した際の眼鏡のデザインをすっきりしたものとすることができる。
【0010】
請求項6に記載の発明は、前記連結部材の一端を折り返して折り返し端部を形成し、この折り返し端部を前記取付部材の軸孔に挿入して前記第一の係合部材の回転軸として構成し、かつ、前記連結部材と前記第一の係合部材とを固定した構成としてある。
このようにすることで、別体の回転軸を用いずに、第一の係合部材を回動させる蝶番を構成することができる。
この場合、請求項7に記載するように、前記連結部材の前記折り返し端部と対向する部分を前記取付部材の外周面に押し付けるようにしてもよい。
このようにすることで、前記連結部材と前記取付部材の外周面との摩擦が、レンズを跳ね上げる際の摩擦抵抗を増大させる。
【0011】
上記したように、本発明では、レンズを任意の跳ね上げ位置で安定的に停止させることができるが、レンズを位置決め固定する際に、カチッとした確実な手応えを求めるユーザも存在する。
そこで、請求項8に記載の発明は、前記取付部材の外周面に凹部を形成し、前記レンズを所定の跳ね上げ位置まで回動させたときに、前記連結部材が前記凹部に嵌合することで前記レンズを前記所定の跳ね上げ位置で位置決め固定する構成としてある。
このようにすることで、跳ね上げ回動の上限位置及び下限位置の両方で、連結部材が凹部に嵌合し、確実な手応えでレンズを位置決め固定することができる。
なお、このような凹部は、請求項9に記載するように、記取付部材の外周面に沿って移動する前記連結部材の経路の両端及び途中に、前記凹部を複数設けてもよい。
このようにすることで、前記上限及び下限だけでなく、跳ね上げ回動の途中部位において、確実な手応えでレンズを位置決め固定することができる。
なお、請求項10に記載の発明のように、前記取付部材の外周面における前記連結部材が移動する経路の曲率中心を、前記第一の係合部材の回動中心から偏心させることによっても、跳ね上げ回動の上限位置及び下限位置の両方において、確実な手応えでレンズを位置決め固定することができる。
【0012】
請求項11に記載の発明は、左右のレンズを連結するブリッジ(補助眼鏡のブリッジ)を、前記眼鏡のブリッジに対応する位置に設けるとよい。この場合、補助眼鏡のブリッジは、眼鏡のブリッジよりも幅広に形成するとよい。
このようにすることで、眼鏡に補助眼鏡を装着した際に、補助眼鏡のブリッジで連結部材及び眼鏡のブリッジを隠すことができ、補助眼鏡を装着した際の眼鏡のデザインをすっきりしたものとすることができる。
また、ブリッジを介して左右のレンズを同時に跳ね上げ回動させることができるので、連結部材に作用する負荷を軽減することができ、連結部材を小径にして、より目立たなくすることができる。さらに、ブリッジを介して左右のレンズが一体的に回動するので、左右のレンズの回動動作のずれを解消して、跳ね上げの際の補助眼鏡の歪み(捩れ)を無くすことができる。
【0013】
左右の第一の係合部材間に架け渡される連結部材は、一本の棒状部材から形成されていてもよく、この場合は、前記棒状部材を部分的に湾曲又は屈曲させることで、補助眼鏡のブリッジの背面に連結部材を隠すことができる。
前記連結部材は、弾性脚と別体に構成してもよいが、弾性脚の一部を構成するものとしてもよい。すなわち、請求項12に記載するように、前記連結部材を、前記第一の係合部材に取り付けられた前記弾性脚の一部と、左右の前記弾性脚を接続する接続部材とから構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、左右のレンズを連結するためのバーが外観に現れず、すっきりしたデザインの補助眼鏡を得ることができる。また、ボルト等の締結手段やばねを利用することなく、簡単な構成でレンズを任意の跳ね上げ位置に停止させることができる。また、跳ね上げ動作を繰り返しても緩みが生じにくい補助眼鏡を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の補助眼鏡の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の補助眼鏡の一実施形態にかかり、(a)はその正面、(b)は(a)のI-I方向矢視図、図2は、図1の補助眼鏡の平面図である。
【0016】
図1に示すように、補助眼鏡1は、防眩レンズや偏光レンズ等で形成された左右のレンズ11,11と、この左右のレンズ11,11を連結する帯状のブリッジ12(眼鏡のブリッジと区別する必要がある場合には「補助眼鏡のブリッジ12」と記載する)と、補助眼鏡1を眼鏡のフロント部分に着脱自在に装着するための装着具13とを有している。レンズ11,11は、防眩レンズや偏光レンズ等の機能レンズとすることができる。
【0017】
補助眼鏡のブリッジ12は、眼鏡のブリッジに対応する位置に設け、かつ、眼鏡のブリッジ12よりも広幅に形成する。そして、補助眼鏡1を眼鏡に装着した際に、眼鏡のブリッジと補助眼鏡のブリッジ12とが前後に重なって、補助眼鏡のブリッジ12で眼鏡のブリッジが隠されるようにする。
補助眼鏡のブリッジ12は、左右のレンズ11,11と別体に形成して、その両端をボルト等でレンズ11,11に取り付けるようにしてもよいし、樹脂製のブリッジ12と樹脂製のレンズ11,11とをプレス成形等で一体に形成するようにしてもよい。
【0018】
この実施形態の装着具13は、左右のレンズ11,11のそれぞれにボルト等で取り付けられる平面視して略コの字状のブラケット130,130と、このブラケット130,130の溝中に回動自在に支持され、先端が眼鏡のフロント部分に引っ掛けられるようにフック状に折り曲げられた第一の係合部材としての係合爪131,131と、この係合爪131,131に取り付けられ、眼鏡のレンズ部分の前面内側縁に沿って下方に弧状に延びる弾性脚132,132と、この弾性脚132,132の一端に形成され、眼鏡のレンズの内側縁に引っ掛けられる第二の係合部材としてのフック状の係合爪132aとを有している。
【0019】
弾性脚132,132は、チタンやステンレス等の弾性を有する金属線から形成されている。左右の弾性脚132,132は、その途中部位で、チタンやステンレス等の弾性を有する金属線から形成された接続部材135により銀鑞付け等で接合されている。接続部材135は、補助眼鏡のブリッジ12に相当する位置に配置されている。そのため、補助眼鏡1を眼鏡に装着した際に、接続部材135は眼鏡のブリッジと補助眼鏡のブリッジ12との間に位置していて、眼鏡の外観となって現れない。
この実施形態では、弾性脚132,132の一部と、接続部材135とで、左右の係合部材131,131を連結する連結部材を構成する。
【0020】
図2は、ブラケット130,130及び係合爪131,131と連結部材(この図において符号136で示す)との関係を説明する補助眼鏡1の平面図である。
補助眼鏡1は、全体として平面視して円弧状に形成され、曲率半径Rの円弧C上に左右のレンズ11,11が配置されている。
一方、左右のブラケット130,130は、平面視して略コの字状に形成され、レンズ11,11の上端縁のほぼ中央に取り付けられる。また、連結部材136は、図2に示すように、ブラケット130,130の溝の軸線が平行になるように、かつ、係合爪131,131間の距離Lが一定に保たれるように、係合爪131,131を連結する。なお、このとき、連結部材136で係合爪131,131を常時弾発するように係合爪131,131を連結するのが好ましい。
【0021】
円弧状に湾曲した補助眼鏡1を、係合爪131,131の回動中心を支点として眼鏡に対して跳ね上げ回動させると、補助眼鏡1を歪ませようとする力が補助眼鏡1の全体に作用し、連結部材136には圧縮方向又は引っ張り方向に力が作用する。この力によって係合爪131,131は左右のブラケット130,130の溝内壁面に押し付けられ、この際に生じる摩擦が補助眼鏡1を回動させる際の抵抗となって、補助眼鏡1を任意の跳ね上げ位置で停止させることができるわけである。
【0022】
この実施形態において、弾性脚132,132の他端には、他端の一部を互いに向き合う方向に180°折り返して、折り返し部132b,132bが形成されている。そして折り返し部132b,132bの先端をブラケット130,130に挿通させ、係合爪131,131の回動軸として構成している。
【0023】
図3は、弾性脚132の他端部分の詳細を説明する拡大斜視図である。
折り返し部132bは、ブラケット130の一側から他側までを挿通し、係合爪131の回動軸を成している。また、係合爪131と弾性脚132とは鑞付部131aで鑞付けされていて、折り返し部132bを軸として係合爪131と弾性脚132とが一体に回動するようになっている。
【0024】
なお、鑞付部131aの前後で、弾性脚132の一部をブラケット130の外周面に弾発接触させるとよい。このようにすることで、レンズ11,11を眼鏡に対して回動させる際に、係合爪131,131とブラケット130の内壁面との摩擦抵抗に、弾性脚132の一部とブラケット130の外周面との摩擦抵抗を付加することができ、より安定的にレンズ11,11を任意の跳ね上げ位置で停止させることできる。
【0025】
また、図4(a)に示すように、弾性脚132がブラケット130に沿って移動する経路の両端に、弾性脚132が嵌合する凹部130b,130cを形成するとよい。
このような凹部130b,130cを形成することで、図4(b)に示すように、レンズ11,11を跳ね上げたときに弾性脚132が凹部130bに嵌合してレンズ11がカチッという手応え感で跳ね上げ位置に固定され、レンズ11,11を下限位置まで下げたときに弾性脚132が凹部130cに嵌合して、レンズ11,11がカチッという手触り感で当該下限位置に固定される。
【0026】
図5は、確実な手応え感でレンズ11,11を跳ね上げの上限位置と下限位置に位置させることのできる別の機構を説明する図である。
図5に示すように、ブラケット130の外周面130dの曲率中心(図中×印で示す)は、係合爪131の回動中心に対して、ブラケット130の軸線と平行方向に僅かに偏心した位置にある。これにより、レンズ11,11を跳ね上げる際に、弾性脚132は係合爪131の回動中心から遠ざかりつつ移動する。そして、前記経路のほぼ中央を越えると、今度は係合爪131の回動中心に接近しつつ移動し、その終端でカチッとした手応えでロックされる。
なお、図4及び図5で示したロック機構は、それぞれ単独で用いてもよいが、両者を組み合わせて用いることも可能である。
【0027】
図6は、上記構成の補助眼鏡1を眼鏡に装着した状態を示す図で、(a)はその正面図、(b)は補助眼鏡を下限位置まで下げたときの(a)のI-I方向矢視図、(c)は補助眼鏡を跳ね上げたときの(a)のI-I方向矢視図である。
なお、この図では、眼鏡2を実線で示し、補助眼鏡1は仮想線で示してある。
図6において符号2はフルリムの眼鏡で、符号22はレンズ21,21を嵌め込んだフロント部分、符号23はフロント部分22の両側に取り付けられた智、符号24は鼻パッド、符号25は左右のレンズ21,21を連結するブリッジである。
【0028】
眼鏡2への補助眼鏡1の装着は、装着具13の係合爪131,131を眼鏡2のフロント部分22に上端縁に引っ掛け、係合爪132a(図1参照)をフロント部分22の内周縁に引っ掛けることによって行う。
このとき、補助眼鏡1を撓ませる方向に力が作用すると、この力は連結部材136(図2参照)を介して係合爪131,131に伝達され、係合爪131,131をブラケット130,130の内壁面に押し付けて摩擦抵抗を発生(又は増大)させる。
【0029】
補助眼鏡1を眼鏡2に装着すると、眼鏡のブリッジ25は補助眼鏡のブリッジ12の背後に隠れ、かつ、連結部材136は眼鏡のブリッジ25と補助眼鏡のブリッジ12との間に位置する。そのため、補助眼鏡1を装着した後の眼鏡2においては、図6(a)に示すように、正面からは眼鏡のブリッジ25及び連結部材136は視認することができず、補助眼鏡のブリッジ12だけのすっきりしたデザインを得ることができる。
【0030】
(c)に示すように、レンズ11,11を跳ね上げると、前述したように補助眼鏡1には、係合爪131,131を互いに接近又は離間させる方向に力が作用する。この力は、連結部材136を介して係合爪131,131とブラケット130,130との間の摩擦抵抗を生じさせ、これによりレンズ11,11を、任意の跳ね上げ位置で停止させることができる。
【0031】
図7及び図8は本発明の補助眼鏡の他の実施形態にかかり、ブラケット部分の拡大斜視図である。
上記の実施形態では、連結部材136(弾性脚132,132)の一端を折り返した折り返し部132bで係合爪131の回転軸を構成しているが、本発明では、図7に示すように、連結部材136(弾性脚132)とは別体の軸138をブラケット130に支持させ、この軸138を中心に係合爪131が回動するように構成してもよい。軸138は係合爪131と別体のものであってもよいし、一体のものであってもよい。
【0032】
また、図8に示すように、係合爪131を、フレームに係合する爪部131c′とブラケット130に回転自在に支持される基部131b′とに分けて構成してもよい。
このようにすることで、図8に示すように、爪部131c′をブラケット130の外側の、例えば連結部材136(弾性脚132)に取り付けつつ、連結部材136(弾性脚132)によって基部131b′をブラケット130に押し付けて摩擦抵抗を発生させることができる。
なお、図8のように構成することで、例えば、図7の連結部材136(弾性脚132)に爪部131c′を取り付けてもよいし、基部131b′と軸138とを一体に構成し、この軸138に爪部131c′を取り付けてもよい。
【0033】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記の説明では、連結部材136を弾性脚132,132の上端側の一部と、左右の弾性脚132,132を接続する接続部材135とから構成しているが、連結部材136は弾性脚132,132とは別体に構成してもよく、連結部材の一部を湾曲又は屈曲させて形成してもよい。
【0034】
また、請求項2に記載の発明においては、補助眼鏡のブリッジは必ずしも必要ではない。そして、補助眼鏡のブリッジを無くすことで、左右のレンズ11,11を個別に跳ね上げるようにすることが可能になる。
さらに、上記の説明では、フロント部分の上端縁に係合爪131,131を係合させるようにしているが、係合爪131,131をフロント部分の下端縁に係合させるように構成することも可能である。このようにすることで、いわゆる「跳ね下げ」形の補助眼鏡を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の補助眼鏡は、眼鏡のフロント部分に着脱自在かつ跳ね上げ自在であれば、偏光機能や防眩機能に限らず、他の機能を有する補助眼鏡にも適用が可能である。また、本発明の補助眼鏡は、リムレス、ナイロール、フルリム、ハーフリムのいずれにも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の補助眼鏡の一実施形態にかかり、(a)はその正面、(b)は(a)のI-I方向矢視図である。
【図2】ブラケット及び係合爪と連結部材との関係を説明する補助眼鏡1の平面図である。
【図3】折り返し部の詳細を説明する部分拡大斜視図である。
【図4】連結部材が凹部に嵌合する様子を説明する図である。
【図5】レンズを跳ね上げの上限位置と下限位置とに位置させることのできる別の構成を説明する図である。
【図6】(a)は、上記構成の補助眼鏡を眼鏡に装着した状態を説明する正面図、(b)は補助眼鏡1を跳ね上げる前の状態を示す側面図、(c)は補助眼鏡1を跳ね上げた状態を示す側面図である。
【図7】連結部材とは別体の軸で係合爪を回動自在に支持させた他の実施形態を示す主要部の部分拡大斜視図である。
【図8】係合爪を爪部と基部とで構成した一例にかかり、爪部をブラケットの外側で連結部材に取り付けた実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 補助眼鏡
11 レンズ
12 (補助眼鏡の)ブリッジ
13 装着具
130 ブラケット(取付部材)
130b、130c 凹部
130d 外周面
131 係合爪(第一の係合部材)
131a 鑞付部
131b′ 基部
131c′ 爪部
132 弾性脚
132a 係合爪(第二の係合部材)
132b 折り返し部
2 眼鏡
21 レンズ
22 フロント部分
23 智
24 鼻パッド



【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡のフロント部分に着脱自在かつ跳ね上げ自在に取り付けられ、左右一対のレンズを有する補助眼鏡において、
前記左右のレンズの各々に設けられ、前記眼鏡のフロント部分の上端縁又は下端縁と係合する第一の係合部材と、
この第一の係合部材を前記レンズに対して回動自在に取り付ける取付部材と、
左右の前記第一の係合部材を連結する連結部材と、
前記フロント部分の外周縁に沿って延びる少なくとも一つの弾性脚と、
この弾性脚に設けられ、前記フロント部分の外周縁と係合する少なくとも一つの第二の係合部材と、
左右の前記レンズを連結するブリッジとを有し、
前記ブリッジを前記眼鏡のブリッジに対応する部分に設け、前記連結部材を、前記眼鏡のブリッジ又は補助眼鏡のブリッジに対応する位置に配置したこと、
を特徴とする補助眼鏡。
【請求項2】
眼鏡のフロント部分に着脱自在かつ跳ね上げ自在に取り付けられ、左右一対のレンズを有する補助眼鏡において、
前記左右のレンズの各々に設けられ、前記眼鏡のフロント部分の上端縁又は下端縁と係合する第一の係合部材と、
この第一の係合部材を前記レンズに対して回動自在に取り付ける取付部材と、
左右の前記第一の係合部材を連結するとともに、前記第一の係合部材を弾発する連結部材と、
この連結部材と一体に設けられ、前記フロント部分の外周縁に沿って延びる少なくとも一つの弾性脚と、
この弾性脚に設けられ、前記フロント部分の外周縁と係合する少なくとも一つの第二の係合部材とを有すること、
を特徴とする補助眼鏡。
【請求項3】
前記第一の係合部材が前記連結部材を介して前記取付部材に常時弾発されていることを特徴とする請求項2に記載の補助眼鏡。
【請求項4】
前記第一の係合部材を、前記取付部材に回動自在に支持される基部と、前記フロント部分に係合する爪部とから構成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の補助眼鏡。
【請求項5】
前記連結部材を、前記眼鏡のブリッジ又は補助眼鏡のブリッジに対応する位置に配置したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の補助眼鏡。
【請求項6】
前記連結部材の一端を折り返して折り返し端部を形成し、この折り返し端部を前記取付部材の軸孔に挿入して前記第一の係合部材の回転軸として構成し、かつ、前記連結部材と前記第一の係合部材とを固定したことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の補助眼鏡。
【請求項7】
前記連結部材の前記折り返し端部と対向する部分を前記取付部材の外周面に摺接させたことを特徴とする請求項6に記載の補助眼鏡。
【請求項8】
前記取付部材の外周面に凹部を形成し、前記レンズを所定の跳ね上げ位置まで回動させたときに、前記連結部材が前記凹部に嵌合することで前記レンズを前記所定の跳ね上げ位置で位置決め固定することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の補助眼鏡。
【請求項9】
前記取付部材の外周面に沿って移動する前記連結部材の経路の両端及び途中に、前記凹部を複数設けたことを特徴とする請求項8に記載の補助眼鏡。
【請求項10】
前記取付部材の外周面における前記連結部材が移動する経路の曲率中心を、前記第一の係合部材の回動中心から偏心させたことを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の補助眼鏡。
【請求項11】
左右のレンズをブリッジで連結し、このブリッジを前記眼鏡のブリッジに対応する部分に設けたことを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の補助眼鏡。
【請求項12】
前記連結部材が、前記第一の係合部材に取り付けられた前記弾性脚の一部と、左右の前記弾性脚を接続する接続部材とから構成されていることを特徴とする請求項2〜11のいずれか記載の補助眼鏡。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−60714(P2010−60714A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224829(P2008−224829)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(506061901)
【出願人】(301068789)株式会社三興 (4)