説明

補助階段を備えたボーディングブリッジ

【課題】種々の航空機に着脱可能であり、かつ、安全性の高いボーディングブリッジを提供する。
【解決手段】ボーディングブリッジ12のロータンダ4側に補助階段32が取り付けられている。補助階段32は、トンネル部5の最縮時に、トンネル部5が伸縮する方向と平行の方向に関して、補助階段32のキャブ6側の端部32dがドライブコラム8よりもロータンダ4側に位置するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助階段を備えたボーディングブリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、航空機の乗降装置として、ボーディングブリッジがよく用いられている。ボーディングブリッジは、空港のターミナルビルと航空機とを連絡するトンネル状の歩行通路であり、ターミナルビルと航空機との間での乗客の直接の乗り降りを可能にするものである。
【0003】
一般にボーディングブリッジは、ターミナルビルの乗降口に接続された回転自在なロータンダと、ロータンダに固定された伸縮自在なトンネル部と、トンネル部の先端に設けられた回転自在なキャブとを備えている。トンネル部のやや先端側には、昇降機構を有する支持脚として、鉛直方向に延びる左右一対のドライブコラムが設けられている。
【0004】
上記ボーディングブリッジには、整備士やボーディングブリッジの操作者等が昇降するための補助階段が備えられたものがある。この種の補助階段は、通常、伸縮自在なトンネル部のキャブに近い部分に取り付けられ、ロータンダ側に向かって所定の角度以下の勾配を保ちつつ、一直線に下降するように設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、ボーディングブリッジは、キャブを航空機の乗降口に接続することにより、航空機とターミナルビルとを連絡し、乗客の乗り降りを可能とするものである。しかし、航空機の乗降口の高さは航空機ごとに異なる。そのため、ボーディングブリッジは、多くの種類の航空機に着脱可能とするため、トンネル部を支持するドライブコラムに昇降機構を設け、キャブの鉛直方向の高さを航空機の乗降口の高さに合わせて、自在に上下動するようになっている。
【0006】
補助階段の上部は、キャブ近くのトンネル部に対して水平軸回りに回動自在に連結され、キャブを上下動させると、補助階段は連結部分を支点として回動する。これにより、補助階段は、その上端部がトンネル部に追従して上下動する一方、その下端部が常に地面と接することにより、地面とトンネル部とをつなぐ階段として機能するようになっている。この際、キャブの上下位置に応じて、補助階段の勾配は変化する。すなわち、キャブの位置が低いと補助階段の勾配は小さくなり、逆に、キャブの位置が高くなると補助階段の勾配は大きくなる。
【0007】
ところで、補助階段の踏板が桁板に回動不能に固定されていると、補助階段の勾配の変化にしたがって踏板の勾配も変化する。その結果、補助階段の勾配が大きくなると、踏板の勾配も大きくなり、整備士等が円滑に上り下りすることが難しくなる。そのため、従来の補助階段では、一対の桁板に複数の踏板をピン接合したリンク構造を採用し、補助階段の勾配が大きくなっても踏板の勾配が大きくならないようにしていた。
【0008】
しかし、近年、大型の航空機や2階席用の乗降口が形成された航空機等が出現し、乗降口が従来よりも高い位置に設けられることがある。このような航空機に装着するためには、キャブの高さを、従来よりも一層高所まで上げなければならず、従来の補助階段で対応すると、勾配を急にせざるを得ない。一方、ボーディングブリッジに取り付けられる補助階段は、通常、安全に昇降できる勾配として規定された所定角度(例えば40度)以下の角度に設計されることが望ましいとされている。そこで、乗降口の高い航空機に装着可能であり、かつ、補助階段の勾配を規定角度以下に保つ方策として、補助階段の桁板方向の長さを長くすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−291896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、単に補助階段の桁板方向の長さを長くした(以下、「補助階段の長尺化」と表現する)だけでは、トンネル部の最縮時(トンネル部が最も縮んだ状態の時を指す)に、補助階段とターミナルビルの基礎部分やその他ターミナルビル付近の設備等との干渉が懸念される。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、種々の航空機に着脱可能であり、かつ、安全性の高いボーディングブリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るボーディングブリッジは、ターミナルビルの乗降口に接続されたロータンダと、一端が前記ロータンダに対して上下方向に揺動自在に接続され、複数の筒状体からなる伸縮自在なトンネル部と、前記トンネル部の他端に設けられ、航空機の乗降口に着脱されるキャブと、前記トンネル部を直接的または間接的に支持し、下端部に車輪が取り付けられたドライブコラムと、前記トンネル部または前記キャブを昇降させることにより前記キャブを上下動させる昇降装置と、を備えたボーディングブリッジであって、前記ボーディングブリッジの前記ロータンダ側に補助階段が取り付けられ、前記補助階段は、前記トンネル部の最縮時に、前記トンネル部が伸縮する方向と平行の方向に関して、前記補助階段の前記キャブ側の端部が前記ドライブコラムよりも前記ロータンダ側に位置するように構成されているものである。
【0013】
上記ボーディングブリッジによれば、キャブの上昇量が大きくても、補助階段の取付部はそれほど上昇することはない。したがって、補助階段を長尺化しなくても、勾配が急になることはない。そのため、補助階段の勾配を規定角度以下に抑えつつ、乗降口の高い航空機に装着可能とすることができる。また、補助階段の勾配を抑えることができ、あるいは、補助階段と他の設備等との干渉を避けることができるので、安全性を向上させることができる。
【0014】
また、上記ボーディングブリッジによれば、トンネル部が最も縮んだ状態においてもドライブコラムと補助階段とは干渉しない。したがって、ボーディングブリッジの安全性の向上を図ることができる。
【0015】
前記補助階段は、複数の踏板部材と前記踏板部材を支持する一対の桁板とを少なくとも備え、複数の前記踏板部材は、前記桁板と一体的に形成されまたは前記桁板に回動不能に固定されていることが好ましい。
【0016】
上記ボーディングブリッジの補助階段では、勾配の変化が少ないので、従来のように、踏板部材と桁板とをリンク構造とする必要がない。したがって、例えば、踏板と桁板とを溶接する等、補助階段の構成をより簡単なものとすることができ、製作の手間を省くことができる。
【0017】
前記補助階段は、第1の方向に向かって下方に傾斜する第1階段部と、第1の方向とは異なる第2の方向に向かって下方に傾斜する第2階段部と、を備えることが好ましい。
【0018】
上記ボーディングブリッジによれば、補助階段がいわゆる折り返し式の階段であるため、補助階段のボーディングブリッジ長手方向の長さの縮小化を図ることができる。したがって、他の設備等との干渉をより確実に防止でき、安全性の向上を図ることができる。また、各階段部の勾配を小さくすることができるので、整備士等はより円滑に上り下りすることができるようになる。
【0019】
前記補助階段は、前記第1階段部と、前記第2階段部とからなり、前記第1階段部の上端部は、前記ボーディングブリッジの側面に取り付けられ、前記第2階段部の上端部は、前記第1階段部の下端部に連続し、前記第1の方向は、平面視において、前記トンネル部が伸びる方向に平行な方向であり、前記第2の方向は、平面視において、前記トンネル部が縮む方向と平行な方向または前記トンネル部が縮む方向と平行な方向となす角が90度以下となるように交差する方向であることが好ましい。
【0020】
上記ボーディングブリッジによれば、補助階段のボーディングブリッジ長手方向の長さをより縮小化することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、種々の航空機に着脱可能であり、かつ、安全性の高いボーディングブリッジを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ボーディングブリッジシステムの平面図である。
【図2】航空機の2階乗降口に接続されるボーディングブリッジの側面図である。
【図3】折り返し式の補助階段の平面図である。
【図4】トンネル部の最縮時における、折り返し式の補助階段とドライブコラムの位置関係を示す側面図である。
【図5】折り返し式の補助階段の背面図である。
【図6】航空機の1階乗降口に接続されるボーディングブリッジの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係るボーディングブリッジシステム1は、空港のターミナルビル2の乗降口に接続された複数のボーディングブリッジ10,11,12を備えている。ボーディングブリッジシステム1は、1階空間23(図2参照)および2階空間24のそれぞれに客席が設けられた航空機20に対応可能である。航空機20の1階空間23には1階乗降口21が設けられ、2階空間24には2階乗降口22がそれぞれ設けられている。ボーディングブリッジ10,11は、1階乗降口21に接続されるように構成され、ボーディングブリッジ12は、1階乗降口21および2階乗降口22のいずれにも接続可能に構成されている。以下の説明では、ボーディングブリッジ10,11は1階乗降口21に接続され、ボーディングブリッジ12は2階乗降口22に接続されるものとする。
【0025】
ボーディングブリッジ10とボーディングブリッジ11とは、同一の構成を有している。ボーディングブリッジ10,11とボーディングブリッジ12とは、ボーディングブリッジ12に後述する折り返し式の補助階段32が取り付けられているのに対し、ボーディングブリッジ10,11には折り返しのない直進式の補助階段31が取り付けられている点において異なる。また、補助階段31,32の取り付け位置についても、ボーディングブリッジ10,11とボーディングブリッジ12とでは異なる。ただし、その他の構成については、ほぼ同様である。
【0026】
そこで、以下では、ボーディングブリッジ12の構成のみを説明し、ボーディングブリッジ10,11の構成についてはボーディングブリッジ12と異なる点のみについて説明する。なお、説明の便宜上、以下、各ボーディングブリッジの航空機20側を前側、ターミナルビル2側を後側とし、後側から前側に向かって右側、左側をそれぞれ単に右側、左側と言うこととする。
【0027】
図2に示すように、ボーディングブリッジ12は、ターミナルビル2の搭乗口に接続されたロータンダ(基部円形室)4と、ロータンダ4に対して上下方向に揺動自在に接続されたトンネル部5と、トンネル部5の先端に鉛直軸回りに回転自在に設けられたキャブ(先端円形室)6とを備えている。なお、ここで「トンネル部5がロータンダ4に対して上下方向に揺動自在に接続」とは、トンネル部5がロータンダ4側を中心として揺動自在なことを言い、トンネル部5のキャブ6側の方がロータンダ4側よりも上下移動量が大きいことを意味する。例えば、トンネル部5がロータンダ4に対して水平軸回りに回転自在に接続されている場合等である。
【0028】
ロータンダ4は、支柱7によって鉛直軸回りに回転自在に支持されている。トンネル部5は、ターミナルビル2と航空機20の乗降口22とをつなぐ歩行通路を形成する伸縮自在な筒状体であり、第1トンネル5aと第2トンネル5bと第3トンネル5cとから構成されている。第3トンネル5cは第2トンネル5bに対しスライド自在に組み立てられており、第2トンネル5bは第1トンネル5aに対しスライド自在に組み立てられている。第3トンネル5cが第2トンネル5bに対してスライドし、第2トンネル5bが第1トンネル5aに対してスライドすることにより、トンネル部5の全体が伸縮する。なお、トンネル部5は、3つのトンネル、第1トンネル5a,第2トンネル5b,第3トンネル5cから構成されることに限定されない。例えば、2つのトンネルから構成されるものであってもよい。
【0029】
第3トンネル5cには、トンネル部5を支持するドライブコラム8が設けられている。ドライブコラム8は、上下方向に伸縮自在な支柱であり、図示しない駆動モータによって伸縮する。このボーディングブリッジ12では、キャブ6が2階乗降口22にまで到達できるように、ドライブコラム8のストロークは長く設定されている。
【0030】
ドライブコラム8の下端部には、駆動輪9が取り付けられている。駆動輪9は、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。この駆動輪9の走行により、ボーディングブリッジ12は、航空機20から離れた待機位置と、航空機20に接続される装着位置(すなわち、図1および図2に示す位置)との間を移動することになる。また、駆動輪9の走行によって、トンネル部5は伸縮することになる。したがって、ドライブコラム8は、トンネル部5を伸縮させる機能も有する。
【0031】
図2に示すように、ドライブコラム8の下端部には、横揺れ防止装置としてアウトリガ50が設けられている。アウトリガ50は、左右一対のシリンダ51、ロッド52および支持台53を備えており、シリンダ51の内部には図示しない電動モータが配置されている。電動モータを駆動すると、ロッド52および支持台53がシリンダ51に対して上下移動する。アウトリガ50は、このような支持台53の上下移動により、駆動輪9が接地した状態のままトンネル部5の支持を補助するものである。
【0032】
第1トンネル5aの右側には、トンネル部5の内部と地上(エプロン)とを連絡する補助階段32が取り付けられている。補助階段32は、途中に踊り場32cが設けられた折り返し式の階段である。図3に示すように、補助階段32は、第1トンネル5aの内部から外部に延伸した床部材30にヒンジピン30a(図4参照)を介して取り付けられている。以下、便宜上、補助階段32のうち、床部材30への取付部分から踊り場32cの折り返し部分まで(図3の下側部分)を上部階段部32a、折り返し後の踊り場32cから地上に至るまでの部分(図3の上側部分)を下部階段部32bと称する。
【0033】
図5に示すように、下部階段部32bは、左右一対の桁板35bと、両桁板35bに両端を溶接された複数の踏板36とを備えている。図4に示すように、下部階段部32bは、支持部材34a,34b,34cに支持されている。詳しくは、桁板35bの下端部は水平に延びる支持部材34aに支持され、踊り場32cの床板の後端部(桁板35bの上端部近傍)は垂直に延びる支持部材34bに支持され、踊り場32cの床板の前端部は、前方斜め上向きに延びる支持部材34cに支持されている。これら支持部材34a,34b,34cは、支持部材34bの下端部で接続されており、この接続部には下方に延びるキャスタ60が取り付けられている。また、桁板35bの下端部にもキャスタ60が取り付けられている。
【0034】
図3に示すように、上部階段部32aはトンネル部5の右側にはみ出しているが、下部階段部32bの一部は、トンネル部5の下方に位置している。すなわち、平面視において、下部階段部32bの一部はトンネル部5と重なっている。
【0035】
図5に示すように、上部階段部32aも下部階段部32bと同様に、左右一対の桁板35aと、左右一対の桁板35aに両端を溶接された複数の踏板36とから構成されている。図4に示すように、上部階段部32aの上端部は、上述のとおり、床部材30にヒンジピン30aを介して上下方向に回転自在(言い換えると、水平軸回りに回転自在)に取り付けられている。また、上部階段部32aの下端部は、上述の支持部材34bに支持されている。詳しくは、上部階段部32aの下端部は、桁板35aが支持部材34bに対してボルトによって締結されることにより支持されている。また、上部階段部32aおよび下部階段部32bには、略全周にわたって手摺り37が取り付けられている。
【0036】
図4に示す符号40は、第1トンネル5aとロータンダ4とを接続するヒンジピンである。このヒンジピン40によって、トンネル部5は、ロータンダ4に上下方向に回転自在に接続されている。そのため、キャブ6の上下動に伴って、トンネル部5がヒンジピン40を中心として回転し、トンネル部5の勾配が変化する。ヒンジピン40と前記ヒンジピン30aとは、近接するように設計されている。ここで、近接とは、具体的には、ヒンジピン40とヒンジピン30aとの距離が第1トンネル5aの長手方向の長さの半分の長さ以下であることを指す。そのため、キャブ6の上下動に伴いトンネル部5の勾配が変動しても、前記ヒンジピン30aの高さ変動は僅かとなる。また、前記ヒンジピン30aの高さ変動は、上部階段部32aが僅かに撓むことにより吸収されるため、下部階段部32bの勾配には影響しない。
【0037】
図3および図4はそれぞれ、トンネル部5が最も縮んだ際(以下、「最縮時」という。)の平面および右側面を示す図である。これらの図に示すように、補助階段32は、補助階段32の前端部32dが、トンネル部5の最縮時にドライブコラム8よりも後方に位置するように設計されている。また、上部階段部32aおよび下部階段部32bは、それぞれ勾配が40度以下となるように設計されている。ただし、この「40度」とは、本実施形態における規定角度の例示であり、規定角度は特に限定される訳ではない。
【0038】
次に、ボーディングブリッジ10,11について説明する。
【0039】
図1に示すように、ボーディングブリッジ10,11もボーディングブリッジ12と同様に、ロータンダ4と、ロータンダ4に接続されたトンネル部15と、トンネル部15の先端に鉛直軸回りに回転自在に設けられたキャブ6とを備えている。ボーディングブリッジ10,11のトンネル部15は、第1トンネル15aと第2トンネル15bとから構成されている。第2トンネル15bは第1トンネル15aに対しスライド自在に組み立てられており、第2トンネル15bが第1トンネル15aに対してスライドすることにより、トンネル部15の全体が伸縮する。
【0040】
第2トンネル15bの中間部には、トンネル部15を支持するドライブコラム8が設けられている。また、第2トンネル15bの側面には補助階段31が取り付けられている。図6に示すように、補助階段31は、上端部がドライブコラム8よりも前方に位置し、後方に向かって一直線に降下する直進式の階段である。補助階段31は、左右一対の桁板31aと、両端部を桁板31aにピン接合された複数の踏板とから構成されている。補助階段31は、第2トンネル15bの開口部から側方に張り出した床板31cにピン接合されており、キャブ6の上下動に対応して階段の勾配を変化させる。
【0041】
本実施形態に係るボーディングブリッジ12は、補助階段32が第1トンネル5aに取り付けられている。そのため、上述のようにキャブ6を航空機20の2階乗降口22に装着すべく上方に移動させても、補助階段32の勾配に影響をほとんど与えない。したがって、補助階段32の勾配を40度以下に保ちつつ2階乗降口22に装着するために、補助階段32の長さを長く設計しておく必要がない。また、補助階段32の勾配はキャブ6の上下動に左右されないため、補助階段32を所定の規格で製作することができる。さらに、従来リンク構造としていた踏板36を溶接によって桁板35aまたは35bに固定することもできる。そのため、本実施形態に係るボーディングブリッジ12によれば、補助階段の構成をより簡単にすることができ、製作が容易になる。なお、踏板36を桁板35aまたは35bに固定する手段としては溶接に限定されず、接着等の手段であってもよい。また、踏板36と桁板35aまたは35bとを一体的に形成してもよい。
【0042】
また、2階乗降口22は航空機20の主翼の取り付け付近に設けられることが多く、補助階段32と主翼、エンジン等との干渉が懸念される。しかし、本実施形態に係るボーディングブリッジ12によれば、補助階段32は、第1トンネル5aに取り付けられているため、主翼やエンジン等との干渉を防止することができる。
【0043】
さらに、ボーディングブリッジ12が航空機20に装着された後、ボーディングブリッジ12の下方かつ先端部付近では、航空機20に対して様々な作業が行われる。そのため、本来、そのような作業スペースが確保されていることが望ましい。本実施形態に係るボーディングブリッジ12によれば、補助階段32が第1トンネル5aに取り付けられているため、上記作業スペースを広く確保することができる。
【0044】
本実施形態に係るボーディングブリッジ12では、第1トンネル5aとロータンダ4とを接続するヒンジピン40と、補助階段32と第1トンネル5aから張り出した床部材30とを接続するヒンジピン30aとは、近接するように設計されている。そのため、キャブ6の上下動によるヒンジピン30aの上下方向の変動は微小なものとなる。したがって、補助階段32の傾きがキャブ6の上下動に左右されることがなく、補助階段32の長尺化の防止、補助階段32の構造の容易化を図ることができる。
【0045】
本実施形態に係るボーディングブリッジ12では、補助階段32として折り返し式の階段を用いている。そのため、補助階段32のボーディングブリッジ12の長手方向の長さを縮小化することができる。また、本実施形態に係るボーディングブリッジ12では、補助階段32の前端部32dが、トンネル部5の最縮時に、前端部32dがドライブコラム8よりも後方に位置するように設計されている。そのため、トンネル部5を縮めても、補助階段32がドライブコラム8と干渉することはない。したがって、補助階段32とトンネル部5aとの間にドライブコラム8を収める空間を設ける必要がなく(言い換えると、平面視において、補助階段32とトンネル部5aとの間に隙間を形成する必要がなく)、ボーディングブリッジ12の幅方向の縮小化を図ることが容易となる。
【0046】
本実施形態に係るボーディングブリッジ12によれば、補助階段32は、下部階段部32bの一部がトンネル部5の下方に位置するように取り付けられている。そのため、折り返し式の階段としても、ボーディングブリッジ12の幅方向の拡大を防止することができる。
【0047】
本実施形態に係るボーディングブリッジ12では、補助階段32が第1トンネル5aに取り付けられている。そのため、補助階段32は、トンネル部5の伸縮に伴ってトンネル部5の伸縮方向に移動することがない。したがって、ボーディングブリッジ12の着脱に伴う移動に際し、補助階段32の移動距離は従来に比して短くて済み、補助階段32にかける負担を減少することができる。また、キャスタ60の長寿命化等を図ることもできる。さらに、補助階段32の移動量が少ないので、地上で作業をしている整備士等の邪魔になりにくい。
【0048】
本実施形態に係るボーディングブリッジシステム1では、ボーディングブリッジ11の補助階段31は、トンネル部15の先端側に取り付けられており、ボーディングブリッジ12の補助階段32は、トンネル部5の根元側に取り付けられている。そのため、本実施形態に係るボーディングブリッジシステム1によれば、隣り合うボーディングブリッジ11とボーディングブリッジ12との補助階段31と補助階段32とが、航空機20の装着時に干渉することを防止することができる。したがって、キャブ6の操作者の負担を軽減することができる。
【0049】
また、本実施形態に係るボーディングブリッジシステム1では、ボーディングブリッジ12の補助階段32は、隣り合うボーディングブリッジ11とは反対側の側面に取り付けられている。そのため、ボーディングブリッジ12の補助階段32がボーディングブリッジ11と干渉することを防止することができる。したがって、本実施形態に係るボーディングブリッジシステム1によれば、安全性の向上を図ることが可能となる。ただし、本実施形態では、補助階段32は第1トンネル部の右側に取り付けられていたが、安全性を確保できる限り、左側に取り付けることも可能である。
【0050】
本実施形態では、平面視において、ボーディングブリッジ11が接続される1階乗降口21とボーディングブリッジ12が接続される2階乗降口22とは近接している。しかし、ボーディングブリッジ11の補助階段31は、隣り合うボーディングブリッジ12とは反対側の側面に取り付けられている。そのため、ボーディングブリッジ11の補助階段31がボーディングブリッジ12と干渉することを防止することができる。したがって、本実施形態に係るボーディングブリッジシステム1によれば、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0051】
本実施形態では、補助階段32は、下部階段部32bが上部階段部32aに対し、180度折り返される構成としていた。しかし、下部階段部32bの折り返し方向は、上部階段部32aと下部階段部32bとのなす角が90度以下であることが好ましいが、上記のものに限定されない。例えば、下部階段部32bは、上部階段部32aと直交する方向に折り返されるものであってもよい。
【0052】
また、補助階段32は、安全性を確保できる限り、必ずしも折り返し式でなくてもよく、直進式であってもよい。
【0053】
また、本実施形態のボーディングブリッジシステム1では、ボーディングブリッジ10,11を同一の構成とし、それぞれ異なる1階乗降口21に接続されるものとし、ボーディングブリッジ12を1階乗降口21および2階乗降口22のいずれにも接続可能な構成としていた。しかし、ボーディングブリッジシステムにおけるボーディングブリッジの組み合わせは上記のものに限定されず、様々な組み合わせが可能である。例えば、ボーディングブリッジ10をボーディングブリッジ12と同様の構成とし、ボーディングブリッジ11を省略するものであってもよい。
【0054】
(他の発明)
他の発明に係るボーディングブリッジは、ターミナルビルの乗降口に接続されたロータンダと、一端が前記ロータンダに対して上下方向に揺動自在に接続され、複数の筒状体からなる伸縮自在なトンネル部と、前記トンネル部の他端に設けられ、航空機の乗降口に着脱されるキャブと、前記トンネル部または前記キャブを昇降させることにより前記キャブを上下動させる昇降装置と、前記トンネル部に取り付けられ、前記トンネル部と地上面とをつなぐ補助階段と、を備え、前記補助階段は、前記トンネル部を構成する複数の筒状体のうち、前記ロータンダに接続された根元側筒状体に取り付けられているものである。
【0055】
上記ボーディングブリッジの補助階段は、キャブの上下動に対して上下方向の変動の小さい根元側筒状体に取り付けられている。そのため、キャブの上昇量が大きくても、補助階段の取付部(トンネル部に対する取付部)はそれほど上昇することはない。したがって、補助階段を長尺化しなくても、勾配が急になることはない。そのため、補助階段の勾配を規定角度以下に抑えつつ、乗降口の高い航空機に装着可能とすることができる。また、補助階段の勾配を抑えることができ、あるいは、補助階段と他の設備等との干渉を避けることができるので、安全性を向上させることができる。
【0056】
前記補助階段は、前記根元側筒状体の長手方向における中央部よりも前記ロータンダ側に取り付けられていることが好ましい。
【0057】
上記ボーディングブリッジによれば、キャブの上下動に伴って補助階段の取付部が上下動する距離は、より僅かなものとなる。したがって、補助階段を長尺化することなく、勾配を規定角度以下に保持しつつ、乗降口の高い航空機に装着可能とすることができる。
【0058】
前記補助階段は、複数の踏板部材と前記踏板部材を支持する一対の桁板とを少なくとも備え、複数の前記踏板部材は、前記桁板と一体的に形成されまたは前記桁板に回動不能に固定されていることが好ましい。
【0059】
上記ボーディングブリッジの補助階段では、勾配の変化が少ないので、従来のように、踏板部材と桁板とをリンク構造とする必要がない。したがって、例えば、踏板と桁板とを溶接する等、補助階段の構成をより簡単なものとすることができ、製作の手間を省くことができる。
【0060】
前記補助階段は、第1の方向に向かって下方に傾斜する第1階段部と、第1の方向とは異なる第2の方向に向かって下方に傾斜する第2階段部と、を備えることが好ましい。
【0061】
上記ボーディングブリッジによれば、補助階段がいわゆる折り返し式の階段であるため、補助階段のボーディングブリッジ長手方向の長さの縮小化を図ることができる。したがって、他の設備等との干渉をより確実に防止でき、安全性の向上を図ることができる。また、各階段部の勾配を小さくすることができるので、整備士等はより円滑に上り下りすることができるようになる。
【0062】
前記補助階段は、前記第1階段部と、前記第2階段部とからなり、前記第1階段部の上端部は、前記根元側筒状体の側面に取り付けられ、前記第2階段部の上端部は、前記第1階段部の下端部に連続し、前記第1の方向は、平面視において、前記トンネル部が伸びる方向に平行な方向であり、前記第2の方向は、平面視において、前記トンネル部が縮む方向と平行な方向または前記トンネル部が縮む方向と平行な方向となす角が90度以下となるように交差する方向であることが好ましい。
【0063】
上記ボーディングブリッジによれば、補助階段のボーディングブリッジ長手方向の長さをより縮小化することができる。
【0064】
前記トンネル部を直接的または間接的に支持し、下端部に車輪が取り付けられたドライブコラムを備え、前記トンネル部の最縮時に、前記補助階段の前記キャブ側の端部は、前記トンネル部が伸縮する方向と平行する方向に関して、前記ドライブコラムよりも前記ロータンダ側に位置することが好ましい。
【0065】
上記ボーディングブリッジによれば、トンネル部が最も縮んだ状態においてもドライブコラムと補助階段とは干渉しない。したがって、ボーディングブリッジの安全性の向上を図ることができる。
【0066】
平面視において、前記補助階段と前記トンネル部との間には、隙間が形成されていないことが好ましい。
【0067】
上記ボーディングブリッジの補助階段は、折り返し式の階段であるため、トンネル部が最も縮んだ状態においてもドライブコラムと補助階段とが干渉することがない。そのため、補助階段とトンネル部との間にドライブコラムを避けるための空間を設ける必要がない。したがって、補助階段を含めたボーディングブリッジの全体において、トンネル部の幅方向の縮小化を図ることができる。
【0068】
前記補助階段の少なくとも一部は、前記トンネル部の下方に位置し、平面視においてトンネル部と重なっていることが好ましい。
【0069】
上記ボーディングブリッジによれば、ボーディングブリッジの幅方向の長さを増加させることなく、補助階段を折り返し式にすることができる。
【0070】
他の発明に係るボーディングブリッジシステムは、1階乗降口と2階乗降口とを有する航空機の前記1階乗降口に接続される第1のボーディングブリッジと、前記航空機の2階乗降口に接続される第2のボーディングブリッジと、を備えたボーディングブリッジシステムであって、少なくとも前記第2のボーディングブリッジは、前記ボーディングブリッジからなるものである。
【0071】
上記ボーディングブリッジシステムによれば、第2のボーディングブリッジの補助階段は、第1のボーディングブリッジと干渉しにくい位置にある。そのため、操作員は、それらの干渉を容易に避けることができる。したがって、上記ボーディングブリッジシステムによれば、安全性の向上および操作員の負担軽減を図ることができる。
【0072】
前記第2のボーディングブリッジの補助階段は、前記根元側筒状体における前記第1のボーディングブリッジとは対峙しない側面に取り付けられていることが好ましい。
【0073】
上記ボーディングブリッジシステムによれば、第2のボーディングブリッジの補助階段が第1のボーディングブリッジと干渉することを、より確実に防止することができる。したがって、上記ボーディングブリッジによれば、安全性のより一層の向上等を図ることができる。
【0074】
前記第1のボーディングブリッジは、ターミナルビルの乗降口に接続されたロータンダと、一端が前記ロータンダに接続され、複数の筒状体からなる伸縮自在なトンネル部と、前記トンネル部の他端に設けられ、航空機の乗降口に着脱されるキャブと、前記トンネル部に取り付けられ、前記トンネル部と地上面とをつなぐ補助階段と、を備え、前記第1のボーディングブリッジの補助階段は、前記トンネル部を構成する複数の筒状体のうち、前記キャブが設けられた先端側筒状体における前記第2のボーディングブリッジとは対峙しない側面に取り付けられていることが好ましい。
【0075】
上記ボーディングブリッジシステムによれば、第1のボーディングブリッジの補助階段が第2のボーディングブリッジと干渉することを容易に防止することができる。したがって、上記ボーディングブリッジシステムによれば、安全性のさらなる向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 ボーディングブリッジシステム
2 ターミナルビル
4 ロータンダ
5 トンネル部
5a 第1トンネル
5b 第2トンネル
5c 第3トンネル
6 キャブ
8 ドライブコラム
9 駆動輪
10 ボーディングブリッジ
11 ボーディングブリッジ
12 ボーディングブリッジ
15 トンネル部
15a 第1トンネル
15b 第2トンネル
20 航空機
21 1階搭乗口
22 2階搭乗口
31 補助階段
32 補助階段
32a 上部階段部(第1階段部)
32b 下部階段部(第2階段部)
50 アウトリガ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターミナルビルの乗降口に接続されたロータンダと、
一端が前記ロータンダに対して上下方向に揺動自在に接続され、複数の筒状体からなる伸縮自在なトンネル部と、
前記トンネル部の他端に設けられ、航空機の乗降口に着脱されるキャブと、
前記トンネル部を直接的または間接的に支持し、下端部に車輪が取り付けられたドライブコラムと、
前記トンネル部または前記キャブを昇降させることにより前記キャブを上下動させる昇降装置と、を備えたボーディングブリッジであって、
前記ボーディングブリッジの前記ロータンダ側に補助階段が取り付けられ、
前記補助階段は、前記トンネル部の最縮時に、前記トンネル部が伸縮する方向と平行の方向に関して、前記補助階段の前記キャブ側の端部が前記ドライブコラムよりも前記ロータンダ側に位置するように構成されている、ボーディングブリッジ。
【請求項2】
前記補助階段は、複数の踏板部材と前記踏板部材を支持する一対の桁板とを少なくとも備え、
複数の前記踏板部材は、前記桁板と一体的に形成されまたは前記桁板に回動不能に固定されている請求項1に記載のボーディングブリッジ。
【請求項3】
前記補助階段は、第1の方向に向かって下方に傾斜する第1階段部と、第1の方向とは異なる第2の方向に向かって下方に傾斜する第2階段部と、を備える請求項1または2に記載のボーディングブリッジ。
【請求項4】
前記補助階段は、前記第1階段部と、前記第2階段部とからなり、
前記第1階段部の上端部は、前記ボーディングブリッジの側面に取り付けられ、
前記第2階段部の上端部は、前記第1階段部の下端部に連続し、
前記第1の方向は、平面視において、前記トンネル部が伸びる方向に平行な方向であり、
前記第2の方向は、平面視において、前記トンネル部が縮む方向と平行な方向または前記トンネル部が縮む方向と平行な方向となす角が90度以下となるように交差する方向である、請求項3に記載のボーディングブリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−86843(P2012−86843A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−26786(P2012−26786)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【分割の表示】特願2006−201314(P2006−201314)の分割
【原出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)